JP7310167B2 - 隠蔽シール、機密情報用書類および機密情報の読み取り方法 - Google Patents
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2の技術によっても読み取ることができない場合がある。即ち、ロイコ系色素を使用したインクや感熱用紙を使用して記載した機密情報である場合、隠蔽シールによる機密情報の隠蔽が不完全になるか、または隠蔽シールを貼ったままでの機械読み取りができない場合がある。
基材シートと、基材シートの両面に備えられた機密情報を隠蔽する隠蔽層と、を備えており、
基材シートは、400~1000nmの可視光と近赤外光を透過する材料からなるシートであり、
前記隠蔽層の分光透過率特性は、ロイコ系色素を含む材料を用いて記載した機密情報の記入層の分光反射率特性の可視光領域における吸収域の長波長端より、短波長側においては、機密情報の記入層を隠蔽可能な透過率であり、長波長側の可視光領域においては、機密情報の記入層と基材シートとの反射率差が視認可能な透過率を有することを特徴とする隠蔽シールである。
機密情報用書類の隠蔽シールが貼着された部位に、読み取り時に使用する光源波長の光を照射した状態で、隠蔽シールを目視することにより機密情報を確認する工程を備えており、
読み取り時に使用する光源波長は、ロイコ系色素を含む材料を用いて記載した機密情報
の記入層の分光反射率特性の可視光領域における吸収域の長波長端より長波長側にあり、且つ機密情報の記入層の反射率と基材シートの反射率の差が視認不能となる波長より短波長側にあることを特徴とする機密情報の読み取り方法である。
本発明の隠蔽シールについて説明する。
本発明の隠蔽シールは、機密情報が記載された書類の機密情報記載領域に貼着して機密情報を隠蔽する隠蔽シールである。
ける一部の波長領域の可視光を透過する墨インキ層と、780~1400nmの赤外光を透過する墨インキ層と、からなる積層体であっても良い。
図1は、本発明の隠蔽シール2が、機密情報が記入された書類1の機密情報の記入層(以後、単に記入層と記す場合がある。)13(機密情報記載領域)を被覆して隠蔽する直前の状態を模式的に示した図である。
水性ボールペンによる機密情報の記入層の分光反射率特性75は、400nm~1000nmの波長範囲において、一貫して数%以下の低い分光反射率特性を持っている。また、下地の基材11は、400nm~1000nmの波長範囲において、数10%以上の高い分光反射率特性を持っている。そのため、400nm~1000nmの波長範囲に亘って、水性ボールペンで記載した部位と基材11とのコントラスト差は大きく、水性ボールペンで記載した部位は黒く読み取る事ができる。
油性ボールペンによる機密情報の記入層13の分光反射率特性74は、可視光領域では10%程度の反射率であり、近赤外光領域では70%前後である。読取り波長Aにおいては10%~20%の反射率である。また、下地の基材11は、400nm~1000nmの波長範囲において、60%~90%の高い分光反射率特性を持っている。
可能である。また、近赤外光領域においては、基材11の反射率は60%~90%と大きく、油性ボールペンで記載した機密情報の記入層13の反射率は70%前後と大きいため、そのコントラスト差は小さい。また隠蔽シール2の透過率は60%~80%程度となっているため、近赤外光領域での読み取りは困難である。また、読み取り波長Aにおいては、隠蔽シール2は50%~60%の透過率であり、基材11の反射率は60%~90%と大きく、水性ボールペンで記載した機密情報の記入層13の反射率は10%~20%であるため、コントラスト差は大きい。その為、機密情報を読み取ることができる。
図2と図5を参照しながら、感熱発色層34の情報印字部32の分光反射率特性73を説明する。
感熱発色層34の情報印字部32の分光反射率特性73は、可視光領域では5%~10%の低い反射率である。近赤外光領域では50%~90%の反射率となっている。読取り波長Aにおいては、20%程度の反射率となっている。
図1と図5を参照しながら、機密情報の記入層13の分光反射率特性72を説明する。
ロイコ系インキペンの分光反射率特性72は、可視光領域では15%~25%程度の反射率である。近赤外光領域では60%~90%の反射率となっている。読取り波長Aにおいては、30%程度の反射率となっている。下地である基材11の反射率は可視光領域から近赤外光領域に亘って60%~90%の反射率を備えているため、可視光領域では基材11とのコントラスト差が大きく、ロイコ系インキペンで記載した記入部である機密情報の記入層13は視認する事が可能である。また、近赤外光領域では、基材11とロイコ系インキペンで記載した機密情報の記入層13の反射率の差が小さく、コントラスト差が小さいため、視認する事は困難である。また、読取り波長Aにおいては、ロイコ系インキペンで記載した機密情報の記入層13は30~40%の反射率となっており、基材11とのコントラスト差は、可視光領域より小さいが、視認することは可能である。
以上に説明したように、本発明の隠蔽シール2を、図1(b)および図2(b)に例示した様な基材11上に情報印刷層12を印刷した書類1、または基材31上に形成された感熱発色層34にサーマルヘッドなどにより印字する情報に基づいて印字した情報印字部32を備えている書類3に対して、ロイコ系インキペンなどの筆記具を用いて機密情報を書き込んだ機密情報の記入層13、または記入層33を記載する。その様な書類1、3の
機密情報の記入層13、33の上に、本発明の隠蔽シール2を貼着する事により、機密情報用書類を得る事ができる。
本発明の機密情報の読み取り方法は、機密情報が記載された部位に隠蔽シールが貼着された機密情報用書類の機密情報の読み取り方法である。
<実施例1>
透明基材として、厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(ルミラーT60、東レ株式会社製)を用い、その両面にコロナ処理を施した後、PETフィルムの一方の面に、下記に示した墨インキ層V用インキ組成からなるUV乾燥型オフセットインキを塗布・乾燥し、更にその上に同じ層を塗布・乾燥し、更にその上に、墨インキ層Y用インキ組成からなるUV乾燥型オフセットインキを塗布・乾燥した。
なお、UV乾燥型オフセットインキの塗布は、オフセット印刷の膜厚を1.5μmとし、UV乾燥は高圧水銀灯を使用して120mJ/m2の条件にて乾燥した。
(墨インキ層Vのインキ組成)
オフセットインキメジウム(FDカルトンXメジウムM、東洋インキ社製)
85重量部
顔料(Chromophtal Violet K5800、BASF社製)
15重量部
(墨インキ層Yのインキ組成)
オフセットインキ(FDカルトンX RST黄M、東洋インキ社製) 100重量部
(墨インキ層VBのインキ組成)
墨インキ層V用インキ 60重量部
墨インキ層Y用インキ 40重量部
上記のインキ組成物を、通常の印刷インキの混練手段を用いて均一に混練されたインキを得た。
実施例1では、墨インキ層Vを2層としたのに対し、実施例2では墨インキ層Vを1層としたことと、片側の墨インキ層Yの上に、墨インキ層用VBインキを用いて、厚さ1.0μmの迷彩模様層を形成したこと、を除き、実施例1と同様にして、隠蔽シールを作製した。
実施例2において、迷彩模様層を形成しなかった事以外は、実施例2と同様にして隠蔽シールを作製した。
墨インキ層VB用インキを用いて、PETフィルムの両面側にそれぞれ2層のインキ層を塗布・乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして隠蔽シールを作製した。
墨インキ層VB用インキを用いて、PETフィルムの両面側にそれぞれ3層のインキ層を塗布・乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして隠蔽シールを作製した。
墨インキ層VB用インキを用いて、PETフィルムの両面側にそれぞれ4層のインキ層を塗布・乾燥したこと以外は、実施例1と同様にして隠蔽シールを作製した。
PETフィルムの片面に、墨インキ層Vを2層形成し、その上に更に墨インキ層Yを2層形成したこと以外は、実施例1と同様にして隠蔽シールを作製した。
PETフィルムの片面に、墨インキ層Vを2層形成し、その上に更に墨インキ層Yを2層形成した後、更にその上に墨インキ層Vを2層と墨インキ層Yを2層形成したこと以外は、実施例1と同様にして隠蔽シールを作製した。
(機密情報の読み取り性の評価)
機密情報の読み取り性については、読み取り時の光源波長が635nmのLED光源を用いて、書類サンプルの隠蔽シールを照射し、目視にて確認した結果、全てのサンプルに
ついて、良好に読み取ることができた。
機密情報の隠蔽性については、各サンプルの隠蔽シールを貼り付けた部分のPCS値を測定した。PCS値の測定は、サカタインクスエンジニアリング(株)製のMR-12を使用して行った。PCS値が0.00である場合を隠蔽性が良好とした。0.01以上は不良として判定した。
2、2´・・・隠蔽シール
4・・・秘密情報の記入層の可視光領域における吸収域の長波長端
11、31・・・書類の基材
12・・・情報印刷層
13、33・・・機密情報の記入層
21・・・基材シート
22・・・墨インキ層V
23・・・墨インキ層Y
24・・・粘着層
25・・・迷彩模様層
32・・・情報印字部
52・・・墨インキ層Vの分光透過率特性
53・・・墨インキ層Yの分光透過率特性
61・・・隠蔽シールの分光透過率特性
72・・・ロイコ系インキペンの分光反射率特性
73・・・感熱発色層の情報印字部の分光反射率特性
74・・・油性ボールペンの分光反射率特性
75・・・水性ボールペンの分光反射率特性
76・・・読取りに使用する光源波長(読み取り波長Aと同じ)
Claims (6)
- 機密情報の記入層を含む書類の機密情報記載領域に貼着して機密情報を隠蔽する隠蔽シールであって、
基材シートと、前記基材シートの両面に備えられた機密情報を隠蔽する隠蔽層と、を備えており、
前記基材シートは、400~1000nmの可視光と近赤外光を透過する材料からなるシートであり、基材シートの反射率は可視光領域から近赤外光領域に亘って60%~90%の反射率であり、
機密情報記載領域には、ロイコ系色素を含む青色のロイコ系インキペンを用いて機密情報が記載されており、
前記ロイコ系色素の分光反射率特性は、可視光領域では15%~25%であり、近赤外光領域では60%~90%であり、
前記隠蔽層の分光透過率特性は、ロイコ系色素を含む材料を用いて記載した機密情報の記入層の分光反射率特性の可視光領域における吸収域の長波長端より、短波長側においては、機密情報の記入層を隠蔽可能な小さい透過率であり、機密情報記載領域のPCS値が0.00となり、
長波長側の可視光領域においては、波長の増加に伴って、隠蔽層の分光透過率が機密情報の記入層13の分光反射率より早く増加し、前記隠蔽層を介した機密情報の記入層と基材シートとの反射率差が、635nmのLED光源により、視認可能で機密情報を読み取れる透過率を有することを特徴とする隠蔽シール。 - 前記隠蔽層が、400~780nmの波長範囲における一部の波長領域の可視光を透過する墨インキ層と780~1400nmの赤外光を透過する墨インキ層からなる積層体であることを特徴とする請求項1に記載の隠蔽シール。
- 前記積層体は、複数の前記墨インキ層のうち、最も明度が高い墨インキ層を最表面に備えていることを特徴とする請求項2に記載の隠蔽シール。
- 前記隠蔽層の上に、迷彩模様層を備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の隠蔽シール。
- 請求項1~4のいずれかに記載の前記隠蔽シールを、書類の機密情報が記載された部位に貼着したことを特徴とする機密情報用書類。
- 機密情報が記載された部位に隠蔽シールが貼着された機密情報用書類の機密情報の読み取り方法であって、
機密情報用書類の隠蔽シールが貼着された部位に、読み取り時に使用する光源波長の光を照射した状態で、隠蔽シールを目視することにより機密情報を確認する工程を備えており、
読み取り時に使用する光源波長は、635nmであり、ロイコ系色素を含む青色のロイコ系インキペンを用いて記載した機密情報の記入層の分光反射率特性の可視光領域における吸収域の長波長端より長波長側にあり、且つ機密情報の記入層の反射率と基材シートの反射率の差が、PCS値が0.00となり視認不能となる波長より短波長側にあることを特徴とする機密情報の読み取り方法。
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