JP7308804B2 - トンネル緩衝工の性能評価方法とその性能評価装置 - Google Patents

トンネル緩衝工の性能評価方法とその性能評価装置 Download PDF

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Description

この発明は、移動体が突入するトンネル坑口を覆うトンネル緩衝工の性能を評価するトンネル緩衝工の性能評価方法とその性能評価装置に関する。
トンネル微気圧波は、列車先頭部がトンネル入口に突入したときに、トンネル出口から放射される圧力波で沿線の騒音・振動の要因となる。トンネル微気圧波の大きさは列車のトンネル突入時にトンネル内に発生した圧縮波(以下、トンネル内圧縮波という)の立ち上がり具合(トンネル内圧縮波の時間微分の最大値(以下、圧力勾配最大値という))によって決まる。すなわち、トンネル内圧縮波が急激に立ち上がるほど微気圧波は大きくなる。よって、微気圧波を低減させるためにはトンネル内圧縮波の圧力勾配最大値を小さくすればよい。
車両側対策としては、圧力勾配最大値を小さくする(トンネル内圧縮波がなるべくゆっくり立ち上がるようにする)ために、車両先頭部を長くする或いは車両先頭部の断面積分布を適切にするなどの対策が行われている。地上側の対策としては、トンネルの入口にトンネル緩衝工(トンネル入口緩衝工)を設置する方法がある。
トンネル緩衝工には、その側面に、離散型の窓や線路方向に長いスリットが複数配置されており、これらの開閉状態を列車速度や先頭部形状に合わせて最適化するのが一般的である。窓やスリットの単純な一部閉鎖については、高さ方向と長手方向の2方向からの閉鎖が考えられる。従来のトンネル緩衝工は、トンネル坑口に設置されるフード部の側壁に開度を調整可能な側面開口部を備えている(例えば、特許文献1参照)。この従来のトンネル緩衝工では、列車先頭部がトンネル坑口に突入したときにトンネル内に発生するトンネル内圧縮波の圧力勾配を、開口部を適切に調整(設定・配置など)することによって小さく抑え、トンネル微気圧波を低減させている。
特開2008-019668号公報
この従来のトンネル緩衝工では、このトンネル緩衝工の側面の開口部の開度を調整することによってこの開口部の大きさを変化させている。しかし、従来のトンネル緩衝工では、開口部の開度を調整してもトンネル微気圧波が低減しないことがある。例えば、ある緩衝工では他の緩衝工と同様に開口部の開度を調整しても、緩衝工の性能が改善しないことがあった。
この発明の課題は、トンネル緩衝工の性能を簡単に評価することができるトンネル緩衝工の性能評価方法とその性能評価装置を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図5、図6、図8、図9、図11及び図14~図20に示すように、移動体(1)が突入するトンネル坑口(3a)を覆うトンネル緩衝工(4)の性能を評価するトンネル緩衝工の性能評価方法であって、前記トンネル緩衝工の長さ方向に形成された開口部(4e)が第1の開度である場合に測定される第1の開度時の圧力波形と、前記開口部が第2の開度である場合に測定される第2の開度時の圧力波形とに基づいて、このトンネル緩衝工によるトンネル微気圧波の低減効果をこのトンネル緩衝工の性能として評価する性能評価工程(#150)を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法(#100)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、図5、図6及び図11に示すように、前記第1の開度時及び前記第2の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形(W1,W2)に発生する前記移動体の緩衝工突入時の第1ピーク(P1)を特定するとともに、前記第1の開度時及び前記第2の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形(W1,W2)に発生する前記移動体のトンネル突入時の第2ピーク(P2)を特定するピーク特定工程(#130)を含み、前記性能評価工程は、前記第1及び前記第2ピークに基づいて、前記トンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項3の発明は、請求項1に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、図11、図14及び図15に示すように、前記第1の開度時及び前記第2の開度時のトンネル微気圧波の波形(W3,W4)に発生する前記移動体の緩衝工突入時の第1ピーク(P1)を特定するとともに、前記第1の開度時及び前記第2の開度時のトンネル微気圧波の波形(W3,W4)に発生する前記移動体のトンネル突入時の第2ピーク(P2)を特定するピーク特定工程(#130)を含み、前記性能評価工程は、前記第1及び前記第2ピークに基づいて、前記トンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項4の発明は、請求項2に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、図8、図9及び図11に示すように、前記第1及び前記第2ピーク(P1,P2)の圧力勾配(P11,P12,P21,P22)と前記開口部の開度とを座標軸とする座標系を想定したときに、前記第1の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形(W1)に発生する前記第1ピーク(P1)の座標(0,P11)と、前記第2の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形(W2)に発生する前記第1ピーク(P1)の座標(100,P21)とを結ぶ第1近似直線(L1)を生成するとともに、前記第1の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形(W1)に発生する前記第2ピーク(P2)の座標(0,P12)と、前記第2の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形(W2)に発生する前記第2ピーク(P2)の座標(100,P22)とを結ぶ第2近似直線(L2)を生成する近似直線生成工程(#140)を含み、前記性能評価工程は、前記第1近似直線及び前記第2近似直線に基づいて、前記トンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項5の発明は、請求項4に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、図8、図9及び図13に示すように、前記性能評価工程は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点(P3)の圧力勾配最大値(Pmin)が低減目標値(Pt)を超えるときには、前記トンネル緩衝工を延伸する延伸工事が必要であると評価する工程(S142)を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項6の発明は、請求項に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、図11、図16及び図17に示すように、前記第1及び前記第2ピーク(P1,P2)の微気圧波(P31,P32,P41,P42)と前記開口部の開度とを座標軸とする座標系を想定したときに、前記第1の開度時のトンネル微気圧波の波形(W3)に発生する前記第1ピーク(P1)の座標(0,P31)と、前記第2の開度時のトンネル微気圧波の波形(W4)に発生する前記第1ピーク(P1)の座標(100,P41)とを結ぶ第1近似直線(L1)を生成するとともに、前記第1の開度時のトンネル微気圧波の波形(W3)に発生する前記第2ピーク(P1)の座標(0,P32)と、前記第2の開度時のトンネル微気圧波の波形(W4)に発生する前記第2ピーク(P2)の座標(100,P42)とを結ぶ第2近似直線(L2)を生成する近似直線生成工程(#140)を含み、前記性能評価工程は、前記第1近似直線及び前記第2近似直線に基づいて、前記トンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項7の発明は、請求項6に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、図16~図18に示すように、前記性能評価工程は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点(P3)の微気圧波最大値(P’min)が低減目標値(Pt)を超えるときには、前記トンネル緩衝工を延伸する延伸工事が必要であると評価する工程(S142)を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項8の発明は、請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、図8(C)、図13及び図18に示すように、前記性能評価工程は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の開度が100%以下であるときには、この交点付近の開度を前記開口部の最適開度(σopt)として予測する工程(S144)を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項9の発明は、請求項4から請求項8までのいずれか1項に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、図9(C)、図13及び図18に示すように、前記性能評価工程は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の開度が100%を超えるときには、前記開口部を追加又は拡大する改良工事が必要であると予測する工程(S145)を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項10の発明は、請求項9に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、前記性能評価工程は、改良前の前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の開度σoptであり、改良前の前記開口部の最大総開口面積S0であるときに、改良後の前記開口部の最大総開口面積S1>S0×σoptになるような改良工事が必要であると予測する工程を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項11の発明は、請求項9又は請求項10に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、前記性能評価工程は、改良前の前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の開度σoptであり、改良前の前記開口部の最大総開口面積S0であり、改良後の前記開口部の最大総開口面積S1であるときに、改良後の最適開度σopt1=S0×σopt/S1になるような改良工事が必要であると予測する工程を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項12の発明は、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、図5、図6、図8、図9、図11及び図14~図17に示すように、前記性能評価工程は、前記トンネル緩衝工の開口部が全閉状態である場合に測定される全閉時の圧力波形と、この開口部が全開状態である場合に測定される全開時の圧力波形とに基づいて、このトンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むことを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法である。
請求項13の発明は、図4~図6、図8、図9、図12、図14~図17、図19及び図20に示すように、移動体(1)が突入するトンネル坑口(3a)を覆うトンネル緩衝工(4)の性能を評価するトンネル緩衝工の性能評価装置であって、前記トンネル緩衝工の長さ方向に形成された開口部(4e)が第1の開度である場合に測定される第1の開度時の圧力波形と、この開口部が第2の開度である場合に測定される第2の開度時の圧力波形とに基づいて、このトンネル緩衝工によるトンネル微気圧波の低減効果をこのトンネル緩衝工の性能として評価(S140)する性能評価部(16)を備えることを特徴とするトンネル緩衝工の性能評価装置(6)である。
この発明によると、トンネル緩衝工の性能を簡単に評価することができる。
この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置によって性能が評価される緩衝工を模式的に示す側面図である。 図1のII-II線で切断した状態を示す断面図である。 図2のIII-III線で切断した状態を示す断面図である。 この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置の構成図である。 この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形の演算過程を示す模式図であり、(A)は全閉時のトンネル緩衝工の模式図であり、(B)は全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形を一例として示すグラフである。 この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形の演算過程を示す模式図であり、(A)は全開時のトンネル緩衝工の模式図であり、(B)は全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形を一例として示すグラフである。 トンネル緩衝工の開口部の開度を調整した場合のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形の変化を一例として示すグラフである。 この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における第1近似直線と第2近似直線とが開度100%以下で交差する場合の最適開度の設定過程を示す模式図であり、(A)は第1近似直線の生成過程を示すグラフであり、(B)は第2近似直線の生成過程を示すグラフであり、(C)は最適開度の予測過程を示すグラフである。 この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における第1近似直線と第2近似直線とが開度100%を超えて交差する場合の最適開度の設定過程を示す模式図であり、(A)は第1近似直線の生成過程を示すグラフであり、(B)は第2近似直線の生成過程を示すグラフであり、(C)は最適開度の予測過程を示すグラフである。 トンネル内圧縮波の圧力勾配波形の緩衝工突入時及びトンネル突入時の圧力勾配最大値とトンネル緩衝工の開口部の開度との関係を一例として示すグラフである。 この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価方法を説明するための工程図である。 この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置の性能評価処理を説明するためのサブルーチンである。 この発明の第2実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における全閉時のトンネル微気圧波の波形の演算過程を示す模式図であり、(A)は全閉時のトンネル緩衝工の模式図であり、(B)は全閉時のトンネル微気圧波の波形を一例として示すグラフである。 この発明の第2実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における全開時のトンネル微気圧波の波形の演算過程を示す模式図であり、(A)は全開時のトンネル緩衝工の模式図であり、(B)は全開時のトンネル微気圧波の波形を一例として示すグラフである。 この発明の第2実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における第1近似直線と第2近似直線とが開度100%以下で交差する場合の最適開度の設定過程を示す模式図であり、(A)は第1近似直線の生成過程を示すグラフであり、(B)は第2近似直線の生成過程を示すグラフであり、(C)は最適開度の予測過程を示すグラフである。 この発明の第2実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における第1近似直線と第2近似直線とが開度100%を超えて交差する場合の最適開度の設定過程を示す模式図であり、(A)は第1近似直線の生成過程を示すグラフであり、(B)は第2近似直線の生成過程を示すグラフであり、(C)は最適開度の予測過程を示すグラフである。 この発明の第2実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置の性能評価処理を説明するためのサブルーチンである。 この発明の第3実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における第1近似直線と第2近似直線とが開度100%以下で交差する場合の最適開度の設定過程を示す模式図であり、(A)は第1近似直線の生成過程を示すグラフであり、(B)は第2近似直線の生成過程を示すグラフであり、(C)は最適開度の予測過程を示すグラフである。 は、この発明の第3実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置における第1近似直線と第2近似直線とが開度100%を超えて交差する場合の最適開度の設定過程を示す模式図であり、(A)は第1近似直線の生成過程を示すグラフであり、(B)は第2近似直線の生成過程を示すグラフであり、(C)は最適開度の予測過程を示すグラフである。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1~図3に示す列車1は、軌道2に沿って移動する移動体である。列車1は、例えば、320km/h以上の高速で走行する新幹線車両などの鉄道車両である。軌道2は、列車1が走行する通路(移動経路)である。軌道2は、図2に示すように、上り本線2a及び下り本線2bの二本の本線で構成された複線である。図1~図3に示すトンネル3は、山腹などの地中を貫通して列車1を通過させるための固定構造物(土木構造物)である。トンネル3は、図2に示すように、一つの固定構造物内に二本の本線2a,2bを収容する複線用の鉄道トンネル(複線トンネル)である。トンネル3は、図2及び図3に示すように、列車1が突入及び退出する出入口となるトンネル坑口3aなどを備えている。
図1~図3に示すトンネル緩衝工4は、トンネル微気圧波を低減するためにトンネル坑口3aを覆う固定構造物(土木構造物)である。トンネル緩衝工4は、図2に示すように、一つのトンネル覆工内に二本の本線2a,2bを収容する複線用の入口緩衝工(複線トンネル緩衝工)である。トンネル緩衝工4は、列車1の先頭部がトンネル3の入口側のトンネル坑口3aに突入したときに発生するトンネル内圧縮波の圧力勾配(波面の勾配)を緩やかにすることによって、トンネル3の出口側のトンネル坑口(反対側坑口)から外部に放射するトンネル微気圧波を低減する。トンネル緩衝工4は、例えば、トンネル断面積の1.4~1.6倍程度のコンクリート製、鉄筋コンクリート製又は鋼板製のフード状(覆い状)の構造物であり、図1及び図3に示すようにトンネル坑口3aの外部に軌道2に沿ってトンネル3を延長するように構築されている。トンネル緩衝工4は、図2に示すように、このトンネル緩衝工4の中心線に対して直交する平面で切断したときの断面形状が半円形である。トンネル緩衝工4は、図1及び図3に示す列車1が突入及び退出する緩衝工口(出入口)4aと、図1~図3に示すトンネル緩衝工4の上側部分を構成する天部4bと、図2に示すトンネル緩衝工4の側面部分を構成する側壁4c、4dと、図1及び図3に示すトンネル緩衝工4の長さ方向に形成された開口部4eと、図1~図3に示す開度調整部4fなどを備えている。トンネル緩衝工4は、列車1の速度に応じた長さに構築されており、近年の列車1の高速化に伴って長大化している。
図1~図3に示す開口部4eは、トンネル内圧縮波の圧力勾配最大値を調整することで微気圧波最大値を調整する部分である。ここで、微気圧波最大値とは、トンネル3に列車1が突入したときにトンネル3内に形成されるトンネル内圧縮波の圧力勾配最大値にほぼ比例して、トンネル3の外部に放射されるトンネル微気圧波の最大値である。開口部4eは、図1及び図3に示すように、トンネル緩衝工4の長手方向に形成されており、高さHに比べて長さLが長い細長の長方形状に形成されている。開口部4eは、いずれも開口面積(H×L)が同じである。開口部4eは、図1及び図3に示すように、列車1の移動方向に沿って所定の間隔をあけてスリット状に形成されており、図2に示すようにトンネル緩衝工4の側壁4c,4dを貫通して側壁4c,4dにそれぞれ形成されている。開口部4eは、トンネル坑口3aに列車1が突入するときに発生するトンネル内圧縮波の勾配が可能な限り小さくなるような形状に調整されているため、この開口部4eの一部が列車1の先頭部形状によって最適な形状となるために閉鎖されている。
図1~図3に示す開度調整部4fは、開口部4eの開度を調整する手段である。ここで、開度とは、開口部4eの開閉状態を表す比率(開口率)である。開度は、例えば、開口部4eが全開状態であるときは100%であり、開口部4eが全閉状態であるときは0%であり、開口部4eが半開状態であるときには50%である。以下では、開度=総開口面積/最大総開口面積とする。ここで、総開口面積とは、トンネル緩衝工4の開口部4eを開度調整したときの全ての開口部4eの開口面積の合計である。最大総開口面積とは、トンネル緩衝工4の全ての開口部4eを全開状態にしたときの全ての開口部4eの開口面積の合計(最大値)である。開度調整部4fは、図1及び図3に示すような開口部4eがトンネル緩衝工4の長さ方向に存在するときに、この開口部4eの開度を調整する。開度調整部4fは、図2に示す側壁4c側の開口部4eの開度と側壁4d側の開口部4eの開度とを同時に調整する。開度調整部4fは、図1及び図3に示すように、複数の開口部4eの大きさが変化するように、この複数の開口部4eを同時に同じ割合で開閉してこの複数の開口部4eの開度を調整する。開度調整部4fは、図1~図3に示すように、複数の開口部4eを高さ方向のみに開閉してこの複数の開口部4eの大きさを調整する開口部高さ調整方式によって、この複数の開口部4eの開度を最適に調整する。開度調整部4fは、開口部4eを塞ぐ塞ぎ部材であり、この塞ぎ部材の垂直方向の位置を調整することによって開口部4eの開度を調整する。開度調整部4fは、開口部4eの高さ方向に移動自在にガイド部によってガイドされており、手動又は自動で垂直方向に移動可能である。開度調整部4fは、例えば、合成樹脂製又は金属製の一枚の長板状又は複数枚のシャッタ状の開閉部材である。
図4に示す圧力波検出装置5は、列車1がトンネル坑口3aに突入するときに発生する圧力波を検出する装置である。圧力波検出装置5は、例えば、図1及び図3に示すように、列車1がトンネル坑口3aに突入するときにトンネル3内に発生するトンネル内圧縮波を検出する圧力計などの圧力変換装置である。圧力波検出装置5は、トンネル坑口3aから所定距離(例えば100m程度)だけ離れたトンネル3内に設置されている。圧力波検出装置5は、検出したトンネル内圧縮波を圧力波情報(圧力波検出信号)として性能評価装置6に出力する。
性能評価装置6は、トンネル緩衝工4の性能を評価する装置である。性能評価装置6は、図5(B)及び図6(B)に示すように、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する列車1の緩衝工突入時の第1ピークP1及び列車1のトンネル突入時の第2ピークP2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。性能評価装置6は、図8に示すように、開口部4eの開度及び圧力勾配最大値(ピーク値)を座標軸とする座標系を想定したときに、開口部4eが全閉状態及び全開状態である場合の列車1の緩衝工突入時の第1ピークP1の座標を結ぶ第1近似直線L1と、開口部4eが全閉状態及び全開状態である場合の列車1のトンネル突入時の第2ピークP2の座標を結ぶ第2近似直線L2との交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Ptを超えているか否かを評価する。ここで、低減目標値Ptとは、トンネル緩衝工4の開口部4eの開度を調整することによってトンネル微気圧波の低減が期待される圧力勾配最大値の目標値である。性能評価装置6は、図4に示すように、圧力波情報入力部7と、圧力波情報記憶部8と、波形演算部9と、波形情報記憶部10と、ピーク特定部11と、ピーク情報記憶部12と、座標系情報記憶部13と、近似直線生成部14と、近似直線情報記憶部15と、性能評価部16と、評価情報記憶部17と、性能評価プログラム記憶部18と、表示部19と、制御部20などを備えている。性能評価装置6は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており、性能評価プログラムに従って所定の処理を実行する。
圧力波情報入力部7は、圧力波検出装置5が出力する圧力波情報を入力させる手段である。圧力波情報入力部7は、圧力波検出装置5が出力する圧力波情報を制御部20に出力する。圧力波情報入力部7は、例えば、圧力波検出装置5から制御部20に圧力波情報を入力させるインタフェース(I/F)回路などである。
圧力波情報記憶部8は、圧力波検出装置5が出力する圧力波情報を記憶する手段である。圧力波情報記憶部8は、図5(A)に示すように、開口部4eが全閉状態であるときに圧力波検出装置5が出力する圧力波情報を記憶するとともに、図6(A)に示すように開口部4eが全開状態であるときに圧力波検出装置5が出力する圧力波情報とを記憶する記憶装置などである。
図4に示す波形演算部9は、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を演算する手段である。波形演算部9は、圧力波検出装置5の検出結果に基づいて、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を演算する。ここで、圧力勾配波形W1,W2とは、トンネル坑口3aに列車1が突入したときにトンネル3内に発生するトンネル内圧縮波の時間微分波形である。波形演算部9は、トンネル3内に発生する圧力波の波形に基づいて、図5(B)に示すような全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1と、図6(B)に示すような全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2とを演算する。波形演算部9は、演算後の全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を波形情報(圧力勾配波形情報)として制御部20に出力する。
図7に示すグラフは、図1~図3に示すトンネル緩衝工4の開口部4eの開度を0%,38%,50%,63%,100%に変化させたときのトンネル内圧縮波の圧力勾配波形の変化の一例である。図7に示す縦軸は、圧力勾配であり、横軸は時間である。図7に示す第1ピークP1は、列車1が緩衝工口4aに突入したときにトンネル内圧縮波の圧力勾配波形に発生する緩衝工突入時のピークである。第2ピークP2は、列車1がトンネル坑口3aに突入したときにトンネル内圧縮波の圧力勾配波形に発生するトンネル突入時のピークである。トンネル緩衝工4の開口部4eを全閉状態(開度0%)にすると、第1ピークP1が最も高くなり、第2ピークP2が最も低くなる。一方、トンネル緩衝工4の開口部4eを全開状態(開度100%)にすると、第1ピークP1が最も低くなり、第2ピークP2が最も高くなる。第1ピークP1は、開口部4eの開度が大きくなるほど低くなり、第2ピークP2は開口部4eの開度が大きくなるほど高くなる。
トンネル微気圧波のピーク値とトンネル内圧縮波の圧力勾配最大値は、ほぼ比例関係にあるため、トンネル内圧縮波の圧力勾配最大値を低減することがトンネル微気圧波対策となる。図7に示す圧力勾配波形の下側の面積(圧力勾配波形の積分値)は、開口部4eの開度に関わらずほぼ一定である。このため、圧力勾配最大値を低減するためには、圧力勾配波形の第1ピークP1と第2ピークP2とがほぼ同じ高さになるように、開口部4eを最適開度に設定する必要がある。例えば、図7に示す圧力勾配波形の場合には、開口部4eの開度を50%に設定すると、第1ピークP1と第2ピークP2とがほぼ同じ高さになってトンネル微気圧波が低減される。
図4に示す波形情報記憶部10は、波形演算部9が演算する波形情報を記憶する手段である。波形情報記憶部10は、図5(A)に示すように、開口部4eが全閉状態であるときに波形演算部9が演算する波形情報を記憶するとともに、図6(A)に示すように開口部4eが全開状態であるときに波形演算部9が演算する波形情報を記憶する記憶装置などである。
図4に示すピーク特定部11は、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の第1ピークP1及び第2ピークP2を特定する手段である。ピーク特定部11は、波形演算部9の演算結果に基づいて、第1ピークP1及び第2ピークP2を特定する。ピーク特定部11は、図5(B)に示す全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び図6(B)に示す全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する列車1の緩衝工突入時の第1ピークP1を特定する。また、ピーク特定部11は、図5(B)に示す全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び図6(B)に示す全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する列車1のトンネル突入時の第2ピークP2を特定する。ピーク特定部11は、図5(B)に示す第1ピークP1及び図6(B)に示す第2ピークP2にそれぞれ対応する開口部4eの開度0%,100%及び圧力勾配P11,P12,P21,P22をピーク情報として制御部20に出力する。
図4に示すピーク情報記憶部12は、ピーク特定部11が特定するピーク情報を記憶する手段である。ピーク情報記憶部12は、図5に示すように、開口部4eが全閉状態であるときにピーク特定部11が特定するピーク情報を記憶するとともに、図6に示すように開口部4eが全開状態であるときにピーク特定部11が特定するピーク情報を記憶する記憶装置などである。
図4に示す座標系情報記憶部13は、圧力勾配最大値と開口部4eの開度とを座標軸とする座標系を座標系情報として記憶する手段である。座標系情報記憶部13は、開口部4eの開度と、第1ピークP1及び第2ピークP2の圧力勾配(圧力勾配最大値)とを座標軸とする座標系を座標系情報として記憶する記憶装置である。座標系情報記憶部13は、例えば、図8及び図9に示すように、開度をx軸とし、圧力勾配最大値をy軸とする直交座標系を座標系情報として記憶する。
図4に示す近似直線生成部14は、第1近似直線L1及び第2近似直線L2を生成する手段である。近似直線生成部14は、図5(B)及び図8(A)に示す全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第1ピークP1の座標(0,P11)と、図6(B)及び図8(A)に示す全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第1ピークP1の座標(100,P21)とを結ぶ第1近似直線L1を生成する。また、近似直線生成部14は、図5(B)及び図8(B)に示す全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第2ピークP2の座標(0,P12)と、図6(B)及び図8(B)に示す全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第2ピークP2の座標(100,P22)とを結ぶ第2近似直線L2を生成する。ここで、図8(A)~(C)に示す縦軸は圧力勾配最大値であり、横軸は開度(%)である。近似直線生成部14は、図8(A)に示すように、開口部4eが全閉状態である場合の第1ピークP1の開度0%及び圧力勾配最大値P11の座標(0,P11)と、開口部4eが全開状態である場合の第1ピークP1の開度100%及び圧力勾配最大値P21の座標(100,P21)とを座標面上にプロットし、座標(0,P11)と座標 (100,P21)とを結ぶ第1近似直線L1を生成する。また、近似直線生成部14は、図8(B)に示すように、開口部4eが全閉状態である場合の第2ピークP2の開度0%及び圧力勾配最大値P12の座標(0,P12)と、開口部4eが全開状態である場合の第2ピークP2の開度100%及び圧力勾配最大値P22の座標(100,P22)とを座標面上にプロットし、座標(0,P12)と座標(100,P22)を結ぶ第2近似直線L2を生成する。近似直線生成部14は、第1近似直線L1及び第2近似直線L2に関する近似直線情報を制御部20に出力する。
図4に示す近似直線情報記憶部15は、近似直線生成部14が生成する近似直線情報を記憶する手段である。近似直線情報記憶部15は、図8(A)に示すような近似直線生成部14が生成する第1近似直線L1に関する近似直線情報を記憶するとともに、図8(B)に示すような近似直線生成部14が生成する第2近似直線L2に関する近似直線情報を記憶する記憶装置などである。
図4に示す性能評価部16は、開口部4eが全閉状態である場合に測定される全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1と、開口部4eが全開状態である場合に測定される全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2とに基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する手段である。性能評価部16は、図5(B)及び図6(B)に示す第1ピークP1及び第2ピークP2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。性能評価部16は、図8(A)(B)に示すように、第1近似直線L1及び第2近似直線L2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。性能評価部16は、図8(C)及び図9(C)に示す交点P3の圧力勾配最大値Pmin及び最適開度σoptを予測する。
ここで、最適開度σoptとは、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の開度である。最適開度σoptは、最適総開口面積Soptであり、最大総開口面積S0であるときに、最適開度σopt=Sopt/S0である。最大総開口面積S0とは、トンネル緩衝工4の全ての開口部4eを全開状態にしたときの全ての開口部4eの開口面積の合計(最大値)である。最適総開口面積Soptとは、トンネル緩衝工4の開口部4eを最適開度σopt,σopt1に調整したときの全ての開口部4eの開口面積の合計である。最適開度σopt1は、改良後の最適開度であり、改良後の開口部4eの最大総開口面積S1であるときに、改良後の最適開度σopt1=Sopt/S1である。
性能評価部16は、近似直線生成部14が生成する第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Ptを超えているか否かを評価する。性能評価部16は、交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Ptを超えているときには、トンネル緩衝工4の性能が不十分であり、トンネル緩衝工4を延伸する延伸工事が必要であると評価する。性能評価装置6は、図8(C)に示すように、交点P3の開度が100%以下であるときには、交点P3付近の開度を開口部4eの最適開度σoptとして予測する。一方、性能評価装置6は、図9(C)に示すように、交点P3付近の開度を開口部4eの最適開度σoptとして予測するが、交点P3の開度が100%を超えるため、トンネル緩衝工4の性能が不十分であり、開口部4eを追加又は拡大する改良工事が必要であると評価する。性能評価部16は、評価後のトンネル緩衝工4の性能を評価情報として制御部20に出力する。
評価情報記憶部17は、性能評価部16が評価する評価情報を記憶する手段である。評価情報記憶部17は、トンネル緩衝工4毎に評価情報を記憶する記憶装置などである。評価情報記憶部17は、例えば、交点P3の圧力勾配最大値Pmin及び最適開度σopt、低減目標値Pt、改良前の開口部4eの最大総開口面積S0、改良後の開口部4eの最大総開口面積S1、開口部4eの最適総開口面積Sopt並びに改良後の最適開度σopt1などを評価情報として記憶する。
図10に示すグラフは、開度0%,25%,38%,50%,59%,63%,75%,100%の場合に、緩衝工突入時のピーク(第1ピーク)の座標を結ぶ直線と、トンネル突入時のピーク(第2ピーク)の座標を結ぶ直線とを一例として示すグラフである。図10に示す縦軸は圧力勾配最大値であり、横軸は開度(%)である。開度0%,25%,38%,50%,59%,63%,75%,100%の場合の緩衝工突入時のピークの座標を結ぶ直線は、開度0%,100%の場合の緩衝工突入時のピークの座標を結ぶ第1近似直線とほぼ同じである。同様に、開度0%,25%,38%,50%,59%,63%,75%,100%の場合のトンネル突入時のピークの座標を結ぶ直線は、開度0%,100%の場合にトンネル突入時のピークの座標を結ぶ第2近似直線とほぼ同じである。図10に示すように、0%,25%,38%,50%,59%,63%,75%,100%の場合の緩衝工突入時のピークの座標を結ぶ直線と、0%,25%,38%,50%,59%,63%,75%,100%の場合のトンネル突入時のピークの座標を結ぶ直線とが交差しており、これらの直線の交点は開度50%である。図7に示す圧力勾配波形の場合には、開度50%の場合に緩衝工突入時のピークとトンネル突入時のピークとがほぼ同じ高さになっているため、開度50%に設定した場合にはトンネル微気圧波が最も低減される。その結果、第1近似直線と第2近似直線との交点付近の開度を最適開度として設定することによってトンネル微気圧波が低減される。
図4に示す性能評価プログラム記憶部18は、トンネル緩衝工4の性能を評価するための性能評価プログラムを記憶する手段である。性能評価プログラム記憶部18は、情報記録媒体から読み取った性能評価プログラム又は電気通信回線を通じて取り込まれた性能評価プログラム記憶する記憶装置などである。
表示部19は、性能評価装置6に関する種々の情報を表示する手段である。表示部19は、例えば、図5及び図6に示すような波形演算部9が演算する全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2、ピーク特定部11が特定する第1ピークP1及び第2ピークP2、図8及び図9に示すような近似直線生成部14が生成する第1近似直線L1及び第2近似直線L2、性能評価部16が評価するトンネル緩衝工4の性能などを画面上に表示する表示装置である。
図4に示す制御部20は、性能評価装置6に関する種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部20は、性能評価プログラム記憶部18から性能評価プログラムを読み出して、この性能評価プログラムに従って性能評価処理を実行する。制御部20は、圧力波情報入力部7から入力する圧力情報を圧力波情報記憶部8に出力したり、圧力波情報記憶部8に圧力情報の記憶を指令したり、圧力波情報記憶部8から圧力情報を読み出して波形演算部9に出力したり、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の演算を波形演算部9に指令したり、波形演算部9が出力する波形情報を波形情報記憶部10に出力したり、波形情報記憶部10に波形情報の記憶を指令したり、波形情報記憶部10から波形情報を読み出してピーク特定部11に出力したり、第1ピークP1及び第2ピークP2の特定をピーク特定部11に指令したり、ピーク特定部11が出力するピーク情報をピーク情報記憶部12に出力したり、ピーク情報記憶部12にピーク情報の記憶を指令したり、ピーク情報記憶部12からピーク情報を読み出して近似直線生成部14に出力したり、座標系情報記憶部13から座標系情報を読み出して近似直線生成部14に出力したり、第1近似直線L1及び第2近似直線L2の生成を近似直線生成部14に指令したり、近似直線生成部14が出力する近似直線情報を近似直線情報記憶部15に出力したり、近似直線情報記憶部15に近似直線情報の記憶を指令したり、近似直線情報記憶部15から近似直線情報を読み出して性能評価部16に出力したり、トンネル緩衝工4の性能の評価を性能評価部16に指令したり、性能評価部16が出力する評価情報を評価情報記憶部17に出力したり、評価情報記憶部17に評価情報の記憶を指令したり、表示部19に種々の情報の表示を指令したりする。制御部20には、圧力波情報入力部7、圧力波情報記憶部8、波形演算部9、波形情報記憶部10、ピーク特定部11、ピーク情報記憶部12、座標系情報記憶部13、近似直線生成部14、近似直線情報記憶部15、性能評価部16、評価情報記憶部17、性能評価プログラム記憶部18及び表示部19などが相互に通信可能に接続されている。
次に、この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価方法を説明する。
図11に示す性能評価方法#100は、トンネル緩衝工4の性能を評価する方法である。性能評価方法#100は、圧力波検出工程#110と、波形演算工程#120と、ピーク特定工程#130と、近似直線生成工程#140と、性能評価工程#150とを含む。
圧力波検出工程#110は、列車1がトンネル坑口3aに突入するときに発生する圧力波を検出する工程である。圧力波検出工程#110では、図5(A)に示すようにトンネル緩衝工4の開口部4eを全閉状態にした場合に、トンネル3に突入する列車1によって発生する圧力波を圧力波検出装置5が検出する。また、圧力波検出工程#110では、図6(A)に示すようにトンネル緩衝工4の開口部4eを全開状態にした場合に、トンネル3に突入する列車1によって発生する圧力波を圧力波検出装置5が検出する。図4に示す圧力波検出装置5が圧力波を検出すると、圧力波検出装置5が圧力波情報を性能評価装置6に出力し、圧力波情報入力部7を通じて圧力波情報が制御部20に入力する。その結果、制御部20から圧力波情報記憶部8に圧力情報が出力されて、圧力波情報記憶部8に圧力波情報が記憶される。
波形演算工程#120は、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を演算する工程である。波形演算工程#120では、図5(B)に示すように、トンネル緩衝工4の開口部4eを全閉状態にしたときの全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1を波形演算部9が演算する。波形演算工程#120では、図6(B)に示すように、トンネル緩衝工4の開口部4eを全開状態にしたときの全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を波形演算部9が演算する。
ピーク特定工程#130は、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の第1ピークP1及び第2ピークP2を特定する工程である。ピーク特定工程#130では、図5(B)に示すように、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1の第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。また、ピーク特定工程#130では、図6(B)に示すように、全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。
近似直線生成工程#140は、第1近似直線L1及び第2近似直線L2を生成する工程である。近似直線生成工程#140では、図5(B)及び図8(A)に示す全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第1ピークP1の座標(0,P11)と、図6(B)及び図8(A)に示す全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第1ピークP1の座標(100,P21)とを結ぶ第1近似直線L1を生成する。また、近似直線生成部14は、図5(B)及び図8(B)に示す全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第2ピークP2の座標(0,P12)と、図6(B)及び図8(B)に示す全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第2ピークP2の座標(100,P22)とを結ぶ第2近似直線L2を生成する。
性能評価工程#150は、開口部4eが全閉状態である場合に測定される全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1と、開口部4eが全開状態である場合に測定される全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2とに基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する工程である。性能評価工程#150では、図5(B)及び図6(B)に示す第1ピークP1及び第2ピークP2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。性能評価工程#150では、図8及び図9に示すように、第1近似直線L1及び第2近似直線L2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。性能評価工程#150では、図8(C)に示すように、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Ptを超えているときには、トンネル緩衝工4の性能が不十分であると評価する。
次に、この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置の動作について説明する。
以下では、制御部20の動作を中心として説明する。
図12に示すステップ(以下、Sという)100において、性能評価プログラム記憶部18から性能評価プログラムを制御部20が読み込む。性能評価プログラムを制御部20が読み込むと、一連の性能評価処理を制御部20が開始する。
S110において、トンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1,W2の波形演算処理を制御部20が実行する。全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の演算を波形演算部9に制御部20が指令する。圧力波情報記憶部8から圧力波情報を制御部20が読み出して、圧力波情報を制御部20が波形演算部9に出力するとともに、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の演算を波形演算部9に制御部20が指令する。その結果、図5(A)に示すように、開口部4eを全閉状態にした場合に検出された圧力波に基づいて、図5(B)に示すように全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1を波形演算部9が演算する。また、図6(A)に示すように、開口部4eを全開状態にした場合に検出された圧力波に基づいて、図6(B)に示すように全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を波形演算部9が演算する。波形演算部9が波形情報を制御部20に出力すると、制御部20から波形情報記憶部10に波形情報が出力されて、波形情報記憶部10に波形情報が記憶される。
S120において、ピーク特定処理を制御部20が実行する。全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の第1ピークP1及び第2ピークP2の特定をピーク特定部11に制御部20が指令する。制御部20が波形情報記憶部10から波形情報を読み出して、波形情報を制御部20がピーク特定部11に出力するとともに、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の第1ピークP1及び第2ピークP2の特定をピーク特定部11に制御部20が指令する。その結果、図5(A)に示すように、トンネル緩衝工4の開口部4eを全閉状態にした場合に検出された全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に基づいて、図5(B)に示すように第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。また、図6(A)に示すように、トンネル緩衝工4の開口部4eを全開状態にした場合に検出された全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に基づいて、図6(B)に示すように第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。ピーク特定部11がピーク情報を制御部20に出力すると、制御部20からピーク情報記憶部12にピーク情報が出力されて、ピーク情報記憶部12にピーク情報が記憶される。
S130において、近似直線生成処理を制御部20が実行する。第1近似直線L1及び第2近似直線L2の生成を近似直線生成部14に制御部20が指令する。図8(A)に示すように、開口部4eを全閉状態にしたときの第1ピークP1の座標(0,P11)と、開口部4eを全開状態にしたときの第1ピークP1の座標(100,P21)とを結ぶ第1近似直線L1を近似直線生成部14が生成する。また、図8(B)に示すように、開口部4eを全閉状態にしたときの第2ピークP2の座標(0,P12)と、開口部4eを全開状態にしたときの第2ピークP2の座標(100,P22)とを結ぶ第2近似直線L2を近似直線生成部14が生成する。近似直線生成部14が近似直線情報を制御部20に出力すると、制御部20から近似直線情報記憶部15に近似直線情報が出力されて、近似直線情報記憶部15に近似直線情報が記憶される。
S140において、性能評価処理を制御部20が実行する。トンネル緩衝工4の性能評価を性能評価部16に制御部20が指令する。性能評価部16がトンネル緩衝工4の性能を評価したときには、性能評価部16が評価情報を制御部20に出力する。その結果、制御部20から評価情報記憶部17に評価情報が出力されて、評価情報記憶部17に評価情報が記憶される。
図13に示すS141において、交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Ptを超えているか否かを性能評価部16が判断する。図8(C)に示すように、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Ptを超えると性能評価部16が判断したときにはS142に進む。一方、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Pt以下であると性能評価部16が判断したときにはS143に進む。
S142において、トンネル緩衝工4の性能が不十分であると性能評価部16が評価する。交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Ptを超える場合には、トンネル緩衝工4の全ての開口部4eを調整して、トンネル緩衝工4の性能を最適化しても、トンネル緩衝工4の性能が不十分であると性能評価部16が評価する。このため、トンネル緩衝工4の長さが不十分であり、トンネル緩衝工4を延伸する延伸工事が必要であると性能評価部16が評価する。
S143において、交点P3の開度が100%以下であるか否かを性能評価部16が評価する。図8(C)に示すように、交点P3の開度が100%以下であるか、図9(C)に示すように交点P3の開度が100%を超えているかを性能評価部16が評価する。交点P3の開度が100%以下であると性能評価部16が判断したときにはS144に進み、交点P3の開度が100%を超えると性能評価部16が判断したときにはS145に進む。
S144において、開口部4eの開度が最適開度σoptであると性能評価部16が予測する。図8(C)に示すように、第1近似直線L1と第2近似直線L2とが交差する交点P3の座標に対応する開度付近を最適開度σoptであると性能評価部16が評価する。その結果、開度調整部4fによって開口部4eの開度が調整されて、開口部4eの開度が最適開度σoptに設定される。性能評価部16が評価した最適開度σoptよりも、開口部4eの開度をより一層最適に設定したいときには、性能評価部16が評価した最適開度σoptを初期探索値として、開口部4eの開度が微調整される。その結果、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の第1ピークP1と第2ピークP2とがほぼ同じ高さになるまで、開口部4eの開度を微調整することによって、より一層最適な開度に開口部4eの開度が設定されて、トンネル微気圧波が低減される。
S145において、改良後の最適開度(新しい最適開度)σopt1を性能評価部16が予測する。トンネル緩衝工4の既設の全ての開口部4eを可能な限り調整しても、トンネル緩衝工4の性能が十分ではない場合には、開口部4eの開口面積又は数が不足しており、トンネル緩衝工4に開口部4eを追加又は拡大する改良工事が必要になる。例えば、図9(B)に示すように、開口部4eの全開時に測定される第1ピークP1の圧力勾配最大値P21が、開口部4eの全開時に測定される第2ピークP2の圧力勾配最大値P22よりも大きい場合には、トンネル緩衝工4の開口部4eの開口面積又は数が不足している。この場合には、図8(B)(C)に示すように、開口部4eの全開時に測定される第1ピークP1の圧力勾配最大値P21が、開口部4eの全開時に測定される第2ピークP2の圧力勾配最大値P22よりも小さくなる(第1近似直線L1と第2近似直線L2とが開度100%以下で交差する)まで開口部4eを追加又は拡大する必要がある。開口部4eの最適総開口面積Soptであるときには、改良後の開口部4eの最大総開口面積S1>Soptにするべきである。このため、改良前の交点P3の最適開度σoptであり、改良前の開口部4eの最大総開口面積S0であるときに、最適総開口面積Sopt=S0×σoptであることから、改良後の開口部4eの最大総開口面積S1>S0×σoptとなるように開口部4eを追加又は拡大する改良工事を実施する必要があると性能評価部16が予測する。この場合に、交点P3の最適開度σopt=Sopt/S0であり、改良後の最適開度σopt1=Sopt/S1であるため、改良後の最適開度σopt1=S0×σopt/S1であると性能評価部16が予測する。その結果、トンネル緩衝工4の開口部4eの開度が適切に設定されて、トンネル緩衝工の性能が向上する。
図12に示すS150において、表示処理を制御部20が実行する。開口部4eの最適開度σoptの表示を表示部19に制御部20が指令すると、表示部19の画面上に開口部4eの最適開度σoptが表示されて、一連の性能評価処理を制御部20が終了する。
この発明の第1実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価方法とその性能評価装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、トンネル緩衝工4の開口部4eが全閉状態である場合に測定される全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1と、この開口部4eが全開状態である場合に測定される全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2とに基づいて、このトンネル緩衝工4の性能を評価する。このため、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の解析結果に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を簡単に評価することができる。
(2) この第1実施形態では、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する列車1の緩衝工突入時の第1ピークP1を特定するとともに、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する列車1のトンネル突入時の第2ピークP2を特定する。また、この第1実施形態では、第1ピークP1及び第2ピークP2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。このため、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を測定し、第1ピークP1及び第2ピークP2を解析することによってトンネル緩衝工4の性能を短時間で簡単に評価することができる。
(3) この第1実施形態では、第1ピークP1及び第2ピークP2の圧力勾配最大値P11,P12,P21,P22と開口部4eの開度とを座標軸とする座標系を想定する。また、この第1実施形態では、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第1ピークP1の座標(0,P11)と、全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第1ピークP1の座標(100,P21)とを結ぶ第1近似直線L1を生成する。また、この第1実施形態では、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第2ピークP2の座標(0,P12)と、全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第2ピークP2の座標(100,P22)とを結ぶ第2近似直線L2を生成する。さらに、この第1実施形態では、第1近似直線L1及び第2近似直線L2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。このため、第1近似直線L1及び第2近似直線L2を利用して、トンネル緩衝工4の性能を簡単に短時間で評価することができる。
(4) この第1実施形態では、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Ptを超えるときには、トンネル緩衝工4を延伸する延伸工事が必要であると評価する。このため、交点P3の圧力勾配最大値Pminと低減目標値Ptとの大小関係に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を簡単に評価して、トンネル緩衝工4の延伸工事の必要性を早急に判断することができる。また、トンネル緩衝工4の延伸工事の要否を模型実験などの結果から経験的に判断する必要がなくなり、定量的及び合理的に判断することができる。
(5) この第1実施形態では、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の開度が100%以下であるときには、この交点P3付近の開度を開口部4eの最適開度σoptとして予測する。このため、開口部4eの最適開度σoptを簡単に予測することができ、トンネル微気圧波の低減効果を最も発揮することができる開口部4eの開度に短時間で簡単に調整することができる。また、開口部4eの開度を最適化するときの指針となる探索初期値(開度の初期値)として最適開度σoptを簡易に予測し短時間で設定することができ、開口部4eの開度の最適化作業をより一層簡略化し作業負担を軽減することができる。
(6) この第1実施形態では、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の開度が100%を超えるときには、開口部4eを追加又は拡大する改良工事が必要であると予測する。このため、可能な限り開口部4eの開度を調整したにもかかわらず、トンネル緩衝工4の性能が十分ではない場合には、トンネル緩衝工4を延伸させずにトンネル緩衝工4に開口部4eを増設したり、開口部4eの開口面積を大きくしたりして、トンネル緩衝工4の性能を確実に向上させることができる。その結果、トンネル緩衝工4の延伸工事に必要な多大な工費や工期が不要になって、低コストで経済的にトンネル緩衝工4の性能を向上させることができる。
(7) この第1実施形態では、改良前の第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の最適開度σoptであり、改良前の開口部4eの最大総開口面積S0であるときに、改良後の開口部4eの最大総開口面積S1>S0×σoptになるような改良工事が必要であると予測する。このため、改良後の開口部4eの最大総開口面積S1を簡単に演算して予測することができ、改良後のトンネル緩衝工4に最低限必要な開口部4eの数又は大きさを容易に決定することができる。
(8) この第1実施形態では、改良前の第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の最適開度σoptであり、改良前の開口部4eの最大総開口面積S0であり、改良後の開口部4eの最大総開口面積S1であるときに、改良後の最適開度σopt1=S0×σopt/S1になるような改良工事が必要であると予測する。このため、改良後の開口部4eの最大総開口面積S1を事前に想定しておき、最大総開口面積S1で改良工事を実施したときの改良後の最適開度σopt1を簡単に予測することができる。その結果、改良工事を実施する前に改良後の最適開度σopt1を予測することができ、トンネル緩衝工4の性能を予測することができる。
(第2実施形態)
以下では、図1~図4に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この第2実施形態では、トンネル内圧縮波に基づいてトンネル緩衝工4の性能を評価する第1実施形態とは異なり、トンネル微気圧波に基づいてトンネル緩衝工4の性能を評価する。
図4に示す圧力波検出装置5は、例えば、図14(A)及び図15(B)に示すように、列車1がトンネル坑口3aに突入するときにトンネル3の反対側のトンネル坑口から外部に放射するトンネル微気圧波を検出する圧力計などの圧力変換装置である。圧力波検出装置5は、反対側のトンネル坑口から所定距離だけ離れた地点に設置されている。圧力波検出装置5は、検出したトンネル微気圧波を圧力波情報(圧力波検出信号)として性能評価装置6に出力する。
図4に示す性能評価装置6は、図14(B)及び図15(B)に示すように、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4に発生する列車1の緩衝工突入時の第1ピークP1及び列車1のトンネル突入時の第2ピークP2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。性能評価装置6は、図16及び図17に示すように、開口部4eの開度及び微気圧波最大値(ピーク値)を座標軸とする座標系を想定したときに、開口部4eが全閉状態及び全開状態である場合の列車1の緩衝工突入時の第1ピークP1の座標を結ぶ第1近似直線L1と、開口部4eが全閉状態及び全開状態である場合の列車1のトンネル突入時の第2ピークP2の座標を結ぶ第2近似直線L2との交点P3の微気圧波最大値P’minが低減目標値Ptを超えているか否かを評価する。
図4に示す波形演算部9は、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4を演算する。波形演算部9は、圧力波検出装置5の検出結果に基づいて、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4を演算する。ここで、微気圧波波形W3,W4とは、トンネル坑口3aに列車1が突入したときにトンネル3の反対側のトンネル坑口3aから外部に放射されるトンネル微気圧波の波形である。波形演算部9は、トンネル3外に放射される圧力波の波形に基づいて、図14(B)に示すような全閉時の微気圧波波形W3と、図15(B)に示すような全開時の微気圧波波形W4とを演算する。波形演算部9は、演算後の全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4を波形情報(微気圧波波形情報)として制御部20に出力する。
図4に示すピーク特定部11は、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4の第1ピークP1及び第2ピークP2を特定する。ピーク特定部11は、図14(B)に示す全閉時の微気圧波波形W3及び図15(B)に示す全開時の微気圧波波形W4に発生する列車1の緩衝工突入時の第1ピークP1を特定する。また、ピーク特定部11は、図14(B)に示す全閉時の微気圧波波形W3及び図15(B)に示す全開時の微気圧波波形W4に発生する列車1のトンネル突入時の第2ピークP2を特定する。
図4に示す座標系情報記憶部13は、微気圧波最大値と開口部4eの開度とを座標軸とする座標系を座標系情報として記憶する。座標系情報記憶部13は、開口部4eの開度と、第1ピークP1及び第2ピークP2の微気圧波(微気圧波最大値)とを座標軸とする座標系を座標系情報として記憶する。座標系情報記憶部13は、例えば、図16及び図17に示すように、開度をx軸とし、微気圧波最大値をy軸とする直交座標系を座標系情報として記憶する。
図4に示す近似直線生成部14は、図14(B)及び図16(A)に示す全閉時の微気圧波波形W3に発生する第1ピークP1の座標(0,P31)と、図15(B)及び図16(A)に示す全開時の微気圧波波形W4に発生する第1ピークP1の座標(100,P41)とを結ぶ第1近似直線L1を生成する。また、近似直線生成部14は、図14(B)及び図16(B)に示す全閉時の微気圧波波形W3に発生する第2ピークP2の座標(0,P32)と、図15(B)及び図16(B)に示す全開時の微気圧波波形W4に発生する第2ピークP2の座標(100,P42)とを結ぶ第2近似直線L2を生成する。ここで、図16(A)~(C)に示す縦軸は微気圧波最大値であり、横軸は開度(%)である。
図4に示す性能評価部16は、開口部4eが全閉状態である場合に測定される全閉時の微気圧波波形W3と、開口部4eが全開状態である場合に測定される全開時の微気圧波波形W4とに基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。性能評価部16は、図16(C)及び図17(C)に示す交点P3の微気圧波最大値P’min及び最適開度σoptを予測する。性能評価部16は、近似直線生成部14が生成する第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の微気圧波最大値P’minが低減目標値Ptを超えているか否かを評価する。性能評価部16は、交点P3の微気圧波最大値P’minが低減目標値Ptを超えているときには、トンネル緩衝工4の性能が不十分であり、トンネル緩衝工4を延伸する延伸工事が必要であると評価する。評価情報記憶部17は、例えば、交点P3の微気圧波最大値P’minなどを評価情報として記憶する。表示部19は、例えば、図14及び図15に示すような波形演算部9が演算する全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4などを画面上に表示する。制御部20は、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4の演算を波形演算部9に指令する。
次に、この発明の第2実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価方法を説明する。
図11に示す波形演算工程#120では、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4を演算する。波形演算工程#120では、図14(B)に示すように、トンネル緩衝工4の開口部4eを全閉状態にしたときの全閉時の微気圧波波形W3を波形演算部9が演算する。また、波形演算工程#120では、図15(B)に示すように、トンネル緩衝工4の開口部4eを全開状態にしたときの全開時の微気圧波波形W4を波形演算部9が演算する。
ピーク特定工程#130では、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4の第1ピークP1及び第2ピークP2を特定する。ピーク特定工程#130では、図14(B)に示すように、全閉時の微気圧波波形W3の第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。また、ピーク特定工程#130では、図15(B)に示すように、全開時の微気圧波波形W4の第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。
近似直線生成工程#140では、図14(B)及び図16(A)に示す全閉時の微気圧波波形W3に発生する第1ピークP1の座標(0,P31)と、図15(B)及び図16(A)に示す全開時の微気圧波波形W4に発生する第1ピークP1の座標(100,P41)とを結ぶ第1近似直線L1を生成する。また、近似直線生成部14は、図14(B)及び図16(B)に示す全閉時の微気圧波波形W3に発生する第2ピークP2の座標(0,P32)と、図15(B)及び図16(B)に示す全開時の微気圧波波形W4に発生する第2ピークP2の座標(100,P42)とを結ぶ第2近似直線L2を生成する。
性能評価工程#150では、開口部4eが全閉状態である場合に測定される全閉時の微気圧波波形W3と、開口部4eが全開状態である場合に測定される全開時の微気圧波波形W4とに基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。性能評価工程#150では、図16(C)に示すように、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の微気圧波最大値P’minが低減目標値Ptを超えているときには、トンネル緩衝工4の性能が不十分であると評価する。
次に、この発明の第2実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置の動作について説明する。
以下では、図12及び図13に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図18に示すS110において、微気圧波波形W3,W4の波形演算処理を制御部20が実行する。全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4の演算を波形演算部9に制御部20が指令する。その結果、図14(A)に示すように、開口部4eを全閉状態にした場合に検出された圧力波に基づいて、図14(B)に示すように全閉時の微気圧波波形W3を波形演算部9が演算する。また、図15(A)に示すように、開口部4eを全開状態にした場合に検出された圧力波に基づいて、図15(B)に示すように全開時の微気圧波波形W4を波形演算部9が演算する。
S120において、ピーク特定処理を制御部20が実行する。全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4の第1ピークP1及び第2ピークP2の特定をピーク特定部11に制御部20が指令する。その結果、図14(A)に示すように、トンネル緩衝工4の開口部4eを全閉状態にした場合に検出された全閉時の微気圧波波形W3に基づいて、図14(B)に示すように第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。また、図15(A)に示すように、トンネル緩衝工4の開口部4eを全開状態にした場合に検出された全開時の微気圧波波形W4に基づいて、図15(B)に示すように第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。
S130において、近似直線生成処理を制御部20が実行する。図16(A)に示すように、開口部4eを全閉状態にしたときの第1ピークP1の座標(0,P31)と、開口部4eを全開状態にしたときの第1ピークP1の座標(100,P41)とを結ぶ第1近似直線L1を近似直線生成部14が生成する。また、図16(B)に示すように、開口部4eを全閉状態にしたときの第2ピークP2の座標(0,P32)と、開口部4eを全開状態にしたときの第2ピークP2の座標(100,P42)とを結ぶ第2近似直線L2を近似直線生成部14が生成する。
図18に示すS141において、交点P3の微気圧波最大値P’minが低減目標値Ptを超えているか否かを性能評価部16が判断する。図16(C)に示すように、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の微気圧波最大値P’minが低減目標値Ptを超えると性能評価部16が判断したときにはS142に進む。一方、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の微気圧波最大値P’minが低減目標値Pt以下であると性能評価部16が判断したときにはS143に進む。
S142において、トンネル緩衝工4の性能が不十分であると性能評価部16が評価する。交点P3の微気圧波最大値P’minが低減目標値Ptを超える場合には、トンネル緩衝工4の性能が不十分であり、トンネル緩衝工4を延伸する延伸工事が必要であると性能評価部16が評価する。
S144において、開口部4eの開度が最適開度σoptであると性能評価部16が予測する。微気圧波最大値を低減するためには、微気圧波波形W3,W4の第1ピークP1と第2ピークP2とがほぼ同じ高さになるように、開口部4eを最適開度に設定する必要がある。その結果、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4の第1ピークP1と第2ピークP2とがほぼ同じ高さになるまで、開口部4eの開度を微調整することによって、より一層最適な開度に開口部4eの開度が設定されて、トンネル微気圧波が低減される。
S145において、改良後の最適開度(新しい最適開度)σopt1を性能評価部16が予測する。例えば、図17(B)に示すように、開口部4eの全開時に測定される第1ピークP1の微気圧波最大値P41が、開口部4eの全開時に測定される第2ピークP2の微気圧波最大値P42よりも大きい場合には、トンネル緩衝工4の開口部4eの開口面積又は数が不足している。この場合には、図16(B)(C)に示すように、開口部4eの全開時に測定される第1ピークP1の圧力勾配最大値P41が、開口部4eの全開時に測定される第2ピークP2の微気圧波最大値P42よりも小さくなる(第1近似直線L1と第2近似直線L2とが開度100%以下で交差する)まで開口部4eを追加又は拡大する必要がある。その結果、トンネル緩衝工4の開口部4eの開度が適切に設定されて、トンネル緩衝工の性能が向上する。
この発明の第2実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価方法とその性能評価装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4に発生する列車1の緩衝工突入時の第1ピークP1を特定するとともに、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4に発生する列車1のトンネル突入時の第2ピークP2を特定する。また、この第2実施形態では、第1ピークP1及び第2ピークP2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。このため、全閉時の微気圧波波形W3及び全開時の微気圧波波形W4を測定し、第1ピークP1及び第2ピークP2を解析することによって、トンネル緩衝工4の性能を短時間で簡単に評価することができる。
(2) この第2実施形態では、第1ピークP1及び第2ピークP2の微気圧波最大値P31,P32,P41,P42と開口部4eの開度とを座標軸とする座標系を想定する。また、この第2実施形態では、全閉時の微気圧波波形W3に発生する第1ピークP1の座標(0,P31)と、全開時の微気圧波波形W4に発生する第1ピークP1の座標(100,P41)とを結ぶ第1近似直線L1を生成する。また、この第2実施形態では、全閉時の微気圧波波形W3に発生する第2ピークP2の座標(0,P32)と、全開時の微気圧波波形W4に発生する第2ピークP2の座標(100,P42)とを結ぶ第2近似直線L2を生成する。さらに、この第2実施形態では、第1近似直線L1及び第2近似直線L2に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。このため、第1近似直線L1及び第2近似直線L2を利用して、トンネル緩衝工4の性能を簡単に短時間で評価することができる。
(3) この第2実施形態では、第1近似直線L1と第2近似直線L2との交点P3の微気圧波最大値P’minが低減目標値Ptを超えるときには、トンネル緩衝工4を延伸する延伸工事が必要であると評価する。このため、交点P3の微気圧波最大値P’minと低減目標値Ptとの大小関係に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を簡単に評価して、トンネル緩衝工4の延伸工事の必要性を早急に判断することができる。また、トンネル緩衝工4の延伸工事の要否を模型実験などの結果から経験的に判断する必要がなくなり、定量的及び合理的に判断することができる。
(第3実施形態)
この第3実施形態では、トンネル緩衝工4の開口部4eの開度が全閉状態及び全開状態である場合にそれぞれ測定される圧力波に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する第1実施形態及び第2実施形態とは異なり、トンネル緩衝工4の開口部4eの開度が全閉状態及び全開状態以外の異なる開度である場合にそれぞれ測定される圧力波に基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。
図4に示す性能評価装置6は、開口部4eが開度α及び開度βである場合の列車1の緩衝工突入時の第1ピークP1の座標を結ぶ第1近似直線L1と、開口部4eが開度α及び開度βである場合の列車1のトンネル突入時の第2ピークP2の座標を結ぶ第2近似直線L2との交点P3の圧力勾配最大値Pminが低減目標値Ptを超えているか否かを評価する。圧力波情報記憶部8は、開口部4eの開度αであるときに圧力波検出装置5が出力する圧力波情報を記憶するとともに、開口部4eが開度βであるときに圧力波検出装置5が出力する圧力波情報とを記憶する。
波形演算部9は、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を演算する。波形演算部9は、演算後の開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を波形情報(圧力勾配波形情報)として制御部20に出力する。波形情報記憶部10は、開口部4eが開度αであるときに波形演算部9が演算する波形情報を記憶するとともに、開口部4eが開度βであるときに波形演算部9が演算する波形情報を記憶する。
ピーク特定部11は、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の第1ピークP1及び第2ピークP2を特定する。ピーク特定部11は、図5(B)に示す第1ピークP1及び図6(B)に示す第2ピークP2にそれぞれ対応する開口部4eの開度α,β及び圧力勾配Pα1,Pβ1,Pα2,Pβ2をピーク情報として制御部20に出力する。ピーク情報記憶部12は、開口部4eが開度αであるときにピーク特定部11が特定するピーク情報を記憶するとともに、開口部4eが開度βであるときにピーク特定部11が特定するピーク情報を記憶する。
近似直線生成部14は、図19(A)に示すように、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第1ピークP1の座標(α,Pα1)と、開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第1ピークP1の座標(β,Pβ1)とを結ぶ第1近似直線L1を生成する。また、近似直線生成部14は、図19(B)に示すように、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第2ピークP2の座標(α,Pα2)と、開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第2ピークP2の座標(β,Pβ2)とを結ぶ第2近似直線L2を生成する。
図4に示す性能評価部16は、開口部4eが開度αである場合に測定される開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1と、開口部4eが開度βである場合に測定される開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2とに基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。表示部19は、例えば、波形演算部9が演算する開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2などを画面上に表示する。制御部20は、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の演算を波形演算部9に指令する。
次に、この発明の第3実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価方法を説明する。
図11に示す圧力波検出工程#110では、トンネル緩衝工4の開口部4eを開度αにした場合に、トンネル3に突入する列車1によって発生する圧力波を圧力波検出装置5が検出する。また、圧力波検出工程#110では、トンネル緩衝工4の開口部4eを開度βにした場合に、トンネル3に突入する列車1によって発生する圧力波を圧力波検出装置5が検出する。
波形演算工程#120では、トンネル緩衝工4の開口部4eを開度αにしたときの開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1を波形演算部9が演算する。また、波形演算工程#120では、トンネル緩衝工4の開口部4eを開度βにしたときの開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を波形演算部9が演算する。ピーク特定工程#130では、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1の第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。また、ピーク特定工程#130では、開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。
近似直線生成工程#140では、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第1ピークP1の座標(α,Pα1)と、開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第1ピークP1の座標(β,Pβ1)とを結ぶ第1近似直線L1を生成する。また、近似直線生成部14は、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に発生する第2ピークP2の座標(α,Pα2)と、開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に発生する第2ピークP2の座標(β,Pβ2)とを結ぶ第2近似直線L2を生成する。性能評価工程#150は、開口部4eが開度αである場合に測定される開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1と、開口部4eが開度βである場合に測定される開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2とに基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する。
次に、この発明の第3実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価装置の動作について説明する。
図12に示すS110において、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の演算を波形演算部9に制御部20が指令する。その結果、開口部4eを開度αにした場合に検出された圧力波に基づいて、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1を波形演算部9が演算する。また、開口部4eを開度βにした場合に検出された圧力波に基づいて、開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2を波形演算部9が演算する。
S120において、開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1及び開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2の第1ピークP1及び第2ピークP2の特定をピーク特定部11に制御部20が指令する。その結果、トンネル緩衝工4の開口部4eを開度αにした場合に検出された開度α時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1に基づいて、第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。また、トンネル緩衝工4の開口部4eを開度βにした場合に検出された開度β時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2に基づいて、第1ピークP1及び第2ピークP2をピーク特定部11が特定する。
S130において、近似直線生成処理を制御部20が実行する。その結果、開口部4eを開度αにしたときの第1ピークP1の座標(α,Pα1)と、開口部4eを開度βにしたときの第1ピークP1の座標(β,Pβ1)とを結ぶ第1近似直線L1を近似直線生成部14が生成する。また、開口部4eを開度αにしたときの第2ピークP2の座標(α,Pα2)と、開口部4eを開度βにしたときの第2ピークP2の座標(β,Pβ2)とを結ぶ第2近似直線L2を近似直線生成部14が生成する。
図13に示すS145において、改良後の最適開度(新しい最適開度)σopt1を性能評価部16が予測する。例えば、図20(B)に示すように、開口部4eの開度β時に測定される第1ピークP1の圧力勾配最大値Pβ1が、開口部4eの開度β時に測定される第2ピークP2の圧力勾配最大値Pβ2よりも大きい場合には、トンネル緩衝工4の開口部4eの開口面積又は数が不足している。この場合には、図19(B)(C)に示すように、開口部4eの開度β時に測定される第1ピークP1の圧力勾配最大値Pβ1が、開口部4eの開度β時に測定される第2ピークP2の圧力勾配最大値Pβ2よりも小さくなる(第1近似直線L1と第2近似直線L2とが開度100%以下で交差する)まで開口部4eを追加又は拡大する必要がある。
この発明の第3実施形態に係るトンネル緩衝工の性能評価方法とその性能評価装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、トンネル緩衝工4の開口部4eが開度αである場合に測定される開度α時の圧力波形と、この開口部4eが開度βである場合に測定される開度β時の圧力波形とに基づいて、このトンネル緩衝工の性能を評価する。例えば、開口部4eを開閉する開閉部材の枚数が不足しており、全ての開口部4eを開閉できない構造のトンネル緩衝工4や、この開閉部材の可動領域に制約があり、全ての開口部4eを全閉状態及び/又は全開状態にできない構造のトンネル緩衝工4が存在する場合がある。この第3実施形態では、開口部4eが全閉状態及び全開状態以外の任意の異なる開度α,βであるときの圧力波形に基づいて、開口部4eの最適開度σoptを予測するとともに、トンネル緩衝工4の性能を評価することができる。例えば、開口部4eの開度を可能な限り開閉状態(例えば20%,80%)にしたときに測定される圧力勾配最大値に基づいて、第1近似直線L1及び第2近似直線L2を生成し、交点P3の圧力勾配最大値Pminに基づいて、開口部4eの最適開度σoptを設定したり、トンネル緩衝工4の性能を評価したりすることができる。その結果、開口部4eを全閉状態にするための開閉部材を多数用意する必要がなくなって、開口部4eの最適開度σoptを低コストで設定し、トンネル緩衝工4の性能を低コストで評価することができる。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、移動体が列車1である場合を例に挙げて説明したが、磁気浮上式鉄道又は自動車などの他の移動体についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、固定構造物がトンネル3及びトンネル緩衝工4である場合を例に挙げて説明したが、固定構造物をこれらに限定するものではない。例えば、雪崩を通過させるために山腹斜面から線路上を覆う庇状のスノーシェッド(雪崩防護工)、吹雪、地吹雪による線路上の吹き溜まりの発生を防止するために線路上を覆うスノーシェルタ、斜面から転落又は落下してくる落石を通過させるために線路上を覆う落石覆い(落石防護工)、線路上を立体的に交差する橋梁又は高架橋などの立体交差、線路上部に駅本屋が存在する橋上駅(橋上建物)、線路を超えるために線路上に架け渡された跨線橋などの固定構造物についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、列車1が新幹線列車である場合を例に挙げて説明したが、在来線を走行する在来線列車、又は新幹線と在来線とを相互に走行可能な新在直通運転用の列車などについても、この発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、軌道2が複線である場合を例に挙げて説明したが、軌道2が単線又は複々線である場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、トンネル緩衝工4の断面形状が半円形である場合を例に挙げて説明したが、四角形又は六角形のような多角形である場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、開口部4eの形状が四角形である場合を例に挙げて説明したが、円形、楕円形又は多角形である場合についても、この発明を適用することができる。
(3) この実施形態では、トンネル緩衝工4の側壁4c,4dの長さ方向に開口部4eが形成されている場合を例に挙げて説明したが、トンネル緩衝工4の天部4bの長さ方向に開口部4eが形成されている場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、トンネル緩衝工4に開口部4eが複数形成されている場合について説明したが、トンネル緩衝工4に開口部4eが単数形成されている場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、スリット状の開口部4eを有するトンネル緩衝工4を例に挙げて説明したが、離散窓状の開口部4eを有するトンネル緩衝工、離散窓状及びスリット状の開口部4eを組み合わせたトンネル緩衝工、大きさの異なる複数のスリット状及び離散窓状の開口部4eを組み合わせたトンネル緩衝工についても、この発明を適用することができる。
(4) この実施形態では、一枚の開度調整部4fによって複数の開口部4eを開閉する場合を例に挙げて説明したが、各開口部4eに対応する複数の開度調整部4fによって複数の開口部4eをそれぞれ開閉する場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、開度調整部4fが長板状又はシャッタ状の開閉部材である場合を例に挙げて説明したが、カーテン状の開閉部材又は作動流体によって膨張伸縮する袋状の開閉部材などである場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、複数の開口部4eを高さ方向のみに開閉してこの複数の開口部4eの大きさを調整する開口部高さ調整方式を例に挙げて説明したが、このような調整方式にこの発明を限定するものではない。例えば、開度調整部4fが複数の開口部4eを長さ方向のみに開閉して、この複数の開口部4eの大きさを調整する開口部位置調整方式によって、この複数の開口部4eの開度を最適に調整する場合についても、この発明を適用することができる。
(5) この実施形態では、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1又は微気圧波波形W3の検出後に、全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2又は微気圧波波形W4の検出をする場合を例に挙げて説明したが、全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W2又は微気圧波波形W4の検出後に、全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形W1又は微気圧波波形W3の検出をする場合についても、この発明を適用することができる。同様に、第1ピークP1を特定した後に、第2ピークP2を特定する場合を例に挙げて説明したが、第2ピークP2を特定した後に、第1ピークP1を特定する場合についても、この発明を適用することができる。また、第1近似直線L1を生成した後に、第2近似直線L2を生成する場合を例に挙げて説明したが、第2近似直線L2を生成した後に、第1近似直線L1を生成する場合についても、この発明を適用することができる。
(6) この実施形態では、開度をx軸とし、圧力勾配最大値又は微気圧波最大値をy軸とする直交座標系を座標系情報として座標系情報記憶部13が記憶する場合を例に挙げて説明したが、圧力勾配最大値又は微気圧波最大値をx軸とし、開度をy軸とする直交座標系を座標系情報として座標系情報記憶部13が記憶する場合についても、この発明を適用することができる。また、この第3実施形態では、交点P3の圧力勾配最大値Pminに基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する場合を例に挙げて説明したが、交点P3の微気圧波最大値P’minに基づいて、トンネル緩衝工4の性能を評価する場合についても、この発明を適用することができる。
1 列車(移動体)
2 軌道
3 トンネル
3a トンネル坑口
4 トンネル緩衝工
4a 緩衝工口
4b 天部
4c,4d 側壁
4e 開口部
4f 開度調整部
5 圧力波検出装置
6 性能評価装置
9 波形演算部
11 ピーク特定部
13 座標系情報記憶部
14 近似直線生成部
16 性能評価部
20 制御部
1 全閉時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形
2 全開時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形
3 全閉時の微気圧波の波形
4 全開時の微気圧波の波形
1 第1ピーク(緩衝工突入時のピーク)
2 第2ピーク(トンネル突入時のピーク)
11,P12,P21,P22 圧力勾配最大値
min 交点の圧力勾配最大値(予測される圧力勾配最大値)
P’min 交点の微気圧波最大値(予測される微気圧波最大値)
t 低減目標値
1 第1近似直線
2 第2近似直線
3 交点
σopt 最適開度(交点P3の開度(予測される最適開度))
σopt1 改良後の最適開度(新しい最適開度)
0 改良前の開口部の最大総開口面積
1 改良後の開口部の最大総開口面積
opt 開口部の最適総開口面積

Claims (13)

  1. 移動体が突入するトンネル坑口を覆うトンネル緩衝工の性能を評価するトンネル緩衝工の性能評価方法であって、
    前記トンネル緩衝工の長さ方向に形成された開口部が第1の開度である場合に測定される第1の開度時の圧力波形と、前記開口部が第2の開度である場合に測定される第2の開度時の圧力波形とに基づいて、このトンネル緩衝工によるトンネル微気圧波の低減効果をこのトンネル緩衝工の性能として評価する性能評価工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  2. 請求項1に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記第1の開度時及び前記第2の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形に発生する前記移動体の緩衝工突入時の第1ピークを特定するとともに、
    前記第1の開度時及び前記第2の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形に発生する前記移動体のトンネル突入時の第2ピークを特定するピーク特定工程を含み、
    前記性能評価工程は、前記第1及び前記第2ピークに基づいて、前記トンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  3. 請求項1に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記第1の開度時及び前記第2の開度時のトンネル微気圧波の波形に発生する前記移動体の緩衝工突入時の第1ピークを特定するとともに、
    前記第1の開度時及び前記第2の開度時のトンネル微気圧波の波形に発生する前記移動体のトンネル突入時の第2ピークを特定するピーク特定工程を含み、
    前記性能評価工程は、前記第1及び前記第2ピークに基づいて、前記トンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  4. 請求項2に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記第1及び前記第2ピークの圧力勾配と前記開口部の開度とを座標軸とする座標系を想定したときに、
    前記第1の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形に発生する前記第1ピークの座標と、前記第2の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形に発生する前記第1ピークの座標とを結ぶ第1近似直線を生成するとともに、
    前記第1の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形に発生する前記第2ピークの座標と、前記第2の開度時のトンネル内圧縮波の圧力勾配波形に発生する前記第2ピークの座標とを結ぶ第2近似直線を生成する近似直線生成工程を含み、
    前記性能評価工程は、前記第1近似直線及び前記第2近似直線に基づいて、前記トンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  5. 請求項4に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記性能評価工程は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の圧力勾配最大値が低減目標値を超えるときには、前記トンネル緩衝工を延伸する延伸工事が必要であると評価する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  6. 請求項に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記第1及び前記第2ピークの微気圧波と前記開口部の開度とを座標軸とする座標系を想定したときに、
    前記第1の開度時のトンネル微気圧波の波形に発生する前記第1ピークの座標と、前記第2の開度時のトンネル微気圧波の波形に発生する前記第1ピークの座標とを結ぶ第1近似直線を生成するとともに、
    前記第1の開度時のトンネル微気圧波の波形に発生する前記第2ピークの座標と、前記第2の開度時のトンネル微気圧波の波形に発生する前記第2ピークの座標とを結ぶ第2近似直線を生成する近似直線生成工程を含み、
    前記性能評価工程は、前記第1近似直線及び前記第2近似直線に基づいて、前記トンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  7. 請求項6に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記性能評価工程は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の微気圧波最大値が低減目標値を超えるときには、前記トンネル緩衝工を延伸する延伸工事が必要であると評価する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  8. 請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記性能評価工程は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の開度が100%以下であるときには、この交点付近の開度を前記開口部の最適開度として予測する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  9. 請求項4から請求項8までのいずれか1項に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記性能評価工程は、前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の開度が100%を超えるときには、前記開口部を追加又は拡大する改良工事が必要であると予測する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  10. 請求項9に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記性能評価工程は、改良前の前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の開度σoptであり、改良前の前記開口部の最大総開口面積S0であるときに、改良後の前記開口部の最大総開口面積S1>S0×σoptになるような改良工事が必要であると予測する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  11. 請求項9又は請求項10に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記性能評価工程は、改良前の前記第1近似直線と前記第2近似直線との交点の開度σoptであり、改良前の前記開口部の最大総開口面積S0であり、改良後の前記開口部の最大総開口面積S1であるときに、改良後の最適開度σopt1=S0×σopt/S1になるような改良工事が必要であると予測する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のトンネル緩衝工の性能評価方法において、
    前記性能評価工程は、前記トンネル緩衝工の開口部が全閉状態である場合に測定される全閉時の圧力波形と、この開口部が全開状態である場合に測定される全開時の圧力波形とに基づいて、このトンネル緩衝工の性能を評価する工程を含むこと、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価方法。
  13. 移動体が突入するトンネル坑口を覆うトンネル緩衝工の性能を評価するトンネル緩衝工の性能評価装置であって、
    前記トンネル緩衝工の長さ方向に形成された開口部が第1の開度である場合に測定される第1の開度時の圧力波形と、前記開口部が第2の開度である場合に測定される第2の開度時の圧力波形とに基づいて、このトンネル緩衝工によるトンネル微気圧波の低減効果をこのトンネル緩衝工の性能として評価する性能評価部を備えること、
    を特徴とするトンネル緩衝工の性能評価装置。
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