JP7310736B2 - 精製装置 - Google Patents

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Description

本発明は、精製装置に関する。
従来、病院などにおいてポジトロン断層撮影(PET)検査などに使用される放射性薬剤を製造するために、放射性同位元素(RI:Radio Isotope)の精製を行う放射性同位元素精製装置が知られている。
特許文献1には、放射性核種原料生成装置によって生成された放射性核種原料から、第一反応容器において放射性核種を含む第1の標識化合物を生成し、第1の標識化合物を第二反応容器で試薬と反応させて放射性核種を含む第2の標識化合物を生成し、単離精製手段を通して精製して第三反応容器に導入して、標識化合物の等張生理食塩水溶液を生成し、pH調整容器に導入してpHを調整する、放射性核種を含む化合物を自動連続的に製造する自動合成装置が開示されている。特許文献2には、ターゲット基板上に設けられ、放射性同位元素を含有する板状の金属層を溶解させる溶解部を有する放射性同位元素精製装置において、溶解部が金属層を溶解させる溶解液を収容する収容部を有し、ターゲット基板に設けられた金属層が放射性同位元素とともに収容部の溶解液によって溶解される構成が開示されている。
特開平7-318695号公報 特許第6029963号公報
しかしながら、上述した従来技術においては、ターゲットを酸性溶液によって溶解させる際に、溶液の流動経路内の圧力が上昇する可能性があった。流動経路内の圧力が上昇すると、ターゲットからの放射性核種の精製が阻害されて、放射性物質を含む薬剤の製造に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、ターゲットを酸性溶液によって溶解させる際に、溶液の流動経路内の圧力の上昇を抑制して、核種の精製における純度を向上できる精製装置や精製方法が望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、ターゲットを酸性溶液によって溶解させる際に、溶液の流動経路内の圧力の上昇を抑制して、核種の精製における純度を向上できる精製装置を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る精製装置は、表面に核種が生成されたターゲットから、前記核種を精製する精製装置であって、前記ターゲットの表面を酸性溶液に接触させて、前記核種を含む溶解溶液を流出させる溶解部と、前記ターゲットと前記酸性溶液との接触によって生じた気体を前記溶解部の外部に排出する気体排出部と、を備えることを特徴とする。
本発明の一態様に係る精製装置は、上記の発明において、前記溶解部に前記酸性溶液を供給する酸性溶液供給部と、前記溶解部から前記溶解溶液が供給される溶解溶液受給部と、を備え、前記気体排出部が前記溶解溶液受給部に設けられていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る精製装置は、この構成において、前記酸性溶液の流路を選択する上流流路選択機構と、前記酸性溶液を貯留可能な酸性溶液貯留部と、を備え、前記上流流路選択機構は、前記酸性溶液貯留部と前記酸性溶液供給部とを連通する流路と、前記酸性溶液供給部と前記溶解部とを連通する流路とを切換可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る精製装置は、上記の発明において、前記溶解溶液の流路を選択する下流流路選択機構を備え、前記下流流路選択機構は、前記溶解部と前記気体排出部とを連通する流路を選択可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る精製装置は、この構成において、前記溶解溶液から前記核種を精製する精製手段を備え、前記下流流路選択機構は、前記溶解部と前記気体排出部との連通と、前記気体排出部と前記精製手段との連通とを切換可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る精製装置は、上記の発明において、前記溶解部から流出された前記溶解溶液を貯留する溶解溶液貯留部を備え,前記気体排出部が前記溶解溶液貯留部に設けられている。
本発明の一態様に係る精製装置は、上記の発明において、前記気体が水素を含有する水素ガスであることを特徴とする。
本発明の一態様に係る精製方法は、表面に核種が生成されたターゲットから、前記核種を精製する精製方法であって、前記ターゲットの表面を酸性溶液に接触させて、前記核種を含む溶解溶液を流出させる溶解工程と、前記ターゲットと前記酸性溶液との接触によって生じた気体を、前記ターゲットの表面を前記酸性溶液に接触させる溶解部の外部に排出する気体排出工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る精製装置は、ターゲットを酸性溶液によって溶解させる際に、溶液の流動経路内の圧力の上昇を抑制して、核種の精製における純度を向上させることが可能となる。
図1は、本発明の第1の実施形態による精製装置の構成を模式的に示す図である。 図2は、本発明の第1の実施形態による精製装置に用いられる排気用シリンジの一例を示す側面図である。 図3は、本発明の第1の実施形態による精製装置に用いられる排気用シリンジにチューブを接続した例を示す側面図である。 図4Aは、本発明の実施形態において用いられるターゲットホルダの構成を示す正面図である。 図4Bは、本発明の実施形態において用いられるターゲットホルダの構成を示す側面図である。 図5は、本発明の第1の実施形態による精製装置における精製方法を説明するため精製装置の構成を模式的に示す図である。 図6は、本発明の第1の実施形態による精製装置における精製方法を説明するため精製装置の構成を模式的に示す図である。 図7は、本発明を第1の実施形態における精製装置において精製用カラムを接続した例を模式的に示す図である。 図8は、本発明の第2の実施形態による精製装置の構成を模式的に示す図である。 図9は、本発明の第2の実施形態による精製装置における精製方法を説明するため精製装置の構成を模式的に示す図である。 図10は、本発明の第2の実施形態による精製装置における精製方法を説明するため精製装置の構成を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。また、本発明は以下に説明する実施形態によって限定されるものではない。
まず、本発明の実施形態を説明するにあたり、本発明の理解を容易にするために、本発明者が上記課題を解決するために従来の精製装置に対して行った実験および鋭意検討について説明する。
まず、本発明者の知見によれば、例えばイットリウム(Y)、ニッケル(Ni)、テルル(Te)、モリブデン(Mo)などの固体ターゲットを、塩酸やシュウ酸などの酸性溶液によって溶解させる場合に、ターゲットの部分に水素を主成分とするガス(以下、水素ガス)が発生する。ところが、上述した特許文献1に記載の技術においては、放射性核種原料製造装置において生成された放射性核種原料が原料導入部に供給されるが、水素ガスの発生については何ら検討されていない。また、特許文献2に記載の技術においては、溶解液が供給部から収容部に供給され、排出部からターゲット溶液が排出されるが、収容部の周囲には、加温機構や熱電対が設置され、溶解中は封止部が押圧部によって封止される構成である。すなわち、特許文献2に記載の技術では、水素ガスの発生については、何ら検討されておらず、発生した水素ガスによって溶液の流動経路(以下、ライン)内の圧力が上昇する可能性があるのみならず、ライン内の圧力の上昇を、ターゲット溶液の排出時の駆動力にしていると考えられる。この場合、ラインの内部の圧力の制御が困難であることから、薬剤の供給に悪影響を及ぼす可能性が極めて高く、溶液の扱いが困難になる可能性が生じる。
以上のように、上述した従来技術においては、水素ガスの発生によってラインの内部の圧力が上昇してしまう可能性があった。ライン内の圧力が上昇すると、気泡が後段の精製カラムに入り込んだり、充填した樹脂を舞い上げたりする可能性がある。この場合、化合物の精製が阻害されて、放射性物質を含む薬剤の製造に影響を及ぼす可能性が生じる。また、ライン内の圧力の上昇によって、精製装置における継手部分での溶液の漏洩や、配管の破損の可能性も増加するため、放射性物質を含む溶液や強酸が外部に漏れ出す可能性も生じる。
そこで、本発明者は鋭意検討を行い、精製装置の稼働中に異常が生じた場合、緊急停止させる以外に方法がなかったことから、あらかじめ水素をパージするためのラインを設けることが有用であることを想到した。すなわち、放射性化合物を精製する精製装置において、ターゲットを通過した後の溶液を、シリンジや貯留容器などの他の容器によって受ける際に、水素ガスをパージするラインを設ける方法を案出した。これにより、ターゲットを酸性溶液によって溶解させる際に、ライン内の圧力の上昇を抑制できるので、精製用のカラムなどに封入されている樹脂などの巻き上げを抑制でき、放射性核種の精製における純度を向上できる。また、水素をパージするラインを設けるためにターゲット溶液を受ける容器を設けることによって、製造時間の短縮や放射性物質の収率を増加させることができる。以下に説明する本発明は、本発明者による以上の鋭意検討により案出されたものである。
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態による精製装置の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、第1の実施形態による精製装置1は、供給用シリンジ10、排気用シリンジ20、酸性溶液タンク30、ターゲットホルダ40、および流路切換機構50を備える。
流路切換機構50は、複数の切替弁および液体流路を有して構成される。流路切換機構50は、A切替弁51、B切替弁52、C切替弁53、D切替弁54、E切替弁55、およびF切替弁56を備える。流路切換機構50は、溶液の流れ方向に沿ってターゲットホルダ40に対する上流側の上流流路選択機構と、下流側の下流流路選択機構とが一体に設けられて構成される。なお、上流流路選択機構と下流流路選択機構とを別体として構成しても良い。A切替弁51は、酸性溶液貯留部としての酸性溶液タンク30およびB切替弁52と連通可能である。B切替弁52は、A切替弁51とC切替弁53とを選択的に切り替えて連通可能である。C切替弁53は、ターゲットホルダ40の流入口41およびB切替弁52と連通可能である。D切替弁54は、ターゲットホルダ40の流出口42およびE切替弁55と連通可能である。E切替弁55は、D切替弁54とF切替弁56とを選択的に切り替えて連通可能である。F切替弁56は、E切替弁55と連通可能であり、さらに外部の容器等に連通させることが可能である。流路切換機構50のそれぞれの切替弁51~56は、切替制御部(図示せず)によって、連通、切り替え、および遮断を制御可能に構成される。流路切換機構50が切替制御部によって制御されることにより、精製装置1は自動合成装置の一部として機能する。なお、作業者の手動によって、切替弁51~56の連通、切り替え、および遮断を行うことも可能である。
供給用シリンジ10は、注筒部11およびピストン12を有して構成される。酸性溶液供給部としての供給用シリンジ10の吐出先端は、流路切換機構50のB切替弁52に連通されている。排気用シリンジ20の吐出先端は、E切替弁55に連通されている。ここで、気体排出部を備える溶解溶液受給部としての排気用シリンジ20の構成について説明する。図2および図3はそれぞれ、第1の実施形態による精製装置に用いられる排気用シリンジ、および排気用シリンジにチューブを接続した例を示す側面図である。
図2に示すように、排気用シリンジ20は、注筒部21およびピストン22を有して構成される。ピストン22には、チューブ接続部23,24、および連結部25が設けられている。チューブ接続部23,24は、中空筒状に構成される。図3に示すように、排気用シリンジ20は、例えばチューブ接続部23にチューブ26を挿入した場合に、チューブ26によって注筒部21とピストン22とによりなす空間と外部とを連通可能である。これにより、チューブ26を通じて外部から薬剤などの液体を、注筒部21とピストン22とがなす空間に送液可能となる。なお、液体を送液する必要がない場合には、必ずしもチューブ26を挿入する必要はない。連結部25は、先端側に孔が形成され、外部から排気用シリンジ20内に気体を給気したり、排気用シリンジ20内から外部に気体を排気したりすることが可能である。なお、第1の実施形態においては、排気用シリンジ20の連結部25は、後述する水素ガスの排気のために、排気可能かつ吸気不能とすることが好ましい。排気用シリンジ20の先端部は、流路切換機構50のE切替弁55に連通されている。
図1に戻り、酸性溶液タンク30には、例えば、塩酸(HCl)、シュウ酸水溶液((COOH)2)、硝酸(HNO3)、または硫酸(H2SO4)などの酸性溶液が貯留されている。なお、酸性溶液は必ずしもこれらの溶液に限定されず、固体ターゲット3を溶解可能であれば、種々の無機酸を含む酸性溶液を採用することができる。酸性溶液タンク30は、流路切換機構50のA切替弁51に連通されている。
ターゲットホルダ40は、流路切換機構50のC切替弁53およびD切替弁54に連通されている。第1の実施形態においては、溶解部としてのターゲットホルダ40における、溶液の流入側がC切替弁53に連通され、溶液の流出側がD切替弁54に連通されている。
ここで、ターゲットホルダ40について説明する。図4Aおよび図4Bはそれぞれ、第1の実施形態において用いられるターゲットホルダ40の構成を示す正面図および側面図である。図4Aおよび図4Bに示すように、ターゲット溶解治具としてのターゲットホルダ40には、溶液が流入する流入口41、固体ターゲット3の表面を通過した溶液が流出される流出口42が設けられている。固体ターゲット3は、例えばワッシャなどから構成される固定部材43によって、溶液に接触可能にターゲットホルダの筐体40aに固定される。ターゲットホルダ40の流入口41がC切替弁53に連通され、流出口42がD切替弁54に連通される。C切替弁53を通じて流入口41から流入した溶液の少なくとも一部は、固体ターゲット3の表面に接触しつつ通過して流出口42から流出されて、D切替弁54に流入する。
また、固体ターゲット3の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ルビジウム(Rb)、イットリウム(Y)、モリブデン(Mo)、テルル(Te)、カドミウム(Cd)、およびタリウム(Tl)などの種々の元素からなる材料が採用される。なお、固体ターゲット3の材料としては、上述した元素に限定されず、その他の元素を採用することも可能である。
また、固体ターゲット3の表面には、例えば陽子線の照射などによって核反応させることにより、以下に示す同位体や放射性核種が形成されている場合がある。具体的に、固体ターゲット3がニッケル(28Ni)からなる場合に、陽子線を照射することによって、64Ni(p,n)64Cuの核反応が生じ、固体ターゲット3の表面には核種として銅(64Cu)が生成される。なお、固体ターゲット3の材料の元素に対して、核反応によって同位体、同重体、または同中性子体を生成することが可能である。以下に、固体ターゲット3の材料の元素および核反応の例を挙げる。
ニッケル(28Ni):64Ni(p,n)64Cu
銅(29Cu):62Cu(p,n)62Zn
亜鉛(30Zn):67Zn(p,2p)67Cu、68Zn(p,x)67Cu、
70Zn(d,αn)67Cu、70Zn(p,α)67Cu、68Zn(p,2p)67Cu
ガリウム(31Ga):68Ga(p,n)68Ge
ルビジウム(37Rb):85Rb(n,p)85Kr
イットリウム(39Y):89Y(p,n)89Zr
モリブデン(42Mo):100Mo(n,2n)99Mo、100Mo(p,2n)99mTc
なお、固体ターゲット3の材料の元素、核反応、および生成される核種については、上述した例に限定されない。
次に、以上のように構成された精製装置1による精製方法の一部であるターゲットの溶解工程について説明する。図5および図6は、第1の実施形態による精製装置1による精製方法を説明するため精製装置の構成を模式的に示す図である。なお、以下の制御は、切替制御部(図示せず)または作業者によって実行される。
図5に示すように、まず、B切替弁52をA切替弁51と連通させる。一方、A切替弁51を酸性溶液タンク30内の酸性溶液5を吸引可能に連通させる。次に、供給用シリンジ10のピストン12を引くことにより、酸性溶液タンク30から酸性溶液5を供給用シリンジ10の注筒部11内に貯留する。
次に、図6に示すように、B切替弁52をC切替弁53に連通させるように切り替え、C切替弁53をターゲットホルダ40の流入口41に連通させる。一方、D切替弁54を、ターゲットホルダ40の流出口42およびE切替弁55に連通させる。次に、供給用シリンジ10のピストン12を注筒部11に押し込むことによって、ターゲットホルダ40内に酸性溶液5を供給する。ターゲットホルダ40への酸性溶液5の供給流量については、ターゲットホルダ40において液漏れが生じない程度の流量とすることが好ましい。
酸性溶液5は、供給用シリンジ10から、流路切換機構50のB切替弁52およびC切替弁53とターゲットホルダ40とを順次通過し、D切替弁54およびE切替弁55を通じて排気用シリンジ20に供給される。ターゲットホルダ40内においては、C切替弁53を通じて流入口41から流入した酸性溶液5の少なくとも一部が、固体ターゲット3の表面に接触しつつ通過して流出口42から流出されて、D切替弁54に供給される。この場合、固体ターゲット3の表面に酸性溶液5が接触することにより、固体ターゲット3を構成する元素や、陽子線照射などによって固体ターゲット3の表面に形成された同位体や放射性核種などの元素が酸性溶液5に溶解する。固体ターゲット3の溶解時においては、水素ガスが発生する。発生した水素ガスは、固体ターゲット3から溶解した元素を含む溶解溶液としてのターゲット溶液5Aとともに、流路切換機構50のD切替弁54およびE切替弁55を通過して排気用シリンジ20に移動する。排気用シリンジ20においては、注筒部21内にターゲット溶液5Aが貯留されるとともに、気体排出工程として流入に伴って移動するピストン22の連結部25から水素ガスが排気される。これにより、固体ターゲット3の溶解時に発生した水素ガスを外部にパージすることが可能になる。以上により、第1の実施形態による精製方法における溶解工程が終了する。
図7は、第1の実施形態において、精製用カラム80を接続した精製装置1の例を模式的に示す図である。図7に示すように、精製装置1においては、流路切換機構50のF切替弁56と連通した精製用カラム80をさらに設けることが可能である。精製手段の一例としての精製用カラム80には、例えばイオン交換樹脂などの精製用の樹脂7が封入され、吐出端は例えばG切替弁57に連通されている。なお、G切替弁57は、精製装置1における他の切替弁(図示せず)と連通されている。
固体ターゲット3を酸性溶液5によって溶解して得られるターゲット溶液5Aには、不純物が含まれている。具体的に、固体ターゲット3の材料が例えばイットリウム(Y)である場合、陽子線の照射などによって固体ターゲット3の表面にはジルコニウム(89Zr)が形成されている。この場合、ターゲット溶液5Aには、目的の核種である89Zr以外に不純物としてYが含まれる。そこで、精製用カラム80にターゲット溶液5Aを通過させて精製用の樹脂7と接触させることにより、以下の化学式(1)に従って、ターゲット溶液5Aから目的とする核種のみを分離回収する。以上により、第1の実施形態による精製工程が終了する。
R-H+NaCl → R-Na+HCl ……(1)
R:目的とする核種
なお、陽イオン交換樹脂は溶液中の陽イオンを吸着分離し、陰イオン交換樹脂は、溶液中の陰イオンを吸着分離する。イオンの種類によって吸着する強さが異なり、価数が高いほど、または価数が同じ場合には原子番号が大きいほど、選択性は大きくなる。さらに、樹脂7の構造としては、種々の構造が可能である。
従来においては、固体ターゲット3の溶解時に発生した水素ガスがターゲット溶液5Aによって精製用カラム80に移動する可能性がある。上述した例えば89Zrなどの核種の精製を精製用の樹脂7によって行う場合、精製用の樹脂7は通常、その充填状態が異なると分離性能が異なる。そのため、精製用カラム80に水素ガスが移動すると、ターゲット溶液5A中での水素ガスの移動による攪拌によって樹脂7が舞い上がり、充填状態が変化してしまう。これにより、充填状態が変化して分離性能が異なる可能性がある。これに対し、排気用シリンジ20を設けてターゲット溶液5Aとともに移動してきた水素ガスを排気することによって、発生した水素ガスによる樹脂7の充填状態の変化を抑制できるので、核種の精製をより安定して行うことが可能になる。
以上説明した第1の実施形態においては、気体を排気可能な排気用シリンジ20によって、酸性溶液5に固体ターゲット3の一部が溶解された、ターゲット溶液5Aの一時的な貯留および水素ガスのパージを行うことが可能になる。この場合、排気用シリンジ20から精製用カラム80に、ターゲット溶液5Aを短時間で供給できる。これにより、排気用シリンジ20から精製用カラム80にターゲット溶液を供給している間に、例えば、純水の供給や、洗浄液の供給などの次工程の準備を供給用シリンジ10によって行うことができるので、送液の時間を短縮でき、製造時間を短縮できる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による精製装置および精製方法について説明する。図8は、第2の実施形態による精製装置の構成を模式的に示す図である。
図8に示すように、第2の実施形態による精製装置2は、供給用シリンジ10、酸性溶液タンク30、ターゲットホルダ40、流路切換機構50、貯留容器60、および容器70を備える。気体排出部を有する溶解溶液貯留部としての貯留容器60は、液体を一時的に貯留可能に構成されている。貯留容器60内の細管61は、E切替弁55に連通されているとともに、貯留容器60の底部まで到達している。容器70は、貯留容器60から気体を吸引可能に構成されている。供給用シリンジ10、酸性溶液タンク30、ターゲットホルダ40、流路切換機構50、およびその他の構成については、第1の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された精製装置2による精製方法の一部の工程であるターゲットの溶解工程について説明する。図9および図10は、第2の実施形態による精製装置2における精製方法を説明するため精製装置の構成を模式的に示す図である。なお、以下の制御は、切替制御部(図示せず)または作業者によって実行される。
図9に示すように、まず、B切替弁52をA切替弁51と連通させる。一方、A切替弁51を酸性溶液タンク30内の酸性溶液5を吸引可能に連通させる。次に、供給用シリンジ10のピストン12を引くことにより、酸性溶液タンク30から酸性溶液5を供給用シリンジ10の注筒部11内に貯留する。
次に、図10に示すように、B切替弁52をC切替弁53に連通させるように切り替え、C切替弁53をターゲットホルダ40の流入口41に連通させる。一方、D切替弁54を、ターゲットホルダ40の流出口42およびE切替弁55に連通させる。次に、供給用シリンジ10のピストン12を注筒部11に押し込むことによって、ターゲットホルダ40内に酸性溶液5を供給する。ターゲットホルダ40への酸性溶液5の供給流量は、ターゲットホルダ40において液漏れが生じない程度の供給流量とすることが好ましい。
酸性溶液5は、供給用シリンジ10から、流路切換機構50のB切替弁52およびC切替弁53とターゲットホルダ40とを順次通過し、D切替弁54およびE切替弁55を通じて貯留容器60に供給される。ターゲットホルダ40内においては、固体ターゲット3と酸性溶液5の少なくとも一部が接触することにより、固体ターゲット3に起因する元素が酸性溶液5に溶解するとともに、水素ガスが発生する。発生した水素ガスは、固体ターゲット3から溶解した元素を含むターゲット溶液5Aとともに、流路切換機構50のD切替弁54およびE切替弁55を通過して貯留容器60に供給される。貯留容器60に滞留した水素ガスは、気体排出部として構成される容器70に吸引される。これにより、固体ターゲット3の溶解時に発生した水素ガスを外部にパージすることが可能になる。以上により、第2の実施形態による精製方法のおける溶解工程が終了する。また、固体ターゲット3が溶解され、貯留容器60に供給されたターゲット溶液5Aは、さらに後段の精製用カラム80などに供給されて、目的とする核種が分離回収される。以上により、第2の実施形態による精製方法による精製工程が終了する。
第2の実施形態においては、固体ターゲット3の溶解時に発生した水素ガスを貯留容器60に供給して水素ガスのパージを行っていることにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2の実施形態においては、貯留容器60を設けていることにより、ターゲットホルダ40への酸性溶液5の供給と、ターゲットホルダ40から貯留容器60へのターゲット溶液5Aの供給とを供給用シリンジ10のみで行うことができる。そのため、精製装置2において制御可能なシリンジの本数などに限界があった場合に、制御するシリンジを低減できる。さらに、第1の実施形態における排気用シリンジ20などを使用する必要がないことから、使用しないシリンジを他の用途に使用できる。
第2の実施形態においては、貯留容器60内の細管61が底部に到達しているため、供給用シリンジ10のピストン12を改めて引き抜くことにより、貯留容器60に貯留されたターゲット溶液5Aを再度、ターゲットホルダ40に供給できる。例えば、固体ターゲット3の材料がニッケルなどの場合、酸性溶液5によって溶解しがたいため、供給用シリンジ10のピストン12の押し込みおよび引き抜きを少なくとも1回行うことによって、酸性溶液5やターゲット溶液5Aを循環させることができるので、放射性物質の収率を増加させることができる。また、放射性物質を含む溶液として、貯留容器60に貯留されたターゲット溶液5Aを容易に得ることが可能となる。具体的に、放射性物質として89Zrを販売する場合には、上述した精製方法は、診断薬として89Zr標識体を合成する場合のほか、89Zr溶液を販売する用途においても活用可能である。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において挙げた数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。上述した各実施形態および各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1,2 精製装置
3 固体ターゲット
5 酸性溶液
5A ターゲット溶液
10 供給用シリンジ
11,21 注筒部
12,22 ピストン
20 排気用シリンジ
23,24 チューブ接続部
25 連結部
26 チューブ
30 酸性溶液タンク
40 ターゲットホルダ
40a 筐体
41 流入口
42 流出口
43 固定部材
50 流路切換機構
51 A切替弁
52 B切替弁
53 C切替弁
54 D切替弁
55 E切替弁
56 F切替弁
57 G切替弁
60 貯留容器
61 細管
70 容器
80 精製用カラム

Claims (4)

  1. 表面に核種が生成されたターゲットから、前記核種を精製する精製装置であって、
    前記ターゲットの表面を酸性溶液に接触させて、前記核種を含む溶解溶液を流出させる溶解部と、
    前記ターゲットと前記酸性溶液との接触によって生じた気体を前記溶解部の外部に排出する気体排出部と、
    前記溶解部に前記酸性溶液を供給する酸性溶液供給部と、
    前記溶解部から前記溶解溶液が供給される溶解溶液受給部と、
    前記酸性溶液の流路を選択する上流流路選択機構と、
    前記酸性溶液を貯留可能な酸性溶液貯留部と、を備え
    前記気体排出部が前記溶解溶液受給部に設けられ、
    前記上流流路選択機構は、前記酸性溶液貯留部と前記酸性溶液供給部とを連通する流路と、前記酸性溶液供給部と前記溶解部とを連通する流路とを切換可能に構成されてい
    ことを特徴とする精製装置。
  2. 前記溶解溶液の流路を選択する下流流路選択機構を備え、
    前記下流流路選択機構は、前記溶解部と前記気体排出部と連通と、前記溶解部と前記気体排出部との間の遮断とを選択可能に構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の精製装置。
  3. 前記溶解溶液の流路を選択する下流流路選択機構と、
    前記溶解溶液から前記核種を精製する精製手段と、を備え、
    前記下流流路選択機構は、前記溶解部と前記気体排出部との連通と、前記気体排出部と前記精製手段との連通とを切換可能に構成されている
    ことを特徴とする請求項に記載の精製装置。
  4. 前記気体が水素を含有する水素ガスである
    ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の精製装置。
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