以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1 液体吐出装置の構成
本実施形態に係る液体吐出装置の一例としての印刷装置は、外部のホストコンピューター等から入力される画像データに応じてノズルからインクを吐出させることにより、紙などの媒体に当該画像データに応じた文字、図形等を含む画像を印刷するインクジェットプリンターである。
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。図1には、媒体Pが搬送される方向X、方向Xと交差し移動体2が往復動する方向Y、インクが吐出される方向Zを図示している。なお、以下では、方向X、方向Y、及び方向Zは互いに直交するとして説明するが、液体吐出装置1に含まれる構成が互いに直交して配置されていることに限るものではない。また、以下の説明において、移動体2が移動する方向Yを主走査方向、媒体Pが搬送される方向Xを搬送方向と称する場合がある。
図1に示すように、液体吐出装置1は、移動体2と、移動体2を方向Yに沿って往復動させる移動機構3とを備える。移動機構3は、移動体2の駆動源となるキャリッジモーター31と、両端が固定されたキャリッジガイド軸32と、キャリッジガイド軸32とほぼ平行に延在しキャリッジモーター31により駆動されるタイミングベルト33と、を有する。
移動体2に含まれるキャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト33の一部に固定されている。そして、キャリッジモーター31によりタイミングベルト33を駆動させることで、キャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に案内されて方向Yに沿って往復動する。また、移動体2のうち、媒体Pと対向する部分には多数のノズルを有するヘッドユニット20が設けられている。ヘッドユニット20には、ケーブル190を介して制御信号等が入力される。そして、ヘッドユニット20は、入力される制御信号に基づいて、ノズルから液体の一例としてインクを吐出する。
液体吐出装置1は、媒体Pを、方向Xに沿ってプラテン40上で搬送させる搬送機構4を備える。搬送機構4は、駆動源である搬送モーター41と、搬送モーター41により回転して媒体Pを方向Xに沿って搬送する搬送ローラー42と、を備える。
以上のように構成された液体吐出装置1では、媒体Pが搬送機構4により搬送されるタイミングにおいて、ヘッドユニット20からインクが吐出されることで、媒体Pの表面に画像が形成される。
2 液体吐出装置の電気構成
図2は、液体吐出装置1の電気構成を示す図である。図2に示すように、液体吐出装置1は、制御信号出力回路100、キャリッジモータードライバー35、キャリッジモーター31、搬送モータードライバー45、搬送モーター41、駆動回路50、第1電源回路90a、第2電源回路90b、発振回路91、及びヘッドユニット20を有する。
制御信号出力回路100は、ホストコンピューターから入力された画像データに基づいて、各種構成を制御するための複数の制御信号等を生成し、対応する構成に出力する。具体的には、制御信号出力回路100は、制御信号CTR1を生成し、キャリッジモータードライバー35に出力する。キャリッジモータードライバー35は、入力される制御信号CTR1に従ってキャリッジモーター31を駆動する。これにより、キャリッジ24の方向Yに沿った移動が制御される。また、制御信号出力回路100は、制御信号CTR2を生成し、搬送モータードライバー45に出力する。搬送モータードライバー45は、入力される制御信号CTR2に従って搬送モーター41を駆動する。これにより、媒体Pの方向Xに沿った搬送が制御される。
また、制御信号出力回路100は、駆動回路50の動作を制御するための駆動データ信号DATA1~DATA4を生成し、駆動回路50に出力する。また、制御信号出力回路100と駆動回路50との間で、状態信号BUSY、及び異常信号ERRが相互に伝搬される。また、制御信号出力回路100は、ヘッドユニット20の動作を制御するための、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1~SI4、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを生成し、ヘッドユニット20に出力する。
第1電源回路90aは、例えば電圧値がDC42Vの電圧信号VHV1を生成する。そして、第1電源回路90aは、電圧信号VHV1を駆動回路50に出力する。また、第2電源回路90bは、例えば電圧値がDC3.3Vの電圧信号VDDを生成する。そして、第2電源回路90bは、電圧信号VDDを駆動回路50に出力する。なお、電圧信号VHV1,VDDは、液体吐出装置1が有する各部の駆動電圧として用いられてもよい。また、第1電源回路90a、第2電源回路90bは、上述した電圧値の電圧信号VHV1、及び電圧信号VDDとは異なる電圧値の複数の電圧信号を生成し出力してもよい。
発振回路91は、クロック信号MCKを生成し、駆動回路50に出力する。ここで、発振回路91は、図2に示すように制御信号出力回路100とは独立して設けられてもよく、制御信号出力回路100の内部に設けられていてもよい。さらに、発振回路91が出力するクロック信号MCKは、駆動回路50の他に液体吐出装置1が有する各部にも供給されてもよい。
駆動回路50は、駆動データ信号DATA1~DATA4のそれぞれで規定される波形の信号を、電圧信号VHV1に基づく電圧値に増幅することで駆動信号COM1~COM4を生成し、ヘッドユニット20に出力する。また、駆動回路50は、基準電圧信号VBS1,VBS3を生成してヘッドユニット20に出力する。さらに、駆動回路50は、第1電源回路90aから入力される電圧信号VHV1を伝搬し、分岐した後、電圧信号VHV2-1,VHV2-2として出力する。
ヘッドユニット20は、吐出モジュール21-1~21-4を有する。吐出モジュール21-1~21-4には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1~SI4、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、駆動回路50から出力された電圧信号VHV2-1,VHV2-2、駆動信号COM1~COM4、及び基準電圧信号VBS1,VBS3が入力される。そして、ヘッドユニット20は、入力される各種信号に基づいて、所望のタイミングで所定量のインクを吐出する。
ここで、図3を用いて、駆動回路50、及びヘッドユニット20の構成、及び電気的接続の具体例について説明する。図3は、駆動回路50、及びヘッドユニット20の構成、及び電気接続の一例を示す図である。
図3に示すように、駆動回路50は、電源電圧制御回路70-1,70-2、駆動制御回路51-1~51-4、及びヒューズF1,F2を含む。
電源電圧制御回路70-1には、第1電源回路90aから電圧信号VHV1が入力される。電源電圧制御回路70-1は、入力される電圧信号VHV1を電圧信号VHVaとして出力するか否かを切り替える。電源電圧制御回路70-1から出力された電圧信号VHVaは、ヒューズF1に入力される。そして、ヒューズF1に入力された電圧信号VHVaは、電圧信号VHV2-1としてヒューズF1から出力される。電圧信号VHV2-1は、駆動回路50で分岐された後、ヘッドユニット20に出力される。また、電圧信号VHVa、VHV2-1は、駆動制御回路51-1,51-2にも入力される。
同様に電源電圧制御回路70-2には、第1電源回路90aから電圧信号VHV1が入力される。電源電圧制御回路70-2は、入力される電圧信号VHV1を電圧信号VHVbとして出力するか否かを切り替える。電源電圧制御回路70-2から出力された電圧信号VHVbは、ヒューズF2に入力される。そして、ヒューズF2に入力された電圧信号VHVbは、電圧信号VHV2-2としてヒューズF2から出力される。電圧信号VHV2-2は、駆動回路50で分岐された後、ヘッドユニット20に出力される。また、電圧信号VHVb、VHV2-2は、駆動制御回路51-3,51-4にも入力される。
駆動制御回路51-1には、上述した電圧信号VHVa,VHV2-1に加えて、第2電源回路90bから出力される電圧信号VDD、発振回路91から出力されるクロック信号MCK、及び制御信号出力回路100から出力される駆動データ信号DATA1が入力される。そして、駆動制御回路51-1は、入力される電圧信号VHVa,VHV2-1,VDD、クロック信号MCK、及び駆動データ信号DATA1に基づいて、駆動信号COM1、基準電圧信号VBS1を生成し出力する。さらに、駆動制御回路51-1には、異常信号ERR、及び状態信号BUSYが入力されると共に、駆動制御回路51-1は、駆動制御回路51-1の異常の有無を示す異常信号ERR1、及び動作状態を示す状態信号BUSY1を生成し出力する。また、駆動制御回路51-1は、電源電圧制御回路70-1を制御するためのVHV制御信号VHV_CNT1を出力する。
駆動制御回路51-2には、上述した電圧信号VHVa,VHV2-1に加えて、第2電源回路90bから出力される電圧信号VDD、発振回路91から出力されるクロック信号MCK、及び制御信号出力回路100から出力される駆動データ信号DATA2が入力される。そして、駆動制御回路51-2は、入力される電圧信号VHVa,VHV2-1,VDD、クロック信号MCK、及び駆動データ信号DATA2に基づいて、駆動信号COM2、基準電圧信号VBS2を生成し出力する。さらに、駆動制御回路51-2には、異常信号ERR、及び状態信号BUSYが入力されると共に、駆動制御回路51-2は、駆動制御回路51-2の異常の有無を示す異常信号ERR2、及び動作状態を示す状態信号BUSY2を生成し出力する。また、駆動制御回路51-2は、電源電圧制御回路70-1を制御するためのVHV制御信号VHV_CNT2を出力する。
駆動制御回路51-3には、上述した電圧信号VHVb,VHV2-2に加えて、第2電源回路90bから出力される電圧信号VDD、発振回路91から出力されるクロック信号MCK、及び制御信号出力回路100から出力される駆動データ信号DATA3が入力される。そして、駆動制御回路51-3は、入力される電圧信号VHVb,VHV2-2,VDD、クロック信号MCK、及び駆動データ信号DATA3に基づいて、駆動信号COM3、基準電圧信号VBS3を生成し出力する。さらに、駆動制御回路51-3には、異常信号ERR、及び状態信号BUSYが入力されると共に、駆動制御回路51-3は、駆動制御回路51-3の異常の有無を示す異常信号ERR3、及び動作状態を示す状態信号BUSY3を生成し出力する。また、駆動制御回路51-3は、電源電圧制御回路70-2を制御するためのVHV制御信号VHV_CNT3を出力する。
駆動制御回路51-4には、上述した電圧信号VHVb,VHV2-2に加えて、第2電源回路90bから出力される電圧信号VDD、発振回路91から出力されるクロック信号MCK、及び制御信号出力回路100から出力される駆動データ信号DATA4が入力される。そして、駆動制御回路51-4は、入力される電圧信号VHVb,VHV2-2,VDD、クロック信号MCK、及び駆動データ信号DATA4に基づいて、駆動信号COM4、基準電圧信号VBS4を生成し出力する。さらに、駆動制御回路51-4には、異常信号ERR、及び状態信号BUSYが入力されると共に、駆動制御回路51-4は、駆動制御回路51-4の異常の有無を示す異常信号ERR4、及び動作状態を示す状態信号BUSY4を生成し出力する。また、駆動制御回路51-4は、電源電圧制御回路70-2を制御するためのVHV制御信号VHV_CNT4を出力する。
ヘッドユニット20は、吐出モジュール21-1~21-4を有する。
吐出モジュール21-1は、駆動信号選択制御回路200-1と、ヘッド22-1とを有する。吐出モジュール21-1には、電圧信号VHV2-1、駆動信号COM1、基準電圧信号VBS1、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。駆動信号選択制御回路200-1は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定されたタイミングで、駆動信号COM1に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUT1を生成し、ヘッド22-1に出力する。
ヘッド22-1は、複数の吐出部600を有する。また、各吐出部600は圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には駆動信号選択制御回路200-1から出力された駆動信号VOUT1が供給され、圧電素子60の他端には基準電圧信号VBS1が供給される。そして、圧電素子60が、駆動信号VOUT1と基準電圧信号VBS1との電位差により駆動する。これにより、対応する吐出部600からインクが吐出される。
吐出モジュール21-2は、駆動信号選択制御回路200-2と、ヘッド22-2とを有する。吐出モジュール21-2には、電圧信号VHV2-1、駆動信号COM2、基準電圧信号VBS1、クロック信号SCK、印刷データ信号SI2、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。駆動信号選択制御回路200-2は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI2、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定されたタイミングで、駆動信号COM2に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUT2を生成し、ヘッド22-2に出力する。
ヘッド22-2は、複数の吐出部600を有する。また、各吐出部600は圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には駆動信号選択制御回路200-2から出力された駆動信号VOUT2が供給され、圧電素子60の他端には基準電圧信号VBS1が供給される。そして、圧電素子60が、駆動信号VOUT2と基準電圧信号VBS1との電位差により駆動する。これにより、対応する吐出部600からインクが吐出される。
吐出モジュール21-3は、駆動信号選択制御回路200-3と、ヘッド22-3とを有する。吐出モジュール21-3には、電圧信号VHV2-2、駆動信号COM3、基準電圧信号VBS3、クロック信号SCK、印刷データ信号SI3、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。駆動信号選択制御回路200-3は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI3、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定されたタイミングで、駆動信号COM3に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUT3を生成し、ヘッド22-3に出力する。
ヘッド22-3は、複数の吐出部600を有する。また、各吐出部600は圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には駆動信号選択制御回路200-3から出力された駆動信号VOUT3が供給され、圧電素子60の他端には基準電圧信号VBS3が供給される。そして、圧電素子60が、駆動信号VOUT3と基準電圧信号VBS3との電位差により駆動する。これにより、対応する吐出部600からインクが吐出される。
吐出モジュール21-4は、駆動信号選択制御回路200-4と、ヘッド22-4とを有する。吐出モジュール21-4には、電圧信号VHV2-2、駆動信号COM4、基準電圧信号VBS3、クロック信号SCK、印刷データ信号SI4、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。駆動信号選択制御回路200-4は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI4、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定されたタイミングで、駆動信号COM4に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUT4を生成し、ヘッド22-4に出力する。
ヘッド22-4は、複数の吐出部600を有する。また、各吐出部600は圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には駆動信号選択制御回路200-4から出力された駆動信号VOUT4が供給され、圧電素子60の他端には基準電圧信号VBS3が供給される。そして、圧電素子60が、駆動信号VOUT4と基準電圧信号VBS3との電位差により駆動することで、対応する吐出部600からインクが吐出される。
ここで、ヘッド22-1に含まれる複数の圧電素子60のいずれかが第1駆動素子の一例であり、ヘッド22-2に含まれる複数の圧電素子60のいずれかが第2駆動素子の一例であり、ヘッド22-3に含まれる複数の圧電素子60のいずれかが第3駆動素子の一例であり、ヘッド22-4に含まれる複数の圧電素子60のいずれかが第4駆動素子の一例である。また、駆動回路50は、ヘッド22-1~22-4に含まれる複数の圧電素子60を駆動する。そして、ヘッド22-1~22-4に含まれる複数の圧電素子60が駆動することで液体としてのインクを吐出するヘッドユニット20が、液体吐出ヘッドの一例である。
ここで、電源電圧制御回路70-1,70-2はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、電源電圧制御回路70-1,70-2を区別する必要がない場合、単に電源電圧制御回路70と称する。同様に、駆動制御回路51-1~51-4はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、駆動制御回路51-1~51-4を区別する必要がない場合、単に駆動制御回路51と称する。同様に、ヒューズF1,F2はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、ヒューズF1,F2を区別する必要がない場合、単にヒューズFと称する。同様に、吐出モジュール21-1~21-4はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、吐出モジュール21-1~21-4を区別する必要がない場合、単に吐出モジュール21と称する。同様に、駆動信号選択制御回路200-1~200-4はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、駆動信号選択制御回路200-1~200-4を区別する必要がない場合、単に駆動信号選択制御回路200と称する。同様に、ヘッド22-1~22-4はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、ヘッド22-1~22-4を区別する必要がない場合、単にヘッド22と称する。
そして、電源電圧制御回路70には、電圧信号VHV1が入力され、電圧信号VHVa,VHVbのいずれかに対応する電圧信号VHVabを出力するとして説明を行う。また、ヒューズFには、電圧信号VHVabが入力され、電圧信号VHV2を出力するとして説明を行う。また、駆動制御回路51には、駆動データ信号DATA1~DATA4のいずれかに対応する駆動データ信号DATAが入力され、VHV制御信号VHV_CNT1~VHV制御信号VHV_CNT4のいずれかに対応するVHV制御信号VHV_CNT、異常信号ERR1~ERR4のいずれかに対応する異常信号ERR、状態信号BUSY1~BUSY4のいずれかに対応する状態信号BUSY、駆動信号COM1~COM4のいずれかに対応する駆動信号COM、基準電圧信号VBS1~VBS4のいずれかに対応する基準電圧信号VBSを出力するとして説明を行う。そして、駆動信号選択制御回路200には、上述した電圧信号VHV2、駆動信号COMと、制御信号出力回路100から出力されるクロック信号SCK、印刷データ信号SI1~SI4のいずれかに対応する印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、が入力され、駆動信号VOUT1~VOUT4のいずれかに対応する駆動信号VOUTを出力するとして説明を行い、ヘッド22には、駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとが供給されるとして説明を行う。
3 吐出部の構成
ここで、図4を用いてヘッド22-1~22-4のそれぞれに含まれる吐出部600の構成について説明する。図4は、1つの吐出部600の概略構成を示す断面図である。
図4は、複数の吐出部600の内の1つの概略構成を示す図である。図4に示すように、吐出部600は、圧電素子60と、振動板621と、キャビティー631と、ノズル651とを含む。
キャビティー631には、リザーバー641からインクが供給されるインクが充填している。また、リザーバー641には、不図示のインクカートリッジから供給口661を経由してインクが導入される。すなわち、キャビティー631には、対応するインクカートリッジに貯留されているインクが充填している。
振動板621は、図4において上面に設けられた圧電素子60の駆動によって変位する。そして、振動板621の変位に伴って、インクが充填されるキャビティー631の内部容積が拡大、縮小する。すなわち、振動板621は、キャビティー631の内部容積を変化させるダイヤフラムとして機能する。
ノズル651は、ノズルプレート632に設けられるとともに、キャビティー631に連通する開孔部である。そして、キャビティー631の内部容積が変化することで、内部容積の変化に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。
圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,電極612で挟んだ構造である。このような構造の圧電体601は、電極611,電極612により供給された電圧の電位差に応じて、電極611,電極612の中央部分が、振動板621とともに上下方向に撓む。具体的には、圧電素子60の電極611には駆動信号VOUTが供給され、電極612には、対応する基準電圧信号VBSが供給される。そして、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧レベルが高くなると、対応する圧電素子60は、上方向に撓み、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧レベルが低くなると、対応する圧電素子60は下方向に撓む。
以上のように構成された吐出部600では、圧電素子60が上方向に撓むことで、振動板621が変位し、キャビティー631の内部容積が拡大する。その結果、インクがリザーバー641から引き込まれる。一方、圧電素子60が下方向に撓むことで、振動板621が変位し、キャビティー631の内部容積が縮小する。その結果、縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。
なお、圧電素子60は、図4に示す構造に限られず、また、吐出部600は、圧電素子60の駆動に伴ってインクが吐出できる構造であればよい。したがって、圧電素子60は、上述した屈曲振動の構成に限られず、例えば、縦振動を用いる構成でもよい。
ここで、ヘッド22-1に含まれる複数の圧電素子60が有する電極611が第1端子の一例であり、電極612が第2端子の一例である。また、ヘッド22-2に含まれる複数の圧電素子60が有する電極611が第3端子の一例であり、電極612が第4端子の一例である。また、ヘッド22-3に含まれる複数の圧電素子60が有する電極611が第5端子の一例であり、電極612が第6端子の一例である。また、ヘッド22-4に含まれる複数の圧電素子60が有する電極611が第7端子の一例であり、電極612が第8端子の一例である。
4 プリントヘッドの構成、及び動作
次に、ヘッドユニット20に含まれる吐出モジュール21の構成、及び動作について説明する。吐出モジュール21の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、図5を用いて、吐出モジュール21に入力される駆動信号COMの波形の一例について説明する。その後、図6から図9を用いて、吐出モジュール21に含まれる駆動信号選択制御回路200の構成、及び動作について説明する。
図5は、駆動信号COMの波形の一例を示す図である。図5には、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1と、期間T1の後、次にチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T2と、期間T2の後、ラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T3とが示されている。そして、この期間T1,T2,T3からなる周期Taが、媒体Pに新たなドットを形成する印刷周期に相当する。すなわち、図5に示すように、ラッチ信号LATは、媒体Pに新たなドットが形成される印刷周期を規定する信号であり、チェンジ信号CHは、駆動信号COMに含まれる波形の切替タイミングを規定する信号である。
図5に示すように、駆動信号COMは、期間T1において台形波形Adpを含む。台形波形Adpが圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600から所定量、具体的には中程度の量のインクが吐出される。また、駆動信号COMは、期間T2において台形波形Bdpを含む。台形波形Bdpが圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600から上記所定量よりも少ない小程度の量のインクが吐出される。また、駆動信号COMは、期間T3において台形波形Cdpを含む。台形波形Cdpが圧電素子60に供給された場合、圧電素子60は、対応する吐出部600からインクが吐出されない程度に駆動する。したがって、台形波形Cdpが圧電素子60に供給された場合、媒体Pにはドットが形成されない。この台形波形Cdpは、吐出部600のノズル開孔部付近のインクを微振動させてインクの粘度が増大することを防止するための波形である。なお、以下の説明において、インクの粘度が増大することを防止するために、吐出部600からインクが吐出されない程度に圧電素子60を駆動させることを「微振動」と称する。
ここで、台形波形Adp、台形波形Bdp、及び台形波形Cdpのそれぞれの開始タイミングでの電圧値、及び終了タイミングでの電圧値はいずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp,Bdp,Cdpは、電圧値が電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形である。以上のように、駆動回路50は、台形波形Adp,Bdp,Cdpが周期Taにおいて連続した波形の駆動信号COMを出力する。なお、図5に示す駆動信号COMの波形は一例であり、これに限られるものではない。また、駆動信号COM1~COM4のそれぞれが異なる波形であってもよい。
図6は、駆動信号選択制御回路200の電気構成を示す図である。駆動信号選択制御回路200は、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択するか否かを切り替えことで、周期Taにおいて、圧電素子60に供給される駆動信号VOUTを生成し出力する。図6に示すように、駆動信号選択制御回路200は、選択制御回路210と、複数の選択回路230とを含む。
選択制御回路210には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び電圧信号VHV2が供給される。選択制御回路210には、シフトレジスター212(S/R)とラッチ回路214とデコーダー216との組が、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、吐出モジュール21には、吐出部600の総数nと同数のシフトレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組が設けられている。
シフトレジスター212は、対応する吐出部600毎に、印刷データ信号SIに含まれる2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一旦保持する。詳細には、吐出部600に対応した段数のシフトレジスター212が互いに縦続接続されているとともに、シリアルで供給された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される。なお、図6には、シフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、n段と表記している。
n個のラッチ回路214のそれぞれは、対応するシフトレジスター212で保持された印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。n個のデコーダー216の各々は、対応するラッチ回路214によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をデコードして選択信号Sを生成し、選択回路230に供給する。
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、1つの吐出モジュール21が有する選択回路230の数は、吐出モジュール21に含まれる吐出部600の総数と同じn個である。選択回路230は、デコーダー216から供給される選択信号Sに基づいて、駆動信号COMの圧電素子60への供給を制御する。
図7は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の電気構成を示す図である。図7に示すように、選択回路230は、インバーター232、及びトランスファーゲート234を有する。また、トランスファーゲート234は、NMOSトランジスターであるトランジスター235と、PMOSトランジスターであるトランジスター236とを含む。
選択信号Sは、デコーダー216からトランジスター235のゲート端子に供給される。また、選択信号Sは、インバーター232によって論理反転されて、トランジスター236のゲート端子にも供給される。トランジスター235のドレイン端子、及びトランジスター236のソース端子は、トランスファーゲート234の一端である端子TG-Inと接続されている。トランスファーゲート234の端子TG-Inには、駆動信号COMが入力される。そして、トランジスター235、及びトランジスター236が、選択信号Sに従ってオン又はオフに制御されることで、トランジスター235のソース端子とトランジスター236のドレイン端子とが共通に接続されているトランスファーゲート234の他端である端子TG-Outから、駆動信号VOUTが出力される。この駆動信号VOUTが出力されるトランスファーゲート234の端子TG-Outは、圧電素子60の後述する電極611と電気的に接続されている。
次に、図8を用いてデコーダー216のデコード内容について説明する。図8は、デコーダー216におけるデコード内容を示す図である。デコーダー216には、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。そして、デコーダー216は、例えば、印刷データ[SIH,SIL]が「中ドット」を規定する[1,0]である場合、期間T1,T2,T3でH,L,Lレベルとなる選択信号Sを出力する。ここで、選択信号Sの論理レベルは、不図示のレベルシフターによって、電圧信号VHV2に基づく高振幅論理にレベルシフトされる。
図9は、駆動信号選択制御回路200の動作を説明するための図である。図9に示すように駆動信号選択制御回路200には、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]がクロック信号SCKに同期してシリアルで供給され、吐出部600に対応するシフトレジスター212において順次転送される。そして、クロック信号SCKの供給が停止すると、シフトレジスター212のそれぞれには、吐出部600に対応した印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター212における最終n段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順番で供給される。
ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、対応するシフトレジスター212に保持された印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。図9に示すLT1、LT2、…、LTnは、1段、2段、…、n段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた印刷データ[SIH,SIL]を示す。
デコーダー216は、ラッチされた印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、図8に示される内容に従う論理レベルの選択信号Sを出力する。
印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択し、期間T2において台形波形Bdpを選択し、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、図9に示す大ドットに対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600から、中程度の量のインクと、小程度の量のインクが吐出される。そして、媒体Pにおいて当該インクが結合することで、媒体Pに大ドットが形成される。また、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択し、期間T2において台形波形Bdpを選択せず、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、図9に示す中ドットに対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600から、中程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、中ドットが形成される。また、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択せず、期間T2において台形波形Bdpを選択し、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、図9に示す小ドットに対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600から、小程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、小ドットが形成される。また、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択せず、期間T2において台形波形Bdpを選択せず、期間T3において台形波形Cdpを選択する。その結果、図9に示す微振動に対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600からインクは吐出されず、微振動が生じる。
5 駆動回路の構成、及び動作
次に駆動回路50の構成、及び動作について説明する。図3に示す通り、駆動回路50は、電源電圧制御回路70-1,70-2、駆動制御回路51-1~51-4、及びヒューズF1,F2を含む。
ここで、図3に示すように、駆動制御回路51-1が出力する駆動信号COM1は、駆動信号選択制御回路200-1を介して駆動信号VOUT1としてヘッド22-1が有する圧電素子60の電極611に供給される。そして、ヘッド22-1が有する圧電素子60は、供給される駆動信号VOUT1に基づいて駆動する。すなわち、駆動制御回路51-1は、駆動信号選択制御回路200-1を介してヘッド22-1が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続され、ヘッド22-1が有する圧電素子60を駆動する駆動信号COM1を出力する。この駆動制御回路51-1が第1駆動信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-1が出力する駆動信号COM1が第1駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUT1は、駆動信号COM1に含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択又は非選択とすることで生成される。したがって、駆動信号VOUT1も第1駆動信号の一例であるといえる。
同様に、駆動制御回路51-2が出力する駆動信号COM2は、駆動信号選択制御回路200-2を介して駆動信号VOUT2としてヘッド22-2が有する圧電素子60の電極611に供給される。そして、ヘッド22-2が有する圧電素子60は、供給される駆動信号VOUT2に基づいて駆動する。すなわち、駆動制御回路51-2は、駆動信号選択制御回路200-2を介してヘッド22-2が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続され、ヘッド22-2が有する圧電素子60を駆動する駆動信号COM2を出力する。この駆動制御回路51-2が第2駆動信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-2が出力する駆動信号COM2が第2駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUT2は、駆動信号COM2に含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択又は非選択とすることで生成される。したがって、駆動信号VOUT2も第2駆動信号の一例であるといえる。
同様に、駆動制御回路51-3が出力する駆動信号COM3は、駆動信号選択制御回路200-3を介して駆動信号VOUT3としてヘッド22-3が有する圧電素子60の電極611に供給される。そして、ヘッド22-3が有する圧電素子60は、供給される駆動信号VOUT3に基づいて駆動する。すなわち、駆動制御回路51-3は、駆動信号選択制御回路200-3を介してヘッド22-3が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続され、ヘッド22-3が有する圧電素子60を駆動する駆動信号COM3を出力する。この駆動制御回路51-3が第3駆動信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-3が出力する駆動信号COM3が第3駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUT3は、駆動信号COM3に含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択又は非選択とすることで生成される。したがって、駆動信号VOUT3も第3駆動信号の一例であるといえる。
同様に、駆動制御回路51-4が出力する駆動信号COM4は、駆動信号選択制御回路200-4を介して駆動信号VOUT4としてヘッド22-4が有する圧電素子60の電極611に供給される。そして、ヘッド22-4が有する圧電素子60は、供給される駆動信号VOUT4に基づいて駆動する。すなわち、駆動制御回路51-4は、駆動信号選択制御回路200-4を介してヘッド22-4が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続され、ヘッド22-4が有する圧電素子60を駆動する駆動信号COM4を出力する。この駆動制御回路51-4が第4駆動信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-4が出力する駆動信号COM4が第4駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUT4は、駆動信号COM4に含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択又は非選択とすることで生成される。したがって、駆動信号VOUT4も第4駆動信号の一例であるといえる。
5.1 電源電圧制御回路の構成、及び動作
図10は、電源電圧制御回路70の構成を示す図である。図10に示すように、電源電圧制御回路70は、電源電圧遮断回路71、電源電圧放電回路72、及び突入電流低減回路73を有する。電源電圧制御回路70に入力された電圧信号VHV1は、電源電圧遮断回路71に入力される。電源電圧遮断回路71は、入力される電圧信号VHV1を電圧信号VHV1aとして突入電流低減回路73に供給するか否かを制御する。突入電流低減回路73は、電源電圧遮断回路71において、電圧信号VHV1aの供給が遮断されていた状態から、電圧信号VHV1aの供給が開始した場合に生じる突入電流を低減する。換言すれば、突入電流低減回路73は、電源電圧制御回路70から出力される電圧信号VHV1aに基づく大電流の突入電流が生じるおそれを低減する。電源電圧放電回路72は、電源電圧遮断回路71と突入電流低減回路73とが電気的に接続し電圧信号VHV1aが伝搬する配線と電気的に接続している。この電源電圧放電回路72は、電源電圧遮断回路71から出力される電圧信号VHV1aが供給される経路に蓄えられた電荷の放出を制御する。
電源電圧制御回路70が有する電源電圧遮断回路71、電源電圧放電回路72、及び突入電流低減回路73の構成の具体例について図11、及び図12を用いて説明する。図11は、電源電圧遮断回路71、及び電源電圧放電回路72の構成の一例を示す図である。図11に示すように、電源電圧遮断回路71は、トランジスター711,712、抵抗713,714、及びコンデンサー715を含む。ここで、トランジスター711はPMOSトランジスターであり、トランジスター712はNMOSトランジスターであるとして説明を行う。
トランジスター711のソース端子には、電圧信号VHV1が入力される。そして、トランジスター711のソース端子とドレイン端子との間が導通に制御されることで、電圧信号VHV1は、電圧信号VHV1aとしてトランジスター711のドレイン端子から出力される。換言すれば、電源電圧制御回路70は、トランジスター711のソース端子とドレイン端子との間を導通、又は非導通に切り替えることで、電圧信号VHV1を電圧信号VHV1aとして出力するか否かを切り替える。トランジスター711のゲート端子は、抵抗713の一端、抵抗714の一端、及びコンデンサー715の一端と電気的に接続されている。
抵抗713の他端、及びコンデンサー715の他端には、電圧信号VHV1が入力されている。すなわち、抵抗713、及びコンデンサー715は、トランジスター711のソース端子とゲート端子との間でトランジスター711と並列に設けられている。抵抗714の他端は、トランジスター712のドレイン端子と電気的に接続されている。トランジスター712のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。また、トランジスター712のゲート端子には、駆動制御回路51からVHV制御信号VHV_CNTが入力される。
以上のように構成された電源電圧遮断回路71にHレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター712が導通に制御される。そして、トランジスター712がオンに制御されることで、トランジスター711がオンに制御される。その結果、トランジスター711のソース端子とドレイン端子との間が導通となる。したがって、電圧信号VHV1は、電圧信号VHV1aとして出力される。一方、電源電圧遮断回路71にLレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター712がオフに制御される。そして、トランジスター712がオフに制御されることで、トランジスター711がオフに制御される。その結果、トランジスター711のソース端子とドレイン端子との間が非導通となる。したがって、電圧信号VHV1は、電圧信号VHV1aとして出力されない。以上のように、電源電圧遮断回路71は、VHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに基づいて、電圧信号VHV1を電圧信号VHV1aとして出力するのか否かを切り替える。
電源電圧放電回路72は、トランジスター721,722、抵抗723,724、及び
コンデンサー725を含む。ここで、トランジスター721,722は、共にNMOSトランジスターであるとして説明を行う。
抵抗723の一端は、電圧信号VHV1aが伝搬される配線と電気的に接続され、抵抗723の他端は、トランジスター721のドレイン端子と電気的に接続されている。トランジスター721のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。トランジスター721のゲート端子は、抵抗724の一端、コンデンサー725の一端、及びトランジスター722のドレイン端子と電気的に接続されている。抵抗724の他端には、電圧信号VDDが供給されている。コンデンサー725の他端、及びトランジスター722のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。そして、トランジスター722のゲート端子には、VHV制御信号VHV_CNTが入力される。
以上のように構成された電源電圧放電回路72は、電源電圧遮断回路71と突入電流低減回路73とを電気的に接続する配線と電気的に接続されている。そして、電源電圧放電回路72は、VHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに応じて、電圧信号VHV1aに基づいて蓄えられた電荷の放出を制御する。具体的には、電源電圧放電回路72に、HレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター722はオンに制御される。そして、トランジスター722がオンに制御されることで、トランジスター721はオフに制御される。したがって、電圧信号VHV1aが伝搬される経路とグラウンド電位が供給される経路とは、トランジスター721により非導通に制御される。その結果、電源電圧放電回路72は、電圧信号VHV1aに基づく電荷の放出を行わない。一方、電源電圧放電回路72に、LレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター722はオフに制御される。そして、トランジスター722がオフに制御されることで、トランジスター721のゲート端子には、電圧信号VDDが供給される。したがって、トランジスター721はオンに制御される。これにより、電圧信号VHV1aが伝搬される経路とグラウンド電位が供給される経路とが、抵抗723を介して電気的に接続される。これにより、電源電圧放電回路72は、電圧信号VHV1aが伝搬する経路に蓄えられた電荷を放出する。
以上のように、電源電圧遮断回路71と電源電圧放電回路72とは、VHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに基づいて電圧信号VHV1を電圧信号VHV1aとして突入電流低減回路73に出力するのか、又は電圧信号VHV1aが伝搬する経路に蓄えられた電荷を放出するのかを切り替える。
図12は、突入電流低減回路73の構成を示す図である。図12に示すように、突入電流低減回路73は、トランジスター731,732、抵抗733,734,735,736,737、コンデンサー738、及び定電圧ダイオード739を含む。ここで、トランジスター731は、PMOSトランジスターであり、トランジスター732は、N型のバイポーラトランジスターであるとして説明を行う。
トランジスター731のソース端子には、電圧信号VHV1aが入力される。そして、トランジスター731のドレイン端子とソース端子とが導通に制御されることで、電圧信号VHV1aは、電圧信号VHVabとしてトランジスター731のドレイン端子から出力される。また、トランジスター731のゲート端子は、抵抗734の一端、及び抵抗735の一端と電気的に接続されている。抵抗734の他端には、電圧信号VHV1aが入力されている。すなわち、抵抗734は、トランジスター731のソース端子とゲート端子との間で、トランジスター731と並列に設けられている。また、抵抗733は、一端がトランジスター731のソース端子と電気的に接続され、他端がトランジスター731のドレイン端子と電気的に接続されている。
抵抗735の他端は、トランジスター732のコレクタ端子と電気的に接続されている。トランジスター732のエミッタ端子には、グラウンド電位が供給されている。また、トランジスター732のベース端子は、抵抗736の一端、抵抗737の一端、及びコンデンサー738の一端と電気的に接続されている。抵抗737の他端、及びコンデンサー738の他端には、グラウンド電位が供給されている。すなわち、抵抗737、及びコンデンサー738は、トランジスター732のベース端子とエミッタ端子との間でトランジスター732と並列に設けられている。
抵抗736の他端は、定電圧ダイオード739のアノード端子と電気的に接続されている。定電圧ダイオード739のカソード端子には、電圧信号VHVaが入力される。
以上のように構成された突入電流低減回路73では、電源電圧遮断回路71において、電圧信号VHV1aの供給が遮断されている場合、電圧信号VHV1aは入力されない。したがって、突入電流低減回路73は、電圧信号VHVabを出力しない。そして、電圧信号VHVabが出力されないため、定電圧ダイオード739のアノード端子の電位は、抵抗737を介して供給されるグラウンド電位となる。したがって、トランジスター732はオフに制御され、トランジスター731もオフに制御される。
そして、電源電圧遮断回路71において、電圧信号VHV1aの供給が遮断されていた状態から、電圧信号VHV1aの供給が開始した場合、突入電流低減回路73には、電圧信号VHV1aが入力される。この場合において、トランジスター731がオフに制御されているため、電圧信号VHV1aは、抵抗733を介して電圧信号VHVabとしてトランジスター731のドレイン端子に入力される。このとき、電圧信号VHV1a及び電圧信号VHVabに起因して生じる電流は抵抗733により制限される。したがって、大電流の突入電流が生じるおそれが低減される。
突入電流低減回路73に電圧信号VHV1aの入力が開始された後、所定の期間が経過することで、電圧信号VHVabの電圧値が上昇する。そして、電圧信号VHVabの電圧値が定電圧ダイオード739で規定される所定の値以上になった場合、定電圧ダイオード739のアノード端子の電圧値が上昇する。その後、定電圧ダイオード739のアノード端子の電圧値が、トランジスター732の閾値電圧を上回ることで、トランジスター732がオンに制御される。トランジスター732がオンに制御されると、トランジスター731がオンに制御される。これにより、トランジスター731のドレイン端子とソース端子との間が導通に制御され、電圧信号VHV1aは、トランジスター731を介して電圧信号VHVabとして電源電圧制御回路70から出力される。
以上のように構成された突入電流低減回路73では、電圧信号VHV1aの供給が遮断されていた状態から、電圧信号VHV1aの供給が開始した直後においては、電圧信号VHV1aを、抵抗733を介してトランジスター731のドレイン端子に伝搬する。これにより、大電流の突入電流が生じるおそれを低減することができる。また、電圧信号VHVabの電圧値が定電圧ダイオード739で規定される所定の値以上となることで、トランジスター731がオンに制御される。これにより、抵抗733で生じる電力損失を低減することが可能となる。
電源電圧制御回路70から出力された電圧信号VHVabは、駆動制御回路51に入力されると共に、ヒューズF1を介して電圧信号VHV2として駆動制御回路51に入力されると共に、駆動回路50からヘッドユニット20に出力される。
5.2 駆動制御回路の構成、及び動作
次に図13を用いて駆動制御回路51の構成、及び動作について説明する。図13は、駆動制御回路51の構成の一例を示す図である。駆動制御回路51は、集積回路500、増幅回路550、復調回路560、及び帰還回路570を含む。
集積回路500は、増幅制御信号生成回路502、内部電圧生成回路400、発振回路410、クロック選択回路411、異常検出回路430、レジスター制御回路440、定電圧出力回路420、駆動信号放電回路450、基準電圧信号出力回路460、VHV制御信号出力回路470、状態信号入出力回路480、及び異常信号入出力回路490を含む。
内部電圧生成回路400には、電圧信号VDDが供給される。内部電圧生成回路400は、入力される電圧信号VDDを昇圧、又は降圧することで、例えば電圧値がDC7.5Vの電圧信号GVDDを生成する。この電圧信号GVDDは、後述するゲート駆動部540を含む集積回路500の各種構成に入力される。
増幅制御信号生成回路502は、端子DATA-Inから入力される駆動データ信号DATAに含まれる駆動信号COMの波形を規定するデータ信号に基づいて、増幅制御信号Hgd,Lgdを生成する。増幅制御信号生成回路502は、DACインターフェース(DAC_I/F:Digital to Analog Converter Interface)510、DAC部520、変調部530、及びゲート駆動部540を含む。
DACインターフェース510には、端子DATA-Inから供給される駆動データ信号DATAと、端子MCK-Inから供給されるクロック信号MCKとが入力される。DACインターフェース510は、クロック信号MCKに基づいて駆動データ信号DATAを積算し、駆動信号COMの波形を規定する例えば10bitの駆動データdAを生成する。DAC部520には、駆動データdAが入力される。DAC部520は、入力される駆動データdAをアナログ信号の元駆動信号aAに変換する。この元駆動信号aAは、駆動信号COMの増幅前の目標となる信号である。変調部530には、元駆動信号aAが入力される。変調部530は、元駆動信号aAにパルス幅変調を施した変調信号Msを出力する。換言すれば、変調部530は、元駆動信号aAを変調し、変調信号Msを出力する。ゲート駆動部540には、電圧信号VHVab,GVDD、及び変調信号Msが入力される。ゲート駆動部540は、入力される変調信号Msを電圧信号GVDDに基づき増幅するとともに、電圧信号VHVabに基づいて高振幅論理にレベルシフトした増幅制御信号Hgdと、入力される変調信号Msの論理レベルを反転し、電圧信号GVDDに基づき増幅した増幅制御信号Lgdとを生成する。すなわち、増幅制御信号Hgdと増幅制御信号Lgdとは互いに排他的にHレベルとなる。
ここで、排他的にHレベルとなるとは、増幅制御信号Hgdと増幅制御信号Lgdとが同時にHレベルとならないことを含む。したがって、ゲート駆動部540は、増幅制御信号Hgdと増幅制御信号Lgdとが同時にHレベルとならないように、増幅制御信号Hgdと増幅制御信号LgdとがHレベルとなるタイミングを制御すればよく、例えばタイミング制御部を備えてもよい。
増幅制御信号Hgdは、端子Hg-Outを介して集積回路500から出力され、増幅回路550に入力される。同様に、増幅制御信号Lgdは、端子Lg-Outを介して集積回路500から出力され、増幅回路550に入力される。ここで、増幅制御信号Hgdは、変調信号Msの論理レベルをレベルシフトした信号であり、増幅制御信号Lgdは、変調信号Msの論理レベルを反転した信号である。したがって、増幅制御信号Hgd及び増幅制御信号Lgdも広義の上で、変調部530により生成された変調信号に相当する。
増幅回路550は、増幅制御信号Hgd,Lgdに基づき動作することで増幅変調信号AMsを出力する。換言すれば、増幅回路550は、変調信号Msを増幅し、増幅変調信号AMsを出力する。増幅回路550は、トランジスター551,552を含む。なお、トランジスター551,552のそれぞれは、例えばNチャンネル型のFET(Field Effect Transistor)である。
トランジスター551のドレイン端子には、電圧信号VHVabが供給される。トランジスター551のゲート端子には端子Hg-Outを介して増幅制御信号Hgdが供給される。トランジスター551のソース端子はトランジスター552のドレイン端子と電気的に接続している。また、トランジスター552のゲート端子には、端子Lg-Outを介して増幅制御信号Lgdが供給される。トランジスター552のソース端子にはグラウンド電位が供給される。以上のように接続されたトランジスター551は、増幅制御信号Hgdに応じて動作し、トランジスター552は、増幅制御信号Hgdに対して排他的にHレベルとなる増幅制御信号Lgdに応じて動作する。すなわち、トランジスター551とトランジスター552とは排他的にオンとなる。これにより、トランジスター551のソース端子と、トランジスター552のドレイン端子との接続点には、変調信号Msを電圧信号VHVに基づいて増幅した増幅変調信号AMsが生成される。
増幅回路550で生成された増幅変調信号AMsは、復調回路560に入力される。復調回路560は、コイル561とコンデンサー562を含む。コイル561の一端は、トランジスター551のソース端子、及びトランジスター552のドレイン端子と電気的に接続されている。また、コイル561の他端は、コンデンサー562の一端と電気的に接続されている。コンデンサー562の他端には、グラウンド電位が供給されている。すなわち、コイル561とコンデンサー562とは、ローパスフィルターを構成する。そして、復調回路560に増幅変調信号AMsが供給されることで、増幅変調信号AMsが復調され、駆動信号COMが生成される。すなわち、復調回路560は、増幅変調信号AMsを復調することで駆動信号COMを生成し、生成した駆動信号COMを端子COM-Outから出力する。
また、復調回路560が生成した駆動信号COMは、帰還回路570を介して変調部530に帰還される。換言すれば、帰還回路570は、駆動信号COMを変調部530に帰還する。帰還回路570は、抵抗571,572を含む。抵抗571の一端は、コイル561の他端と電気的に接続され、抵抗571の他端は、抵抗572の一端と電気的に接続されている。抵抗572の他端には、電圧信号VHV2が供給される。そして、抵抗571の他端、及び抵抗572の一端は、端子Com-Disを介して変調部530と電気的に接続されている。すなわち、変調部530には、駆動信号COMが帰還回路570を介して、電圧信号VHV2でプルアップされて帰還する。
以上のように、集積回路500に含まれる増幅制御信号生成回路502と、増幅回路550と、復調回路560と、帰還回路570とは、駆動データ信号DATAに基づいて圧電素子60を駆動する駆動信号COMを生成する。そして、生成された駆動信号COMは、圧電素子60の電極611に供給される。ここで、駆動信号出力回路501は、圧電素子60を駆動するための、図5に示す台形波形Adp,Bdp,Cdpを含む信号を駆動信号COMとして出力する他に、一定の電圧値を示す駆動データ信号DATAが供給された場合に、一定の電圧値の信号を駆動信号COMとして出力することもできる。
以上のように増幅制御信号生成回路502と、増幅回路550と、復調回路560と、帰還回路570とを有する構成が、駆動信号出力回路501に相当する。そして、駆動信号出力回路501で生成された駆動信号COMが出力される端子COM-Outは、図7に示す選択回路230の端子TG-Inと電気的に接続される。
発振回路410は、集積回路500の動作タイミングを規定するクロック信号LCKを生成し出力する。クロック信号LCKは、クロック選択回路411、及び異常検出回路430に入力される。
クロック選択回路411には、クロック信号MCK,LCK、及びクロック選択信号CSWが入力される。クロック選択回路411は、クロック選択信号CSWの論理レベルに基づいてクロック信号MCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力するのか、又はクロック信号LCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力するのかを切り替える。なお、本実施形態においてクロック選択回路411は、クロック選択信号CSWがHレベルの場合にクロック信号MCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力し、クロック選択信号CSWがLレベルの場合にクロック信号LCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力するとして説明する。
異常検出回路430は、発振異常検出部431、動作異常検出部432、及び電源電圧異常検出部433を含む。
発振異常検出部431には、発振回路410が出力するクロック信号LCKが入力される。発振異常検出部431は、入力されるクロック信号LCKが正常であるか否かを検出し、検出結果に基づく論理レベルのクロック選択信号CSW、及びエラー信号NESを出力する。例えば、発振異常検出部431は、クロック信号LCKの周波数、及び電圧値の少なくとも一方を検出する。そして、発振異常検出部431は、クロック信号LCKの周波数、及び電圧値の少なくとも一方が異常であることを検出した場合、異常を示すクロック選択信号CSW、及びエラー信号NESをクロック選択回路411、及びレジスター制御回路440のそれぞれに出力する。また、発振異常検出部431は、クロック信号LCKの周波数、及び電圧値の双方が正常である場合、正常であることを示すクロック選択信号CSW、及びエラー信号NESをクロック選択回路411、及びレジスター制御回路440のそれぞれに出力する。
動作異常検出部432には、駆動制御回路51の各種構成の動作状態を示す動作状態信号ASSが入力される。動作異常検出部432は、入力される動作状態信号ASSに基づいて、駆動制御回路51の各種構成が正常に動作しているか否かを検出する。本実施形態では、駆動制御回路51の各種構成のいずれかが異常である場合、異常を示す動作状態信号ASSが動作異常検出部432に入力される。そして、動作異常検出部432に異常を示す動作状態信号ASSが入力された場合、動作異常検出部432は、異常を示すエラー信号NESをレジスター制御回路440に出力する。
電源電圧異常検出部433には、駆動回路50から出力され吐出モジュール21に供給される電圧信号VHV2が入力される。そして、電源電圧異常検出部433は、電圧信号VHV2の電圧値を検出する。そして、電源電圧異常検出部433は、電圧信号VHV2の電圧値に基づいて、吐出モジュール21に供給される電圧信号VHV2の電圧値が正常であるか否かを検出する。そして、電源電圧異常検出部433において、吐出モジュール21に供給される電圧信号VHV2の電圧値が異常であると判断された場合、異常を示すエラー信号FESをレジスター制御回路440に出力する。
ここで、電源電圧異常検出部433には、基準電圧信号VBS1の電圧値を検出し、基準電圧信号VBS1の電圧値が正常であるか否かを検出してもよい。その場合、電源電圧異常検出部433において、基準電圧信号VBS1の電圧値が異常であると判断された場合、異常を示すエラー信号FESをレジスター制御回路440に出力してもよい。
レジスター制御回路440は、シーケンスレジスター441、状態レジスター442、及びレジスター制御部443を含む。シーケンスレジスター441、及び状態レジスター442は、クロック信号MCKに同期して駆動データ信号DATAとして入力される動作情報等を保持する。そして、レジスター制御部443は、クロック信号RCKに同期して、シーケンスレジスター441、及び状態レジスター442に保持された情報に基づく制御信号CNT1~CNT5を生成し、対応する構成に出力する。
制御信号CNT1は、駆動信号放電回路450に入力される。駆動信号放電回路450は、帰還回路570を介して、復調回路560から出力される駆動信号COMに基づいて蓄えられた電荷を放出するか否かを制御する。駆動信号放電回路450は、帰還回路570を介して、復調回路560から出力される駆動信号COMが伝搬される伝搬経路と端子Com-Disを介して電気的に接続されている。
図14は、駆動信号放電回路450の構成の一例を示す図である。駆動信号放電回路450は、抵抗451、トランジスター452、及びインバーター453を含む。なお、トランジスター452は、NMOSトランジスターであるとして説明を行う。
抵抗451の一端は、端子Com-Disと電気的に接続されている。抵抗451の他端は、トランジスター452のドレイン端子と電気的に接続されている。トランジスター452のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。また、トランジスター452のゲート端子には、制御信号CNT1がインバーター453を介して入力される。以上のように構成された駆動信号放電回路450にHレベルの制御信号CNT1が入力された場合、トランジスター452はオフに制御される。したがって、駆動信号放電回路450は、駆動信号COMが伝搬される伝搬経路に蓄えられている電荷の放出を行わない。一方、駆動信号放電回路450にLレベルの制御信号CNT1が入力された場合、トランジスター452はオンに制御される。したがって、駆動信号放電回路450は、帰還回路570を介して駆動信号COMが伝搬される伝搬経路に蓄えられている電荷を、抵抗451、及びトランジスター452を介して放出する。以上のように、駆動信号放電回路450は、制御信号CNT1に基づいて、駆動信号COMが吐出モジュール21に供給される伝搬経路に蓄えられた電荷を放出するか否かを制御する。
制御信号CNT2は、基準電圧信号出力回路460に入力される。基準電圧信号出力回路460は、圧電素子60の電極612に供給される基準電圧信号VBSを出力する。すなわち、基準電圧信号出力回路460は、圧電素子60の電極612と電気的に接続され、圧電素子60の電極612に供給される電圧値が電圧Vbsで一定の基準電圧信号VBSを出力する。
図15は、基準電圧信号出力回路460の構成を示す図である。基準電圧信号出力回路460は、コンパレーター461、トランジスター462,463、抵抗464,465,466、及びインバーター467を含む。なお、トランジスター462をPMOSトランジスターとして、トランジスター463をNMOSトランジスターとして説明する。
コンパレーター461の-側の入力端には基準電圧Vrefが供給される。また、コンパレーター461の+側の入力端は抵抗464の一端、及び抵抗465の一端と電気的に接続されている。コンパレーター461の出力端は、トランジスター462のゲート端子と電気的に接続されている。トランジスター462のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。トランジスター462のドレイン端子は、抵抗464の他端、抵抗466の一端、及び基準電圧信号VBSが出力される端子VBS-Outと電気的に接続されている。抵抗466の他端はトランジスター463のドレイン端子と電気的に接続されている。トランジスター463のゲート端子にはインバーター467を介して制御信号CNT2が入力される。トランジスター463のソース端子、及び抵抗465の他端には、グラウンド電位が供給される。
以上のように構成された基準電圧信号出力回路460において、コンパレーター461の+側の入力端に供給される電圧値が、コンパレーター461の-側の入力端に供給される基準電圧Vrefの電圧値よりも大きい場合、コンパレーター461は、Hレベルの信号を出力する。このとき、トランジスター462はオフに制御される。したがって、端子VBS-Outには、電圧信号GVDDが供給されない。一方、コンパレーター461の-側の入力端に供給される電圧値が、コンパレーター461の-側の入力端に供給される基準電圧Vrefの電圧値よりも小さい場合、コンパレーター461は、Lレベルの信号を出力する。このとき、トランジスター462は、オンに制御される。したがって、端子VBS-Outには、電圧信号GVDDが供給される。すなわち、基準電圧信号VBSを抵抗464,465とで分圧した電圧値と、基準電圧Vrefの電圧値とが等しくなるようにコンパレーター461が動作することで、基準電圧信号出力回路460は、電圧信号GVDDに基づいて電圧値が電圧Vbsで一定の基準電圧信号VBSを生成する。
また、基準電圧信号出力回路460には、制御信号CNT2が入力される。基準電圧信号出力回路460にHレベルの制御信号CNT2が入力された場合、トランジスター463はオフに制御される。したがって、端子VBS-Outとグラウンド電位が伝搬される伝搬経路とは、ハイインピーダンスに制御される。その結果、端子VBS-Outから、電圧Vbsで電圧値が一定の基準電圧信号VBSが出力される。一方、基準電圧信号出力回路460にLレベルの制御信号CNT2が入力された場合、トランジスター463はオンに制御される。したがって、端子VBS-Outには、抵抗466、及びトランジスター463を介してグラウンド電位が供給される。その結果、基準電圧信号出力回路460は、グラウンド電位で一定の基準電圧信号VBSを出力する。換言すれば、基準電圧信号出力回路460にLレベルの制御信号CNT2が入力された場合、基準電圧信号出力回路460は、基準電圧信号VBSの出力を停止し、端子VBS-Outの電圧値をグラウンド電位とすることで、端子VBS-Outに蓄えられた電荷を放出する。
制御信号CNT3は、VHV制御信号出力回路470に入力される。VHV制御信号出力回路470は、電源電圧制御回路70に供給されるVHV制御信号VHV_CNTを出力する。
図16は、VHV制御信号出力回路470の構成を示す図である。VHV制御信号出力回路470は、トランジスター471と抵抗472とを含む。なお、トランジスター471は、PMOSトランジスターであるとして説明を行う。
トランジスター471のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。トランジスター471のドレイン端子は、抵抗472の一端、及び端子VHV_CNT-Outと電気的に接続されている。トランジスター471のゲート端子には、制御信号CNT3が入力される。抵抗472の他端には、グラウンド電位が供給されている。以上のように構成されたVHV制御信号出力回路470にLレベルの制御信号CNT3が入力された場合、端子VHV_CNT-Outには、電圧信号GVDDが供給され、Hレベルの制御信号CNT3が入力された場合、端子VHV_CNT-Outには、抵抗472を介してグラウンド電位が供給される。
VHV制御信号出力回路470から出力されたVHV制御信号VHV_CNTは、図3に示すように、電源電圧制御回路70に入力される。そして、電源電圧制御回路70は、入力されるVHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに基づいて、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2として吐出モジュール21に供給するのか否かを切り替える。
制御信号CNT4は、状態信号入出力回路480に入力される。状態信号入出力回路480は、駆動制御回路51の動作状態を示す状態信号BUSYを出力すると共に、他の構成から出力された状態信号BUSYを入力する。ここで、他の構成とは、例えば液体吐出装置1が有する駆動制御回路51-1~51-4の内のいずれかであってもよく、制御信号出力回路100であってもよい。
図17は、状態信号入出力回路480の構成を示す図である。状態信号入出力回路480は、トランジスター481、インバーター482、及び抵抗483を含む。なお、トランジスター481は、PMOSトランジスターであるとして説明を行う。また、インバーター482は、集積回路500のCOMS入力端子として機能する。すなわち、状態信号入出力回路480は、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT4に基づいて、端子BUSY-Outから状態信号BUSYを出力する共に、端子BUSY-Outに入力される信号をレジスター制御回路440に入力する。なお、図17には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT4を制御信号CNT4-outとして図示し、レジスター制御回路440に入力される制御信号CNT4を制御信号CNT4-inとして図示している。
トランジスター481のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。また、トランジスター481のドレイン端子は、インバーター482の入力端、抵抗483の一端、及び端子BUSY-Outと接続されている。また、トランジスター481のゲート端子には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT4-outが入力される。また、インバーター482の出力端からレジスター制御回路440に制御信号CNT4-inが出力される。また、抵抗483の他端には、グラウンド電位が供給されている。以上のように構成された状態信号入出力回路480にLレベルの制御信号CNT4が入力された場合、端子BUSY-Outには、電圧信号GVDDが供給される。すなわち、Hレベルの状態信号BUSYが出力される。
制御信号CNT5は、異常信号入出力回路490に入力される。異常信号入出力回路490は、駆動制御回路51に異常が生じているか否かを示す異常信号ERRを出力すると共に、他の構成から出力された異常信号ERRを入力する。ここで、他の構成とは、例えば液体吐出装置1が有する駆動制御回路51-1~51-4の内のいずれかであってもよく、制御信号出力回路100であってもよい。
図18は、異常信号入出力回路490の構成を示す図である。異常信号入出力回路490は、トランジスター491、インバーター492、及び抵抗493を含む。なお、以下の説明では、トランジスター491をPMOSトランジスターとして説明する。また、インバーター492は、集積回路500のCOMS入力端子として機能する。すなわち、異常信号入出力回路490は、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT5に基づいて、端子ERR-Outから異常信号ERRを出力する共に、端子ERR-Outに入力される信号をレジスター制御回路440に入力する。なお、図18には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT5を制御信号CNT5-outとして図示し、レジスター制御回路440に入力される制御信号CNT5を制御信号CNT5-inとして図示している。
トランジスター491のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。また、トランジスター491のドレイン端子は、インバーター492の入力端、抵抗493の一端、及び端子ERR-Outと電気的に接続されている。また、トランジスター491のゲート端子には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT5-outが入力される。インバーター492の出力端からは、レジスター制御回路440に制御信号CNT5-inが出力される。また、抵抗493の他端には、グラウンド電位が供給されている。以上のように構成された異常信号入出力回路490にLレベルの制御信号CNT5が入力された場合、端子ERR-Outには、電圧信号GVDDが供給される。すなわち、Hレベルの異常信号ERRが出力される。
以上のように、本実施形態における駆動回路50では、駆動制御回路51-1~51-4のそれぞれが、互いにワイヤードオア接続された異常信号入出力回路490を備える。これにより、駆動制御回路51-1~51-4のいずれかで異常が生じた場合、異常が生じていない駆動制御回路51-1~51-4に、異常情報を伝搬することが可能となる。そして、伝搬される異常情報に応じて、異常が生じていない駆動制御回路51-1~51-4の動作を継続するか、停止させるかを制御する。これにより、液体吐出装置1の利便性と安全性の双方をさらに向上させることが可能となる。
また、レジスター制御回路440は、入力される駆動データ信号DATAに基づいて、駆動信号出力回路501から電圧値が電圧Vosで一定の駆動信号COMを出力されるための駆動データdC1を生成し、DAC部520に入力する。なお、レジスター制御回路440が出力する駆動データdC1は、変更可能であってもよい。これにより、駆動データdC1で規定される駆動信号COMの電圧値である電圧Vosを任意に変更することが可能となる。
DAC部520は、レジスター制御回路440から入力される駆動データdC1をアナログ信号の元駆動信号aAに変換する。この元駆動信号aAは、一定の電圧値の駆動信号COMの増幅前の目標となる信号である。変調部530には、元駆動信号aAが入力される。変調部530は、元駆動信号aAにパルス幅変調を施した変調信号Msを出力する。ゲート駆動部540は、入力される変調信号Msを電圧信号GVDDに基づき増幅するとともに、電圧信号VHVabに基づいて高振幅論理にレベルシフトした増幅制御信号Hgdと、入力される変調信号Msの論理レベルを反転し、電圧信号GVDDに基づき増幅した増幅制御信号Lgdとを生成する。そして、増幅回路550が、増幅制御信号Hgd,Lgdに基づき動作することで増幅変調信号AMsを出力し、復調回路560において、復調されることで、電圧値が電圧Vosで一定の駆動信号COMが出力される。
また、レジスター制御回路440は、駆動データdC2を生成し、定電圧出力回路420に出力する。定電圧出力回路420は、入力される駆動データdC2に基づいて、電圧値がVcntで一定の電圧信号VCNTを生成し、端子Com-Disに出力する。換言すれば、定電圧出力回路420は、駆動データdC2に基づいて、端子Com-Disの電圧値を電圧Vcntで一定とする。ここで、端子Com-Disは、抵抗571を介して駆動信号COMが伝搬する配線と電気的に接続している。すなわち、定電圧出力回路420は、駆動信号出力回路501と同様に圧電素子60の電極611と電気的に接続し、駆動信号COMが伝搬する配線の電圧値を電圧Vcntで一定となるように制御する。
図19は、定電圧出力回路420の構成の一例を示す図である。定電圧出力回路420は、コンパレーター421、トランジスター422、及びDAC423を含む。なお、トランジスター422をNMOSトランジスターとして説明する。
DAC423には、駆動データdC2が入力される。DAC423は、入力される駆動データdC2に対応する電圧値の信号をコンパレーター421の-側の入力端に入力する。ここで、DAC423は、入力される駆動データdC2に応じた電圧値の信号を出力する可変直流電源を含んでもよい。コンパレーター421の+側の入力端は、端子Com-Disと電気的に接続される。コンパレーター421の出力端は、トランジスター422のゲート端子と電気的に接続されている。トランジスター422のドレイン端子は、端子Com-Disと電気的に接続される。また、トランジスター422のソース端子には、グラウンド電位が供給される。
以上のように構成された定電圧出力回路420において、コンパレーター421の+側の入力端に供給される電圧値が、コンパレーター421の-側の入力端に供給される電圧値よりも大きい場合、コンパレーター421は、Hレベルの信号を出力する。すなわち、駆動データdC2により規定されるDAC423から出力される電圧値に対して、端子Com-Disの電圧値が大きい場合、コンパレーター421は、Hレベルの信号を出力する。したがって、トランジスター422は、オンに制御される。その結果、端子Com-Disの電圧値が減少する。一方、コンパレーター421の+側の入力端に供給される電圧値が、コンパレーター421の-側の入力端に供給される電圧値よりも小さい場合、コンパレーター421は、Lレベルの信号を出力する。すなわち、駆動データdC2により規定されるDAC423から出力される電圧値に対して、端子Com-Disの電圧値が小さい場合、コンパレーター421は、Lレベルの信号を出力する。したがって、トランジスター422は、オフに制御される。その結果、端子Com-Disには、抵抗572を介して電圧信号VHV2が供給され、端子Com-Disの電圧値が増加する。
したがって、定電圧出力回路420は、端子Com-Disの電圧値が、DAC423から出力される駆動データdC2により規定される電圧Vcntとなるように、トランジスター422の動作を制御する。ここで、レジスター制御回路440が出力する駆動データdC1,dC2は、あらかじめ、不図示のレジスターに記憶された値を、レジスター制御回路440によって読み出されてもよく、また、駆動回路50に入力される駆動データ信号DATAに基づいて、適宜変更されてもよい。
ここで、図3に示すように、本実施形態における駆動回路50は、4個の駆動制御回路51、具体的には、駆動制御回路51-1~51-4を備える。
そして、駆動制御回路51-1に含まれる基準電圧信号出力回路460から出力される基準電圧信号VBS1は、吐出モジュール21-1が有するヘッド22-1が備える圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有するヘッド22-2が備える圧電素子60の電極612に供給される。換言すれば、駆動制御回路51-1は、基準電圧信号VBS1を出力する基準電圧信号出力回路460を含み、駆動制御回路51-1に含まれる基準電圧信号出力回路460は、吐出モジュール21-1が有するヘッド22-1が備える圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有するヘッド22-2が備える圧電素子60の電極612と電気的に接続されている。
また、駆動制御回路51-2に含まれる基準電圧信号出力回路460から出力される基準電圧信号VBS2は、吐出モジュール21-1~21-4のいずれにも供給されず、駆動制御回路51-2から基準電圧信号VBS2が出力される端子VBS-Outは、電気的に開放されている。換言すれば、駆動制御回路51-1は、基準電圧信号VBS1を出力する基準電圧信号出力回路460と、基準電圧信号VBS2が出力される端子VBS-Outとを含み、基準電圧信号VBS2が出力される端子VBS-Outは、電気的に開放されている。したがって、駆動制御回路51-2は、吐出モジュール21-1が有するヘッド22-1が備える圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有するヘッド22-2が備える圧電素子60の電極612と電気的に接続されていない。
同様に、駆動制御回路51-3に含まれる基準電圧信号出力回路460から出力される基準電圧信号VBS3は、吐出モジュール21-3が有するヘッド22-3が備える圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-4が有するヘッド22-4が備える圧電素子60の電極612に供給される。換言すれば、駆動制御回路51-3は、基準電圧信号VBS3を出力する基準電圧信号出力回路460を含み、駆動制御回路51-3に含まれる基準電圧信号出力回路460は、吐出モジュール21-3が有するヘッド22-3が備える圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-4が有するヘッド22-4が備える圧電素子60の電極612と電気的に接続されている。
また、駆動制御回路51-4に含まれる基準電圧信号出力回路460から出力される基準電圧信号VBS4は、吐出モジュール21-1~21-4のいずれにも供給されず、駆動制御回路51-4から基準電圧信号VBS4が出力される端子VBS-Outは、電気的に開放されている。換言すれば、駆動制御回路51-4は、基準電圧信号VBS4を出力する基準電圧信号出力回路460と、基準電圧信号VBS4が出力される端子VBS-Outとを含み、基準電圧信号VBS4が出力される端子VBS-Outは、電気的に開放されている。したがって、駆動制御回路51-4は、吐出モジュール21-3が有するヘッド22-3が備える圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-4が有するヘッド22-4が備える圧電素子60の電極612と電気的に接続されていない。
ここで、駆動制御回路51-1に含まれる基準電圧信号出力回路460が第1基準電圧信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-1に含まれる基準電圧信号出力回路460が出力する基準電圧信号VBS1が第1基準電圧信号の一例である。また、駆動制御回路51-2に含まれる基準電圧信号出力回路460が第2基準電圧信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-2に含まれる基準電圧信号出力回路460が出力する基準電圧信号VBS2が第2基準電圧信号の一例である。そして、基準電圧信号VBS2が出力される駆動制御回路51の端子VBS-Outが出力端子に相当する。また、駆動制御回路51-3に含まれる基準電圧信号出力回路460が第3基準電圧信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-3に含まれる基準電圧信号出力回路460が出力する基準電圧信号VBS2が第3基準電圧信号の一例である。
ここで、図3では、駆動制御回路51-2から基準電圧信号VBS2が出力される駆動制御回路51-2に含まれる端子VBS-Out、及び駆動制御回路51-4から基準電圧信号VBS4が出力される駆動制御回路51-4に含まれる端子VBS-Outは、電気的に開放されているとして図示しているが、不図示のコンデンサーを介してグラウンドと電気的に接続されていてもよい。
駆動制御回路51-2から基準電圧信号VBS2が出力される駆動制御回路51-2に含まれる端子VBS-Out、及び駆動制御回路51-4から基準電圧信号VBS4が出力される駆動制御回路51-4に含まれる端子VBS-Outを開放とすることで、駆動回路50に設けられる部品点数を削減することが可能となり、駆動回路50の小型化が可能となる。一方、駆動制御回路51-2から基準電圧信号VBS2が出力される駆動制御回路51-2に含まれる端子VBS-Out、及び駆動制御回路51-4から基準電圧信号VBS4が出力される駆動制御回路51-4に含まれる端子VBS-Outに、グラウンドと電気的に接続されるコンデンサーを備えることで、当該端子にノイズなどが重畳することに起因して、駆動回路50に誤動作が生じるおそれが低減される。
5.3 駆動制御回路の動作
以上のように構成された駆動制御回路51では、クロック信号MCKと同期して駆動データ信号DATAに含まれる状態遷移情報が、レジスター制御回路440に含まれるシーケンスレジスター441に保持される。そして、レジスター制御回路440に含まれるレジスター制御部443が、シーケンスレジスター441に保持された状態遷移情報に基づいて、駆動制御回路51のシーケンス制御を実行させる。駆動制御回路51のシーケンス制御が実行されることで、駆動制御回路51の動作状態を示す動作状態情報が、適宜、状態レジスター442に保持される。そして、レジスター制御回路440は、状態レジスター442に保持された動作状態情報に応じた、制御信号CNT1~CNT5、及び駆動データdC1,dC2を出力する。
ここで、駆動制御回路51のシーケンス制御について図20を用いて説明する。図20は、駆動制御回路51の状態遷移の一例を示す図である。
図20に示すように、駆動制御回路51は、起動モードM1、第1待機モードM2、印刷モードM3,及び第2待機モードM4の4つの動作状態を有する。そして、駆動制御回路51は、シーケンスレジスター441に保持された状態遷移情報に基づいて起動モードM1、第1待機モードM2、印刷モードM3,及び第2待機モードM4の間で状態遷移を行う。なお、駆動制御回路51は、起動モードM1、第1待機モードM2、印刷モードM3,及び第2待機モードM4の4つの動作状態以外に、例えば、駆動制御回路51に異常が生じた場合に遷移する異常処理モード等の動作状態を含んでもよい。
液体吐出装置1に電源が投入されると、駆動制御回路51は、起動モードM1に遷移する。
起動モードM1において、液体吐出装置1及び駆動制御回路51の初期設定を実行する。そして初期設定が完了した後、駆動制御回路51は待機する。ここで、液体吐出装置1の初期設定とは、例えば、第1電源回路90aが電圧信号VHV1の生成を開始すること、第2電源回路90bが電圧信号VDDの生成を開始すること、制御信号出力回路100が、全ての選択回路230を非導通に制御こと等が含まれる。また、駆動制御回路51の初期設定とは、例えば、レジスター制御回路440は、制御信号CNT1~CNT3をすべてLレベルに制御することが含まれる。これにより、吐出モジュール21への電圧信号VHV2の供給が遮断され、駆動信号COMが伝搬される伝搬経路の電荷が放出され、さらに、吐出モジュール21への基準電圧信号VBSの供給が停止される。したがって、起動モードM1において、圧電素子60の電極611,612の双方の電圧値が、グラウンド電位に制御される。その結果、圧電素子60の電極611,612に電位差が生じるおそれが低減され、圧電素子60に意図しないストレスが生じるおそれ、及び圧電素子60に逆電圧が供給されるおそれが低減する。
起動モードM1において、起動シーケンス(SEQ:Sequence)S110を実行させるための状態遷移情報が、シーケンスレジスター441に保持されると、レジスター制御回路440は、起動シーケンスS110を実行させる。
起動シーケンスS110において、レジスター制御回路440は、所定のタイミングで制御信号CNT1~CNT3、及び駆動データdC1,dC2を順次出力する。具体的には、起動シーケンスS110において、レジスター制御回路440は、制御信号CNT3をHレベルとする。これにより、ヘッドユニット20に電圧信号VHVの供給が開始される。その後、レジスター制御回路440は、制御信号CNT2をHレベルとする。これにより、基準電圧信号出力回路460が基準電圧信号VBSの生成を開始し、圧電素子60の電極612に出力する。この場合において、選択回路230が非導通に制御されているため、圧電素子60の電極611の電圧値は、電極612に供給される基準電圧信号VBSの電圧値と略同等の電圧値を保った状態で上昇する。そして、レジスター制御回路440は、制御信号CNT1をHレベルとする。これにより、駆動信号COMが伝搬される伝搬経路の電荷の放出が停止する。その後、駆動信号出力回路501が自励発振を開始し、電圧値がVosで一定の駆動信号COMを出力する。これにより、駆動制御回路51は、第1待機モードM2に遷移する。
第1待機モードM2において、レジスター制御回路440は、制御信号CNT1~CNT3をすべてLレベルに制御する。これにより、吐出モジュール21に電圧信号VHV2が供給され、駆動信号COMが伝搬される伝搬経路の電荷の放出が停止され、吐出モジュール21に基準電圧信号VBSが供給される。そして、駆動制御回路51は、駆動信号出力回路501が自励発振を行い、且つ吐出モジュール21からインクが吐出されていない第1アイドリング状態となる。この場合において、圧電素子60の電極611の電圧値は、駆動信号出力回路501から出力される電圧値が電圧Vosで一定の駆動信号COMに基づいて制御され、電極612の電圧値は、基準電圧信号出力回路460から出力される電圧値が電圧Vbsで一定の基準電圧信号VBSに制御される。すなわち、第1待機モードM2において、圧電素子60の電極611に供給される電圧値、及び電極612に供給される電圧値は、レジスター制御回路440により制御される。したがって、圧電素子60の電極611,612に供給される電圧値が不定となるおそれが低減し、その結果、圧電素子60に意図しないストレスが生じるおそれ、及び圧電素子60に意図しない逆電圧が供給されるおそれが低減される。ここで、本実施形態では、電極611に供給される電圧値が電極612に供給される電圧値よりも小さくなることを意味するが、広義には、圧電素子60に分極処理を実施した直流電界とは逆方向の電界の電圧であって、圧電体601において分極処理によって揃えられた分極方向に乱れが生じるおそれのある方向の電圧である。
さらに、第1待機モードM2において、駆動データdC1に基づいて規定される電圧値である電圧Vosは、基準電圧信号VBSの電圧値である電圧Vbsと同等の値に制御されることが好ましい。ここで、同等の値とは、電圧Vosと電圧Vbsとが完全に一致した電圧値であることに限るものではなく、実質的に同じ電圧値である場合を含み、例えば、駆動信号出力回路501の回路ばらつき、及び基準電圧信号出力回路460の回路ばらつきを加味した場合に、電圧Vosと電圧Vbsとが実質的に同じ電圧値である場合を含む。これにより、圧電素子60に意図しないストレスが生じるおそれがさらに低減する。
第1待機モードM2において、印刷モードM3に状態遷移するための状態遷移情報がシーケンスレジスター441に保持された場合、レジスター制御回路440は、印刷処理開始シーケンスS210を実行する。
印刷処理開始シーケンスS210が実行されることで、レジスター制御回路440は、制御信号出力回路100から入力される駆動データ信号DATAに基づいて、駆動信号出力回路501が、電圧値が電圧Vcで一定の駆動信号COMを生成するように制御する。これにより、駆動制御回路51は、印刷モードM3に遷移する。
印刷モードM3において、駆動信号出力回路501は、制御信号出力回路100から入力される駆動データ信号DATAで規定される波形の信号を増幅した、例えば、図5に示すような電圧値が変動する駆動信号COMを生成し、吐出モジュール21に供給する。また、印刷モードM3において、制御信号出力回路100は、選択回路230を個別に導通又は非導通に制御するためのクロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを生成し、駆動信号選択制御回路200に出力する。すなわち、印刷モードM3において、選択回路230は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに従って、導通又は非導通が制御される。したがって、印刷モードM3において、圧電素子60には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで期待されたタイミングにおいて、電圧値が変動する駆動信号COMが供給される。その結果、圧電素子60は、電極611に供給される駆動信号COMと電極612に供給される基準電圧信号VBSとの電位差に基づいて駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。すなわち、印刷処理が実行される。
印刷モードM3において、印刷処理が終了すると第1待機モードM2に状態遷移するための状態遷移情報がシーケンスレジスター441に保持される。これにより、レジスター制御回路440は、印刷処理終了シーケンスS310を実行する。
印刷処理終了シーケンスS310が実行されることで、レジスター制御回路440は、
駆動信号出力回路501が駆動データdC1に基づき、電圧値が電圧Vosで一定の駆動信号COMを生成するように制御する。これにより、駆動制御回路51は、第1待機モードM2に遷移する。
また、第1待機モードM2において、第2待機モードM4に状態遷移するための状態遷移情報がシーケンスレジスター441に保持された場合、レジスター制御回路440は、自励発振停止シーケンスS220を実行する。
自励発振停止シーケンスS220が実行されることで、レジスター制御回路440は、定電圧出力回路420が駆動データdC2に基づいて、電圧値が電圧Vcntで一定の電圧信号VCNTを生成するように制御する。これにより、駆動制御回路51は、第2待機モードM4に遷移する。
第2待機モードM4において、駆動制御回路51は、駆動信号出力回路501が自励発振を停止し、且つ吐出モジュール21からインクが吐出されていない第2アイドリング状態となる。この場合において、圧電素子60の電極611の電圧値は、定電圧出力回路420から出力される電圧値が電圧Vcntで一定の電圧信号VCNTに基づいて制御され、電極612の電圧値は、基準電圧信号出力回路460から出力される電圧値が電圧Vbsで一定の基準電圧信号VBSに制御される。すなわち、第2待機モードM4において、圧電素子60の電極611に供給される電圧値、及び電極612に供給される電圧値は、レジスター制御回路440により制御される。したがって、圧電素子60の電極611,612に供給される電圧値が不定となるおそれが低減し、その結果、圧電素子60に意図しないストレスが生じるおそれ、及び圧電素子60に意図しない逆電圧が供給されるおそれが低減される。
さらに、第2待機モードM4において、駆動データdC2に基づいて規定される電圧値である電圧Vcntは、基準電圧信号VBSの電圧値である電圧Vbsと同等の値に制御されることが好ましい。ここで、同等の値とは、電圧Vcntと電圧Vbsとが完全に一致した電圧値であることに限るものではなく、実質的に同じ電圧値である場合を含み、例えば、定電圧出力回路420の回路ばらつき、及び基準電圧信号出力回路460の回路ばらつきを加味した場合に、電圧Vcntと電圧Vbsとが実質的に同じ電圧値である場合を含む。これにより、圧電素子60に意図しないストレスが生じるおそれがさらに低減する。
以上のように、第2待機モードM4は、駆動信号出力回路501が発振を停止した状態で液体吐出装置1を待機させる点で、第1待機モードM2と異なる。第1待機モードM2では、駆動信号出力回路501が発振した状態で液体吐出装置1を待機させるが故に、印刷処理の実行要求が生じた場合に、液体吐出装置1の動作状態を短時間で印刷モードM3に遷移することが可能となる。これに対して、第2待機モードM4では、駆動信号出力回路501が発振を停止した状態で液体吐出装置1を待機させるが故に、待機時に生じる液体吐出装置1の消費電力を低減することが可能となる。
第2待機モードM4において、第1待機モードM2に状態遷移するための状態遷移情報がシーケンスレジスター441に保持された場合、レジスター制御回路440は、自励発振開始シーケンスS420を実行する。
自励発振開始シーケンスS420が実行されることで、レジスター制御回路440は、
駆動信号出力回路501が自励発振を開始し、駆動データdC1に基づいて電圧値がVosで一定の駆動信号COMを出力するように制御する。これにより、駆動制御回路51は、第1待機モードM2に遷移する。
また、駆動制御回路51が動作を停止する場合、駆動制御回路51の動作状態の起動モードM1に遷移させる。
第1待機モードM2、及び第2待機モードM4において、駆動制御回路51の動作を停止させるための停止シーケンスS230を実行させるための状態遷移情報が、シーケンスレジスター441に保持されると、レジスター制御回路440は、停止シーケンスS230を実行させる。
停止シーケンスS230において、レジスター制御回路440は、所定のタイミングで制御信号CNT1~CNT3、及び駆動データdC1,dC2を順次出力する。具体的には、停止シーケンスS230において、レジスター制御回路440は、制御信号CNT2をLレベルとする。これにより、基準電圧信号出力回路460が基準電圧信号VBSの生成を停止し、圧電素子60の電極612に蓄えられた電荷を放出する。その後、駆動信号出力回路501が駆動データdC1に基づいて、電圧値がVosで一定の駆動信号COMを出力する。そして、レジスター制御回路440は、制御信号CNT1をHレベルとする。これにより、駆動信号COMが伝搬される伝搬経路の電荷が放出される。その後、レジスター制御回路440は、制御信号CNT3をHレベルとする。これにより、ヘッドユニット20に電圧信号VHVの供給が停止される。これにより、駆動制御回路51は、起動モードM1に遷移する。
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1では、駆動制御回路51の動作状態が起動モードM1、第1待機モードM2、印刷モードM3,及び第2待機モードM4の間で状態遷移する。そして、駆動制御回路51の状態遷移は、レジスター制御回路440において実行されるシーケンス制御により行われる。上述の手順に則り、駆動制御回路51のシーケンス制御を実施することにより、液体吐出装置1が状態遷移を実行している期間であっても、圧電素子60に意図しないストレスが生じるおそれ、及び圧電素子60に逆電圧が印加されるおそれが低減される。
また、本実施形態における駆動回路50は、複数の駆動制御回路51、具体的には、駆動制御回路51-1~51-4を有する。この場合において、駆動制御回路51-1は、駆動制御回路51-2よりも後に起動を開始し、駆動制御回路51-1は、駆動制御回路51-2よりも先に動作を停止する。また、駆動制御回路51-3は、駆動制御回路51-4よりも後に起動を開始し、駆動制御回路51-3は、駆動制御回路51-4よりも先に動作を停止する。
ここで、駆動制御回路51-1~51-4が起動を開始するとは、駆動制御回路51-1~51-4のそれぞれが起動モードM1である場合に、起動シーケンスS110が開始されることに相当する。また、駆動制御回路51-1~51-4が動作を停止するとは、駆動制御回路51-1~51-4のそれぞれが第1待機モードM2、又は第2待機モードM4である場合に、停止シーケンスS230が開始されることに相当する。
図3に示すように、駆動制御回路51-1が出力する基準電圧信号VBS1は、駆動制御回路51-2が駆動信号COM2を出力するヘッド22-2が有する圧電素子60の電極612にも供給されている。そのため、駆動制御回路51-1が駆動制御回路51-2よりも先に動作を開始した場合、ヘッド22-2が有する圧電素子60の電極611の電圧が制御されるよりも前に、圧電素子60の電極612に基準電圧信号VBS1が供給される。その結果、当該圧電素子60の電極611の電圧値が制御されるよりも前に、電極612の電圧値が制御され、その結果、ヘッド22-2が有する圧電素子60の電極612の電位が電極612の電位よりも高くなる逆電圧が生じるおそれがある。これに対して、駆動制御回路51-1が、駆動制御回路51-2よりも後に起動を開始することで、ヘッド22-2が有する圧電素子60の電極612に電圧が供給されるよりも前に、圧電素子60の電極611の電圧値が駆動制御回路51-2により制御される。したがって、ヘッド22-2が有する圧電素子60に逆電圧が生じるおそれを低減することが可能となる。
また、駆動制御回路51-1が駆動制御回路51-2よりも後に動作を停止した場合、ヘッド22-2が有する圧電素子60の電極612に基準電圧信号VBS1が供給されているにも関わらず、圧電素子60の電極611の電圧値が不定となる。その結果、当該圧電素子60の電極611の電圧値が、当該圧電素子60の電極612の電圧値よりも低くなる所謂逆電圧が生じるおそれがある。これに対して、駆動制御回路51-1が、駆動制御回路51-2よりも先に動作を停止することで、ヘッド22-2が有する圧電素子60の電極611に駆動制御回路51-2から駆動信号COMが供給されている状態で、電極612に供給される基準電圧信号VBS1の供給が停止し、さらに、基準電圧信号VBS1により蓄えられた電荷が放出される。したがって、ヘッド22-2が有する圧電素子60に逆電圧が生じるおそれを低減することが可能となる。
同様に、図3に示すように、駆動制御回路51-3が出力する基準電圧信号VBS3が、駆動制御回路51-4が駆動信号COM4を出力するヘッド22-4が有する圧電素子60の電極612にも供給されているため、駆動制御回路51-3が、駆動制御回路51-4よりも後に起動を開始し、駆動制御回路51-4よりも先に動作を停止することで、ヘッド22-4が有する圧電素子60に逆電圧が生じるおそれが低減される。
6 作用効果
以上に説明したように、本実施形態における駆動回路50では、駆動制御回路51-1は、基準電圧信号VBS1を出力する基準電圧信号出力回路460を含む。そして、駆動制御回路51-1に含まれる基準電圧信号出力回路460は、駆動制御回路51-1から出力される駆動信号COM1に基づいて駆動するヘッド22-1に含まれる圧電素子60の電極612、及び駆動制御回路51-2から出力される駆動信号COM2に基づいて駆動するヘッド22-2に含まれる圧電素子60の電極612の双方と電気的に接続される。すなわち、駆動制御回路51-1に含まれる基準電圧信号出力回路460が出力する基準電圧信号VBSは、駆動制御回路51-1から出力される駆動信号COM1に基づいて駆動するヘッド22-1に含まれる圧電素子60の電極612、及び駆動制御回路51-2から出力される駆動信号COM2に基づいて駆動するヘッド22-2に含まれる圧電素子60の電極612の双方に供給される。これにより、異なるヘッド22-1,22-2のそれぞれに含まれる圧電素子60の駆動の基準電位が安定し、その結果、ヘッド22-1,22-2のそれぞれに含まれる圧電素子60の駆動の精度が向上する。
そして、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60とヘッド22-2に含まれる圧電素子60との双方に基準電圧信号VBS1を供給する駆動制御回路51-1が、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60とヘッド22-2に含まれる圧電素子60とに、基準電圧信号VBS2を供給しない駆動制御回路51-2よりも後に起動を開始することで、駆動制御回路51-2がヘッド22-2に含まれる圧電素子60の電極611の電位を制御を開始する前に、ヘッド22-2に含まれる圧電素子60の電極612に基準電圧信号VBS1が供給されるおそれが低減する。その結果、ヘッド22-2に含まれる圧電素子60に逆電圧が供給されるおそれが低減し、圧電素子の動作不良を引き起こすおそれが低減する。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。