JP7310055B1 - 細胞含有液用保存液及び細胞含有液用保存容器 - Google Patents

細胞含有液用保存液及び細胞含有液用保存容器 Download PDF

Info

Publication number
JP7310055B1
JP7310055B1 JP2022569189A JP2022569189A JP7310055B1 JP 7310055 B1 JP7310055 B1 JP 7310055B1 JP 2022569189 A JP2022569189 A JP 2022569189A JP 2022569189 A JP2022569189 A JP 2022569189A JP 7310055 B1 JP7310055 B1 JP 7310055B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
solution
storage
compound
liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022569189A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2023026725A5 (ja
JPWO2023026725A1 (ja
Inventor
嵩也 内山
邦哉 駒井
智雅 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Medical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Medical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Medical Co Ltd filed Critical Sekisui Medical Co Ltd
Publication of JPWO2023026725A1 publication Critical patent/JPWO2023026725A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7310055B1 publication Critical patent/JP7310055B1/ja
Publication of JPWO2023026725A5 publication Critical patent/JPWO2023026725A5/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M1/00Apparatus for enzymology or microbiology
    • C12M1/26Inoculator or sampler
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M3/00Tissue, human, animal or plant cell, or virus culture apparatus
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/04Preserving or maintaining viable microorganisms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues

Abstract

細胞含有液と保存液との混合液を冷蔵保存した場合に、細胞外へのゲノムDNAの漏出を抑えることができる細胞含有液用保存液を提供する。本発明に係る細胞含有液用保存液は、ホルムアルデヒドドナー化合物(A)と、無機塩、有機酸又は有機塩である化合物(B)とを含み、電気伝導率が、3ms/cm以上20ms/cm以下である。

Description

本発明は、細胞含有液を保存するために用いられる保存液に関する。また、本発明は、上記保存液を備える細胞含有液用保存容器に関する。
血液、血漿、血清及び尿等の体液には、遊離DNA(cell free DNA,cfDNA)が含まれる。悪性腫瘍を有する人及び感染症に罹患した人などの体液中には、健常者と比べて、cfDNAが高濃度で存在することが知られている。
近年、がん及び遺伝子疾患等の領域において、cfDNAを検体とする検査等が行われている。cfDNAを検体とする検査は、患者から病変組織を採取して行う検査と比べて、患者への負担が小さい。
また、母体血中には胎児由来の遊離DNA(cell free fetal DNA,cffDNA)が含まれる。出生前遺伝学的検査では、cffDNAを検体とする検査が行われている。
cfDNAを検体とする検査は、qPCR装置や次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer,NGS)等の専用の装置を有する専門機関でなければ実施することが困難である。このため、病院等で採取された血液等の細胞含有液は、専門機関に輸送される必要があり、細胞含有液の採取から分析までに、ある程度の日数を要する。この間、上記細胞含有液は、所定の容器で保存されている。
下記の特許文献1,2には、全血中に存在する細胞、特に白血球を安定化させることによって、cfDNAを安定的に回収する方法が記載されている。
また、下記の特許文献3には、血清を含まず、凍結保護物質としてヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなる群より選択された少なくとも一種の水溶性セルロース系凍結保護物質を含有する動物細胞のガラス化凍結保存液が開示されている。特許文献3には、上記ガラス化凍結保存液が、特定の細胞膜透過性凍結保護物質又は特定の細胞膜非透過性凍結保護物質を含むことが好ましいことが記載されている。
WO2013/123030A1 CN107083382A 特開2011-111406号公報
血液等の細胞含有液に含まれるcfDNAを検体とする検査が行われている。血液等の細胞含有液は、保存液が収容された保存容器に採取された後、qPCR装置や次世代シーケンサーを有する専門機関に輸送される。専門機関までの輸送は、凍結環境下で行われることもあるが、輸送コストを抑える観点及び輸送中のトラブルを抑える観点から、冷蔵環境下で行われることが望ましい。
しかしながら、特許文献1~3に記載のような従来の方法では、細胞含有液が冷蔵環境下で保存された場合に、細胞からゲノムDNA(gDNA)が漏出することがある。例えば、従来の保存液が収容された保存容器では、細胞含有液が冷蔵環境下で保存された場合に、該細胞含有液に含まれる細胞が破壊されたり、死滅したりして、該細胞からゲノムDNAが漏出することがある。
cfDNAを検体とする検査では、ゲノムDNAが細胞外へ漏出すると、検査結果に大きな影響を与える。
本発明の目的は、細胞含有液と保存液との混合液を冷蔵保存した場合に、細胞外へのゲノムDNAの漏出を抑えることができる細胞含有液用保存液を提供することである。また、本発明は、上記細胞含有液用保存液を備える細胞含有液用保存容器を提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、ホルムアルデヒドドナー化合物(A)と、無機塩、有機酸又は有機塩である化合物(B)とを含み、電気伝導率が、3ms/cm以上20ms/cm以下である、細胞含有液用保存液(以下、「保存液」と略記することがある)が提供される。
本発明の保存液のある特定の局面では、前記保存液が、分子量が100以下でありかつ0℃で凍結しない細胞膜透過性化合物(C)を含む。
本発明の保存液のある特定の局面では、前記細胞膜透過性化合物(C)が、多価アルコールである。
本発明の保存液のある特定の局面では、前記細胞膜透過性化合物(C)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、アセトアミド、1,3-プロパンジオール、又はブチレングリコールである。
本発明の保存液のある特定の局面では、前記保存液が、分子量が300以上である細胞膜非透過性化合物(D)を含む。
本発明の保存液のある特定の局面では、前記細胞膜非透過性化合物(D)の分子量が1000以上である。
本発明の保存液のある特定の局面では、前記細胞膜非透過性化合物(D)が、ポリビニルピロリドン、ポリエチンレングリコール、ポリビニルアルコール、多糖類、多糖類の誘導体、糖アルコール、又はフィコールである。
本発明の保存液のある特定の局面では、前記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)が、DMDMヒダントイン、又は1-ヒドロキシメチル-5,5-ジメチルヒダントインである。
本発明の保存液のある特定の局面では、前記化合物(B)が、クエン酸、クエン酸塩、又は塩化ナトリウムである。
本発明の保存液のある特定の局面では、前記細胞含有液が、血液である。
本発明の広い局面によれば、所定量の細胞含有液が採取される細胞含有液用保存容器であって、容器本体と、前記容器本体内に収容された保存液とを備え、前記保存液が、上述した細胞含有液用保存液である、細胞含有液用保存容器が提供される。
本発明の細胞含有液用保存容器のある特定の局面では、前記細胞含有液用保存容器が、以下の構成Pを備える。
構成P:生理食塩水1Lに対して次亜塩素酸ナトリウム7.4gが混合された溶液Paを得て、細胞含有液用保存容器に採取される細胞含有液の所定量と等量の前記溶液Paを細胞含有液用保存容器に採取して、該溶液Paと前記保存液とを混合した混合液Pを得たときに、前記混合液Pにおいて、ホルムアルデヒドの含有量が、100mg/L以上400mg/L以下である。
本発明の細胞含有液用保存容器のある特定の局面では、前記細胞含有液用保存容器が、以下の構成Qを備える。
構成Q:細胞含有液用保存容器に採取される細胞含有液の所定量と等量の生理食塩水を細胞含有液用保存容器に採取して、該生理食塩水と前記保存液とを混合した混合液Qを得たときに、前記混合液Qの浸透圧が、300mOsm/L以上1100mOsm/L以下である。
本発明の細胞含有液用保存容器のある特定の局面では、前記保存液が、分子量が100以下でありかつ0℃で凍結しない細胞膜透過性化合物(C)を含み、前記細胞含有液用保存容器が、以下の構成Rを備える。
構成R:前記所定量の細胞含有液を細胞含有液用保存容器に採取して、該細胞含有液と前記保存液とを混合した混合液Rを得たときに、前記混合液Rにおいて、前記細胞膜透過性化合物(C)の含有量が、1vol%以上5vol%以下である。
本発明の細胞含有液用保存容器のある特定の局面では、前記保存液が、分子量が300以上である細胞膜非透過性化合物(D)を含み、前記細胞含有液用保存容器が、以下の構成Sを備える。
構成S:前記所定量の細胞含有液を細胞含有液用保存容器に採取して、該細胞含有液と前記保存液とを混合した混合液Sを得たときに、前記混合液Sにおいて、前記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量が、0.5μmol/L以上5μmol/L以下である。
本発明に係る細胞含有液用保存液は、ホルムアルデヒドドナー化合物(A)と、無機塩、有機酸又は有機塩である化合物(B)とを含み、電気伝導率が、3ms/cm以上20ms/cm以下である。本発明に係る細胞含有液用保存液では、上記の構成が備えられているので、細胞含有液と保存液との混合液を冷蔵保存した場合に、細胞外へのゲノムDNAの漏出を抑えることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る細胞含有液用保存液(以下、「保存液」と略記することがある)は、ホルムアルデヒドドナー化合物(A)と、無機塩、有機酸又は有機塩である化合物(B)とを含み、電気伝導率が、3ms/cm以上20ms/cm以下である。
本発明に係る保存液では、上記の構成が備えられているので、細胞含有液と保存液との混合液を冷蔵保存した場合に、細胞外へのゲノムDNAの漏出を抑えることができる。本発明に係る保存液では、例えば、細胞含有液と保存液との混合液を4℃で保存した場合でも細胞外へのゲノムDNAの漏出を抑えることができる。本発明では、冷蔵環境下での保存中に、上記細胞含有液に含まれる細胞が破壊されたり、死滅したりして、該細胞中のゲノムDNAが細胞含有液に混入することを効果的に抑えることができる。このため、本発明では、cfDNAの保存安定性を高めることができる。
上記細胞含有液は、細胞を含む液である。上記細胞含有液としては、体液等が挙げられ、具体的には、全血等の血液、尿及び髄液等が挙げられる。血液には、細胞として白血球等が含まれる。
本発明の効果がより一層効果的に発揮されることから、上記細胞含有液は、血液であることが好ましい。上記保存液は、血液用保存液であることが好ましい。上記細胞含有液が血液である場合に、本発明では、冷蔵保存中の溶血も効果的に抑えることができる。
(細胞含有液用保存液)
上記保存液は、25℃で液状である。
本発明の効果を発揮する観点から、上記保存液の電気伝導率は、3ms/cm以上20ms/cm以下である。
上記保存液の電気伝導率は、好ましくは3.5ms/cm以上、より好ましくは4ms/cm以上、更に好ましくは4.5ms/cm以上、好ましくは18ms/cm以下、より好ましくは14ms/cm以下、更に好ましくは10ms/cm以下、特に好ましくは7ms/cm以下である。上記電気伝導率が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。また、上記電気伝導率が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記細胞含有液が血液である場合に、溶血をより一層効果的に抑えることができる。
上記保存液の電気伝導率は、セル定数が0.949×0.1cm-1のセルと、電気伝導率計とを用いて、25.0℃にて測定される。具体的には、電極を保存液15mLに浸して、電気伝導率を測定することができる。上記電気伝導率計としては、例えば、HORIBA Scientific社製「DS-71」を用いることができる。
<ホルムアルデヒドドナー化合物(A)>
上記保存液は、ホルムアルデヒドドナー化合物(本明細書において、「ホルムアルデヒドドナー化合物(A)」と記載することがある)を含む。上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)は、ホルムアルデヒドを遊離可能な化合物である。上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)を用いることにより、細胞含有液と保存液とを混合したときに、ホルムアルデヒドドナー化合物(A)から遊離したホルムアルデヒドの作用により、細胞の膜タンパク質が架橋され、細胞の安定性を高めることができる。ホルムアルデヒドドナー化合物を含む従来の保存液では、冷蔵環境下での保存中に、細胞含有液に含まれるcfDNAの断片長変化が生じやすい。これに対して、本発明では、保存液がホルムアルデヒドドナー化合物を含む場合でも、cfDNAの断片長変化を生じにくくすることができる。上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)としては、ヒダントイン化合物、イミダゾリジニルウレア、ジアゾリジニルウレア、ヘキサメチレンテトラミン、N,N’’-メチレンビス-[N’-(3-ヒドロキシメチル-2,5-ジアオキソ-4-イミダゾリジニル)ウレア]、3級アミン化合物、2級アミン化合物、及び1級アミン化合物等が挙げられる。
上記ヒダントイン化合物としては、DMDMヒダントイン、1-ヒドロキシメチル-5,5-ジメチルヒダントイン、1,3-ジメチロール-5,5-ヒダントイン、及び1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン等が挙げられる。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)は、ヒダントイン化合物であることが好ましく、DMDMヒダントイン、又は1-ヒドロキシメチル-5,5-ジメチルヒダントインであることがより好ましい。
上記保存液中の上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)の含有量は、特に限定されない。上記保存液中の上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)の含有量は、例えば、後述の混合液Pにおいて、ホルムアルデヒドの含有量が後述の範囲を満足するように適宜変更することができる。上記保存液中の上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)の含有量は、上記細胞含有液と上記保存液との混合比、及びホルムアルデヒドドナー化合物(A)の種類等に応じて適宜変更することができる。
上記保存液中の上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)の含有量は、好ましくは0.1w/v%以上、より好ましくは0.5w/v%以上、更に好ましくは1w/v%以上、好ましくは5.0w/v%以下、より好ましくは4.5w/v%以下、更に好ましくは4.0w/v%以下である。上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)からホルムアルデヒドが良好に遊離し、その結果、細胞の安定性を高めることができ、かつ、cfDNAの分解を抑えることができる。
<無機塩、有機酸又は有機塩である化合物(B)>
上記保存液は、無機塩、有機酸又は有機塩である化合物(本明細書において、「化合物(B)」と記載することがある)を含む。上記化合物(B)を用いることにより、保存液のイオン強度を良好に調整することができ、保存液の電気伝導率を適切な範囲に調整することができる。上記化合物(B)は、無機塩であってもよく、有機酸であってもよく、有機塩であってもよく、これらの混合物であってもよい。上記化合物(B)は、無機塩、有機酸及び有機塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。上記化合物(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸塩、炭酸塩等、及びホウ酸塩が挙げられる。上記リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム及びリン酸二カリウム等が挙げられる。上記炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸アンモニウム等が挙げられる。上記ホウ酸塩としては、ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。上記無機塩は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機酸としては、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、安息香酸、ピロリドンカルボン酸、及びサリチル酸等が挙げられる。上記有機酸は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機塩としては、クエン酸塩、コハク酸塩、及び酢酸塩等が挙げられる。上記クエン酸塩としては、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、及びクエン酸三ナトリウム等が挙げられる。上記コハク酸塩としては、コハク酸二ナトリウム等が挙げられる。上記酢酸塩としては、酢酸カルシウム及び酢酸ナトリウム等が挙げられる。上記有機塩は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物(B)の分子量は、50以上であってもよく、100以上であってもよく、400以下であってもよく、300以下であってもよい。上記無機塩である化合物(B)の分子量は、50以上であってもよく、100以上であってもよく、300以下であってもよく、200以下であってもよい。上記有機酸である化合物(B)の分子量は、50以上であってもよく、100以上であってもよく、200以下であってもよく、150以下であってもよい。上記有機塩である化合物(B)の分子量は、50以上であってもよく、100以上であってもよく、400以下であってもよく、200以下であってもよい。
保存液の電気伝導率を容易に調整する観点からは、上記化合物(B)は、クエン酸、クエン酸塩、又は塩化ナトリウムであることが好ましい。また、DNaseはマグネシウムイオンによって活性化するため、上記化合物(B)がクエン酸又はクエン酸塩である場合には、細胞含有液中でのcfDNAの分解を効果的に抑えることができる。さらに、上記化合物(B)がクエン酸又はクエン酸塩である場合には、上記細胞含有液が血液であるときに、抗凝固作用も発揮させることができる。
上記保存液中の上記化合物(B)の含有量は、保存液の電気伝導率が上述の範囲となる限り特に限定されない。
上記保存液中の上記化合物(B)の含有量は、好ましくは0.1w/v%以上、より好ましくは2w/v%以上、更に好ましくは3w/v%以上、好ましくは30w/v%以下、より好ましくは20w/v%以下、更に好ましくは10w/v%以下である。上記化合物(B)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、保存液の電気伝導率を好適な範囲に容易に調整することができる。
上記保存液は、分子量が100以下でありかつ0℃で凍結しない細胞膜透過性化合物(C)、又は、分子量が300以上である細胞膜非透過性化合物(D)を含むことが好ましい。上記保存液は、分子量が100以下でありかつ0℃で凍結しない細胞膜透過性化合物(C)と、分子量が300以上である細胞膜非透過性化合物(D)とを含むことがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができ、また、細胞含有液に含まれるcfDNAの保存安定性をより一層高めることができる。
ある化合物が、細胞膜透過性化合物であるか、又は、細胞膜非透過性化合物であるかは、通常、その化合物の分子量、電荷、極性等によって決まる。電荷を有しない化合物は、受動的な拡散により、細胞膜を透過可能であるため、通常、細胞膜透過性化合物に分類される。また、例えば、電荷を有する化合物は、受動的な拡散により、細胞膜を透過できないため、通常、細胞膜非透過性化合物に分類される。
<分子量が100以下でありかつ0℃で凍結しない細胞膜透過性化合物(C)>
上記保存液は、分子量が100以下でありかつ0℃で凍結しない細胞膜透過性化合物(本明細書において、「細胞膜透過性化合物(C)」と記載することがある)を含むことが好ましい。上記細胞膜透過性化合物(C)は、細胞膜を透過可能な化合物である。上記細胞膜透過性化合物(C)は、上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)とは異なり、上記化合物(B)とは異なる。上記細胞膜透過性化合物(C)を用いることにより、細胞内を良好に脱水することができ、また、細胞内に上記細胞膜透過性化合物(C)を良好に保持させることができる。そのため、保存中に、細胞が破壊されたり、死滅したりして、該細胞中のゲノムDNAが細胞含有液に混入することを効果的に抑えることができる。上記細胞膜透過性化合物(C)は、細胞の凍結保護剤としても知られている。上記細胞膜透過性化合物(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記細胞膜透過性化合物(C)の分子量は100以下である。上記細胞膜透過性化合物(C)の分子量は30以上であってもよく、50以上であってもよく、95以下であってもよい。
上記細胞膜透過性化合物(C)は、0℃で液状であることが好ましく、25℃で液状であることが好ましい。
上記細胞膜透過性化合物(C)としては、多価アルコール、ジメチルスルホキシド、及びアセトアミド等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-プロパンジオール、及びブチレングリコール等が挙げられる。
上記細胞膜透過性化合物(C)は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、アセトアミド、1,3-プロパンジオール、又はブチレングリコールであることが好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、又はジメチルスルホキシドであることがより好ましい。また、上記細胞膜透過性化合物(C)は、多価アルコール又はジメチルスルホキシドであることが好ましく、多価アルコールであることがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができ、また、cfDNAの保存安定性もより一層高めることができる。
上記保存液中の上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量は、特に限定されない。上記保存液中の上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量は、例えば、後述の混合液Rにおいて、上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量が後述の範囲を満足するように適宜変更することができる。上記保存液中の上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量は、上記細胞含有液と上記保存液との混合比等に応じて適宜変更することができる。
上記保存液中の上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量は、好ましくは2vol%以上、より好ましくは10vol%以上、更に好ましくは20vol%以上、好ましくは50vol%以下、より好ましくは40vol%以下、更に好ましくは35vol%以下、特に好ましくは30vol%以下である。上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、細胞含有液と保存液との混合液(混合液R)中の細胞膜透過性化合物(C)の含有量を後述の範囲に調整しやすくなり、その結果、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
<分子量が300以上である細胞膜非透過性化合物(D)>
上記保存液は、分子量が300以上である細胞膜非透過性化合物(本明細書において、「細胞膜非透過性化合物(D)」と記載することがある)を含むことが好ましい。上記細胞膜非透過性化合物(D)は、上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)とは異なり、上記化合物(B)とは異なる。上記細胞膜非透過性化合物(D)を用いることにより、細胞の凝集を効果的に抑えることができ、また、細胞膜の保護効果を高めることができる。そのため、保存中に、細胞が破壊されたり、死滅したりして、該細胞中のゲノムDNAが細胞含有液に混入することを効果的に抑えることができる。上記細胞膜非透過性化合物(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記細胞膜非透過性化合物(D)の分子量は300以上である。上記細胞膜非透過性化合物(D)の分子量は、該細胞膜非透過性化合物(D)の構造式が特定できる場合には、当該構造式から算出できる分子量を意味し、構造式が特定できない場合には、重量平均分子量を意味する。
上記細胞膜非透過性化合物(D)の分子量(重量平均分子量)は、好ましくは1000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは10万以上、好ましくは400万以下、より好ましくは100万以下である。上記細胞膜非透過性化合物(D)の分子量(重量平均分子量)が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を意味する。
上記細胞膜非透過性化合物(D)としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチンレングリコール、ポリビニルアルコール、多糖類、多糖類の誘導体、糖アルコール、及びフィコール等が挙げられる。上記多糖類としては、セルロース、及びデキストラン等が挙げられる。上記多糖類の誘導体としては、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記細胞膜非透過性化合物(D)は、ポリビニルピロリドン、ポリエチンレングリコール、ポリビニルアルコール、多糖類、多糖類の誘導体、糖アルコール、又はフィコールであることが好ましい。本発明の効果を更に一層効果的に発揮する観点からは、上記細胞膜非透過性化合物(D)は、ポリビニルピロリドン、ポリエチンレングリコール、ポリビニルアルコール、デキストラン、又はヒドロキシプロピルセルロースであることがより好ましく、ポリビニルピロリドン、ポリエチンレングリコール、又はポリビニルアルコールであることが更に好ましい。
上記保存液中の上記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量は、特に限定されない。上記保存液中の上記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量は、例えば、後述の混合液Sにおいて、上記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量が後述の範囲を満足するように適宜変更することができる。上記保存液中の上記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量は、上記細胞含有液と上記保存液との混合比等に応じて適宜変更することができる。
上記保存液中の上記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量は、好ましくは1μmol/L以上、より好ましくは5μmol/L以上、好ましくは100μmol/L以下、より好ましくは50μmol/L以下である。上記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、細胞含有液と保存液との混合液(混合液S)中の細胞膜非透過性化合物(D)の含有量を後述の範囲に調整しやすくなり、その結果、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
<クエン酸及びクエン酸塩の双方とは異なりかつキレート作用を有する化合物(E)>
上記保存液は、クエン酸及びクエン酸塩の双方とは異なりかつキレート作用を有する化合物(本明細書において、「キレート作用を有する化合物(E)」と記載することがある)を含むことが好ましい。上記キレート作用を有する化合物(E)はクエン酸及びクエン酸塩の双方とは異なる。上記キレート作用を有する化合物(E)は、ホルムアルデヒドドナー化合物(A)とは異なり、化合物(B)とは異なり、細胞膜透過性化合物(C)とは異なり、細胞膜非透過性化合物(D)とは異なる。DNaseはマグネシウムイオンによって活性化するため、上記キレート作用を有する化合物(E)を用いることにより、細胞含有液中でのcfDNAの分解を効果的に抑えることができる。上記細胞含有液が血液である場合、上記保存液は上記キレート作用を有する化合物(E)として、抗凝固剤(クエン酸及びクエン酸塩の双方とは異なる抗凝固剤)を含むことが好ましい。この場合には、cfDNAの分解を効果的に抑えることに加えて、保存中の血液の凝固を効果的に抑えることができる。上記キレート作用を有する化合物(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されていてもよい。
上記キレート作用を有する化合物(E)としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びグリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)等が挙げられる。
cfDNAの分解をより一層効果的に抑える観点及び上記細胞含有液が血液である場合に、保存中の血液の凝固をより一層効果的に抑える観点からは、上記キレート作用を有する化合物(E)は、EDTAを含むことが好ましく、EDTAであることが好ましい。
上記保存液中の上記キレート作用を有する化合物(E)の含有量は、上記細胞含有液と上記保存液との混合比、及びキレート作用を有する化合物(E)の種類等に応じて適宜変更することができる。
<単糖類又は二糖類>
上記保存液は、単糖類又は二糖類を含むことが好ましい。上記単糖類又は二糖類は、ホルムアルデヒドドナー化合物(A)とは異なり、化合物(B)とは異なり、細胞膜透過性化合物(C)とは異なり、細胞膜非透過性化合物(D)とは異なり、キレート作用を有する化合物(E)とは異なる。上記単糖類又は二糖類を用いることにより、細胞含有液と保存液とを混合した液の浸透圧を効果的に高くすることができ、また、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記保存液は、単糖類を含んでいてもよく、二糖類を含んでいてもよく、単糖類と二糖類とを含んでいてもよい。
上記単糖類としては、グルコース、フルクトース、及びガラクトース等が挙げられる。上記単糖類は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記二糖類としては、スクロース、ラクトース、マルトース、及びトレハロース等が挙げられる。上記二糖類は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記単糖類又は二糖類は、グルコース又はスクロースであることが好ましく、グルコースであることがより好ましい。
上記保存液中の上記単糖類又は二糖類の含有量は、特に限定されない。上記保存液中の上記単糖類又は二糖類の含有量は、例えば、後述の保存液又は混合液Qの浸透圧が後述の範囲を満足するように適宜変更することができる。
<他の成分>
上記保存液は、上述した成分以外の他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、アミノ酸、水、pH調整剤等が挙げられる。上記他の成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記保存液は、水を含むことが好ましい。上記保存液100重量%中、水の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは60重量%以下である。
<保存液の他の詳細>
上記保存液の浸透圧は、好ましくは300mOsm/L以上、より好ましくは600mOsm/L以上、好ましくは4000mOsm/L以下、より好ましくは3000mOsm/L以下である。上記保存液の浸透圧が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記保存液の浸透圧は、浸透圧計(例えば、Advanced Instruments社製「オズモメーター3250」)を用いて測定することができる。
上記保存液のpHは、好ましくは5.0以上、より好ましくは6.0以上、好ましくは8.0以下、より好ましくは7.5以下である。上記pHが上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
(細胞含有液用保存容器)
本発明に係る細胞含有液用保存容器(以下、「保存容器」と略記することがある)は、所定量の細胞含有液が採取される保存容器である。本発明に係る保存容器は、細胞含有液を保存するための容器である。本発明に係る保存容器は、容器本体と、上記容器本体内に収容された保存液とを備える。本発明に係る保存容器では、上記保存液が、上述した保存液である。本発明に係る保存容器は、所定量の細胞含有液が採取され、該細胞含有液と保存液との混合液を保存するための容器である。本発明に係る保存容器は、採取された細胞含有液と上記保存液とが混合された混合液を保存するために用いられる。本発明に係る保存容器は、上記混合液を冷蔵保存するために用いられることが好ましい。
上記保存容器は、以下の構成Pを備えることが好ましい。
構成P:生理食塩水1Lに対して次亜塩素酸ナトリウム7.4gが混合された溶液Paを得る。細胞含有液用保存容器に採取される細胞含有液の所定量と等量の上記溶液Paを細胞含有液用保存容器に採取して、該溶液Paと上記保存液とを混合した混合液Pを得たときに、上記混合液Pにおいて、ホルムアルデヒドの含有量が、100mg/L以上400mg/L以下である。
なお、上記溶液Paは、細胞含有液を模擬した溶液である。上記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)からホルムアルデヒドが遊離することにより、上記混合液Pは、ホルムアルデヒドを含む。
上記混合液Pは、具体的には、以下のようにして調製される。
上記保存容器に採取される細胞含有液の所定量と等量の上記溶液Paを、該保存容器に採取する。例えば、5mLの血液が採取される保存容器では、5mLの溶液Paを該保存容器に採取する。採取した上記所定量の溶液Paと、上記保存液とを転倒混和により混合して、混合液Pを得る。
上記混合液Pにおいて、ホルムアルデヒドの含有量は、好ましくは100mg/L以上、より好ましくは150mg/L以上、好ましくは400mg/L以下、より好ましくは300mg/L以下、更に好ましくは200mg/L以下、特に好ましくは190mg/L以下である。上記混合液Pにおける上記ホルムアルデヒドの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、細胞含有液と保存液との混合液中でのホルムアルデヒドの濃度を適切に制御することができる。そのため、細胞の安定性を高めることができ、かつ、本発明の効果がより一層効果的に発揮され、また、cfDNAの分解を抑えることができる。なお、上記混合液P中のホルムアルデヒドの含有量が400mg/Lを超えると、400mg/L以下である場合と比べて、cfDNA同士又はcfDNAと膜タンパク質とが架橋されやすく、cfDNAの保存安定性が低下することがある。
上記混合液P中の上記ホルムアルデヒドの含有量は、MBTH比色法によって求められる。
上記保存容器は、以下の構成Qを備えることが好ましい。
構成Q:細胞含有液用保存容器に採取される細胞含有液の所定量と等量の生理食塩水を細胞含有液用保存容器に採取して、該生理食塩水と上記保存液とを混合した混合液Qを得たときに、上記混合液Qの浸透圧が、300mOsm/L以上1100mOsm/L以下である。
上記混合液Qは、具体的には、以下のようにして調製される。
上記保存容器に採取される細胞含有液の所定量と等量の上記生理食塩水を、該保存容器に採取する。例えば、5mLの血液が採取される保存容器では、5mLの生理食塩水を該保存容器に採取する。採取した上記所定量の生理食塩水と、上記保存液とを転倒混和により混合して、混合液Qを得る。
上記混合液Qの浸透圧は、好ましくは300mOsm/L以上、より好ましくは350mOsm/L以上、好ましくは1100mOsm/L以下、より好ましくは1000mOsm/L以下である。上記混合液Qの浸透圧が上記下限以上及び上記上限以下であると、細胞含有液と保存液との混合液中での浸透圧を良好にすることができる。そのため、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記混合液Qの浸透圧は、浸透圧計(例えば、Advanced Instruments社製「オズモメーター3250」)を用いて測定することができる。
上記保存液が上記細胞膜透過性化合物(C)を含む場合に、上記保存容器は、以下の構成Rを備えることが好ましい。
構成R:上記所定量の細胞含有液を細胞含有液用保存容器に採取して、該細胞含有液と上記保存液とを混合した混合液Rを得たときに、上記混合液Rにおいて、上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量が、1vol%以上5vol%以下である。
上記混合液Rは、具体的には、以下のようにして調製される。
上記保存容器に採取される所定量の細胞含有液を、該保存容器に採取する。例えば、5mLの血液が採取される保存容器では、5mLの血液を該保存容器に採取する。採取した上記所定量の細胞含有液と、上記保存液とを転倒混和により混合して、混合液Rを得る。
上記混合液Rにおいて、上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量は、好ましくは1vol%以上、より好ましくは2vol%以上、好ましくは5vol%以下、より好ましくは4vol%以下である。すなわち、上記混合液Rにおいて、上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量は、好ましくは1体積%以上、より好ましくは2体積%以上、好ましくは5体積%以下、より好ましくは4体積%以下である。上記混合液Rにおける上記細胞膜透過性化合物(C)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、細胞内をより一層良好に脱水することができ、また、細胞内に上記細胞膜透過性化合物(C)をより一層良好に保持させることができる。そのため、保存中に、細胞が破壊されたり、死滅したりして、該細胞中のゲノムDNAが細胞含有液に混入することをより一層効果的に抑えることができる。
上記保存液が上記細胞膜非透過性化合物(D)を含む場合に、上記保存容器は、以下の構成Sを備えることが好ましい。
構成S:上記所定量の細胞含有液を細胞含有液用保存容器に採取して、該細胞含有液と上記保存液とを混合した混合液Sを得たときに、上記混合液Sにおいて、上記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量が、0.5μmol/L以上5μmol/L以下である。
上記混合液Sは、具体的には、以下のようにして調製される。
上記保存容器に採取される所定量の細胞含有液を、該保存容器に採取する。例えば、5mLの血液が採取される保存容器では、5mLの血液を該保存容器に採取する。採取した上記所定量の細胞含有液と、上記保存液とを転倒混和により混合して、混合液Sを得る。なお、上記混合液Rと上記混合液Sとは同じ液である。
上記混合液Sにおいて、上記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量は、好ましくは0.5μmol/L以上、より好ましくは1μmol/L以上、好ましくは5μmol/L以下、より好ましくは4μmol/L以下である。上記混合液Sにおける上記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、細胞の凝集をより一層効果的に抑えることができ、また、細胞膜の保護効果をより一層高めることができる。そのため、保存中に、細胞が破壊されたり、死滅したりして、該細胞中のゲノムDNAが細胞含有液に混入することをより一層効果的に抑えることができる。
上記保存液が上記キレート作用を有する化合物(E)を含む場合に、上記保存容器は、以下の構成Tを備えることが好ましい。
構成T:上記所定量の細胞含有液を細胞含有液用保存容器に採取して、該細胞含有液と上記保存液とを混合した混合液Tを得たときに、上記混合液Tにおいて上記キレート作用を有する化合物(E)の含有量が、0.03w/v%以上0.5w/v%以下である。
上記混合液Tは、具体的には、以下のようにして調製される。
上記保存容器に採取される所定量の細胞含有液を、該保存容器に採取する。例えば、5mLの血液が採取される保存容器では、5mLの血液を該保存容器に採取する。採取した上記所定量の細胞含有液と、上記保存液とを転倒混和により混合して、混合液Tを得る。なお、上記混合液Rと上記混合液Sと上記混合液Tとは同じ液である。
上記混合液Tにおいて、上記キレート作用を有する化合物(E)の含有量は、好ましくは0.04w/v%以上、より好ましくは0.06w/v%以上、好ましくは0.40w/v%以下、より好ましくは0.30w/v%以下である。上記混合液Tにおける上記キレート作用を有する化合物(E)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、cfDNAの分解をより一層効果的に抑えることができる。また、上記キレート作用を有する化合物(E)の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記細胞含有液が血液である場合に、血液の保存中の凝固をより一層効果的に抑えることができる。
<容器本体>
上記容器本体の形状としては、特に限定されない。上記容器本体の形状は、有底の容器であることが好ましく、有底の管状容器であることがより好ましい。
上記容器本体の素材は特に限定されない。上記容器本体の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ-アクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂;酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、エチルキチン等の変性天然樹脂;ソーダ石灰ガラス、リンケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩ガラス、石英ガラス等のガラスが挙げられる。上記容器本体の素材は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
<栓体>
上記保存容器は、栓体を備えることが好ましい。上記栓体として、従来公知の栓体を用いることができる。上記栓体は、容器本体の開口に、気密的かつ液密的に取付けることが可能な素材、形状からなる栓体であることが好ましい。上記細胞含有液が血液である場合には、上記栓体は、採血針が刺通され得るように構成されていることが好ましい。
上記栓体としては、容器本体の開口に嵌合する形状を有する栓体、シート状のシール栓体等が挙げられる。
また、上記栓体は、ゴム栓等の栓本体と、プラスチック等で構成されたキャップ部材とを備える栓体であってもよい。この場合には、血液の採取後に、容器本体の開口から栓体を引き抜く際に、血液が人体と接触するリスクを抑えることができる。
上記栓体(又は上記栓本体)の材料としては、例えば、合成樹脂、エラストマー、ゴム、金属箔等が挙げられる。上記ゴムとしては、ブチルゴム、及びハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。上記金属箔としては、アルミニウム箔等が挙げられる。密封性を高める観点からは、上記栓体の材料は、ブチルゴムであることが好ましい。上記栓体は、ブチルゴム栓であることが好ましい。
(保存容器及び保存液の他の詳細)
上記保存容器には、所定量の細胞含有液が採取される。上記保存容器は、所定量の細胞含有液を採取及び保存するための容器である。上記保存容器は、上記細胞含有液と上記保存液とが混合された状態で保存するための容器である。上記保存容器に採取される上記細胞含有液の上記所定量は、該保存容器のサイズ等により適宜変更される。上記保存容器に採取される上記細胞含有液の上記所定量としては、例えば、1mL、5mL、10mL、又は20mLである。上記保存容器に採取される上記細胞含有液の上記所定量は、0.5mL以上であってもよく、1mL以上であってもよく、5mL以上であってもよく、25mL以下であってもよく、20mL以下であってもよく、15mL以下であってもよい。
上記保存容器は、上記細胞含有液を液状で保存するための容器であることが好ましく、上記細胞含有液を凍結せずに保存するための容器であることが好ましい。上記保存容器は、上記細胞含有液を、0℃以上で保存するための容器であることが好ましく、1℃以上で保存するための容器であることがより好ましく、40℃以下で保存するための容器であることが好ましく、25℃以下で保存するための容器であることがより好ましく、10℃以下で保存するための容器であることが更に好ましい。
上記保存液は、上記細胞含有液を、0℃以上で保存するために用いられることが好ましく、1℃以上で保存するために用いられることがより好ましく、40℃以下で保存するために用いられることが好ましく、25℃以下で保存するために用いられることがより好ましく、10℃以下で保存するために用いられることが更に好ましい。
採取される細胞含有液1mLに対して、上記容器本体内に収容される保存液の量は、好ましくは0.05mL以上、より好ましくは0.1mL以上、好ましくは1mL以下、より好ましくは0.5mL以下である。上記保存液の量が上記下限以上及び上記上限以下であると、細胞含有液が過度に希釈されることなく、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記保存液は、採取される細胞含有液1mLに対して、0.05mL以上で混合して用いられることが好ましく、0.1mL以上で混合して用いられることがより好ましく、1mL以下で混合して用いられることが好ましく、0.5mL以下で混合して用いられることがより好ましい。この場合には、細胞含有液が過度に希釈されることなく、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記保存容器の内圧は特に限定されない。上記保存容器の内圧は、減圧されていることが好ましい。上記保存容器が減圧容器である場合には、所定量の細胞含有液を簡便に保存容器に採取することができる。上記保存容器は、内部が排気された上で、上記栓体によって密閉された真空採血管として用いることもできる。真空採血管である場合、採血者の技術差によらず一定量の血液採取を簡便に行うことができる。
細菌感染を防止する観点から、保存容器の内部はISO又はJISの基準に則って滅菌されていることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
保存液の材料として、以下を用意した。
(ホルムアルデヒドドナー化合物(A))
1-ヒドロキシメチル-5,5-ジメチルヒダントイン
DMDMヒダントイン
イミダゾリジニル尿素
(無機塩、有機酸又は有機塩である化合物(B))
クエン酸3Na・2HO(有機塩としてクエン酸3Naを含む)
クエン酸・HO(有機酸としてクエン酸を含む)
塩化ナトリウム
(細胞膜透過性化合物(C))
プロピレングリコール
ジメチルスルホキシド
(細胞膜非透過性化合物(D))
ポリエチンレングリコール(重量平均分子量50万)
デキストラン(重量平均分子量20万)
(キレート作用を有する化合物(E))
EDTA(抗凝固剤)
(その他)
グルコース
グリシン
(実施例1~8及び比較例2,3)
保存液の作製:
水に対して、表1~3に示す配合成分を表1~3に示す配合量で配合し、保存液を得た。なお、化合物(B)の有機酸及び有機塩の配合量については、水和物の状態での配合量で示した。
保存容器の作製:
容器本体として、長さ100mm、開口部の内径14mmのポリエチレンテレフタレート有底管(PET有底管)を用意した。PET有底管に、得られた保存液0.5mLを収容した。保存容器内部を50kPaに減圧し、ブチルゴム栓により密封した。このようにして血液5mLを採取及び保存するための保存容器を作製した。
(比較例1)
保存液の作製:
水に対して、表3に示す配合成分を表3に示す配合量で配合し、保存液を得た。
保存容器の作製:
容器本体として、長さ100mm、開口部の内径14mmのポリエチレンテレフタレート有底管(PET有底管)を用意した。PET有底管に、得られた保存液0.05mLを収容した。保存容器内部を50kPaに減圧し、ブチルゴム栓により密封した。このようにして血液5mLを採取及び保存するための保存容器を作製した。
(評価)
(1)保存液の電気伝導率
得られた保存液15mLに、電極を浸して、電気伝導率を測定した。なお、セル定数が0.949×0.1cm-1のセルと、電気伝導率計(HORIBA Scientific社製「DS-71」)とを用いて、25.0℃にて、保存液の電気伝導率を測定した。
(2)混合液P中のホルムアルデヒドの含有量
生理食塩水1Lに対して次亜塩素酸ナトリウム7.4gが混合された溶液Paを作製した。得られた保存容器に、5mLの溶液Paを採取し、溶液Paと保存液とを転倒混和により混合して、混合液Pを得た。得られた混合液P中のホルムアルデヒドの含有量(mg/L)をMBTH比色法により求めた。
(3)混合液Qの浸透圧
得られた保存容器に、生理食塩水5mLを採取し、生理食塩水と保存液とを転倒混和により混合して混合液Qを得た。得られた混合液Qの浸透圧を浸透圧計(Advanced Instruments社製「オズモメーター3250」)を用いて測定した。
(4)混合液R中の細胞膜透過性化合物(C)の含有量
得られた保存容器に、血液5mLを採取し、血液と保存液とを転倒混和により混合して混合液Rを得た。得られた混合液Rに含まれる細胞膜透過性化合物(C)の含有量(vol%)を求めた。
(5)混合液S中の細胞膜非透過性化合物(D)の含有量
得られた保存容器に、血液5mLを採取し、血液と保存液とを転倒混和により混合して混合液Sを得た。得られた混合液Sに含まれる細胞膜非透過性化合物(D)の含有量(μmol/L)を求めた。
(6)保存安定性(4℃)
(6-1)溶血
得られた保存容器に、血液5mLを採取し、血液と保存液とを転倒混和により混合した。次いで、上記混合液が収容された保存容器を4℃の環境下で保存した。保存から7日後に、上記混合液が収容された保存容器を遠心分離し、血漿を含む層(上方)と、細胞成分を含む層(下方)とに分離した。血漿を含む層を目視にて確認し、該血漿を含む層において溶血が生じているか否かを確認した。
<溶血の判定基準>
○:血漿を含む層において溶血が生じていない
×:血漿を含む層において溶血が生じている
(6-2)血漿中のDNA濃度(細胞外へのゲノムDNAの漏出)
上記「(6-1)溶血」の試験を行った後、保存容器から血漿を含む層を回収した。cfDNA精製キット(QIAGEN社製「QIAamp Circulating Nucleic Acid Kit」)を用いて、回収した血漿に含まれるDNAを精製した。なお、DNAの精製操作は、保存容器から血漿を回収した日に実施した。
精製後の抽出液中のDNA濃度を、Qubit dsDNA HS Assay kit(Invitrogen社)を用いて測定した。次いで、以下の式に従い、DNA濃度(血漿1mLあたりに含まれるDNAの含量)を算出した。
DNA濃度(ng/血漿1mL)=[A]×[B]/[C]
[A]:精製後の抽出液中のDNA濃度の測定値(ng/mL)
[B]:精製後の抽出液の全用量(mL)
[C]:DNA精製に使用した血漿の用量(mL)
上記DNA濃度(ng/血漿1mL)が低いほど、細胞外へのゲノムDNAの漏出が抑えられていることを意味する。
組成及び結果を下記の表1~3に示す。
Figure 0007310055000001
Figure 0007310055000002
Figure 0007310055000003

Claims (16)

  1. ホルムアルデヒドドナー化合物(A)と、
    無機塩、有機酸又は有機塩である化合物(B)と
    分子量が100以下でありかつ0℃で凍結しない細胞膜透過性化合物(C)と、
    分子量が300以上である細胞膜非透過性化合物(D)と、
    水とを含み、
    前記細胞膜透過性化合物(C)が、多価アルコール、ジメチルスルホキシド、又はアセトアミドであり、
    前記細胞膜非透過性化合物(D)が、ポリビニルピロリドン、ポリエチンレングリコール、ポリビニルアルコール、多糖類、多糖類の誘導体、糖アルコール、又はフィコールであり、
    細胞含有液用保存液中の前記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)の含有量が、0.1w/v%以上5.0w/v%以下であり、
    細胞含有液用保存液中の前記細胞膜透過性化合物(C)の含有量が、2vol%以上50vol%以下であり、
    細胞含有液用保存液中の前記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量が、1μmol/L以上100μmol/L以下であり、
    電気伝導率が、3ms/cm以上20ms/cm以下である、細胞含有液用保存液。
  2. 前記細胞膜透過性化合物(C)が、多価アルコールである、請求項に記載の細胞含有液用保存液。
  3. 前記細胞膜透過性化合物(C)が、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、アセトアミド、1,3-プロパンジオール、又はブチレングリコールである、請求項に記載の細胞含有液用保存液。
  4. 前記細胞膜非透過性化合物(D)の分子量が1000以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞含有液用保存液。
  5. 前記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)が、DMDMヒダントイン、又は1-ヒドロキシメチル-5,5-ジメチルヒダントインである、請求項1~のいずれか1項に記載の細胞含有液用保存液。
  6. 前記化合物(B)が、クエン酸、クエン酸塩、又は塩化ナトリウムである、請求項1~のいずれか1項に記載の細胞含有液用保存液。
  7. 細胞含有液用保存液中の前記化合物(B)の含有量が、0.1w/v%以上30w/v%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞含有液用保存液。
  8. 細胞含有液用保存液中の前記ホルムアルデヒドドナー化合物(A)の含有量が、1w/v%以上5.0w/v%以下であり、
    細胞含有液用保存液中の前記細胞膜透過性化合物(C)の含有量が、20vol%以上40vol%以下であり、
    細胞含有液用保存液中の前記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量が、5μmol/L以上50μmol/L以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞含有液用保存液。
  9. クエン酸及びクエン酸塩の双方とは異なりかつキレート作用を有する化合物(E)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞含有液用保存液。
  10. 単糖類又は二糖類を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞含有液用保存液。
  11. 前記細胞含有液が、血液である、請求項1~のいずれか1項に記載の細胞含有液用保存液。
  12. 所定量の細胞含有液が採取される細胞含有液用保存容器であって、
    容器本体と、
    前記容器本体内に収容された保存液とを備え、
    前記保存液が、請求項1~のいずれか1項に記載の細胞含有液用保存液である、細胞含有液用保存容器。
  13. 前記細胞含有液用保存容器が、以下の構成Pを備える、請求項12に記載の細胞含有液用保存容器。
    構成P:生理食塩水1Lに対して次亜塩素酸ナトリウム7.4gが混合された溶液Paを得て、細胞含有液用保存容器に採取される細胞含有液の所定量と等量の前記溶液Paを細胞含有液用保存容器に採取して、該溶液Paと前記保存液とを混合した混合液Pを得たときに、前記混合液Pにおいて、ホルムアルデヒドの含有量が、100mg/L以上400mg/L以下である。
  14. 前記細胞含有液用保存容器が、以下の構成Qを備える、請求項12に記載の細胞含有液用保存容器。
    構成Q:細胞含有液用保存容器に採取される細胞含有液の所定量と等量の生理食塩水を細胞含有液用保存容器に採取して、該生理食塩水と前記保存液とを混合した混合液Qを得たときに、前記混合液Qの浸透圧が、300mOsm/L以上1100mOsm/L以下である。
  15. 記細胞含有液用保存容器が、以下の構成Rを備える、請求項12に記載の細胞含有液用保存容器。
    構成R:前記所定量の細胞含有液を細胞含有液用保存容器に採取して、該細胞含有液と前記保存液とを混合した混合液Rを得たときに、前記混合液Rにおいて、前記細胞膜透過性化合物(C)の含有量が、1vol%以上5vol%以下である。
  16. 記細胞含有液用保存容器が、以下の構成Sを備える、請求項12に記載の細胞含有液用保存容器。
    構成S:前記所定量の細胞含有液を細胞含有液用保存容器に採取して、該細胞含有液と前記保存液とを混合した混合液Sを得たときに、前記混合液Sにおいて、前記細胞膜非透過性化合物(D)の含有量が、0.5μmol/L以上5μmol/L以下である。
JP2022569189A 2021-08-25 2022-07-20 細胞含有液用保存液及び細胞含有液用保存容器 Active JP7310055B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021137171 2021-08-25
JP2021137171 2021-08-25
PCT/JP2022/028168 WO2023026725A1 (ja) 2021-08-25 2022-07-20 細胞含有液用保存液及び細胞含有液用保存容器

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JPWO2023026725A1 JPWO2023026725A1 (ja) 2023-03-02
JP7310055B1 true JP7310055B1 (ja) 2023-07-24
JPWO2023026725A5 JPWO2023026725A5 (ja) 2023-08-01

Family

ID=85323010

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022569189A Active JP7310055B1 (ja) 2021-08-25 2022-07-20 細胞含有液用保存液及び細胞含有液用保存容器

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP7310055B1 (ja)
KR (1) KR20240046683A (ja)
CN (1) CN117858940A (ja)
WO (1) WO2023026725A1 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20100209930A1 (en) * 2009-02-18 2010-08-19 Streck, Inc. Preservation of cell-free nucleic acids
WO2013123030A2 (en) * 2012-02-13 2013-08-22 Streck, Inc. Blood collection device for improved nucleic acid regulation
CN103585508A (zh) * 2013-11-29 2014-02-19 青岛友铭辰生物技术有限公司 一种治疗老年肺炎的中药口服液及其制备方法
WO2018084228A1 (ja) * 2016-11-04 2018-05-11 国立大学法人東京大学 動物細胞又は動物組織の凍結保存用溶液、凍結物、及び凍結保存方法
WO2019079743A1 (en) * 2017-10-19 2019-04-25 Streck, Inc. COMPOSITIONS FOR HEMOLYSIS AND REGULATION OF COAGULATION AND STABILIZATION OF EXTRACELLULAR VESICLES
CN112662662A (zh) * 2021-01-05 2021-04-16 南昌艾迪康医学检验实验室有限公司 一种游离dna保存试剂及制备方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5453064B2 (ja) 2009-11-25 2014-03-26 株式会社北里バイオファルマ 動物細胞のガラス化凍結保存液
CN107083382B (zh) 2017-05-25 2018-07-31 广州奇辉生物科技有限公司 一种用于保护游离dna的血液保存剂及其应用
JPWO2021177344A1 (ja) * 2020-03-05 2021-09-10

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20100209930A1 (en) * 2009-02-18 2010-08-19 Streck, Inc. Preservation of cell-free nucleic acids
WO2013123030A2 (en) * 2012-02-13 2013-08-22 Streck, Inc. Blood collection device for improved nucleic acid regulation
CN103585508A (zh) * 2013-11-29 2014-02-19 青岛友铭辰生物技术有限公司 一种治疗老年肺炎的中药口服液及其制备方法
WO2018084228A1 (ja) * 2016-11-04 2018-05-11 国立大学法人東京大学 動物細胞又は動物組織の凍結保存用溶液、凍結物、及び凍結保存方法
WO2019079743A1 (en) * 2017-10-19 2019-04-25 Streck, Inc. COMPOSITIONS FOR HEMOLYSIS AND REGULATION OF COAGULATION AND STABILIZATION OF EXTRACELLULAR VESICLES
CN112662662A (zh) * 2021-01-05 2021-04-16 南昌艾迪康医学检验实验室有限公司 一种游离dna保存试剂及制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
KR20240046683A (ko) 2024-04-09
JPWO2023026725A1 (ja) 2023-03-02
CN117858940A (zh) 2024-04-09
WO2023026725A1 (ja) 2023-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230133626A1 (en) Storage container for cell-containing solution and storage solution
US4880602A (en) Method and device for disinfecting biological fluids and container for same
US5445629A (en) Blood storage container and methods of using same
EP2172188B1 (en) Red blood cell storage medium for extended storage
US20040043505A1 (en) Collection assembly
US4609372A (en) Heat sterilizable storage solution for red blood cells
US8968992B2 (en) Red blood cell storage medium for extended storage
JPH0262534B2 (ja)
US20150313209A1 (en) Solution for preserving vascular conduits
Meryman et al. Refrigerated storage of washed red cells
AU2013328472A1 (en) Method for preserving placental blood
US3847738A (en) Blood collection and preservation unit
JP7310055B1 (ja) 細胞含有液用保存液及び細胞含有液用保存容器
JP2013518087A (ja) 生体細胞用固定液
CN107760673B (zh) 游离dna的稳定剂和用于游离dna检测的采血管
WO2024070504A1 (ja) 血液保存用組成物及び血液採取容器
Smith et al. Stability of 1% voriconazole solution in a constant‐rate infusion pump for topical ocular delivery to horses
RU2775220C1 (ru) Консервант для хранения нативных стандартных эритроцитов
RU2816446C1 (ru) Криопротектор для цельной крови
WO2000033853A1 (en) Anti-coagulation with calcium containing citrate solution
CN116897920A (zh) 一种临床级免疫细胞冻存液、其制备及其冻存方法
RU2554764C2 (ru) Набор для консервации нативных эритроцитов
JPH04197169A (ja) 微生物分析のための試料の安定化
CN117165580A (zh) 一种用于稳定样本中核酸的组合物、制备方法及其应用
JPH04504841A (ja) 赤血球及び血小板のための合成された、血漿を含まない輸血可能な貯蔵媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221114

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221114

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20221114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230418

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230511

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230515

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20230530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230607

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20230623

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7310055

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230721