JP2020189430A - 駆動回路、及び液体吐出装置 - Google Patents

駆動回路、及び液体吐出装置 Download PDF

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透 樫村
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Abstract

【課題】駆動回路、及び選択部に大電流の突入電流が生じるおそれを低減することができる駆動回路を提供すること。【解決手段】駆動信号が供給される圧電素子と、前記圧電素子への前記駆動信号の供給を制御する駆動信号選択制御回路と、を含む圧電デバイスを駆動する駆動回路であって、前記駆動信号選択制御回路と電気的に接続され、前記駆動信号選択制御回路への電源電圧信号の供給を制御する電源電圧制御回路を備え、前記電源電圧制御回路は、前記電源電圧信号が伝搬する電源電圧伝搬経路に設けられたスイッチ素子を有し、前記スイッチ素子は、複数のパルス波形を含むスイッチ制御信号により制御される、駆動回路。【選択図】図17

Description

本発明は、駆動回路、及び液体吐出装置に関する。
インク等の液体を吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンター等の液体吐出装置には、例えばピエゾ素子などの圧電素子を用いたものが知られている。圧電素子は、プリントヘッドにおいて、インクを吐出する複数のノズル、及びノズルから吐出されるインクを貯留するキャビティーに対応して設けられる。そして、圧電素子が駆動信号に従い変位することで、圧電素子とキャビティーとの間に設けられた振動板が撓み、キャビティーの容積が変化する。これにより、ノズルから所定のタイミングで所定量のインクが吐出され、媒体上にドットが形成される。
特許文献1には、駆動信号を出力する駆動回路、及び駆動信号の圧電素子への供給を制御する選択部に、DC42Vの高電圧の電圧Vhを供給し、駆動回路、及び選択部が、供給される電圧Vhに基づいて、圧電素子に供給する駆動信号を生成することで、ノズルから所定の量の液体を吐出させる液体吐出装置が開示されている。
特開2016−141070号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるような駆動回路、及び選択部に高電圧の電圧Vhが供給される液体吐出装置では、近年の液体吐出装置の低消費電力化の要求の高まりから、液体吐出装置が液体の吐出を行わないスリープモード等において、駆動回路、及び選択部への電源電圧の供給を停止する液体吐出装置が知られている。このような駆動回路、及び選択部への電源電圧の供給を停止する液体吐出装置において、駆動回路、及び選択部への電源電圧の供給を再開した場合、駆動回路、及び選択部に大電流の突入電流が生じるおそれがある。
本発明に係る駆動回路の一態様は、
駆動信号が供給される圧電素子と、前記圧電素子への前記駆動信号の供給を制御する駆動信号選択制御回路と、を含む圧電デバイスを駆動する駆動回路であって、
前記駆動信号選択制御回路と電気的に接続され、前記駆動信号選択制御回路への電源電圧信号の供給を制御する電源電圧制御回路を備え、
前記電源電圧制御回路は、前記電源電圧信号が伝搬する電源電圧伝搬経路に設けられたスイッチ素子を有し、
前記スイッチ素子は、複数のパルス波形を含むスイッチ制御信号により制御される。
前記駆動回路の一態様において、
1つの前記パルス波形により前記スイッチ素子が導通に制御される期間は、前記電源電圧制御回路から出力される前記電源電圧信号が供給される前記電源電圧制御回路の負荷回路の時定数で規定される期間よりも短くてもよい。
前記駆動回路の一態様において、
前記駆動信号を出力する駆動信号出力回路を備え、
前記電源電圧制御回路は、前記駆動信号出力回路への前記電源電圧信号の供給を制御してもよい。
前記駆動回路の一態様において、
前記スイッチ制御信号の第1期間のデューティー比は、前記第1期間よりも後の第2期間のデューティー比よりも大きくてもよい。
前記駆動回路の一態様において、
前記電源電圧制御回路は、
前記スイッチ素子を含む電圧制限回路と、
前記電源電圧信号に基づく電荷を放出する放電回路と、
を有し、
前記放電回路は、前記電圧制限回路と前記圧電デバイスとを電気的に接続する配線と、電気的に接続されていてもよい。
前記液体吐出装置の一態様は、
上記駆動回路の一態様と、
前記圧電デバイスを含むプリントヘッドと、
を備える。
液体吐出装置の概略構成を示す斜視図である。 液体吐出装置の電気構成を示すブロック図である。 駆動信号COMの一例を示す図である。 駆動信号選択制御回路の電気構成を示すブロック図である。 吐出部の1個分に対応する選択回路の電気構成を示す回路図である。 デコーダーにおけるデコード内容を示す図である。 駆動信号選択制御回路の動作を説明するための図である。 吐出部の概略構成を示す断面図である。 駆動回路の構成を示すブロック図である。 駆動信号出力回路の構成を示す図である。 駆動信号放電回路の構成を示す図である。 基準電圧信号出力回路の構成を示す図である。 VHV制御信号出力回路の構成を示す図である。 状態信号入出力回路の構成を示す図である。 エラー信号入出力回路の構成を示す図である。 電源電圧制御回路の構成を示す図である。 電圧信号VHVbの電圧値の変化とVHV制御信号VHV_CNTとの関係を示す図である。 期間Tbにおいて、VHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形の一例を示す図である。 液体吐出装置、及び駆動回路の変形例におけるVHVbの電圧値の変化とVHV制御信号VHV_CNTとの関係を示す図である。 期間TcにおけるVHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形の一例を示す図である。 期間TdにおけるVHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形の一例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1 液体吐出装置の構成
本実施形態に係る液体吐出装置の一例としての印刷装置は、外部のホストコンピューターから入力される画像データに応じてインクを吐出させることで、紙などの印刷媒体にドットを形成し、当該画像データに応じた文字、図形等を含む画像を印刷するインクジェットプリンターである。
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す斜視図である。図1には、媒体Pが搬送される方向X、方向Xと交差し移動体2が往復動する方向Y、インクが吐出される方向Zを図示している。なお、本実施形態では、方向X、方向Y、方向Zは互いに直交する軸として説明するが、液体吐出装置1の各種構成が互いに直交して配置されていることに限るものではない。また、以下の説明において、移動体2が移動する方向Yを主走査方向と称する場合がある。
図1に示すように、液体吐出装置1は、移動体2と、移動体2を方向Yに沿って往復動させる移動機構3とを備える。移動機構3は、移動体2の駆動源となるキャリッジモーター31と、両端が固定されたキャリッジガイド軸32と、キャリッジガイド軸32とほぼ平行に延在しキャリッジモーター31により駆動されるタイミングベルト33と、を有する。
移動体2に含まれるキャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト33の一部に固定されている。そして、キャリッジモーター31によりタイミングベルト33を駆動させることで、キャリッジ24は、キャリッジガイド軸32に案内されて方向Yに沿って往復動する。また、移動体2のうち、媒体Pと対向する部分には多数のノズルを有するヘッドユニット20が設けられている。ヘッドユニット20には、ケーブル190を介して制御信号等が入力される。ヘッドユニット20は、入力される制御信号に基づいて、ノズルから液体の一例としてインクを吐出する。
液体吐出装置1は、媒体Pを、方向Xに沿ってプラテン40上で搬送させる搬送機構4を備える。搬送機構4は、駆動源である搬送モーター41と、搬送モーター41により回転して媒体Pを方向Xに沿って搬送する搬送ローラー42と、を備える。
以上のように構成された液体吐出装置1では、媒体Pが搬送機構4により搬送されるタイミングにおいて、ヘッドユニット20がインクを吐出することで、媒体Pの表面に画像が形成される。
2 液体吐出装置の電気構成
図2は、液体吐出装置1の電気構成を示すブロック図である。図2に示すように、液体吐出装置1は、制御回路100、キャリッジモータードライバー35、キャリッジモーター31、搬送モータードライバー45、搬送モーター41、第1電圧生成回路90a、第2電圧生成回路90b、発振回路91、駆動回路50、及びプリントヘッド21を有する。
制御回路100は、ホストコンピューターから入力された画像データに基づいて、各種構成を制御するための複数の制御信号等を生成し、対応する構成に出力する。具体的には、制御回路100は、キャリッジモータードライバー35に対して制御信号CTR1を供給する。キャリッジモータードライバー35は、制御信号CTR1に従ってキャリッジモーター31を駆動する。これにより、図1に示す方向Yにおけるキャリッジ24の移動が制御される。また、制御回路100は、搬送モータードライバー45に対して制御信号CTR2を供給する。搬送モータードライバー45は、制御信号CTR2に従って搬送モーター41を駆動する。これにより、図1に示す方向Xにおける媒体Pの移動が制御される。
また、制御回路100は、駆動回路50に対して、駆動データ信号DATAを出力すると共に、プリントヘッド21に対して、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動データ信号DATAを出力する。
第1電圧生成回路90aは、例えばDC42Vの電圧信号VHVを生成する。そして、第1電圧生成回路90aは、電圧信号VHVを駆動回路50に出力する。また、第2電圧生成回路90bは、例えばDC3.3Vの電圧信号VDDを生成する。そして、第2電圧生成回路90bは、電圧信号VDDを駆動回路50に出力する。なお、電圧信号VHV,VDDは、駆動回路50の他に液体吐出装置1の各種構成にも供給されてもよい。
発振回路91は、クロック信号MCKを駆動回路50に出力する。ここで、発振回路91は、図2に示すように制御回路100と独立した構成であってもよく、また、制御回路100の内部に構成されていてもよい。また、クロック信号MCKは、駆動回路50のほか、液体吐出装置1の各種構成にも供給されてもよい。
駆動回路50は、駆動信号出力回路51、及び電源電圧供給制御回路52を含む。電源電圧供給制御回路52には、電圧信号VHVが入力される。そして、電源電圧供給制御回路52は、入力された電圧信号VHVを、プリントヘッド21、及び駆動信号出力回路51に供給するのか否かを制御する。
駆動信号出力回路51には、電圧信号VHV,VDD、駆動データ信号DATA、及びクロック信号MCKが入力される。そして、駆動信号出力回路51は、入力される電圧信号VHV,VDD、駆動データ信号DATA、及びクロック信号MCKに基づいて、駆動信号COM、及び基準電圧信号VBSを生成しプリントヘッド21に出力する。ここで、基準電圧信号VBSは、例えば、グラウンド電位、DC5V、DC6V等の一定電圧の信号である。なお、電源電圧供給制御回路52、及び駆動信号出力回路51を含む駆動回路50の構成、及び動作の詳細については後述する。
プリントヘッド21は、駆動信号選択制御回路200と、複数の吐出部600とを有する。また、各吐出部600は、圧電素子60を含む。駆動信号選択制御回路200には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、駆動信号COM、及び電圧信号VHVが入力される。そして、駆動信号選択制御回路200は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び電圧信号VHVに基づいて、駆動信号COMを選択、又は非選択とすることで、駆動信号VOUTを生成し、各吐出部600に出力する。
駆動信号VOUTは、複数の吐出部600のそれぞれに含まれる圧電素子60の一端に供給される。また、圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが供給される。そして、圧電素子60が、駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとの電位差により駆動することで、吐出部600からインクが吐出される。
以上のように、プリントヘッド21は、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTが供給される圧電素子60と、圧電素子60への駆動信号VOUTの供給を制御する駆動信号選択制御回路200とを有する。そして、駆動回路50は、プリントヘッド21が有する駆動信号選択制御回路200と電気的に接続され、駆動信号選択制御回路200への電圧信号VHVの供給を制御する電源電圧供給制御回路52と、駆動信号COMを出力する駆動信号出力回路51とを備える。そして、駆動回路50は、プリントヘッド21を駆動させる。なお、以上のように構成されたプリントヘッド21は、図1に示すヘッドユニット20に含まれる。
ここで、プリントヘッド21が圧電デバイスの一例であり、電源電圧供給制御回路52により、プリントヘッド21が有する駆動信号選択制御回路200への供給が制御される電圧信号VHVが電源電圧信号の一例である。換言すれば、液体吐出装置1は、駆動回路50と圧電デバイスの一例としてのプリントヘッド21とを備える。
3 液体吐出ヘッドの構成及び動作
次に、駆動信号選択制御回路200の構成、及び動作について説明する。駆動信号選択制御回路200の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、図3を用いて、駆動信号選択制御回路200に入力される駆動信号COMの一例について説明する。その後、図4から図7を用いて、駆動信号選択制御回路200の構成、及び動作について説明する。
図3は、駆動信号COMの一例を示す図である。図3には、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1と、期間T1の後、次にチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T2と、期間T2の後、ラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T3とを示している。そして、この期間T1,T2,T3からなる周期が、媒体Pに新たなドットを形成する周期Taとなる。すなわち、図3に示すように、ラッチ信号LATは、媒体Pに新たなドットが形成される周期を規定する信号であり、チェンジ信号CHは、駆動信号COMに含まれる波形の切替タイミングを規定する信号である。
図3に示すように、駆動信号出力回路51は、期間T1において台形波形Adpを生成する。台形波形Adpが圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600から所定量、具体的には中程度の量のインクが吐出される。また、駆動信号出力回路51は、期間T2において台形波形Bdpを生成する。台形波形Bdpが圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600から上記所定量よりも少ない小程度の量のインクが吐出される。また、駆動信号出力回路51は、期間T3において台形波形Cdpを生成する。台形波形Cdpが圧電素子60に供給された場合、圧電素子60は、対応する吐出部600からインクが吐出されない程度に駆動する。したがって、台形波形Cdpが圧電素子60に供給された場合、媒体Pにはドットが形成されない。この台形波形Cdpは、吐出部600のノズル開孔部付近のインクを微振動させてインクの粘度が増大することを防止するための波形である。以下の説明において、インクの粘度が増大することを防止するために、吐出部600からインクが吐出されない程度に圧電素子60を駆動させることを「微振動」と称する。
ここで、台形波形Adp、台形波形Bdp、及び台形波形Cdpのそれぞれの開始タイミングでの電圧値、及び終了タイミングでの電圧値は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp,Bdp,Cdpは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形である。したがって、駆動信号出力回路51は、台形波形Adp,Bdp,Cdpが周期Taにおいて連続した波形の駆動信号COMを出力する。なお、図3に示す駆動信号COMの波形は一例であり、図3に示す波形に限られるものではない。
図4は、駆動信号選択制御回路200の電気構成を示すブロック図である。駆動信号選択制御回路200は、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択するか否かを切り替えことで、周期Taにおいて、圧電素子60に供給される駆動信号VOUTを生成し出力する。図4に示すように、駆動信号選択制御回路200は、選択制御回路210と、複数の選択回路230とを含む。
選択制御回路210には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び電圧信号VHVが供給される。選択制御回路210には、シフトレジスター212(S/R)とラッチ回路214とデコーダー216との組が、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、プリントヘッド21には、吐出部600の総数nと同数のシフトレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組が設けられている。
シフトレジスター212は、対応する吐出部600毎に、印刷データ信号SIに含まれる2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一旦保持する。詳細には、吐出部600に対応した段数のシフトレジスター212が互いに縦続接続されているとともに、シリアルで供給された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される。なお、図4には、シフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが供給される上流側から順番に1段、2段、…、n段と表記している。
n個のラッチ回路214のそれぞれは、対応するシフトレジスター212で保持された印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。n個のデコーダー216の各々は、対応するラッチ回路214によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をデコードして選択信号Sを生成し、選択回路230に供給する。
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、1つのプリントヘッド21が有する選択回路230の数は、プリントヘッド21に含まれる吐出部600の総数nと同じである。選択回路230は、デコーダー216から供給される選択信号Sに基づいて、駆動信号COMの圧電素子60への供給を制御する。
図5は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の電気構成を示す回路図である。図5に示すように、選択回路230は、インバーター232、及びトランスファーゲート234を有する。また、トランスファーゲート234は、NMOSトランジスターであるトランジスター235と、PMOSトランジスターであるトランジスター236とを含む。
選択信号Sは、デコーダー216からトランジスター235のゲート端子に供給される。また選択信号Sは、インバーター232によって論理反転されて、トランジスター236のゲート端子にも供給される。トランジスター235のドレイン端子、及びトランジスター236のソース端子は、トランスファーゲート234の一端である端子TG−Inに接続されている。トランスファーゲート234の端子TG−Inには、駆動信号COMが入力される。そして、トランジスター235、及びトランジスター236が、選択信号Sに従ってオン又はオフに制御されることで、トランジスター235のソース端子とトランジスター236のドレイン端子とが共通に接続されているトランスファーゲート234の他端である端子TG−Outから、駆動信号VOUTが出力される。この駆動信号VOUTが出力されるトランスファーゲート234の端子TG−Outは、圧電素子60の後述する電極611と電気的に接続されている。なお、以下の説明において、トランジスター235及びトランジスター236が導通状態に制御されている場合をオンと称し、トランジスター235及びトランジスター236が非導通状態に制御されている場合をオフと称する場合がある。
次に、図6を用いてデコーダー216のデコード内容について説明する。図6は、デコーダー216におけるデコード内容を示す図である。デコーダー216には、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。そして、デコーダー216は、例えば、印刷データ[SIH,SIL]が「中ドット」を規定する[1,0]である場合、期間T1,T2,T3でH,L,Lレベルとなる選択信号Sを出力する。ここで、選択信号Sの論理レベルは、不図示のレベルシフターによって、電圧信号VHVに基づく高振幅論理にレベルシフトされる。
図7は、駆動信号選択制御回路200の動作を説明するための図である。図7に示すように駆動信号選択制御回路200には、印刷データ信号SIがクロック信号SCKに同期してシリアルで供給され、吐出部600に対応するシフトレジスター212において順次転送される。そして、クロック信号SCKの供給が停止すると、シフトレジスター212のそれぞれには、吐出部600に対応した印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター212における最終n段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順番で供給される。
ここで、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、対応するシフトレジスター212に保持された印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。図7に示すLT1、LT2、…、LTnは、1段、2段、…、n段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた印刷データ[SIH,SIL]をである。
デコーダー216は、ラッチされた印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、図6に示される内容に従う論理レベルの選択信号Sを出力する。
印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択し、期間T2において台形波形Bdpを選択し、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、図7に示す大ドットに対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600から、中程度の量のインクと、小程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、当該インクが結合することで、大ドットが形成される。また、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択し、期間T2において台形波形Bdpを選択せず、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、図7に示す中ドットに対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600から、中程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、中ドットが形成される。また、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択せず、期間T2において台形波形Bdpを選択し、期間T3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、図7に示す小ドットに対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600から、小程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、小ドットが形成される。また、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択回路230は、選択信号Sに従い、期間T1において台形波形Adpを選択せず、期間T2において台形波形Bdpを選択せず、期間T3において台形波形Cdpを選択する。その結果、図7に示す微振動に対応する駆動信号VOUTが生成される。したがって、吐出部600からインクは吐出されず、微振動が生じる。
すなわち、駆動信号出力回路51が出力する駆動信号COMに含まれる台形波形を選択することで、駆動信号VOUTが生成される。したがって、駆動信号COMと駆動信号VOUTとは、共に圧電素子60を駆動させる信号であって、駆動信号出力回路51から出力される信号でもある。すなわち、駆動信号VOUT、及び駆動信号COMの少なくとも一方が駆動信号の一例である。
ここで、図8を用いて圧電素子60を含む吐出部600の構成及び動作について説明する。図8は、吐出部600を含むようにプリントヘッド21を切断した場合の吐出部600の概略構成を示す断面図である。
図8に示されるように、プリントヘッド21は、吐出部600とリザーバー641とを含む。リザーバー641には、インクが供給口661からインクが導入される。また、リザーバー641は、インクの色毎に設けられている。
吐出部600は、圧電素子60、振動板621、キャビティー631、及びノズル651を含む。振動板621は、キャビティー631と圧電素子60との間に設けられる。そして、振動板621は、上面に設けられた圧電素子60が駆動することで変位する。すなわち、振動板621は、変位することで、キャビティー631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。キャビティー631の内部には、インクが充填されている。また、キャビティー631は、圧電素子60の駆動により内部容積が変化する圧力室として機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に設けられるとともに、キャビティー631に連通する開孔部である。
圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,612で挟んだ構造である。電極611には駆動信号VOUTが供給され、電極612には基準電圧信号VBSが供給される。このような構造の圧電素子60は、電極611と電極612との電位差に応じて駆動する。そして圧電素子60の駆動に伴い、電極611,612、及び振動板621の中央部分が両端部分に対して上下方向に変位する。そして、振動板621の変位に伴いキャビティー631の内部容積が変化することで、キャビティー631の内部に充填されたインクが、ノズル651から吐出される。
4 駆動回路の構成、及び動作
次に駆動回路50の構成、及び動作について説明する。図9は、駆動回路50の構成を示すブロック図である。図9に示すように駆動回路50は、電源電圧供給制御回路52と、駆動信号出力回路51とを備える。そして、駆動回路50は、プリントヘッド21を駆動するための各種信号を出力する。なお、以下の説明では、第1電圧生成回路90aから出力される電圧信号VHVを、電圧信号VHV1と称し、駆動回路50から出力されプリントヘッド21に入力される電圧信号VHVを、電圧信号VHV2と称する場合がある。
電源電圧供給制御回路52は、電源電圧制御回路70と、ヒューズ80,81とを有する。駆動回路50に入力された電圧信号VHV1は、伝搬経路aで伝搬し電源電圧供給制御回路52が有する電源電圧制御回路70に入力される。電源電圧制御回路70は、入力される電圧信号VHV1を電圧信号VHVaとして出力するか否かを制御する。電源電圧制御回路70から出力された電圧信号VHVaは、伝搬経路bで伝搬しヒューズ80に入力される。ヒューズ80は、入力された電圧信号VHVaを電圧信号VHVbとして出力する。電圧信号VHVbは、伝搬経路cで伝搬しヒューズ81に入力される。ヒューズ81は、入力された電圧信号VHVbを電圧信号VHV2として出力する。電圧信号VHV2は、伝搬経路dで伝搬し駆動回路50から出力される。そして、駆動回路50から出力された電圧信号VHV2は、プリントヘッド21が有する駆動信号選択制御回路200に入力される。すなわち、電源電圧制御回路70は、駆動信号選択制御回路200と電気的に接続され、駆動信号選択制御回路200への電圧信号VHVの供給を制御する。ここで、電圧信号VHVが電圧信号VHV1,VHVa,VHVb,VHV2として伝搬する伝搬経路a,b,c,dのうち、少なくとも伝搬経路a,bを含む経路が、電源電圧伝搬経路の一例である。なお、伝搬経路a,b,c,dは、例えば駆動回路50が実装される回路基板に設けられた配線パターンであってもよく、集積回路の内部に設けられた配線パターンであってもよい。
また、電圧信号VHVbは、伝搬経路cで分岐される。分岐された一方の電圧信号VHVbは、ヒューズ81に供給され、分岐された他方の電圧信号VHVbは、駆動信号出力回路51に供給される。同様に電圧信号VHV2は、伝搬経路dで分岐される。分岐された一方の電圧信号VHV2は、プリントヘッド21に供給され、分岐された他方の電圧信号VHV2は、駆動信号出力回路51に供給される。すなわち、駆動信号出力回路51には、電源電圧制御回路70から出力された電圧信号VHVaがヒューズ80を介して入力される電圧信号VHVbと、電源電圧制御回路70から出力された電圧信号VHVaがヒューズ80,81を介して入力される電圧信号VHV2とが入力される。換言すれば、電源電圧制御回路70は、駆動信号出力回路51への電圧信号VHVの供給も制御する。
また、駆動信号出力回路51には、第2電圧生成回路90bから出力される電圧信号VDD、発振回路91から出力されるクロック信号MCK、及び制御回路100から出力される駆動データ信号DATAが入力される。さらに、駆動信号出力回路51と制御回路100との間では、エラー信号ERR、及び状態信号BUSYが相互に伝搬されてもよい。
ここで、駆動回路50が有する駆動信号出力回路51、及び電源電圧制御回路70の構成、及び動作について説明する。図10は、駆動信号出力回路51の構成を示す図である。駆動信号出力回路51は、集積回路500、増幅回路550、復調回路560、及び帰還回路570を含む。
集積回路500は、増幅制御信号生成回路502、内部電圧生成回路400、発振回路410、クロック選択回路420、異常検出回路430、レジスター制御回路440、駆動信号放電回路450、基準電圧信号出力回路460、VHV制御信号出力回路470、状態信号入出力回路480、及びエラー信号入出力回路490を含む。
内部電圧生成回路400には、電圧信号VDDが供給される。内部電圧生成回路400は、入力される電圧信号VDDを昇圧することで、例えばDC7.5Vの電圧信号GVDDを生成する。電圧信号GVDDは、後述するゲート駆動部540を含む集積回路500の各種構成に入力される。
増幅制御信号生成回路502は、端子DATA−Inから入力される駆動データ信号DATAに含まれる駆動信号COMの波形を規定するデータ信号に基づいて、増幅制御信号Hgd,Lgdを生成する。増幅制御信号生成回路502は、DACインターフェース(DAC_I/F:Digital to Analog Converter Interface)510、DAC部520、変調部530、及びゲート駆動部540を含む。
DACインターフェース510には、端子DATA−Inから供給される駆動データ信号DATAと、端子MCK−Inから供給されるクロック信号MCKとが入力される。DACインターフェース510は、クロック信号MCKに基づいて駆動データ信号DATAを積算し、駆動信号COMの波形を規定する例えば10bitの駆動データdAを生成する。DAC部520には、駆動データdAが入力される。DAC部520は、入力される駆動データdAをアナログ信号の元駆動信号aAに変換する。この元駆動信号aAは、駆動信号COMの増幅前の目標となる信号である。変調部530には、元駆動信号aAが入力される。変調部530は、元駆動信号aAにパルス幅変調を施した変調信号Msを出力する。ゲート駆動部540には、電圧信号VHV,GVDD及び変調信号Msが入力される。ゲート駆動部540は、入力される変調信号Msを電圧信号GVDDに基づき増幅するとともに、電圧信号VHVに基づいて高振幅論理にレベルシフトした増幅制御信号Hgdと、入力される変調信号Msの論理レベルを反転し、電圧信号GVDDに基づき増幅した増幅制御信号Lgdとを生成する。すなわち、増幅制御信号Hgdと増幅制御信号Lgdとは互いに排他的にHレベルとなる。増幅制御信号Hgdは、端子Hg−Outを介して集積回路500から出力され、増幅回路550に入力される。同様に、増幅制御信号Lgdは、端子Lg−Outを介して集積回路500から出力され、増幅回路550に入力される。
増幅回路550は、増幅制御信号Hgd,Lgdに基づき動作することで増幅変調信号MAsを出力する。増幅回路550は、トランジスター551,552を含む。なお、トランジスター551,552のそれぞれは、例えばNチャンネル型のFET(Field Effect Transistor)である。
トランジスター551のドレイン端子には、電圧信号VHVが供給される。トランジスター551のゲート端子には端子Hg−Outを介して増幅制御信号Hgdが供給される。トランジスター551のソース端子はトランジスター552のドレイン端子と電気的に接続している。また、トランジスター552のゲート端子には、端子Lg−Outを介して増幅制御信号Lgdが供給される。トランジスター552のソース電極はグラウンドに接続している。以上のように接続されたトランジスター551は、増幅制御信号Hgdに応じて動作し、トランジスター552は、増幅制御信号Lgdに応じて動作する。すなわち、トランジスター551とトランジスター552とは排他的にオンとなる。これにより、トランジスター551のソース端子と、トランジスター552のドレイン端子との接続点には、変調信号Msを電圧信号VHVに基づいて増幅した増幅変調信号AMsが生成される。
増幅回路550で生成された増幅変調信号AMsは、復調回路560に入力される。復調回路560は、コイル561とコンデンサー562を含む。コイル561の一端は、トランジスター551のソース端子、及びトランジスター552のドレイン端子と共通に接続されている。また、コイル561の他端は、コンデンサー562の一端と接続されている。コンデンサー562の他端は、グラウンドに接続されている。すなわち、コイル561とコンデンサー562とは、ローパスフィルターを構成する。そして、当該ローパスフィルターに増幅変調信号AMsが供給されることで、増幅変調信号AMsが復調され、駆動信号COMが生成される。この駆動信号COMが、駆動信号出力回路51から出力される。
また、復調回路560が生成した駆動信号COMは、帰還回路570を介して変調部530に帰還される。帰還回路570は、抵抗571,572を含む。抵抗571の一端は、コイル561の他端と接続され、抵抗571の他端は、抵抗572の一端と接続されている。抵抗572の他端には、電圧信号VHV2が供給される。そして、抵抗571の他端、及び抵抗572の一端は、端子Com−Disで共通に接続され、端子Com−Disを介して復調回路560と接続されている。すなわち、変調部530には、駆動信号COMが帰還回路570を介して、電圧信号VHV2でプルアップされて帰還する。
ここで、以下の説明において、集積回路500に含まれる増幅制御信号生成回路502、増幅回路550、復調回路560、及び帰還回路570を含む構成を、駆動データ信号DATAに基づいて駆動信号COMを生成する駆動信号生成回路501と称する場合がある。
発振回路410は、集積回路500の動作タイミングを規定するクロック信号LCKを生成し出力する。クロック信号LCKは、クロック選択回路420、及び異常検出回路430に入力される。
クロック選択回路420には、クロック信号MCK,LCK、及びクロック選択信号CSWが入力される。クロック選択回路420は、クロック選択信号CSWの論理レベルに基づいてクロック信号MCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力するのか、又はクロック信号LCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力するのかを切り替える。なお、本実施形態においてクロック選択回路420は、クロック選択信号CSWがHレベルの場合にクロック信号MCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力し、クロック選択信号CSWがLレベルの場合にクロック信号LCKをクロック信号RCKとしてレジスター制御回路440に出力するとして説明する。
異常検出回路430は、発振異常検出部431、動作異常検出部432、及び電源電圧異常検出部433を含む。
発振異常検出部431には、発振回路410が出力するクロック信号LCKが入力される。発振異常検出部431は、入力されるクロック信号LCKが正常であるか否かを検出し、検出結果に基づく論理レベルのクロック選択信号CSW、及びエラー信号NESを出力する。例えば、発振異常検出部431は、クロック信号LCKの周波数、及び電圧レベルの少なくとも一方を検出する。そして、発振異常検出部431は、クロック信号LCKの周波数、及び電圧レベルの少なくとも一方が異常である場合、Hレベルのクロック選択信号CSWをクロック選択回路420に出力するとともに、Hレベルのエラー信号NESをレジスター制御回路440に出力する。また、発振異常検出部431は、クロック信号LCKの周波数、及び電圧レベルの双方が正常である場合、Lレベルのクロック選択信号CSWをクロック選択回路420に出力するとともに、Lレベルのエラー信号NESをレジスター制御回路440に出力する。
動作異常検出部432には、駆動信号出力回路51の各種構成の動作状態を示す動作状態信号ASSが入力される。動作異常検出部432は、入力される動作状態信号ASSの論理レベルに基づいて、駆動信号出力回路51の各種構成が正常に動作しているか否かを検出する。本実施形態では、駆動信号出力回路51の各種構成のいずれかが異常である場合、Hレベルの動作状態信号ASSが動作異常検出部432に入力される。そして、動作異常検出部432にHレベルの動作状態信号ASSが入力された場合、動作異常検出部432は、Hレベルのエラー信号NESをレジスター制御回路440に出力する。
電源電圧異常検出部433には、プリントヘッド21に供給される電圧信号VHV2が入力される。電源電圧異常検出部433は、電圧信号VHV2の電圧値を検出する。そして、電源電圧異常検出部433は、電圧信号VHV2の電圧値に基づいて、プリントヘッド21に供給される電圧信号VHV2の電圧レベルが正常であるか否かを検出する。本実施形態では、電源電圧異常検出部433において、プリントヘッド21に供給される電圧信号VHV2の電圧レベルが異常であると判断された場合、電源電圧異常検出部433は、Hレベルのエラー信号FESをレジスター制御回路440に出力する。
レジスター制御回路440は、シーケンスレジスター441、状態レジスター442、及びレジスター制御部443を含む。シーケンスレジスター441、及び状態レジスター442は、クロック信号MCKに同期して駆動データ信号DATAとして入力される動作情報を保持する。そして、レジスター制御部443は、クロック信号RCKに同期して、シーケンスレジスター441、及び状態レジスター442に保持された情報に基づいて、制御信号CNT1〜CNT6を生成し出力する。これにより、駆動信号出力回路51の動作が制御される。
制御信号CNT1は、駆動信号放電回路450に入力される。駆動信号放電回路450は、駆動信号出力回路51から出力される駆動信号COMに基づく電荷の放出を制御する。図11は、駆動信号放電回路450の構成を示す図である。駆動信号放電回路450は、抵抗451、トランジスター452、及びインバーター453を含む。なお、以下の説明では、トランジスター452をNMOSトランジスターとして説明する。
抵抗451の一端は、端子Com−Disと接続されている。抵抗451の他端は、トランジスター452のドレイン端子と接続されている。トランジスター452のソース端子は、グラウンドに接続されている。また、トランジスター452のゲート端子には、インバーター453を介して制御信号CNT1が入力される。以上のように構成された駆動信号放電回路450にHレベルの制御信号CNT1が入力された場合、トランジスター452はオフに制御される。したがって、駆動信号放電回路450は、端子Com−Disに蓄えられている電荷の放出を行わない。一方、駆動信号放電回路450にLレベルの制御信号CNT1が入力された場合、トランジスター452はオンに制御される。したがって、駆動信号放電回路450は、端子Com−Disに蓄えられている電荷の放出を行う。すなわち、駆動信号放電回路450は、制御信号CNT1に基づいて、駆動信号COMがプリントヘッド21に供給される経路に蓄えられた電荷を、放出する。
制御信号CNT2は、基準電圧信号出力回路460に入力される。基準電圧信号出力回路460は、圧電素子60に供給される基準電圧信号VBSを生成し出力する。図12は、基準電圧信号出力回路460の構成を示す図である。基準電圧信号出力回路460は、コンパレーター461、トランジスター462,463、抵抗464,465,466、及びインバーター467を含む。なお、以下の説明では、トランジスター462をPMOSトランジスターとして、また、トランジスター463をNMOSトランジスターとして説明する。
コンパレーター461の入力端(−)には基準電圧Vrefが供給される。また、コンパレーター461の入力端(+)は抵抗464の一端、及び抵抗465の一端と共通に接続されている。コンパレーター461の出力端は、トランジスター462のゲート端子と接続されている。トランジスター462のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。トランジスター462のドレイン端子は、抵抗464の他端、抵抗466の一端、及び基準電圧信号VBSが出力される端子VBS−Outと共通に接続されている。抵抗466の他端はトランジスター463のドレイン端子と接続されている。トランジスター463のゲート端子にはインバーター467を介して制御信号CNT2が入力される。トランジスター463のソース端子、及び抵抗465の他端はグラウンドと接続されている。
以上のように構成された基準電圧信号出力回路460において、コンパレーター461の入力端(+)に供給される電圧が、コンパレーター461の入力端(−)に供給される基準電圧Vrefよりも大きい場合、コンパレーター461は、Hレベルの信号を出力する。このとき、トランジスター462はオフに制御される。したがって、端子VBS−Outには、電圧信号GVDDが供給されない。一方、コンパレーター461の入力端(+)に供給される電圧が、コンパレーター461の入力端(−)に供給される基準電圧Vrefより小さい場合、コンパレーター461は、Lレベルの信号を出力する。このとき、トランジスター462は、オンに制御される。したがって、端子VBS−Outには、電圧信号GVDDが供給される。すなわち、基準電圧信号VBSを抵抗464,465とで分圧した電圧値と、基準電圧Vrefとが等しくなるようにコンパレーター461が動作することにより、基準電圧信号出力回路460は、電圧信号GVDDに基づく一定電圧値の基準電圧信号VBSを生成する。
以上のように構成された基準電圧信号出力回路460にHレベルの制御信号CNT2が入力された場合、トランジスター463はオフに制御される。したがって、抵抗466、及びトランジスター463を介して端子VBS−Outとグラウンドとを電気的に接続する経路は、ハイインピーダンスに制御される。その結果、端子VBS−Outから、一定電圧値の基準電圧信号VBSが出力される。一方、基準電圧信号出力回路460にLレベルの制御信号CNT2が入力された場合、トランジスター463はオンに制御される。したがって、端子VBS−Outは抵抗576を介してグラウンドと電気的に接続される。その結果、グラウンド電位の基準電圧信号VBSが出力される。換言すれば、基準電圧信号出力回路460にLレベルの制御信号CNT2が入力された場合、基準電圧信号出力回路460は、基準電圧信号VBSの出力を停止する。
制御信号CNT3は、VHV制御信号出力回路470に入力される。VHV制御信号出力回路470は、電源電圧制御回路70に供給されるVHV制御信号VHV_CNTを出力する。図13は、VHV制御信号出力回路470の構成を示す図である。VHV制御信号出力回路470は、トランジスター471を含む。なお、以下の説明では、トランジスター471をPMOSトランジスターとして説明する。
トランジスター471のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。トランジスター471のドレイン端子は、端子VHV_CNT−Outと接続されている。トランジスター471のゲート端子には、制御信号CNT3が入力される。以上のように構成されたVHV制御信号出力回路470にLレベルの制御信号CNT3が入力された場合、端子VHV_CNT−Outには、電圧信号GVDDが供給され、Hレベルの制御信号CNT3が入力された場合、端子VHV_CNT−Outには、グラウンド電位の信号が供給される。すなわち、VHV制御信号出力回路470は、制御信号CNT3の論理レベルが反転し、電圧信号GVDDで増幅された信号をVHV制御信号VHV_CNTとして出力する。
VHV制御信号出力回路470から出力されたVHV制御信号VHV_CNTは、図9に示すように、電源電圧制御回路70に入力される。そして、詳細は後述するが、電源電圧制御回路70は、入力されるVHV制御信号VHV_CNTに基づいて、プリントヘッド21に電圧信号VHV2を供給するのか否かを制御する。すなわち、VHV制御信号VHV_CNTは、電源電圧制御回路70の動作を制御する信号である。
制御信号CNT4は、状態信号入出力回路480に入力される。状態信号入出力回路480は、駆動信号出力回路51の動作状態を示す状態信号BUSYを出力すると共に、他の構成から出力された状態信号BUSYを入力する。ここで、他の構成とは、例えば液体吐出装置1が複数の駆動信号出力回路51を有する場合における異なる駆動信号出力回路51であってもよく、例えば、制御回路100であってもよい。図14は、状態信号入出力回路480の構成を示す図である。状態信号入出力回路480は、トランジスター481、及びインバーター482を含む。なお以下の説明では、トランジスター481をPMOSトランジスターとして説明する。また、インバーター482は、集積回路500のCOMS入力端子として機能する。すなわち、状態信号入出力回路480は、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT4に基づいて、端子BUSY−Outから状態信号BUSYを出力する共に、端子BUSY−Outに入力される信号をレジスター制御回路440に入力する。なお、図14には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT4を制御信号CNT4−outとして図示し、レジスター制御回路440に入力される制御信号CNT4を制御信号CNT4−inとして図示している。
トランジスター481のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。また、トランジスター481のドレイン端子は、インバーター482の入力端、及び端子BUSY−Outと接続されている。また、トランジスター481のゲート端子には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT4−outが入力される。また、インバーター482の出力端からレジスター制御回路440に入力される制御信号CNT4−inが出力される。以上のように構成された状態信号入出力回路480にLレベルの制御信号CNT4が入力された場合、端子BUSY−Outには、電圧信号GVDDが供給される。すなわち、Hレベルの状態信号BUSYが出力される。
制御信号CNT5は、エラー信号入出力回路490に入力される。エラー信号入出力回路490は、駆動信号出力回路51に異常が生じているか否かを示すエラー信号ERRを出力すると共に、他の構成から出力されたエラー信号ERRを入力する。ここで、他の構成とは、例えば液体吐出装置1が複数の駆動信号出力回路51を有する場合における異なる駆動信号出力回路51であってもよく、例えば、制御回路100であってもよい。図15は、エラー信号入出力回路490の構成を示す図である。エラー信号入出力回路490は、トランジスター491、及びインバーター492を含む。なお以下の説明では、トランジスター491をPMOSトランジスターとして説明する。また、インバーター492は、集積回路500のCOMS入力端子として機能する。すなわち、エラー信号入出力回路490は、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT5に基づいて、端子ERR−Outからエラー信号ERRを出力する共に、端子ERR−Outに入力される信号をレジスター制御回路440に入力する。なお、図15には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT5を制御信号CNT5−outとして図示し、レジスター制御回路440に入力される制御信号CNT5を制御信号CNT5−inとして図示している。
トランジスター491のソース端子には、電圧信号GVDDが供給される。また、トランジスター491のドレイン端子は、インバーター492の入力端、及び端子ERR−Outと接続されている。また、トランジスター491のゲート端子には、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT5−outが入力される。また、インバーター492の出力端からは、レジスター制御回路440に入力される制御信号CNT5−inが出力される。以上のように構成されたエラー信号入出力回路490にLレベルの制御信号CNT5が入力された場合、端子ERR−Outには、電圧信号GVDDが供給される。すなわち、Hレベルのエラー信号ERRが出力される。
以上のように、駆動信号出力回路51が、状態信号入出力回路480及びエラー信号入出力回路490を備えることで、液体吐出装置1が、複数の駆動信号出力回路51を有する場合に、駆動信号出力回路51間でエラー情報、及び動作情報を共有することが可能となる。したがって、複数の駆動信号出力回路51のいずれかで異常が生じた場合に、当該異常を示す状情報に基づいて、異常が生じていない他の駆動信号出力回路51の動作を制御することが可能となる。
制御信号CNT6は、増幅制御信号生成回路502に入力される。増幅制御信号生成回路502に制御信号CNT6が入力された場合、駆動信号生成回路501が生成する駆動信号COMの波形は、駆動データ信号DATAによらず、制御信号CNT6により規定される。具体的には、制御信号CNT6は、駆動信号生成回路501が所定の電圧値で一定となる駆動信号COMを生成するための信号であってもよく、また、駆動信号生成回路501が、グラウンド電位で一定となるような、駆動信号COMを生成するための信号であってもよい。
以上のように構成された駆動信号出力回路51では、クロック信号MCKと同期して駆動データ信号DATAとして入力される動作情報が、シーケンスレジスター441に保持される。そして、レジスター制御部443が、シーケンスレジスター441に保持された動作情報に基づいて、駆動信号出力回路51のシーケンス制御を実行する。その後、シーケンス制御が実行されることで、当該シーケンス制御の実行に伴う動作モードを示す情報が状態レジスター442に保持される。レジスター制御回路440は、状態レジスター442に保持された動作モードを示す情報に基づいて、制御信号CNT1〜CNT6の出力を制御する。これにより、駆動信号出力回路51から出力される各種信号が制御される。
次に、図16を用いて電源電圧制御回路70の構成、及び動作について説明する。図16は、電源電圧制御回路70の構成を示す図である。図16に示すように、電源電圧制御回路70は、電源電圧遮断回路71と、電源電圧放電回路72とを有する。電源電圧遮断回路71は、トランジスター711,712、抵抗713,714、及びコンデンサー715を含む。ここで、本実施形態におけるトランジスター711はPMOSトランジスターであり、トランジスター712はNMOSトランジスターである。
トランジスター711のソース端子は、伝搬経路aと接続され、トランジスター711のドレイン端子は、伝搬経路bと接続されている。換言すれば、電源電圧制御回路70は、電圧信号VHVが伝搬する伝搬経路a,bに設けられたトランジスター711を有する。このトランジスター711がスイッチ素子の一例である。また、トランジスター711のゲート端子は、抵抗713の一端、抵抗714の一端、及びコンデンサー715の一端と接続されている。
抵抗713の他端、及びコンデンサー715の他端は、伝搬経路aと接続されている。すなわち、抵抗713、及びコンデンサー715は、トランジスター711のソース端子、ゲート端子間に並列に設けられている。抵抗714の他端は、トランジスター712のドレイン端子と接続されている。トランジスター712のソース端子は、グラウンドと接続されている。また、トランジスター712のゲート端子には、VHV制御信号VHV_CNTが入力される。
以上のように構成された電源電圧遮断回路71にHレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター712がオンに制御される。そして、トランジスター712がオンに制御されることで、トランジスター711がオンに制御される。これにより、伝搬経路aと伝搬経路bとが導通し、電圧信号VHV1は、電圧信号VHVbとして伝搬経路bに伝搬される。一方、電源電圧遮断回路71にLレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター712がオフに制御される。そして、トランジスター712がオフに制御されることで、トランジスター711がオフに制御される。これにより、伝搬経路aと伝搬経路bとが電気的に遮断され、電圧信号VHV1は、伝搬経路bに伝搬されない。すなわち、トランジスター711を含む電源電圧遮断回路71はVHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに基づいて、電圧信号VHVが伝搬される伝搬経路aと伝搬経路bとの導通を制御する。換言すれば、電源電圧遮断回路71を含む電源電圧制御回路70は、電圧信号VHV1のプリントヘッド21への供給を制御する。ここで、トランジスター711を含む電源電圧遮断回路71が、電圧制限回路の一例である。
電源電圧放電回路72は、トランジスター721,722、抵抗723,724、及び
コンデンサー725を含む。ここで、本実施形態におけるトランジスター721,722は、共にNMOSトランジスターである。
抵抗723の一端は、伝搬経路bと接続され、抵抗723の他端は、トランジスター721のドレイン端子と接続されている。トランジスター721のソース端子は、グラウンドと接続されている。トランジスター721のゲート端子は、抵抗724の一端、コンデンサー725の一端、及びトランジスター722のドレイン端子と接続されている。抵抗724の他端には、電圧信号VDDが供給されている。コンデンサー725の他端、及びトランジスター722のソース端子は、グラウンドに接続されている。そして、トランジスター722のゲート端子には、VHV制御信号VHV_CNTが入力される。
以上のように、電源電圧放電回路72は、電源電圧遮断回路71とプリントヘッド21とを電気的に接続する配線である伝搬経路bと電気的に接続されている。そして、電源電圧放電回路72は、VHV制御信号VHV_CNTに基づいて、電圧信号VHVに基づく電荷を放出する。具体的には、電源電圧放電回路72に、HレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター722はオンに制御される。そして、トランジスター722がオンすることで、トランジスター721はオフに制御される。このとき、電源電圧放電回路72は、伝搬経路bで伝搬される電圧信号VHVに基づく電荷を放出しない。一方、電源電圧放電回路72に、LレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合、トランジスター722はオフに制御される。そして、トランジスター722がオフすることで、トランジスター721のゲート端子には、電圧信号VDDが供給される。したがって、トランジスター721はオンに制御される。このとき、電源電圧放電回路72は、伝搬経路bで伝搬される電圧信号VHVに基づく電圧により蓄えられた電荷を放出する。ここで、電源電圧放電回路72が、放電回路の一例である。
以上のように、電源電圧制御回路70は、VHV制御信号VHV_CNTの論理レベルに基づいて電圧信号VHV1を伝搬経路bに供給するのか、又は伝搬経路bに蓄えられた電荷を放出するのかを切り替える。具体的には、電源電圧制御回路70にHレベルのVHV制御信号VHV_CNTが供給された場合、トランジスター711がオンに制御され、トランジスター721がオフに制御される。その結果、伝搬経路aに供給されている電圧信号VHV1が、トランジスター711を介して電圧信号VHVaとして伝搬経路bに供給される。一方、電源電圧制御回路70にLレベルのVHV制御信号VHV_CNTが供給された場合、トランジスター711がオフに制御され、トランジスター721がオンに制御される。その結果、伝搬経路aに供給されている電圧信号VHV1は、トランジスター711により遮断され、伝搬経路bに蓄えられた電荷がトランジスター721を介して放出される。
ここで、図9に示すように、駆動信号出力回路51に電圧信号VHVbが供給される伝搬経路bには、電圧の変動を低減するためのコンデンサー55が接続されている。前述の通り、電圧信号VHVbは、駆動信号出力回路51が有する増幅回路550に入力される。そして、増幅回路550は、増幅制御信号Hgd,Lgdに基づいて動作し、変調信号Msを電圧信号VHVbに基づく電圧値に増幅することで増幅変調信号MSaを生成する。復調回路560は、増幅変調信号MSaを復調することで、駆動信号COMを生成する。そのため、電圧信号VHVbの電圧値に変動した場合、駆動信号COMの波形に歪みが生じ、インクの吐出精度が悪化する。すなわち、コンデンサー55が、駆動信号出力回路51に入力される電圧信号VHVbの電圧値の変動を低減することで、液体吐出装置1から吐出されるインクの吐出精度が悪化するおそれを低減することができる。
このような電圧値の変動を低減させるコンデンサー55は、容量値の大きなコンデンサーが用いられる場合がある。そのため、電源電圧制御回路70が、LレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力され、伝搬経路bに蓄えられた電荷が放出されている状態から、VHV制御信号VHV_CNTの論理レベルがHレベルとなり、伝搬経路bに電圧信号VHVbの供給を開始する状態となった場合、伝搬経路bに供給される電圧信号VHVbの電圧値に基づいて突入電流が生じる。このような突入電流は、電圧信号VHVbの電圧値と突入電流が流れる経路の抵抗値により規定される。そのため、当該経路の抵抗値が小さい場合、突入電流は、大電流となる場合がある。そして、このような大電流の突入電流は、当該突入電流が流れる経路に設けられた各種部品を故障させたり、さらには、当該経路の配線が溶断させたりするおそれがあり、その結果、液体吐出装置1に故障、又は誤動作を生じさせる可能性がある。
このような突入電流を低減するために一般的には突入電流低減回路が設けられる。突入電流低減回路として、例えば、突入電流が生じる経路に抵抗素子を備える構成が知られている。しかしながら突入電流が生じる経路に抵抗素子を備えた場合、液体吐出装置1が吐出動作を行っている場合に、当該抵抗素子の抵抗値により、電力損失が生じ、液体吐出装置1の電力効率が低下する。また、抵抗素子と並列にスイッチ素子を設け、抵抗素子で突入電流を低減した後、スイッチ素子を導通に制御することで、上述のような電力損失を低減させる技術が知られている。しかしながら、このような構成を採用した場合、突入電流低減回路の構成が複雑になるおそれがある。
そこで、本実施形態における液体吐出装置1では、突入電流低減回路における電力損失を低減し、且つ複雑な構成を備えることなく大電流の突入電流が生じるおそれを低減する。具体的には、伝搬経路bに蓄えられた電荷が放出されている状態から、伝搬経路bに電圧信号VHVbの供給を開始する場合に、電源電圧制御回路70に複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTを供給することで、大電流の突入電流が生じるおそれを低減する。換言すれば、本実施形態における液体吐出装置1が有する駆動回路50において、電源電圧制御回路70が有するトランジスター711は、複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTにより制御される。これにより、コンデンサー55に急峻に電荷が供給されることを低減することが可能となり、大電流の突入電流が生じるおそれを低減することが可能となる。ここで、VHV制御信号VHV_CNTがスイッチ制御信号の一例である。
ここで、図17を用いて、伝搬経路bに蓄えられた電荷が放出されている状態から、伝搬経路bに電圧信号VHVbの供給を開始する場合に、伝搬経路bに供給される電圧信号VHVbの電圧変化、及びVHV制御信号VHV_CNTについて説明する。図17は、電圧信号VHVbの電圧値の変化とVHV制御信号VHV_CNTとの関係を示す図である。なお、図17に示す破線は、電源電圧制御回路70に入力されるVHV制御信号VHV_CNTがパルス波形でない場合の電圧信号VHVbの時間変化を模式的に示している。
時間t0以前において、電源電圧制御回路70は、プリントヘッド21への電圧信号VHV2の供給を停止している。すなわち、電源電圧制御回路70には、LレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力されている。そして、時間t0において、電源電圧制御回路70は、プリントヘッド21への電圧信号VHV2の供給を開始する。この場合において、電源電圧制御回路70には、複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTが入力される。具体的には、時間t0からの期間Tbにおいて、電源電圧制御回路70には、複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTが入力される。そして、複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTに従って、トランジスター712が短時間で導通、非導通を繰り返す。これにより、トランジスター711のゲート−ソース間電圧が、複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTにより制御されていない場合と比較してゆっくりと変化し、それに伴って、トランジスター711のドレイン−ソース間抵抗、すなわち伝搬経路aと伝搬経路bとの間の抵抗値は、非導通状態から導通状態へ、ゆっくりと変化する。その結果、完全な導通状態と比較して、大きな抵抗を持っている状態で、伝搬経路aから伝搬経路bへと電流が流れ始めることになり、伝搬経路bに大電流の突入電流が生じるおそれが低減される。
そして、時間t0からの期間Tb経過した後、電源電圧制御回路70には、HレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力される。これにより、トランジスター711のドレイン−ソース間、すなわち伝搬経路aと伝搬経路bとの間は、完全に導通状態となる。このとき、コンデンサー55には十分な電荷が蓄えられている。したがって、電源電圧制御回路70に、HレベルのVHV制御信号VHV_CNTが入力された場合に、大電流の突入電流が生じるおそれは低減されている。
ここで、電源電圧制御回路70に複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTが供給されている期間Tbは、駆動信号出力回路51が有するレジスター制御回路440により規定される。具体的には、VHV制御信号VHV_CNTは、レジスター制御回路440から出力される制御信号CNT3により制御される。そのため、期間Tbにおいて、制御信号CNT3もまた複数のパルス波形を含む。そして、VHV制御信号出力回路470に出力する制御信号CNT3のパルス数が、レジスター制御回路440で記憶されている所定の回数に達した場合に、レジスター制御回路440は、制御信号CNT3の論理レベルをLレベルとする。すなわち、制御信号CNT3のパルス数が、レジスター制御回路440に記憶されている所定の回数に達するまでの期間が、期間Tbに相当する。
以上のように、レジスター制御回路440に記憶されている情報に基づいて、複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTが出力される期間Tbを規定することで、レジスター制御回路440に記憶されている情報を変更することで、電圧信号VHV2が供給される回路の構成や特性に適した期間Tbを容易に設定することが可能となる。すなわち、コンデンサー55の容量値や、プリントヘッド21のインピーダンス特性が異なる液体吐出装置であっても、レジスター制御回路440に記憶される情報を変更することで、容易に大電流の突入電流が生じるおそれを低減することが可能となる。
なお、期間Tbは、コンデンサー55に十分に電荷を蓄えられることが可能な時間であればよく、例えば、レジスター制御回路440において当該パルス波形を出力する時間で規定されてもよく、また、電圧信号VHVa,VHVb,VHV2のいずれかの電圧値に基づいて規定されてもよい。
ここで、期間Tbで出力されるVHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形について説明する。図18は、期間Tbにおいて、VHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形の一例を示す図である。VHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形は、周期Tb1で周期的に繰り返される。具体的には、期間Tb2でHレベルとなるパルス波形の信号が周期Tb1で繰り返される。そして、トランジスター711は、Hレベルのパルス信号が入力されている期間にオンに制御される。ここで、VHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形の1つでトランジスター711がオンに制御される期間は、電源電圧制御回路70から出力される電圧信号VHVaが供給される負荷回路の時定数で規定される期間よりも短い。すなわち、VHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形が、図18に示すような矩形波である場合、期間Tb2は、電源電圧制御回路70から出力される電圧信号VHVaが供給される負荷回路の時定数で規定される期間よりも短い。
ここで、電源電圧制御回路70から出力される電圧信号VHVaが供給される負荷回路とは、コンデンサー55、駆動信号出力回路51、及びプリントヘッド21を含む電圧信号VHVa,VHVb,VHV2が供給される経路に設けられた各種構成を意味する。なお、一般に、電圧信号VHVが供給される経路において、プリントヘッド21、及び駆動信号出力回路51が有する容量成分に対して、コンデンサー55の容量成分は大きい。すなわち、電源電圧制御回路70から出力される電圧信号VHVaが供給される負荷回路とは、典型的には、コンデンサー55、駆動信号出力回路51、及びプリントヘッド21を含む構成であるが、狭義には、コンデンサー55と、コンデンサー55に電圧信号VHVを供給する経路の配線インピーダンスに相当する。
そして、当該負荷回路の時定数とは、コンデンサー55、駆動信号出力回路51、及びプリントヘッド21のインピーダンス、又は、コンデンサー55と、コンデンサー55に電圧信号VHVを供給する経路の配線インピーダンスで規定される時定数であって、例えば、伝搬経路bの電荷が完全に放出されている状態において、伝搬経路bに電圧信号VHVを供給を開始した場合に、伝搬経路bの電圧値が、電圧信号VHVの約63.2%の電圧値に到達するまでの時間である。
VHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形の1つでトランジスター711がオンに制御される期間を、電源電圧制御回路70から出力される電圧信号VHVaが供給される負荷回路の時定数で規定される期間よりも短くすることで、伝搬経路bに蓄えられた電荷が放出されている状態から、伝搬経路bに電圧信号VHVbの供給を開始した場合に大電流の突入電流が生じるおそれをさらに低減することが可能となる。
なお、図18では、VHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形を矩形波として示しているが、例えば、三角波、ノコギリ波、及びこれらを組み合わせた波形であってもよい。
5 作用効果
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1及び駆動回路50は、駆動信号選択制御回路200への電圧信号VHVの供給を制御する電源電圧制御回路70を備え、電源電圧制御回路70は、電圧信号VHVが伝搬する伝搬経路a、伝搬経路bの間に設けられたトランジスター711を有する。そして、トランジスター711は、複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTにより制御される。
以上のように、電圧信号VHVが伝搬する伝搬経路a、伝搬経路bの間に設けられたトランジスター711が複数のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTにより制御されることで、電源電圧制御回路70から出力される電圧信号VHVが供給される経路に接続された各種構成には、電圧信号VHVに基づく電荷が徐々に蓄えられる。したがって、駆動信号出力回路51、及び駆動信号選択制御回路200への電圧信号VHVの供給を停止することが可能な液体吐出装置1において、駆動信号出力回路51、及び駆動信号選択制御回路200への電圧信号VHVの供給が再開された場合に、駆動信号出力回路51、及び駆動信号選択制御回路200に大電流の突入電流が生じるおそれが低減される。
6 変形例
上述した液体吐出装置1、及び駆動回路50では、伝搬経路bに蓄えられた電荷が放出されている状態から、伝搬経路bに電圧信号VHVbの供給を開始する場合に、電源電圧制御回路70には、期間Tbにおいて一定のデューティー比のパルス波形を複数含むVHV制御信号VHV_CNTが供給され、その後、HレベルのVHV制御信号VHV_CNTが供給されているとして説明したが、図19から図21に示すように、伝搬経路bに蓄えられた電荷が放出されている状態から、伝搬経路bに電圧信号VHVbの供給を開始する場合に、電源電圧制御回路70には、伝搬経路bに電圧信号VHVbの供給を開始した直後の期間Tcと、期間Tcよりも後の期間Tdとで異なるデューティー比のパルス波形を含むVHV制御信号VHV_CNTが供給され、その後、HレベルのVHV制御信号VHV_CNTが供給されてもよい。その場合において、VHV制御信号VHV_CNTの期間Tcにおけるデューティー比は、期間Tcよりも後の期間Tdにおけるデューティー比よりも大きい。ここで、期間Tcが第1期間の一例であり、期間Tdが第2期間の一例である。
図19は、液体吐出装置1、及び駆動回路50の変形例におけるVHVbの電圧値の変化とVHV制御信号VHV_CNTとの関係を示す図である。また、図20は、期間TcにおけるVHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形の一例を示す図であり、図21は、期間TdにおけるVHV制御信号VHV_CNTに含まれるパルス波形の一例を示す図である。
図19及び図20に示すように、期間Tcにおいて、電源電圧制御回路70に供給されるVHV制御信号VHV_CNTは、期間Tc2でHレベルとなるパルス波形の信号が周期Tc1で繰り返される。すなわち、デューティー比は、Tc2/Tc1となる。また、図19及び図21に示すように、期間Tdにおいて、電源電圧制御回路70に供給されるVHV制御信号VHV_CNTは、期間Td2でHレベルとなるパルス波形の信号が周期Td1で繰り返される。すなわち、デューティー比は、Td2/Td1となる。
ここで、期間Tcにおけるデューティー比を期間Tdにおけるデューティー比よりも大きくすることで、伝搬経路bに供給される電圧信号VHVbの立ち上がりを早めることが可能となる。すなわち、変形例における液体吐出装置1では、大電流の突入電流が生じるおそれを低減するとともに、駆動信号出力回路51、及び液体吐出装置1の起動を早くすることが可能となる。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…液体吐出装置、2…移動体、3…移動機構、4…搬送機構、20…ヘッドユニット、21…プリントヘッド、24…キャリッジ、31…キャリッジモーター、32…キャリッジガイド軸、33…タイミングベルト、35…キャリッジモータードライバー、40…プラテン、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、45…搬送モータードライバー、50…駆動回路、51…駆動信号出力回路、52…電源電圧供給制御回路、55…コンデンサー、60…圧電素子、70…電源電圧制御回路、71…電源電圧遮断回路、72…電源電圧放電回路、80,81…ヒューズ、90a…第1電圧生成回路、90b…第2電圧生成回路、91…発振回路、100…制御回路、190…ケーブル、200…駆動信号選択制御回路、210…選択制御回路、212…シフトレジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232…インバーター、234…トランスファーゲート、235,236…トランジスター、400…内部電圧生成回路、410…発振回路、420…クロック選択回路、430…異常検出回路、431…発振異常検出部、432…動作異常検出部、433…電源電圧異常検出部、440…レジスター制御回路、441…シーケンスレジスター、442…状態レジスター、443…レジスター制御部、450…駆動信号放電回路、451…抵抗、452…トランジスター、453…インバーター、460…基準電圧信号出力回路、461…コンパレーター、462,463…トランジスター、464,465,466…抵抗、467…インバーター、470…VHV制御信号出力回路、471…トランジスター、480…状態信号入出力回路、481…トランジスター、482…インバーター、490…エラー信号入出力回路、491…トランジスター、492…インバーター、500…集積回路、501…駆動信号生成回路、502…増幅制御信号生成回路、510…DACインターフェース、520…DAC部、530…変調部、540…ゲート駆動部、550…増幅回路、551,552…トランジスター、560…復調回路、561…コイル、562…コンデンサー、570…帰還回路、571、572,576…抵抗、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、661…供給口、711,712…トランジスター、713,714…抵抗、715…コンデンサー、721,722…トランジスター、723,724…抵抗、725…コンデンサー、P…媒体

Claims (6)

  1. 駆動信号が供給される圧電素子と、前記圧電素子への前記駆動信号の供給を制御する駆動信号選択制御回路と、を含む圧電デバイスを駆動する駆動回路であって、
    前記駆動信号選択制御回路と電気的に接続され、前記駆動信号選択制御回路への電源電圧信号の供給を制御する電源電圧制御回路を備え、
    前記電源電圧制御回路は、前記電源電圧信号が伝搬する電源電圧伝搬経路に設けられたスイッチ素子を有し、
    前記スイッチ素子は、複数のパルス波形を含むスイッチ制御信号により制御される、
    ことを特徴とする駆動回路。
  2. 1つの前記パルス波形により前記スイッチ素子が導通に制御される期間は、前記電源電圧制御回路から出力される前記電源電圧信号が供給される前記電源電圧制御回路の負荷回路の時定数で規定される期間よりも短い、
    ことを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
  3. 前記駆動信号を出力する駆動信号出力回路を備え、
    前記電源電圧制御回路は、前記駆動信号出力回路への前記電源電圧信号の供給を制御する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動回路。
  4. 前記スイッチ制御信号の第1期間のデューティー比は、前記第1期間よりも後の第2期間のデューティー比よりも大きい、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動回路。
  5. 前記電源電圧制御回路は、
    前記スイッチ素子を含む電圧制限回路と、
    前記電源電圧信号に基づく電荷を放出する放電回路と、
    を有し、
    前記放電回路は、前記電圧制限回路と前記圧電デバイスとを電気的に接続する配線と、電気的に接続されている、
    ことを特徴をとする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動回路。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動回路と、
    前記圧電デバイスを含むプリントヘッドと、
    を備える、
    ことを特徴をとする液体吐出装置。
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