以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1 液体吐出装置の構成
本実施形態に係る液体吐出装置の一例としての印刷装置は、外部のホストコンピューター等から入力される画像データに応じてノズルからインクを吐出させることにより、紙などの媒体に当該画像データに応じた文字、図形等を含む画像を印刷するインクジェットプリンターである。
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。図1には、媒体Pが搬送される方向X、方向Xと交差し移動体2が往復動する方向Y、インクが吐出される方向Zを図示している。なお、以下では、方向X、方向Y、及び方向Zは互いに直交するとして説明するが、液体吐出装置1に含まれる構成が互いに直交して配置されていることに限るものではない。また、以下の説明において、移動体2が移動する方向Yを主走査方向、媒体Pが搬送される方向Xを搬送方向と称する場合がある。
図1に示すように、液体吐出装置1は、移動体2と、移動体2を方向Yに沿って往復動させる移動機構3とを備える。移動機構3は、移動体2の駆動源となるキャリッジモーター31と、両端が固定されたキャリッジガイド軸32と、キャリッジガイド軸32とほぼ平行に延在しキャリッジモーター31により駆動されるタイミングベルト33と、を有する。
移動体2に含まれるキャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト33の一部に固定されている。そして、キャリッジモーター31によりタイミングベルト33を駆動させることで、キャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に案内されて方向Yに沿って往復動する。また、移動体2のうち、媒体Pと対向する部分には多数のノズルを有するヘッドユニット20が設けられている。ヘッドユニット20には、ケーブル190を介して制御信号等が入力される。そして、ヘッドユニット20は、入力される制御信号に基づいて、ノズルから液体の一例としてインクを吐出する。
液体吐出装置1は、媒体Pを、方向Xに沿ってプラテン40上で搬送させる搬送機構4を備える。搬送機構4は、駆動源である搬送モーター41と、搬送モーター41により回転して媒体Pを方向Xに沿って搬送する搬送ローラー42と、を備える。
以上のように構成された液体吐出装置1では、媒体Pが搬送機構4により搬送されるタイミングにおいて、ヘッドユニット20からインクが吐出されることで、媒体Pの表面に画像が形成される。
2 液体吐出装置の電気構成
図2は、液体吐出装置1の電気構成を示す図である。図2に示すように、液体吐出装置1は、制御信号出力回路100、キャリッジモータードライバー35、キャリッジモーター31、搬送モータードライバー45、搬送モーター41、駆動回路50、第1電源回路90a、第2電源回路90b、発振回路91、及びヘッドユニット20を有する。
制御信号出力回路100は、ホストコンピューターから入力された画像データに基づいて、各種構成を制御するための複数の制御信号等を生成し、対応する構成に出力する。具体的には、制御信号出力回路100は、制御信号CTR1を生成し、キャリッジモータードライバー35に出力する。キャリッジモータードライバー35は、入力される制御信号CTR1に従ってキャリッジモーター31を駆動する。これにより、キャリッジ24の方向Yに沿った移動が制御される。また、制御信号出力回路100は、制御信号CTR2を生成し、搬送モータードライバー45に出力する。搬送モータードライバー45は、入力される制御信号CTR2に従って搬送モーター41を駆動する。これにより、媒体Pの方向Xに沿った搬送が制御される。
また、制御信号出力回路100は、駆動回路50の動作を制御するための駆動データ信号DATA1~DATA4を生成し、駆動回路50に出力する。また、制御信号出力回路100と駆動回路50との間で、状態信号BUSY、及び異常信号ERRが相互に伝搬される。また、制御信号出力回路100は、ヘッドユニット20の動作を制御するための、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1~SI4、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを生成し、ヘッドユニット20に出力する。
第1電源回路90aは、例えば電圧値がDC42Vの電圧信号VHV1を生成する。そして、第1電源回路90aは、電圧信号VHV1を駆動回路50に出力する。また、第2電源回路90bは、例えば電圧値がDC3.3Vの電圧信号VDDを生成する。そして、第2電源回路90bは、電圧信号VDDを駆動回路50に出力する。なお、電圧信号VHV1,VDDは、液体吐出装置1が有する各部の駆動電圧として用いられてもよい。また、第1電源回路90a、第2電源回路90bは、上述した電圧値の電圧信号VHV1、及び電圧信号VDDとは異なる電圧値の複数の電圧信号を出力してもよい。
発振回路91は、クロック信号MCKを生成し、駆動回路50に出力する。ここで、発振回路91は、図2に示すように制御信号出力回路100とは独立して設けられてもよく、制御信号出力回路100の内部に設けられていてもよい。さらに、発振回路91が出力するクロック信号MCKは、駆動回路50の他に液体吐出装置1が有する各部にも供給されてもよい。
駆動回路50は、駆動データ信号DATA1~DATA4のそれぞれで規定される波形の信号を、電圧信号VHV1に基づく電圧値に増幅することで駆動信号COM1~COM4を生成し、ヘッドユニット20に出力する。また、駆動回路50は、基準電圧信号VBS2-1,VBS2-2を生成してヘッドユニット20に出力する。さらに、駆動回路50は、第1電源回路90aから入力される電圧信号VHV1を伝搬し、分岐した後、電圧信号VHV2-1,VHV2-2として出力する。
ヘッドユニット20は、吐出モジュール21-1~21-4を有する。吐出モジュール21-1~21-4には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1~SI4、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、駆動回路50から出力された電圧信号VHV2-1,VHV2-2、駆動信号COM1~COM4、及び基準電圧信号VBS2-1,VBS2-2が入力される。そして、ヘッドユニット20は、入力される各種信号に基づいて、所望のタイミングで所定量のインクを吐出する。
ここで、図3を用いて、駆動回路50、及びヘッドユニット20の構成、及び電気的接続の具体例について説明する。図3は、駆動回路50、及びヘッドユニット20の構成、及び電気接続の一例を示す図である。
図3に示すように、駆動回路50は、電源電圧制御回路70-1,70-2、VBS供給制御回路80-1,80-2、基準電圧信号出力回路30、駆動制御回路51-1~51-4、及びヒューズF1,F2を含む。
電源電圧制御回路70-1には、第1電源回路90aから電圧信号VHV1が入力される。電源電圧制御回路70-1は、入力される電圧信号VHV1を電圧信号VHVaとして出力するか否かを切り替える。電源電圧制御回路70-1から出力された電圧信号VHVaは、ヒューズF1に入力される。そして、ヒューズF1に入力された電圧信号VHVaは、電圧信号VHV2-1としてヒューズF1から出力される。電圧信号VHV2-1は、駆動回路50で分岐された後、ヘッドユニット20に出力される。また、電圧信号VHVa、VHV2-1は、駆動制御回路51-1,51-2にも入力される。
同様に電源電圧制御回路70-2には、第1電源回路90aから電圧信号VHV1が入力される。電源電圧制御回路70-2は、入力される電圧信号VHV1を電圧信号VHVbとして出力するか否かを切り替える。電源電圧制御回路70-2から出力された電圧信号VHVbは、ヒューズF2に入力される。そして、ヒューズF2に入力された電圧信号VHVbは、電圧信号VHV2-2としてヒューズF2から出力される。電圧信号VHV2-2は、駆動回路50で分岐された後、ヘッドユニット20に出力される。また、電圧信号VHVb、VHV2-2は、駆動制御回路51-3,51-4にも入力される。
基準電圧信号出力回路30は、電圧信号VHV1を降圧することで、基準電圧信号VBS1を生成する。この基準電圧信号VBS1の電圧値は、例えばDC6V、DC5.5V等であってもよく、グラウンド電位であってもよい。なお、基準電圧信号出力回路30は、上述の通り、電圧信号VHV1を降圧する構成であってもよく、また、電圧信号VDDを昇圧する構成であってもよい。また、基準電圧信号出力回路30は、電圧信号VHV、及び電圧信号VDDとは異なる電圧値の信号を降圧、又は昇圧することで、基準電圧信号VBS1を生成してもよい。
VBS供給制御回路80-1には、基準電圧信号出力回路30から基準電圧信号VBS1が入力される。VBS供給制御回路80-1は、入力される基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1として出力するか否かを切り替える。VBS供給制御回路80-1から出力された基準電圧信号VBS2-1は、駆動回路50で分岐された後、ヘッドユニット20に出力される。
VBS供給制御回路80-2には、基準電圧信号出力回路30から基準電圧信号VBS1が入力される。VBS供給制御回路80-2は、入力される基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-2として出力するか否かを切り替える。VBS供給制御回路80-2から出力された基準電圧信号VBS2-2は、駆動回路50で分岐された後、ヘッドユニット20に出力される。
駆動制御回路51-1には、上述した電圧信号VHVa,VHV2-1に加えて、第2電源回路90bから出力される電圧信号VDD、発振回路91から出力されるクロック信号MCK、及び制御信号出力回路100から出力される駆動データ信号DATA1が入力される。そして、駆動制御回路51-1は、入力される電圧信号VHVa,VHV2-1,VDD、クロック信号MCK、及び駆動データ信号DATA1に基づいて、駆動信号COM1を生成し、ヘッドユニット20に出力する。さらに、駆動制御回路51-1には、異常信号ERR、及び状態信号BUSYが入力されると共に、駆動制御回路51-1は、駆動制御回路51-1の異常の有無を示す異常信号ERR1、及び動作状態を示す状態信号BUSY1を出力する。また、駆動制御回路51-1は、電源電圧制御回路70-1を制御するためのVHV制御信号VHV_CNT1、及びVBS供給制御回路80-1を制御するためのVBS制御信号VBS_CNT1を出力する。
駆動制御回路51-2には、上述した電圧信号VHVa,VHV2-1に加えて、第2電源回路90bから出力される電圧信号VDD、発振回路91から出力されるクロック信号MCK、及び制御信号出力回路100から出力される駆動データ信号DATA2が入力される。そして、駆動制御回路51-2は、入力される電圧信号VHVa,VHV2-1,VDD、クロック信号MCK、及び駆動データ信号DATA2に基づいて、駆動信号COM2を生成し、ヘッドユニット20に出力する。さらに、駆動制御回路51-2には、異常信号ERR、及び状態信号BUSYが入力されると共に、駆動制御回路51-2は、駆動制御回路51-2の異常の有無を示す異常信号ERR2、及び動作状態を示す状態信号BUSY2を出力する。また、駆動制御回路51-2は、電源電圧制御回路70-1を制御するためのVHV制御信号VHV_CNT2、及びVBS供給制御回路80-1を制御するためのVBS制御信号VBS_CNT2を出力する。
駆動制御回路51-3には、上述した電圧信号VHVb,VHV2-2に加えて、第2電源回路90bから出力される電圧信号VDD、発振回路91から出力されるクロック信号MCK、及び制御信号出力回路100から出力される駆動データ信号DATA3が入力される。そして、駆動制御回路51-3は、入力される電圧信号VHVb,VHV2-2,VDD、クロック信号MCK、及び駆動データ信号DATA3に基づいて、駆動信号COM3を生成し、ヘッドユニット20に出力する。さらに、駆動制御回路51-3には、異常信号ERR、及び状態信号BUSYが入力されると共に、駆動制御回路51-3は、駆動制御回路51-3の異常の有無を示す異常信号ERR3、及び動作状態を示す状態信号BUSY3を出力する。また、駆動制御回路51-3は、電源電圧制御回路70-2を制御するためのVHV制御信号VHV_CNT3、及びVBS供給制御回路80-2を制御するためのVBS制御信号VBS_CNT3を出力する。
駆動制御回路51-4には、上述した電圧信号VHVb,VHV2-2に加えて、第2電源回路90bから出力される電圧信号VDD、発振回路91から出力されるクロック信号MCK、及び制御信号出力回路100から出力される駆動データ信号DATA4が入力される。そして、駆動制御回路51-4は、入力される電圧信号VHVb,VHV2-2,VDD、クロック信号MCK、及び駆動データ信号DATA4に基づいて、駆動信号COM4を生成し、ヘッドユニット20に出力する。さらに、駆動制御回路51-4には、異常信号ERR、及び状態信号BUSYが入力されると共に、駆動制御回路51-4は、駆動制御回路51-4の異常の有無を示す異常信号ERR4、及び動作状態を示す状態信号BUSY4を出力する。また、駆動制御回路51-4は、電源電圧制御回路70-2を制御するためのVHV制御信号VHV_CNT4、及びVBS供給制御回路80-2を制御するためのVBS制御信号VBS_CNT4を出力する。
ヘッドユニット20は、吐出モジュール21-1~21-4を有する。
吐出モジュール21-1は、駆動信号選択制御回路200-1と、ヘッド22-1とを有する。吐出モジュール21-1には、電圧信号VHV2-1、駆動信号COM1、基準電圧信号VBS2-1、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。駆動信号選択制御回路200-1は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI1、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定されたタイミングで、駆動信号COM1に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUT1を生成し、ヘッド22-1に出力する。
ヘッド22-1は、複数の吐出部600を有する。また、各吐出部600は圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には駆動信号選択制御回路200-1から出力された駆動信号VOUT1が供給され、圧電素子60の他端には基準電圧信号VBS2-1が供給される。そして、圧電素子60が、駆動信号VOUT1と基準電圧信号VBS2-1との電位差により駆動する。これにより、対応する吐出部600からインクが吐出される。
吐出モジュール21-2は、駆動信号選択制御回路200-2と、ヘッド22-2とを有する。吐出モジュール21-2には、電圧信号VHV2-1、駆動信号COM2、基準電圧信号VBS2-1、クロック信号SCK、印刷データ信号SI2、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。駆動信号選択制御回路200-2は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI2、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定されたタイミングで、駆動信号COM2に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUT2を生成し、ヘッド22-2に出力する。
ヘッド22-2は、複数の吐出部600を有する。また、各吐出部600は圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には駆動信号選択制御回路200-2から出力された駆動信号VOUT2が供給され、圧電素子60の他端には基準電圧信号VBS2-1が供給される。そして、圧電素子60が、駆動信号VOUT2と基準電圧信号VBS2-1との電位差により駆動する。これにより、対応する吐出部600からインクが吐出される。
吐出モジュール21-3は、駆動信号選択制御回路200-3と、ヘッド22-3とを有する。吐出モジュール21-3には、電圧信号VHV2-2、駆動信号COM3、基準電圧信号VBS2-2、クロック信号SCK、印刷データ信号SI3、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。駆動信号選択制御回路200-3は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI3、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定されたタイミングで、駆動信号COM3に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUT3を生成し、ヘッド22-3に出力する。
ヘッド22-3は、複数の吐出部600を有する。また、各吐出部600は圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には駆動信号選択制御回路200-3から出力された駆動信号VOUT3が供給され、圧電素子60の他端には基準電圧信号VBS2-2が供給される。そして、圧電素子60が、駆動信号VOUT3と基準電圧信号VBS2-2との電位差により駆動する。これにより、対応する吐出部600からインクが吐出される。
吐出モジュール21-4は、駆動信号選択制御回路200-4と、ヘッド22-4とを有する。吐出モジュール21-4には、電圧信号VHV2-2、駆動信号COM4、基準電圧信号VBS2-2、クロック信号SCK、印刷データ信号SI4、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。駆動信号選択制御回路200-4は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI4、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定されたタイミングで、駆動信号COM4に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUT4を生成し、ヘッド22-4に出力する。
ヘッド22-4は、複数の吐出部600を有する。また、各吐出部600は圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には駆動信号選択制御回路200-4から出力された駆動信号VOUT4が供給され、圧電素子60の他端には基準電圧信号VBS2-2が供給される。そして、圧電素子60が、駆動信号VOUT4と基準電圧信号VBS2-2との電位差により駆動する。これにより、対応する吐出部600からインクが吐出される。
ここで、ヘッド22-1に含まれる複数の圧電素子60のいずれかが第1駆動素子の一例であり、ヘッド22-2に含まれる複数の圧電素子60のいずれかが第2駆動素子の一例であり、ヘッド22-3に含まれる複数の圧電素子60のいずれかが第3駆動素子の一例であり、ヘッド22-4に含まれる複数の圧電素子60のいずれかが第4駆動素子の一例である。また、駆動回路50は、ヘッド22-1~22-4に含まれる複数の圧電素子60を駆動する。そして、ヘッド22-1~22-4に含まれる複数の圧電素子60が駆動することで液体としてのインクを吐出するヘッドユニット20が、液体吐出ヘッドの一例である。
ここで、電源電圧制御回路70-1,70-2はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、電源電圧制御回路70-1,70-2を区別する必要がない場合、単に電源電圧制御回路70と称する。同様に、VBS供給制御回路80-1,80-2はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、VBS供給制御回路80-1,80-2を区別する必要がない場合、単にVBS供給制御回路80と称する。同様に、駆動制御回路51-1~51-4はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、駆動制御回路51-1~51-4を区別する必要がない場合、単に駆動制御回路51と称する。同様に、ヒューズF1,F2はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、ヒューズF1,F2を区別する必要がない場合、単にヒューズFと称する。同様に、吐出モジュール21-1~21-4はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、吐出モジュール21-1~21-4を区別する必要がない場合、単に吐出モジュール21と称する。同様に、駆動信号選択制御回路200-1~200-4はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、駆動信号選択制御回路200-1~200-4を区別する必要がない場合、単に駆動信号選択制御回路200と称する。同様に、ヘッド22-1~22-4はいずれも同様の構成であり、以下の説明において、ヘッド22-1~22-4を区別する必要がない場合、単にヘッド22と称する。
そして、電源電圧制御回路70には、電圧信号VHV1が入力され、電圧信号VHVa,VHVbのいずれかに対応する電圧信号VHVabを出力するとして説明を行う。また、ヒューズFには、電圧信号VHVabが入力され、電圧信号VHV2を出力するとして説明を行う。同様に、VBS供給制御回路80には、基準電圧信号VBS1が入力され、基準電圧信号VBS2-1,VBS2-2のいずれかに対応する基準電圧信号VBS2を出力するとして説明を行う。また、駆動制御回路51には、駆動データ信号DATA1~DATA4のいずれかに対応する駆動データ信号DATAが入力され、VHV制御信号VHV_CNT1~VHV制御信号VHV_CNT4のいずれかに対応するVHV制御信号VHV_CNT、VBS制御信号VBS_CNT1~VBS制御信号VBS_CNT4のいずれかに対応するVBS制御信号VBS_CNT、異常信号ERR1~ERR4のいずれかに対応する異常信号ERR、状態信号BUSY1~BUSY4のいずれかに対応する状態信号BUSY、及び駆動信号COM1~COM4のいずれかに対応する駆動信号COMを出力するとして説明を行う。そして、駆動信号選択制御回路200には、上述した電圧信号VHV2、駆動信号COMと、制御信号出力回路100から出力されるクロック信号SCK、印刷データ信号SI1~SI4のいずれかに対応する印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、が入力され、駆動信号VOUT1~VOUT4のいずれかに対応する駆動信号VOUTを出力するとして説明を行い、ヘッド22には、駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとが供給されるとして説明を行う。
3 吐出部の構成
ここで、図4を用いてヘッド22-1~22-4のそれぞれに含まれる吐出部600の構成について説明する。図4は、1つの吐出部600の概略構成を示す断面図である。
図4は、複数の吐出部600の内の1つの概略構成を示す図である。図4に示すように、吐出部600は、圧電素子60と、振動板621と、キャビティー631と、ノズル651とを含む。
キャビティー631には、リザーバー641からインクが供給されるインクが充填している。また、リザーバー641には、不図示のインクカートリッジから供給口661を経由してインクが導入される。すなわち、キャビティー631には、対応するインクカートリッジに貯留されているインクが充填している。
振動板621は、図4において上面に設けられた圧電素子60の駆動によって変位する。そして、振動板621の変位に伴って、インクが充填されるキャビティー631の内部容積が拡大、縮小する。すなわち、振動板621は、キャビティー631の内部容積を変化させるダイヤフラムとして機能する。
ノズル651は、ノズルプレート632に設けられるとともに、キャビティー631に連通する開孔部である。そして、キャビティー631の内部容積が変化することで、内部容積の変化に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。
圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,電極612で挟んだ構造である。このような構造の圧電体601は、電極611,電極612により供給された電圧の電位差に応じて、電極611,電極612の中央部分が、振動板621とともに上下方向に撓む。具体的には、圧電素子60の電極611には駆動信号VOUTが供給され、電極612には、対応する基準電圧信号VBS2が供給される。そして、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧レベルが高くなると、対応する圧電素子60は、上方向に撓み、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧レベルが低くなると、対応する圧電素子60は下方向に撓む。
以上のように構成された吐出部600では、圧電素子60が上方向に撓むことで、振動板621が変位し、キャビティー631の内部容積が拡大する。その結果、インクがリザーバー641から引き込まれる。一方、圧電素子60が下方向に撓むことで、振動板621が変位し、キャビティー631の内部容積が縮小する。その結果、縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。
なお、圧電素子60は、図4に示す構造に限られず、また、吐出部600は、圧電素子60の駆動に伴ってインクが吐出できる構造であればよい。したがって、圧電素子60は、上述した屈曲振動の構成に限られず、例えば、縦振動を用いる構成でもよい。
ここで、ヘッド22-1に含まれる複数の圧電素子60が有する電極611が第1端子の一例であり、電極612が第2端子の一例である。また、ヘッド22-2に含まれる複数の圧電素子60が有する電極611が第3端子の一例であり、電極612が第4端子の一例である。また、ヘッド22-3に含まれる複数の圧電素子60が有する電極611が第5端子の一例であり、電極612が第6端子の一例である。また、ヘッド22-4に含まれる複数の圧電素子60が有する電極611が第7端子の一例であり、電極612が第8端子の一例である。
4 プリントヘッドの構成、及び動作
次に、ヘッドユニット20に含まれる吐出モジュール21の構成、及び動作について説明する。
吐出モジュール21の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、図5を用いて、吐出モジュール21に入力される駆動信号COMの波形の一例について説明する。その後、図6から図9を用いて、吐出モジュール21に含まれる駆動信号選択制御回路200の構成、及び動作について説明する。
図5は、駆動信号COMの波形の一例を示す図である。図5には、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1と、期間T1の後、次にチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T2と、期間T2の後、ラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T3とが示されている。そして、この期間T1,T2,T3からなる周期Taが、媒体Pに新たなドットを形成する印刷周期に相当する。すなわち、図5に示すように、ラッチ信号LATは、媒体Pに新たなドットが形成される印刷周期を規定する信号であり、チェンジ信号CHは、駆動信号COMに含まれる波形の切替タイミングを規定する信号である。
図5に示すように、駆動信号COMは、期間T1において台形波形Adpを含む。台形波形Adpが圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600から所定量、具体的には中程度の量のインクが吐出される。また、駆動信号COMは、期間T2において台形波形Bdpを含む。台形波形Bdpが圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600から上記所定量よりも少ない小程度の量のインクが吐出される。また、駆動信号COMは、期間T3において台形波形Cdpを含む。台形波形Cdpが圧電素子60に供給された場合、圧電素子60は、対応する吐出部600からインクが吐出されない程度に駆動する。したがって、台形波形Cdpが圧電素子60に供給された場合、媒体Pにはドットが形成されない。この台形波形Cdpは、吐出部600のノズル開孔部付近のインクを微振動させてインクの粘度が増大することを防止するための波形である。なお、以下の説明において、インクの粘度が増大することを防止するために、吐出部600からインクが吐出されない程度に圧電素子60を駆動させることを「微振動」と称する。
ここで、台形波形Adp、台形波形Bdp、及び台形波形Cdpのそれぞれの開始タイミングでの電圧値、及び終了タイミングでの電圧値はいずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp,Bdp,Cdpは、電圧値が電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形である。以上のように、駆動回路50は、台形波形Adp,Bdp,Cdpが周期Taにおいて連続した波形の駆動信号COMを出力する。なお、図5に示す駆動信号COMの波形は一例であり、これに限られるものではない。また、駆動信号COM1~COM4は、それぞれが異なる波形であってもよい。
図6は、駆動信号選択制御回路200の電気構成を示す図である。駆動信号選択制御回路200は、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択するか否かを切り替えことで、周期Taにおいて、圧電素子60に供給される駆動信号VOUTを出力する。図6に示すように、駆動信号選択制御回路200は、選択制御回路210と、複数の選択回路230とを含む。
選択制御回路210には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び電圧信号VHV2が供給される。選択制御回路210には、シフトレジスター212(S/R)とラッチ回路214とデコーダー216との組が、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、吐出モジュール21には、吐出部600の総数nと同数のシフトレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組が設けられている。
シフトレジスター212は、対応する吐出部600毎に、印刷データ信号SIに含まれる2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一旦保持する。詳細には、吐出部600に対応した段数のシフトレジスター212が互いに縦続接続されているとともに、シリアルで供給された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される。なお、図6には、シフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、n段と表記している。
n個のラッチ回路214のそれぞれは、対応するシフトレジスター212で保持された印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。n個のデコーダー216の各々は、対応するラッチ回路214によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をデコードして選択信号Sを生成し、選択回路230に供給する。
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、1つの吐出モジュール21が有する選択回路230の数は、吐出モジュール21に含まれる吐出部600の総数と同じn個である。選択回路230は、デコーダー216から供給される選択信号Sに基づいて、駆動信号COMの圧電素子60への供給を制御する。
図7は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の電気構成を示す図である。図7に示すように、選択回路230は、インバーター232、及びトランスファーゲート234を有する。また、トランスファーゲート234は、NMOSトランジスターであるトランジスター235と、PMOSトランジスターであるトランジスター236とを含む。
選択信号Sは、デコーダー216からトランジスター235のゲート端子に供給される。また、選択信号Sは、インバーター232によって論理反転されて、トランジスター236のゲート端子にも供給される。トランジスター235のドレイン端子、及びトランジスター236のソース端子は、トランスファーゲート234の一端である端子TG-Inと接続されている。トランスファーゲート234の端子TG-Inには、駆動信号COMが入力される。そして、トランジスター235、及びトランジスター236が、選択信号Sに従ってオン又はオフに制御されることで、トランジスター235のソース端子とトランジスター236のドレイン端子とが共通に接続されているトランスファーゲート234の他端である端子TG-Outから、駆動信号VOUTが出力される。この駆動信号VOUTが出力されるトランスファーゲート234の端子TG-Outは、圧電素子60の後述する電極611と電気的に接続されている。
次に、図8を用いてデコーダー216のデコード内容について説明する。図8は、デコーダー216におけるデコード内容を示す図である。デコーダー216には、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。そして、デコーダー216は、例えば、印刷データ[SIH,SIL]が「中ドット」を規定する[1,0]である場合、期間T1,T2,T3でH,L,Lレベルとなる選択信号Sを出力する。ここで、選択信号Sの論理レベルは、不図示のレベルシフターによって、電圧信号VHV2に基づく高振幅論理にレベルシフトされる。
図9は、駆動信号選択制御回路200の動作を説明するための図である。図9に示すように駆動信号選択制御回路200には、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]がクロック信号SCKに同期してシリアルで供給され、吐出部600に対応するシフトレジスター212において順次転送される。そして、クロック信号SCKの供給が停止すると、シフトレジスター212のそれぞれには、吐出部600に対応した印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター212における最終n段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順番で供給される。
ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、対応するシフトレジスター212に保持された印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。図9に示すLT1、LT2、…、LTnは、1段、2段、…、n段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた印刷データ[SIH,SIL]を示す。
デコーダー216は、ラッチされた印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、図8に示される内容に従う論理レベルの選択信号Sを出力する。
印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択し、期間T2において台形波形Bdpを選択し、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、図9に示す大ドットに対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600から、中程度の量のインクと、小程度の量のインクが吐出される。そして、媒体Pにおいて当該インクが結合することで、媒体Pに大ドットが形成される。また、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択し、期間T2において台形波形Bdpを選択せず、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、図9に示す中ドットに対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600から、中程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、中ドットが形成される。また、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択せず、期間T2において台形波形Bdpを選択し、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、図9に示す小ドットに対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600から、小程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、小ドットが形成される。また、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択せず、期間T2において台形波形Bdpを選択せず、期間T3において台形波形Cdpを選択する。その結果、図9に示す微振動に対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600からインクは吐出されず、微振動が生じる。
5 駆動回路の構成、及び動作
次に駆動回路50の構成、及び動作について説明する。図3に示す通り、駆動回路50は、電源電圧制御回路70-1,70-2、VBS供給制御回路80-1,80-2、基準電圧信号出力回路30、駆動制御回路51-1~51-4、及びヒューズF1,F2を含む。
5.1 電源電圧制御回路の構成、及び動作
図10は、電源電圧制御回路70の構成を示す図である。図10に示すように、電源電圧制御回路70は、電源電圧遮断回路71、電源電圧放電回路72、及び突入電流低減回路73を有する。電源電圧制御回路70に入力された電圧信号VHV1は、電源電圧遮断回路71に入力される。電源電圧遮断回路71は、入力される電圧信号VHV1を電圧信号VHV1aとして突入電流低減回路73に供給するか否かを制御する。突入電流低減回路73は、電源電圧遮断回路71において、電圧信号VHV1aの供給が遮断されていた状態から、電圧信号VHV1aの供給が開始した場合に生じる突入電流を低減する。換言すれば、突入電流低減回路73は、電源電圧制御回路70から出力される電圧信号VHV1aに基づく大電流の突入電流が生じるおそれを低減する。電源電圧放電回路72は、電源電圧遮断回路71と突入電流低減回路73とが電気的に接続し電圧信号VHV1aが伝搬する配線と電気的に接続している。この電源電圧放電回路72は、電源電圧遮断回路71から出力される電圧信号VHV1aが供給される経路に蓄えられた電荷の放出を制御する。
電源電圧制御回路70が有する電源電圧遮断回路71、電源電圧放電回路72、及び突入電流低減回路73の構成の具体例について図11、及び図12を用いて説明する。図11は、電源電圧遮断回路71、及び電源電圧放電回路72の構成の一例を示す図である。図11に示すように、電源電圧遮断回路71は、トランジスター711,712、抵抗713,714、及びコンデンサー715を含む。ここで、トランジスター711はPMOSトランジスターであり、トランジスター712はNMOSトランジスターであるとして説明を行う。
トランジスター711のソース端子には、電圧信号VHV1が入力される。そして、トランジスター711のソース端子とドレイン端子との間が導通に制御されることで、電圧信号VHV1は、電圧信号VHV1aとしてトランジスター711のドレイン端子から出力される。換言すれば、電源電圧制御回路70は、トランジスター711のソース端子とドレイン端子との間を導通、又は非導通に切り替えることで、電圧信号VHV1を電圧信号VHV1aとして出力するか否かを切り替える。トランジスター711のゲート端子は、抵抗713の一端、抵抗714の一端、及びコンデンサー715の一端と電気的に接続されている。
抵抗713の他端、及びコンデンサー715の他端には、電圧信号VHV1が入力されている。すなわち、抵抗713、及びコンデンサー715は、トランジスター711のソース端子とゲート端子との間でトランジスター711と並列に設けられている。抵抗714の他端は、トランジスター712のドレイン端子と電気的に接続されている。トランジスター712のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。また、トランジスター712のゲート端子には、駆動制御回路51からVHV制御信号VHV_CNTが入力される。
以上のように構成された電源電圧遮断回路71にHレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター712が導通に制御される。そして、トランジスター712がオンに制御されることで、トランジスター711がオンに制御される。その結果、トランジスター711のソース端子とドレイン端子との間が導通となる。したがって、電圧信号VHV1は、電圧信号VHV1aとして出力される。一方、電源電圧遮断回路71にLレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター712がオフに制御される。そして、トランジスター712がオフに制御されることで、トランジスター711がオフに制御される。その結果、トランジスター711のソース端子とドレイン端子との間が非導通となる。したがって、電圧信号VHV1は、電圧信号VHV1aとして出力されない。以上のように、電源電圧遮断回路71は、VHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに基づいて、電圧信号VHV1を電圧信号VHV1aとして出力するのか否かを切り替える。
電源電圧放電回路72は、トランジスター721,722、抵抗723,724、及び
コンデンサー725を含む。ここで、トランジスター721,722は、共にNMOSトランジスターであるとして説明を行う。
抵抗723の一端は、電圧信号VHV1aが伝搬される配線と電気的に接続され、抵抗723の他端は、トランジスター721のドレイン端子と電気的に接続されている。トランジスター721のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。トランジスター721のゲート端子は、抵抗724の一端、コンデンサー725の一端、及びトランジスター722のドレイン端子と電気的に接続されている。抵抗724の他端には、電圧信号VDDが供給されている。コンデンサー725の他端、及びトランジスター722のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。そして、トランジスター722のゲート端子には、VHV制御信号VHV_CNTが入力される。
以上のように構成された電源電圧放電回路72は、電源電圧遮断回路71と突入電流低減回路73とを電気的に接続する配線と電気的に接続されている。そして、電源電圧放電回路72は、VHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに応じて、電圧信号VHV1aに基づいて蓄えられた電荷の放出を制御する。具体的には、電源電圧放電回路72に、HレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター722はオンに制御される。そして、トランジスター722がオンに制御されることで、トランジスター721はオフに制御される。したがって、電圧信号VHV1aが伝搬される経路とグラウンド電位が供給される経路とは、トランジスター721により非導通に制御される。その結果、電源電圧放電回路72は、電圧信号VHV1aに基づく電荷の放出を行わない。一方、電源電圧放電回路72に、LレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター722はオフに制御される。そして、トランジスター722がオフに制御されることで、トランジスター721のゲート端子には、電圧信号VDDが供給される。したがって、トランジスター721はオンに制御される。これにより、電圧信号VHV1aが伝搬される経路とグラウンド電位が供給される経路とが、抵抗723を介して電気的に接続される。これにより、電源電圧放電回路72は、電圧信号VHV1aが伝搬する経路に蓄えられた電荷を放出する。
以上のように、電源電圧遮断回路71と電源電圧放電回路72とは、VHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに基づいて電圧信号VHV1を電圧信号VHV1aとして突入電流低減回路73に出力するのか、又は電圧信号VHV1aが伝搬する経路に蓄えられた電荷を放出するのかを切り替える。
図12は、突入電流低減回路73の構成を示す図である。図12に示すように、突入電流低減回路73は、トランジスター731,732、抵抗733,734,735,736,737、コンデンサー738、及び定電圧ダイオード739を含む。ここで、トランジスター731は、PMOSトランジスターであり、トランジスター732は、N型のバイポーラトランジスターであるとして説明を行う。
トランジスター731のソース端子には、電圧信号VHV1aが入力される。そして、トランジスター731のドレイン端子とソース端子とが導通に制御されることで、電圧信号VHV1aは、電圧信号VHVaとしてトランジスター731のドレイン端子から出力される。また、トランジスター731のゲート端子は、抵抗734の一端、及び抵抗735の一端と電気的に接続されている。抵抗734の他端には、電圧信号VHV1aが入力されている。すなわち、抵抗734は、トランジスター731のソース端子とゲート端子との間で、トランジスター731と並列に設けられている。また、抵抗733は、一端がトランジスター731のソース端子と電気的に接続され、他端がトランジスター731のドレイン端子と電気的に接続されている。
抵抗735の他端は、トランジスター732のコレクタ端子と電気的に接続されている。トランジスター732のエミッタ端子には、グラウンド電位が供給されている。また、トランジスター732のベース端子は、抵抗736の一端、抵抗737の一端、及びコンデンサー738の一端と電気的に接続されている。抵抗737の他端、及びコンデンサー738の他端には、グラウンド電位が供給されている。すなわち、抵抗737、及びコンデンサー738は、トランジスター732のベース端子とエミッタ端子との間でトランジスター732と並列に設けられている。
抵抗736の他端は、定電圧ダイオード739のアノード端子と電気的に接続されている。定電圧ダイオード739のカソード端子には、電圧信号VHVaが入力される。
以上のように構成された突入電流低減回路73では、電源電圧遮断回路71において、電圧信号VHV1aの供給が遮断されている場合、電圧信号VHV1aは入力されない。したがって、突入電流低減回路73は、電圧信号VHVaを出力しない。そして、電圧信号VHVaが出力されないため、定電圧ダイオード739のアノード端子の電位は、抵抗737を介して供給されるグラウンド電位となる。したがって、トランジスター732はオフに制御され、トランジスター731もオフに制御される。
そして、電源電圧遮断回路71において、電圧信号VHV1aの供給が遮断されていた状態から、電圧信号VHV1aの供給が開始した場合、突入電流低減回路73には、電圧信号VHV1aが入力される。この場合において、トランジスター731がオフに制御されているため、電圧信号VHV1aは、抵抗733を介して電圧信号VHVabとしてトランジスター731のドレイン端子に入力される。このとき、電圧信号VHV1a及び電圧信号VHVabに起因して生じる電流は抵抗733により制限される。したがって、大電流の突入電流が生じるおそれが低減される。
突入電流低減回路73に電圧信号VHV1aの入力が開始された後、所定の期間が経過することで、電圧信号VHVabの電圧値が上昇する。そして、電圧信号VHVabの電圧値が定電圧ダイオード739で規定される所定の値以上になった場合、定電圧ダイオード739のアノード端子の電圧値が上昇する。その後、定電圧ダイオード739のアノード端子の電圧値が、トランジスター732の閾値電圧を上回ることで、トランジスター732がオンに制御される。トランジスター732がオンに制御されると、トランジスター731がオンに制御される。これにより、トランジスター731のドレイン端子とソース端子との間が導通に制御され、電圧信号VHV1aは、トランジスター731を介して電圧信号VHVabとして電源電圧制御回路70から出力される。
以上のように構成された突入電流低減回路73では、電圧信号VHV1aの供給が遮断されていた状態から、電圧信号VHV1aの供給が開始した直後においては、電圧信号VHV1aを、抵抗733を介してトランジスター731のドレイン端子に伝搬する。これにより、大電流の突入電流が生じるおそれを低減することができる。また、電圧信号VHVabの電圧値が定電圧ダイオード739で規定される所定の値以上となることで、トランジスター731がオンに制御される。これにより、抵抗733で生じる電力損失を低減することが可能となる。
電源電圧制御回路70から出力された電圧信号VHVabは、駆動制御回路51に入力されると共に、ヒューズF1を介して電圧信号VHV2として駆動制御回路51にも入力される。さらに、電圧信号VHV2は、駆動回路50からヘッドユニット20に出力される。
5.2 基準電圧信号出力回路の構成、及び動作
次に、基準電圧信号出力回路30の構成、及び動作について説明を行う。図13は、基準電圧信号出力回路30の構成を示す図である。基準電圧信号出力回路30は、コンパレーター301、トランジスター302、及び抵抗303,304を含む。なお、トランジスター302をPMOSトランジスターとして説明する。
コンパレーター301の-側の入力端には基準電圧Vrefが供給される。また、コンパレーター301の+側の入力端は抵抗303の一端、及び抵抗304の一端と電気的に接続されている。コンパレーター301の出力端は、トランジスター302のゲート端子と電気的に接続されている。トランジスター302のソース端子には、電圧信号VHV1が供給される。トランジスター302のドレイン端子は、抵抗303の他端、及び基準電圧信号VBSが出力される端子VBS-Outと電気的に接続されている。抵抗304の他端には、グラウンド電位が供給される。
以上のように構成された基準電圧信号出力回路30において、コンパレーター301の+側の入力端に供給される電圧値が、コンパレーター301の-側の入力端に供給される基準電圧Vrefの電圧値よりも大きい場合、コンパレーター301は、Hレベルの信号を出力する。このとき、トランジスター302はオフに制御される。したがって、端子VBS-Outには、電圧信号VHV1が供給されない。一方、コンパレーター301の-側の入力端に供給される電圧値が、コンパレーター301の-側の入力端に供給される基準電圧Vrefの電圧値よりも小さい場合、コンパレーター301は、Lレベルの信号を出力する。このとき、トランジスター302は、オンに制御される。したがって、端子VBS-Outには、電圧信号VHV1が供給される。すなわち、基準電圧信号VBSを抵抗303,304で分圧した電圧値と、基準電圧Vrefの電圧値とが等しくなるようにコンパレーター301が動作することで、基準電圧信号出力回路30は、電圧信号VHV1に基づいて電圧値が電圧Vbsで一定の基準電圧信号VBS1を生成し、端子VBS-Outから出力する。
ここで、基準電圧信号出力回路30が、基準電圧信号出力回路の一例であり、基準電圧信号出力回路30が出力する基準電圧信号VBS1が基準電圧信号の一例である。そして、基準電圧信号VBS1の電圧値である電圧Vbsが基準電圧値の一例である。また、基準電圧信号出力回路30から基準電圧信号VBS1が出力される端子VBS-Outが、基準電圧信号出力回路30の出力端子の一例である。
5.3 VBS供給制御回路の構成、及び動作
次にVBS供給制御回路80の構成、及び動作について説明する。図14は、VBS供給制御回路80の構成を示す図である。図14に示すように、VBS供給制御回路80は、基準電圧信号遮断回路81、及び基準電圧信号放電回路82を有する。VBS供給制御回路80に入力された基準電圧信号VBS1は、基準電圧信号遮断回路81に入力される。基準電圧信号遮断回路81は、入力される基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2として出力するか否かを制御する。基準電圧信号放電回路82は、基準電圧信号遮断回路81の出力端と電気的に接続している。この基準電圧信号放電回路82は、基準電圧信号遮断回路81から出力される基準電圧信号VBS2が供給される経路に蓄えられた電荷の放出を制御する。
VBS供給制御回路80が有する基準電圧信号遮断回路81、及び基準電圧信号放電回路82の構成の具体例について図15を用いて説明する。図15は、基準電圧信号遮断回路81、及び基準電圧信号放電回路82の構成の一例を示す図である。図15に示すように、基準電圧信号遮断回路81は、トランジスター811,812、抵抗813,814、及びコンデンサー815を含む。ここで、トランジスター811はPMOSトランジスターであり、トランジスター812はNMOSトランジスターであるとして説明を行う。
トランジスター811のソース端子には、基準電圧信号VBS1が入力される。そして、トランジスター811のソース端子とドレイン端子との間が導通に制御されることで、基準電圧信号VBS1は、基準電圧信号VBS2としてトランジスター811のドレイン端子から出力される。換言すれば、VBS供給制御回路80は、トランジスター811のソース端子とドレイン端子との間を導通、又は非導通に切り替えることで、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2として出力するか否かを切り替える。トランジスター811のゲート端子は、抵抗813の一端、抵抗814の一端、及びコンデンサー815の一端と電気的に接続されている。
抵抗813の他端、及びコンデンサー815の他端には、基準電圧信号VBS1が入力されている。すなわち、抵抗813、及びコンデンサー815は、トランジスター811のソース端子とゲート端子との間でトランジスター811と並列に設けられている。抵抗814の他端は、トランジスター812のドレイン端子と電気的に接続されている。トランジスター812のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。また、トランジスター812のゲート端子には、駆動制御回路51からVBS制御信号VBS_CNTが入力される。
以上のように構成された基準電圧信号遮断回路81にHレベルのVBS制御信号VBS_CNTが入力された場合、トランジスター812が導通に制御される。そして、トランジスター812がオンに制御されることで、トランジスター811がオンに制御される。その結果、トランジスター811のソース端子とドレイン端子との間が導通となる。したがって、基準電圧信号VBS1は、基準電圧信号VBS2として出力される。一方、基準電圧信号遮断回路81にLレベルのVBS制御信号VBS_CNTが入力された場合、トランジスター812がオフに制御される。そして、トランジスター812がオフに制御されることで、トランジスター811がオフに制御される。その結果、トランジスター811のソース端子とドレイン端子との間が非導通となる。したがって、基準電圧信号VBS1は、基準電圧信号VBS2として出力されない。以上のように、トランジスター811を含む基準電圧信号遮断回路81は、VBS制御信号VBS_CNTの論理レベルに基づいて、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2として出力するのか否かを切り替える。
基準電圧信号放電回路82は、トランジスター821,822、抵抗823,824、及びコンデンサー825を含む。ここで、トランジスター821,822は、共にNMOSトランジスターであるとして説明を行う。
抵抗823の一端は、基準電圧信号VBS2が伝搬される配線と電気的に接続され、抵抗723の他端は、トランジスター821のドレイン端子と電気的に接続されている。トランジスター821のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。トランジスター821のゲート端子は、抵抗824の一端、コンデンサー825の一端、及びトランジスター822のドレイン端子と電気的に接続されている。抵抗824の他端には、電圧信号VDDが供給されている。コンデンサー825の他端、及びトランジスター822のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。そして、トランジスター822のゲート端子には、VBS制御信号VBS_CNTが入力される。
以上のように構成された基準電圧信号放電回路82は、基準電圧信号遮断回路81から基準電圧信号VBS2が出力される配線と電気的に接続されている。そして、基準電圧信号放電回路82は、VBS制御信号VBS_CNTの論理レベルに応じて、基準電圧信号VBS2に基づいて蓄えられた電荷の放出を制御する。具体的には、基準電圧信号放電回路82に、HレベルのVBS制御信号VBS_CNTが入力された場合、トランジスター822はオンに制御される。そして、トランジスター822がオンに制御されることで、トランジスター821はオフに制御される。したがって、基準電圧信号VBS2が伝搬される経路とグラウンド電位が供給される経路とは、トランジスター821により非導通に制御される。その結果、基準電圧信号放電回路82は、基準電圧信号VBS2に基づく電荷の放出を行わない。一方、基準電圧信号放電回路82に、LレベルのVBS制御信号VBS_CNTが入力された場合、トランジスター822はオフに制御される。そして、トランジスター822がオフに制御されることで、トランジスター821のゲート端子には、電圧信号VDDが供給される。したがって、トランジスター821はオンに制御される。これにより、基準電圧信号VBS2が伝搬される経路とグラウンド電位が供給される経路とが、抵抗823を介して電気的に接続される。これにより、基準電圧信号放電回路82は、基準電圧信号VBS2が伝搬する経路に蓄えられた電荷を放出する。
以上のように、VBS供給制御回路80に含まれる基準電圧信号遮断回路81と基準電圧信号放電回路82とは、VBS制御信号VBS_CNTの論理レベルに基づいて基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2として出力するのか、又は基準電圧信号VBS2が伝搬する経路に蓄えられた電荷を放出するのかを切り替える。
ここで、図3に示すVBS供給制御回路80-1,80-2のうち、VBS供給制御回路80-1が第1スイッチ回路の一例であり、VBS供給制御回路80-2が第2スイッチ回路の一例である。
5.4 駆動信号制御回路の構成、及び動作
次に図16を用いて駆動制御回路51の構成、及び動作について説明する。図16は、駆動制御回路51の構成の一例を示す図である。駆動制御回路51は、集積回路500、増幅回路550、復調回路560、及び帰還回路570を含む。
集積回路500は、増幅制御信号生成回路502、内部電圧生成回路400、発振回路410、クロック選択回路411、異常検出回路430、レジスター制御回路440、定電圧出力回路420、駆動信号放電回路450、VBS制御信号出力回路460、VHV制御信号出力回路470、状態信号入出力回路480、及び異常信号入出力回路490を含む。
内部電圧生成回路400には、電圧信号VDDが供給される。内部電圧生成回路400は、入力される電圧信号VDDを昇圧、又は降圧することで、例えば電圧値がDC7.5Vの電圧信号GVDDを生成する。この電圧信号GVDDは、後述するゲート駆動部540を含む集積回路500の各種構成に入力される。
増幅制御信号生成回路502は、端子DATA-Inから入力される駆動データ信号DATAに含まれる駆動信号COMの波形を規定するデータ信号に基づいて、増幅制御信号Hgd,Lgdを生成する。増幅制御信号生成回路502は、DACインターフェース(DAC_I/F:Digital to Analog Converter Interface)510、DAC部520、変調部530、及びゲート駆動部540を含む。
DACインターフェース510には、端子DATA-Inから供給される駆動データ信号DATAと、端子MCK-Inから供給されるクロック信号MCKとが入力される。DACインターフェース510は、クロック信号MCKに基づいて駆動データ信号DATAを積算し、駆動信号COMの波形を規定する例えば10bitの駆動データdAを生成する。DAC部520には、駆動データdAが入力される。DAC部520は、入力される駆動データdAをアナログ信号の元駆動信号aAに変換する。この元駆動信号aAは、駆動信号COMの増幅前の目標となる信号である。変調部530には、元駆動信号aAが入力される。変調部530は、元駆動信号aAにパルス幅変調を施した変調信号Msを出力する。換言すれば、変調部530は、元駆動信号aAを変調し、変調信号Msを出力する。ゲート駆動部540には、電圧信号VHVab,GVDD、及び変調信号Msが入力される。ゲート駆動部540は、入力される変調信号Msを電圧信号GVDDに基づき増幅するとともに、電圧信号VHVabに基づいて高振幅論理にレベルシフトした増幅制御信号Hgdと、入力される変調信号Msの論理レベルを反転し、電圧信号GVDDに基づき増幅した増幅制御信号Lgdとを生成する。すなわち、増幅制御信号Hgdと増幅制御信号Lgdとは互いに排他的にHレベルとなる。
ここで、排他的にHレベルとなるとは、増幅制御信号Hgdと増幅制御信号Lgdとが同時にHレベルとならないことを含む。したがって、ゲート駆動部540は、増幅制御信号Hgdと増幅制御信号Lgdとが同時にHレベルとならないように、増幅制御信号Hgdと増幅制御信号LgdとがHレベルとなるタイミングを制御すればよく、タイミング制御部を備えてもよい。
増幅制御信号Hgdは、端子Hg-Outを介して集積回路500から出力され、増幅回路550に入力される。同様に、増幅制御信号Lgdは、端子Lg-Outを介して集積回路500から出力され、増幅回路550に入力される。ここで、増幅制御信号Hgdは、変調信号Msの論理レベルをレベルシフトした信号であり、増幅制御信号Lgdは、変調信号Msの論理レベルを反転した信号である。したがって、増幅制御信号Hgd及び増幅制御信号Lgdも広義の上で、変調部530により生成された変調信号に相当する。
増幅回路550は、増幅制御信号Hgd,Lgdに基づき動作することで増幅変調信号AMsを出力する。換言すれば、増幅回路550は、変調信号Msを増幅し、増幅変調信号AMsを出力する。増幅回路550は、トランジスター551,552を含む。なお、トランジスター551,552のそれぞれは、例えばNチャンネル型のFET(Field Effect Transistor)である。
トランジスター551のドレイン端子には、電圧信号VHVが供給される。トランジスター551のゲート端子には端子Hg-Outを介して増幅制御信号Hgdが供給される。トランジスター551のソース端子はトランジスター552のドレイン端子と電気的に接続している。また、トランジスター552のゲート端子には、端子Lg-Outを介して増幅制御信号Lgdが供給される。トランジスター552のソース端子にはグラウンド電位が供給される。以上のように接続されたトランジスター551は、増幅制御信号Hgdに応じて動作し、トランジスター552は、増幅制御信号Hgdに対して排他的にHレベルとなる増幅制御信号Lgdに応じて動作する。すなわち、トランジスター551とトランジスター552とは排他的にオンとなる。これにより、トランジスター551のソース端子と、トランジスター552のドレイン端子との接続点には、変調信号Msを電圧信号VHVabに基づいて増幅した増幅変調信号AMsが生成される。
増幅回路550で生成された増幅変調信号AMsは、復調回路560に入力される。復調回路560は、コイル561とコンデンサー562を含む。コイル561の一端は、トランジスター551のソース端子、及びトランジスター552のドレイン端子と電気的に接続されている。また、コイル561の他端は、コンデンサー562の一端と電気的に接続されている。コンデンサー562の他端には、グラウンド電位が供給されている。すなわち、コイル561とコンデンサー562とは、ローパスフィルターを構成する。そして、復調回路560に増幅変調信号AMsが供給されることで、増幅変調信号AMsが復調され、駆動信号COMが生成される。すなわち、復調回路560は、増幅変調信号AMsを復調することで駆動信号COMを生成し、生成した駆動信号COMを端子COM-Outから出力する。
また、復調回路560が生成した駆動信号COMは、帰還回路570を介して変調部530に帰還される。換言すれば、帰還回路570は、駆動信号COMを変調部530に帰還する。帰還回路570は、抵抗571,572を含む。抵抗571の一端は、コイル561の他端と電気的に接続され、抵抗571の他端は、抵抗572の一端と電気的に接続されている。抵抗572の他端には、電圧信号VHV2が供給される。そして、抵抗571の他端、及び抵抗572の一端は、端子Com-Disを介して変調部530と電気的に接続されている。すなわち、変調部530には、駆動信号COMが帰還回路570を介して、電圧信号VHV2でプルアップされて帰還する。
以上のように、集積回路500に含まれる増幅制御信号生成回路502と、増幅回路550と、復調回路560と、帰還回路570とは、駆動データ信号DATAに基づいて圧電素子60を駆動する駆動信号COMを生成する。そして、生成された駆動信号COMは、圧電素子60の電極611に供給される。ここで、駆動信号出力回路501は、圧電素子60を駆動するための、図5に示す台形波形Adp,Bdp,Cdpを含む信号を駆動信号COMとして出力する他に、一定の電圧値を示す駆動データ信号DATAが供給された場合に、一定の電圧値の信号を駆動信号COMとして出力することもできる。
以上のように増幅制御信号生成回路502と、増幅回路550と、復調回路560と、帰還回路570とを有する構成が、駆動信号出力回路501に相当する。そして、駆動信号出力回路501で生成された駆動信号COMが出力される端子COM-Outは、図7に示す選択回路230の端子TG-Inと電気的に接続される。
発振回路410は、集積回路500の動作タイミングを規定するクロック信号LCKを出力する。クロック信号LCKは、クロック選択回路411、及び異常検出回路430に入力される。
クロック選択回路411には、クロック信号MCK,LCK、及びクロック選択信号CSWが入力される。クロック選択回路411は、クロック選択信号CSWの論理レベルに基づいてクロック信号MCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力するのか、又はクロック信号LCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力するのかを切り替える。なお、本実施形態においてクロック選択回路411は、クロック選択信号CSWがHレベルの場合にクロック信号MCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力し、クロック選択信号CSWがLレベルの場合にクロック信号LCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力するとして説明する。
異常検出回路430は、発振異常検出部431、動作異常検出部432、及び電源電圧異常検出部433を含む。
発振異常検出部431には、発振回路410が出力するクロック信号LCKが入力される。発振異常検出部431は、入力されるクロック信号LCKが正常であるか否かを検出し、検出結果に基づく論理レベルのクロック選択信号CSW、及びエラー信号NESを出力する。例えば、発振異常検出部431は、クロック信号LCKの周波数、及び電圧値の少なくとも一方を検出する。そして、発振異常検出部431は、クロック信号LCKの周波数、及び電圧値の少なくとも一方が異常であることを検出した場合、異常を示すクロック選択信号CSW、及びエラー信号NESをクロック選択回路411、及びレジスター制御回路440のそれぞれに出力する。また、発振異常検出部431は、クロック信号LCKの周波数、及び電圧値の双方が正常である場合、正常であることを示すクロック選択信号CSW、及びエラー信号NESをクロック選択回路411、及びレジスター制御回路440のそれぞれに出力する。
動作異常検出部432には、駆動制御回路51の各種構成の動作状態を示す動作状態信号ASSが入力される。動作異常検出部432は、入力される動作状態信号ASSに基づいて、駆動制御回路51の各種構成が正常に動作しているか否かを検出する。本実施形態では、駆動制御回路51の各種構成のいずれかが異常である場合、異常を示す動作状態信号ASSが動作異常検出部432に入力される。そして、動作異常検出部432に異常を示す動作状態信号ASSが入力された場合、動作異常検出部432は、異常を示すエラー信号NESをレジスター制御回路440に出力する。
電源電圧異常検出部433には、駆動回路50から出力され吐出モジュール21に供給される電圧信号VHV2が入力される。そして、電源電圧異常検出部433は、電圧信号VHV2の電圧値を検出する。そして、電源電圧異常検出部433は、電圧信号VHV2の電圧値に基づいて、吐出モジュール21に供給される電圧信号VHV2の電圧値が正常であるか否かを検出する。そして、電源電圧異常検出部433において、吐出モジュール21に供給される電圧信号VHV2の電圧値が異常であると判断された場合、異常を示すエラー信号FESをレジスター制御回路440に出力する。
ここで、電源電圧異常検出部433には、VBS供給制御回路80から出力される基準電圧信号VBS1の電圧値を検出し、基準電圧信号VBS1の電圧値が正常であるか否かを検出してもよい。その場合、電源電圧異常検出部433において、基準電圧信号VBS1の電圧値が異常であると判断された場合、異常を示すエラー信号FESをレジスター制御回路440に出力してもよい。
レジスター制御回路440は、シーケンスレジスター441、状態レジスター442、及びレジスター制御部443を含む。シーケンスレジスター441、及び状態レジスター442は、クロック信号MCKに同期して駆動データ信号DATAとして入力される動作情報等を保持する。そして、レジスター制御部443は、クロック信号RCKに同期して、シーケンスレジスター441、及び状態レジスター442に保持された情報に基づく制御信号CNT1~CNT5を生成し、対応する構成に出力する。
制御信号CNT1は、駆動信号放電回路450に入力される。駆動信号放電回路450は、帰還回路570を介して、復調回路560から出力される駆動信号COMに基づいて蓄えられた電荷を放出するか否かを制御する。駆動信号放電回路450は、帰還回路570を介して、復調回路560から出力される駆動信号COMが伝搬される伝搬経路と端子Com-Disを介して電気的に接続されている。
図17は、駆動信号放電回路450の構成の一例を示す図である。駆動信号放電回路450は、抵抗451、トランジスター452、及びインバーター453を含む。なお、トランジスター452は、NMOSトランジスターであるとして説明を行う。
抵抗451の一端は、端子Com-Disと電気的に接続されている。抵抗451の他端は、トランジスター452のドレイン端子と電気的に接続されている。トランジスター452のソース端子には、グラウンド電位が供給されている。また、トランジスター452のゲート端子には、制御信号CNT1がインバーター453を介して入力される。以上のように構成された駆動信号放電回路450にHレベルの制御信号CNT1が入力された場合、トランジスター452はオフに制御される。したがって、駆動信号放電回路450は、駆動信号COMが伝搬される伝搬経路に蓄えられている電荷の放出を行わない。一方、駆動信号放電回路450にLレベルの制御信号CNT1が入力された場合、トランジスター452はオンに制御される。したがって、駆動信号放電回路450は、帰還回路570を介して駆動信号COMが伝搬される伝搬経路に蓄えられている電荷を、抵抗451、及びトランジスター452を介して放出する。以上のように、駆動信号放電回路450は、制御信号CNT1に基づいて、駆動信号COMが吐出モジュール21に供給される伝搬経路に蓄えられた電荷を放出するか否かを制御する。
制御信号CNT2は、VBS制御信号出力回路460に入力される。VBS制御信号出力回路460は、VBS供給制御回路80に供給されるVBS制御信号VBS_CNTを出力する。
図18は、VBS制御信号出力回路460の構成を示す図である。VBS制御信号出力回路460は、トランジスター461と抵抗462とを含む。なお、トランジスター471は、PMOSトランジスターであるとして説明を行う。
トランジスター461のソース端子は、抵抗462の一端、及び端子VBS_CNT-Outと電気的に接続されている。また、抵抗462他端には、電圧信号GVDDが供給される。トランジスター461のドレイン端子には、グラウンド電位が供給されている。トランジスター461のゲート端子には、制御信号CNT2が入力される。以上のように構成されたVBS制御信号出力回路460にHレベルの制御信号CNT2が入力された場合、端子VBS_CNT-Outには、抵抗462を介して電圧信号GVDDが供給され、Lレベルの制御信号CNT2が入力された場合、端子VBS_CNT-Outには、グラウンド電位が供給される。
VBS制御信号出力回路460から出力されたVBS制御信号VBS_CNTは、図3に示すように、VBS供給制御回路80に入力される。そして、VBS供給制御回路80は、入力されるVBS制御信号VBS_CNTの論理レベルに基づいて、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2として吐出モジュール21に供給するのか否かを切り替える。
制御信号CNT3は、VHV制御信号出力回路470に入力される。VHV制御信号出力回路470は、電源電圧制御回路70に供給されるVHV制御信号VHV_CNTを出力する。
図19は、VHV制御信号出力回路470の構成を示す図である。VHV制御信号出力回路470は、トランジスター471と抵抗472とを含む。なお、トランジスター471は、PMOSトランジスターであるとして説明を行う。
トランジスター471のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。トランジスター471のドレイン端子は、抵抗472の一端、及び端子VHV_CNT-Outと電気的に接続されている。トランジスター471のゲート端子には、制御信号CNT3が入力される。抵抗472の他端には、グラウンド電位が供給されている。以上のように構成されたVHV制御信号出力回路470にLレベルの制御信号CNT3が入力された場合、端子VHV_CNT-Outには、電圧信号GVDDが供給され、Hレベルの制御信号CNT3が入力された場合、端子VHV_CNT-Outには、抵抗472を介してグラウンド電位が供給される。
VHV制御信号出力回路470から出力されたVHV制御信号VHV_CNTは、図3に示すように、電源電圧制御回路70に入力される。そして、電源電圧制御回路70は、入力されるVHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに基づいて、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2として吐出モジュール21に供給するのか否かを切り替える。
制御信号CNT4は、状態信号入出力回路480に入力される。状態信号入出力回路480は、駆動制御回路51の動作状態を示す状態信号BUSYを出力すると共に、他の構成から出力された状態信号BUSYを入力する。ここで、他の構成とは、例えば液体吐出装置1が有する駆動制御回路51-1~51-4の内のいずれかであってもよく、制御信号出力回路100であってもよい。
図20は、状態信号入出力回路480の構成を示す図である。状態信号入出力回路480は、トランジスター481、インバーター482、及び抵抗483を含む。なお、トランジスター481は、PMOSトランジスターであるとして説明を行う。また、インバーター482は、集積回路500のCOMS入力端子として機能する。すなわち、状態信号入出力回路480は、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT4に基づいて、端子BUSY-Outから状態信号BUSYを出力する共に、端子BUSY-Outに入力される信号をレジスター制御回路440に入力する。なお、図20には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT4を制御信号CNT4-outとして図示し、レジスター制御回路440に入力される制御信号CNT4を制御信号CNT4-inとして図示している。
トランジスター481のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。また、トランジスター481のドレイン端子は、インバーター482の入力端、抵抗483の一端、及び端子BUSY-Outと接続されている。また、トランジスター481のゲート端子には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT4-outが入力される。また、インバーター482の出力端からレジスター制御回路440に制御信号CNT4-inが出力される。また、抵抗483の他端には、グラウンド電位が供給されている。以上のように構成された状態信号入出力回路480にLレベルの制御信号CNT4が入力された場合、端子BUSY-Outには、電圧信号GVDDが供給される。すなわち、Hレベルの状態信号BUSYが出力される。
制御信号CNT5は、異常信号入出力回路490に入力される。異常信号入出力回路490は、駆動制御回路51に異常が生じているか否かを示す異常信号ERRを出力すると共に、他の構成から出力された異常信号ERRを入力する。ここで、他の構成とは、例えば液体吐出装置1が有する駆動制御回路51-1~51-4の内のいずれかであってもよく、制御信号出力回路100であってもよい。
図21は、異常信号入出力回路490の構成を示す図である。異常信号入出力回路490は、トランジスター491、インバーター492、及び抵抗493を含む。なお、以下の説明では、トランジスター491をPMOSトランジスターとして説明する。また、インバーター492は、集積回路500のCOMS入力端子として機能する。すなわち、異常信号入出力回路490は、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT5に基づいて、端子ERR-Outから異常信号ERRを出力する共に、端子ERR-Outに入力される信号をレジスター制御回路440に入力する。なお、図21には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT5を制御信号CNT5-outとして図示し、レジスター制御回路440に入力される制御信号CNT5を制御信号CNT5-inとして図示している。
トランジスター491のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。また、トランジスター491のドレイン端子は、インバーター492の入力端、抵抗493の一端、及び端子ERR-Outと電気的に接続されている。また、トランジスター491のゲート端子には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT5-outが入力される。インバーター492の出力端からは、レジスター制御回路440に制御信号CNT5-inが出力される。また、抵抗493の他端には、グラウンド電位が供給されている。以上のように構成された異常信号入出力回路490にLレベルの制御信号CNT5が入力された場合、端子ERR-Outには、電圧信号GVDDが供給される。すなわち、Hレベルの異常信号ERRが出力される。
以上のように、本実施形態における駆動回路50では、駆動制御回路51-1~51-4のそれぞれが、互いにワイヤードオアで接続された異常信号入出力回路490を備える。これにより、駆動制御回路51-1~51-4のいずれかで異常が生じた場合、異常が生じていない駆動制御回路51-1~51-4に、異常情報を伝搬することが可能となる。そして、伝搬される異常情報に応じて、異常が生じていない駆動制御回路51-1~51-4の動作を継続するか、停止させるかを制御することが可能となる。よって、液体吐出装置1の利便性と安全性の双方をさらに高めることが可能となる。
また、レジスター制御回路440は、入力される駆動データ信号DATAに基づいて、駆動信号出力回路501から電圧値が電圧Vosで一定の駆動信号COMを出力されるための駆動データdC1を生成し、DAC部520に入力する。なお、レジスター制御回路440が出力する駆動データdC1は、変更可能であってもよく、これにより、駆動データdC1で規定される駆動信号COMの電圧値である電圧Vosを任意に変更することが可能となる。
DAC部520は、レジスター制御回路440から入力される駆動データdC1をアナログ信号の元駆動信号aAに変換する。この元駆動信号aAは、一定の電圧値の駆動信号COMの増幅前の目標となる信号である。変調部530には、元駆動信号aAが入力される。変調部530は、元駆動信号aAにパルス幅変調を施した変調信号Msを出力する。ゲート駆動部540は、入力される変調信号Msを電圧信号GVDDに基づき増幅するとともに、電圧信号VHVabに基づいて高振幅論理にレベルシフトした増幅制御信号Hgdと、入力される変調信号Msの論理レベルを反転し、電圧信号GVDDに基づき増幅した増幅制御信号Lgdとを生成する。そして、増幅回路550が、増幅制御信号Hgd,Lgdに基づき動作することで増幅変調信号AMsを出力し、復調回路560において、復調されることで、電圧値が電圧Vosで一定の駆動信号COMが出力される。
また、レジスター制御回路440は、駆動データdC2を生成し、定電圧出力回路420に出力する。定電圧出力回路420は、入力される駆動データdC2に基づいて、電圧値がVcntで一定の電圧信号VCNTを生成し、端子Com-Disに出力する。換言すれば、定電圧出力回路420は、駆動データdC2に基づいて、端子Com-Disの電圧値を電圧Vcntで一定とする。ここで、端子Com-Disは、抵抗571を介して駆動信号COMが伝搬する配線と電気的に接続している。すなわち、定電圧出力回路420は、駆動信号出力回路501と同様に圧電素子60の電極611と電気的に接続し、駆動信号COMが伝搬する配線の電圧値を電圧Vcntで一定となるように制御する。
図22は、定電圧出力回路420の構成の一例を示す図である。定電圧出力回路420は、コンパレーター421、トランジスター422、及びDAC423を含む。なお、トランジスター422をNMOSトランジスターとして説明する。
DAC423には、駆動データdC2が入力される。DAC423は、入力される駆動データdC2に対応する電圧値の信号をコンパレーター421の-側の入力端に入力する。ここで、DAC423は、入力される駆動データdC2に応じた電圧値の信号を出力する可変直流電源を含んでもよい。コンパレーター421の+側の入力端は、端子Com-Disと電気的に接続される。コンパレーター421の出力端は、トランジスター422のゲート端子と電気的に接続されている。トランジスター422のドレイン端子は、端子Com-Disと電気的に接続される。また、トランジスター422のソース端子には、グラウンド電位が供給される。
以上のように構成された定電圧出力回路420において、コンパレーター421の+側の入力端に供給される電圧値が、コンパレーター421の-側の入力端に供給される電圧値よりも大きい場合、コンパレーター421は、Hレベルの信号を出力する。すなわち、駆動データdC2により規定されるDAC423から出力される電圧値に対して、端子Com-Disの電圧値が大きい場合、コンパレーター421は、Hレベルの信号を出力する。したがって、トランジスター422は、オンに制御される。その結果、端子Com-Disの電圧値が減少する。一方、コンパレーター421の+側の入力端に供給される電圧値が、コンパレーター421の-側の入力端に供給される電圧値よりも小さい場合、コンパレーター421は、Lレベルの信号を出力する。すなわち、駆動データdC2により規定されるDAC423から出力される電圧値に対して、端子Com-Disの電圧値が小さい場合、コンパレーター421は、Lレベルの信号を出力する。したがって、トランジスター422は、オフに制御される。その結果、端子Com-Disには、抵抗572を介して電圧信号VHV2が供給され、端子Com-Disの電圧値が増加する。
したがって、定電圧出力回路420は、端子Com-Disの電圧値が、DAC423から出力される駆動データdC2により規定される電圧Vcntとなるように、トランジスター422の動作を制御する。ここで、レジスター制御回路440が出力する駆動データdC1,dC2は、あらかじめ、不図示のレジスターに記憶された値を、レジスター制御回路440によって読み出されてもよく、また、駆動回路50に入力される駆動データ信号DATAに基づいて、適宜変更されてもよい。
6 駆動回路における基準電圧信号及び電圧信号VHVの供給制御
以上のように構成された駆動回路50及びヘッドユニット20において、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1,VHV2-2としてヘッドユニット20に供給する場合における駆動回路50の供給切替の制御、及び基準電圧信号VBSを基準電圧信号VBS1,VBS2としてヘッドユニット20に供給する場合における駆動回路50の供給切替の制御の方法について説明する。
ここで、上述の通り、駆動制御回路51-1が出力する駆動信号COM1は、駆動信号選択制御回路200-1を介して駆動信号VOUT1としてヘッド22-1が有する圧電素子60の電極611に供給される。そして、ヘッド22-1が有する圧電素子60は、供給される駆動信号VOUT1に基づいて駆動する。すなわち、駆動制御回路51-1は、駆動信号選択制御回路200-1を介してヘッド22-1が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続され、ヘッド22-1が有する圧電素子60を駆動する駆動信号COM1を出力する。この駆動制御回路51-1が第1駆動信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-1が出力する駆動信号COM1が第1駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUT1は、駆動信号COM1に含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択又は非選択とすることで生成される。したがって、駆動信号VOUT1も第1駆動信号の一例であるといえる。
同様に、駆動制御回路51-2が出力する駆動信号COM2は、駆動信号選択制御回路200-2を介して駆動信号VOUT2としてヘッド22-2が有する圧電素子60の電極611に供給される。そして、ヘッド22-2が有する圧電素子60は、供給される駆動信号VOUT2に基づいて駆動する。すなわち、駆動制御回路51-2は、駆動信号選択制御回路200-2を介してヘッド22-2が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続され、ヘッド22-2が有する圧電素子60を駆動する駆動信号COM2を出力する。この駆動制御回路51-2が第2駆動信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-2が出力する駆動信号COM2が第2駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUT2は、駆動信号COM2に含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択又は非選択とすることで生成される。したがって、駆動信号VOUT2も第2駆動信号の一例であるといえる。
同様に、駆動制御回路51-3が出力する駆動信号COM3は、駆動信号選択制御回路200-3を介して駆動信号VOUT3としてヘッド22-3が有する圧電素子60の電極611に供給される。そして、ヘッド22-3が有する圧電素子60は、供給される駆動信号VOUT3に基づいて駆動する。すなわち、駆動制御回路51-3は、駆動信号選択制御回路200-3を介してヘッド22-3が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続され、ヘッド22-3が有する圧電素子60を駆動する駆動信号COM3を出力する。この駆動制御回路51-3が第3駆動信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-3が出力する駆動信号COM3が第3駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUT3は、駆動信号COM3に含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択又は非選択とすることで生成される。したがって、駆動信号VOUT3も第3駆動信号の一例であるといえる。
同様に、駆動制御回路51-4が出力する駆動信号COM4は、駆動信号選択制御回路200-4を介して駆動信号VOUT4としてヘッド22-4が有する圧電素子60の電極611に供給される。そして、ヘッド22-4が有する圧電素子60は、供給される駆動信号VOUT4に基づいて駆動する。すなわち、駆動制御回路51-4は、駆動信号選択制御回路200-4を介してヘッド22-4が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続され、ヘッド22-4が有する圧電素子60を駆動する駆動信号COM4を出力する。この駆動制御回路51-4が第4駆動信号出力回路の一例であり、駆動制御回路51-4が出力する駆動信号COM4が第4駆動信号の一例である。また、駆動信号VOUT4は、駆動信号COM4に含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択又は非選択とすることで生成される。したがって、駆動信号VOUT4も第4駆動信号の一例であるといえる。
6.1 電源電圧制御回路における電圧信号VHVの供給制御
上述の通り、駆動回路50は、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2としてヘッドユニット20に供給するか否かを制御する駆動制御回路51-1~51-4、及び電源電圧制御回路70-1,70-2を備える。そして、駆動回路50において電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1,VHV2-2として駆動信号選択制御回路200-1~200-4に供給するか否かは、駆動制御回路51-1~51-4、及び電源電圧制御回路70-1,70-2により制御される。
図3に示すように電源電圧制御回路70-1は、駆動信号選択制御回路200-1に含まれる選択回路230、及び駆動信号選択制御回路200-2に含まれる選択回路230と電気的に接続され、駆動信号選択制御回路200-3に含まれる選択回路230、及び駆動信号選択制御回路200-4に含まれる選択回路230とは電気的に接続されていない。そして、電源電圧制御回路70-1は、駆動信号選択制御回路200-1に含まれる選択回路230、及び駆動信号選択制御回路200-2に含まれる選択回路230への電圧信号VHV2-1の供給を制御する。
同様に、電源電圧制御回路70-2は、駆動信号選択制御回路200-3に含まれる選択回路230、及び駆動信号選択制御回路200-4に含まれる選択回路230と電気的に接続され、駆動信号選択制御回路200-1に含まれる選択回路230、及び駆動信号選択制御回路200-2に含まれる選択回路230とは電気的に接続されていない。そして、電源電圧制御回路70-2は、駆動信号選択制御回路200-3に含まれる選択回路230、及び駆動信号選択制御回路200-4に含まれる選択回路230への電圧信号VHV2-1の供給を制御する。
また、駆動制御回路51-1は、電源電圧制御回路70-1と電気的に接続されている。そして、駆動制御回路51-1は、電源電圧制御回路70-1を制御するVHV制御信号VHV_CNT1を出力する。同様に、駆動制御回路51-2は、電源電圧制御回路70-1と電気的に接続されている。そして、駆動制御回路51-2は、電源電圧制御回路70-1を制御するVHV制御信号VHV_CNT2を出力する。換言すれば、駆動制御回路51-1は、電源電圧制御回路70-2と電気的に接続せず、駆動制御回路51-2は、電源電圧制御回路70-2と電気的に接続していない。
また、駆動制御回路51-3は、電源電圧制御回路70-2と電気的に接続されている。そして、駆動制御回路51-3は、電源電圧制御回路70-2を制御するVHV制御信号VHV_CNT3を出力する。同様に、駆動制御回路51-4は、電源電圧制御回路70-2と電気的に接続されている。そして、駆動制御回路51-4は、電源電圧制御回路70-2を制御するVHV制御信号VHV_CNT4を出力する。換言すれば、駆動制御回路51-3は、電源電圧制御回路70-1と電気的に接続せず、駆動制御回路51-4は、電源電圧制御回路70-1と電気的に接続していない。
したがって、電源電圧制御回路70-1には、VHV制御信号VHV_CNT1及びVHV制御信号VHV_CNT2の論理レベルに応じた信号が入力され、電源電圧制御回路70-2には、VHV制御信号VHV_CNT3及びVHV制御信号VHV_CNT4の論理レベルに応じた信号が入力される。
そして、図10~図12に示すように、電源電圧制御回路70-1は、入力される信号の論理レベルに基づいて電圧信号VHV1を電圧信号VHVaとして出力するか否かを制御する。そして、電源電圧制御回路70-1から出力された電圧信号VHVaは、ヒューズF1を介して電圧信号VHV2-1として駆動信号選択制御回路200-1,200-2に供給される。すなわち、電源電圧制御回路70-1は、VHV制御信号VHV_CNT1及びVHV制御信号VHV_CNT2の論理レベルに応じて入力される信号の論理レベルに基づいて、電圧信号VHV2-1を駆動信号選択制御回路200-1,200-2に供給するか否かを制御する。
具体的には、駆動制御回路51-1が出力するVHV制御信号VHV_CNT1、及び駆動制御回路51-2が出力するVHV制御信号VHV_CNT2の双方がLレベルの場合、電源電圧制御回路70-1は、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1として駆動信号選択制御回路200-1,200-2に供給しない。一方、駆動制御回路51-1が出力するVHV制御信号VHV_CNT1、及び駆動制御回路51-2が出力するVHV制御信号VHV_CNT2の少なくともいずれか一方がHレベルの場合、電源電圧制御回路70-1は、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1として駆動信号選択制御回路200-1,200-2に供給する。
同様に、電源電圧制御回路70-2は、入力される信号の論理レベルに基づいて電圧信号VHV1を電圧信号VHVbとして出力するか否かを制御する。そして、電源電圧制御回路70-2から出力された電圧信号VHVbは、ヒューズF2を介して電圧信号VHV2-2として駆動信号選択制御回路200-3,200-4に供給される。すなわち、電源電圧制御回路70-2は、VHV制御信号VHV_CNT3及びVHV制御信号VHV_CNT4の論理レベルに応じて入力される信号の論理レベルに基づいて、電圧信号VHV2-2を駆動信号選択制御回路200-1,200-2に供給するか否かを制御する。
具体的には、駆動制御回路51-3が出力するVHV制御信号VHV_CNT3、及び駆動制御回路51-4が出力するVHV制御信号VHV_CNT4の双方がLレベルの場合、電源電圧制御回路70-2は、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-2として駆動信号選択制御回路200-3,200-4に供給しない。一方、駆動制御回路51-3が出力するVHV制御信号VHV_CNT3、及び駆動制御回路51-4が出力するVHV制御信号VHV_CNT4の少なくともいずれか一方がHレベルの場合、電源電圧制御回路70-2は、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-2として駆動信号選択制御回路200-3,200-4に供給する。
ここで、電気的に接続されているとは、回路を動作させるための電源電圧が伝搬される配線、及び基準電位となるグラウンドが伝搬される配線を除く配線によって、各構成間における信号の伝搬が可能な状態を意味し、例えば、抵抗、スイッチ素子等を介して接続されていることを含む。一方、電気的に接続されていないとは、回路を動作させるための電源電圧が伝搬される配線、及び基準電位となるグラウンドが伝搬される配線を除く配線によって、各構成間における信号の伝搬が不可能な状態を意味し、換言すれば、回路を動作させるための電源電圧が伝搬される配線、及び基準電位となるグラウンドが伝搬される配線以外の配線で接続されていないことを意味する。なお、以下の説明においても同様の解釈を用いる。
駆動制御回路51-1,51-2、及び電源電圧制御回路70-1の動作の詳細について説明する。図19に示すように、駆動制御回路51-1がLレベルのVHV制御信号VHV_CNT1を出力する場合、駆動制御回路51-1に含まれるVHV制御信号出力回路470のトランジスター471が非導通に制御される。同様に、駆動制御回路51-2がLレベルのVHV制御信号VHV_CNT2を出力する場合、駆動制御回路51-2に含まれるVHV制御信号出力回路470のトランジスター471が非導通に制御される。したがって、VHV制御信号VHV_CNT1、及びVHV制御信号VHV_CNT2の双方がLレベルである場合、電源電圧制御回路70-1には、駆動制御回路51-1に含まれるVHV制御信号出力回路470の抵抗472、及び駆動制御回路51-2に含まれるVHV制御信号出力回路470の抵抗472を介してグラウンド電位の信号が供給される。すなわち、電源電圧制御回路70-1には、Lレベルの信号が入力される。その結果、図11に示すように、電源電圧制御回路70-1は、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1として駆動信号選択制御回路200-1,200-2に供給しない。
一方、図19に示すように、駆動制御回路51-1がHレベルのVHV制御信号VHV_CNT1を出力する場合、駆動制御回路51-1に含まれるVHV制御信号出力回路470のトランジスター471が導通に制御される。したがって、駆動制御回路51-1は、VHV制御信号出力回路470のトランジスター471を介して供給される電圧信号GVDDをHレベルの信号として出力する。この場合において、駆動制御回路51-1から出力されるHレベルのVHV制御信号VHV_CNT1は、駆動制御回路51-1に含まれるVHV制御信号出力回路470の抵抗472、及び駆動制御回路51-2に含まれるVHV制御信号出力回路470の抵抗472によって保持される。すなわち、駆動制御回路51-1が出力するHレベルのVHV制御信号VHV_CNT1を出力する場合、電源電圧制御回路70-1には、駆動制御回路51-2が出力するVHV制御信号VHV_CNT2の論理レベルに依らず、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1として駆動信号選択制御回路200-1,200-2に供給することを示すHレベルの信号が入力される。
同様に、駆動制御回路51-2が出力するHレベルのVHV制御信号VHV_CNT2を出力しようとする場合、電源電圧制御回路70-1には、駆動制御回路51-1が出力するVHV制御信号VHV_CNT1の論理レベルに依らず、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1として駆動信号選択制御回路200-1,200-2に供給することを示すHレベルの信号が入力される。
なお、駆動制御回路51-3,51-4、及び電源電圧制御回路70-2の動作の詳細については、駆動制御回路51-1,51-2、及び電源電圧制御回路70-1の動作の詳細と同様であり、詳細の説明は省略する。
以上のように、本実施形態における駆動回路50は、駆動制御回路51-1が出力する駆動信号COM1に基づく駆動信号VOUT1を生成する駆動信号選択制御回路200-1と、駆動制御回路51-2が出力する駆動信号COM2に基づく駆動信号VOUT2を生成する駆動信号選択制御回路200-2とを有し、駆動信号選択制御回路200-1と駆動信号選択制御回路200-2とには、共通の電源電圧として電圧信号VHV2-1が供給される。そして、駆動信号選択制御回路200-1,200-2に、電源電圧としての電圧信号VHV2-1を供給するか否かは、駆動信号選択制御回路200-1,200-2のそれぞれに駆動信号COM1,COM2を供給する駆動制御回路51-1,51-2により制御される。
同様に、本実施形態における駆動回路50は、駆動制御回路51-3が出力する駆動信号COM3に基づく駆動信号VOUT3を生成する駆動信号選択制御回路200-3と、駆動制御回路51-4が出力する駆動信号COM4に基づく駆動信号VOUT4を生成する駆動信号選択制御回路200-4とを有し、駆動信号選択制御回路200-3と駆動信号選択制御回路200-4とには、共通の電源電圧として電圧信号VHV2-2が供給される。そして、駆動信号選択制御回路200-3,200-4に、電源電圧として電圧信号VHV2-2を供給するか否かは、駆動信号選択制御回路200-1,200-2のそれぞれに駆動信号COM3,COM4を供給する駆動制御回路51-3,51-4により制御される。
これにより、複数の駆動信号選択制御回路200として、駆動信号選択制御回路200-1~200-4を備える液体吐出装置1にいて、いずれかの駆動信号選択制御回路200に供給される電源電圧である電圧信号VHV2の電圧値に異常が生じた場合であっても、異常が生じていない電圧信号VHV2が供給されている駆動信号選択制御回路200は継続して動作することが可能となる。よって、液体吐出装置1の利便性と安全性の双方をさらに高めることが可能となる。
ここで、上述の実施形態では、駆動回路50において、駆動制御回路51-1~51-4は、制御信号出力回路100から入力される駆動データ信号DATA1~DATA4に基づいて、VHV制御信号VHV_CNT1~VHV_CNT4の論理レベルを決定し、電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1,VHV2-2として駆動信号選択制御回路200-1~200-4に供給するか否かが制御されるとして説明したが、駆動制御回路51-1~51-4は、駆動制御回路51-1~51-4のそれぞれが備える異常検出回路430に含まれる電源電圧異常検出部433における電圧信号VHV2-1,VHVH2-2の電圧値の検出結果に応じて、VHV制御信号VHV_CNT1~VHV_CNT4の論理レベルを決定してもよい。
具体的には、駆動制御回路51-1に含まれる電源電圧異常検出部433が、電圧信号VHV2-1の電圧値を検出し、電圧信号VHV2-1の電圧値が異常であると判定した場合、駆動制御回路51-1は、吐出モジュール21-1,21-2に電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1として供給しないことを示すLレベルのVHV制御信号VHV_CNT1を電源電圧制御回路70-1に出力する。同様に、駆動制御回路51-2に含まれる電源電圧異常検出部433が、電圧信号VHV2-1の電圧値を検出し、電圧信号VHV2-1の電圧値が異常であると判定した場合、駆動制御回路51-2は、吐出モジュール21-1,21-2に電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-1として供給しないことを示すLレベルのVHV制御信号VHV_CNT2を電源電圧制御回路70-1に出力する。
また、駆動制御回路51-3に含まれる電源電圧異常検出部433が、電圧信号VHV2-2の電圧値を検出し、電圧信号VHV2-2の電圧値が異常であると判定した場合、駆動制御回路51-3は、吐出モジュール21-3,21-4に電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-2として供給しないことを示すLレベルのVHV制御信号VHV_CNT3を電源電圧制御回路70-2に出力する。同様に、駆動制御回路51-4に含まれる電源電圧異常検出部433が、電圧信号VHV2-2の電圧値を検出し、電圧信号VHV2-2の電圧値が異常であると判定した場合、駆動制御回路51-4は、吐出モジュール21-3,21-4に電圧信号VHV1を電圧信号VHV2-2として供給しないことを示すLレベルのVHV制御信号VHV_CNT4を電源電圧制御回路70-2に出力する。
6.2 VBS供給制御回路における基準電圧信号VBSの供給制御
また、上述の通り、駆動回路50は、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1,VB2-2としてヘッドユニット20に供給するか否かを制御する駆動制御回路51-1~51-4、及びVBS供給制御回路80-1,80-2を備える。
図3に示すように、VBS供給制御回路80-1は、基準電圧信号VBS1が入力される一端が、基準電圧信号出力回路30の端子VBS-Outと電気的に接続され、基準電圧信号VBS2-1が出力される他端が、吐出モジュール21-1が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有する圧電素子60の電極612と電気的に接続されている。この場合において、VBS供給制御回路80-1の他端は、吐出モジュール21-3が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-4が有する圧電素子60の電極612と電気的に接続されていない。そして、VBS供給制御回路80-1は、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1として吐出モジュール21-1が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有する圧電素子60の電極612に供給するか否かを切り替える。
図3に示すように、駆動制御回路51-1は、駆動信号選択制御回路200-1に含まれる選択回路230を介して吐出モジュール21-1が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続されている。そして、駆動制御回路51-1は、VBS供給制御回路80-1と電気的に接続され、VBS供給制御回路80-1の動作を制御するためのVBS制御信号VBS_CNT1をVBS供給制御回路80-1に出力する。同様に、駆動制御回路51-2は、駆動信号選択制御回路200-1に含まれる選択回路230を介して吐出モジュール21-2が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続されている。そして、駆動制御回路51-2は、VBS供給制御回路80-1と電気的に接続され、VBS供給制御回路80-1の動作を制御するためのVBS制御信号VBS_CNT2をVBS供給制御回路80-1に出力する。
よって、VBS供給制御回路80-1には、VBS制御信号VBS_CNT1、及びVBS制御信号VBS_CNT2の論理レベルに応じた信号が入力される。そして、VBS供給制御回路80-1は、入力される信号の論理レベルに基づいて、基準電圧信号VBS1が入力される一端と、基準電圧信号VBS2-1が出力される他端との間を導通とするのか、非導通とするのかを制御する。これにより、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1として、吐出モジュール21-1が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有する圧電素子60の電極612に供給するか否かが切り替えられる。
すなわち、VBS供給制御回路80-1は、駆動制御回路51-1から出力されるVBS制御信号VBS_CNT1、及び駆動制御回路51-2から出力されるVBS制御信号VBS_CNT2に従って、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1として吐出モジュール21-1が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有する圧電素子60の電極612に供給するか否かを切り替える。ここで、VBS制御信号VBS_CNT1が第1制御信号の一例であり、VBS制御信号VBS_CNT2が第2制御信号の一例である。
ここで、駆動制御回路51-1から出力されるVBS制御信号VBS_CNT1、及び駆動制御回路51-2から出力されるVBS制御信号VBS_CNT2の論理レベルと、VBS供給制御回路80-1に入力される信号の論理レベルとの関係について説明する。
図18に示すように、駆動制御回路51-1がHレベルのVBS制御信号VBS_CNT1を出力する場合、駆動制御回路51-1に含まれるVBS制御信号出力回路460のトランジスター461が非導通に制御されている。同様に、駆動制御回路51-2がHレベルのVBS制御信号VBS_CNT2を出力する場合、駆動制御回路51-2に含まれるVBS制御信号出力回路460のトランジスター461が非導通に制御される。したがって、VBS制御信号VBS_CNT1、及びVBS制御信号VBS_CNT2の双方がHレベルである場合、VBS供給制御回路80-1には、駆動制御回路51-1に含まれるVBS制御信号出力回路460の抵抗462、及び駆動制御回路51-2に含まれるVBS制御信号出力回路460の抵抗462を介して、電圧信号GVDDの信号が供給される。換言すれば、VBS供給制御回路80-1には、Hレベルの信号が入力される。その結果、図15に示すように、VBS供給制御回路80-1は、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1として吐出モジュール21-1,21-2に供給する。
一方、図18に示すように、駆動制御回路51-1がLレベルのVBS制御信号VBS_CNT1を出力する場合、駆動制御回路51-1に含まれるVBS制御信号出力回路460のトランジスター471が導通に制御される。したがって、駆動制御回路51-1は、VBS制御信号出力回路460のトランジスター461を介して供給されるグランド電位をLレベルの信号として出力する。この場合において、VBS制御信号VBS_CNT1が伝搬される配線の電位は、駆動制御回路51-1に含まれるトランジスター461を介してグラウンド電位となる。したがって、駆動制御回路51-2に含まれるトランジスター461が導通である非導通であるかに関わらず、VBS供給制御回路80-1には、Lレベルの信号が入力される。
同様に、駆動制御回路51-2がLレベルのVBS制御信号VBS_CNT2を出力する場合、駆動制御回路51-2に含まれるVBS制御信号出力回路460のトランジスター471が導通に制御される。したがって、駆動制御回路51-2は、VBS制御信号出力回路460のトランジスター461を介して供給されるグランド電位をLレベルの信号として出力する。この場合において、VBS制御信号VBS_CNT2が伝搬される配線の電位は、駆動制御回路51-2に含まれるトランジスター461を介してグラウンド電位となる。したがって、駆動制御回路51-1に含まれるトランジスター461が導通である非導通であるかに関わらず、VBS供給制御回路80-1には、Lレベルの信号が入力される。
すなわち、VBS制御信号VBS_CNT1、及びVBS制御信号VBS_CNT2の少なくともいずれか一方が、Lレベルの場合、VBS供給制御回路80-1には、Hレベルの信号が入力される。その結果、図15に示すように、VBS供給制御回路80-1は、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1として吐出モジュール21-1,21-2に供給しない。換言すれば、VBS制御信号VBS_CNT1、及びVBS制御信号VBS_CNT2の少なくともいずれか一方が、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1として吐出モジュール21-1が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有する圧電素子60の電極612に供給しないことを示す信号である場合、VBS供給制御回路80-1は、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1として吐出モジュール21-1が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有する圧電素子60の電極612に供給しない。
同様に、VBS供給制御回路80-2は、基準電圧信号VBS1が入力される一端が、基準電圧信号出力回路30の端子VBS-Outと電気的に接続され、基準電圧信号VBS2-2が出力される他端が、吐出モジュール21-3が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-4が有する圧電素子60の電極612と電気的に接続されている。この場合において、VBS供給制御回路80-2の他端は、吐出モジュール21-1が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有する圧電素子60の電極612と電気的に接続されていない。そして、VBS供給制御回路80-2は、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-2として吐出モジュール21-3が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-4が有する圧電素子60の電極612に供給するか否かを切り替える。
図3に示すように、駆動制御回路51-3は、駆動信号選択制御回路200-3に含まれる選択回路230を介して吐出モジュール21-3が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続されている。そして、駆動制御回路51-3は、VBS供給制御回路80-2と電気的に接続され、VBS供給制御回路80-2の動作を制御するためのVBS制御信号VBS_CNT3をVBS供給制御回路80-2に出力する。同様に、駆動制御回路51-4は、駆動信号選択制御回路200-4に含まれる選択回路230を介して吐出モジュール21-4が有する圧電素子60の電極611と電気的に接続されている。そして、駆動制御回路51-4は、VBS供給制御回路80-2と電気的に接続され、VBS供給制御回路80-2の動作を制御するためのVBS制御信号VBS_CNT4をVBS供給制御回路80-2に出力する。
VBS供給制御回路80-2は、VBS供給制御回路80-1と同様に、VBS制御信号VBS_CNT3、及びVBS制御信号VBS_CNT4の双方が、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-2として吐出モジュール21-3,21-4に供給することを示すHレベルの信号である場合、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-2として、吐出モジュール21-3が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-4が有する圧電素子60の電極612に供給し、VBS制御信号VBS_CNT3、及びVBS制御信号VBS_CNT4の少なくともいずれか一方が、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-2として吐出モジュール21-3,21-4に供給しないことを示すLレベルの信号である場合、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-2として、吐出モジュール21-3が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-4が有する圧電素子60の電極612に供給しない。
すなわち、基準電圧信号出力回路30は、VBS供給制御回路80-1を介して、吐出モジュール21-1が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-2が有する圧電素子60の電極612と電気的に接続され、且つVBS供給制御回路80-2を介して、吐出モジュール21-3が有する圧電素子60の電極612、及び吐出モジュール21-4が有する圧電素子60の電極612と電気的に接続されている。そして、VBS供給制御回路80-1は、駆動制御回路51-1が出力するVBS制御信号VBS_CNT1、及び駆動制御回路51-2が出力するVBS制御信号VBS_CNT2に基づいて、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-1として吐出モジュール21-1,21-2に供給するか否かを制御し、VBS供給制御回路80-2は、駆動制御回路51-3が出力するVBS制御信号VBS_CNT3、及び駆動制御回路51-4が出力するVBS制御信号VBS_CNT4に基づいて、基準電圧信号VBS1を基準電圧信号VBS2-2として吐出モジュール21-3,21-4に供給するか否かを制御する。
7 作用効果
以上のように本実施形態における駆動回路では、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60の電極611には、駆動制御回路51-1から供給さる駆動信号COM1に基づく駆動信号VOUT1が供給され、ヘッド22-2に含まれる圧電素子60の電極611には、駆動制御回路51-2から供給さる駆動信号COM2に基づく駆動信号VOUT2が供給される。また、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60の電極612、及びヘッド22-1に含まれる圧電素子60の電極612には、共通の基準電圧信号出力回路30から基準電圧信号VBS1基づく基準電圧信号VBS2-1が供給される。そして、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60は、電極611に供給される駆動信号VOUT1と電極612に供給される基準電圧信号VBS2-1との電位差により駆動し、ヘッド22-2に含まれる圧電素子60は、電極611に供給される駆動信号VOUT2と電極612に供給される基準電圧信号VBS2-1との電位差により駆動する。すなわち、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60とヘッド22-2に含まれる圧電素子60とには、共通の基準電位として共通の基準電圧信号VBS2-1が供給されている。これにより、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60、及びヘッド22-2に含まれる圧電素子60のそれぞれの駆動の基準電位に差が生じるおそれが低減し、その結果、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60、及びヘッド22-2に含まれる圧電素子60の駆動精度が向上する。
また、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60とヘッド22-2に含まれる圧電素子60とに供給される基準電圧信号VBS2-1は、1つのVBS供給制御回路80により供給が制御される。したがって、VBS供給制御回路80のばらつきによりヘッド22-1に含まれる圧電素子60、及びヘッド22-2に含まれる圧電素子60のそれぞれの駆動の基準電位にばらつきが生じるおそれが低減され、その結果、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60、及びヘッド22-2に含まれる圧電素子60の駆動精度が向上する。
さらに、ヘッド22-1に含まれる圧電素子60とヘッド22-2に含まれる圧電素子60とに供給される基準電圧信号VBS2-1は、1つのVBS供給制御回路80により供給が制御されるため、基準電圧信号VBS2-1の電圧値に異常が生じた場合において、基準電圧信号VBS2-1を供給するための複数の構成を制御する必要がなく、短時間でヘッド22-1に含まれる圧電素子60とヘッド22-2に含まれる圧電素子60への供給の停止、及び再開を行うことが可能となり、液体吐出装置1の安全性を高めることが可能となる。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。