JP3475267B2 - トンネル入口緩衝工の開口部構造 - Google Patents

トンネル入口緩衝工の開口部構造

Info

Publication number
JP3475267B2
JP3475267B2 JP15434198A JP15434198A JP3475267B2 JP 3475267 B2 JP3475267 B2 JP 3475267B2 JP 15434198 A JP15434198 A JP 15434198A JP 15434198 A JP15434198 A JP 15434198A JP 3475267 B2 JP3475267 B2 JP 3475267B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
opening
train
buffer
tunnel
micro
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP15434198A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11350882A (ja
Inventor
浩二 中谷
剛 井手
雅宣 飯田
伸亮 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Railway Technical Research Institute
West Japan Railway Co
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
West Japan Railway Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Railway Technical Research Institute, West Japan Railway Co filed Critical Railway Technical Research Institute
Priority to JP15434198A priority Critical patent/JP3475267B2/ja
Publication of JPH11350882A publication Critical patent/JPH11350882A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3475267B2 publication Critical patent/JP3475267B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Devices Affording Protection Of Roads Or Walls For Sound Insulation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、列車が高速でトン
ネルへ突入する際に発生する微気圧波が、列車の突入す
る側の緩衝工壁に設けた開口部のみでは、列車の突入速
度や先頭形状に影響を受けてその低減効果が十分に図れ
なくなるので、これらの影響を受けることなく、微気圧
波を低減することのできるトンネル入口緩衝工の開口部
構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、列車が高速でトンネルへ突入する
と、トンネル内に圧縮波が発生し、トンネル内を音速で
伝播してトンネル出口側より外部へ放射される。この放
射された微気圧波は、低周波の空気振動であり、近辺の
建物の窓や戸を振動させるという環境問題があった。こ
の微気圧波は、従来からよく知られており、トンネル出
口側に到達する圧縮波の波面の圧力勾配にほぼ比例し、
この圧力勾配が大きい程、空気振動も大きくなるという
性質がある。しかも、圧縮波の波面の圧力勾配は、列車
がトンネル内へ突入する速度Vの3乗〜10乗に比例す
るという性質があることも既知である。
【0003】そのため、従来では、図6に示すように、
トンネル入口側に、開口面積の大きさがトンネル断面積
の1.4倍〜1.55倍程度の断面積を持つフード形状
の構造物(以下は、緩衝工という)1を設置している。
そして、この緩衝工1の列車2が突入する側の壁面3の
上下方向の中央部に、緩衝工1の断面積と長さ及び突入
する列車2の先頭形状、速度等から決められた最適面積
(面積の大きさは固定式である)を有する窓(開口部)
5及び6を開設している。開口部5及び6を列車が突入
する側の緩衝工壁面3へ設ける理由は、上り線及び下り
線の双方を一つのトンネル内に敷設する複線用のトンネ
ルにあっては、列車のトンネル内への突入はトンネル入
口に対して偏心して行われる。そのため、微気圧波の対
策である開口部5及び6は、列車の突入する側に最も近
い緩衝工壁面3へ設けるようにしていた。開口部5及び
6の効果は、列車2がトンネルよりひとまわり大きい緩
衝工1に先ず突入し、続いて緩衝工1からトンネル内へ
突入することにより、微気圧波の形成を2段階にし、ト
ンネル突入時の圧縮波の波面の圧力勾配をトンネル入口
側で低減させるようにしている。また列車2が緩衝工1
へ突入するときに発生する圧縮波の一部を、緩衝工1の
開口部5及び6から逃がし、圧縮波の波面の圧力勾配を
緩やかなものにしている。これらの効果により、圧縮波
がトンネル内を音速で伝播してトンネル出口側で放射さ
れる際に生じる低周波の空気振動(微気圧波)を低減さ
せるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記微気圧
は、高速で突入する列車2の速度と、その先頭形状に影
響を受けるものであり、新幹線車両の種類が少なかった
従来は、緩衝工1の開口部5及び6の大きさが固定であ
っても、例えば、270Km/hで走行する300系の
新幹線に対応した大きさの開口部5及び6としておけ
ば、270Km/h以下の速度で走行するその他の0系
や100系の新幹線にも対応でき、微気圧波の十分な低
減効果が得られていた。
【0005】ところが、最近は、300Km/hで走行
する500系の高速新幹線が営業運転を既に開始してお
り、また700系の高速新幹線も既に試験走行が開始さ
れ、近いうちに営業運転を開始する予定である。このよ
うに、500系や700系の高速新幹線の場合は、列車
速度が非常に高速であり、そのために列車2の先頭のノ
ーズ部分の長さも300系の6mに比較して15mを越
える等の相当にロングなノーズ形状となっている。その
ため、300系の新幹線に対応して設けた緩衝工1の開
口部構造では、500系や700系の高速新幹線又は今
後開発される高速新幹線に対応することができず、これ
らの高速新幹線がトンネル内へ突入した場合には、緩衝
工1によって十分な微気圧波の低減効果が得られないと
いう問題があった。
【0006】また前記従来の緩衝工1の開口部5及び6
は、その開口面積の大きさが微調整はできるものの可動
範囲の小さい固定式のものが多く、厳密には一種類の新
幹線にしか対応することができないという問題もあっ
た。しかも、従来では固定式の開口部5及び6を列車2
の突入する側の緩衝工壁面3に設ける場合がほとんどで
あり、列車の突入する側とは反対側の壁面4へは開口部
を形成していなかった。このように、列車2の突入する
側の壁面3にのみ開口部5及び6を設けた場合は、開口
部5及び6の間近をトンネルへ突入する列車2が通過
し、列車2の先頭形状に応じて圧縮された空気が当該開
口部5及び6を通じて外へ逃げることによって圧縮波の
波面の圧力勾配を低減させる構造上、圧縮波の波面の圧
力勾配が列車2の先頭形状に敏感に作用し、微気圧波の
低減効果が列車2の先頭形状に大きく影響を受けるよう
になる。そのため、開口部5及び6を設置する際に、現
地で開口部5及び6の大きさを、列車の先頭形状に対応
させるべく微調整しなければならないが、そのための調
整作業は一瞬のうちに通過する新幹線の実際の走行の中
で、開口部面積を試行錯誤しながら行わなければなら
ず、極めて困難なものであった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来の前記課
題に鑑みてこれを改良除去したものであって、列車の先
頭形状や突入速度に影響を受けることなく、微気圧波の
低減効果を得ることができ、また開口部の調整作業も容
易な緩衝工の開口部構造を提供せんとするものである。
【0008】而して、前記課題を解決するために本発明
が採用した請求項1の手段は、先頭形状の異なる列車及
びトンネルへの突入速度の異なる列車が高速で複線用の
トンネルへ突入する際に発生する微気圧波を低減させる
ために複線用のトンネル入口側に設けたフード形状の緩
衝工であって、列車突入側の緩衝工壁に小さな開口面積
の開口部を形成し、列車突入の反対側の緩衝工壁に大き
な開口面積の開口部を形成している。列車突入の反対側
の緩衝工壁に開口部を設けた場合は、列車の先頭形状に
拘らず、微気圧波の波形がそれほど敏感に変化しないた
め、比較的大きな面積をもつ開口部で、300系、50
0系等の異なる全ての新幹線車両の先頭形状に開口部を
最適化することが可能である。また列車突入側の緩衝工
壁に設けた小さな開口部により、圧縮された空気を逃が
すことができ、前記微気圧波の低減効果に加えて、微気
圧波を更に低減させることが可能である。
【0009】本発明が採用した請求項2の手段は、開口
部の開口面積が可変であることを特徴とする請求項1に
記載のトンネル入口緩衝工の開口部構造である。開口部
の開口面積を可変とすることにより、現場での調整作業
が容易となる。これは、微気圧波の大きさが列車の突入
速度と、先頭形状の要素以外にも、緩衝工の大きさ、長
さ、現地の環境等によっても多少の影響を受けるので、
現地での微調整を必須とするからである。
【0010】本発明が採用した請求項3の手段は、列車
突入の反対側の緩衝工壁に設けた開口部は、緩衝工の長
さ10mに対して4〜11m2 の開口面積を有している
請求項1又は2に記載のトンネル入口緩衝工の開口部構
造である。これは、4m2 に満たない場合は、微気圧の
形成をただ2段階にする効果しかなく、微気圧波の形成
を最適化し、緩衝工による最大限の低減効果を得ること
ができないからである。つまり、緩衝工自体がトンネル
と同じ構造となり、緩衝工での微気圧波の低減効果が得
られないからである。また11m2 を越える場合は、開
口部の大きさが大きくなり過ぎて、緩衝工がないのと同
じ状態となるためである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の最適な実施の形態にあっ
ては、列車突入側の緩衝工壁に小さな開口面積の開口部
を形成し、列車突入の反対側の緩衝工壁に大きな開口面
積の開口部を形成している。そして、各開口部をスライ
ド自在な引き戸式にしている。これにより、各開口部の
設置位置と開口面積の微調整が戸板をスライドさせるだ
けで行えるようになり、各開口部の開口面積を現場の状
況に最も適した大きさに極めて簡単に行うことが可能で
ある。
【0012】300系や500系等の高速新幹線の列車
が緩衝工へ突入すると、緩衝工内の空気が列車の先頭部
によって圧縮されるようになる。列車突入側の開口部
が、列車の先頭形状に敏感に作用することから、一種類
の車両に対しては従来の方法で微気圧波を最適にするこ
とができたが、新幹線車種の増加に伴い、先頭形状の違
いによる緩衝工開口部の形状はそれぞれ異なって形成さ
れる必要があり、従来の方法ではこれに対処することが
できない。その反面、本実施の形態のように列車突入側
の反対側の緩衝工壁に大きな開口部を設けた場合には、
列車の先頭形状に拘らず、波形がそれほど敏感に変化し
なくなり、比較的大きな面積をもつ開口部で、300
系、500系等の異なる新幹線車両の全ての先頭形状に
開口部を最適化することが可能である。
【0013】また列車が突入する側の緩衝工壁に微調整
が可能な小さな開口部を形成し、圧縮された空気を逃が
すようにしている。これによっても、微気圧波を低減さ
せることが可能である。この突入側の緩衝工壁に設けた
開口部は、その間近をトンネルへ突入する列車が通過
し、列車の先頭形状に応じて圧縮された空気がこの開口
部を通じて外へ逃げることによって圧縮波の波面の圧力
勾配を低減させる構造上、圧縮波の波面の圧力勾配が列
車の先頭形状に敏感に作用し、微気圧波の低減効果も列
車の先頭形状に大きく影響を受けるようになる。そのた
め、列車突入側の開口部の場合は、これを設置する際
に、現地でその大きさを、列車の先頭形状に対応させる
べく微調整しなければならない。本発明では、最も効率
の良い、開口面積となるように戸板をスライドさせて微
調整するようにし、その調整作業の簡略化を実現してい
る。
【0014】
【実施例】図1〜図4は、本発明の第1〜第4の実施例
を示すものであり、図5は比較例としての従来技術を示
すものである。各図の図(A)は列車が突入する側の緩
衝工1の壁面3を平面的に表した図面、各図の図(B)
は列車が突入する側とは反対側の緩衝工1の壁面4を平
面的に表した図面である。また各図の図(C)及び図
(D)は模型実験による微気圧波の測定データを示すも
のであり、図(C)は500系の新幹線列車の場合、図
(D)は300系の新幹線の場合である。ただし、測定
データの縦軸の数値の単位(Pa)と横軸の数値の単位
(ms)は、模型実験による測定データを、所定の方式
に基づいて実際の新幹線走行の場合に換算した値であ
る。
【0015】図1の図(A)に示すように、第1の実施
例にあっては、緩衝工1の列車が突入する側の壁面3
に、トンネル入口から1.2m手前側の位置に長さ1.
0mで高さ1.6mの大きさの小さな開口部7を形成し
ている。そして、図(B)に示すように、緩衝工1の列
車が突入する側とは反対側の壁面4に、トンネル入口側
から3.5m手前側の位置に長さ6.2mで高さ1.6
mの大きな開口部8を形成している。500系新幹線の
模型実験では、同図の図(C)に示すように、列車が3
02Km/hの速度で緩衝工1及びトンネルへ突入した
ときにトンネル出口側で発生した微気圧波は、緩衝工1
の効果を最大限に活用した理想的な台形波形となり、そ
の最高値は44.0Paであった。また同図の図(D)
に示すように、300系新幹線の模型実験では、突入速
度が252Kmのときに発生した微気圧波の最高値は4
5.0Paであった。
【0016】これは、列車突入側の緩衝工壁面3にだけ
開口部5及び6を設ける従来技術について(図5の図
(A)及び図(B)を参照)、同様の模型実験を行った
場合に比較して見ると、顕著な効果が得られていること
がわかる。すなわち、図5の図(C)に示すように、5
00系の新幹線模型実験では、突入速度が300Km/
hのときに発生した微気圧波は、第1波が第2波に比べ
てはるかに大きく、その最大値は62.0Paであっ
た。また同図の図(D)に示すように、300系の新幹
線模型実験では、突入速度が263Km/hのときに発
生した微気圧波は、65.2Paであった。従って、図
1に示す実施例では、この従来の場合に比較して500
系新幹線の場合で微気圧波を71.0%に低減できてお
り、300系新幹線の場合で69.0%に低減すること
ができたことになる。
【0017】図2は、本発明の第2の実施例に係るもの
である。第1の実施例と異なるところは、同図の図
(B)に示すように、列車突入側とは反対側の緩衝工壁
面4に設けた開口部8が、トンネル入口から1.2m手
前側へ離れた位置から形成されるようにしたことであ
る。その他の構成並びに基本的な作用効果は、前記第1
の実施例の場合と同じである。この第2の実施例の模型
実験結果は、500系新幹線の場合が、同図の図(C)
に示す通りであり、列車が294Km/hの速度で突入
したときに発生した微気圧波の最大値は45.5Paで
あった。これは、従来の場合に比較して73.4%に低
減できたことになる。一方、300系新幹線の場合は、
同図の図(D)に示す通りであり、列車が257Km/
hの速度で突入したときに発生した微気圧波の最高値は
50.5Paであり、従来の場合に比較して77.5%
に低減できたことになる。また図1及び図2の実施例か
ら明らかなことは、列車突入側の反対側の緩衝工壁面4
に設けた大きな開口部8の位置によって、微気圧波の低
減効果はそれ程大きく変わっておらず、このことから、
開口部8はその開口面積の比率が重要であることが推測
される。
【0018】図3は、本発明の第3の実施例に係るもの
である。第1の実施例と異なるところは、同図の図
(A)に示すように、突入側の緩衝工壁面3に設けた開
口部7の位置をトンネル入口から遠く離れるようにした
ことと、開口部7の長さを2.2mにしたことにある。
この場合の開口部7は、トンネル入口から手前側へ9.
7m離れた位置に形成されている。この第3の実施例の
模型実験結果は、図3の図(C)及び図(D)に示す通
りである。すなわち、500系新幹線の場合は、同図の
図(C)に示す通りであり、列車が299Km/hの速
度で突入したときに発生した微気圧波の最大値は56.
0Paであった。これは、従来の場合に比較して90.
3%に低減できたことになる。また300系新幹線の場
合は、同図の図(D)に示す通りであり、列車が262
Km/hの速度で突入したときに発生した微気圧波の最
高値は56.0Paであり、従来の場合に比較して8
5.9%に低減できたことになる。
【0019】この図3の実施例と図1及び図2の実施例
からは次のことが明らかである。すなわち、列車突入側
の緩衝工壁面3に設けた小さな開口部7は、その位置に
よって微気圧波の低減効果に大きく影響しているという
ことである。しかも、開口部7の位置は、トンネル入口
側に近い方が微気圧波の低減効果に優れているというこ
とである。
【0020】図4は、本発明の第4の実施例に係るもの
である。この実施例では、図(A)及び図(B)に示す
ように、列車突入側の緩衝工壁面3には開口部を設けず
に全閉とし、列車突入側とは反対側の緩衝工壁面4の開
口部8を図2に示す実施例の場合と同じ位置に設けてい
る。この第4の実施例の模型実験結果は、図4の図
(C)及び図(D)に示す通りである。500系新幹線
の場合は、同図の図(C)に示す通りであり、列車が2
94Km/hの速度で突入したときに発生した微気圧波
の最高値は52.0Paであった。これは、従来の場合
に比較して83.9%に低減できたことに相当する。ま
た300系新幹線の場合は、同図の図(D)に示す通り
であり、列車が258Km/hの速度で突入したときに
発生した微気圧波の最高値は53.5Paであり、従来
の場合に比較して82.1%に低減できたことになる。
【0021】また本発明は前記各実施例に限定されるも
のではなく、適宜の変更が可能である。例えば、前記各
実施例の緩衝工1の長さは、全て13.2mの場合を説
明したが、実際のトンネル入口に設置される緩衝工1の
長さは、現地の周囲の環境等に応じて異なり、10〜3
0mの範囲で設けられるのが現実である。そのため、列
車突入側とは反対側の緩衝工壁面4に設置する開口部8
の大きさも、緩衝工1の長さに対応して変更することが
必要である。模型実験によれば、緩衝工1の長さが10
〜15mの範囲にあるときは、開口部8の長さは緩衝工
1の長さの50〜80%の範囲にあれば、微気圧波の低
減効果があることがわかった。また緩衝工1の長さが2
0mの場合は、開口部8の長さは緩衝工1の長さの40
〜50%の範囲にあればよいことがわかった。更に、緩
衝工1の長さが30mの場合は、開口部8の長さは緩衝
工1の長さの20〜50%の範囲にあればよいことがわ
かった。
【0022】更にまた、列車突入側とは反対側の緩衝工
壁面4に設けられる開口部8は、その開口面積の大きさ
も微気圧波の低減効果に影響を与えることが模型実験で
わかっている。実験によれば、開口部8の開口面積は、
緩衝工1の長さ10mに対して4〜11m2 の範囲にあ
れば、微気圧波の大きな低減効果があることがわかって
いる。更には、開口部8は、前記長さと開口面積との関
係にあればよく、分割された開口部であってもよい。例
えば、開口部8の途中に柱が設けられるものであっても
よい。この場合に、開口部8がスライド自在な戸板方式
であれば、その開口面積の調整は極めて容易である。
【0023】一方、列車突入側の緩衝工壁面3に設けら
れる開口部7は、トンネルの入口から1〜2m手前側へ
離れて、長さが0〜3m、高さが1〜2m、開口部下端
縁の地上からの高さが1〜2mのものを設ければよいこ
とが、模型実験の結果から明らかとなった。またこの開
口部7の場合もスライド自在な戸板方式にすれば、現地
での調整作業が容易である。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように本発明にあっては、
列車突入側の緩衝工壁に小さな開口面積の開口部を形成
し、列車が突入する側とは反対側の緩衝工壁に、大きな
開口面積の開口部を形成したから、列車の先頭形状に拘
らず、波形がそれほど敏感に変化しなくなり、比較的大
きな面積をもつ開口部で、300系、500系等の異な
る新幹線車両の全ての先頭形状及び列車の異なる突入速
に開口部を最適化することが可能である。つまり、新
幹線車両ごとに開口部の大きさを設定する必要がなく、
しかも、優れた微気圧波の低減効果を得ることが可能で
ある。
【0025】また本発明にあっては、列車突入側に設け
た開口部及び突入側とは反対側に設けた開口部の開口面
積を、スライド自在な戸板方式等によって可変としてお
り、現場での開口面積の微調整作業が容易である。これ
は、微気圧波の大きさが列車の突入速度と、先頭形状の
要素以外にも、緩衝工の大きさ、長さ、現地の環境等に
よっても多少の影響を受けるので、極めて重要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るものであり、図
(A)は列車突入側の緩衝工壁面の開口部を示す図面、
図(B)は列車突入側とは反対側の緩衝工壁面の開口部
を示す図面、図(C)は500系新幹線の模型実験によ
る微気圧波を示す図面、図(D)は300系新幹線の模
型実験による微気圧波を示す図面である。
【図2】本発明の第2の実施例に係るものであり、図
(A)は列車突入側の緩衝工壁面の開口部を示す図面、
図(B)は列車突入側とは反対側の緩衝工壁面の開口部
を示す図面、図(C)は500系新幹線の模型実験によ
る微気圧波を示す図面、図(D)は300系新幹線の模
型実験による微気圧波を示す図面である。
【図3】本発明の第3の実施例に係るものであり、図
(A)は列車突入側の緩衝工壁面の開口部を示す図面、
図(B)は列車突入側とは反対側の緩衝工壁面の開口部
を示す図面、図(C)は500系新幹線の模型実験によ
る微気圧波を示す図面、図(D)は300系新幹線の模
型実験による微気圧波を示す図面である。
【図4】本発明の第4の実施例に係るものであり、図
(A)は列車突入側の緩衝工壁面を示す図面、図(B)
は列車突入側とは反対側の緩衝工壁面の開口部を示す図
面、図(C)は500系新幹線の模型実験による微気圧
波を示す図面、図(D)は300系新幹線の模型実験に
よる微気圧波を示す図面である。
【図5】従来技術に係るものであり、図(A)は列車突
入側の緩衝工壁面の開口部を示す図面、図(B)は列車
突入側とは反対側の緩衝工壁面を示す図面、図(C)は
500系新幹線の模型実験による微気圧波を示す図面、
図(D)は300系新幹線の模型実験による微気圧波を
示す図面である。
【図6】従来の緩衝工を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…緩衝工 2…列車 3…列車突入側の緩衝工壁面 4…列車突入側の
反対側の緩衝工壁面 7…突入側緩衝工壁面の開口部 8…反対側の緩衝
工壁面の開口部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯田 雅宣 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 山内 伸亮 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (56)参考文献 特開 平5−113093(JP,A) 特開 平8−135381(JP,A) 特公 昭55−31274(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 9/14 E01F 8/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先頭形状の異なる列車及びトンネルへの突
    入速度の異なる列車が高速で複線用のトンネルへ突入す
    る際に発生する微気圧波を低減させるために複線用のト
    ンネル入口側に設けたフード形状の緩衝工であって、列
    車突入側の緩衝工壁に小さな開口面積の開口部を形成
    し、列車突入の反対側の緩衝工壁に大きな開口面積の開
    口部を形成したことを特徴とするトンネル入口緩衝工の
    開口部構造。
  2. 【請求項2】開口部の開口面積が可変であることを特徴
    とする請求項1に記載のトンネル入口緩衝工の開口部構
    造。
  3. 【請求項3】列車突入の反対側の緩衝工壁に設けた開口
    部は、緩衝工の長さ10mに対して4〜11m2 の開口
    面積を有している請求項1又は2に記載のトンネル入口
    緩衝工の開口部構造。
JP15434198A 1998-06-03 1998-06-03 トンネル入口緩衝工の開口部構造 Expired - Fee Related JP3475267B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15434198A JP3475267B2 (ja) 1998-06-03 1998-06-03 トンネル入口緩衝工の開口部構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15434198A JP3475267B2 (ja) 1998-06-03 1998-06-03 トンネル入口緩衝工の開口部構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11350882A JPH11350882A (ja) 1999-12-21
JP3475267B2 true JP3475267B2 (ja) 2003-12-08

Family

ID=15582042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15434198A Expired - Fee Related JP3475267B2 (ja) 1998-06-03 1998-06-03 トンネル入口緩衝工の開口部構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3475267B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100446644B1 (ko) * 2000-10-31 2004-09-04 한국철도기술연구원 연속터널용 미기압파 저감 슬릿커버셀터
JP4555560B2 (ja) * 2003-11-25 2010-10-06 東日本旅客鉄道株式会社 トンネル緩衝工
JP6175351B2 (ja) * 2013-10-30 2017-08-02 公益財団法人鉄道総合技術研究所 緩衝工から放射するトンネル微気圧波の予測方法
CN104131816B (zh) * 2014-06-20 2019-02-12 上海建工五建集团有限公司 一种运营中地铁隧道地下墙开门洞的施工方法
JP6737690B2 (ja) * 2016-11-15 2020-08-12 東日本旅客鉄道株式会社 微気圧波低減装置
JP7145570B2 (ja) * 2019-10-04 2022-10-03 公益財団法人鉄道総合技術研究所 トンネル緩衝工の最適開度設定方法とその最適開度設定装置
JP7308804B2 (ja) * 2020-10-29 2023-07-14 公益財団法人鉄道総合技術研究所 トンネル緩衝工の性能評価方法とその性能評価装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11350882A (ja) 1999-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3475267B2 (ja) トンネル入口緩衝工の開口部構造
JPH02289451A (ja) 車両用防音窓ガラス
Künstner et al. The aero-acoustic wind tunnel of Stuttgart University
Watkins et al. The flow field of automobile add-ons—with particular reference to the vibration of external mirrors
KR100331955B1 (ko) 철도터널 미기압파 저감용 통풍공형 후드
CN208999363U (zh) 声学传感器阵列保护装置及系统
JP4220716B2 (ja) 緩衝工
George et al. Aerodynamic noise of ground vehicles
George Automobile aeroacoustics
Yamamoto et al. Improving maglev vehicle characteristics for the Yamanashi test line
KR100365955B1 (ko) 철도터널 미기압파 저감용 경사갱구형 후드
JPH08297048A (ja) 空力騒音の評価方法
KR100331954B1 (ko) 철도터널 미기압파 저감용 슬릿후드
KR100387520B1 (ko) 철도터널 미기압파 저감용 슬릿후드
KR100377553B1 (ko) 철도터널 미기압파 저감용 경사갱구 및 슬릿커버 조합형후드
JPS61169374A (ja) 車室内騒音防止装置
KR100422201B1 (ko) 연장 0.25킬로미터급 철도터널의 미기압파 저감용 후드
JP3156219B2 (ja) 車内騒音の評価方法
JPH05321592A (ja) 消音トンネル
JPH0689637B2 (ja) トンネル微気圧波低減装置
KR100477149B1 (ko) 미기압파 저감용 등간격 수직 통풍공 터널
Behar Measurement of noise inside truck cabins
JP6912396B2 (ja) 鉄道車両
JP2589839Y2 (ja) パンタグラフの防風カバー及び空力音低減構造
Sato et al. Practical use of an additional noise barrier for high speed train

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100926

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100926

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 8

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120926

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130926

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D03

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees