JP2004144579A - 音源探査方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】音源から伝播された音圧を検出する複数の音圧検出素子の最適配置を効率良く求めて、真音源を偽音源と区別して精度良く探査することができる音源探査方法及び装置を提供する。
【解決手段】空間内に存在する音源12から伝播した音の音圧を二次元平面又は三次元曲面の表面2上に分散配置された複数の音圧検出素子3で検出し、各音圧検出素子3で検出した音圧信号に基づいて音源12について推定された仮想音源の音源音圧分布14を求め、音源音圧分布から真音源12と偽音源13との音圧差ξと真音源12での音圧勾配φとの関数から成る評価関数に基づいて音圧検出素子3の表面2上での最適配置を決定する。最適配置を決定には、評価関数を選択の適応度とした遺伝的アルゴリズムを利用することができる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、風洞中に置かれた模型から発生する騒音、任意の軌道を飛行する飛翔体から発生する騒音、その他各種機械装置から発生する騒音等の音源を特定するために用いる音源探査方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機などの飛翔体、回転翼、気流中に置かれた風洞模型、その他の各種の機械・プラント装置からは様々な周波数の騒音が様々な位置から放出されている。例えば、図4は、従来から知られている航空機の騒音源を例示した模式図であり、(a)は航空機の片側半分を示す模式図、(b)はギア騒音源を例に取ったときの等音圧線のイメージ図である。図4(a)に示すように、航空機50の騒音源には、エンジンに関しては、主として前方で発生するファン・圧縮機騒音51、主として後方で発生するジェット騒音52がある。主翼に関してはフラップ騒音/フラップ・ジェット干渉騒音53と翼端渦音54とがあり、尾翼に関しては排気干渉騒音55と翼端渦音56とがあり、胴体に関しては、境界層騒音57やギヤ騒音58がある。図4(b)にギヤ騒音58を例に取って示すように、騒音源58aは必ずしも点状の騒音源ではなくある広がりを持つが、騒音源58aからは距離rが離れるほど音圧が低下していく球状の等圧線59が描かれる。
【0003】
従来の音源探査技術では、複数のマイクロホンを規則的に並べてマイクロホンの受信信号を解析することで音の入射方向を求める方式が一般であり、使用されるマイクロホン群はマイクロホンアレイとかフェーズドアレイと呼ばれる。マイクロホンアレイ法には、二つの重要な技術的要素が存在する。一つはマイクロホンが受信したデータの解析法であり、もう一つはマイクロホンの配置法である。
【0004】
データ解析法については、各マイクロホンの受信信号に重み係数をかけて加重平均する方式が一般的である。基本的な考え方は次のとおりである。
仮想解析面にある音源から発生し自由空間に放射される音は球状に伝播して、各マイクロホン(座標は既知とする)で受信される。この際、音のエネルギーは距離rの二乗に反比例し、且つ距離rを伝播するのに要する時間遅れτを伴う(伝播時間τは伝播距離rと音速cから求まる。τ=r/c)。また、音圧は、音源とマイクロホンとの伝播距離rに反比例して低下する。図5に示すように、マイクロホンアレイ60の表面61に配設されたマイクロホン62のうちi番目のマイクロホン62iが受信する音Pm (t)(tは時間)は、航空機50の表面63上の幾つかの想定した音源64のうちj番目の音源64jが発生した音Ps が音源64jからそのマイクロホン62iまでの距離ri,j を時間遅れτi,j を伴って伝播したときの、すべてのjについての音源64jから伝播した音の合成であり、次の式(1)で表される。この場合、音源64の音圧がゼロの場合を含む。
Pm (t)=αΣ {Ps (t−τi,j )/ri,j }  ・・・(1)
なお、主流がある場合の音源と見かけマイクロホン62との伝播距離r’から求まる伝播時間(τ=r’/c)を考慮すると、音源の特性を入力すれぱ各マイクロホン62の受信音の特性を求めることができる。
【0005】
音源の分析を行いたい面(音源面)を多数の仮想音源領域に分割し、伝播距離と伝播時間とを用いてマイクロホンの受信信号を積算すると、マイクロホンの受信信号から音源面上の音圧分布を逆算することができる。音圧分布は音圧等圧線で表されるので、音圧等圧線の極値に音源が存在すると想定される。受信信号を時系列信号のまま積算するのが時間領域法、周波数分析してから積算するのが周波数領域法である。
【0006】
i番目のマイクロホン62iの信号をj番目の焦点(仮想音源位置)に戻すには、音圧を距離分だけ増幅し、且つ位相を伝播時間分戻せばよく、次の式(2)で表される。
Psi,j =w ×ri,j ×Pm (t+τi,j )      ・・・式(2)
ここで、w は重み関数である。
更に、図6に示すように、航空機50の表面においてj番目の焦点64jの音圧について、すべてのマイクロホン62iの受信信号を積算すると、j番目の焦点に仮想した音源64jの強さPs が式(3)として求められる。
Ps (t)=Σw ×ri,j ×Pm (t+τi,j )/Σw ・・式(3)
音源64が存在しない領域では、積算される信号間の相関が弱いため、積算値が小さくなり、音源64が存在する焦点における音圧との差(音圧差)が大きくなる。周波数領域法では、予め、異なるマイクロホン間のクロススペクトルを求めておき、これに距離による振幅と位相の補正を施す。例えば、k番目とl番目のマイクロホン受信信号のクロススペクトルをCi,j とし、j番目の焦点とk,lマイクロホンとの距離をそれぞれ、rj,k ,rj,l 、音速をc、周波数をfとする。とのとき、マイクロホンk,lでのクロススペクトルを焦点jに換算したときのクロススペクトルCsj,k,l は、以下のように位相と振幅について補正される。
Csj,k,l =w ×w ×rj,k ×rj,l ×exp(i・2πf(rj,k −rj,l )/c)×Ck,l          ・・式(4)
【0007】
列車や自動車のような音を発生しながら移動する移動体の音源位置を特定するために、移動体の走行方向に並べた一次元のマイクロホンアレイに、マイクロホンアレイに対して垂直面に2組のインテンシテイプローブを付加することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。マイクロホンアレイの受信信号を前記の加重平均することで移動体走行方向での音源位置が求められる一方、インテンシテイプローブの受信信号によって音の強さのベクトルが求められるので走行方向に垂直方向の音源位置が特定できるとしている。二次元分布を解析することに優位性があるが、インテンシテイプローブとマイクロホンアレイの組み合わせは、計測システムとしては大掛かりなものとなり、機動性に欠ける。
【0008】
マイクロホンの受信信号から得られる周波数スペクトルをもとに、マイクロホンと音源との間の音波の伝播経路を使って音源の周波数スペクトルを求め、両周波数スペクトルを比較し、音波の伝播経路を最適化することで音源位置を特定する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。最適化手法には遺伝的アルゴリズムが用いられる。遺伝的アルゴリズムとは最適化手法の一つであり、遺伝子樽造と遺伝子の持つ適用度を使って遺伝子の選択、交配、突然変異を幾世代に渡って繰り返すことで、目的の環境条件に適合する遺伝子即ち最適値を得る手法である。因みに、遺伝的アルゴリズムの適用例は、空調冷凍機器の能動的騒音制御に際しての適応フィルタ係数の探査や、自動車内の振動騒音特性の経年変化に対する適応フィルタ係数の追従などに見受けられる。遺伝的アルゴリズムは最適化法の一種であり、最小二乗法に比べると、第二位以下の極値がある場合にも有効である反面、データ処理や制御などのある程度実時間性を要求される場合には、一般的に計算負荷が多く、現在の計算機技術では実用化は困難である。
【0009】
一方、マイクロホンの配置法については、図12に示すように、一次元配置(図12(a))、一次元アレイの十字状、X字状、V字状等の交差配置(同(b)〜(d))、インテンシテイプローブとの組み合わせ(同(e))、円・円弧・環状配置(同(f))、球などが考えられてきた。実用上は二次元音源分布を計測する場合が多く、そのためにはマイクロホンの二次元配置、例えば、二次元格子状配置(同(g)、二次元分散アレイ(同(h))で十分である。
【0010】
以上、幾つかの計測法とマイクロホンの配置法が発展的に提案されてきたが、音源探査用マイクロホンアレイによる計測法、付帯装置、校正法について従来技術については、幾つかの問題点がある。即ち、先ず、マイクロホンの配置は、解析結果に大きな影響を及ぼす。一次元分布のマイクロホンの配置では、音源の二次元分析できない。図12(g)に示した格子配置のような規則配置されたマイクロホンでは、図12(i)に示すように、二つのマイクロホン80a,80bの間の垂直二等分線81上の音源の音に対して、マイクロホン80a,80bが同位相となるので、複数の焦点82a,82b,82c・・・が垂直二等分線81に存在してしまう。図12(j)に示すように、音源位置83から格子状に音圧の尾根84a,84bが発生することが知られており、音源周りにノイズ領域85が広がり、解析上、真音源90と偽音源91とが現れる。
【0011】
また、二次元分散配置の場合、マイクロホン座標を最適化するには真音源音圧レベルのみを参照しており、周波数帯域毎に真音源音圧と偽音源音圧との差及び真音源座標のずれを考慮していない。その結果、偽音源音圧レベルが低くても真音源位置がぼやけたり、その逆が起こりうるため、解析精度に悪影響が現れる。また、最適化は最小二乗法等による各マイクロホンの指向性フィルタ更新が一般的であるが、極値が多数存在する場合には有効ではない。更に、遺伝的アルゴリズムは複数の極値が存在する場合にも最適解を判別する能力に優れるが、演算処理に時間を要し、振動騒音制御など実時間性を求められる用途よりも設計に用いる方が有効である。
【0012】
これらの騒音源を持つ対象について、低予算で、短時間の間に、しかも適正な騒音対策を行うためには、煩いと感じる周波数帯域の音が何処から(騒音源位置)どの程度(騒音の大きさ)で発生しているかを三次元情報として精度良く突き止める必要がある。このような所謂、音源探査を行うことによって注目する騒音の発生位置、周波数帯域、音圧等が特定されれば、騒音原因判別のために要する模型試験や数値解析の作業負担が軽減され、騒音低減目標をどのくらいにすべきか、騒音発生源部位の改造具合、低減装置付加の可否、使用条件変更の有無、周囲防音等の対策の規模、機械装置の根本的な変更の是非等について、確度の高い情報を得ることができ、これらの対策決定に要する時間を短縮し、より的確で有効な対策を選択することができる。
【0013】
【特許文献1】
特開平08−015003号公報(第6コラム、段落[0023]〜第8コラム、段落[0034]、図1〜図3)
【特許文献2】
特開平09−021863号公報(第11コラム、段落[0056]〜第12コラム、段落[0058])
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、解析面の推定音源領域において逆算して求めた音圧分布から真音源と偽音源とを区別して真音源を求める際に、真音源を効率的に且つ精度良く求めることができる音圧検出素子の最適配置を求める点で解決すべき課題がある。
【0015】
この発明の目的は、音源から伝播された音圧を検出する複数の音圧検出素子の最適配置を効率良く求めて、真音源を偽音源と区別して精度良く探査することができる音源探査方法及び装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明による音源探査方法は、空間内に存在する音源から伝播した音の音圧を二次元平面又は三次元曲面の表面上に分散配置された複数の音圧検出素子で検出し、前記各音圧検出素子で検出した音圧信号に基づいて前記音源について推定された仮想音源の音源音圧分布を求め、前記音源音圧分布から定められる評価関数に基づいて前記音圧検出素子の前記表面上の最適配置を決定することから成っている。
【0017】
また、この発明による音源探査装置は、二次元平面又は三次元曲面の表面を持ち且つ前記表面上に空間内に存在する音源から伝播した音の音圧を検出する複数の音圧検出素子が分散配置された音圧検出素子配列体、及び前記各音圧検出素子で検出した音圧信号に基づいて前記音源について推定された仮想音源の前記音源音圧分布を求め、前記音源音圧分布から定められる評価関数に基づいて前記音圧検出素子の前記表面上の最適配置を求める演算装置から成っている。
【0018】
この発明による音源探査方法及び音源探査装置によれば、空間内に存在する音源から伝播した音の音圧は、音源探査装置の二次元平面又は三次元曲面の表面上に分散配置された複数の音圧検出素子で検出される。各音圧検出素子で検出した音圧信号に基づいて、例えば逆算演算によって、音源について空間中に推定された仮想音源の音源音圧分布が求められる。検出された音圧信号に基づいて求めた音源音圧分布からでは、偽音源が現れる等の現象に起因して真音源を一義的に決定することが一般には困難であるが、音源音圧分布から定められる評価関数に基づいて音圧検出素子の前記表面上の最適配置を演算にて求めることができ、そうして求められた最適配置に配置された音圧検出素子で音を検出して仮想音源の音源音圧分布を求めることで、音源探査装置による真音源を簡単に且つ効率よく決定することが可能になる。
【0019】
この音源探査方法及び音源探査装置において、前記評価関数は、前記音圧分布から求められる前記音源の真音源位置と偽音源位置との音圧差についての非負関数及び前記真音源位置近傍音圧勾配についての非負関数の線形結合又は積であり、前記音圧検出素子の最適配置は、前記評価関数を最大化するときの前記音圧検出素子の配置座標として決定することができる。評価関数をこのように定義すると、音源の真音源位置と偽音源位置との音圧差が大きいほど、また真音源位置近傍音圧勾配が急であればあるほで、各非負関数の関数値が大きくなり、それらの線形結合又は積で定義される評価関数も大きくなる。従って、評価関数が最大化するときに最も真音源と偽音源との区別が付きやすくなり、そのときの音圧検出素子の配置座標を音圧検出素子の最適配置とすることができる。
【0020】
評価関数を非負関数の線形結合又は積とした音源探査方法及び音源探査装置において、前記評価関数を最大化する計算過程には、前記音圧検出素子の前記配置座標を遺伝子座に並べた多数の個体から群を形成し、前記群内の前記個体の選択、交叉及び突然変異から成る過程を通じた変遷を幾世代に渡って繰り返す遺伝的アルゴリズムを適用し、前記評価関数を前記選択の適応度として用いることができる。個体の選択、交叉及び突然変異から成る過程を通じた変遷を幾世代に渡って繰り返す遺伝的アルゴリズムを適用し且つ評価関数を選択の適応度として用いることによって、評価関数に低い関数値を与える個体(音圧検出素子の配置)は、自然と排除されて、評価関数に高い関数値を与える良質な個体の割合が増加し、最適な音圧検出素子の配置が偽音源に惑わされることなく効率的に得ることができる。
【0021】
この音源探査方法及び音源探査装置において、前記音圧検出素子で検出したすべての前記音圧信号を収録し、収録した前記音圧信号のうち前記音源音圧分布を求めるのに用いる前記音圧信号を、探査すべき周波数に応じて選択する際に、前記評価関数による前記最適配置の決定の手法を適用することができる。予め、多数の音圧検出素子で検出したすべての音圧信号を収録しておき、解析の際に、探査すべき特に注目する周波数に応じて、収録した前記音圧信号のうちの一部を選択して、音源音圧分布を求める。収録した音圧信号のうち音源音圧分布を求めるのに用いる音圧信号をどれを選択するかは、採用する一部の音圧検出素子をどこに配置するかという問題に置き換えることができるから、評価関数による最適配置の決定の手法を適用することができる。
【0022】
この音源探査方法において、開始信号発生装置からの開始信号に基づいて、前記音圧検出素子で検出した前記音圧信号を離散化信号として同時収録することを開始することができる。音源探査装置においては、前記音圧検出素子で検出した前記音圧信号を離散化信号として同時に収録する同時収録装置、及び前記同時収録装置による収録を開始させる開始信号を出力する開始信号発生装置を備えることができる。例えば、通過する航空機や車両のような対象の騒音を探査する場合のように、通過に合わせて音圧検出を開始する必要がある場合がある。このような場合には、音よりも速い光や画像手段で対象が通過するのを検出する開始信号発生装置からの開始信号に基づいて、音圧検出素子で検出した音圧信号を離散化信号として同時収録する。
【0023】
この音源探査方法及び音源探査装置において、前記音圧検出素子は、マイクロホン又は圧力センサとすることができる。音圧を電気信号に変換可能なトランスデューサとすることが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による音源探査方法及び装置の実施例を説明する。図1はこの発明による音源探査方法の概要を説明する説明図であり、(a)は音源が存在する音源面と音圧検出素子が配置される面との位置関係を示した解析モデルの一例であり、同(b)は音源解析結果を示す音圧分布、同(c)はその一断面を取った音圧グラフである。
【0025】
図1に示す説明図によれば、この発明による音源探査方法は、次の(1)〜(7)に示す手順を踏んで行なわれる。
(1)この音源探査方法及び装置の特徴は、各音圧検出素子座標を解析的に設計することにある。解析モデルとして、図1(a)に示すように、音源探査装置1の表面(この例では、二次元平板状平面)2の上に、音圧検出素子である複数のマイクロホン3の配置座標の初期値を設定する。また、音源探査対象として航空機や車両、或いは工場のような対象物10の音源面11に真音源12の座標と音圧とを設定する。即ち、真音源12は、空間内の既知座標に置かれる。また、後の計算における収束判定で用い入る判定値εを設定する。
【0026】
(2)各マイクロホン3における受信信号を計算することにより、真音源12からの放射音の計算を行なう。
真音源12から各マイクロホン3に到達する音は、球状の放射特性を考慮すれば、振幅が真音源12からマイクロホン3までの距離rに反比例しかつ当該距離rを音が伝播する時間τだけ時間遅れがある。よって、同じ真音源12が放射した音は各マイクロホン3にて異なる振幅と異なる時間遅れ(位相という)をもって受信される。この真音源12とマイクロホン3の音圧信号との関係は、図5に基づいて既に説明した通りである。この関係を逆手にとり、図6に既に示したように、すべてのマイクロホン3の受信信号を、真音源12があると想定される音源装想定位置(焦点という)に、距離分増幅しかつ時間を進ませて集中積算することで、焦点の音を計算することができる。
【0027】
(3)音源面11に仮想音源を配置してその音圧を計算し、音源面11の音圧等高線を計算することにより、音源探査を行なう。
真音源12を含む解析面を細分割して各部分を焦点とみなして上記の計算を行い、焦点の最大音圧を求めると、図1(b)に示すように、解析面上に音の等高線14が得られる。等高線14は、既知音源(即ち、真音源12)の位置で最大値をもたらすはずであるが、既知音源位置とは異なり本来音源を置いていない位置にも極値が発生し、偽音源13が現れる。
【0028】
(4)二つのパラメータを計算する。
図1(c)に示すように、一つのパラメータは、既知音源位置、即ち真音源12と偽音源13との音圧差ξであり、もう一つのパラメータは真音源音圧勾配φである。計測では、真音源12の位置での音圧(最大値)と偽音源13の位置での音圧(極大値)の音圧差ξを大きくすること即ち信号対ノイズ比を大きくすることが望ましい。一方で、真音源12に相当する最大値近傍の音圧等高線の勾配φが急峻であることは音源位置の誤差範囲が小さいことを意味し、位置精度の点で望ましい。
【0029】
(5)評価関数H(ξ,φ)を計算する。
音圧差ξ及び真音源音圧勾配φの両方を変数とし、これらの非負関数の線形結合和又は積として表される以下の評価関数(目的関数とも言う)が定義される。
H(ξ,φ)=αF(ξ)+βG(φ)  又は
H(ξ,φ)=αF(ξ)×G(φ)
但し、F(x),G(x):正の非負関数、α,β:正数
この発明では、この評価関数を最大化するようにマイクロホン座標の更新と評価関数の計算を繰り返し、評価関数が最大値を取るときのマイクロホン座標を、音源探査用マイクロホンの配置として決定する。
【0030】
(6)収束判定をする。収束判定は、H(ξ,φ)の変化がε以下であるか否かで判定する。この条件を満たせば収束したと判定する。
(7)収束判定がNoであれば、マイクロホン3の座標を変更して(2)に戻る。Yesであれば終了し、マイクロホン3 の座標を決定する。
【0031】
上記の例において、音源探査装置1の表面2は、この例では二次元平面板表面であったが、これに限らず、球面などの三次元曲面板表面とすることもできる。また、音圧検出素子としては、マイクロホン3としたが、これに限らず、圧力センサ等の電気信号として検出信号を出力することができるトランスデューサとすることが好ましい。実用に差し支えない程度の探査精度を得るには、埋め込まれるマイクロホン3の個数については4個以上とすることが好ましい。
【0032】
評価関数を最適化する計算過程において、遺伝的アルゴリズムを用いることができる。遺伝的アルゴリズムは、群に含まれる個体の遺伝子について三つの過程(選択、交叉、突然変異)を幾世代に渡って繰り返すことにより、適応度の高い遺伝子を持った群(即ち、最適解)を得る手法であり、巡回セールスマン問題、ナップサック問題等の解法として良く知られており、更に、その他、航空機機体形状最適化問題や製造プロセス管理、金融・投資の応用例にも適用されている。
【0033】
遺伝的アルゴリズムにおいては、群にはN個の個体があるとし、各世代で群内の個体数は不変とされる。マイクロホンの配置決定においては、各個体はマイクロホン座標群の情報を持っており、具体的には、遺伝子座にはマイクロホンアレイに用いる数量分のマイクロホン座標が並べられる。こういった個体を数十個から数百個準備して群とする。群内の個体を選択、交叉、突然変異という三つの過程を通じて変遷させ、これを幾世代に渡って繰り返す。このとき、選択の適応度を、真音源音圧と偽音源音圧との音圧差ξ及び音源音圧勾配φを変数として一意に定まる上記の評価関数Hとする。
【0034】
各個体はM個(=マイクロホン個数)の遺伝子座を持ち、各遺伝子座にはマイクロホンの座標情報が書き込まれている。i番目の遺伝子座に書き込まれる座標情報が、例えば、(x,y)=(5,3)(単位mm)としたとき、整数表示の場合は、(XY)は(53)であるが、二進数表示の場合には(01010011)となる。これをM個のマイクロホンについて繋げて個体を次のようにあらわすことができる。実数表示では、j番目の個体(910・…・53・…・13)であり、中程の53がi番目のマイクロホン情報に関する記述である。これに対して、二進数表示では、j番目の個体(10011010・・…01010011・・…01101)である。なお、初期値は乱数を使って、全個体の全遺伝子座を設定する。
【0035】
上記の条件下で、各世代について次の三つの過程を繰り返す。
(1)選択
各個体はM個のマイクロホンの座標情報を有するので、各個体について前記の解析面の音圧等高線を計算し、評価関数(即ち、適応度)を求めることができ、個体と評価関数は1対1に対応する。個体については、適応度の高い順に並べることができる(ランキングと称される)。初期条件で、適応度の下限を定めておき、下限値を下回った適応度を持つ個体は不適格個体として廃棄する。群の個体数を保つために、廃棄された個数だけ優良な個体が複製される。複製の仕方は例えば、ランキング比率から決定してもよい。例えば、群が10個の個体を持っており3個が廃棄された場合には、新たな複製を適合となった上位3つを複製する。選択によって適応度の低い、評価関数の悪い個体(マイクロホン配置)は自然と排除され、優良な適応度を持つ個体の割合が増えることになる。選択の過程にはエリート選抜という行為を加えることもできる。これは、予め設定した適応度の上限を超えた個体については、以下の交叉や突然変異の確率を極度に下げるかゼロとする行為である。
【0036】
(2)交叉
予め設定する交叉確率で選ばれた異なる伺体同士が遺伝子座の一部(その位置と長さを確率的に選択できる)を交換する行為である。交叉によって、群の個体の傾向に変化を与え、複数の極値から最大値を探査することにつながる。交叉の例として、次に示す個体Aと個体Bが中程に記載部分の遺伝子座を交換して、それぞれが個体A’個体B’となるときは以下のようになる。
Figure 2004144579
【0037】
(3)突然変異
予め設定する突然変異確率で選ばれた個体が、遺伝子座の一部又は全てを交換する行為である。突然変異により、群集団の変化が活性化される。遺伝子座の値については乱数を使ったり、二進法であればビット変換するなど様々な手法が用いられる。
例を、以下に示す。
Figure 2004144579
以上の三つの過程を数百〜数千世代繰り返すうちに、優良な個体の割合が増し、最適なマイクロホン配置が決定される。
【0038】
次に、図2を参照して、音圧検出素子の選択的使用について説明する。図2は、この発明による音源探査方法及び装置において、音圧検出素子の選択的使用の概要を模式的に説明する説明図である。上記の例では、音源探査に使用する音圧検出用素子の数とその座標とを、実際の計測前に検出対象に合わせて最適化したが、図2に示す例では、予め分散配置又は格子配置された多数の音圧検出用素子で音圧データを収録しておき、騒音解析の際に、その解析で用いる周波数に応じてマイクロホンの数と座標とを選択する。即ち、図2(a)に示すように、音源探査装置20は、平面状の表面22上の既知の座標に、分散して配置(図示の例では格子配置)した多数のマイクロホン23を備えている。例えば、分散配置された100個のマイクロホン23のすべてを用いて同時に騒音(模式的な音波24)の計測が行われ、計測した騒音データはすべて収録される。
【0039】
音圧検出素子の選択的使用においては、とにかく多数の点で騒音計測をしておき、騒音解析の段階で解析に用いるマイクロホン23が選ばれる。マイクロホンの組合せとその組合せのマイクロホン座標を用いて、評価関数を最適化する解析に使用するマイクロホンを周波数毎に選択する。例えば、周波数100Hzではマイクロホン23を10個を選択し、実際の解析では、その選択されたマイクロホン23が計測した騒音データが採用される。同様に、1000Hzでは50個を、2000Hzでは100個全てを使うという選択方法で、マイクロホン23の選択が行なわれる。マイクロホン23の選択方法は、上記した評価関数を用いる方法が利用され、最適配置を示したマイクロホン23を選択すればよい。
【0040】
具体的には、図2(b)に示すように、少数のマイクロホン23を用いて位置精度は高くはないが、周波数帯w1,w2に応じて騒音源25,26の位置が分析して求められる。図2(b)で求めた位置に騒音源25,26が存在すると仮定して、上記した音圧差ξと音圧勾配φの関数である評価関数Hを用いる方法を適用して、評価関数Hが最大となるマイクロホン23の組合せが選択される。図2(c)に示すように、選択されたマイクロホン23の組合せを用いて再度、精密な騒音源探査を行い、騒音源25,26のそれぞれについて高い位置精度で音源探査することができる。
【0041】
本発明による遺伝的アルゴリズムを用いたマイクロホンアレイによる音源探査のシミュレーションを実行した。以下に、そのシミュレーションの条件及び結果を示す。図7は、マイクロホンアレイを設計するための数学モデルを示す図である。図7中、70は41個のマイクロホン72が存在する計測面であり、原点71を基準に座標が定められている。原点71に1個のマイクロホン72が配置され、原点71を中心にそれぞれ8個のマイクロホン72が配置される5つの同じ領域が円周方向に等間隔で存在するように設定されている。なお、5角形に限らず他の多角形でもよい。図7中、75は仮想音源76,77が存在する解析面であり、計測面70に平行とし、面間距離hは4mに設定されている。音源76の座標は[0.0,0.0,4.0]に設定し、音源77の座標は[−0.7,−0.7,4.0]に設定された。両音源75,77共に、2000Hzで音圧1の純音を発生するとする。なお、解析面75は、実際は計測面70と平行でなくてもよく、複数の解析面を選択することで三次元の音源探査が可能である。
【0042】
遺伝的アルゴリズムのパラメータは、交叉確率が0.8、突然変異確率が0.05、エリート確率が0.05、群個体数が40、個体当遺伝子長さが144である。また、適応度Hは、真音源音圧と偽音源音圧との差をF、真音源音圧勾配をG、ペナルティ関数(マイクロホン最小間隔、マイクロホンアレイ寸法、最大音圧値のずれ)をPとしたとき、H=F×G×Pで定める。
【0043】
図8は、最大適応度を持つ個体(即ち、マイクロホン座標の組合せ)を異なる世代ごとに表した図である。図8(a)〜(d)は、それぞれ、第1世代、第6世代、第21世代、及び第51世代におけるマイクロホン座標を示しており、適応度は、それぞれ、23.60、29.35、42.66、及び45.42である。世代が進んで進化するにつれて適応度が増加し、マイクロホンの配置が分散していくのが解る。また、図9は、最大適応度を持つ個体によって推定される音源の位置を、図8と同様の異なる世代(第1、第6、第21、及び第51世代)毎に、二次元等高線表示(左側)と三次元表示(右側)とで示した図である。図中の小さい点はマイクロホンを表しており、図8に示すマイクロホンの座標に対応している。世代が進むにつれて真音源音圧と周囲の雑音圧との音圧差が広がると共に、音源位置での音圧勾配が急峻になる様子を見て取ることができる。
【0044】
図10は、上記の最適設計で得られたマイクロホンアレイ(図8に示す第51世代の座標を使用)を用いて音源探査をシミュレーションしたときの音圧分布の結果を示す図であり、図10(a)は二次元等高線表示であって、図10(b)は(a)の三次元表示である。また、図11は、既存の十字状のマイクロホンアレイを用いて音源探査をシミュレーションしたときの音圧分布の結果を示す図であり、図11(a)は二次元等高線表示であって、図11(b)は(a)の三次元表示である。図10及び図11中の点は、マイクロホン位置を示している。使用する音源は、周波数2000Hz、音圧1の点音源とし、座標は[0.5,0.5,4]にあるものとする。図11に示す十字状のマイクロホンアレイでは、音源位置を中心にしてアレイの配置方向に音圧の峰は偽音源として現れる。これに対して、本発明による遺伝的アルゴリズムによって最適設計されたマイクロホンアレイを用いて測定・解析すると、音源位置以外では音圧の増加が抑制されるとともに、音源位置での音圧勾配が急峻になっていることが見て取れる。
【0045】
図3は、騒音探査の対象物を飛行中又は走行中の航空機としたとき、本発明による音源探査装置を用いた騒音源探査の態様の概要を示す概略図である。音源探査装置30は、図1(a)に示した音源探査装置1と同様に、平板状の表面2上に多数のマイクロホン3を備えている。表面2を与える平板4と、多数のマイクロホン3とは、この音源探査装置30において、音圧検出素子配列体5を定めている。このシステムでは、騒音源探査の対象物は飛行中又は走行中の航空機40であり、エンジン41のジェット騒音を真音源42と想定している。音源探査装置30は、航空機40が探査可能な領域を通過した瞬間をレーザー光線の反射として光学的に捕らえて捕捉信号を出力することができる開始信号発生装置31を備えている。
【0046】
音源探査装置30においては、開始信号発生装置31からの捕捉信号に応答して、電子計算機34が行なう制御により、すべてのマイクロホン3からの音圧信号は増幅器32で増幅され、増幅された音圧信号は同時収録装置33によって同時に離散化信号として収録される。収録されたデータは、電子計算機34によって解析されてデータ記憶装置35に記憶され、またディスプレイのような結果表示装置36に表示される。同時収録装置33に入力されたデータは、マイクロホン3からの音圧信号と連動させて解析することで、航空機40の瞬時位置ごとに騒音源42を特定することができる。開始信号発生装置31は、同時収録を開始させる始動装置の役割を果たすが、航空機40の通過については、レーザー光を用いた捕捉以外にも、光学的にはCCD画像により、音響学的には超音波反射により、更にその他、航空機40の通過に伴う圧力変化を電圧に変換することによって検出することができる。電子計算機34は、各音圧検出素子3で検出した音圧信号に基づいて音源42について推定された仮想音源の音源音圧分布を求め、音源音圧分布から定められる評価関数に基づいて音圧検出素子3の表面2上の最適配置を求める音源探査装置30についての演算装置として機能している。
【0047】
この発明による音源探査を、航空機における騒音源の探査を例に採って説明したが、本発明の適用は、この例に限らず、風洞実験における模型或いは実機の騒音源探査、自動車、トラック等の車両、鉄道車両等の移動音源を持つ物体の騒音源探査、工場、プラント、発電設備、建築物等の大型設備の騒音源探査、軸流或いは遠心式圧縮機、送風機、タービン等の各種回転機械についての騒音源探査、或いはOA機器や家電製品の騒音異常診断にも適用できることは明らかである。
【0048】
【発明の効果】
この発明による音源探査方法及び装置は、上記のように、空間内に存在する音源から伝播した音の音圧を二次元平面又は三次元曲面の表面上に分散配置された複数の音圧検出素子で検出し、各音圧検出素子で検出した音圧信号に基づいて音源について推定された仮想音源の音源音圧分布を求め、音源音圧分布から定められる評価関数に基づいて音圧検出素子の前記表面上の最適配置を決定しているので、そうして求められた最適配置に配置された音圧検出素子で音を検出して仮想音源の音源音圧分布を求めることで、真音源と偽音源とを区別して、音源探査装置による真音源を簡単に効率よく且つ精度良く決定することができる。このように、騒音源の周波数帯域、騒音源位置、及び騒音の大きさについて三次元情報として確度の高い情報を得ることが可能になるので、騒音原因判別のための作業負担が軽減され、騒音低減目標、騒音発生源部位の改造程度、低減装置付加の可否、使用条件変更の有無、周囲防音等の対策の規模、機械装置の根本的な変更の是非等のより的確で有効な騒音対策を短時間で選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による音源探査方法の概要を説明する説明図である。
【図2】この発明による音源探査方法及び装置において、音圧検出素子の選択的使用の概要を模式的に説明する説明図である。
【図3】騒音探査の対象物を飛行中又は走行中の航空機としたとき、本発明による音源探査装置を用いた騒音源探査の態様の概要を示す概略図である。
【図4】航空機の騒音源を示す模式図である。
【図5】物体の複数の騒音源から伝播した音を一つのマイクロホンが検出する様子を示す概略図である。
【図6】音源探査装置に備わる複数のマイクロホンが検出した音から物体上の騒音源の音の強さを求める様子を示す概略図である。
【図7】この発明による遺伝的アルゴリズムによってマイクロホンアレイを設計するための数学モデルを示す図である。
【図8】図7に示す数学モデルに基づいて、最大適応度を持つマイクロホン座標の組合せを異なる世代ごとに表した図である。
【図9】図8に対応して、最大適応度を持つ個体によって推定される音源の位置を、異なる世代毎に、二次元等高線表示(左側)と三次元表示(右側)とで示した図である。
【図10】図8に示す第51世代の座標を持つ最適設計で得られたマイクロホンアレイを用いて音源探査をシミュレーションしたときの音圧分布の結果を示す図であって、(a)は二次元等高線表示、(b)は(a)の三次元表示である。
【図11】既存の十字状のマイクロホンアレイを用いて音源探査をシミュレーションしたときの音圧分布の結果を示す図であって、(a)は二次元等高線表示、(b)は(a)の三次元表示である。
【図12】従来の音源探査装置の概要を説明する図である。
【符号の説明】
1,20,30 探査装置          2,22 表面
3,23 音圧検出素子(マイクロホン)   4 平板
5 音圧検出素子配列体
10,40 対象物(航空機)        11 騒音面
12,25,26,42 騒音源(真音源)  13 偽音源
14 仮想音源の音源音圧分布(等高線)
31 開始信号発生装置           32 増幅器
33 同時収録装置             34 電子計算機(演算装置)
35 データ記憶装置            36 結果表示装置
ξ 音圧差                 φ 音源音圧勾配

Claims (12)

  1. 空間内に存在する音源から伝播した音の音圧を二次元平面又は三次元曲面の表面上に分散配置された複数の音圧検出素子で検出し、前記各音圧検出素子で検出した音圧信号に基づいて前記音源について推定された仮想音源の音源音圧分布を求め、前記音源音圧分布から定められる評価関数に基づいて前記音圧検出素子の前記表面上の最適配置を決定することから成る音源探査方法。
  2. 前記評価関数は、前記音圧分布から求められる前記音源の真音源位置と偽音源位置との音圧差についての非負関数及び前記真音源位置近傍音圧勾配についての非負関数の線形結合又は積であり、前記音圧検出素子の最適配置は、前記評価関数を最大化するときの前記音圧検出素子の配置座標として決定されることから成る請求項1に記載の音源探査方法。
  3. 前記評価関数を最大化する計算過程には、前記音圧検出素子の前記配置座標を遺伝子座に並べた多数の個体から群を形成し、前記群内の前記個体の選択、交叉及び突然変異から成る過程を通じた変遷を幾世代に渡って繰り返す遺伝的アルゴリズムが適用され、前記評価関数が前記選択の適応度として用いられることから成る請求項2に記載の音源探査方法。
  4. 前記音圧検出素子で検出したすべての前記音圧信号を収録し、収録した前記音圧信号のうち前記音源音圧分布を求めるのに用いる前記音圧信号を、探査すべき周波数に応じて選択する際に、前記評価関数による前記最適配置の決定の手法が適用されることから成る請求項1〜3のいずれか1項に記載の音源探査方法。
  5. 開始信号発生装置からの開始信号に基づいて、前記音圧検出素子で検出した前記音圧信号を離散化信号として同時収録することを開始することから成る請求項1に記載の音源探査方法。
  6. 前記音圧検出素子は、マイクロホン又は圧力センサであることから成る請求項1に記載の音源探査方法。
  7. 二次元平面又は三次元曲面の表面を持ち且つ前記表面上に空間内に存在する音源から伝播した音の音圧を検出する複数の音圧検出素子が分散配置された音圧検出素子配列体、及び前記各音圧検出素子で検出した音圧信号に基づいて前記音源について推定された仮想音源の前記音源音圧分布を求め、前記音源音圧分布から定められる評価関数に基づいて前記音圧検出素子の前記表面上の最適配置を求める演算装置から成る音源探査装置。
  8. 前記評価関数は、前記音圧分布から求められる前記音源の真音源位置と偽音源位置との音圧差についての非負関数及び前記真音源位置近傍音圧勾配についての非負関数の線形結合又は積であり、前記音圧検出素子の最適配置は、前記評価関数を最大化するときの前記音圧検出素子の配置座標として決定されることから成る請求項7に記載の音源探査装置。
  9. 前記評価関数を最大化する計算過程には、前記音圧検出素子の前記配置座標を遺伝子座に並べた多数の個体から群を形成し、前記群内の前記個体の選択、交叉及び突然変異から成る過程を通じた変遷を幾世代に渡って繰り返す遺伝的アルゴリズムが適用され、前記評価関数が前記選択の適応度として用いられることから成る請求項8に記載の音源探査装置。
  10. 前記音圧検出素子で検出したすべての前記音圧信号を収録し、収録した前記音圧信号のうち前記音源音圧分布を求めるのに用いる前記音圧信号を、探査すべき周波数に応じて選択する際に、前記評価関数による前記最適配置の決定の手法が適用されることから成る請求項7に記載の音源探査装置。
  11. 前記音圧検出素子で検出した前記音圧信号を離散化信号として同時に収録する同時収録装置、及び前記同時収録装置による収録を開始させる開始信号を出力する開始信号発生装置を更に備えていることから成る請求項7に記載の音源探査装置。
  12. 前記音圧検出素子は、マイクロホン又は圧力センサであることから成る請求項7に記載の音源探査装置。
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