JP7311290B2 - 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

分割スパッタリングターゲット及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7311290B2
JP7311290B2 JP2019061706A JP2019061706A JP7311290B2 JP 7311290 B2 JP7311290 B2 JP 7311290B2 JP 2019061706 A JP2019061706 A JP 2019061706A JP 2019061706 A JP2019061706 A JP 2019061706A JP 7311290 B2 JP7311290 B2 JP 7311290B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sputtering target
wire
backing plate
mask material
spacers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019061706A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020158854A (ja
Inventor
純 梶山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JX Nippon Mining and Metals Corp
Original Assignee
JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JX Nippon Mining and Metals Corp filed Critical JX Nippon Mining and Metals Corp
Priority to JP2019061706A priority Critical patent/JP7311290B2/ja
Priority to KR1020190173645A priority patent/KR102302468B1/ko
Priority to CN201911394975.6A priority patent/CN111748779B/zh
Priority to TW109101580A priority patent/TWI741477B/zh
Publication of JP2020158854A publication Critical patent/JP2020158854A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7311290B2 publication Critical patent/JP7311290B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C14/00Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
    • C23C14/22Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the process of coating
    • C23C14/34Sputtering
    • C23C14/3407Cathode assembly for sputtering apparatus, e.g. Target
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B37/00Joining burned ceramic articles with other burned ceramic articles or other articles by heating
    • C04B37/003Joining burned ceramic articles with other burned ceramic articles or other articles by heating by means of an interlayer consisting of a combination of materials selected from glass, or ceramic material with metals, metal oxides or metal salts
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/32Gas-filled discharge tubes
    • H01J37/34Gas-filled discharge tubes operating with cathodic sputtering
    • H01J37/3411Constructional aspects of the reactor
    • H01J37/3414Targets
    • H01J37/3423Shape
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/32Gas-filled discharge tubes
    • H01J37/34Gas-filled discharge tubes operating with cathodic sputtering
    • H01J37/3411Constructional aspects of the reactor
    • H01J37/3435Target holders (includes backing plates and endblocks)
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J37/00Discharge tubes with provision for introducing objects or material to be exposed to the discharge, e.g. for the purpose of examination or processing thereof
    • H01J37/32Gas-filled discharge tubes
    • H01J37/34Gas-filled discharge tubes operating with cathodic sputtering
    • H01J37/3488Constructional details of particle beam apparatus not otherwise provided for, e.g. arrangement, mounting, housing, environment; special provisions for cleaning or maintenance of the apparatus
    • H01J37/3491Manufacturing of targets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2237/00Aspects relating to ceramic laminates or to joining of ceramic articles with other articles by heating
    • C04B2237/02Aspects relating to interlayers, e.g. used to join ceramic articles with other articles by heating
    • C04B2237/12Metallic interlayers

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明はバッキングプレート上に複数のスパッタリングターゲット部材、とりわけ酸化物半導体スパッタリングターゲット部材が接合された分割スパッタリングターゲットに関する。また、本発明は分割スパッタリングターゲットの製造方法に関する。
スパッタリング法は、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイ等の表示装置を含む各種電子機器の薄膜を製造するための成膜法として多用されている。近年では、表示装置の大型化に伴い、スパッタリング法で使用するスパッタリングターゲットの大型化が要求されるようになっている。
表示装置用のスパッタリングターゲットとしては、酸化物半導体スパッタリングターゲット部材が多用されている。しかしながら、酸化物半導体スパッタリングターゲット部材はセラミックス製であることから脆く、大面積化が難しい。このため、バッキングプレート上に複数のスパッタリングターゲット部材が接合された分割スパッタリングターゲットを使用することが従来行われてきた。
分割スパッタリングターゲットを使用する場合、バッキングプレートを構成する材料(典型的には銅)とスパッタリングターゲット部材との熱膨張差を考慮して、隣接するスパッタリングターゲット部材の間には若干の間隙が設けられるのが通常である。しかしながら、隣接するスパッタリングターゲット部材の間に間隙があると、スパッタ時にバッキングプレートもスパッタリングされて、バッキングプレートを構成する材料(典型的には銅)がスパッタ膜中に混入し、スパッタ膜の特性に悪影響を与える危険性がある。そのため、分割スパッタリングターゲットにおいては、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隙にマスク材を配置することでバッキングプレートの露出を防止する方法が提案されている。
特許第5711172号公報(特許文献1)では、バッキングプレート上に、複数のターゲット部材を低融点ハンダにより接合して形成される分割スパッタリングターゲットにおいて、接合されたターゲット部材間に形成される間隙に沿って、バッキングプレートに保護体を設けたものであり、ターゲット部材が酸化物半導体であり、保護体は、テープ状の第1保護部材とテープ状の第2保護部材とからなり、第2保護部材がバッキングプレート側に配置され、該第2保護部材の上に第1保護部材が積層されており、第1保護部材が高分子シートであることを特徴とする分割スパッタリングターゲットが提案されている。
特許第6079228号公報(特許文献2)では、多分割スパッタリングターゲットにおいて、隣り合ったターゲット材で形成される分割部の底部に沿って、ハンダ材が露出しないように、バッキングプレート表面からターゲット材表面の高さの1/10以下の高さである金属製のワイヤ状の保護材がハンダ材の上に設置されていることを特徴とする多分割スパッタリングターゲットが提案されている。
特許第4961513号公報(特許文献3)では、バッキングプレート上に、複数のターゲット部材を低融点ハンダにより接合して形成される分割スパッタリングターゲットにおいて、接合されたターゲット部材間に形成された間隙に、ターゲット部材を構成する金属元素を含むセラミック粉からなるセラミック材が充填されており、セラミック粉の充填厚さは、ターゲット部材間に形成された間隙深さの10%~70%であることを特徴とする分割スパッタリングターゲットが提案されている。
特許第4961514号公報(特許文献4)では、バッキングプレート上に、複数のターゲット部材を低融点ハンダにより接合して形成される分割スパッタリングターゲットにおいて、接合されたターゲット部材間に形成される間隙に沿って、バッキングプレートに保護体を設けたものであり、保護体は、テープ状の第1保護部材とテープ状の第2保護部材とからなり、第2保護部材がバッキングプレート側に配置され、該第2保護部材の上に第1保護部材が積層されており、第1保護部材が、酸化物又は窒化物からなるセラミック材料により形成されたことを特徴とする分割スパッタリングターゲットが提案されている。
特許第5711172号公報 特許第6079228号公報 特許第4961513号公報 特許第4961514号公報
このように、分割スパッタリングターゲットにおいて、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隙にマスク材を配置することでバッキングプレートの露出を防止する方法が提案されている。しかしながら、分割スパッタリングターゲットの場合、各スパッタリングターゲット部材が独立してバッキングプレートに接合されているので、低融点ハンダのようなボンディング材の厚みにばらつきが生じやすいという問題がある。従来技術では分割された各スパッタリングターゲット部材のそれぞれを接合するボンディング材の厚みを制御することについては検討が不十分である。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、一実施形態において、バッキングプレート上に複数のスパッタリングターゲット部材が接合された分割スパッタリングターゲットであって、各スパッタリングターゲット部材の厚みが制御された分割スパッタリングターゲットを提供することを課題とする。また、本発明は別の一実施形態において、そのような分割スパッタリングターゲットの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、ワイヤ状のスペーサをバッキングプレートと各スパッタリングターゲット部材の間に配置することが有利であることを見出した。そして、スペーサは、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隙に設置されるマスク材と重ならないように配置することが厚み制御に有利であることを見出した。本発明は上記知見に基づき完成したものであり、以下に例示される。
[1]
バッキングプレート上に間隙をおいて配列された複数の平板状スパッタリングターゲット部材と、
バッキングプレートと各スパッタリングターゲット部材の間に配置されたボンディング材と、
隣接するスパッタリングターゲット部材同士の前記間隙に配置されたマスク材と、
バッキングプレートと各スパッタリングターゲット部材の間であって、マスク材と重ならない位置に配置された、ボンディング材の厚み調整用の複数のワイヤ状スペーサと、
を備えた分割スパッタリングターゲット。
[2]
平面視において、前記複数のワイヤ状スペーサは何れも、スパッタリングターゲット部材の外周側面から延出する部分を有しない[1]に記載の分割スパッタリングターゲット。
[3]
前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、一端又は両端が、スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に位置する[1]又は[2]に記載の分割スパッタリングターゲット。
[4]
複数の平板状スパッタリングターゲット部材のうち少なくとも一つは平面視矩形状であり、前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち一辺を構成する外周側面の直下に両端が位置するか、又は隣り合う二辺を構成する各外周側面の直下に各端が位置する[3]に記載の分割スパッタリングターゲット。
[5]
前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち一辺を構成する外周側面の直下に両端が位置し、バッキングプレートと当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の間で、当該両端から離れるに従って先細りとなる平面視V字状に配置されている[4]に記載の分割スパッタリングターゲット。
[6]
前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち一辺を構成する外周側面の直下に両端が位置し、バッキングプレートと当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の間で、当該両端から離れるに従って先細りとなる平面視等脚台形状に配置されている[4]に記載の分割スパッタリングターゲット。
[7]
前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち隣り合う二辺を構成する各外周側面の直下に各端が位置し、バッキングプレートと当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の間で平面視L字状に配置されている[4]に記載の分割スパッタリングターゲット。
[8]
複数の平板状スパッタリングターゲット部材が酸化物半導体で形成されている[1]~[7]の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
[9]
前記複数のワイヤ状スペーサの直径が0.1mm~1.0mmである[1]~[8]の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
[10]
前記複数のワイヤ状スペーサの材質が銅、チタン、鉄、アルミ、ニッケル及びクロムよりなる群から選択される金属又はこれらの一種以上を含有する合金である[1]~[9]の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
[11]
マスク材の上面は、各スパッタリングターゲット部材の下面よりも下方に位置し、マスク材の上面と各スパッタリングターゲット部材の下面の間にはボンディング材が介在する[1]~[10]の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
[12]
前記複数のワイヤ状スペーサの、マスク材の厚み方向の長さは、マスク材の厚みよりも大きい[11]に記載の分割スパッタリングターゲット。
[13]
前記間隙に配置されたマスク材の幅は、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隔と同じであるか、又はそれよりも大きい[11]又は[12]に記載の分割スパッタリングターゲット。
[14]
複数の平板状スパッタリングターゲット部材はそれぞれ平面視矩形状であり、バッキングプレート上に2行×N列(Nは1以上の自然数)で配列されている[1]~[13]の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
[15]
マスク材の材質は、絶縁性である[1]~[14]の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
[16]
前記間隙にはマスク材が露出している[1]~[15]の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
[17]
[1]~[16]の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲットをスパッタすることを含む成膜方法。
[18]
バッキングプレート上にマスク材を配置する工程aと、
バッキングプレート上のマスク材と重ならない位置にボンディング材の厚み調整用の複数のワイヤ状スペーサを配置する工程bと、
マスク材及びワイヤ状スペーサが配置された上記バッキングプレートと複数の平板状スパッタリングターゲット部材を加熱し、各々の貼り合わせ面に、ボンディング材を塗布する工程cと、
マスク材及びワイヤ状スペーサが配置された上記バッキングプレートと複数の平板状スパッタリングターゲット部材を、溶融したボンディング材を介して貼り合わせる工程dと、
その後冷却してボンディング材を固化する工程eと、
を含む[1]~[16]の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲットの製造方法。
[19]
工程bにおいては、ワイヤ状スペーサは平面視において、その上に配置される予定のスパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分から延出する部分を有するように配置し、当該延出する部分を、配置される予定のスパッタリングターゲット部材に重ならない位置でバッキングプレートに仮固定することを含む[18]に記載の分割スパッタリングターゲットの製造方法。
[20]
工程eを実施した後、前記延出する部分を、切断面が、前記スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に位置するように切断して除去する工程を更に含む[19]に記載の分割スパッタリングターゲットの製造方法。
本発明の一実施形態によれば、分割スパッタリングターゲットの使用時に、スパッタ膜中へバッキングプレートの構成成分が混入するのを防止できる。
また、本発明の一実施形態によれば、分割スパッタリングターゲットにおける各スパッタリングターゲット部材を接合するボンディング材の厚みを容易に制御することができる。このため、複数のスパッタリングターゲット部材の間の上面高さを揃えることが容易となる。つまり、複数のスパッタリングターゲット部材の間で上面高さにおいて段差や起伏がない面一の分割スパッタリングターゲットを作製することが容易となる。これにより、スパッタ時のノジュールやパーティクルを抑制できることが期待される。また、複数のスパッタリングターゲットの間で熱伝達特性にムラがなくなることで、分割スパッタリングターゲットを構成する各スパッタリングターゲット部材が割れにくくなることが期待される。
従って、本発明の一実施形態によれば、スパッタ膜の大面積化に貢献する分割スパッタリングターゲットを提供することができる。当該分割スパッタリングターゲットは、例えば、大型液晶ディスプレイ及び大型有機ELディスプレイ等の大型表示装置の工業生産に大きく貢献できると考えられる。
本発明の一実施形態に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 本発明の一実施形態に係る分割スパッタリングターゲットを厚み方向に切断したときの模式的な断面図である。 本発明の一実施形態に係る分割スパッタリングターゲットの製造方法を説明するための模式的な断面図である。 図1の実施形態に係る分割スパッタリングターゲットを製造する過程において、複数の平板状スパッタリングターゲット部材を貼り合わせる前に、粘着テープを用いて複数のワイヤ状スペーサを仮固定したときの様子を示す模式的な平面図である。 実施例1に係る分割スパッタリングターゲットの製造過程において、仮固定用粘着テープを剥がす前の模式的な平面図である。 実施例1に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 実施例2に係る分割スパッタリングターゲットの製造過程において、仮固定用粘着テープを剥がす前の模式的な平面図である。 実施例2に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 実施例3に係る分割スパッタリングターゲットの製造過程において、仮固定用粘着テープを剥がす前の模式的な平面図である。 実施例3に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 実施例4に係る分割スパッタリングターゲットの製造過程において、仮固定用粘着テープを剥がす前の模式的な平面図である。 実施例4に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 実施例5に係る分割スパッタリングターゲットの製造過程において、仮固定用粘着テープを剥がす前の模式的な平面図である。 実施例5に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 実施例6に係る分割スパッタリングターゲットの製造過程において、仮固定用粘着テープを剥がす前の模式的な平面図である。 実施例6に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 実施例7に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 比較例1に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 比較例2に係る分割スパッタリングターゲットの模式的な平面図である。 実施例4に係る分割スパッタリングターゲットにおける複数のワイヤ状スペーサの配置を示す探傷図である。
<A.分割スパッタリングターゲット>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳述する。図1には、本発明の一実施形態に係る分割スパッタリングターゲット(100)の模式的な平面図が示されている。図2には、本発明の一実施形態に係る分割スパッタリングターゲット(100)を厚み方向に切断したときの模式的な断面図が示されている。
本発明の一実施形態に係る分割スパッタリングターゲット(100)は、
バッキングプレート(102)上に間隙(103)をおいて配列された複数の平板状スパッタリングターゲット部材(104)と、
バッキングプレート(102)と各スパッタリングターゲット部材(104)の間に配置されたボンディング材(106)と、
隣接するスパッタリングターゲット部材(104)同士の前記間隙(103)に配置されたマスク材(108)と、
バッキングプレート(102)と各スパッタリングターゲット部材(104)の間であって、マスク材(108)と重ならない位置に配置された、ボンディング材(106)の厚み調整用の複数のワイヤ状スペーサ(110(110a、110b、110c、110d))と、
を備える。
(1.バッキングプレート)
バッキングプレートは、スパッタリングターゲット部材と接合することで分割スパッタリングターゲットの構造的強度を高める機能を果たす。バッキングプレートを使用することは特にスパッタリングターゲット部材がセラミックス等の脆い物質で形成されているときに特に有利である。バッキングプレートを形成する材質としては、強度の観点から、金属であることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、銅及び銅合金、チタン、タングステン、モリブデン等が挙げられる。さらにその中でも特に、銅の様に導電性が高い金属からなるバッキングプレートを使用する場合、ターゲットの隙間でバッキングプレートが露出することによるスパッタリング時の異常が顕著となるため、マスク材を利用したボンディング方法が効果的である。
一実施形態において、バッキングプレートは平板状とすることができる。バッキングプレートの平面視形状は特に制限はないが、例えば多角形状とすることができ、典型的には四角形状とすることができ、より典型的には矩形状とすることができる。多角形の各頂点は適宜面取りすることができる。
バッキングプレートの厚みは、要求される分割スパッタリングターゲットの構造強度や重量・寸法に応じて適宜設定すればよく、特に制限はないが、例えば3~30mmとすることができ、典型的には5~20mmとすることができる。
(2.スパッタリングターゲット部材)
バッキングプレート上には、間隙をおいて複数の平板状スパッタリングターゲット部材を配列することができる。配列方法には特に制限はなく、複数の平板状スパッタリングターゲット部材は、例えば、バッキングプレート上にM行×N列(Mは2以上の自然数、Nは1以上の自然数)で配列することができる。この中でも、複数の平板状スパッタリングターゲット部材の下に配置するすべてのワイヤ状スペーサを容易に仮固定できるという観点からは、複数の平板状スパッタリングターゲット部材は、2行×N列(Nは1以上の自然数)で配列することが好ましい。ワイヤ状スペーサの仮固定方法については後述する。分割スパッタリングターゲットを大型化しやすいという観点から、2行×N列(Nは2以上の自然数)で配列することがより好ましい。
隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隔(隙間)は、平面視線状に形成することができ、好ましくは平面視直線状に形成することができる。例えば、4枚の平板状スパッタリングターゲット部材が2行×2列でバッキングプレート上に配列されるときは、平面視で二本の直線状間隔(隙間)が十字状に形成されることが好ましい。一般的には、4枚以上の平板状スパッタリングターゲット部材がM行×N列(Mは2以上の自然数、Nは2以上の自然数)でバッキングプレート上に配列されるときは、平面視で(M-1)本×(N-1)本の直線状間隔(隙間)が形成され、(M-1)×(N-1)個の十字状交差点が形成されることが好ましい。
間隔(隙間)は、狭いほうがノジュールやアーキングといったスパッタ不良の低減、膜特性の均質化の観点で好ましいことから、何れの場所においても1.0mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることが更により好ましい。但し、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隔(隙間)は、狭すぎると、製造工程におけるボンディング後の隙間に固化したIn等のボンディング材を除去する作業の際に、ターゲットにチッピングを生じさせるリスクが増加すること、ターゲットのスパッタリング時にターゲットが熱膨張する際に、向かい合うスパッタリングターゲット部材の端面同士が接触し、スパッタリングターゲット部材が割れるリスクがあることから、何れの場所においても0.2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることが更により好ましい。
複数の平板状スパッタリングターゲット部材の形状、寸法及び材質はそれぞれ異なっていてもよく、一部が同じでもよく、すべてが同じでもよい。しかしながら、ノジュールやアーキングといったスパッタ不良の低減、膜特性の均質化、熱膨張特性を均一にすることによるスパッタリング中の割れ低減の理由により、複数の平板状スパッタリングターゲット部材の形状、寸法及び材質はすべて同じであることが好ましい。
各平板状スパッタリングターゲット部材の平面視形状は特に制限はないが、例えば多角形状とすることができ、典型的には四角形状とすることができ、より典型的には矩形状とすることができる。多角形の各頂点は適宜面取りすることができる。
各平板状スパッタリングターゲット部材の平面視における大きさは、各スパッタリングターゲット部材の材質、強度及び厚みに応じて適宜設定すればよく、特に制限はないが、例えば100~10000cm2とすることができ、典型的には500~5000cm2とすることができる。
各スパッタリングターゲット部材の材質としては、特に制限はないが、シリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)等の半導体材料、Al23、PZT(Pb(Zr,Ti)O3)、HfO2、La23、MgO、ITO、IZO、ZTO、ITZO及びIGZO等の酸化物系セラミックス、チタン、インジウム、バナジウム、ジルコニウム、モリブデン及びタングステン等の金属材料、ホウ化物(例:TiB2、CrB2、WB)、炭化物(例:WC、TiW、SiC)、窒化物(例:TiN、AlN)、珪化物(例:TiSi2、CrSi2)等の非酸化物系セラミックスが挙げられる。これらは単独で各スパッタリングターゲット部材を形成してもよいし、二種以上を混合して各スパッタリングターゲット部材を形成してもよい。また、透明導電膜用ターゲットと比較して、酸化物半導体ターゲットは、導電性のバッキングプレートが隣接するスパッタリングターゲット同士の隙間で露出することによりスパッタ膜の特性が不均一化しやすい。このため、各スパッタリングターゲット部材の材質として、特にITZO及びIGZO等の酸化物半導体を好適に利用できる。また、各スパッタリングターゲット部材はこれら以外の成分を含有してもよい。
(3.ボンディング材)
ボンディング材は、バッキングプレートと各スパッタリングターゲット部材の間に配置されることで、バッキングプレートと各スパッタリングターゲット部材を接合する役割を果たす。ボンディング材の材質は、バッキングプレートと各スパッタリングターゲット部材の材質を考慮して適宜選定すればよいが、例えば、In、In-Sn合金(例:Sn60~90at%)、Sn-Ag合金(例:Ag3~20at%)、Pb-Sn合金(例:Sn50~95at%)等の熱伝導性と導電性が良好な低融点金属(例:融点が130~250℃)を用いることができる。
ボンディング材は、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隙には存在しないことが好ましい。隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隙にボンディング材が存在すると、スパッタ時にボンディング材がスパッタリングされて、ボンディング材を構成する材料がスパッタ膜中に混入するおそれがあるからである。
(4.マスク材)
マスク材は、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隙に配置されることで、当該間隙にバッキングプレートが露出するのを防止する機能を果たす。これにより、スパッタ時にバッキングプレートがスパッタリングされて、バッキングプレートを構成する材料(典型的には銅)がスパッタ膜中に混入するのを防止可能となる。好ましい一実施形態において、前記間隙にはボンディング材が存在せず、マスク材が露出している。
マスク材の材質は、バッキングプレートを構成する成分よりも難スパッタ性であれば本発明の最低限の効果を得ることができる。また、マスク材の材質は、ボンディング材との反応性が低く、酸化物半導体を成膜する場合に、成膜された酸化物半導体薄膜中へ微量に混入しても、Cuに比べ、TFT素子特性への影響を少なくすることができるような材質であることが望ましい。
例えば、マスク材の材質としては、Zn、Ti又はSnを使用することができ、或いは、Zn、Ti及びSnの何れか一種以上を80質量%以上含む合金を使用することができる。このように、マスク材が金属材質の場合、マスク材は例えば金属箔の形態で提供することができる。
しかしながら、マスク材の材質は、スパッタリング時にバッキングプレート成分がスパッタリングされ、スパッタ膜中に混入するのを防ぐために、絶縁性であることが好ましい。絶縁性の材料としては、セラミックス及び樹脂が挙げられる。マスク材がセラミックス又は樹脂の場合、マスク材は例えばシートの形態で提供することができる。セラミックスとしては、限定的ではないが、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアが挙げられる。樹脂としては、限定的ではないが、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂が挙げられる。マスク材はこれらの一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、硬度、強度、入手のし易さの理由により、ポリアミドイミド樹脂及びポリイミド樹脂が好ましく、ポリアミドイミド樹脂がより好ましい。
図2を参照すると、マスク材(108)の上面は、各スパッタリングターゲット部材(104)の下面よりも下方に位置し、マスク材(108)の上面と各スパッタリングターゲット部材(104)の下面の間にはボンディング材(106)が介在することが好ましい。これにより、スパッタリングターゲット部材にマスク材が直接接触することがなくなり、スパッタリングターゲット部材の下面全体にボンディング材を直接接触させることが可能となるので、絶縁性のマスク材を使用した場合等、マスク材の熱伝導性が低い時に、バッキングプレートからのスパッタリングターゲット部材への熱伝導性が向上する。また、マスク材が各スパッタリングターゲット部材の下面よりも下方に位置することでスパッタ時にプラズマが届きにくくなり、マスク材がスパッタされにくくなるという効果も得られる。
マスク材の幅は、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隔と同じであるか、又は、それよりも大きいことが好ましく、後者の態様がより好ましい。換言すれば、分割スパッタリングターゲットを平面視したときに、隣接するスパッタリングターゲット部材の互いに向かい合う各側縁よりもスパッタリングターゲット部材の内側にマスク材が入り込んでいる状態が好ましい。これにより、バッキングプレートがマスク材によって隠蔽される領域が前記間隔よりも広がるので、バッキングプレートがスパッタされる可能性を一層小さくすることができる。
マスク材の厚みの下限は、マスク材の強度と作業時の形状維持の観点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることが更により好ましい。マスク材の厚みの上限は、ターゲットの熱伝導性の悪化を抑える観点から、1.0mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることが更により好ましい。
(5.ワイヤ状スペーサ)
複数のワイヤ状スペーサは、ボンディング材の厚みを調整するため、バッキングプレートと各スパッタリングターゲット部材の間に配置される。ワイヤ状スペーサを用いることによって、その上にスパッタリングターゲット部材を置いたときにスパッタリングターゲット部材を割れにくくできるという利点がある。例えば、板状のスペーサを用いた場合、スペーサのエッジ部からスパッタリングターゲット部材の裏面に局所的に応力がかかるので、応力が局所的にかかっている当該箇所を起点として、ボンディング後の冷却過程及びスパッタ時にスパッタリングターゲット部材が割れやすくなるという問題がある。これに対して、ワイヤ状スペーサは断面が円形、楕円又は長丸といった丸い形状を有していることから、その上にスパッタリングターゲット部材を配置したとしても、局所的な応力がスパッタリングターゲット部材の裏面にかかりにくく、また、ワイヤ状スペーサの周囲に存在するボンディング材による緩衝効果を得ることもできる。このため、ワイヤ状スペーサを用いることによって、その上にスパッタリングターゲット部材を置いたときにスパッタリングターゲット部材を割れにくくできる。
複数のワイヤ状スペーサのそれぞれの直径の下限は、スパッタリングターゲット部材の裏面への局所適応力を低減するという観点からは、0.1mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましく、0.5mm以上であることが更により好ましい。複数のワイヤ状スペーサのそれぞれの直径の上限は、バッキングプレートとターゲットの熱伝達の効率を悪化させないという観点からは、1.0mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることが更により好ましい。ここで、各ワイヤ状スペーサの直径は、円相当直径、つまりワイヤ状スペーサの断面積と同一の断面積をもつ円の直径を指す。
複数のワイヤ状スペーサ(110)のそれぞれの、マスク材の厚み方向の長さ(ワイヤ状スペーサの断面が円形の場合は当該円の直径に同じ)は、マスク材(108)の厚みよりも大きいことが好ましい(図2参照)。これにより、マスク材(108)の上面は、各スパッタリングターゲット部材(104)の下面よりも下方に位置し、マスク材(108)の上面と各スパッタリングターゲット部材(104)の下面の間にはボンディング材(106)が介在するという先述した構成を容易に達成することができる。複数のワイヤ状スペーサのそれぞれの、マスク材の厚み方向の長さは、ターゲットの高さがマスク材の厚みによって決定されるリスクを回避するため、マスク材の厚みよりも0.1mm以上大きいことが好ましく、0.2mm以上大きいことが更により好ましい。ターゲットとバッキングプレートの間のボンディング材の厚みが厚すぎると、熱伝導効率が悪化するため、複数のワイヤ状スペーサのそれぞれの、マスク材の厚み方向の厚みは、1.0mm以下が好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
また、ワイヤ状スペーサは、マスク材と重ならない位置に配置されることが望ましい。ワイヤ状スペーサがマスク材と重なる位置に配置される、すなわち、ワイヤ状スペーサがマスク材の上に乗り上げるように配置されたり、逆に、ワイヤ状スペーサの下を潜るように配置されたりすると、ワイヤ状スペーサの上に配置されるスパッタリングターゲット部材のスパッタ面がバッキングプレートの表面に対して傾斜しやすく、複数のスパッタリングターゲット部材の間で上面高さにおいて段差や起伏がない面一の分割スパッタリングターゲットを作製することが困難となる。また、スパッタリングターゲット部材間の隙間の調整も困難となり、スパッタリングターゲット部材間の隙間が小さい箇所が部分的に生じ、スパッタリング時にスパッタリングターゲット部材が割れやすくなるという問題も生じ得る。
ワイヤ状スペーサの材質は、バッキングプレートとスパッタリングターゲット部材間の熱伝達を妨げないために、高い熱伝達特性を有することが好ましい。また、ボンディング作業時にハンドリングを容易とするために、超硬なもの、塑性の無いものは避けるべきである。この観点から、ワイヤ状スペーサの材質は、銅、チタン、鉄、アルミ、ニッケル及びクロムよりなる群から選択される金属又はこれらの一種以上を含有する合金であることが好ましく、銅、チタン、アルミであることがより好ましく、銅であることが更により好ましい。
分割スパッタリングターゲットを平面視したとき、複数のワイヤ状スペーサは何れも、スパッタリングターゲット部材の外周側面から延出する部分を有しないことが好ましい。ワイヤ状スペーサがスパッタされてスパッタ膜の特性に予期せぬ悪影響が出るのを防止するためである。
ある特定の一本のワイヤ状スペーサがスパッタリングターゲット部材の外周側面から延出する部分を有しない場合、平板状スパッタリングターゲット部材を平面視したときに、当該平板状スパッタリングターゲット部材の下に配置される当該ワイヤ状スペーサの両端は、例えば以下のように配置することができる。
(1)一本のワイヤ状スペーサの両端が当該平板状スパッタリングターゲット部材の外周側面よりも内側に位置するように配置する方法(図1の符号110cで示されるワイヤ状スペーサ参照)。
(2)一本のワイヤ状スペーサの両端が、スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に(外周側面と面一で)位置するように配置する方法(図1の符号110a、110b及び110dで示されるワイヤ状スペーサ参照)。
(3)一本のワイヤ状スペーサの一端は、当該平板状スパッタリングターゲット部材の外周側面よりも内側に位置するように配置され、当該ワイヤ状スペーサの他端は、スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に(外周側面と面一で)位置するように配置する方法。
これらの方法の中でも、ワイヤ状スペーサをスパッタリングターゲット部材の外周側面から延出させることなく、安定して定められた位置に配置できるという観点から、(2)及び(3)の方法が好ましく、(2)の方法がより好ましい。
(1)の方法の場合、ワイヤ状スペーサの両端がスパッタリングターゲット部材の外周側面の内側にあるため、ワイヤ状スペーサを位置決めのために仮固定することが困難である。そのため、ワイヤ状スペーサが所定の位置からずれるおそれがある。
(3)の方法の場合、ワイヤ状スペーサの一方の端部は、スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に(外周側面と面一で)位置するように配置される。このような端部は、平面視したときに、ワイヤ状スペーサの上に配置される予定のスパッタリングターゲット部材の外周側面から延出するように当初配置し、当該延出する端部を利用してバッキングプレートに仮固定し、その後、延出する端部を切断除去することで形成できるので、(1)の方法よりも位置決め精度が高いという利点が得られる。しかしながら、(3)の方法の場合、ワイヤ状スペーサの他方の端部は平板状スパッタリングターゲット部材の外周側面よりも内側に位置しており仮固定できないので、ワイヤ状スペーサが所定の位置からずれるおそれがある。
(2)の方法の場合、ワイヤ状スペーサの両端が、スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に(外周側面と面一で)位置するように配置される。この場合、ワイヤ状スペーサの両端は、平面視したときに、ワイヤ状スペーサの上に配置される予定のスパッタリングターゲット部材の外周側面から延出するように当初配置し、当該延出する両端を利用してバッキングプレートに仮固定し、その後、延出する両端を切断除去することで形成できる。このため、位置決め精度を(3)の方法よりも更に高くすることができるという利点が得られる。すべてのワイヤ状スペーサが(2)の方法で配置されることが好ましい。すべてのワイヤ状スペーサを(2)の方法で配置するためには、スパッタリングターゲット部材を2行×N列(Nは1以上の自然数)で配列することが好ましい。
(2)の方法でワイヤ状スペーサを配置するより具体的な方法を例示的に説明する。当該方法は、複数の平板状スパッタリングターゲット部材のうち少なくとも一つが平面視矩形状である場合に、前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つを、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち一辺を構成する外周側面の直下に両端が位置するように配置することを含む。この場合、ワイヤ状スペーサの位置ずれをより効果的に防止するために、当該ワイヤ状スペーサは、バッキングプレートとスパッタリングターゲット部材の間で、当該両端から離れるに従って先細りとなる平面視V字状に折り曲げられて配置されるか(図1の符号110aのワイヤ状スペーサ参照)、又は、当該両端から離れるに従って先細りとなる平面視等脚台形状に折り曲げられて配置される(図1の符号110dのワイヤ状スペーサ参照)ことが好ましい。ワイヤ状スペーサの位置ずれの防止効果は前者の方法のほうが高いので、前者の方法がより好ましい。
ワイヤ状スペーサは、平板状スパッタリングターゲット部材を安定して載せることができるように配置されることが好ましい。そのため、ワイヤ状スペーサを、バッキングプレートとスパッタリングターゲット部材の間で、当該両端から離れるに従って先細りとなる平面視V字状に折り曲げられて配置する、又は、当該両端から離れるに従って先細りとなる平面視等脚台形状に折り曲げられて配置する場合など、ワイヤ状スペーサを、平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち一辺を構成する外周側面の直下に両端が位置するように配置する場合には、当該スパッタリングターゲット部材の重心が、ワイヤ状スペーサが描く図形(例:V字又は台形)の内側に位置するように、ワイヤ状スペーサを配置することが望ましい(図1の符号110a及び110dのワイヤ状スペーサ参照)。
(2)の方法でワイヤ状スペーサを配置するより具体的な別の方法を例示的に説明する。当該方法は、複数の平板状スパッタリングターゲット部材のうち少なくとも一つが平面視矩形状である場合に、前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つを、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち隣り合う二辺を構成する各外周側面の直下に各端が位置するように配置する方法が挙げられる(図1の符号110bのワイヤ状スペーサ参照)。この場合、当該ワイヤ状スペーサは、バッキングプレートと当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の間で平面視L字状に配置することができる(図1の符号110bのワイヤ状スペーサ参照)。
この場合も、ワイヤ状スペーサは、平板状スパッタリングターゲット部材を安定して載せることができるように配置されることが好ましい。この観点から、少なくとも二本のワイヤ状スペーサを、一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち隣り合う二辺を構成する各外周側面の直下に各端が位置するように、且つ、当該二本のワイヤ状スペーサによって当該スパッタリングターゲット部材の重心が挟まれるように、配置することが好ましい(図1の符号110bのワイヤ状スペーサ参照)。
<B.分割スパッタリングターゲットの製法>
本発明の一実施形態に係る分割スパッタリングターゲットの製造方法は、例えば以下の工程:
バッキングプレート(102)上にマスク材(108)を配置する工程a(図3a)と、
バッキングプレート(102)上のマスク材(108)と重ならない位置にボンディング材(106)の厚み調整用の複数のワイヤ状スペーサ(110)を配置する工程b(図3b)と、
マスク材(106)及びワイヤ状スペーサ(110)が配置された上記バッキングプレート(102)と複数の平板状スパッタリングターゲット部材(104)を加熱し、各々の貼り合わせ面に、ボンディング材(106)を塗布する工程c(図3c)と、
マスク材(108)及びワイヤ状スペーサ(110)が配置された上記バッキングプレート(102)と平板状スパッタリングターゲット部材(104)を、溶融したボンディング材(106)を介して貼り合わせる工程d(図3d)と、
その後冷却してボンディング材(106)を固化する工程eと、
を実施することを含む。
工程bにおいては、ワイヤ状スペーサは平面視において、その上に配置される予定のスパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分から延出する部分を有するように配置し、当該延出する部分を、配置される予定のスパッタリングターゲット部材に重ならない位置でバッキングプレートに仮固定することが好ましい。ワイヤ状スペーサの位置精度を高めるためである。仮固定する方法には特に制限はないが、例えば粘着テープを用いてワイヤ状スペーサの前記延出する部分をバッキングプレートに仮固定する方法が挙げられる。粘着テープは、バッキングプレートを傷つけることなく容易に剥離できることが望ましい。図4には、図1の実施形態に係る分割スパッタリングターゲットを製造する工程bにおいて、複数の平板状スパッタリングターゲット部材をボンディング材を介して貼り合わせる前に、粘着テープ(109)を用いて複数のワイヤ状スペーサを仮固定したときの様子を示す模式的な平面図が示されている。
工程cにおいて、ボンディング材をバッキングプレートと複数の平板状スパッタリングターゲット部材の貼り合わせ面に塗布する方法としては、公知の任意の方法を採用すればよい。例えば、超音波ウェルディング、めっき、蒸着等が挙げられる。これらの中でも、接合強度が高いという理由により、超音波ウェルディングが好ましい。
仮固定時に利用したワイヤ状スペーサの延出部分は、工程eを実施した後に切断して除去することが好ましい。具体的には、当該延出する部分を、ワイヤ状スペーサの切断面が、前記スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に位置するように切断して除去することが好ましい。また、マスク材が各スパッタリングターゲット部材の外周側面からはみ出している場合も、当該はみ出し部分を切断除去することが好ましい。これにより、マスク材の切断面は、前記スパッタリングターゲット部材の外周側面の直下に(外周側面と面一で)位置することになる。
工程eの後、更に、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隔に露出しているボンディング材(106)を除去し、マスク材(108)を露出させる工程を実施することが好ましい(図3e)。ボンディング材を除去する方法としては、例えば隙間ボンディング材除去治具を利用して掻き取る方法が挙げられる。隙間ボンディング材除去治具としては、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隔に入り込んでボンディング材を掻き取ることができるように、鋭利な刃を有するものを使用することができる。ボンディング材を効率的に掻き取ることができるように、刃の先端が鉤状であることが好ましい。隙間ボンディング材除去治具は例えば金属製(例:ステンレス製)や、バッキングプレートを傷つけないためのPEEK(ポリエーテルエーテルケトン等)とすることができる。ボンディング材の除去作業性の向上及び生産効率の向上の観点から、ボンディング材の除去は、ボンディング材の冷却時であってボンディング材が80~150℃の温度にある時に行うことが好ましく、90~130℃の温度にある時に行うことがより好ましく、100~120℃の温度にある時に行うことが更により好ましい。ボンディング材の温度が低すぎると、ボンディング材が硬くなり、除去作業の作業性が悪化する。
<C.成膜方法>
本発明の一実施形態によれば、分割スパッタリングターゲットをスパッタすることを含む成膜方法が提供される。スパッタ法としては、限定的ではないが、RFマグネトロンスパッタ法、DCマグネトロンスパッタ法、ACマグネトロンスパッタ法、パルスDCマグネトロンスパッタ法等を好適に使用することができる。
以下、本発明及びその利点の理解を容易にするための実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるべきではない。
<1.分割スパッタリングターゲットの作製>
(バッキングプレート)
試験番号に応じて表1に示す寸法の平面視矩形状の銅製バッキングプレートを用意した。
(マスク材)
マスク材として、東レプラスチック精工(株)社製品名TPS TI-5013のポリアミドイミド樹脂シート(厚み0.3mm)を用意した。
(スペーサ)
ワイヤ状スペーサとして、断面が直径0.5mmの円形の銅線を用意した。
板状スペーサとして、縦20mm×横10mm×厚さ0.5mmの銅板を用意した。
(ボンディング材)
ボンディング材として、インジウムのメタルを用意した。
(スパッタリングターゲット部材)
スパッタリングターゲット部材として、縦63mm×横254mm×厚み6mmの矩形板状のIGZO製スパッタリングターゲット部材を用意した。
(実施例1~7)
バッキングプレート(102)上にマスク材(108)を、両面粘着テープ(寺岡製作所社製品名両面カプトンテープ)によって配置・固定し、バッキングプレート(102)上のマスク材(108)と重ならない位置にボンディング材(106)の厚み調整用の複数のワイヤ状スペーサ(110)を配置した。
次いで、実施例1~6においては、ワイヤ状スペーサ(110)は平面視において、その上に配置される予定のスパッタリングターゲット部材(104)の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分から延出する部分を有するように配置し、当該延出する部分を、配置される予定のスパッタリングターゲット部材に重ならない位置でバッキングプレートに仮固定した(図5-1、図6-1、図7-1、図8-1、図9-1、図10-1参照)。仮固定には片面粘着テープ(寺岡製作所社製品名カプトンテープ)を利用した。実施例7においては、仮固定しなかった。
次いで、マスク材(108)及びワイヤ状スペーサ(110)が配置されたバッキングプレート(102)と試験番号に応じて複数の平板状スパッタリングターゲット部材(104)を加熱し、各々の貼り合わせ面に、ボンディング材(106)を超音波ウェルディングにより塗布した。
次いで、マスク材(108)及びワイヤ状スペーサ(110)が配置された上記バッキングプレート(102)と複数の平板状スパッタリングターゲット部材(104)を、溶融したボンディング材(106)を介して貼り合わせ、その後、冷却してボンディング材(106)を固化した。ボンディング材の冷却中、ボンディング材が80~150℃の範囲にあるときに、隣接するスパッタリングターゲット部材(104)同士の間隔(103)に露出しているボンディング材(106)をSUS製の隙間ボンディング材除去治具を利用して掻き取る方法により除去し、マスク材(108)を露出させた。次いで、実施例1~6においては、仮固定時に利用したワイヤ状スペーサ(108)の延出部分を、切断面が、スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に位置するようにカッター等を用いて切断して除去し、その後、粘着テープを剥がした。また、マスク材の外周側面からのはみ出し部も同様に切断した。
このようにして、表1に記載の方法で複数のスパッタリングターゲット部材を配列した実施例1~7の分割スパッタリングターゲットを作製した(図5-2、図6-2、図7-2、図8-2、図9-2、図10-2、図11参照)。
(比較例1)
バッキングプレート(102)上にマスク材(108)を両面粘着テープ(寺岡製作所社製品名両面カプトンテープ)によって配置・固定し、バッキングプレート(102)上のマスク材(108)と重ならない位置にボンディング材(106)の厚み調整用の複数の板状スペーサ(110)を配置した。この際、板状スペーサ(110)はバッキングプレートに接着剤により固定した。
次いで、マスク材(108)及び板状スペーサ(110)が配置されたバッキングプレート(102)と複数の平板状スパッタリングターゲット部材(104)を加熱し、各々の貼り合わせ面に、ボンディング材(106)を超音波ウェルディングにより塗布した。
次いで、マスク材(108)及び板状スペーサ(110)が配置された上記バッキングプレート(102)と複数の平板状スパッタリングターゲット部材(104)を、溶融したボンディング材(106)を介して貼り合わせ、その後、冷却してボンディング材(106)を固化した。
次いで、隣接するスパッタリングターゲット部材(104)同士の間隔(103)に露出しているボンディング材(106)をSUS製の隙間ボンディング材除去治具を利用して掻き取る方法により除去し、マスク材(108)を露出させた。
このようにして、表1に記載の方法で複数のスパッタリングターゲット部材を配列した比較例1の分割スパッタリングターゲットを作製した(図12参照)。
(比較例2)
バッキングプレート(102)上にマスク材(108)を配置した。
次いで、マスク材(108)が配置されたバッキングプレート(102)と複数の平板状スパッタリングターゲット部材(104)を加熱し、各々の貼り合わせ面に、ボンディング材(106)を超音波ウェルディングにより塗布した。
次いで、マスク材(108)が配置された上記バッキングプレート(102)と複数の平板状スパッタリングターゲット部材(104)を、溶融したボンディング材(106)を介して貼り合わせ、その後、冷却してボンディング材(106)を固化した。
次いで、隣接するスパッタリングターゲット部材(104)同士の間隔(103)に露出しているボンディング材(106)をSUS製の隙間ボンディング材除去治具を利用して掻き取る方法により除去し、マスク材(108)を露出させた。
このようにして、表1に記載の方法で複数のスパッタリングターゲット部材を配列した比較例2の分割スパッタリングターゲットを作製した(図13参照)。
<2.特性評価>
上記の手順で作製した実施例及び比較例の分割スパッタリングターゲットに対して以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)割れの有無
各分割スパッタリングターゲットをスパッタ装置に設置し、投入電力1.5kWにてマグネトロンスパッタリングを実施して、ガラス基板上に50分間成膜した。その後、各スパッタリングターゲット部材の割れの有無を目視により確認した。評価は以下の基準により行った。
5:割れが一切観察されなかった。
3:今回の試験では割れは観察されなかったが、ターゲット部材とマスク材の間にボンディング材が介しないので熱伝導性が局所的に悪くなり、ターゲットが割れるリスクあり。
1:割れが発生した。
(2)段差評価
複数のスパッタリングターゲット部材のうち、隣接し合うスパッタリングターゲット部材の向かい合う側面同士の高さの違い(ピース継ぎ目の段差)をデプスゲージによる段差測定で確認した。評価は、測定された段差について、以下の基準により行った。
5:非常に良い(全測定箇所(すべてのピース継ぎ目)で0.05mm未満)
4:良好(全測定箇所で0.10mm未満)
3:規格内(全測定箇所で0.20mm未満)
2:規格外(1ヶ所で0.20mm以上)
1:規格外(複数箇所で0.20mm以上)
(3)スペーサの位置ずれ
外観目視と超音波探傷による探傷図を以て、以下の基準により行った。
5:スペーサが目標位置から殆どずれ無い
4:スペーサが目標位置から僅かにずれる
3:スペーサが目標位置からずれやすいが以下の基準を満たす
基準:以下の(A)~(B)何れの事象も確認されないこと。
(A)スペーサがマスク材と重なっていた。
(B)スパッタリングターゲット部材の外側にスペーサがはみ出した。
参考に、実施例4に係る分割スパッタリングターゲットにおける複数のワイヤ状スペーサの配置を示す探傷図を図14に示す。
<3.考察>
比較例1は、スペーサを使用しなかったことから、スパッタリングターゲット部材がマスク材を配置していないバッキングプレートの四隅に近い側の2辺が沈みやすく、段差評価が悪かった。
比較例2には、板状スペーサを使用したため、スペーサのエッジ部からスパッタリングターゲット部材の裏面に局所的に応力がかかることで、スパッタリングターゲット部材が割れた。
一方、実施例1~7ではワイヤ状のスペーサを使用したことで割れが抑制されると共に、段差も小さかった。特に、ワイヤの両端を仮固定した実施例1~5はスペーサの位置ずれも少なく、作業性にも優れていた。
Figure 0007311290000001
100 分割スパッタリングターゲット
102 バッキングプレート
103 間隙
104 スパッタリングターゲット部材
106 ボンディング材
108 マスク材
109 粘着テープ
110(110a、110b、110c、110d) ワイヤ状スペーサ

Claims (17)

  1. バッキングプレート上に間隙をおいて配列された複数の平板状スパッタリングターゲット部材と、
    バッキングプレートと各スパッタリングターゲット部材の間に配置されたボンディング材と、
    隣接するスパッタリングターゲット部材同士の前記間隙に配置されたマスク材と、
    バッキングプレートと各スパッタリングターゲット部材の間であって、マスク材と重ならない位置に配置された、ボンディング材の厚み調整用の複数のワイヤ状スペーサと、
    を備え、
    前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、一端又は両端が、スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に位置する、
    分割スパッタリングターゲット。
  2. 平面視において、前記複数のワイヤ状スペーサは何れも、スパッタリングターゲット部材の外周側面から延出する部分を有しない請求項1に記載の分割スパッタリングターゲット。
  3. 複数の平板状スパッタリングターゲット部材のうち少なくとも一つは平面視矩形状スパッタリングターゲット部材であり、前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち一辺を構成する外周側面の直下に両端が位置するか、又は隣り合う二辺を構成する各外周側面の直下に各端が位置する請求項1又は2に記載の分割スパッタリングターゲット。
  4. 前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち一辺を構成する外周側面の直下に両端が位置し、バッキングプレートと当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の間で、当該両端から離れるに従って先細りとなる平面視V字状に配置されている請求項3に記載の分割スパッタリングターゲット。
  5. 前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち一辺を構成する外周側面の直下に両端が位置し、バッキングプレートと当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の間で、当該両端から離れるに従って先細りとなる平面視等脚台形状に配置されている請求項3に記載の分割スパッタリングターゲット。
  6. 前記複数のワイヤ状スペーサのうち少なくとも一つは、当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の四辺のうち隣り合う二辺を構成する各外周側面の直下に各端が位置し、バッキングプレートと当該少なくとも一つの平面視矩形状スパッタリングターゲット部材の間で平面視L字状に配置されている請求項3に記載の分割スパッタリングターゲット。
  7. 複数の平板状スパッタリングターゲット部材が酸化物半導体で形成されている請求項1~6の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
  8. 前記複数のワイヤ状スペーサの直径が0.1mm~1.0mmである請求項1~7の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
  9. 前記複数のワイヤ状スペーサの材質が銅、チタン、鉄、アルミ、ニッケル及びクロムよりなる群から選択される金属又はこれらの一種以上を含有する合金である請求項1~8の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
  10. マスク材の上面は、各スパッタリングターゲット部材の下面よりも下方に位置し、マスク材の上面と各スパッタリングターゲット部材の下面の間にはボンディング材が介在する請求項1~9の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
  11. 前記複数のワイヤ状スペーサの、マスク材の厚み方向の長さは、マスク材の厚みよりも大きい請求項10に記載の分割スパッタリングターゲット。
  12. 前記間隙に配置されたマスク材の幅は、隣接するスパッタリングターゲット部材同士の間隔と同じであるか、又は、それよりも大きい請求項10又は11に記載の分割スパッタリングターゲット。
  13. 複数の平板状スパッタリングターゲット部材はそれぞれ平面視矩形状であり、バッキングプレート上に2行×N列(Nは1以上の自然数)で配列されている請求項1~12の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
  14. マスク材の材質は、絶縁性である請求項1~13の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
  15. 前記間隙にはマスク材が露出している請求項1~14の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲット。
  16. 請求項1~15の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲットをスパッタすることを含む成膜方法。
  17. バッキングプレート上にマスク材を配置する工程aと、
    バッキングプレート上のマスク材と重ならない位置にボンディング材の厚み調整用の複数のワイヤ状スペーサを配置する工程bと、
    マスク材及びワイヤ状スペーサが配置された上記バッキングプレートと複数の平板状スパッタリングターゲット部材を加熱し、各々の貼り合わせ面に、ボンディング材を塗布する工程cと、
    マスク材及びワイヤ状スペーサが配置された上記バッキングプレートと複数の平板状スパッタリングターゲット部材を、溶融したボンディング材を介して貼り合わせる工程dと、
    その後冷却してボンディング材を固化する工程eと、
    を含み、
    工程bにおいては、ワイヤ状スペーサは平面視において、その上に配置される予定のスパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分から延出する部分を有するように配置し、当該延出する部分を、配置される予定のスパッタリングターゲット部材に重ならない位置でバッキングプレートに仮固定することを含み、
    工程eを実施した後、前記延出する部分を、切断面が、前記スパッタリングターゲット部材の外周側面のうち、マスク材が配置されていない部分の直下に位置するように切断して除去する工程を更に含む、
    請求項1~15の何れか一項に記載の分割スパッタリングターゲットの製造方法。
JP2019061706A 2019-03-27 2019-03-27 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法 Active JP7311290B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019061706A JP7311290B2 (ja) 2019-03-27 2019-03-27 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法
KR1020190173645A KR102302468B1 (ko) 2019-03-27 2019-12-24 분할 스퍼터링 타깃 및 그 제조 방법
CN201911394975.6A CN111748779B (zh) 2019-03-27 2019-12-30 分割溅射靶及其制造方法
TW109101580A TWI741477B (zh) 2019-03-27 2020-01-16 分割濺射靶及其製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019061706A JP7311290B2 (ja) 2019-03-27 2019-03-27 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020158854A JP2020158854A (ja) 2020-10-01
JP7311290B2 true JP7311290B2 (ja) 2023-07-19

Family

ID=72642092

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019061706A Active JP7311290B2 (ja) 2019-03-27 2019-03-27 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP7311290B2 (ja)
KR (1) KR102302468B1 (ja)
CN (1) CN111748779B (ja)
TW (1) TWI741477B (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112021004413B4 (de) 2020-09-23 2024-06-13 Rohm Co. Ltd. Halbleitervorrichtung, Halbleitermodul, Motoransteuerungsvorrichtung und Fahrzeug
US11823878B2 (en) * 2021-08-30 2023-11-21 Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd. Deposition apparatus, deposition target structure, and method

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012127005A (ja) 2010-11-08 2012-07-05 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法
JP2014019930A (ja) 2012-07-20 2014-02-03 Kobelco Kaken:Kk ターゲット組立体

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5711172B2 (ja) 1973-12-11 1982-03-03
WO1996023085A1 (en) * 1995-01-25 1996-08-01 Applied Komatsu Technology, Inc. Autoclave bonding of sputtering target assembly
JP3759673B2 (ja) * 1998-01-12 2006-03-29 三井金属鉱業株式会社 スパッタリングターゲットおよびその製造方法
JP4170367B2 (ja) * 2006-11-30 2008-10-22 株式会社神戸製鋼所 表示デバイス用Al合金膜、表示デバイス、及びスパッタリングターゲット
JP5198925B2 (ja) * 2008-04-10 2013-05-15 三井金属鉱業株式会社 スパッタリングターゲット
WO2012063523A1 (ja) 2010-11-08 2012-05-18 三井金属鉱業株式会社 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法
KR20120130518A (ko) * 2011-05-23 2012-12-03 삼성디스플레이 주식회사 스퍼터링용 분할 타겟 장치 및 그것을 이용한 스퍼터링 방법
KR20140036765A (ko) * 2012-09-18 2014-03-26 삼성디스플레이 주식회사 스퍼터링 장치
JP6079228B2 (ja) 2012-12-28 2017-02-15 東ソー株式会社 多分割スパッタリングターゲットおよびその製造方法
CN105908137B (zh) * 2015-02-24 2020-12-15 Jx金属株式会社 溅射靶
KR102450392B1 (ko) * 2015-11-26 2022-10-04 삼성디스플레이 주식회사 스퍼터링 장치

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012127005A (ja) 2010-11-08 2012-07-05 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法
JP2014019930A (ja) 2012-07-20 2014-02-03 Kobelco Kaken:Kk ターゲット組立体

Also Published As

Publication number Publication date
KR102302468B1 (ko) 2021-09-16
CN111748779A (zh) 2020-10-09
TW202035748A (zh) 2020-10-01
KR20200115039A (ko) 2020-10-07
JP2020158854A (ja) 2020-10-01
TWI741477B (zh) 2021-10-01
CN111748779B (zh) 2022-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI491750B (zh) 圓筒形濺鍍靶材及其製造方法
TWI293992B (en) Elastomer bonding of large area sputtering target
TWI289607B (en) Target tiles in a staggered array
JP7311290B2 (ja) 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法
US20070074969A1 (en) Very long cylindrical sputtering target and method for manufacturing
TWI411698B (zh) 濺鍍靶材及由此製得之濺鍍靶
KR20170126449A (ko) 정전 척 장치
JP5228245B2 (ja) スパッタリングターゲット
JPH10121232A (ja) スパッタリングターゲット
JP2015168832A (ja) 円筒形スパッタリングターゲットとその製造方法
CN103828039A (zh) 散热板及散热板的制法
JP3759673B2 (ja) スパッタリングターゲットおよびその製造方法
KR20060057620A (ko) 스퍼터링 타깃 및 그 제조방법
JP6110224B2 (ja) ターゲットアセンブリ及びその製造方法
KR20160103538A (ko) 스퍼터링 타겟
WO1992017622A1 (en) Thermally compatible sputter target and backing plate assembly
TWI553140B (zh) Sputtering target - backplane assembly
JP5781714B1 (ja) スパッタリングターゲット及びその製造方法
WO2021084838A1 (ja) 隙間配置部材
JP2023132884A (ja) 分割スパッタリングターゲット及びその製造方法
TW202108795A (zh) 分割濺鍍靶
JP5748928B1 (ja) スパッタリングターゲット及びその製造方法
JP2003031402A (ja) 薄膜抵抗素子及び基材
JP2016156086A (ja) スパッタリングターゲット及びその製造方法
JPH05287522A (ja) セラミックス製スパッタターゲット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210916

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220816

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221017

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230310

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230706

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7311290

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151