JPH09228784A - トンネル用緩衝工 - Google Patents

トンネル用緩衝工

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JPH09228784A
JPH09228784A JP6018996A JP6018996A JPH09228784A JP H09228784 A JPH09228784 A JP H09228784A JP 6018996 A JP6018996 A JP 6018996A JP 6018996 A JP6018996 A JP 6018996A JP H09228784 A JPH09228784 A JP H09228784A
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tunnel
cross
cover
sectional area
pressure wave
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JP6018996A
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English (en)
Inventor
Toshimitsu Tanaka
俊光 田中
Ichiro Yamagiwa
伊知郎 山極
Takeshi Oda
剛 織田
Nobuteru Hayashi
信輝 林
Takao Nagura
隆雄 名倉
Mineo Oishi
峰生 大石
Masaaki Miyamoto
雅章 宮本
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Kobe Steel Ltd
Central Japan Railway Co
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Central Japan Railway Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力波前面に残ろうとする急峻部を少なくす
ることができるとともに、緩衝工の最適化によって長く
する程度をできるだけ少なくできる緩衝工を提供する。 【解決手段】 トンネル2の頂上2aから覆体3の上辺
3bまでの距離Hを、トンネル断面形の等価半径R×
(15/100)以下まで接近させ、覆体3の断面形状
が、トンネル2の両側の側辺3aと、トンネル2の上側
の上辺3aを含む矩形断面になっており、覆体3の断面
積/トンネル2の断面積の比率が1.45を越え、1.
55未満とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新幹線等の高速車
両がトンネルに突入した際、トンネル入口で形成された
圧力波がトンネル出口に伝搬して発生する空気圧音が低
減するよう、トンネル入口に設置する緩衝工に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】列車が高速で突入すると、トンネル内の
空気は圧縮され圧力波が生じる。この圧力波はトンネル
内を音速で出口に向かって伝搬する。トンネル出口の空
気圧音の大きさは、このトンネル出口に達した圧力波の
波面前面の圧力勾配に比例することが知られている。ト
ンネル入口で発生する圧力波の波面前面の圧力勾配は、
列車の突入速度のほぼ3乗に比例して大きくなってい
る。このため、新幹線のように220km/hr以上の
高速になると、トンネル出口の空気圧音は級数的に増大
し、深刻な環境問題を引き起こす恐れがある。
【0003】トンネル出口から発生する空気圧音を減少
させるためには、圧力波の波面前面の圧力勾配を下げる
必要がある。この具体的方法として、特公昭55−31
274号公報に開示されるものが有効とされ、現在使用
されている。
【0004】この空気圧音低減方法は、図8に示される
ように、トンネル2の突入口に設けられ、トンネル断面
積より大きな断面を有する覆体3と、前記覆体3の側面
に設けられた開口4とからなるトンネル用緩衝工5を用
いる。
【0005】図9に示すように、トンネル入口部に生じ
る圧力波は3つの部分から形成されている。即ち、列車
先頭部が緩衝工に突入する際に形成される第1段圧力波
aと、緩衝工通過中に形成される圧力波bと、列車先頭
部が緩衝工からトンネルに突入する際に形成される第2
段圧力波cである。
【0006】トンネル出口での空気圧音の大きさは、ト
ンネル入口部で生じる圧力波の波面前面の圧力勾配で決
まる。図9の例では、第2段圧力波cの圧力勾配が一番
大きく、この部分の圧力勾配に応じた空気圧音がトンネ
ル出口で発生する。つまりの第2段圧力波cの圧力勾配
が緩やかなほうが、トンネル出口の空気圧音が小さくな
る。
【0007】そこで、緩衝工5の開口4の大きさと位置
を調整して、第1段圧力波aと圧力波bと第2段圧力波
cとを一つの連続した圧力波にして、波面全面の圧力勾
配を下げ、トンネル出口の空気圧音を減少させる。
【0008】このような空気圧音低減方法に用いられる
緩衝工5の諸元は以下の通りである。まず、覆体3の断
面形状は、トンネルの円形に合わせて両側の両端を斜め
にした台形形状になっている。また、覆体3の断面積S
2/トンネルの断面積S1の比率は、トンネル2の大き
さとのバランス、架線6の位置関係等の寸法的制約から
から、1.55が標準とされてきた。また、覆体3の長
さLは、列車の営業運転速度との関係から、トンネルの
等価直径(2×等価半径R)の3倍以内で十分とされて
きた。
【0009】
【発明を解決しようとする課題】新幹線が300km/
hr更には350km/hr以上(リニア新幹線にあっ
ては、500km/hr前後)の営業運転を目指す状況
にあっては、緩衝工の覆体の長さは100m前後と従来
の倍以上の長さが必要になってくる。ところが、車両が
高速化し緩衝工の長さが長くなるとともに、図9の圧力
波bの区間が長くなり、緩衝工の開口4の調整によって
も、第1段圧力波aや第2段圧力波cとスムーズにつな
げることが困難になり、部分的に圧力波前面の急峻部が
残り、そのためトンネル出口での空気圧音を低減できな
いという問題点が生じるということを発見した。
【0010】また、緩衝工の工事費はその長さに比例す
るため、施工上のコストアップにつながる。また、緩衝
工を取り付ける長さが限られたトンネルの場合、その長
さの範囲で最も効果的な対策をする必要がある。
【0011】そこで、本発明のうち請求項1及び2記載
の発明は、圧力波前面に残ろうとする急峻部を少なくす
ることができる緩衝工を提供することを目的とする。
【0012】また、請求項3記載の発明は、単に緩衝工
を長くするだけではなく、緩衝工の最適化によって長く
する程度をできるだけ少なくし、同じ緩衝効果を得るこ
とができる緩衝工を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決する手段】前述した目的を達成するため
に、本発明のうちで請求項1記載の発明は、トンネル突
入口に設けられ、トンネル断面積より大きな断面を有す
る覆体と、前記覆体の側面に設けられた開口とからなる
トンネル用緩衝工であって、前記トンネルの頂上から前
記覆体の上辺までの距離Hを、トンネル断面形の等価半
径R×(15/100)以下まで接近させたことを特徴
とする。なお、列車速度は200km/hr以上で、緩
衝工が必要な場合に適用できる。
【0014】ここで、トンネル断面形の等価半径とは、
トンネル上部の円形に近似できる部分の円の半径をい
う。トンネル下部は、複線用トンネル又は単線用トンネ
ルで異なるが、トンネル上部にいずれにせよ円形に近似
できる部分を含んでいる。トンネル頂上と覆体までの距
離を短くし、トンネル頂上付近だけに着目すると、緩衝
工断面積/トンネル断面積の比率が小さい場合に相当
し、圧力波の頂上付近の勾配が緩やかになる。逆に、ト
ンネル頂上と覆体までの距離を長くし、トンネル頂上付
近だけに着目すると、緩衝工断面積/トンネル断面積の
比率が大きい場合に相当し、圧力波の頂上付近の勾配が
急激になる。この傾向は理論的に実験的にも確かめられ
た。
【0015】すなわち、圧力波の全体の形状は緩衝工断
面積/トンネル断面積の比率や開口面積率等に依存する
が、圧力波頂上の勾配はトンネル頂上と緩衝工迄の距離
Hに依存するという知見を得た。この知見に基づき、緩
衝工断面積/トンネル断面積の比率や開口面積率等でも
制御しにくい、圧力波頂上の形状制御を、トンネルの頂
上から緩衝工の覆体の上辺までの距離Hで制御するもの
である。実験的に制御可能な距離Hはトンネル断面形の
等価半径R×(15/100)以下であることを確かめ
本発明を完成した。なお、距離Hをトンネル断面形の等
価半径R×(10/100)以下にすると好ましい。更
に距離Hをトンネル断面形の等価半径R×(8/10
0)以下にするともっと好ましい。
【0016】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の発明を別の角度から定義したものであって、トンネル
突入口に設けられ、トンネル断面積より大きな断面を有
する覆体と、前記覆体の側面に設けられた開口とからな
るトンネル用緩衝工であって、前記覆体の断面形状が、
前記トンネルの両側の側辺と、前記トンネルの上側の上
辺を含む矩形断面になっており、前記覆体の上辺を前記
トンネル頂上まで接近させたことを特徴とするものであ
る。
【0017】前述したように、トンネルの頂上から緩衝
工の覆体の上辺までの距離Hが、高速列車に対する緩衝
工の圧力波頂上波形制御に重要であるという点は請求項
2の発明でも同様である。緩衝工断面積/トンネル断面
積の比率の適正範囲である1.3〜1.7(特に1.5
付近が適正であることは以下に述べる)を確保しつつ、
トンネルの頂上から緩衝工の覆体の上辺までの距離Hを
短くするためには、従来の台形形状の緩衝工という常識
を打ち破り、横に長い矩形形状にすると、ある程度の緩
衝工断面積を確保しつつ、トンネルの頂上から緩衝工の
覆体の上辺までの距離Hを短くできる点を見いだして本
発明を完成した。
【0018】また請求項3記載の発明は、トンネル突入
口に設けられ、トンネル断面積より大きな断面を有する
覆体と、前記覆体の側面に設けられた開口とからなるト
ンネル用緩衝工において、前記覆体の断面積/前記トン
ネルの断面積の比率が1.45を越え、1.55未満で
あり、前記覆体の長さが前記トンネルの等価半径の7倍
以上であって、列車速度が350km/hr以上に対応
するものであることを特徴とするものである。
【0019】圧力波の波面前面の勾配を少なくするため
には、第1段圧力波と第2段圧力波との間隔を広げるこ
とだけではなく、圧力波の圧力の最大値を下げることも
有効である。圧力波の圧力の最大値を下げるために、前
記覆体の断面積/前記トンネルの断面積の前記比率は大
きくする程よいということがわかった。一方、第1段圧
力波と第2段圧力波とをなめらかに連続させるのは適切
な面積を有する開口である。しかしながら、覆体の断面
積/トンネルの断面積の比率が大きくなると、第2段圧
力波の波面前面の圧力勾配が大きくなり、さらに開口の
面積に関係なく、第2段圧力波が独立して存在するよう
になる。この第2段圧力波の圧力勾配により、空気圧音
が決まってしまうということが判明した。
【0020】すなわち、前記断面積の比率が1.55以
上であると、第2段圧力波の波面前面の圧力勾配が大き
くなり、さらに開口の面積の適切な設定ができにくくな
るため、上限は1.55未満とする。好ましくは前記断
面積の比率を1.53以下にする。一方、前記断面積の
比率が1.45以上であると、圧力波の圧力の最大値が
上がっていくため、下限は1.45を越えるものとす
る。好ましくは前記断面積の比率を1.47以上にす
る。結局、好ましい範囲は1.47〜1.53であり、
1.5に近い1.49〜1.51がより好ましい。この
ように、緩衝工の長さの最適化が有効な場合は、緩衝工
が長くなった場合である。特に、緩衝工の全長がトンネ
ル横径の3.5以上に長く、列車速度が350km/h
r以上の高速において本発明が適用される。350km
/hr以上の高速として、例えば500km/hrのリ
ニア新幹線が計画されており、このリニア新幹線は架線
が空中に無く、より流線型に形成されている等の理由に
よって、覆体の断面積/トンネルの断面積の比率を従来
の1.55の標準にこだわることなく、自在に設計可能
であるため、1.5付近にして、長さの最適化を実現す
る。
【0021】なお、トンネル出口の空気圧音を出来るだ
け小さくし、且つ同じ空気圧音である限りできるだけ短
い緩衝工にしようとすると、トンネルの頂上から前記の
上辺までの距離Hを、トンネル断面形の等価半径R×
(15/100)以下まで接近させることに加えて、前
記覆体の断面形状が、前記トンネルの両側の側辺と、前
記トンネルの上側の上辺を含む矩形断面にすることによ
って、現在の新幹線に適用される緩衝工の最適化も可能
になる。更に、前記覆体の断面積/前記トンネルの断面
積の比率が1.45を越え、1.55未満とすると、前
記覆体の長さが前記トンネルの等価半径の7倍以上であ
って、列車速度が350km/hr以上の将来の高速化
に対応する緩衝工を最適化することができる。
【0022】
【実施例】本発明の実施の形態を、図示例とともに説明
する。図1は本発明の緩衝工の正面から見た図すなわち
覆体の断面形状を示す図である。トンネル2は複線用で
あり、線路面付近に中心Oを有する半径Rの円弧壁2a
と、両側の垂直壁2bとからなっている。この場合のト
ンネルの等価半径は図示の半径Rになる。
【0023】緩衝工5の覆体3は、トンネル2の両側の
側辺3aと、トンネルの上側の上辺3bを含む矩形断面
になっており、記覆体3の上辺3bをトンネル頂上2c
まで距離Hとなるまで接近させてなる。図示例では、距
離H=トンネル等価半径R×(8/100)になるま
で、上片3bをトンネル頂上2cまで接近させた。
【0024】覆体3の断面形状を略矩形とし、更にトン
ネル2の垂直壁2bと側片3bとの間にも幅Wの間隔を
設けているので、トンネル2の斜め上方部分には大きな
空間Sが形成され、距離Hが短くても、覆体3の断面積
/トンネル2の断面積の比率を1.5まで大きくするこ
とが可能になる。なお、覆体3の断面形状は空間Sを十
分に確保できるものであればよく、覆体3のコーナにト
ンネルの等価半径×(10/100)程度の斜め部分が
あってもよい。
【0025】なお二点鎖線で示される断面形状が台形の
覆体103は比較のためのものであり、トンネル2の両
側の側辺103aと、トンネルの上側の上辺103b
と、側辺103aと上片103bとの間の斜辺103c
とを含む台形断面形状になっている。トンネル頂上2c
から上辺103b迄の距離は、トンネルの等価半径R×
(33/100)となっている。
【0026】図2は、模型実験により、矩形断面形状の
覆体3と台形断面形状覆体103の各々の場合について
その断面積を変更して、トンネル入口部における圧力波
の勾配の立ち上がり状態を調べたグラフ図である。な
お、模型は実物の1/34であり、実験した列車速度は
500km/hrである。また、断面積の変更は矩形断
面又は台形断面を変えずに行った。すなわち、模型の測
定条件はトンネル長さ75m、緩衝工の覆体の長さ2.
65m、緩衝工の覆体の断面積/トンネル断面積の比率
を変えた緩衝工をトンネルの入口に設け、車両模型を5
00km/hrでトンネルへ突入させた。
【0027】図2の(a−1)〜(a−4)は、覆体3
の断面積/トンネル2の断面積の比率を1.2→1.5
→1.7→2.0と変化させたものである。後に詳述す
るように、圧力波前面の勾配は、前記比率が1.2の場
合より前記比率1.5の場合が小さく、前記比率1.5
の場合で一番小さくなっている。
【0028】この圧力波前面の形状を詳細に検討する
と、前記比率が1.2と1.5の場合には、勾配は略均
一になっているものの、前記比率が1.7になると、圧
力波前面の頂上付近に急峻部Xが生じはじめ、前記比率
が2.0になると、圧力波前面の頂上付近の急峻部Xが
更に拡大している。
【0029】図2の(b−1)〜(b−4)は、覆体1
03の断面積/トンネル2の断面積の比率を1.2→
1.5→1.7→2.0と変化させたものである。(a
−1)〜(a−4)の場合と同様に、圧力波前面の勾配
は、前記比率が1.2の場合より前記比率1.5の場合
が小さく、前記比率1.5の場合で一番小さくなってい
る。
【0030】ただし、前記比率が1.2の場合から、圧
力波前面の頂上付近に急峻部Yが生じはじめており、急
峻部Yの程度は、前記比率が1.5から1.7更に2.
0と大きくなるにつれて拡大している。
【0031】この急峻部X,Yのトンネル出口の空気圧
音への影響を図3及び図4により説明する。図3は、矩
形断面の覆体3の断面積/トンネル2の断面積の比率が
1.5の場合であり、図3(a)はトンネル入口の圧力
波の形状を示し、図3(b)はトンネル出口直前の圧力
波の形状を示し、図3(c)はトンネル出口の微気圧波
を示す。トンネル出口では、図3(c)に対応するドン
音が発生する。図3(a)のように、圧力波前面の頂上
付近に目立った急峻部がない場合、この圧力波がトンネ
ル内を伝搬する内に時間軸方向に圧縮されて図3(b)
のようになる。この図3(b)の圧縮された圧力波の急
勾配部に対応する微気圧波が図3(c)のように
生じる。しかし、対応ピークと対応ピークとピー
クの高さに差が少なく、これらピークの絶対値も小さい
ため、トンネル出口のドン音を許容範囲に収めることが
できる。
【0032】図4は、台形断面の覆体103の断面積/
トンネル2の断面積の比率が1.5の場合であり、図4
(a)はトンネル入口の圧力波の形状を示し、図4
(b)はトンネル出口直前の圧力波の形状を示し、図4
(c)はトンネル出口の微気圧波を示す。図4(a)の
ように、圧力波前面の頂上付近に目立った急峻部Yがあ
る場合、この圧力波がトンネル内を伝搬する内に時間軸
方向に圧縮されて図4(b)のようになる。この図4
(b)の圧縮された圧力波の急勾配部に対応する
微気圧波が図4(c)のように生じる。特に、対応ピ
ークは対応ピークやピークに比較して大きく、ピ
ークの絶対値は図3(c)の場合に比較して相当に大き
くなっている。このため、トンネル出口において、ピ
ークに対応するドン音が発生する。
【0033】図3の本発明例と図4の比較例との対比か
ら明らかなように、覆体の断面積/トンネルの断面積の
比率を1.5前後と適切にして、圧力波前面の形状を比
較的滑らかにすることができたとしても、圧力波前面の
頂上付近に急峻部が残るとトンネル出口のドン音を小さ
くすることができなくなる。この圧力波前面の頂上付近
に急峻部の制御のために、記覆体3の上辺3bをトンネ
ル頂上2cまで距離Hを小さくすることが重要であるこ
とが判った。図示例のように、距離H=トンネル等価半
径R×(8/100)とするとその効果が顕著であり、
従来の大きな距離Hと区別できる距離H=トンネル等価
半径R×(15/100)まで、圧力波前面の頂上付近
の急峻部制御が可能であることも実験で確かめられた。
【0034】また、図1で明瞭に示されるように、距離
Hを小さくし、覆体の断面積/トンネルの断面積の比率
を1.5前後とするためには、覆体3の断面形状を矩形
とすることが好ましい。
【0035】つぎに、覆体の断面積/トンネルの断面積
の比率が適切に設定された緩衝工について説明する。覆
体の長さ、断面積とも同じ、同一形状の緩衝工の側面の
開口面積を変化させて、同型車両模型を同速度で突入さ
せて実験を行い、圧力波を測定した。この結果を図5に
示す。実線(イ)が側面の開口面積を最適にした場合
で、圧力波の圧力勾配が緩やかになっている。開口面積
を広くした破線(ロ)の場合は、(b)部の圧力上昇が
減少することにより、(c)部の傾きが立ってくる。一
方、開口面積を狭くした点線(ハ)の場合は、(b)部
の圧力上昇が増加することにより、(a)部の傾きが立
ってくる。
【0036】緩衝工の側面に設けられた開口は(b)部
の圧力波を調節することができる。この開口により、
(a)部と(c)部の圧力波を滑らかにつなぐことによ
って圧力勾配を緩やかにする機能を有するものである。
すなわち、側面の開口面積を調整することにより、空気
圧音の低減効果を上げることができる。
【0037】図2(a−1)〜(a−4)に戻り、覆体
3の断面積/トンネルの断面積の比率を1.2から2.
0に変化させた場合、圧力波の高さが比率が大きい程低
くなっていることが判る。圧力波の平均的な勾配を小さ
くするためには、前記比率が大きい程有利であるという
ことになるが、前述したように圧力波前面の頂上付近に
急峻部が残ると、この急峻部に相当するドン音が発生す
る。そのために、覆体3の開口4の面積及び位置を調整
して、圧力波前面の頂上付近に生じる急峻部を消すこと
ができるかどうかが問題となる。
【0038】そこで、覆体の断面積/トンネル断面積の
比率が2.0の緩衝工について、側面の開口面積を変化
させて実験を行い、側面の開口面積の効果を調査した。
この結果を図6に示す。なお、測定条件は前述の条件と
同じである。図6に示すように、側面の開口面積を変化
させても、圧力波の前面の(c)部の立ち上がっている
部分を緩和させることはできなかった。これは、側面開
口面積に関係なく、第2段圧力波が独立して存在するよ
うになるためである。この第2段圧力波の波面前面の勾
配により、空気圧音が決まってしまうということが判明
した。
【0039】上述した知見を突き詰めると、トンネル突
入口に設けられ、トンネル断面積より大きな断面を有す
る覆体と、前記覆体の側面に設けられた開口とからなる
トンネル用緩衝工の最適化する場合には、前記緩衝工の
入口で生じる第1段圧力波と、前記トンネルの突入口で
生じる第2段圧力波とをなめらかに連続させるために前
記開口を適切に選定する際に、前記開口の選定によって
前記第2段圧力波の勾配が小さくできる限界まで、覆体
の断面積/トンネルの断面積の比率が大きくすることが
重要であることが判る。
【0040】(c)部の圧力波の圧力勾配及び圧力波の
圧力最大値と、覆体の断面積/トンネルの断面積の比率
と関係を整理し、これを図7に示す。(c)部の第2段
圧力波の圧力勾配は断面積の比率が1.5で極小値を示
す。その後、断面積の比率の増加とともに、圧力勾配は
大きくなる。(c)部の圧力波の圧力勾配を小さくする
ためには、前記断面積の比率を従来標準とされてきた
1.55を下回る必要がある。結局、圧力波の圧力勾配
を緩和させるためには、覆体の断面積/トンネル断面積
の比率を1.45を越え1.55未満にする必要があ
る。好ましくは1.47〜1.53、更に好ましくは
1.49〜1.51の間にする。
【0041】
【発明の効果】請求項1又は2の発明にあっては、圧力
波前面の頂上付近の形がストレートに近くなり、この頂
上付近に生じやすい急峻部がなくなり、この急峻部によ
る出口微気圧波音(ドン音)がなくなり、圧力波全体の
勾配で決まるドンしか生じず、緩衝工の諸元を適切にし
て、トンネル出口の空気圧音を低減することができると
いう効果を奏する。
【0042】請求項3の発明にあっては、覆体の断面積
/トンネルの断面積の比率を1.5付近に最適化するこ
とよって,圧力波の最大圧力を下げるとともに、開口の
面積を適切にして第1段圧力波と第2段圧力波を連続し
たものにし、これらの相乗効果で圧力波の勾配を減少さ
せるため、前記比率が1.45又は1.55の標準に比
較して緩衝工の長さを短くすることができるという効果
を有する。例えばリニア新幹線のように、トンネル自体
が新設される場合には、前記比率が最適になるようなト
ンネル及び緩衝工の設計が可能になるため、本発明が有
効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の緩衝工の断面形状を示す正面図であ
る。
【図2】緩衝工断面形状とトンネル入口部勾配圧力の関
係を示すグラフ図である。
【図3】本発明の矩形断面の緩衝工におけるトンネル出
口の空気圧音の発生を示す図である。
【図4】比較例の台形断面の緩衝工におけるトンネル出
口の空気圧音の発生を示す図である。
【図5】緩衝工の覆体の側面の開口面積の効果を示す図
である。
【図6】緩衝工の覆体の断面積変化による圧力波の変化
を示す図である。
【図7】圧力波の圧力勾配及び圧力波の最圧力大値と、
覆体の断面積/トンネルの断面積の比率との関係を示す
グラフ図である。
【図8】従来の緩衝工を示す図である。
【図9】従来の緩衝工の作動を示す図である。
【符号の説明】
1 列車 2 トンネル 2a トンネル頂上 3 覆体 3a 側辺 3b 上辺 4 開口 5 緩衝工 L 覆体の長さ H トンネル頂上から覆体上辺迄の距離 R トンネルの等価半径 S1 トンネルの断面積 S2 覆体の断面積
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 織田 剛 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 林 信輝 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 名倉 隆雄 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 東海旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 大石 峰生 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 東海旅客鉄道株式会社内 (72)発明者 宮本 雅章 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 東海旅客鉄道株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネル突入口に設けられ、トンネル断
    面積より大きな断面を有する覆体と、前記覆体の側面に
    設けられた開口とからなるトンネル用緩衝工であって、 前記トンネルの頂上から前記覆体の上辺までの距離H
    を、トンネル断面形の等価半径R×(15/100)以
    下まで接近させたことを特徴とするトンネル用緩衝工。
  2. 【請求項2】 トンネル突入口に設けられ、トンネル断
    面積より大きな断面を有する覆体と、前記覆体の側面に
    設けられた開口とからなるトンネル用緩衝工であって、 前記覆体の断面形状が、前記トンネルの両側の側辺と、
    前記トンネルの上側の上辺を含む矩形断面になってお
    り、前記覆体の上辺を前記トンネル頂上まで接近させた
    ことを特徴とするトンネル用緩衝工。
  3. 【請求項3】 トンネル突入口に設けられ、トンネル断
    面積より大きな断面を有する覆体と、前記覆体の側面に
    設けられた開口とからなるトンネル用緩衝工において、 前記覆体の断面積/前記トンネルの断面積の比率が1.
    45を越え、1.55未満であり、 前記覆体の長さが前記トンネルの等価半径の7倍以上で
    あって、列車速度が350km/hr以上に対応するも
    のであることを特徴とするトンネル用緩衝工。
JP6018996A 1996-02-21 1996-02-21 トンネル用緩衝工 Pending JPH09228784A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100355946B1 (ko) * 1999-12-24 2002-10-12 주식회사 제일엔지니어링 개착터널 시공방법
JP2019206816A (ja) * 2018-05-28 2019-12-05 公益財団法人鉄道総合技術研究所 トンネル緩衝工の微気圧波低減構造
JP2021059867A (ja) * 2019-10-04 2021-04-15 公益財団法人鉄道総合技術研究所 トンネル緩衝工の最適開度設定方法とその最適開度設定装置
JP2022072259A (ja) * 2020-10-29 2022-05-17 公益財団法人鉄道総合技術研究所 トンネル緩衝工の性能評価方法とその性能評価装置

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