JP7312679B2 - 粘着剤付き光学フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、一実施形態の粘着剤付き光学フィルム101の断面図である。粘着剤付き光学フィルム101は、光学フィルム10の一方の面(第一主面)に第一粘着剤層21を備え、粘着剤層21上に、第一離型フィルム41が剥離可能に貼着されている。
光学フィルム10は、画像表示装置の形成に用いられるものであり、例えば偏光板である。偏光板としては、偏光子の片面または両面に、必要に応じて適宜の透明保護フィルムが貼り合せられたものが一般に用いられる。偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
光学フィルム10の第一主面上に設けられる第一粘着剤層21は、粘着剤が層状に形成されたものである。粘着シートが画像表示装置の形成に用いられる場合、粘着剤層21は透明であり、可視光の吸収が小さいことが好ましい。粘着剤層21の全光線透過率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。粘着剤層21のヘイズは2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。全光線透過率およびヘイズは、ヘイズメータを用いて、JIS K7136に準じて測定される。
粘着剤層21上に仮着される離型フィルム41としては、フィルム基材の表面に離型層を備えるものが好ましく用いられる。離型層の材料としては、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤等が挙げられる。アクリル系粘着剤に対する密着性と剥離性とを両立可能であることから、シリコーン離型剤が好ましい。
図2に示す粘着剤付き光学フィルム102のように、光学フィルム10の他方の面(第二主面)には、第二粘着剤層22が設けられていてもよい。第二粘着剤層22上には、第二離型フィルム42が貼着されていることが好ましい。
粘着剤層22上には、離型フィルム42が仮着されていることが好ましい。離型フィルム42としては、粘着剤層21上の離型フィルム42と同様、フィルム基材の表面に離型層を備えるものが好ましく用いられる。離型フィルム42の厚みは、離型フィルム41の厚みは同一でもよく異なっていてもよい。光学フィルム10の両面に粘着剤層21,22が設けられた両面粘着剤付き光学フィルムを使用する際に、第二粘着剤層22を先に被着体に貼り合わせる場合、離型フィルム42を選択的に剥離しやすいことから、第二離型フィルム42の厚みが第一離型フィルム41の厚みよりも小さいことが好ましい。離型フィルム42の厚みは、55μm以下が好ましく、50μm以下、45μm以下または40μm以下であってもよい。
<積層および枚葉シートの切り出し>
光学フィルム10の第一主面に、第一粘着剤層21および第一離型フィルム41を積層することにより、粘着剤付き光学フィルムが形成される。さらに、光学フィルム10の第二主面に、第二粘着剤層22および第二離型フィルム42を積層することにより、両面粘着剤付き光学フィルムが形成される。
本発明の粘着剤付き光学フィルムは、図1および図2に模式的に示すように、粘着剤層21に仮着されている離型フィルム41の端部4が、粘着剤層21よりも外側に張り出している。粘着剤層21の厚み方向の少なくとも一部の領域において、離型フィルム41の端部4が粘着剤層21の端面21eを覆っている。離型フィルム41の端部4が第一粘着剤層21の端面を覆っている領域の厚み方向の長さLは、第一粘着剤層21の厚みD2の10%以上が好ましい。
離型フィルムの端部が粘着剤層の端部を覆う粘着剤付き光学フィルムは、例えば、粘着剤付き光学フィルムの端面をエンドミルにより切削加工することにより形成できる。側面から切削加工を行えば、光学フィルム10および離型フィルム41に比べて柔らかい粘着剤層21が切削されやすいため、粘着剤層21の端面21eが内側に位置する断面形状を形成できる。
粘着剤付き光学フィルムは、各種の画像表示装置の形成に用いることができる。光学フィルム10の第一主面に設けられた第一粘着剤層21は、カバーウインドウやタッチパネル等の前面透明部材との貼り合わせに用いられる。図2に示すように、光学フィルム10の第二主面に第二粘着剤層22が設けられている場合、第二粘着剤層22は、例えば、液晶セルや有機ELセル等の画像表示セルとの貼り合わせに用いられる。
<粘着シートA>
反応容器内に、ブチルアクリレート(BA):60重量部、シクロヘキシルアクリレート(CHA):20重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA):20重量部、および光重合開始剤(BASF製「イルガキュア184」):0.1重量部を投入し、窒素雰囲気下で紫外線を照射して、重合率10%のプレポリマー組成物を得た。このプレポリマー組成物100重量部に、光重合開始剤(BASF製「イルガキュア651」):0.2重量部、多官能モノマーとして1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業製「NKエステル A-HD-N」):0.3重量部、連鎖移動剤としてα-チオグリセロール:0.2重量部、およびシランカップリング剤(信越化学製「KBM-403」):0.3重量部を添加し、均一に混合して、粘着剤組成物を調製した。
酢酸エチルを溶媒として、ブチルアクリレート(BA):97重量部およびアクリル酸(AA):3重量部を、熱重合開始剤(AIBN)の存在下で重合して、重量平均分子量(Mw)が110万のポリマーの溶液を得た。この溶液に、ポリマー100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(東ソー製「コロネートL」):0.8重量部、およびシランカップリング剤(信越化学製「KBM-403」):0.1部を添加し、均一に混合して粘着剤組成物(溶液)を調製した。この組成物を、厚み38μmの離型フィルム(三菱ケミカル製「MRF38」)の離型処理面上に、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて溶媒を除去した後、粘着剤層上に別の離型フィルムの離型処理面を重ね合わせ、50℃で48時間加熱して、架橋処理を行い、両面に離型フィルムが仮着された粘着シートBを得た。
ロールラミネータを用いて、偏光板の一方の面に粘着シートAを貼り合わせ、他方の面に粘着シートBを貼り合わせて、長尺の両面粘着剤付き偏光板を得た。偏光板としては、厚み20μmのPVA偏光子の両面にアクリル系透明保護フィルムが貼り合わせられた偏光板(合計厚み92μm)を用いた。両面粘着剤付き偏光板は、離型フィルム(75μm)/粘着シートA(150μm)/偏光板(92μm)/粘着シートB(20μm)/離型フィルム(38μm)の積層構成を有していた。
スーパーカッター(連続自動切断機)を用いて、両面粘着剤付き偏光板を、65mm×140mmのサイズの矩形に裁断した。
比較例1の両面粘着剤付き偏光板を、偏光板よりも粘着シートAが下側となるように配置して50枚積み重ね、厚みが約20mmの加工用ワークを作製した。このワークをクランプで挟んだ状態で、エンドミル加工により、ワークの外周面を切削加工した。エンドミル加工には、刃角度45°のストレートエンドミルを用い、回転数35000rpm、送り速度(エンドミルに対するワークの相対移動速度)1000mm/分で、アップカットにより加工を行った。
エンドミルの回転数を、実施例2では20000rpm、実施例3では45000rpmに変更した。それ以外は実施例1と同様にして、ワークの外周面の切削加工を行った。
エンドミルに対するワークの相対移動方向を反転させ、ダウンカットにより加工を行ったこと以外は実施例1と同様にして、ワークの外周面の切削加工を行った。
両面粘着剤付き偏光板を、65mm×140mmのサイズにトムソン刃で打ち抜いた。
両面粘着剤付き偏光板を短辺と平行な方向にカッターナイフで切断し、カッターナイフによる切断面の両端、すなわちエンドミルによる加工面の断面を、光学顕微鏡により観察し、粘着シートAの端面を覆っている離型フィルムの長さLを測定した。
実施例4~7では、両面粘着剤付き偏光板の構成を変更し、実施例1と同様の条件で、スーパーカッターによる裁断およびエンドミル加工を実施した。実施例4では、粘着シートAに接する離型フィルムの厚みを125μm、粘着シートAの厚みを500μmに変更した。実施例5では、粘着シートAとして、25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が70kPaである粘着シートを用いた。実施例6では、厚み5μmの薄型偏光子の両面にアクリル系透明保護フィルムが貼り合わせられた偏光板(合計厚み51μm)を用い、粘着シートBとして、25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が80kPaである厚み15μmの粘着シートを用いた。実施例7では、粘着シートAに接する離型フィルムとして、厚み50μmの離型フィルムを用いた。
21,22 粘着剤層
41,42 離型フィルム
101,102 粘着剤付き光学フィルム
9 エンドミル
Claims (11)
- 第一主面および第二主面を有する光学フィルム;
前記光学フィルムの第一主面上に固着積層された第一粘着剤層;および
前記第一粘着剤層の主面を覆い、前記第一粘着剤層の主面に仮着されている第一離型フィルム
を備える粘着剤付き光学フィルムであって、
前記第一粘着剤層の厚みが50μm以上であり、
前記第一離型フィルムが、前記第一粘着剤層の厚みの10%以上の範囲において、前記第一粘着剤層の端面を覆っている、粘着剤付き光学フィルム。 - 前記第一離型フィルムの厚みが45μm以上である、請求項1に記載の粘着剤付き光学フィルム。
- 前記第一粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率が、0.35MPa以下である、請求項1または2に記載の粘着剤付き光学フィルム。
- 前記第一離型フィルムの端部と、前記第一粘着剤層の端面との距離が、2mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着剤付き光学フィルム。
- 前記第一離型フィルムの端部の厚みが、前記第一粘着剤層上に仮着されている前記第一離型フィルムの厚みよりも小さい、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着剤付き光学フィルム。
- 前記光学フィルムの端面が、前記第一離型フィルムの端部よりも内側に位置しており、
前記第一粘着剤層の端面が、前記光学フィルムの端面よりも内側に位置している、請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着剤付き光学フィルム。 - さらに、第二粘着剤層および第二離型フィルムを備え、
前記第二粘着剤層は、前記光学フィルムの第二主面に固着積層されており、
前記第二離型フィルムは、前記第二粘着剤層の主面を覆い、前記第二粘着剤層の主面に仮着されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着剤付き光学フィルム。 - 前記第二粘着剤層の厚みが前記第一粘着剤層の厚みよりも小さい、請求項7に記載の粘着剤付き光学フィルム。
- 前記第二離型フィルムの厚みが前記第一離型フィルムの厚みよりも小さい、請求項7または8に記載の粘着剤付き光学フィルム。
- 請求項1~9のいずれか1項に記載の粘着剤付き光学フィルムを製造する方法であって、
枚葉に切り出した粘着剤付き光学フィルムの端面をエンドミルにより切削加工する工程を含み、
前記切削加工を、
前記第一離型フィルムが前記第一粘着剤層よりも上側に位置する状態でダウンカットにて実施するか、または
前記第一離型フィルムが前記第一粘着剤層よりも下側に位置する状態でアップカットにて実施する、粘着剤付き光学フィルムの製造方法。 - 枚葉に切り出した粘着剤付き光学フィルムを複数積み重ねた加工用ワークを用いて、前記切削加工を行う、請求項10に記載の粘着剤付き光学フィルムの製造方法。
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