JP5288493B2 - 圧力波の予測演算装置とその予測演算方法及びその予測演算プログラム - Google Patents

圧力波の予測演算装置とその予測演算方法及びその予測演算プログラム Download PDF

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Description

この発明は、管路の開口端から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を予測演算する圧力波の予測演算装置とその予測演算方法、及びその予測演算プログラムに関する。
図6は、トンネルに列車が突入するときに坑口から外部に放射する圧力波の概念図である。
図6に示すように、列車101がトンネル103の坑口103aに突入すると列車101の前方のトンネル103内に圧縮波W1が発生し、この圧縮波W1がトンネル103内を伝播する。その結果、パルス状の圧力波(トンネル微気圧波)W2が突入側の坑口103aとは反対側の坑口103bから外部に放射する。この圧力波W2は、坑口103b付近で衝撃音を発生させたり、坑口103b付近の家屋の建具などを揺らしたりして、環境問題を引き起こす場合がある。このため、この圧力波W2を低減するトンネル緩衝工を、列車101が突入する突入側の坑口103aに設置したり、列車101の列車先頭部の形状を先鋭化したりするなどの対策がなされている。
図6に示すように、列車101がトンネル103の坑口103aに突入すると反対側の坑口103bから放射される圧力波W2だけではなく、20Hz未満を主成分とする圧力波(突入波)W3が突入側の坑口103aから外部に放射される。この圧力波W3は、圧力波W2と同様に坑口103a付近の家屋の建具などを揺らすなどの環境問題を引き起こす場合がある。この圧力波W3は、振幅が列車101の速度の3乗に略比例し、坑口103aから観測点までの距離に略反比例するような特性を有し、新幹線などの高速鉄道では環境に与える影響が大きくなる。また、この圧力波W3は、列車101の移動方向に対して前後方向で強さが異なり(指向性があり)、坑口103aの明り側よりもトンネル103側に強く放射される。例えば、列車先頭部が坑口103aに突入すると、先頭車両の運転席から見て前側のほうが後側よりも圧力波W3が強く放射される。このため、坑口103aから外部に向かって斜め側壁を設置したり、フランジ部やフレア部を坑口103aに設置したり、複線トンネル緩衝工の側壁にスリット状の開口部を設置したりして、圧力波W3を低減するトンネル圧力波低減構造が知られている。
従来、この圧力波W2を予測する方法が提案されている。従来のトンネル内の圧縮波の伝播予測方法は、実際のトンネル内にこのトンネルの長さ方向に沿って所定の間隔をあけて複数の圧力センサを設置し、トンネル内に高速で列車が突入したときに発生する圧縮波をこれらの圧力センサによって測定し、これらの圧力センサの測定結果から横軸を入口圧力勾配とし縦軸を出口勾配とするグラフを生成し、実測データよりも早い高速でトンネルに突入したときの圧力伝播を実際の測定データに基づいて予測している(例えば、特許文献1参照)。この従来のトンネル内の圧縮波の伝播予測方法では、圧力センサの測定結果に基づいて横軸を入口圧力勾配とし縦軸を出口圧力勾配とするグラフを生成して曲線を描き、これらの圧力センサによる実測データよりも早い高速で列車がトンネルに突入したときの圧力勾配の増加をこの曲線に基づいて予測している。
特開平9-228786号公報
図6に示す圧力波W2の放射は、トンネル103内部からの圧縮波W1の伝播と、この圧縮波W1の坑口103bの開口端反射と、圧力波W2の観測点までの伝播との三段階に分かれる。このため、図6に示す圧力波W2を予測する場合には、トンネル103の坑口103aに列車101が突入したときに反対側の坑口103bに到達した圧縮波W1と圧力波W2の波形との関係(伝達関数)を求めることが重要である。従来、このような圧力波W2を予測する場合には、地図の等高線から得られた放射立体角と圧縮波W1の圧力勾配最大値を関連付けている。しかし、この手法では、圧力波W2の指向性が無視されて、一般の地形において放射立体角を一意に定義することが困難であるとともに、複雑な地形のときに圧力波W2は山岳などによる反射波の影響を受けるにもかかわらず、この反射波の影響を演算することが困難であり、圧力波W2を正確に予測できない問題点がある。また、従来、このような圧力波W2を予測する場合に、有限差分法(Finite Difference Method(FDM))や境界要素法(Boundary Element Method(BEM))などを使用してシミュレーションを用いていた。しかし、有限差分法を使用する手法では、トンネル103内及び三次元の地形条件を計算するために多大な時間を要する問題点がある。境界要素法を使用する手法では、トンネル103の坑口103bに到達した圧縮波W1の開口端反射を計算するために、トンネル103内での圧縮波W1の挙動を計算する必要があるため、多くのパネルを設定する必要があり、多大な計算負荷がかかり圧力波W2を容易に予測することが困難になる問題点がある。
一方、従来、このような圧力波W2を予測する場合に、現場作業で伝達関数を決定するときには、トンネル103内に圧力計を設置してこのトンネル103外の観測点で圧力波W2を観測する必要がある。例えば、トンネル103内でインパルス音源によって圧力波を発生させて、このトンネル103内の圧縮波W1の開口端反射、圧力波W2の放射及び圧力波W2の伝播の3つのステージを経て、トンネル103外の観測点で圧力波W2を観測する手法がある。また、例えば、実際のトンネル103内を新幹線が走行したときに発生する圧縮波W1と圧力波W2とを直接観測する手法がある。しかし、これらの手法では、トンネル103内で圧力センサを設置しトンネル103外で観測するような手間のかかる作業が必要になり、作業時間が新幹線の走行していない夜間に限られてしまう問題点がある。
この発明の課題は、管路の開口端から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を高精度に予測演算することができるとともに、計算負荷や作業負荷を軽減することができる圧力波の予測演算装置とその予測演算方法及びその予測演算プログラムを提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1、図2及び図4に示すように、管路(3)の開口端(3b)から外部に放射されて観測点(P1)に到達する圧力波(W2)の波形を予測演算する圧力波の予測演算装置であって、前記管路内から前記開口端に到達する圧縮波(W1)の圧力勾配波形と、この開口端から外部に放射される圧力波の波形とを関連付けるグリーン関数を演算する関数演算部(5e)を備え、前記関数演算部は、前記開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置(5)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の圧力波の予測演算装置において、前記関数演算部は、前記開口端から外部に放射される圧力波の波長が前記管路の直径よりも大きく低周波とみなせるときに、この開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の圧力波の予測演算装置において、前記関数演算部は、前記点音源を単極子と二重極子との重ね合わせとして前記グリーン関数を演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項4の発明は、請求項3に記載の圧力波の予測演算装置において、前記関数演算部は、前記開口端の中心に対応する原点に単極子又は二重極子が存在するときの線形波動方程式を、与えられた地形条件から決まる境界条件のもとで満たす前記グリーン関数を演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項5の発明は、請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、前記関数演算部は、前記点音源を単極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波とがこの開口端に励起する流量とこの単極子からの湧き出し流量とを等値してこの単極子の大きさを演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項6の発明は、請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、前記関数演算部は、前記点音源を二重極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波との開口端補正量分の位相差による力の大きさにより規定される二重極子としてこの二重極子の大きさを演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、前記関数演算部は、境界要素法によって前記グリーン関数を演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、図5(A)に示すように、前記関数演算部は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波(W11)を放射させたときにこの開口端で観測される圧力波(W21)の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、図5(B)に示すように、前記関数演算部は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波(W11)を放射させたときに、この開口端を挟む複数の観測点(P22,P23)で観測される圧力波(W22,W23)の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項10の発明は、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、前記関数演算部は、前記開口端の周辺の地形情報に基づいて前記グリーン関数を演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項11の発明は、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、前記関数演算部は、固定構造物(3)の出入口(3a)に移動体(1)が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口(3b)に到達する圧縮波(W1)の波形と、この固定構造物の反対側の出入口から外部に放射される圧力波(W2)の波形とを関連付ける前記グリーン関数を演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項12の発明は、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、前記開口端から外部に放射されて前記観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する圧力波予測演算部(5g)を備えることを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項13の発明は、請求項12に記載の圧力波の予測演算装置において、前記圧力波予測演算部は、固定構造物の出入口に移動体が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算することを特徴とする圧力波の予測演算装置である。
請求項14の発明は、図2及び図3に示すように、管路(3)の開口端(3b)から外部に放射されて観測点(P1)に到達する圧力波(W2)の波形を予測演算する圧力波の予測演算方法であって、前記管路内から前記開口端に到達する圧縮波(W1)の圧力勾配波形と、この開口端から外部に放射される圧力波の波形とを関連付けるグリーン関数を演算する関数演算工程(S130)を含み、前記関数演算工程は、前記開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項15の発明は、請求項14に記載の圧力波の予測演算方法において、前記関数演算工程は、前記開口端から外部に放射される圧力波の波長が前記管路の直径よりも大きく低周波とみなせるときに、この開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項16の発明は、請求項14又は請求項15に記載の圧力波の予測演算方法において、前記関数演算工程は、前記点音源を単極子と二重極子との重ね合わせとして前記グリーン関数を演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項17の発明は、請求項16に記載の圧力波の予測演算方法において、前記関数演算工程は、前記開口端の中心に対応する原点に単極子又は二重極子が存在するときの線形波動方程式を、与えられた地形条件から決まる境界条件のもとで満たす前記グリーン関数を演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項18の発明は、請求項15から請求項17までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、前記関数演算工程は、前記点音源を単極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波とがこの開口端に励起する流量とこの単極子からの湧き出し流量とを等値してこの単極子の大きさを演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項19の発明は、請求項15から請求項18までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、前記関数演算工程は、前記点音源を二重極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波との開口端補正量分の位相差による力の大きさにより規定される二重極子としてこの二重極子の大きさを演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項20の発明は、請求項14から請求項19までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、前記関数演算工程は、境界要素法によって前記グリーン関数を演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項21の発明は、請求項14から請求項20までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、図5(A)に示すように、前記関数演算工程は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波(W11)を放射させたときにこの開口端で観測される圧力波の波形(W21)に基づいて、前記グリーン関数を演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項22の発明は、請求項14から請求項21までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、図5(B)に示すように、前記関数演算工程は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波(W11)を放射させたときに、この開口端を挟む複数の観測点(P22,P23)で観測される圧力波(W22,W23)の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項23の発明は、請求項14から請求項22までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、前記関数演算工程は、前記開口端の周辺の地形情報に基づいて前記グリーン関数を演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項24の発明は、請求項14から請求項23までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、前記関数演算工程は、固定構造物(3)の出入口(3a)に移動体(1)が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口(3b)に到達する圧縮波(W1)の波形と、この固定構造物の反対側の出入口から外部に放射される圧力波(W2)の波形とを関連付ける前記グリーン関数を演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項25の発明は、請求項14から請求項24までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、前記開口端から外部に放射されて前記観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する圧力波予測演算工程(S150)を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の圧力波の予測演算方法において、前記圧力波予測演算工程は、固定構造物の出入口に移動体が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する工程を含むことを特徴とする圧力波の予測演算方法である。
請求項27の発明は、図2及び図3に示すように、管路(3)の開口端(3b)から外部に放射されて観測点(P1)に到達する圧力波(W2)の波形を予測演算するための圧力波の予測演算プログラムであって、前記管路内から前記開口端に到達する圧縮波(W1)の圧力勾配波形と、この開口端から外部に放射される圧力波(W2)の波形とを関連付けるグリーン関数を演算する関数演算手順(S130)を含み、前記関数演算手順は、前記開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算する手順をコンピュータに実行させることを特徴としている圧力波の予測演算プログラムである。
請求項28の発明は、請求項27に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記関数演算手順は、前記開口端から外部に放射される圧力波の波長が前記管路の直径よりも大きく低周波とみなせるときに、この開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項29の発明は、請求項27又は請求項28に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記関数演算手順は、前記点音源を単極子と二重極子との重ね合わせとして前記グリーン関数を演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項30の発明は、請求項29に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記関数演算手順は、前記開口端の中心に対応する原点に単極子又は二重極子が存在するときの線形波動方程式を、与えられた地形条件から決まる境界条件のもとで満たす前記グリーン関数を演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項31の発明は、請求項28から請求項30までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記関数演算手順は、前記点音源を単極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波とがこの開口端に励起する流量とこの単極子からの湧き出し流量とを等値してこの単極子の大きさを演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項32の発明は、請求項28から請求項31までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記関数演算手順は、前記点音源を二重極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波との開口端補正量分の位相差による力の大きさにより規定される二重極子としてこの二重極子の大きさを演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項33の発明は、請求項27から請求項32までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記関数演算手順は、境界要素法によって前記グリーン関数を演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項34の発明は、請求項27から請求項33までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、図5(A)に示すように、前記関数演算手順は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波(W11)を放射させたときにこの開口端で観測される圧力波(W21)の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項35の発明は、請求項27から請求項34までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、図5(B)に示すように、前記関数演算手順は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波(W11)を放射させたときに、この開口端を挟む複数の観測点(P22,P23)で観測される圧力波(W22,W23)の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項36の発明は、請求項27から請求項35までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記関数演算手順は、前記開口端の周辺の地形情報に基づいて前記グリーン関数を演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項37の発明は、請求項27から請求項36までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記関数演算手順は、固定構造物(3)の出入口(3a)に移動体(1)が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口(3b)に到達する圧縮波(W1)の波形と、この固定構造物の反対側の出入口から外部に放射される圧力波(W2)の波形とを関連付ける前記グリーン関数を演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項38の発明は、請求項27から請求項37までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記開口端から外部に放射されて前記観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する圧力波予測演算手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
請求項39の発明は、請求項27から請求項38までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、前記圧力波予測演算手順は、固定構造物の出入口に移動体が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する手順を含むことを特徴とする圧力波の予測演算プログラムである。
この発明によると、管路の開口端から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を高精度に予測演算することができるとともに、計算負荷や作業負荷を軽減することができる。
この発明の第1実施形態に係る圧力波の予測演算装置の構成図である。 この発明の第1実施形態に係る圧力波の予測演算装置によって予測演算される圧力波の発生状況を模式的に示す概念図である。 この発明の第1実施形態に係る圧力波の予測演算装置の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の第2実施形態に係る圧力波の予測演算装置の構成図である。 この発明の第2実施形態に係る圧力波の予測演算方法を説明するための概念図であり、(A)は坑口の中心で圧力波を測定する場合の概念図であり、(B)は坑口を挟む複数点で圧力波を測定する場合の概念図である。 トンネルに列車が突入するときに坑口から外部に放射する圧力波の概念図である。 この発明の実施例に係る圧力波の予測演算方法による演算結果を一例として示すグラフである。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る圧力波の予測演算装置の構成図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る圧力波の予測演算装置によって予測演算される圧力波の発生状況を模式的に示す概念図である。以下では、トンネルの坑口に列車が突入したときに反対側の坑口から外部に放射して観測点に到達するトンネル微気圧波の波形を予測演算装置によって予測演算する場合を例に挙げて説明する。
図2に示す列車1は、軌道2に沿って移動する移動体である。列車1は、例えば、300km/h以上の高速で走行する新幹線車両である。軌道2は、列車1が走行する通路(移動経路)である。軌道2は、図2に示すように、二本の本線で構成された複線であり、上り本線となる線路2aと、下り本線となる線路2bとを備えている。トンネル3は、山腹などの地中を貫通して列車1を通過させるための固定構造物(土木構造物)であり、線路2a,2bを一つのトンネル3内に収容する複線用の鉄道トンネル(複線トンネル)である。トンネル3は、列車1が突入及び退出する出入口となる坑口3a,3bなどを備えている。図2に二点鎖線で示すトンネル緩衝工4は、圧縮波W1の圧力勾配及び圧力波W2を低減するために、トンネル3の坑口3aを覆う固定構造物(土木構造物)であり、線路2a,2bを一つのトンネル覆工内に収容する複線用のトンネル緩衝工(複線トンネル緩衝工)である。トンネル緩衝工4は、坑口3aの外部に軌道2に沿ってトンネル3を延長するように構築されており、コンクリート製、鉄筋コンクリート製又は鋼板製の固定構造物である。
図1に示す予測演算装置5は、図2に示すトンネル3の坑口3bから外部に放射されて観測点P1に到達する圧力波W2の波形を予測演算する装置である。予測演算装置5は、数値シミュレーション(数値計算方法)によってグリーン関数を演算するとともに、このグリーン関数に基づいて坑口3bから外部に放射されて観測点P1に到達する圧力波W2の波形を予測演算する。予測演算装置5は、図1に示すように、入力部5aと、補助入力部5bと、入力情報記憶部5cと、地形情報記憶部5dと、関数演算部5eと、関数情報記憶部5fと、圧力波予測演算部5gと、圧力波情報記憶部5hと、プログラム記憶部5iと、表示部5jと、制御部5kなどを備えている。予測演算装置5は、例えば、パーソナルコンピュータなどによって構成されており予測演算プログラムに従って所定の処理を実行する。
入力部5aは、予測演算装置5に種々の情報を入力するための装置である。入力部5aは、例えば、予測演算装置5に圧力波W2の予測演算に必要な種々のパラメータなどを入力するためのキーボードなどである。入力部5aは、入力情報を制御部5kに出力する。
補助入力部5bは、予測演算装置5に種々の情報を補助的に入力するための装置である。補助入力装置5bは、例えば、予測演算装置5の動作を選択するときに操作されるマウスなどである。補助入力部5bは、入力情報を制御部5kに出力する。
入力情報記憶部5cは、入力部5a及び補助入力部5bが出力する入力情報を記憶する部分である。入力情報記憶部5cは、例えば、トンネル断面積、大気音速、大気密度、湧き出し体積流量、開口端補正量、緩衝工/トンネル断面積比、及びトンネル出口に到達するトンネル3内の圧縮波W1の時間波形(圧力勾配波形)などの入力情報を記憶するメモリなどである。
地形情報記憶部5dは、坑口3bの周辺の地形情報を記憶する部分である。地形情報記憶部5dは、例えば、坑口3bから100m以内の地形の座標(地形条件)を20mメッシュで記憶するメモリなどである。地形情報記憶部5dは、例えば、原点をトンネル3の坑口3bの中心とする空間座標を地形情報として記憶している。
関数演算部5eは、トンネル3内から坑口3bに到達する圧縮波W1の圧力勾配波形と、この坑口3bから外部に放射される圧力波W2の波形とを関連付けるグリーン関数を演算する部分である。関数演算部5eは、坑口3bから外部に放射される圧力波W2の音源を点音源とみなしてグリーン関数を演算する。関数演算部5eは、坑口3bから外部に放射される圧力波W2の波長がトンネル直径よりも大きく低周波とみなせるときに、この坑口3bから外部に放射される圧力波W2の音源を点音源とみなしてグリーン関数を演算する。
関数演算部5eは、点音源を単極子と二重極子との重ね合わせとしてグリーン関数を演算する。関数演算部5eは、点音源を単極子としてグリーン関数を演算するときには、坑口3bにおける入射波と反射波とがこの坑口3bに励起する流量とこの単極子からの湧き出し流量とを等値してこの単極子の大きさを演算する。関数演算部5eは、点音源を二重極子としてグリーン関数を演算するときには、坑口3bにおける入射波と反射波との開口端補正量分の位相差による力の大きさにより規定される二重極子として、この二重極子の大きさを演算する。関数演算部5eは、坑口3bの中心に対応する原点に単極子又は二重極子が存在するときの線形波動方程式を、与えられた境界条件から決まる境界条件の下で満たすグリーン関数を演算する。関数演算部5eは、境界要素法によってグリーン関数を演算する。関数演算部5eは、圧力波W2の大きさを演算するために、以下の数1に示す線形波動方程式を仮定する。
Figure 0005288493
ここで、数1に示すcは、大気音速であり、tは時間であり、ρは大気密度であり、qは湧き出し体積流量であり、Fは外力ベクトルである。また、数1に示す∇及び空間座標(原点はトンネル3の坑口3bの中心)は、以下の数2に示す通りである。
Figure 0005288493
関数演算部5cは、圧力波W2の問題を単純化するために、以下の数3に示す境界条件を仮定する。
Figure 0005288493
ここで、数3に示すΓ1は、無限遠方境界であり、Γ2は大気に露出したトンネル3の外壁部分であり、Γ3はトンネル3の坑口面であり、Γ4はそれ以外の境界(地面や山など)である。関数演算部5cは、トンネル3の内部の領域を計算しない代わりに以下の数4,5に示す仮想音源群を与える。
Figure 0005288493
Figure 0005288493
ここで、数4,5に示すpIは、トンネル3の出口に到達するトンネル3内の圧縮波W1の時間波形であり、Sはトンネル3の断面積(鏡像は含まない)であり、lは開口端補正量である。関数演算部5cは、開口端補正量lが地形により異なる値となるが、半円形状のトンネルが半自由空間に設置されたとき、すなわち鏡像を考慮すると、トンネルが自由空間に設置されているときの開口端補正量lとして以下の数6を使用する。
Figure 0005288493
ここで、数6に示す係数2は、鏡像を考慮することによるものである。関数演算部5cは、例えば、遠方場近似を用いて得られる以下の数7に示す近似的な境界条件を満たすグリーン関数Gを演算する。
Figure 0005288493
関数演算部5cは、音源が座標原点にある場合の遅延グリーン関数を、以下の数8に示す線形波動方程式を満たすように、例えば境界要素法により数9に示す境界条件を満たすように簡単に演算する。この場合に、関数演算部5cは、数3に示す大気に露出したトンネル3の外壁部分Γ2及びトンネル3の坑口面Γ3については無視する。
Figure 0005288493
Figure 0005288493
関数演算部5cは、一般にトンネル3の外壁部分を考慮すると計算負荷が過大になるが、以下の数10に示す厳密な境界条件に満たすグリーン関数Grを演算することも可能である。
Figure 0005288493
関数演算部5cは、以下の数11,12に示すように音源として面分布を仮定した場合、又はこれらの音源による圧力波W2の大きさをトンネル3の坑口3bの中心周りで多重極展開して演算する場合についてもグリーン関数を演算可能である。
Figure 0005288493
Figure 0005288493
関数演算部5eは、地形情報記憶部5dが記憶する坑口3bの周辺の地形情報に基づいてグリーン関数を演算する。関数演算部5eは、例えば、地形情報記憶部5dが記憶する坑口3bの周辺の地形情報に基づいて地形パネルファイル(要素)を作成し、この地形パネルファイルに基づいて地面上のグリーン関数ファイルを作成する。関数演算部5eは、グリーン関数、単極子の大きさ及び二重極子の大きさなどを関数情報として制御部5kに出力する。
関数情報記憶部5fは、関数演算部5eが演算した関数情報を記憶する部分である。関数情報記憶部5fは、例えば、関数演算部5eが演算するグリーン関数(グリーン関数ファイル)を関数情報として記憶するメモリなどである。
圧力波予測演算部5gは、坑口3bから外部に放射されて観測点P1に到達する圧力波W2の波形をグリーン関数に基づいて予測演算する部分である。圧力波予測演算部5gは、関数演算部5eが演算したグリーン関数と音源の大きさとを畳み込むことによって圧力波W2の波形を演算する。圧力波予測演算部5gは、例えば、遠方場近似を用いて得られる数7に示す近似的な境界条件を満たすグリーン関数Gを用いて以下の数13,14に示すように圧力波W2の波形を予測演算する。
Figure 0005288493
Figure 0005288493
ここで、数14に示すG(x,0,t)は、関数演算部5cが数8,9によって演算した遅延グリーン関数である。また、圧力波予測演算部5gは、例えば、トンネル3の外壁部分を考慮した数10に示す厳密な境界条件に満たすグリーン関数Grを用いて以下の数15,16に示すように圧力波W2の波形を予測演算することも可能である。
Figure 0005288493
Figure 0005288493
圧力波予測演算部5gは、関数演算部5cが演算したグリーン関数G,Grのいずれか一方又は双方を用いて圧力波W2の大きさを演算可能である。圧力波予測演算部5gは、FFTを用いて演算を実行する。圧力波予測演算部5gは、図2に二点鎖線で示すトンネル緩衝工4によってトンネル3の坑口3bが覆われており緩衝工/トンネル断面積比が1ではないときには、以下の数17に示す緩衝工/トンネル断面積比を音源の強さに乗じたものを音源として圧力波W2の波形を演算する。
Figure 0005288493
ここで、数17に示すSHは、トンネル緩衝工断面積である。図1に示す圧力波予測演算部5gは、関数情報記憶部5fが記憶するグリーン関数ファイルに基づいて、指定された地面上の評価点及び初期波形から圧力波W2の波形を演算する。圧力波予測演算部5gは、演算後の圧力波W2の波形を圧力波情報として制御部5kに出力する。
圧力波情報記憶部5hは、圧力波予測演算部5gが演算した圧力波情報を記憶する部分である。圧力波情報記憶部5hは、例えば、圧力波予測演算部5gが演算する圧力波W2の波形を圧力波情報として記憶するメモリなどである。
プログラム記憶部5iは、坑口3bから外部に放射されて観測点P1に到達する圧力波W2の波形を予測演算するための予測演算プログラムを記憶する部分である。プログラム記憶部5iは、例えば、予測演算プログラムを記録する情報記録媒体又は予測演算プログラムを送信する電気通信回線などから読み込まれたこの予測演算プログラムを記憶するメモリなどである。
表示部5jは、予測演算装置5に関する種々の情報を表示する部分である。表示部5jは、例えば、地図情報記憶部5dが記憶する地図情報を三次元化して表示したり、関数演算部5eが作成した地形ファイルを三次元化して表示したり、圧力波予測演算部5gが演算した圧力波W2の波形を表示したりする液晶画面などを有する表示装置である。
制御部5kは、予測演算装置5に関する種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部5kは、プログラム記憶部5iから予測演算プログラムを読み出して一連の予測演算処理を実行する。制御部5kは、例えば、入力部5a及び補助入力部5bが出力する入力情報の記憶を入力情報記憶部5cに指令したり、この入力情報記憶部5cから入力情報を読み出して関数演算部5eに出力したり、地形情報記憶部5dから地形情報を読み出して関数演算部5eに出力したり、関数演算部5eにグリーン関数の演算を指令したり、関数演算部5eが出力する関数情報の記憶を関数情報記憶部5fに指令したり、この関数情報記憶部5fから関数情報を読み出して圧力波予測演算部5gに出力したり、この圧力波予測演算部5gに圧力波W2の波形の予測演算を指令したり、圧力波予測演算部5gが出力する圧力波情報の記憶を圧力波情報記憶部5hに指令したり、プログラム記憶部5iから予測演算プログラムを読み出したり、圧力波情報記憶部5hから圧力波情報を読み出して表示部5jに出力したり、表示部5jに種々の情報の表示を指令したりなどする。制御部5kには、入力部5a、補助入力部5b、入力情報記憶部5c、地形情報記憶部5d、関数演算部5e、関数情報記憶部5f、圧力波予測演算部5g、圧力波情報記憶部5h、プログラム記憶部5i及び表示部5jなどが相互に通信可能なように図示しないバスなどの通信手段によって接続されている。
次に、この発明の第1実施形態に係る圧力波の予測演算装置の動作を説明する。
図3は、この発明の第1実施形態に係る圧力波の予測演算装置の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、制御部5kの動作を中心として説明する。
図3に示すステップ(以下、Sという)100において、予測演算プログラムを制御部5kが読み込む。図1に示す予測演算装置5の電源がONするとプログラム記憶部5iから予測演算プログラムを制御部5kが読み出して、一連の予測演算処理の実行を開始する。
S110において、入力情報を制御部5kが読み込む。入力情報記憶部5cから入力情報を制御部5kが読み出して、この入力情報を制御部5kが関数演算部5eに出力する。
S120において、地形情報を制御部5kが読み込む。地形情報記憶部5dから地形情報を制御部5kが読み出して、この地形情報を制御部5kが関数演算部5eに出力する。
S130において、グリーン関数の演算を制御部5kが指令する。関数演算部5eに制御部5kがグリーン関数の演算を指令すると、入力情報及び地形情報に基づいて関数演算部5eがグリーン関数を演算する。関数演算部5eは、図2に示すように、トンネル3の坑口3aに列車1が突入したときにこのトンネル3の反対側の坑口3bに到達する圧縮波W1の波形と、このトンネル3の反対側の坑口3bから外部に放射される圧力波W2の波形とを関連付けるグリーン関数を演算する。関数演算部5eがグリーン関数を関数情報として制御部5kに出力すると、関数情報記憶部5f及び圧力波予測演算部5gにこの関数情報を制御部5kが出力する。
S140において、関数情報の記憶を制御部5kが指令する。関数情報の記憶を関数情報記憶部5fに制御部5kが指令すると関数情報記憶部5fがこの関数情報を記憶する。
S150において、圧力波W2の波形の予測演算を制御部5kが指令する。圧力波予測演算部5gに制御部5kが圧力波W2の波形の予測演算を指令すると、関数情報に基づいて圧力波予測演算部5gが圧力波W2の波形を予測演算する。圧力波予測演算部5gは、図2に示すように、トンネル3の坑口3aに列車1が突入したときにこのトンネル3の反対側の坑口3bから外部に放射されて観測点P1に到達する圧力波W2の波形をグリーン関数に基づいて予測演算する。圧力波予測演算部5gが圧力波W2の波形を圧力波情報として制御部5kに出力すると、圧力波情報記憶部5hにこの圧力波情報を制御部5kが出力する。
S160において、圧力波情報の記憶を制御部5kが指令する。圧力波情報の記憶を圧力波情報記憶部5hに制御部5kが指令すると、圧力波情報記憶部5hがこの関数情報を記憶する。
この発明の第1実施形態に係る圧力波の予測演算装置とその予測演算方法及びその予測演算プログラムには、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、トンネル3内から坑口3bに到達する圧縮波W1の圧力勾配波形と、この坑口3bから外部に放射される圧力波W2の波形とを関連付けるグリーン関数を関数演算部5eが演算し、この坑口3bから外部に放射される圧力波W2の音源を点音源とみなしてこの関数演算部5eがこのグリーン関数を演算する。このため、トンネル微気圧波の問題を点音源に置き換えることによって、トンネル3内における圧縮波W1の伝播、及びこの圧縮波W1の坑口3bにおける反射の二段階の演算を省略して、圧力波W2の伝播だけの問題に単純化することができる。その結果、トンネル3内及び坑口3bそのものをシミュレーションで考慮する必要がなくなって、計算に必要な多数のグリッドや大容量のメモリが不要になるとともに演算回数を省略することができ、計算負荷を飛躍的に低減し計算時間の短縮化とメモリの節約を図ることができる。また、トンネル3の内外に圧力センサなどを設置したり、トンネル3内で作業をしたりする必要がなくなって、現場における作業負荷を低減することができるとともに、列車1の営業時間帯であっても圧力波W2を予測演算することができる。
(2) この第1実施形態では、坑口3bから外部に放射される圧力波W2の波長がトンネル3の直径よりも大きく低周波とみなせるときに、この坑口3bから外部に放射される圧力波W2の音源を点音源とみなして関数演算部5eがグリーン関数を演算する。このため、従来のトンネル微気圧波の予測手法とは異なり、トンネル微気圧波の波形を高精度に予測演算することができる。
(3) この第1実施形態では、点音源を単極子と二重極子との重ね合わせとして関数演算部5eがグリーン関数を演算する。このため、音源を多重極音源近似することによって、トンネル3内からの圧縮波W1の伝播とこの圧縮波W1の坑口3bにおける反射とを簡易化することができる。
(4) この第1実施形態では、坑口3bの中心に対応する原点に単極子又は二重極子が存在するときの線形波動方程式を、与えられた地形条件から決まる境界条件のもとで満たすグリーン関数を関数演算部5eが演算する。その結果、境界条件(地形の影響)が同じ場合にはグリーン関数が共通するため、このグリーン関数をファイルに保存しておくことにより効率的に圧力波W2を予測演算することができる。例えば、境界要素法によって得られた物体表面の音圧分布をファイルに保存することによって、同じ地形であれば坑口3bにおける圧縮波W1や観測点P1が変更されたときにFFTを用いてトンネル微気圧波を瞬時に計算することができる。また、離散化した要素上での伝達関数を保存するため、三次元場の伝達関数を保存する場合に比べて、保存する情報量を極めて少なくすることができる。
(5) この第1実施形態では、関数演算部5eが点音源を単極子としてグリーン関数を演算するときに、坑口3bにおける入射波と反射波とがこの坑口3bに励起する流量とこの単極子からの湧き出し流量とを等値してこの単極子の大きさを演算する。このため、単極子の大きさが近似的に地形に依存しないことを利用してグリーン関数を簡単に演算することができる。
(6) この第1実施形態では、関数演算部5eが境界要素法によってグリーン関数を演算する。このため、境界要素法を使用することによってトンネル微気圧波の伝播を効率よく演算することができる。
(7) この第1実施形態では、坑口3bの周辺の地形情報に基づいて関数演算部5eがグリーン関数を演算する。このため、一般的な地形の三次元的な影響を考慮して圧力波W2の波形を正確に予測することができる。
(8) この第1実施形態では、坑口3bから外部に放射されて観測点P1に到達する圧力波W2の波形を圧力波予測演算部5gがグリーン関数に基づいて予測演算する。その結果、例えば、新幹線の走っていない新線などで圧力波W2の波形を予測することができるため、新線の計画段階で騒音対策や騒音対策に必要な経費などを見積ることができる。
(9) この第1実施形態では、トンネル3の坑口3aに列車1が突入したときにこのトンネル3の反対側の坑口3bに到達する圧縮波W1の波形と、このトンネル3の反対側の坑口3bから外部に放射される圧力波W2の波形とを関連付けるグリーン関数を関数演算部5eが演算する。このため、坑口3bから外部に放射されて観測点P1に到達する圧力波W2の波形を高精度に予測演算することができるとともに、計算負荷や作業負荷を軽減することができる。
(10) この第1実施形態では、トンネル3の坑口3aに列車1が突入したときにこのトンネル3の反対側の坑口3bから外部に放射されて観測点P1に到達する圧力波W2の波形を圧力波予測演算部5gがグリーン関数に基づいて予測演算する。このため、実際に列車1が走行しておらず営業が開始されていない新線などで圧力波W2の波形を予測することができ騒音対策を効率的に計画することができる。
(第2実施形態)
図4は、この発明の第2実施形態に係る圧力波の予測演算装置の構成図である。図5は、この発明の第2実施形態に係る圧力波の予測演算方法を説明するための概念図であり、図5(A)は坑口の中心で圧力波を測定する場合の概念図であり、図5(B)は坑口を挟む複数点で圧力波を測定する場合の概念図である。以下では、図2及び図1に示す部分と同一の部分については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図4に示す予測演算装置5は、現地試験によってグリーン関数を演算するとともに、このグリーン関数に基づいて坑口3bから外部に放射されて観測点P1に到達する圧力波W2の波形を予測演算する。予測演算装置5は、圧力波情報入力部5mと圧力波情報記憶部5nなどを備えている。関数演算部5eは、トンネル3外から坑口3bに向かって圧力波W11を放射させたときにこの坑口3bで観測される圧力波W21の波形の波形に基づいてグリーン関数を演算する。関数演算部5eは、図5(A)に示すように、坑口3bの中心の観測点P21に配置された収音装置7によって、音波発生装置6が発生する圧力波W11を観測し、音波発生装置6が発生する圧力波W11の波形と収音装置7が検出する圧力波W21の波形とに基づいてグリーン関数を演算する。また、関数演算部5eは、図5(B)に示すように、坑口3bを挟む複数の観測点P22,P23に配置された複数の収音装置7によって、音波発生装置6が発生する圧力波W11を観測し、音波発生装置6が発生する圧力波W11の波形と収音装置7が観測する圧力波W22,W23の波形とに基づいてグリーン関数を演算する。関数演算部5eは、例えば、圧力波情報記憶部5nが記憶する圧力波W11,W21,W22,W23の波形に関する圧力波情報に基づいて、以下の数18によってグリーン関数G,Grを演算する。
Figure 0005288493
圧力波予測演算部5gは、関数演算部5eが演算した数18に示すグリーン関数G,Grの相反性を利用して、坑口3bから外部に放射されて観測点P11に到達する圧力波W2の大きさをこのグリーン関数G,Grに基づいて演算する。圧力波予測演算部5gは、例えば、数13〜16によって圧力波W2の大きさを予測演算する。
圧力波情報入力部5mは、音波発生装置6が発生する圧力波W11の波形に関する圧力波情報と、収音装置7が収音する圧力波W21,W22,W23の波形に関する圧力波情報とが入力する部分である。圧力波情報入力部5mは、圧力波情報を記録する情報記録媒体又は圧力波情報を送信する電気通信回線などを通じてこの圧力波情報を読み込む。圧力波情報記憶部5nは、圧力波情報入力部5mが出力する圧力波情報を記憶する部分である。圧力波情報記憶部5nは、例えば、圧力波情報を記憶するメモリなどである。
音波発生装置6は、インパルス音波を発生する装置であり、圧力波W11を発生するインパルス音源となるスピーカなどである。音波発生装置6は、例えば、図5に示すように、圧力波W2を評価したい観測点P11に配置されている。収音装置7は、音波発生装置6が発生するインパルス音波を検出する装置であり、このインパルス音波を収音するマイクロホンなどである。収音装置7は、例えば、図5(A)に示すように、坑口3bの中心の観測点P21に配置したり、図5(B)に示すようにこの坑口3bを挟む複数の観測点P22,P23に配置したりする。
この発明の第2実施形態に係る圧力波の予測演算装置とその予測演算方法及びその予測演算プログラムには、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、トンネル3外から坑口3bに向かって圧力波W11を放射させたときにこの坑口3bで観測される圧力波W21の波形に基づいて、関数演算部5eがグリーン関数を演算する。このため、グリーン関数の相反性を利用することによって圧力波W2を予測することができる。
(2) この第2実施形態では、トンネル3外から坑口3bに向かって圧力波W11を放射させたときに、この坑口3bを挟む複数の観測点P22,P23で観測される圧力波W22,W23の波形に基づいて、関数演算部5eがグリーン関数を演算する。このため、坑口3bを挟む複数の観測点P22,P23で音源からの圧力波W22,W23の波形を観測することによって近似的に坑口3bにおける圧力波の波形を得てグリーン関数を演算することができる。その結果、列車1が走行する軌道2やトンネル3内に立ち入らずに列車1の営業時間内に簡単な作業でグリーン関数を演算することができる。
次に、この発明の実施例について説明する。
図7は、この発明の実施例に係る圧力波の予測演算方法による演算結果を一例として示すグラフである。
図7に示す縦軸は、微気圧波の圧力であり、横軸は時間である。図7に示す実線は、この発明の実施例に係る圧力波の予測演算方法により予測演算した微気圧波の波形であり、細線は模型試験装置により測定された微気圧波の波形であり、点線は従来の放射立体角による手法により予測演算した微気圧波の波形である。ここで、トンネル微気圧の模型試験装置は、実際のトンネルを模擬したトンネル模型内に、実際の鉄道車両を模擬した列車模型を通過させたときに発生するトンネル微気圧波を測定する装置である。このトンネル微気圧の模型試験装置は、一対の回転体の間で列車模型を加速しながら発射させる発射装置と、この発射装置から発射された列車模型をガイドするガイドワイヤ(ピアノ線)と、トンネル模型を通過した列車模型を制動させる制動装置と、トンネル模型を通過する列車模型の速度を検出する速度センサと、トンネル模型を列車模型が通過したときに発生するトンネル微気圧波を検出するマイクロホンなどを備えている。図7に示すように、この発明の実施例に係る圧力波の予測演算方法による微気圧波の波形は、従来の放射立体角による微気圧波の波形に比べて、模型試験装置による微気圧波の波形と略一致しており、この発明の実施例に係る圧力波の予測演算方法によって高精度に微気圧波を予測演算可能であることが確認された。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、移動体として列車(鉄道車両)1を例に挙げて説明したがこれに限定するものではない。例えば、高速で走行する磁気浮上式鉄道又は自動車などの移動体についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、軌道2が複線である場合を例に挙げて説明したが、軌道2が単線又は複々線である場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、トンネル3の坑口3aに列車1が突入したときに外部に放射されて観測点P1に到達するトンネル微気圧波の波形を予測する場合を例に挙げて説明したが、トンネル3以外の管路の開口端又は枝坑の坑口などから外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を予測する場合についてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、列車1がトンネル3の坑口3aに突入したときに反対側の坑口3bから外部に放射する圧力波W2の波形を予測する場合を例に挙げて説明したが、このような圧力波W2の波形の予測に限定するものではない。例えば、列車1が坑口3bから退出するときに反対側の坑口3aから外部に放射される退出波の波形や、列車1が坑口3aに突入するときにこの坑口3aから外部に放射される圧力波W3の波形や、列車1が坑口3bから退出するときにこの坑口3bから外部に放射される退出波の波形などを予測する場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、圧力波W2が低周波である場合を例に挙げて説明したが、圧力波W2が高周波である場合についてもこの発明を適用することができる。
1 列車(移動体)
2 軌道
2a,2b 線路
3 トンネル(固定構造物(管路))
3a,3b 坑口(出入口(開口端))
4 トンネル緩衝工(固定構造物(管路))
5 予測演算装置
5a 入力部
5b 補助入力部
5c 入力情報記憶部
5d 地形情報記憶部
5e 関数演算部
5f 関数情報記憶部
5g 圧力波予測演算部
5h 圧力波情報記憶部
5i プログラム記憶部
5j 表示部
5k 制御部
5m 圧力波情報入力部
5n 圧力波情報記憶部
6 音波発生装置
7 収音装置
1 圧縮波
2,W3,W11,W21,W22,W23 圧力波(トンネル微気圧波)
1,P11,P21,P22,P23 観測点

Claims (39)

  1. 管路の開口端から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を予測演算する圧力波の予測演算装置であって、
    前記管路内から前記開口端に到達する圧縮波の圧力勾配波形と、この開口端から外部に放射される圧力波の波形とを関連付けるグリーン関数を演算する関数演算部を備え、
    前記関数演算部は、前記開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  2. 請求項1に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、前記開口端から外部に放射される圧力波の波長が前記管路の直径よりも大きく低周波とみなせるときに、この開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、前記点音源を単極子と二重極子との重ね合わせとして前記グリーン関数を演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  4. 請求項3に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、前記開口端の中心に対応する原点に単極子又は二重極子が存在するときの線形波動方程式を、与えられた地形条件から決まる境界条件のもとで満たす前記グリーン関数を演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  5. 請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、前記点音源を単極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波とがこの開口端に励起する流量とこの単極子からの湧き出し流量とを等値してこの単極子の大きさを演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  6. 請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、前記点音源を二重極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波との開口端補正量分の位相差による力の大きさにより規定される二重極子としてこの二重極子の大きさを演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、境界要素法によって前記グリーン関数を演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波を放射させたときにこの開口端で観測される圧力波の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波を放射させたときに、この開口端を挟む複数の観測点で観測される圧力波の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、前記開口端の周辺の地形情報に基づいて前記グリーン関数を演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記関数演算部は、固定構造物の出入口に移動体が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口に到達する圧縮波の波形と、この固定構造物の反対側の出入口から外部に放射される圧力波の波形とを関連付ける前記グリーン関数を演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記開口端から外部に放射されて前記観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する圧力波予測演算部を備えること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  13. 請求項12に記載の圧力波の予測演算装置において、
    前記圧力波予測演算部は、固定構造物の出入口に移動体が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算すること、
    を特徴とする圧力波の予測演算装置。
  14. 管路の開口端から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を予測演算する圧力波の予測演算方法であって、
    前記管路内から前記開口端に到達する圧縮波の圧力勾配波形と、この開口端から外部に放射される圧力波の波形とを関連付けるグリーン関数を演算する関数演算工程を含み、
    前記関数演算工程は、前記開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  15. 請求項14に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、前記開口端から外部に放射される圧力波の波長が前記管路の直径よりも大きく低周波とみなせるときに、この開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  16. 請求項14又は請求項15に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、前記点音源を単極子と二重極子との重ね合わせとして前記グリーン関数を演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  17. 請求項16に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、前記開口端の中心に対応する原点に単極子又は二重極子が存在するときの線形波動方程式を、与えられた地形条件から決まる境界条件のもとで満たす前記グリーン関数を演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  18. 請求項15から請求項17までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、前記点音源を単極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波とがこの開口端に励起する流量とこの単極子からの湧き出し流量とを等値してこの単極子の大きさを演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  19. 請求項15から請求項18までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、前記点音源を二重極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波との開口端補正量分の位相差による力の大きさにより規定される二重極子としてこの二重極子の大きさを演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  20. 請求項14から請求項19までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、境界要素法によって前記グリーン関数を演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  21. 請求項14から請求項20までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波を放射させたときにこの開口端で観測される圧力波の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  22. 請求項21に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波を放射させたときに、この開口端を挟む複数の観測点で観測される圧力波の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  23. 請求項14から請求項22までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、前記開口端の周辺の地形情報に基づいて前記グリーン関数を演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  24. 請求項14から請求項23までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記関数演算工程は、固定構造物の出入口に移動体が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口に到達する圧縮波の波形と、この固定構造物の反対側の出入口から外部に放射される圧力波の波形とを関連付ける前記グリーン関数を演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  25. 請求項14から請求項24までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記開口端から外部に放射されて前記観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する圧力波予測演算工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  26. 請求項14から請求項25までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算方法において、
    前記圧力波予測演算工程は、固定構造物の出入口に移動体が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する工程を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算方法。
  27. 管路の開口端から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を予測演算するための圧力波の予測演算プログラムであって、
    前記管路内から前記開口端に到達する圧縮波の圧力勾配波形と、この開口端から外部に放射される圧力波の波形とを関連付けるグリーン関数を演算する関数演算手順を含み、
    前記関数演算手順は、前記開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算する手順をコンピュータに実行させること、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  28. 請求項27に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、前記開口端から外部に放射される圧力波の波長が前記管路の直径よりも大きく低周波とみなせるときに、この開口端から外部に放射される圧力波の音源を点音源とみなして前記グリーン関数を演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  29. 請求項27又は請求項28に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、前記点音源を単極子と二重極子との重ね合わせとして前記グリーン関数を演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  30. 請求項29に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、前記開口端の中心に対応する原点に単極子又は二重極子が存在するときの線形波動方程式を、与えられた地形条件から決まる境界条件のもとで満たす前記グリーン関数を演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  31. 請求項28から請求項30までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、前記点音源を単極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波とがこの開口端に励起する流量とこの単極子からの湧き出し流量とを等値してこの単極子の大きさを演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  32. 請求項28から請求項31までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、前記点音源を二重極子として前記グリーン関数を演算するときに、前記開口端における入射波と反射波との開口端補正量分の位相差による力の大きさにより規定される二重極子としてこの二重極子の大きさを演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  33. 請求項27から請求項32までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、境界要素法によって前記グリーン関数を演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  34. 請求項27から請求項33までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波を放射させたときにこの開口端で観測される圧力波の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  35. 請求項27から請求項34までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、前記管路外から前記開口端に向かって圧力波を放射させたときに、この開口端を挟む複数の観測点で観測される圧力波の波形に基づいて、前記グリーン関数を演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  36. 請求項27から請求項35までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、前記開口端の周辺の地形情報に基づいて前記グリーン関数を演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  37. 請求項27から請求項36までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記関数演算手順は、固定構造物の出入口に移動体が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口に到達する圧縮波の波形と、この固定構造物の反対側の出入口から外部に放射される圧力波の波形とを関連付ける前記グリーン関数を演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  38. 請求項27から請求項37までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記開口端から外部に放射されて前記観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する圧力波予測演算手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
  39. 請求項27から請求項38までのいずれか1項に記載の圧力波の予測演算プログラムにおいて、
    前記圧力波予測演算手順は、固定構造物の出入口に移動体が突入したときにこの固定構造物の反対側の出入口から外部に放射されて観測点に到達する圧力波の波形を前記グリーン関数に基づいて予測演算する手順を含むこと、
    を特徴とする圧力波の予測演算プログラム。
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