JP7312880B1 - 積層鉄心、及び積層鉄心の製造方法 - Google Patents

積層鉄心、及び積層鉄心の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7312880B1
JP7312880B1 JP2022069314A JP2022069314A JP7312880B1 JP 7312880 B1 JP7312880 B1 JP 7312880B1 JP 2022069314 A JP2022069314 A JP 2022069314A JP 2022069314 A JP2022069314 A JP 2022069314A JP 7312880 B1 JP7312880 B1 JP 7312880B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnet
insertion portion
magnet piece
piece
magnet insertion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022069314A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023159562A (ja
Inventor
寿満 榎
康作 西岡
豊久 石井
茂則 木村
Original Assignee
株式会社メタルアート
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社メタルアート filed Critical 株式会社メタルアート
Priority to JP2022069314A priority Critical patent/JP7312880B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7312880B1 publication Critical patent/JP7312880B1/ja
Publication of JP2023159562A publication Critical patent/JP2023159562A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)
  • Manufacture Of Motors, Generators (AREA)

Abstract

【課題】磁石挿入部に対して磁石片を片側に寄せて位置決めした状態で固定することができる積層鉄心を提供することを目的とする。【解決手段】板状の鉄心片41を複数積層して形成される、磁石挿入部55を有する積層鉄心本体20と、磁石挿入部55に挿入される磁石片25と、磁石挿入部55の内面に磁石片25が押付状態となるように磁石挿入部55と磁石片25との間に介在される接着部30と、磁石挿入部55に磁石片25を固定するように磁石挿入部55と磁石片25との間に充填される樹脂35とを備えるものとする。【選択図】図1

Description

本発明は、モータのロータコアとして用いられる積層鉄心、及び当該積層鉄心の製造方法に関する。
産業機器や自動車用のモータとして、例えば、永久磁石等の磁性部材が埋め込まれたロータを用いたものがある。この種のモータは、ロータに永久磁石が埋め込まれる構成であるため、高速回転が可能であり、磁石形状や磁束の通り道によってリラクタンストルクを発生する。このリラクタンストルクが永久磁石のトルクに加わることにより、高出力で高効率のモータを得ることができる。
ロータは、主として、積層鉄心(ロータコア)と、積層鉄心の中心部に貫通状態で挿入・固定されるロータシャフトとにより構成されている。積層鉄心は、板状の鉄心片を複数積層して形成される積層鉄心本体と、積層鉄心本体に設けられた磁石挿入部に挿入・固定される磁石片(永久磁石)とにより構成されている。
磁石挿入部に磁石片を固定する方法として、磁石挿入部と当該磁石挿入部に挿入された磁石片との間の隙間に熱硬化性樹脂を充填して磁石片を固定するトランスファーモールド成形法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
上記トランスファーモールド成形法において、例えば、磁石挿入部が断面長方形状の孔によって形成され、この孔の輪郭における対向する二つの長辺のうち、一方の長辺側に位置するように樹脂注入孔を設けている場合、この樹脂注入孔から磁石挿入部に熱硬化性樹脂を注入すれば、磁石挿入部における他方の長辺側に寄せて磁石片を固定することができる。これにより、ロータコアのバランスが良くなるとともに、磁束位置のばらつきがなくなり、騒音、損失、振動等を低減したモータを製造することができるという利点がある。
特開2002-34187号公報
しかしながら、上記特許文献1に代表されるトランスファーモールド成形法において、熱硬化性樹脂を注入する段階では、磁石挿入部に対して磁石片の位置決めがなされておらず、磁石挿入部に対する磁石片の姿勢が、注入される熱硬化性樹脂の流れによって成り行きで定まってしまい、磁石片が傾いた状態で固定される場合がある。このため、ロータコアのバランスが悪くなったり、磁束位置にばらつきが生じたりするという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、磁石挿入部に対して磁石片を片側に寄せて位置決めした状態で固定することができる積層鉄心、及び当該積層鉄心の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る積層鉄心の特徴構成は、
板状の鉄心片を複数積層して形成される、磁石挿入部を有する積層鉄心本体と、
前記磁石挿入部に挿入される磁石片と、
前記磁石挿入部の内面に前記磁石片が押付状態となるように前記磁石挿入部と前記磁石片との間に介在される接着部と、
前記磁石挿入部に前記磁石片を固定するように前記磁石挿入部と前記磁石片との間に充填される樹脂と、
を備えることにある。
本構成の積層鉄心によれば、磁石挿入部の内面に磁石片が押付状態となるように磁石挿入部と磁石片との間に接着部が介在されるので、磁石挿入部に対して磁石片が片側に寄せられた状態で接着部により位置決めされる。また、磁石挿入部と磁石片との間に樹脂が充填されるので、磁石挿入部に磁石片が樹脂により固定される。こうして、接着部は、磁石挿入部に対して磁石片を片側に寄せた状態で位置決めする位置決め手段として機能し、樹脂は、接着部によって位置決めされた磁石片を磁石挿入部に固定する固定手段として機能する。従って、磁石挿入部に対して磁石片を片側に寄せて位置決めした状態で固定することができる。
本発明に係る積層鉄心において、
前記接着部は、接着性を有する加熱発泡樹脂により形成されることが好ましい。
本構成の積層鉄心によれば、加熱発泡樹脂が発泡する前では、磁石挿入部に対して磁石片を容易に挿入することができるとともに、磁石挿入部に対して磁石片の相対位置を容易に調整することができる。そして、加熱発泡樹脂が発泡状態になると、磁石挿入部の内面に磁石片が押付状態となり、磁石挿入部に対して磁石片が片側に寄せられた状態で接着部により位置決めされる。従って、磁石挿入部に対する磁石片の位置決めを容易、且つ確実に行うことができる。
本発明に係る積層鉄心において、
積層された前記鉄心片の間から前記磁石挿入部の内面にはみ出した前記加熱発泡樹脂によって前記接着部が形成されることが好ましい。
本構成の積層鉄心によれば、積層された鉄心片のうち、接着部を形成したい高さ位置に対応する鉄心片と当該鉄心片に隣接する鉄心片との間に加熱発泡樹脂を配置することにより、磁石挿入部に対する磁石片の位置決めをより正確且つ確実に行うことができる。
本発明に係る積層鉄心において、
前記接着部は、接着性を有する加熱発泡樹脂シートにより形成されることが好ましい。
本構成の積層鉄心によれば、加熱発泡樹脂シートが発泡する前では、磁石挿入部に対して磁石片を容易に挿入することができるとともに、磁石挿入部に対して磁石片の相対位置を容易に調整することができる。そして、加熱発泡樹脂シートが発泡状態になると、磁石挿入部の内面に磁石片が押付状態となり、磁石挿入部に対して磁石片が片側に寄せられた状態で接着部により位置決めされる。従って、磁石挿入部に対する磁石片の位置決めを容易、且つ確実に行うことができる。
次に、上記課題を解決するための本発明に係る積層鉄心の製造方法の特徴構成は、
板状の鉄心片が複数積層されて形成される積層鉄心本体に設けられた磁石挿入部の内面に接着性を有する流動性の加熱発泡樹脂が付着された状態で磁石片を前記磁石挿入部に挿入する磁石片挿入工程と、
前記積層鉄心本体を加熱する加熱工程と、
前記磁石挿入部と前記磁石片との間の空隙に樹脂を充填して前記磁石片を前記磁石挿入部に固定する磁石片固定工程と、
包含することにある。
本構成の積層鉄心の製造方法によれば、積層鉄心本体に設けられた磁石挿入部の内面に接着性を有する流動性の加熱発泡樹脂が付着された状態で磁石片が磁石挿入部に挿入される。加熱発泡樹脂が発泡する前では、磁石挿入部に対して磁石片を容易に挿入することができるとともに、磁石挿入部に対して磁石片の相対位置を容易に調整することができる。加熱工程を行うことによって加熱発泡樹脂が発泡すると、磁石挿入部の内面に磁石片が押付状態となり、磁石挿入部に対して磁石片が片側に寄せられた状態で接着部により位置決めされる。そして、磁石片固定工程を行うことにより、磁石挿入部と磁石片との間の空隙に樹脂が充填されて磁石片が磁石挿入部に固定される。こうして、磁石挿入部に対して磁石片を片側に寄せて位置決めした状態で固定することができる。
本発明に係る積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片が複数積層されたときに前記磁石挿入部の内面側にはみ出すように前記加熱発泡樹脂が塗布された前記鉄心片を複数積層することによって前記磁石挿入部の内面に前記加熱発泡樹脂が付着されることが好ましい。
本構成の積層鉄心の製造方法によれば、流動性の加熱発泡樹脂が予め塗布された鉄心片を複数積層することにより、積層された鉄心片の間から磁石挿入部の内面にはみ出した加熱発泡樹脂によって接着部が形成される。従って、流動性の加熱発泡樹脂による接着部を容易に形成することができるとともに、積層された鉄心片に強固に固着された接着部を形成することができる。
本発明に係る積層鉄心の製造方法において、
前記磁石片挿入工程の前に、前記磁石片に接着性を有する加熱発泡樹脂シートを貼り付ける貼付工程を実施することが好ましい。
本構成の積層鉄心の製造方法によれば、加熱発泡樹脂と加熱発泡樹脂シートとの組み合わせによって、磁石挿入部に対する磁石片の位置決めをより確実に行うことができる積層鉄心を製造することができる。また、本構成の積層鉄心の製造方法においては、加熱発泡樹脂シートが貼り付けられた磁石片が、磁石挿入部の内面に付着している加熱発泡樹脂との間に、加熱発泡樹脂シートを介在させた状態で、磁石挿入部に挿入される。この際、加熱発泡樹脂に加熱発泡樹脂シートが接触しながら磁石片が磁石挿入部に挿入されるため、加熱発泡樹脂が延ばされて均一な厚みになり、磁石挿入部に対する磁石片の位置決めがより正確に行われることになる。また、加熱発泡樹脂が潤滑剤として機能するため、加熱発泡樹脂シートが貼り付けられた磁石片を磁石挿入部に挿入する動作をスムーズに行うことができる。
図1は、第一実施形態の積層鉄心を具備するロータの説明図である。 図2は、ロータコア本体の説明図である。 図3は、磁石片の全体斜視図である。 図4は、第一実施形態のロータコアの内部構造を示す図である。 図5は、第一実施形態のロータコアの製造方法の説明図(1)である。 図6は、第一実施形態のロータコアの製造方法の説明図(2)である。 図7は、第一実施形態のロータコアの製造方法の説明図(3)である。 図8は、第二実施形態のロータコアの内部構造を示す図である。 図9は、加熱発泡樹脂シートが貼り付けられた状態の磁石片の全体斜視図である。 図10は、第二実施形態の積層鉄心の製造方法の説明図である。 図11は、第三実施形態の積層鉄心を具備するロータの説明図である。 図12は、第三実施形態の積層鉄心の内部構造を示す図である。 図13は、第三実施形態の積層鉄心の製造方法の説明図である。
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。なお、図1,2,4~8,10~13において、後述する鉄心片41が複数積層される状態が示されているが、各層(鉄心片)の厚み関係は適宜誇張又は簡略化しており、実際の各層の厚みの大小関係(縮尺)を厳密に反映したものではない。また、図1,2,4~8,10~13において、図の理解容易化のため、後述する磁石片25、磁石挿通孔45、磁石挿入部55、発泡性接着剤75、加熱発泡樹脂シート85等について適宜に誇張して描いている。
本発明の積層鉄心は、基本的に、後述する積層鉄心本体(ロータコア本体)20に設けられたシャフト挿通部53の軸中心線Sを鉛直方向に向けた状態で製造される。以下の説明においては、積層鉄心の製造段階での状態を基準とし、特に断りのない限り、後述するシャフト挿通部53の軸中心線S(図6(a)参照)が延びる方向を上下方向とする。
〔第一実施形態〕
<ロータの概略構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る積層鉄心10Aを具備するロータ1の説明図である。図1(a)は、ロータ1の平面図であり、図1(b)は、ロータ1の側面図である。図1(a)及び(b)に示すように、ロータ1は、積層鉄心(以下、「ロータコア」と称する。)10Aと、ロータシャフト13とを備えている。ロータ1においては、円筒状のロータコア10Aの中心部にロータシャフト13が貫通状態で固定されている。ロータ1を具備するモータにおいては、ロータコア10Aの外周側に微少間隔を存してステータコア15が円環状に配設され、ステータコア15の図示しない電磁コイルから発生する磁束がロータコア10Aの外周部に流れるように構成されている。なお、図1(a)において、後述する磁石片25及び接着部30は、実際には樹脂35によって覆われて平面視で見ることができないが(底面視も同様)、後述する磁石挿入部55の内部での磁石片25、接着部30及び樹脂35の配置を分かり易くするため、磁石片25及び接着部30が平面視で見えるものとして描いている。
<ロータコア(積層鉄心)>
図1(a)の右側の部分拡大図に示すように、ロータコア10Aは、主として、ロータコア本体20、磁石片25、接着部30及び樹脂35を備えている。
<ロータコア本体>
図2は、ロータコア本体20の説明図である。図2(a)は、ロータコア本体20の平面図であり、図2(b)は、図2(a)のB-B矢視断面図である。図2(a)及び(b)に示すように、ロータコア本体20は、例えば、電磁鋼板の打抜き加工によって得られる、中心部が開口された円板状の鉄心片41を複数積層して形成される。鉄心片41は、中心部に形成されたシャフト挿通孔43を有するとともに、外周寄りの部分に周方向に所定の配置で形成された複数の磁石挿通孔45を有している。なお、図2(a)及び(b)において、後述する磁石挿入部55の内面に存する発泡性接着剤75については図示省略している。
ロータコア本体20においては、鉄心片41が複数積層されることで円筒状に形成されており、シャフト挿通孔43によって上下方向に貫通したシャフト挿通部53が形成されるとともに、磁石挿通孔45によって上下方向に貫通した磁石挿入部55が形成される。シャフト挿通部53には、ロータシャフト13(図1(a)及び(b)参照)が挿通・固定され、磁石挿入部55には、磁石片25(図1(a)参照)が挿入・固定される。
ここで、ロータコア本体20は、いわゆる転積によって構成されていてもよい。「転積」とは、鉄心片41どうしの角度を周方向に相対的にずらしつつ、複数の鉄心片41を積層することをいう。転積は、鉄心片41の板厚偏差を相殺して、ロータコア本体20の平面度、平行度及び直角度を高めることを目的に実施される。積層方向(上下方向)において隣接する鉄心片41どうしは、カシメによって締結されていてもよい。また、鉄心片41どうしは、カシメに代えて、例えば、接着剤又は樹脂材料を用いて互いに接合されてもよいし、溶接によって互いに接合されてもよい。また、これらの締結・接合手段を適宜に組み合わせてもよい。
<磁石挿入部>
図2(a)に示すように、複数の磁石挿入部55は、ロータコア本体20の外周寄りの部分に周方向に所定の配置で貫設されている。磁石挿入部55は、平面視の輪郭が矩形状(本例では長方形状)の孔によって形成されている。複数の磁石挿入部55において、ロータコア本体20の周方向に隣り合って対をなす磁石挿入部55(図2(a)中記号Cで示す一点鎖線の囲み枠で囲まれる二つの磁石挿入部55)を一組として、複数組の磁石挿入部55が周方向に一定間隔を存して円環状に配置されている。囲み枠Cで囲まれる対をなす一組の磁石挿入部55は、その平面視形状がロータコア本体20の径方向外側に向かって広がるような略Vの字状をなすように傾斜配置され、複数組の磁石挿入部55の全体がロータコア本体20の周方向においてジグザグ状に配置されている。
図2(a)の右側の部分拡大図に示すように、磁石挿入部55は、平面視長方形状の輪郭における対向する二つの長辺47a,47b、及び二つの短辺49a,49bを有している。また、磁石挿入部55は、第一内面61、第二内面62、第三内面63及び第四内面64を有している。第一内面61は、磁石挿入部55の二つの長辺47a,47bのうち、ロータコア本体20の外周に近い一方側の長辺47aを含んで上下方向に延在している。第二内面62は、ロータコア本体20のシャフト挿通部53に近い他方側の長辺47bを含んで上下方向に延在している。第三内面63は、磁石挿入部55の二つの短辺49a,49bのうち、ロータコア本体20の周方向の一方側の短辺49aを含んで上下方向に延在している。第四内面64は、他方側の短辺49bを含んで上下方向に延在している。
<磁石片>
図3は、磁石片25の全体斜視図である。図3に示すように、磁石片25は、幅(W)に対して厚み(T)が相対的に小さく、幅(W)に対して上下方向の長さ(L)が相対的に大きいような四角柱状に形成されている。磁石片25は、磁石挿入部55に挿入されたときに、磁石挿入部55との間に所定の隙間が存するように断面形状(本例では長方形状)の大きさが設定されている。磁石片25の長さ(L)は、ロータコア本体20(磁石挿入部55)の上下方向の長さよりも若干小さく設定されている。本例の磁石片25としては、例えば、ネオジム焼結磁石等の焼結磁石が用いられており、未着磁状態で磁石挿入部55に挿入・固定された後に着磁(磁化)される。
磁石片25は、第一側面71、第二側面72、第三側面73及び第四側面74を有している。第一側面71及び第二側面72は、幅(W)と長さ(L)とで規定され、第一側面71が厚み(T)方向の一方側に配され、第二側面72が厚み(T)方向の他方側に配されている。第三側面73及び第四側面74は、厚み(T)と長さ(L)とで規定され、第三側面73が幅(W)方向の一方側に配され、第四側面74が幅(W)方向の他方側に配されている。
図1(a)の左側の部分拡大図に示すように、磁石片25は、第一側面71及び第二側面72を、磁石挿入部55における第一内面61及び第二内面62にそれぞれ対向させるとともに、第三側面73及び第四側面74を、磁石挿入部55における第三内面63及び第四内面64にそれぞれ対向させるようにして磁石挿入部55に挿入されている。
<接着部>
図1(a)の左側の部分拡大図に示すように、磁石片25と磁石挿入部55との間には、接着部30が介在されている。本例において、接着部30は、磁石挿入部55の第一内面61に、磁石片25の第一側面71が押付状態となるように、磁石挿入部55の第二内面62と磁石片25の第二側面72との間に介在されている。接着部30は、接着性を有する流動性の発泡性接着剤(本発明の「加熱発泡樹脂」に対応する。)75が発泡状態で硬化することによって形成されている。
発泡性接着剤75としては、例えば、エポキシ樹脂又はエチレン系ポリマーに発泡剤及び硬化剤が配合されてなり、加熱前は適度な流動性を有するが、加熱により発泡し硬化する典型的な発泡性接着剤を用いることができる。
発泡性接着剤75が発泡・硬化する前では、磁石挿入部55に対し磁石片25を容易に挿入することができるとともに、磁石挿入部55に対し磁石片25の相対位置を容易に調整することができる。そして、発泡性接着剤75が発泡・硬化すると、磁石挿入部55の第一内面61に磁石片25が押付状態となり、磁石挿入部55に対し磁石片25を第一内面61に寄せて位置決めした状態で固定することができる。このように、接着部30は、磁石挿入部55に対して磁石片25を片側に寄せた状態で位置決めする位置決め手段として機能する。
図4は、第一実施形態のロータコア10Aの内部構造を示す図である。図4(a)は、図1(a)のA-A矢視断面図である。図4(b)は、図4(a)のD部拡大図である。図4(a)及び(b)に示すように、ロータコア10Aにおいては、複数積層される鉄心片41のうち、上段、中段及び下段の適所に位置する鉄心片41に塗布された発泡性接着剤75が、鉄心片41が積層されることによって磁石挿入部55の第二内面62側から当該磁石挿入部55の内部へとはみ出し、はみ出した発泡性接着剤75が第二内面62に付着し、第二内面62に付着した発泡性接着剤75が発泡状態で硬化することによって接着部30が形成されている。接着部30は、積層方向に隣接する鉄心片41に挟まれる皮膜部30aと、磁石挿入部55の第二内面62に付着する発泡状態で硬化した発泡硬化部30bとからなる。このように、接着部30においては、皮膜部30aと発泡硬化部30bとが一体化した構成であるため、磁石挿入部55における積層した鉄心片41に強固に固着されたものとすることができ、磁石挿入部55に対する磁石片25の位置決めをより正確且つ確実に行うことができる。
<樹脂>
図1(a)の右側の部分拡大図に示すように、磁石挿入部55と磁石片25との間には、磁石挿入部55に磁石片25を固定するように樹脂(モールド樹脂)35が充填されている。具体的には、図1(a)の左側の部分拡大図に示すように、樹脂35は、磁石挿入部55の第三内面63と磁石片25の第三側面73との間に充填されるとともに、磁石挿入部55の第四内面64と磁石片25の第四側面74との間に充填されている。樹脂35としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる。樹脂35の充填は、磁石挿入部55と磁石片25との間に溶融状態で注入した後に、加熱硬化させることにより行われる。このように、樹脂35は、接着部30によって位置決めされた磁石片25を磁石挿入部55に固定する固定手段として機能する。
<製造方法>
次に、上記のように構成されるロータコア10Aの製造方法について説明する。図5は、第一実施形態のロータコア10Aの製造方法の説明図(1)である。図5(a)は、液体の発泡性接着剤75が塗布された鉄心片41を含む複数の鉄心片41の積層前の状態を示す平面図である。図5(b)は、同鉄心片41の積層後の状態を示す平面図である。図5(c)は、発泡性接着剤75が塗布された鉄心片41を含む複数の鉄心片41の積層前の状態を示す縦断面図である。図5(d)は、同鉄心片41の積層後の状態を示す縦断面図である。
<加熱発泡樹脂塗布工程>
図5(d)に示すように、鉄心片41が複数積層されて構成されるロータコア本体20の上段、中段及び下段の適所にそれぞれ位置することになる所定の鉄心片41に、図5(a)及び(c)に示すように、発泡性接着剤75を塗布する。この際、鉄心片41が複数積層されたときに、発泡性接着剤75が磁石挿入部55の第二内面62(図2(a)参照)側から磁石挿入部55の内部へとはみ出すようにするため、図5(a)の部分拡大図に示すように、磁石挿通孔45における対向する二つの長辺のうち、鉄心片41のシャフト挿通孔43に近い側の長辺の近傍に発泡性接着剤75を塗布する。
<鉄心片積層工程>
図5(b)及び(d)に示すように、発泡性接着剤75が塗布された鉄心片41を含む複数の鉄心片41を積層すると、塗布された発泡性接着剤75が磁石挿入部55の内面側にはみ出し、はみ出した発泡性接着剤75が鉄心片41の外周面に付着し、磁石挿入部55の第二内面62の複数個所に発泡性接着剤75が付着された状態となる。
図6は、第一実施形態のロータコア10Aの製造方法の説明図(2)である。図6(a)は、搬送プレート100上にロータコア本体20を載置した状態図である。図6(b)は、磁石挿入部55に磁石片25を挿入した状態図である。図6(c)は、加熱工程の実施によって磁石片25が位置決めされた状態図である。
<ロータコア本体載置工程>
図6(a)に示すように、シャフト挿通部53の軸中心線Sを鉛直方向に向けた状態でロータコア本体20を搬送プレート100上に載置する。ここで、搬送プレート100は、その本体部分を構成する板状の搬送プレート本体101と、ロータコア本体20のシャフト挿通部53に対応するように搬送プレート本体101上に突設される主突起部103と、ロータコア本体20の磁石挿入部55に対応するように搬送プレート本体101上に突設される副突起部105とを備えている。主突起部103は、シャフト挿通部53に嵌合可能な突起であり、シャフト挿通部53に嵌合することにより、搬送プレート本体101に対するロータコア本体20の載置位置を定める位置決め手段として機能する。副突起部105は、磁石挿入部55に挿入された磁石片25の下面に当接可能な突起であり、磁石挿入部55に挿入される磁石片25の上下方向位置を定める位置決め手段として機能する。本例の副突起部105においては、磁石挿入部55に磁石片25が挿入されたときにその磁石片25の下面に当接して、磁石挿入部55に対して磁石片25が上下方向に片寄ることなく、磁石挿入部55と磁石片25との互いの上下方向中央位置が同じ高さ位置となるように、磁石挿入部55に対する磁石片25の上下方向位置を定めることができるようにその突出高さが設定されている。
<磁石片挿入工程>
次いで、図6(b)に示すように、ロータコア本体20における磁石挿入部55の第二内面62に付着している発泡性接着剤75と第一内面61との間に、未着磁の磁石片25を挿入する。挿入された磁石片25は、その下面が搬送プレート100の副突起部105に当接し、磁石挿入部55に対して上下方向に片寄ることなく、磁石挿入部55と当該磁石片25との互いの上下方向中央位置が同じ高さ位置となるように、磁石挿入部55に対する磁石片25の上下方向位置が定められる。
<加熱工程>
次いで、図示されない予熱装置を用いて、磁石片挿入済のロータコア本体20の全体を約170℃程度に加熱する。これにより、発泡性接着剤75は、磁石挿入部55の第二内面62と磁石片25の第二側面72との間に配された状態で加熱され、加熱されることによって発泡し発泡性接着剤75の厚みが増大する。発泡によって発泡性接着剤75の厚みが増大すると、磁石挿入部55の第一内面61に磁石片25の第一側面71が押付状態となる。その後、図6(c)に示すように、発泡性接着剤75が発泡状態で硬化して接着部30となり、磁石挿入部55の第一内面61に磁石片25を寄せて位置決めした状態が接着部30によって保持される。なお、ここでの加熱工程は、トランスファーモールド成形法における予熱工程を兼ねるものである。こうして、製造工程の合理化を図ることができる。
図7は、第一実施形態のロータコア10Aの製造方法の説明図(3)である。図7(a)は、トランスファーモールド成形機300による樹脂注入前の状態図である。図7(b)は、同成形機300による樹脂注入中の状態図である。
図7(a)に示すように、加熱工程を経た磁石片組込済のロータコア本体20を、樹脂充填用の金型200にセットする。この際、磁石片25は接着部30を介してロータコア本体20に接着されているので、搬送プレート100上から取り外して運んでも磁石挿入部55から磁石片25が脱落することがなく、金型200へのセット作業をスムーズに行うことができる。
ここで、金型200は、磁石片組込済のロータコア本体20が位置決め状態で載置される下型201と、下型201の上方に配される上型203と、下型201と上型203との間に介在されるように上型203に一体的に設けられるピラー205とを備えている。上型203には、ロータコア本体20の磁石挿入部55に連通する樹脂流路210が形成されている。このように構成される金型200は、トランスファーモールド成形機300にセットされる。トランスファーモールド成形機300は、上型203の樹脂流路210に連通する収容部301aを有するヒータ機能を備えた加熱上板301と、収容部301aにおいて往復動可能なプランジャ303と、下型201を下側から支持するヒータ機能を備えた加熱下板305とを備えている。
<磁石片固定工程>
図7(a)に示すように、トランスファーモールド成形機300を用いたトランスファーモールド成形では、熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化性エポキシ樹脂)からなる樹脂タブレット310を85℃程度に予熱した後に加熱上板301の収容部301aに投入する。投入された樹脂タブレット310は、加熱上板301の熱によって溶融し、溶融樹脂となる。
図7(b)に示すように、プランジャ303の押込作動により、収容部301a内の溶融樹脂320を押し出し、樹脂流路210(図7(a)参照)を介して磁石挿入部55と磁石片25との間の空隙に溶融樹脂320を注入・充填する。次いで、加熱上板301及び加熱下板305をさらに加熱することにより、充填された溶融樹脂320を硬化温度まで加熱して硬化させる。これにより、磁石挿入部55と磁石片25との間の空隙に充填された樹脂35(図1(a)参照)によって磁石片25が磁石挿入部55に固定される。
<着磁工程>
そして、磁石片固定工程を経たロータコア本体20を金型200から取り出し、図示されない着磁装置を用いて磁石片25を着磁することにより、ロータコア10Aが製造される。
上記の製造方法によれば、磁石挿入部55に対して磁石片25を第一内面61に寄せて位置決めした状態で固定することができ、磁石挿入部55におけるロータコア本体20の径方向外側に寄せて磁石片25が固定されたロータコア10Aを製造することができる。このようなロータコア10Aによれば、高速回転時のバランスが良くなるとともに、磁束位置のばらつきがなくなり、モータの構成部品として優れたものとなる。
〔第二実施形態〕
<ロータの概略構成>
図8は、第二実施形態のロータコア10Bの内部構造を示す図である。図8(a)は、図1(a)のA-A矢視断面図である。図8(b)は、図8(a)のE部拡大図である。第二実施形態において、第一実施形態と同一又は同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第二実施形態に特有の部分を中心に説明することとする。
<接着部>
図8(a)及び(b)に示すように、第二実施形態のロータコア10Bにおいて、磁石片25と磁石挿入部55との間には、接着部80が介在されている。本例において、接着部80は、磁石挿入部55の第一内面61に、磁石片25の第一側面71が押付状態となるように、磁石挿入部55の第二内面62と磁石片25の第二側面72との間に介在されている。接着部80は、発泡状態で硬化した接着性を有する加熱発泡樹脂シート85により形成されている。
図9は、加熱発泡樹脂シート85が貼り付けられた状態の磁石片25の全体斜視図である。図9に示すように、加熱発泡樹脂シート85は、磁石片25の幅(W)及び長さ(L)よりも小さい幅及び長さに設定され、磁石片25の幅方向及び長さ方向のそれぞれの中央位置において上下方向に細長く延在するように磁石片25に貼着されている。加熱発泡樹脂シート85は、磁石片25の第二側面72に貼着される第一側面87を有するとともに、磁石挿入部55に挿入されたときに磁石挿入部55の第二内面62と対向する第二側面89とを有している。なお、図9に示すように、一つの細長い長方形状の加熱発泡樹脂シート85を磁石片25に上下方向に貼着する態様に限定されるものではなく、正方形状の複数の加熱発泡樹脂シート85を、磁石片25の上下方向の複数箇所に貼着する態様もある。
図8(b)に示すように、加熱発泡樹脂シート85が貼り付けられた磁石片25が磁石挿入部55に挿入されて、磁石挿入部55の第二内面62と磁石片25の第二側面72との間に配された状態でロータコア本体が加熱されると、加熱発泡樹脂シート85が発泡してその厚みが増大することにより、磁石挿入部55の第一内面61に磁石片25の第一側面71が押付状態となる一方で、加熱発泡樹脂シート85の第二側面89が磁石挿入部55の第二内面62に圧着される。こうして、磁石挿入部55と磁石片25との間に介在される接着部80が発泡状態で硬化した加熱発泡樹脂シート85によって形成される。
加熱発泡樹脂シート85は、発泡剤を含有した樹脂組成物を用いてシート状に形成されている。樹脂組成物のベース樹脂は、接着性及び耐熱性の観点から、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましい。モータの発熱量に耐えられる材料であれば、熱可塑性樹脂であってもよい。樹脂組成物に配合される発泡剤は、樹脂組成物のベース樹脂の軟化点近傍の温度でガスを発生させるものが好ましい。発泡剤は、無機系発泡剤であってもよいし、有機系発泡剤であってもよいし、熱膨張マイクロカプセルであってもよい。樹脂組成物には必要に応じて種々の添加剤、安定剤等を添加してもよい。
ロータコア10Bにおいて、加熱発泡樹脂シート85が発泡する前では、磁石挿入部55に対して磁石片25を容易に挿入することができるとともに、磁石挿入部55に対して磁石片25の相対位置を容易に調整することができる。そして、加熱発泡樹脂シート85が発泡状態になると、磁石挿入部55の第一内面61に磁石片25が押付状態となり、磁石挿入部55に対して磁石片25を第一内面61に寄せて位置決めした状態で固定することができる。このように、接着部80は、磁石挿入部55に対して磁石片25を片側に寄せた状態で位置決めする位置決め手段として機能する。
<製造方法>
次に、上記のように構成されるロータコア10Bの製造方法について説明する。図10は、第二実施形態のロータコア10Bの製造方法の説明図である。図10(a)は、搬送プレート100上にロータコア本体20を載置した状態図である。図10(b)は、加熱発泡樹脂シート85が貼り付けられた磁石片25を磁石挿入部55に挿入した状態図である。図10(c)は、加熱工程の実施によって磁石片25が位置決めされた状態図である。
<磁石片挿入工程>
図10(a)~(b)に示すように、加熱発泡樹脂シート85が予め貼り付けられた未着磁の磁石片25を、搬送プレート100上に載置されたロータコア本体20における磁石挿入部55の第二内面62との間に、加熱発泡樹脂シート85が介在するような状態となる向きで、磁石挿入部55に挿入する。挿入された磁石片25は、その下面が搬送プレート100の副突起部105に当接し、磁石挿入部55に対して上下方向に片寄ることなく、磁石挿入部55と当該磁石片25との互いの上下方向中央位置が同じ高さ位置となるように、磁石挿入部55に対する磁石片25の上下方向位置が定められる。
<加熱工程>
次いで、図示されない予熱装置を用いて、加熱発泡樹脂シート85及び磁石片25が組み込まれた状態のロータコア本体20の全体を約170℃程度に加熱する。これにより、加熱発泡樹脂シート85は、磁石挿入部55の第二内面62と磁石片25の第二側面72との間に配された状態で加熱され、加熱されることによって発泡してその厚みが増大する。発泡によって加熱発泡樹脂シート85の厚みが増大すると、磁石挿入部55の第一内面61に磁石片25の第一側面71が押付状態となり、加熱発泡樹脂シート85の第二側面89が磁石挿入部55の第二内面62に圧着される。こうして、図10(c)に示すように、磁石挿入部55の第一内面61に磁石片25を寄せた状態で位置決めすることができ、磁石挿入部55と磁石片25との間に介在するように発泡状態で硬化した加熱発泡樹脂シート85によって形成される接着部80により、磁石片25の位置決め状態が保持される。
<磁石片固定工程、着磁工程>
次いで、第一実施形態で行われた磁石片固定工程及び着磁工程と同様の磁石片固定工程及び着磁工程を行うことにより、ロータコア10Bが製造される。
上記の製造方法によっても第一実施形態と同様に、磁石挿入部55に対して磁石片25を第一内面61に寄せて位置決めした状態で固定することができ、磁石挿入部55におけるロータコア本体20の径方向外側に寄せて磁石片25が固定されたロータコア10Bを製造することができる。
〔第三実施形態〕
<ロータの概略構成>
図11は、本発明の第三実施形態に係るロータコア10Cを具備するロータ1の説明図である。図12は、第三実施形態のロータコア10Cの内部構造を示す図である。図12(a)は、図11(a)のF-F矢視断面図である。図12(b)は、図12(a)のG部拡大図である。第三実施形態において、第一実施形態及び第二実施形態と同一又は同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第三実施形態に特有の部分を中心に説明することとする。
<接着部>
図11(a)並びに図12(a)及び(b)に示すように、第三実施形態のロータコア10Cにおいて、磁石片25と磁石挿入部55との間には、接着部30及び接着部80の両方が介在されている。本例において、接着部30及び接着部80は、磁石挿入部55の第一内面61に、磁石片25の第一側面71が押付状態となるように、磁石挿入部55の第二内面62と磁石片25の第二側面72との間に接着部30及び接着部80の当該記載順で介在されている。接着部30は、発泡状態で硬化した発泡性接着剤75によって形成されている。接着部80は、発泡状態で硬化した加熱発泡樹脂シート85によって形成されている。このように、接着部30及び接着部80は、磁石挿入部55に対して磁石片25を片側に寄せた状態で位置決めする位置決め手段として機能する。
<製造方法>
次に、上記のように構成されるロータコア10Cの製造方法について説明する。図13は、第三実施形態のロータコア10Cの製造方法の説明図である。図13(a)は、搬送プレート100上にロータコア本体20を載置した状態図である。図13(b)は、加熱発泡樹脂シート85が貼り付けられた磁石片25を磁石挿入部55に挿入した状態図である。図13(c)は、加熱工程の実施によって磁石片25が位置決めされた状態図である。
<加熱発泡樹脂シート貼付工程、磁石片挿入工程>
図9に示すように、磁石片(未着磁)25に加熱発泡樹脂シート85を貼り付ける加熱発泡樹脂シート貼付工程の実施により、加熱発泡樹脂シート85が予め貼り付けられた所要の磁石片25を用意しておく。そして、図13(a)~(b)に示すように、加熱発泡樹脂シート85が予め貼り付けられた未着磁の磁石片25を、ロータコア本体20における磁石挿入部55の第二内面62に付着している発泡性接着剤75との間に、加熱発泡樹脂シート85が介在するような状態となる向きで、磁石挿入部55に挿入する。この際、発泡性接着剤75に加熱発泡樹脂シート85が接触しながら磁石片25が磁石挿入部55に挿入されるため、発泡性接着剤75が上下方向に延ばされて均一な厚みになり、磁石挿入部55に対する磁石片25の位置決めがより正確に行われることになる。また、発泡性接着剤75が潤滑剤として機能するため、加熱発泡樹脂シート85が付設された磁石片25を磁石挿入部55に挿入する動作をスムーズに行うことができる。こうして、発泡性接着剤75と加熱発泡樹脂シート85との組み合わせによって、磁石挿入部55に対する磁石片25の位置決めをより確実に行うことができる。
<加熱工程>
次いで、図示されない予熱装置を用いて、ロータコア本体20の全体を約170℃程度に加熱する。これにより、発泡性接着剤75及び加熱発泡樹脂シート85は、磁石挿入部55の第二内面62と磁石片25の第二側面72との間に配された状態で加熱され、加熱されることによって発泡してその厚みが増大する。発泡によって発泡性接着剤75及び加熱発泡樹脂シート85の厚みが増大すると、磁石挿入部55の第一内面61に磁石片25の第一側面71が押付状態となる。こうして、磁石挿入部55の第一内面61に磁石片25を寄せた状態で位置決めすることができ、磁石挿入部55と磁石片25との間に介在するように発泡状態で硬化した発泡性接着剤75及び加熱発泡樹脂シート85によって形成される接着部30,80により、磁石片25の位置決め状態が保持される。
<磁石片固定工程、着磁工程>
次いで、第一実施形態及び第二実施形態で行われた磁石片固定工程及び着磁工程と同様の磁石片固定工程及び着磁工程を行うことにより、ロータコア10Cが製造される。
上記の製造方法によっても第一実施形態及び第二実施形態と同様に、磁石挿入部55に対して磁石片25を第一内面61に寄せて位置決めした状態で固定することができ、磁石挿入部55におけるロータコア本体20の径方向外側に寄せて磁石片25が固定されたロータコア10Cを製造することができる。
以上、本発明の積層鉄心、及び積層鉄心の製造方法について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
本発明の積層鉄心、及び積層鉄心の製造方法は、産業機器や自動車用のモータの構成部品として、また、当該構成部品を製造する用途において利用可能である。
10A~10C ロータコア(積層鉄心)
20 ロータコア本体(積層鉄心本体)
25 磁石片
30 接着部
35 樹脂
41 鉄心片
55 磁石挿入部
75 発泡性接着剤(加熱発泡樹脂)
80 接着部
85 加熱発泡樹脂シート

Claims (4)

  1. 板状の鉄心片を複数積層して形成される、磁石挿入部を有する積層鉄心本体と、
    前記磁石挿入部に挿入される磁石片と、
    前記磁石挿入部の内面に前記磁石片が押付状態となるように前記磁石挿入部と前記磁石片との間に介在される接着部と、
    前記磁石挿入部に前記磁石片を固定するように前記磁石挿入部と前記磁石片との間に充填される樹脂と、
    を備え
    前記接着部は、接着性を有する加熱発泡樹脂により形成され、
    積層された前記鉄心片の間から前記磁石挿入部の内面にはみ出した前記加熱発泡樹脂によって前記接着部が形成される積層鉄心。
  2. 前記接着部は、接着性を有する加熱発泡樹脂シートにより形成される請求項1に記載の積層鉄心。
  3. 板状の鉄心片が複数積層されて形成される積層鉄心本体に設けられた磁石挿入部の内面に接着性を有する流動性の加熱発泡樹脂が付着された状態で磁石片を前記磁石挿入部に挿入する磁石片挿入工程と、
    前記積層鉄心本体を加熱する加熱工程と、
    前記磁石挿入部と前記磁石片との間の空隙に樹脂を充填して前記磁石片を前記磁石挿入部に固定する磁石片固定工程と、
    包含し、
    前記鉄心片が複数積層されたときに前記磁石挿入部の内面側にはみ出すように前記加熱発泡樹脂が塗布された前記鉄心片を複数積層することによって前記磁石挿入部の内面に前記加熱発泡樹脂が付着される積層鉄心の製造方法。
  4. 前記磁石片挿入工程の前に、前記磁石片に接着性を有する加熱発泡樹脂シートを貼り付ける貼付工程を実施する請求項3に記載の積層鉄心の製造方法。
JP2022069314A 2022-04-20 2022-04-20 積層鉄心、及び積層鉄心の製造方法 Active JP7312880B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022069314A JP7312880B1 (ja) 2022-04-20 2022-04-20 積層鉄心、及び積層鉄心の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022069314A JP7312880B1 (ja) 2022-04-20 2022-04-20 積層鉄心、及び積層鉄心の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7312880B1 true JP7312880B1 (ja) 2023-07-21
JP2023159562A JP2023159562A (ja) 2023-11-01

Family

ID=87201136

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022069314A Active JP7312880B1 (ja) 2022-04-20 2022-04-20 積層鉄心、及び積層鉄心の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7312880B1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012244838A (ja) 2011-05-23 2012-12-10 Toyota Motor Corp 回転電機用ロータ、回転電機、および、回転電機用ロータの製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012244838A (ja) 2011-05-23 2012-12-10 Toyota Motor Corp 回転電機用ロータ、回転電機、および、回転電機用ロータの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2023159562A (ja) 2023-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7608966B2 (en) Rotor and method of manufacturing
CN105900320B (zh) 层叠铁芯的制造方法
US9484790B2 (en) Rotor for electric rotating machine and method of manufacturing the same
KR100362323B1 (ko) 영구자석 매립형 모터 및 그의 제조방법
JP6095827B1 (ja) 回転電機用回転子の製造方法
WO2017170982A1 (ja) 回転電機用ロータ
JP6320860B2 (ja) 回転子積層鉄心及びその製造方法
KR20210083337A (ko) 스테이터용 접착 적층 코어 및 회전 전기 기기
US10804776B2 (en) Bonded-magnet injection molding device and bonded-magnet injection molding method
KR20210088642A (ko) 적층 코어 및 회전 전기 기기
JPH1198735A (ja) 回転電機のロータ及び回転電機のロータの製造方法
CN111446790A (zh) 转子
JP7312880B1 (ja) 積層鉄心、及び積層鉄心の製造方法
US9225212B2 (en) Method of manufacturing bonded-magnet rotor
CN110784079A (zh) 铁芯制品的制造方法和制造装置
JP2016005396A (ja) 電動機の回転子の組立方法
JP2016042771A (ja) 回転子及びその回転子を具備する電動機
JP2016082830A (ja) 回転子の製造方法及び回転子
CN117044076A (zh) 定子
JP2017093188A (ja) 回転電機用ロータの製造方法
WO2023176748A1 (ja) モータコアの製造方法及びモータコア
JP4545475B2 (ja) 回転子
JP2019083651A (ja) ロータ、ロータの製造方法、および、回転電機
TWI798009B (zh) 轉子及包括該轉子的ipm馬達
JP2024024954A (ja) 回転電機用ロータ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230516

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230608

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230710

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7312880

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150