以下、各実施形態に係る接点装置及び電磁継電器について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施形態1)
(電磁継電器の構成)
図1~5に、本実施形態の電磁継電器1の外観形状を示す。図6~図9に、カバー702を取り外した状態の電磁継電器1の外観形状を示す。図10は、図2のX1-X1断面図である。
図10に示すように、本実施形態の電磁継電器1は、接点装置2と、駆動部5と、を備えている。接点装置2は、可動導電部3(第2導電部)と、固定導電部4(第1導電部)と、を備えている。可動導電部3は、延在部31(第2延在部)と、端部32(第2端部)と、を有している。端部32は、可動接点M10(第2接点)を含む。固定導電部4は、延在部41(第1延在部)と、端部42(第1端部)と、を有している。端部42は、固定接点F10(第1接点)を含む。駆動部5は、コイル51と、接極子52と、を有している。接点装置2は、2つの永久磁石6(図15参照)と、ケース7と、を更に備えている。
電磁継電器1は、いわゆるヒンジ型リレーである。電磁継電器1は、例えば、太陽光パネルの電源回路、又は、蓄電池用電源回路、又は、直流給電タイプのサーバの電源回路における、突入電流を制限する突入電流防止回路に用いられる。電磁継電器1は、直流電源V1から負荷R1への直流電流の供給を制御するための装置である(図12参照)。直流電源V1は、接点装置2を介して負荷R1へ電流を供給する。電磁継電器1では、駆動部5が可動導電部3を駆動して、可動接点M10を、固定接点F10に接触する閉位置(図11に示す位置)と、固定接点F10から離れた開位置(図10に示す位置)との間で移動させる。これによって、直流電源V1から負荷R1への直流電流の供給を制御することができる。図12は、突入電流防止回路に電磁継電器1を適用した回路の例である。
駆動部5は、カード53と、鉄心54と、コイルボビン55と、を更に有している。コイル51は、コイルボビン55に巻かれた導線からなる。鉄心54は、コイルボビン55の内側に配置されている。接極子52は、コイル51の通電状態の変化に応じて変位することで、可動導電部3を駆動して、可動接点M10を開位置と閉位置との間で移動させる。コイル51が通電されていない状態では、接極子52は鉄心54から離れており、可動接点M10は固定接点F10から離れた開位置にある。コイル51が通電されると、コイル51で発生する磁界により接極子52の第1の板部521が鉄心54に吸引されて、第1の板部521が変位することにより接極子52の姿勢が変化する。接極子52の姿勢の変化に応じてカード53が変位し、カード53が可動導電部3を駆動する。これにより、可動接点M10が開位置から閉位置へ移動して、固定接点F10に接触する。
可動導電部3の延在部31は、矩形板状に形成されている。延在部31は、一の向きS1に沿って長さを有する。言い換えると、延在部31は、一の向きS1に延びるように設けられている。より詳細には、延在部31の長手方向が一の向きS1に沿っている。本開示で言う「一の向きS1」は、ケース7の後述の基台701から延在部31が延びている向きと一致する。固定導電部4の延在部41は、矩形板状に形成されている。延在部41は、一の向きS1に沿って長さを有する。言い換えると、延在部41は、一の向きS1に延びるように設けられている。より詳細には、延在部41の長手方向が一の向きS1に沿っている。
以下の説明における第1の方向D1、第2の方向D2及び第3の方向D3(図13参照)を次のように定義する。第1の方向D1は、一の向きS1に沿った方向である。第2の方向D2は、第1の方向D1と直交する方向であって、可動接点M10と固定接点F10とが対向する方向に沿った方向である。第3の方向D3は、第1の方向D1及び第2の方向D2と直交する方向である。
図10、13に示すように、可動導電部3の端部32は、可動接点M10を有する接点部材M1と、基部321と、を含む。基部321は、板状に形成されている。延在部31は、一の向きS1における先端で基部321につながっている。基部321は、延在部31と一体に形成されている。より詳細には、基部321と延在部31とは、1つの部材からなる。基部321と延在部31とは、弾性を有している。基部321には、取付孔322が形成されている。
接点部材M1は、リベット状に形成されている。つまり、可動接点M10は、リベット接点である。接点部材M1(リベット)の頭部のうち、固定接点F10に対向する部位が可動接点M10である。接点部材M1のうち、可動接点M10を構成する部位は、例えば銀合金(AgNi若しくはAgSnO2)により形成されている。接点部材M1の胴部M20は、取付孔322に通されている。接点部材M1は、基部321に固定されている。より詳細には、接点部材M1は、胴部M20が取付孔322に通された状態で、基部321にかしめにより固定されている。接点部材M1は、基部321に電気的に接続されている。可動接点M10のうち固定接点F10に対向する面M11は、球面状である。ただし、本実施形態では、面M11は、球面状であって平状に近い形状である。また、面M11は、凸状であってもよい。
可動導電部3は、2つの接圧部33を更に有している。2つの接圧部33は、可動導電部3のうち、カード53から力を受ける部位である。2つの接圧部33の各々は、板状に形成されている。2つの接圧部33の各々は、弾性を有している。2つの接圧部33は、延在部31の長手方向の第1端につながっている。2つの接圧部33は、第3の方向D3において一方の接圧部33、基部321及び他方の接圧部33がこの順で並ぶように配置されている。
可動導電部3は、第1の方向D1においてカード53に対向する対向部34を更に有している。対向部34は、可動接点M10のうち固定接点F10に対向する面M11から見て(面M11を基準として)固定接点F10側とは反対側に位置する。対向部34は、基部321と一体に形成されている。より詳細には、対向部34、基部321、延在部31及び2つの接圧部33は、1つの部材からなる。対向部34は、胴部341と、2つの腕部342と、を含む。
2つの腕部342のうち一方は、胴部341における第3の方向D3の一方の向きの第1端から突出しており、他方は、胴部341における第3の方向D3の上記一方の向きとは反対向きの第2端(第1端とは反対側)から突出している。
固定導電部4は、延在部41と、端部42と、を有している。端部42は、固定接点F10を含む。延在部41及び端部42というのはそれぞれ、固定導電部4の一部の領域を指す。
延在部41は、矩形板状に形成されている。延在部41は、一の向きS1における先端で端部42につながっている。端部42は、帯状に形成されている。端部42は、一の向きS1における端部42の先端420から折り返されたように湾曲した形状である。固定接点F10は、端部42における折り返された部位に存在し、可動接点M10に対向している。より詳細には、端部42は、第3の方向D3から見てU字状に形成されている。
図14に示すように、固定導電部4の端部42のうち可動導電部3の端部32に対向する面は、第3の方向D3から見て円弧状に湾曲している。本実施形態では、固定導電部4の端部42のうち可動導電部3の端部32に対向する面は、端部42の第1の面F11である。本実施形態では、固定導電部4の端部42の第1の面F11は、可動導電部3の端部32の可動接点M10に対向する。固定接点F10と可動接点M10との間の第2の方向D2における距離L1は、2つの端部32、42のうち湾曲している端部42につながった延在部41と、他方の端部32に含まれる接点である可動接点M10との間の第2の方向D2における距離L2よりも短い。第1の面F11は、一の向きS1における端部42の先端420から端部32側に延びるように湾曲している。
固定接点F10は、第1の面F11と隣り合う平状の第2の面F12を有している。第2の面F12は、第1の面F11から一の向きS1と反対向きに延びるように設けられている。第2の面F12は、第2の方向D2と直交する。ここで、第2の面F12が第2の方向D2と「直交する」とは、第2の面F12と第2の方向D2とがちょうど90°の角度をなすように交差する場合のみを指すのではなく、第2の面F12と第2の方向D2とが略90°の角度で交差する場合を含む。例えば、第2の面F12が第2の方向D2と「直交する」とは、第2の面F12と第2の方向D2とが65°以上115°以下の角度で交差する場合も含む。
第2の方向D2に沿って、可動接点M10から固定接点F10に向かう向き(図14の矢印S2の向き)をX軸の正の向きとする。第1の面F11は湾曲しているので、第1の面F11の法線が第2の面F12の法線に対してなす角は、第1の面F11上における法線の位置によって異なる。第1の面F11の法線と第2の面F12の法線とがなす鋭角は、第1の面F11上における法線の位置がX軸の正の向きに変化するにつれて単調に増加する。
図10、13、14に示すように、固定導電部4は、固定接点F10と、基材40と、を有している。固定接点F10及び基材40というのはそれぞれ、固定導電部4を構成する部材を指す。基材40は、端部42の一部(固定接点F10以外の領域)と、延在部41と、を含む。固定接点F10は、例えば、銀酸化スズ等の銀酸化物、又は、銀ニッケルにより形成されている。基材40は、例えば、銅合金、より詳細には、リン青銅、クロムを含む銅合金(銅-クロム合金)、又は、錫を含む銅合金(銅-錫系合金)等により形成されている。
固定導電部4は、クラッド材である。すなわち、固定接点F10は、基材40に圧着されている。より詳細には、固定接点F10は、基材40に冷間圧接又は冷間圧着等により圧着されることで基材40に固定されている。
固定導電部4は、基材40に固定接点F10が埋め込まれたインレイクラッド材である。基材40の表面401は、固定接点F10のうち、可動接点M10に対向する第1の面F11と面一である。
接点装置2は、第1の端子部36と、第2の端子部46と、を更に備えている。第1の端子部36は、可動導電部3に電気的にかつ機械的に接続されている。第1の端子部36は、可動導電部3を支持している。第2の端子部46は、固定導電部4に電気的にかつ機械的に接続されている。第2の端子部46は、固定導電部4を支持している。
図1、10、15に示すように、接点装置2のケース7は、ケース本体70と、2つの挿入部71と、複数の壁部72と、を有している。ケース7は、例えば、樹脂により形成されている。ケース7は、電気絶縁性を有している。ケース本体70は、基台701と、カバー702と、を備えている。ケース本体70は、可動導電部3、固定導電部4、駆動部5及び2つの永久磁石6を収容している。
カバー702は、箱状に形成されている。カバー702は、側部703と、覆い部704と、を有している。側部703は、角筒状に形成されている。覆い部704は、矩形板状に形成されている。覆い部704は、側部703の軸方向の第1端を覆っている。側部703の軸方向の第2端には、開口部705が形成されている。
基台701は、矩形板状に形成されている。基台701は、開口部705を塞ぐようにカバー702に取り付けられている。
複数の壁部72は、基台701からカバー702の内部へ突出している。複数の壁部72は、互いにつながっている。可動導電部3の延在部31、固定導電部4の延在部41、第1の端子部36及び第2の端子部46は、複数の壁部72の間に挿入されている。第1の端子部36及び第2の端子部46は、複数の壁部72の間に挿入されることで、ケース7に固定されている。
図16は、図2のX2-X2断面図である。図16に示すように、第2の端子部46の第1端461は、基台701に形成された貫通孔706を通ってケース7の外に露出している。同様に、第1の端子部36の第1端361(図1参照)は、基台701に形成された貫通孔707(図5参照)を通ってケース7の外に露出している。第2の端子部46の第1端461は、直流電源V1(図12参照)の負極に電気的に接続される。第1の端子部36の第1端361は、直流電源V1の正極に電気的に接続される。
すなわち、固定導電部4(図10参照)は、第2の端子部46を介して直流電源V1の負極に電気的に接続される。可動導電部3(図10参照)は、第1の端子部36を介して直流電源V1の正極に電気的に接続される。固定導電部4の端部42(図10参照)は、直流電源V1の負極に電気的に接続される。そのため、可動導電部3の端部32(図10参照)は、固定導電部4の端部42(図10参照)に対して正の電位となる。
図15に示すように、2つの挿入部71は、ケース本体70のカバー702の内側に設けられている。2つの挿入部71の各々は、一の面に開口部710を有する箱状に形成されている。すなわち、各挿入部71は、内部の空間を5つの面により囲む形状である。各挿入部71の3つの面は、挿入部71の内面の一部と、カバー702の内面の一部とを兼ねている。2つの挿入部71の各々は、ケース本体70のカバー702と一体に形成されている。
2つの挿入部71には、永久磁石6が1つずつ挿入されている。2つの永久磁石6の各々は、例えば、ネオジム磁石である。2つの永久磁石6は、開口部710及び複数の壁部72(図10参照)を介して、第1の方向D1において基台701(図10参照)と対向している。
2つの永久磁石6は、第3の方向D3に並んでいる。より詳細には、第3の方向D3から見て、2つの永久磁石6の各々の外縁は、互いに重なっている。図10に示すように、各永久磁石6は、第3の方向D3において固定接点F10と可動接点M10とに対向している。より詳細には、固定接点F10と可動接点M10とは、2つの永久磁石6の間に位置している。さらに、各永久磁石6は、第3の方向D3において端部32と端部42とに対向している。
固定導電部4の端部42は、直流電源V1の負極に電気的に接続され、可動導電部3の端部32は、直流電源V1の正極に電気的に接続される。可動接点M10が閉位置にある場合、可動接点M10と固定接点F10とを介して可動導電部3の端部32から固定導電部4の端部42に向かって電流が流れる。2つの永久磁石6は、固定接点F10と可動接点M10との間において第2の方向D2に流れる電流に対して、第1の方向D1に沿ったローレンツ力が作用するように配置されている。
図17は、図2のX3-X3断面図である。2つの永久磁石6により発生する磁界の向きは、例えば、図10における紙面手前から紙面奥へ向かう向きである。より詳細には、図10における紙面手前側(図17における紙面下側)に位置する永久磁石6の極性は、ケース本体70の内部に近い端がN極で、ケース本体70の外に近い端がS極である。図10における紙面奥側(図17における紙面上側)に位置する永久磁石6の極性は、ケース本体70の内部に近い端がS極で、ケース本体70の外に近い端がN極である。したがって、固定接点F10と可動接点M10との間において可動接点M10から固定接点F10に向かう向きに流れる電流に対して、一の向きS1(図10の紙面上向き)のローレンツ力が作用する。例えば、固定接点F10に接触している可動接点M10が固定接点F10から離れるとき、可動接点M10と固定接点F10との間でアークが発生することがある。このアークにおける可動接点M10から固定接点F10に向かう向きに流れる電流成分に対しては、一の向きS1(図10の紙面上向き)のローレンツ力が作用する。
図13、16に示すように、ケース7は、2つ(図16では1つ)の規制片721を更に有している。2つの規制片721はそれぞれ、複数の壁部72のうち一部の壁部から突出している。2つの規制片721は、2つの永久磁石6と一対一で対応している。各規制片721は、対応する永久磁石6に第1の方向D1において対向している。各永久磁石6は、対応する規制片721と、カバー702の覆い部704との間に保持されることで、第1の方向D1への移動が制限されている。
図10、13に示すように、カード53は、カード本体531と、2つの第1の突部532と、第2の突部533と、を含む。カード本体531は、矩形板状に形成されている。カード本体531の長手方向の第1端5311(軸部)は、ケース7の基台701の軸受部に保持されている。カード本体531は、基台701の軸受部に保持された第1端5311を支点として回転可能に支持されている。2つの第1の突部532は、カード本体531から突出している。2つの第1の突部532は、可動導電部3の2つの接圧部33と一対一で対応している。各第1の突部532は、対応する接圧部33を押して、可動導電部3を変位させる。第2の突部533は、第1の突部532とは反対向きにカード本体531から突出している。カード53は、例えば、樹脂により形成されている。カード53は、電気絶縁性を有している。
可動導電部3の対向部34の2つの腕部342は、カード53の2つの第1の突部532と一対一で対応している。各腕部342は、対応する第1の突部532の先端部に対向している。図13、17に示すように、第1の方向D1から見て、各腕部342と対応する第1の突部532とは、第2の方向D2に並んでいる。
固定接点F10に接触している可動接点M10が固定接点F10から離れるとき、固定接点F10と可動接点M10との間でアークが発生することがある。また、可動接点M10が固定接点F10から離れた後、固定接点F10と可動接点M10との間で発生したアークが変形しながら移動することがある。対向部34は、可動接点M10の面M11から見て左側に位置している。すなわち、対向部34は、面M11から見て固定接点F10側(右側)とは反対側(左側)に位置している。面M11は、固定接点F10に対向している。対向部34は、カード53に対向している。対向部34、接圧部33及び基部321は、アークからカード53を保護することができる。すなわち、対向部34、接圧部33及び基部321は、カード53を覆うように設けられているため、アークからカード53を保護することができる。
図10に示すように、コイルボビン55は、円筒状に形成されている。コイルボビン55は、基台701に固定されている。コイルボビン55は、例えば、樹脂により形成されている。鉄心54は、円柱状に形成されている。鉄心54は、コイルボビン55の内側に挿入されている。コイル51は、コイルボビン55に巻かれた導線からなる。接点装置2は、コイル51に電気的に接続された2つ(図10では1つ)のコイル端子511を更に備えている。2つのコイル端子511の各々の第1端5110は、基台701に形成された貫通孔708(図1参照)を通ってケース7の外に露出している。コイル51の両端は、2つのコイル端子511を介して励磁用の電源V2(図12参照)に電気的に接続される。電源V2は、例えば、直流電源V1の電圧を降圧する降圧回路を含む電源である。
駆動部5は、継鉄56と、ヒンジばね57と、を更に有している。
継鉄56は、第1の壁部561と、第2の壁部562と、を有している。第1の壁部561及び第2の壁部562の各々は、板状に形成されている。第2の壁部562は、第1の壁部561の一端から第1の壁部561と略直交する向きに突出している。第1の壁部561には、鉄心54が固定されている。継鉄56は、基台701に固定されている。
接極子52は、第1の板部521と、第2の板部522と、を有している。第1の板部521は、鉄心54の第1端541に対向している。第2の板部522は、第1の板部521の一端から第1の板部521と略直交する向きに突出している。第1の板部521と第2の板部522との中間部523は、継鉄56の第2の壁部562に支持されている。接極子52は、中間部523を支点として、第1の板部521が鉄心54の第1端541から離れる第1の位置(図10に示す位置)と、第1の板部521が鉄心54の第1端541に接触する第2の位置(図11に示す位置)との間で回転可能に支持されている。
ヒンジばね57は、接極子52の中間部523に接触しており、接極子52の中間部523に弾性力を加えている。ヒンジばね57が接極子52に加える弾性力により、接極子52の中間部523が継鉄56の第2の壁部562の上端(一の向きS1における先端)に接した状態で、接極子52は中間部523を中心に回転可能に支持される。図10において、接極子52が反時計回りに回転すると、接極子52の回転に連動してカード53が時計回りに回転する。さらにカード53の回転に連動して可動導電部3の延在部31が弾性変形し、可動接点M10が固定接点F10側に移動する。また接極子52が時計回りに回転すると、カード53と可動導電部3と可動接点M10とは上記と反対向きに運動する。
駆動部5は、伝達部58を更に有している。伝達部58は、接極子52の第2の板部522に取り付けられている。伝達部58は、例えば、樹脂により形成されている。伝達部58は、電気絶縁性を有している。伝達部58は、カード53の第2の突部533に接触している。接極子52が第1の位置と第2の位置との間で回転すると、これに連動して伝達部58及びカード53が運動する。カード53は、カード本体531の第1端5311を支点として回転する。カード53が回転すると、これに連動して可動導電部3が弾性変形する。より詳細には、可動導電部3の延在部31の長手方向が、固定導電部4の延在部41の長手方向(第1の方向D1)に対して斜めになるように、延在部31が弾性変形する。これにより、可動接点M10が開位置と閉位置との間で移動する。伝達部58は、コイル51と、固定導電部4及び可動導電部3との間の電気絶縁性を強化する働きをもつ。
カード本体531の長手方向において、カード53の2つの第1の突部532の中心と第2の突部533の中心との間の距離L3は、第2の突部533の中心とカード本体531の第1端5311との間の距離L4とおよそ等しい。つまり、カード53は、伝達部58の変位をおよそ2倍に増幅して可動導電部3に伝達する。ここで、距離L3が距離L4とおよそ等しいとは、例えば、距離L3が距離L4の80%以上120%以下の長さであることを示す。
カード53は、可動導電部3と接極子52との間に配置されている。また、ケース本体70は、内壁73を備えている。内壁73は、カバー702の覆い部704からケース本体70の内部へ突出している。内壁73の突出方向は、第1の方向D1に沿っている。内壁73は、可動導電部3と接極子52との間に形成されている。より詳細には、内壁73は、カード53と接極子52との間に形成されている。内壁73は、固定接点F10と可動接点M10とが配置される空間SP1と接極子52が配置される空間SP2とを隔てている。内壁73には、カード53の第2の突部533を通すための凹部731(図15参照)が形成されている。
カード53と内壁73とが可動導電部3と接極子52との間にあるので、可動導電部3と固定導電部4との間で発生したアークが接極子52に到達する可能性を低減できる。すなわち、アークから接極子52を保護できる。また、接極子52に隣接しているコイル51をもアークから保護できる。また、カード53と内壁73とを設けることにより、カード53と内壁73とを設けない場合に比べて、可動導電部3とコイル51との間の絶縁距離及び固定導電部4とコイル51との間の絶縁距離を大きくすることができる。すなわち、カード53と内壁73とは、コイル51と、固定導電部4及び可動導電部3との間の電気絶縁性を強化する働きをもつ。
ケース7の内部の空間は、空間SP1と、空間SP2と、を含む。図14に示すように、空間SP1は、空間SP11と、空間SP12と、空間SP13と、を含む。
空間SP11は、一の向きS1に沿った方向(第1の方向D1)において固定導電部4の端部42と可動導電部3の端部32との各々に重なる。したがって、固定導電部4と可動導電部3との間で生じるアークを、空間SP11に向かって第1の方向D1に引き延ばすことが可能である。より詳細には、空間SP11は、端部42と端部32とに対して一の向きS1の位置にある。
空間SP12は、固定接点F10と可動接点M10とが対向する方向(第2の方向D2)において、固定接点F10から見て可動接点M10側とは反対側に存在する。したがって、固定導電部4と可動導電部3との間で生じるアークを、空間SP12に向かって第2の方向D2に引き延ばすことが可能である。
空間SP13は、固定接点F10と可動接点M10とが対向する方向(第2の方向D2)において、可動接点M10から見て固定接点F10側とは反対側に存在する。したがって、固定導電部4と可動導電部3との間で生じるアークを、空間SP13に向かって第2の方向D2に引き延ばすことが可能である。
つまり、固定導電部4と可動導電部3との間で生じるアークを、図14に示すように、空間SP11、空間SP12、空間SP13にわたって伸張することができる。この結果、ケース7の内部の空間を効率よく使用して、固定導電部4と可動導電部3との間で生じるアークの長さを伸ばすことができるので、消弧性能を向上させることができる。
(電磁継電器の動作)
次に、電磁継電器1の動作について説明する。
図10に示すように、コイル51に電流が流れていない状態では、可動接点M10は開位置にある。コイル51に電流が流れると、コイル51で発生する磁束により、接極子52の第1の板部521と鉄心54との間に吸引力が発生する。この吸引力により、接極子52は、第1の板部521が鉄心54に向かって移動するように回転する。つまり、このとき、接極子52は、第1の位置から第2の位置へ回転する。接極子52が第1の位置から第2の位置へ回転すると、カード53が駆動され、カード53により可動導電部3が駆動される。すなわち、カード53が第1端5311を支点として回転し、カード53の2つの第1の突部532が可動導電部3の2つの接圧部33(図13参照)を押すことで、可動導電部3の延在部31は、可動接点M10が開位置から閉位置(図11に示す位置)へ移動するように弾性変形する。
可動接点M10が閉位置に到達し固定接点F10に接触してから、カード53の2つの第1の突部532が可動導電部3の2つの接圧部33(図13参照)を更に押すと、2つの接圧部33は、弾性変形することで接圧部33からの力を吸収する。つまり、2つの接圧部33が弾性を有していることによって、可動接点M10が閉位置に到達してからもカード53が更に回転する余地がある。これにより、可動接点M10が固定接点F10に対して、接圧を適切に保つことができる。
コイル51に電流が流れていない状態になると、第1の板部521と鉄心54との間の吸引力が無くなる。すると、可動導電部3は、延在部31の弾性力によって、可動接点M10が閉位置から開位置へ移動するように変形する。接極子52は、延在部31の弾性力によって、第2の位置から第1の位置へ回転する。
可動接点M10が閉位置にあるとき、可動接点M10の面M11は、第1の方向D1に対して傾いており、固定接点F10のうち、第1の面F11の湾曲した領域に接触する。第1の面F11のうち、可動接点M10の面M11に接触する部位は、可動接点M10が閉位置にあるときの面M11と平行になるように形成されている。これにより、可動接点M10の面M11と固定接点F10の第1の面F11とが接触した状態が安定する。ここで、「平行」とは、厳密に平行な関係に限定されず、厳密な平行に対して許容される誤差の範囲内でずれた関係をも含む。
(比較例)
図18、19に、比較例に係る電磁継電器1Aの外観形状を示す。図20に、カバー702Aを取り外した状態における電磁継電器1Aの外観形状を示す。図21は、図19のX4-X4断面図である。電磁継電器1Aの構成のうち、電磁継電器1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図20、21に示すように、電磁継電器1Aの接点装置2Aは、第1の固定導電部4Aと、第2の固定導電部4Bと、可動導電部3Aと、を備えている。
第1の固定導電部4Aは、接点部材F3と、第1の基材40Aとを有している。第1の基材40Aは、一の向きS1に沿った平板状に形成されている。接点部材F3は、第1の固定接点F30を有している。接点部材F3は、リベット状に形成されている。接点部材F3は、リベット接点である。接点部材F3は、第1の基材40Aにかしめられている。
第2の固定導電部4Bは、接点部材F4と、第2の基材40Bとを有している。第2の基材40Bは、一の向きS1に沿った平板状に形成されている。接点部材F4は、第2の固定接点F40を有している。接点部材F4は、リベット状に形成されている。接点部材F4は、リベット接点である。接点部材F4は、第2の基材40Bにかしめられている。
第2の基材40Bは、第1の基材40Aと略平行に配置されている。可動導電部3Aは、第1の固定導電部4Aと第2の固定導電部4Bとの間に配置されている。
可動導電部3Aは、基部30Aと、接点部材M3とを有している。接点部材M3は、第1の可動接点M30と、第2の可動接点M40とを有している。接点部材M3は、リベット状に形成されている。接点部材M3は、リベット接点である。接点部材M3は、基部30Aにかしめられている。第1の可動接点M30は、第1の固定接点F30に対向している。第2の可動接点M40は、第2の固定接点F40に対向している。
第1の固定導電部4A及び第2の固定導電部4Bはそれぞれ、直流電源V1(図12参照)の負極に電気的に接続され、可動導電部3Aは、直流電源V1の正極に電気的に接続される。
図19に示すように、2つの挿入部71Aの開口部710Aは、ケース本体70Aのカバー702Aの外側に設けられている。2つの挿入部71Aには、永久磁石6が1つずつ挿入されている。2つの永久磁石6の間に、第1の固定接点F30と、第2の固定接点F40と、第1の可動接点M30と、第2の可動接点M40とが配置されている。2つの永久磁石6は、開口部710Aを塞ぐように設けられた絶縁体で覆われている。これにより、2つの永久磁石6と外部機器との間の電気絶縁性が確保されている。
図20、21において、電磁継電器1Aの接極子52Aは、コイル51の通電状態の変化に応じて変位する。コイル51が通電され、接極子52Aが鉄心54に吸引されると、接極子52Aの変位に応じてカード53Aが変位し、カード53Aは、可動導電部3Aを駆動する。コイル51が通電されていないときは、可動導電部3Aは、第2の可動接点M40において第2の固定接点F40に接触しており、第1の固定接点F30から離れている。コイル51が通電されると、可動導電部3Aは、第1の固定導電部4Aに向かって弾性変形し、可動導電部3Aは、第2の固定接点F40から離れ、第1の可動接点M30が第1の固定接点F30に接触する。
コイル51が通電されている状態から、通電されていない状態になると、可動導電部3Aの基部30Aの弾性力により、可動導電部3Aは、第1の固定接点F30から離れ、基部30Aは、第2の可動接点M40を第2の固定接点F40に接触させるように変形する。
(接点装置で発生するアーク)
接点装置2において、固定接点F10に接触している可動接点M10が固定接点F10から離れるとき、可動接点M10と固定接点F10との間でアークが発生することがある。接点装置2に交流電源が接続されている場合には、交流電源の電圧若しくは電流がゼロになると、アークが自動的に消滅し、可動導電部3と固定導電部4との間の電流が遮断される。
比較例に係る接点装置2Aにおいて、第1の固定接点F30に接触している第1の可動接点M30が第1の固定接点F30から離れるとき、第1の可動接点M30と第1の固定接点F30との間でアークが発生することがある。接点装置2Aに交流電源が接続されている場合には、交流電源の電圧若しくは電流がゼロになると、アークが自動的に消滅し、可動導電部3Aと第1の固定導電部4Aとの間の電流が遮断される。
次に、接点装置2と接点装置2Aとがそれぞれ、直流電源V1に接続されている場合について述べる。例えば、接点装置2と接点装置2Aとがそれぞれ、300Vの直流電源V1と15Ωの抵抗を持つ負荷R1との直列回路に接続されている場合を想定する。接点装置2の接点と接点装置2Aの接点とにはそれぞれ、20Aの電流が流れるとする。
実施形態1の電磁継電器1において、コイル51が通電されている状態から通電されていない状態にした。その後、固定接点F10に接触している可動接点M10が移動し始めてから、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークが消えるまでに要する時間(遮断時間)を測定した。また、比較例の電磁継電器1Aにおいて、コイル51が通電されている状態から通電されていない状態にした。その後、第1の固定接点F30に接触している第1の可動接点M30が移動し始めてから、第1の固定接点F30と第1の可動接点M30との間で発生するアークが消えるまでに要する時間(遮断時間)を測定した。
ここで、実際の測定に用いた電磁継電器1では、可動接点M10の直径L5(図14参照)は2.8mmであり、基部321を基準としたときの可動接点M10の固定接点F10側への突出量L6(図14参照)は、0.8mmである。実際の測定に用いた電磁継電器1Aでは、第1の可動接点M30の直径L7(図22A参照)及び第1の固定接点F30の直径L8(図22A参照)は2.8mmであり、基部30Aを基準としたときの第1の可動接点M30の第1の固定接点F30側への突出量L9(図22A参照)は、0.8mmである。
電磁継電器1では、遮断時間は0.7msであった。電磁継電器1Aでは、遮断時間は2.9msであった。電磁継電器1では、電磁継電器1Aと比較して、直流電流の遮断時間が短いという利点がある。また、電磁継電器1では、電磁継電器1Aと比較して、直流電流の遮断時間が短いため、アークによる接点の消耗を低減できる。遮断時間は、2ms未満であることが好ましい。
以下では、電磁継電器1では電磁継電器1Aと比較して直流電流の遮断時間が短い理由について述べる。
金属からアークが発生する際の電子の放出メカニズムには、電界放出と、熱電界放出とがある。300Vの直流電源V1から供給される20Aの電流に相当するアークにおいては、接点装置2、2Aの陰極からの電子の放出のメカニズムは熱電界放出であると推定される。ここで、接点装置2の陰極とは、可動導電部3及び固定導電部4のうち、直流電源V1の負極に接続された固定導電部4を指す。接点装置2の陽極とは、可動導電部3及び固定導電部4のうち、直流電源V1の正極に接続された可動導電部3を指す。接点装置2Aの陰極とは、可動導電部3A及び第1、第2の固定導電部4A、4Bのうち、直流電源V1の負極に接続された第1、第2の固定導電部4A、4Bを指す。接点装置2の陽極とは、可動導電部3A及び第1、第2の固定導電部4A、4Bのうち、直流電源V1の正極に接続された可動導電部3Aを指す。
接点装置2、2Aにおいて、熱電界放出による電子放出では、アークによる熱で陰極表面が高い温度に維持されるとともに、陽極と陰極との間の電位差による電界が陰極表面に加わることによって、陰極からの電子放出が継続される。陰極側のアークの端点(アーク放出点)の熱が、陰極側のアークの端点に隣接する部分に伝わると、陰極側のアークの端点に隣接する部分から熱電界放出によって電子が放出される。このようにして、陰極側のアークの端点が移動する。
陰極側のアークの端点の移動経路に隙間がある場合には、陰極側のアークの端点の熱が、陰極側のアークの端点に隣接する部分に伝わりにくい。このため、陰極側のアークの端点に隣接する部分では、温度が十分に上昇せず、熱電界放出のメカニズムで電子が放出され難い。結果として、陰極側のアークの端点が隙間を超えて移動し難くなると考えられる。
実施形態1の電磁継電器1では、固定導電部4が陰極に相当する。固定導電部4において、固定接点F10は、基材40に圧着されている。これにより、固定接点F10が基材40にかしめによって固定される場合と比較して、固定接点F10と基材40との隙間を小さくできる。さらに、基材40の表面401は、固定導電部4の固定接点F10の第1の面F11と面一である。基材40と固定接点F10との境界には、50μm以上の溝、突起及び段差が無い。そのため、基材40と固定接点F10と間で熱が伝わりやすい。結果として、陰極側のアークの端点が固定接点F10の第1の面F11から基材40の表面401へ移動しやすい。
一方で、比較例に係る電磁継電器1では、第1、第2の固定導電部4A、4Bが陰極に相当する。図22A、22Bに示すように、第1の固定導電部4Aでは、接点部材F3の表面と第1の基材40Aの表面との間に、50μm以上の隙間G1がある。このため、接点部材F3におけるアークの端点の熱が第1の基材40Aに伝わりにくい。第1の基材40Aでは、温度が十分に上昇せず、熱電界放出のメカニズムで電子が放出され難い。結果として、アークの端点が接点部材F3から第1の基材40Aに移動せず、接点部材F3のエッジ部分にアークの端点が留まると考えられる。この結果、アークの引き延ばしが不十分となり、第1の固定導電部4Aにおけるアーク遮断動作は不安定となる。
接点装置2において、第2の方向D2から見た可動接点M10の外縁は曲線形であり、より詳細には円状である。可動接点M10は、熱を伝達しやすくするために、角が少ない形状であることが好ましい。特に、可動接点M10の形状は、平面視において(第2の方向D2から見て)角が少ない形状であることが好ましい。可動接点M10の形状は、角柱状よりも半球状、円柱状又は半円柱状が好ましい。
また、接点装置2、2Aにおいて、2つの永久磁石6の磁界により発生するローレンツ力は、アークに作用して、アーク及びアークの両側の端点を移動させる。
図23A、23Bに、実施形態1の電磁継電器1において発生したアークA1及びアークA1の両側の端点P3、P4が移動する様子の一例を示す。図23Aにおいて、太線の2点鎖線で示すアークA1は、発生直後のアークを表す。図23A、23Bにおいて、細線の2点鎖線で示す2つのアークA1はそれぞれ、移動後のアークを示す。端点P3は、可動導電部3におけるアークA1の端点であり、端点P4は、固定導電部4におけるアークA1の端点である。図23A、23Bの太矢印は、アークA1の各点に作用するローレンツ力の向きを表す。
アークA1は、まず、一の向きS1に作用するローレンツ力により、一の向きS1に移動する。可動導電部3における端点P3は、可動接点M10の面M11から基部321へ移動する。固定導電部4における端点P4は、固定接点F10の第1の面F11から基材40へ移動する。アークA1は更に移動し、端点P3が一の向きS1における可動導電部3の先端に達し、端点P4が一の向きS1における固定導電部4の先端420に達する。その後、端点P3は、固定導電部4から離れるように移動して、可動導電部3のうち、第2の方向D2における固定導電部4側とは反対側の端344に到達する。端点P4は、可動導電部3から離れるように移動して、固定導電部4の延在部41のうち、第2の方向D2において可動接点M10側とは反対側の面411に到達する。アークA1は、ローレンツ力の作用を受けて、空間SP1内で第1の方向D1及び第2の方向D2に引き延ばされる。アークA1は、最終的に、図14に示すように、固定接点F10と可動接点M10との間の第2の方向D2における距離L1よりも大きく引き伸ばされる。そのため、アークA1が距離L1と同程度しか引き伸ばされない場合と比較して、アークの遮断が安定化する。
距離L1が長いほどアークA1が引き延ばされやすいが、距離L1が短いほど電磁継電器1を小型化できる。距離L1は、例えば、0.8mmである。距離L1は、0.5mm以上1.1mm以下が望ましく、0.7mm以上1.0mm以下がより望ましい。
接点装置2において、固定導電部4の端部42が、一の向きS1における端部42の先端から折り返されたように湾曲しているので、端部42が平板状の場合と比較して、アークA1の端点P4が端部42を移動しやすい。これは、端部42が上記のように湾曲している場合は、端部42が平板状の場合と比較して、アークA1の端点P4の移動がアークA1の周囲の電界によって促されやすい、又は阻害されにくいことによると考えられる。
また、図14において、固定接点F10の第1の面F11と可動接点M10の面M11との間の距離は、図14の上側ほど大きくなっている。このため、アークA1の端点P4が第1の面F11を上向き(一の向きS1)に移動し、アークA1の端点P3が可動接点の面M11を上向きに移動するのに従って、アークA1が引き伸ばされる。これにより、接点装置2では、消弧性能を更に向上させている。
また、接点装置2では、可動導電部3の延在部31が端部32に向かって延びる向きと、固定導電部4の延在部41が端部42に向かって延びる向きとがいずれも一の向きS1である。したがって、延在部31と延在部41とのうち一方が一の向きS1とは逆向きに延びる場合と比較して、アークが空間SP12と空間SP13との両方へ引き延ばされやすい。つまり、アークの伸長空間をより広く確保できる。
上記の説明では熱電界放出により電子が放出される場合について説明したが、電界放出により電子が放出される場合においても、基材40の表面401と固定接点F10の第1の面F11とが面一である構成によって、アークの遮断が安定化する効果が得られる。ただし、固定導電部4における熱電界放出により電子が放出されアークが発生する場合の方が、固定導電部4における電界放出により電子が放出されアークが発生する場合よりも、基材40の表面401と固定接点F10の第1の面F11とが面一である構成によってアークの遮断が安定化する効果が大きい。
接点部材M1のうち、可動接点M10を構成する部位は、例えば銀合金(AgNi若しくはAgSnO2)により形成されている。接点部材M1のうち、可動接点M10以外の部分は、例えば、タフピッチ銅等の銅合金により形成されている。すなわち、可動接点M10は、銅合金からなる材料に銀合金からなる材料が貼り合わられた構造である。また、可動接点M10は、銀合金のみにより形成されていてもよい。接点部材M1の上記の構成は、接点部材F1に適用されてもよい。
また、実施形態1の可動接点M10は、リベット接点である。可動接点M10は、リベット接点に限定されず、例えば、ワイヤ接点であってもよい。ワイヤ接点は、円柱状又は多角形(例えば四角形)状の導電材料により構成される。可動接点M10がワイヤ接点である場合、可動接点M10は、かしめ等により基部321に固定される。可動接点M10を構成する円柱状又は多角形状の導電材料の2つの底面のうち一方は、可動接点M10を含み、固定接点F10に向かい合う。また、可動接点M10は、溶接又はろう付けにより基部321に取り付けられてもよい。より具体的には、可動接点M10を構成する半円柱状の部材又は半円状の部材が、溶接又はろう付けにより基部321に取り付けられてもよい。可動接点M10の上記の構成は、固定接点F10に適用されてもよい。
(接点装置の製造方法)
次に、接点装置2の製造方向の一例について、図10、16を参照して説明する。
初めは、ケース本体70の基台701とカバー702とが分離した状態である。また、初めは、2つの永久磁石6が着磁される前の状態である。ここで、ケース本体70の基台701に可動導電部3、固定導電部4及び駆動部5を固定する。また、カバー702の内側に設けられた2つの挿入部71に、挿入部71の開口部710から永久磁石6を1つずつ挿入する(図5参照)。
次に、2つの永久磁石6を着磁する。すると、2つの永久磁石6が引き合い、2つの永久磁石6の各々は、対応する挿入部71の内面に接触する。この状態では、カバー702の開口部705を鉛直下向きにしても、各永久磁石6と挿入部71の内面との間の摩擦力により、各永久磁石6が挿入部71の外へ抜け落ちることが抑制される。
次に、基台701によりカバー702の開口部705を塞ぐように、カバー702を基台701に取り付ける。これにより、ケース本体70に可動導電部3、固定導電部4、駆動部5及び2つの永久磁石6が収容される。また、これにより、図16に示すように、各永久磁石6は、規制片721に対向するように配置される。規制片721は2つ設けられており、2つの規制片721は、2つの永久磁石6と一対一で対応している。各規制片721は、対応する永久磁石6に第1の方向D1において対向している。これにより、各永久磁石6が挿入部71の外へ抜け落ちることが抑制される。
以上のように、各永久磁石6は、ケース本体70の内側に設けた挿入部71の開口部710から挿入されるので、永久磁石6が挿入される開口部710をケース本体70の外側に設ける場合と比較して、ケース本体70の外部の構成に対して永久磁石6を絶縁することが容易である。例えば、比較例(図19参照)のように、永久磁石6が挿入される開口部710Aをケース本体70Aの外側に設けた場合は、永久磁石6の絶縁を確保するために永久磁石6をシール材等の絶縁部材で覆うことが必要となる。本実施形態ではシール材を省略してもよいので、永久磁石6をシール材で覆うために要するコストを低減できる。
また、各永久磁石6は、2つの永久磁石6間で引き合う力が発生することと、対応する規制片721に対向するように配置されることとにより、挿入部71の外へ抜け落ちることが抑制されるので、各永久磁石6を挿入部71に接着等により固定する工程を省略できる。
接点装置2は、2つの導電部(可動導電部3及び固定導電部4)と、ケース本体70と、挿入部71と、を備える。2つの導電部の各々は、接点を有する。2つの導電部のうち一方の導電部(可動導電部3)の接点は可動接点M10であり、2つの導電部のうち他方の導電部(固定導電部4)の接点は固定接点F10である。可動接点M10は、固定接点F10に接触する閉位置と固定接点F10から離れた開位置との間で移動する。ケース本体70には、2つの導電部が収容される。挿入部71は、ケース本体70の内側に設けられている。挿入部71には、永久磁石6が挿入される。
ケース本体70は、基台701と、カバー702とを備えている。カバー702は、基台701によりカバー702の開口部705が塞がれるように基台701に取り付けられている。規制片721は、基台701に対して固定されており、基台701がカバー702に取り付けられているとき、カバー702の内部に配置されている。永久磁石6は、規制片721とケース本体70との間に保持される。また、永久磁石6と対応する規制片721との間には、挿入部71の開口部710が配置される。
接点装置2の製造方法は、挿入部71に永久磁石6を挿入する第1のステップと、永久磁石6を着磁する第2のステップと、基台701によりカバー702の開口部705を塞ぐように、カバー702を基台701に取り付ける第3のステップと、を備える。第3のステップでは、ケース本体70に2つの導電部(可動導電部3及び固定導電部4)及び永久磁石6が収容される。また、第3のステップでは、永久磁石6は、規制片721とケース本体70との間に保持される。
挿入部71に関する構成は、可動導電部3、固定導電部4及び駆動部5等に関する構成とは独立して適用されてもよい。すなわち、永久磁石6が挿入される挿入部71は、従来から有る接点装置に備えられてもよい。挿入部71は、例えば、固定導電部4の端部42が湾曲していない構造を有する接点装置に備えられていてもよい。また、挿入部71は、任意の寸法及び形状の可動接点及び固定接点を有する接点装置に備えられていてもよい。
また、挿入部71に加えて、規制片721も、従来から有る接点装置に備えられてもよい。さらに、上述したような、挿入部71及び規制片721を利用した接点装置2の製造方法が、従来から有る接点装置に適用されてもよい。
また、挿入部71の個数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。規制片721の個数は、2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。
(実施形態1の変形例)
次に、実施形態1の変形例を列挙する。
駆動部5は、コイル51の通電状態を切り替えることにより可動導電部3を駆動する構成に限定されない。例えば、駆動部5は、作業者の手動操作に応じて可動導電部3を駆動する構成(アクチュエータ等)であってもよい。電磁継電器1は、例えば、作業者の手動操作に応じて可動導電部3を駆動することで電路を開閉する開閉器又は断路器として用いられてもよい。
また、実施形態1では、第1の端子部36及び第2の端子部46は、ケース本体70の基台701に形成された貫通孔706、707を通ってケース本体70の外部へ引き出されているが、第1の端子部36及び第2の端子部46の構成はこれに限定されない。第1の端子部36及び第2の端子部46は、ケース本体70の別の部位からケース本体70の外部へ引き出されていてもよい。例えば、第1の端子部36及び第2の端子部46は、ケース本体70の覆い部704に形成された貫通孔を通ってケース本体70の外部へ引き出されていてもよい。延在部31の位置を基点として、第1の端子部36がケース本体70の外部へ引き出される向きは、一の向きS1と同じ向きであってもよいし、一の向きS1とは異なる向きであってもよい。また、延在部41の位置を基点として、第2の端子部46がケース本体70の外部へ引き出される向きは、一の向きS1と同じ向きであってもよいし、一の向きS1とは異なる向きであってもよい。
また、可動導電部3の端部32と固定導電部4の端部42とのうち、一方の端部のみが湾曲していてもよいし、両方の端部が湾曲していてもよい。両方の端部が湾曲していれば、接点装置2の消弧性能を更に向上できる。
ここで、端部32が湾曲しているとは、例えば、端部42に対向する面における端部32の曲げ半径が、端部32の厚みの50%以上であることである。同様に、端部42が湾曲しているとは、例えば、端部32に対向する面における端部42の曲げ半径が、端部42の厚みの50%以上であることである。
また、実施形態1では、可動接点M10は、かしめにより基部321に取り付けられている構成であるが、これに限定されず、可動接点M10は、固定接点F10と同様に、所定の基材に圧着されていてもよい。これにより、可動導電部3におけるアークの端点が移動しやすくなるので、接点装置2の消弧性能を更に向上できる。あるいは、上記所定の基材の一部が可動接点M10として機能してもよい。
また、実施形態1では、固定接点F10は、基材40に圧着されている構成であるが、これに限定されず、固定接点F10は、可動接点M10と同様に、基材40にかしめ等により取り付けられていてもよい。あるいは、基材40の一部が固定接点F10として機能してもよい。
また、実施形態1では、基材40の表面401と、固定接点F10のうち可動接点M10に対向する第1の面F11との境界の近傍において、表面401と第1の面F11とが面一である。ここで、基材40の表面401と固定接点F10の第1の面F11とが面一とは、例えば、基材40の厚みの10%以上、より好ましくは5%以上、更に好ましくは2%以上の深さの溝又はこの溝と同じ高さの突起若しくは段差が、表面401と第1の面F11との間に形成されていないことである。基材40の厚みは、例えば、500μm程度である。例えば、50μm以上、より好ましくは25μm以上、更に好ましくは10μm以上の深さの溝又はこの溝と同じ高さの突起若しくは段差が、表面401と第1の面F11との間に形成されていないことが好ましい。基材40に固定接点F10を圧着することにより、基材40に固定接点F10をかしめによって固定する場合と比較して、基材40の表面401と固定接点F10の第1の面F11とを面一にした構成を容易に実現できる。なお、基材40の表面401と固定接点F10の第1の面F11とは、平面又は曲面であってもよい。
また、可動接点M10のうち固定接点F10に対向する面M11と基部321の表面とが面一であってもよい。この構成により、可動導電部3におけるアークの端点が移動しやすくなるので、接点装置2の消弧性能を更に向上できる。また、可動接点M10が上記所定の基材に圧着される構成の場合は、可動接点M10のうち固定接点F10に対向する面M11と上記所定の基材の表面とが面一であってもよい。これにより、可動導電部3におけるアークの端点が移動しやすくなるので、接点装置2の消弧性能を更に向上できる。
また、端部42は、第3の方向D3から見て折り返されるように湾曲した形状であるが、端部42は、より具体的には、第3の方向D3から見てU字状又はC字状である形状であってもよい。
また、端部32は、例えば、第3の方向D3から見てU字状又はC字状である形状であってもよい。
また、実施形態1とは逆に、可動導電部3と固定導電部4とのうち、可動導電部3が直流電源V1の負極に電気的に接続され、固定導電部4が直流電源V1の正極に電気的に接続されてもよい。
また、電磁継電器1は、ヒンジ型リレーに限定されない。電磁継電器1は、可動導電部3に相当する可動子が直動することにより、可動接点と固定接点とが接触した状態と離れた状態とになるプランジャ型リレーであってもよい。
また、可動導電部3及び固定導電部4は、直流電源に電気的に接続されてもよいし、交流電源に電気的に接続されてもよい。
(実施形態2)
以下、実施形態2に係る接点装置について、図24、25を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の接点装置は、支持部材8を更に備えている。支持部材8は、矩形板状に形成されている。支持部材8は、例えば、ばね性を有する金属板からなる。支持部材8は、可動導電部3に積層するように取り付けられている。これにより、支持部材8は、可動導電部3を支持している。
支持部材8の長手方向は、第1の方向D1に沿っている。支持部材8は、可動導電部3のうち、固定接点F10(図1参照)側とは反対側の面301に取り付けられている。支持部材8は、可動導電部3の基部321と延在部31とに重なっている。支持部材8のうち一部の部位81は、可動導電部3から離れるように、第3の方向D3から見てU字状に曲がった形状である。部位81は、基部321と延在部31との境界部分に重なっている。支持部材8には、基部321の取付孔322に重なる貫通孔82が形成されている。支持部材8には、2つのかしめ孔83が形成されている。延在部31には、2つのかしめ孔311が形成されている。
可動接点M10を有する接点部材M1は、接点部材M1のもととなるリベット状の部材10の胴部11が取付孔322と貫通孔82とに通されて、胴部11がかしめ用の工具により潰されることで形成される。このようにして、接点部材M1は、基部321と支持部材8とに固定されている。また、直流電源V1(図12参照)の正極に電気的に接続される第1の端子部36は、可動導電部3と支持部材8とにかしめ等により電気的にかつ機械的に接続されている。第1の端子部36は、2つの突起362を有している。2つの突起362は、かしめ作業において延在部31の2つのかしめ孔311と支持部材8の2つのかしめ孔83に通されてから潰される。支持部材8は、第1の端子部36との間に可動導電部3を挟んだ状態で、第1の端子部36にかしめ等により固定されている。
可動導電部3がカード53(図1参照)に押されて変形するときは、支持部材8も一緒に変形する。支持部材8のうち、U字状に曲がった部位81は変形しやすい。また、本実施形態によれば、実施形態1と比較して、可動導電部3と支持部材8とを介して第1の端子部36と可動接点M10とが電気的に接続されるため、第1の端子部36と可動接点M10との間の電気抵抗を小さくできる。そのため、接点装置2はより大きな通電電流での使用が可能となる。
(実施形態3)
以下、実施形態3に係る接点装置2Bについて、図26を用いて説明する。接点装置2Bの構成のうち、比較例に係る接点装置2A(図21参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、以下で説明する接点装置2Bは、実施形態1の接点装置2と異なり、一の向きS1における先端から折り返されたように湾曲した第1端部(端部42:図14参照)を有する第1導電部(固定導電部4:図14参照)を備えていない。接点装置2Bは、固定導電部4に代えて、固定導電部400を備えている。ただし、接点装置2Bは、固定導電部400ではなく、実施形態1の固定導電部4を備えていてもよい。
接点装置2Bの可動導電部300は、第1の可動接点M30(図21参照)に代えて可動接点M50を備えており、固定導電部400は、第1の固定接点F30(図21参照)に代えて固定接点F50を備えている。
接点装置2Aにおいて、第1の可動接点M30の直径L7(図22A参照)及び第1の固定接点F30の直径L8(図22A参照)は、2.8mmである。接点装置2Bにおいて、可動接点M50の直径L10及び固定接点F50の直径L11は、1.5mmである。
接点装置2Bの可動接点M50の直径L10は、接点装置2Aの第1の可動接点M30の直径L7よりも小さい。したがって、アークがすばやく可動接点M50から基部30Aに移動することができ、アークの遮断を安定にすることができる。
接点装置2Bにおいて、基部30Aを基準としたときの可動接点M50の固定接点F50側への突出量L12は、例えば、0.65mmである。
また、第1の基材40Aを基準としたときの固定接点F50の可動接点M50側への突出量L13は、例えば、0.65mmである。
本実施形態の接点装置2Bにおいて、アークの遮断時間は、例えば、1.0ms以上2.0ms以下の範囲となった。
また、基部30Aからは、突出部35Aが突出している。突出部35Aは、基部30Aの一の向きS1における先端から固定接点F50側へ突出している。
(実施形態4)
以下、実施形態4に係る接点装置2Cについて、図27を用いて説明する。接点装置2Cの構成のうち、実施形態3に係る接点装置2B(図26参照)と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、以下で説明する接点装置2Cは、実施形態1の接点装置2と異なり、一の向きS1における先端から折り返されたように湾曲した第1端部(端部42:図14参照)を有する第1導電部(固定導電部4:図14参照)を備えていない。接点装置2Cは、固定導電部4に代えて、固定導電部400を備えている。ただし、接点装置2Cは、固定導電部400ではなく、実施形態1の固定導電部4を備えていてもよい。
接点装置2Cのケース7Cは、2つの挿入部71A(図19参照)に代えて、1つの挿入部71Cを有している。挿入部71Cの開口部710Cは、ケース7Cのカバー702Cの外面に設けられている。挿入部71Cは、カバー702Cの覆い部704Cの外面に窪み状に形成されている。挿入部71Cには、1つの永久磁石6Cが挿入されている。
永久磁石6Cは、第1の方向D1(規定の方向)において可動接点M50と固定接点F50とに対向している。基部30Aの長手方向は、第1の方向D1に沿っている。
永久磁石6Cは、第1の方向D1に沿った磁界を発生させる。固定接点F50と可動接点M50との間において第2の方向D2に流れる電流には、第3の方向D3(図27の紙面奥行き方向)に沿ったローレンツ力が作用する。したがって、固定接点F50と可動接点M50との間で発生するアークを、第3の方向D3に引き延ばすことができる。
以上説明した実施形態4から、以下の態様が開示されている。接点装置2Cでは、永久磁石6Cは、規定の方向(第1の方向D1)において第1接点(固定接点F50)と第2接点(可動接点M50)とのうち少なくとも1つに対向する。規定の方向は、一の向きS1に沿った方向である。
上記の構成によれば、永久磁石6Cが磁束を発生し、固定接点F50と可動接点M50との間で発生するアークA1にローレンツ力が作用するので、アークA1が引き延ばされやすい。
また、接点装置2Cでは、永久磁石6Cは、規定の方向(第1の方向D1)において第1接点(固定接点F50)と第2接点(可動接点M50)とのうち少なくとも1つに対向する。第2導電部(可動導電部300)は、基部30Aを有する。第2接点は、基部30Aに固定される。基部30Aの長手方向は、規定の方向に沿っている。
上記の構成によれば、永久磁石6Cが磁束を発生し、固定接点F50と可動接点M50との間で発生するアークA1にローレンツ力が作用するので、アークA1が引き延ばされやすい。
(実施形態5)
次に、実施形態5に係る接点装置2D及び電磁継電器1Dについて、図28~図36Bを用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の接点装置2Dは、図28、図32に示すように、第1の継鉄9(ヨーク)を更に備えている点で、実施形態1の接点装置2と相違する。第1の継鉄9は、ケース本体70に収容されている。ここでは、継鉄56と第1の継鉄9と区別するために、継鉄56を第2の継鉄56と称す。
可動接点M10のうち固定接点F10に対向する面M11は、球面状である。なお、面M11は、平面状又は凸状であってもよい。
対向部34D(図31参照)は、実施形態1の対向部34のうち2つの腕部342を除いた形状を有している。
図28に示すように、端部42は、中間部421と、湾曲部422とを有している。中間部421の第1端は、延在部41につながっており、第2端は、湾曲部422につながっている。つまり、中間部421は、延在部41と湾曲部422との間に位置する。中間部421は、一の向きS1に行くほどに可動接点M10に近づくように湾曲している。湾曲部422は、湾曲形状を有している。湾曲部422は、一の向きS1における中間部421の先端から一の向きS1とは反対向きに延びている。ここで、一の向きS1における中間部421の先端は、一の向きS1における端部42の先端420に一致する。固定接点F10は、湾曲部422に存在する。
湾曲部422のうち、中間部421に隣接する位置と可動接点M10に対向する位置との間の部位は、一の向きS1と反対向きに行くほどに可動接点M10に近づくように湾曲している。
図28に示すように、固定接点F10のうち、第1の面F11と隣り合う第2の面F12は、第1の面F11から一の向きS1と反対向きに延びるように設けられている。ここで、第2の面F12は、端部42のうち一の向きS1と反対向きにおける先端部423まで延びている。端部42の一部は、先端部423に近づくほどに可動接点M10から離れるように湾曲している。つまり、端部42のうち先端部423の周囲の部位は、延在部41側(図28の右側)へ湾曲している。したがって、先端部423と可動接点M10との間の第2の方向D2における距離L14は、固定接点F10と可動接点M10との間の第2の方向D2における距離L1よりも大きい。
可動接点M10が閉位置にあるとき、可動接点M10の面M11は、第1の方向D1に対して傾いており、固定接点F10のうち、第1の面F11の湾曲した領域に接触する。
図32、33において、ケース7Dの2つの挿入部71の各々は、第1の方向D1から見てL字形に形成された収容壁712と、ケース本体70のカバー702の一部とを含む。収容壁712は、カバー702の内側に設けられている。収容壁712は、カバー702と一体に形成されている。各挿入部71には、永久磁石6が収容されている。つまり、各挿入部71の収容壁712と、カバー702の内面との間に、永久磁石6が配置されている。各挿入部71とカバー702の内面との間には、第1の方向D1に開口した開口部710が形成されている。また、第2の方向D2における収容壁712の一端と、カバー702の内面との間には、隙間711が形成されている。
図32、33に示すように、第1の継鉄9は、U字状に形成されている。第1の継鉄9は、2つの側部91と、2つの側部91を連結する連結部92と、を有している。第1の継鉄9は、鉄(電磁軟鉄)等の磁性材料により形成されている。第1の継鉄9は、2つの永久磁石6で発生する磁束の経路上に配置されている。
2つの側部91は、第3の方向D3において、固定接点F10の両側に位置する。2つの側部91の形状は、矩形板状である。2つの側部91は、互いに略平行に向かい合っている。2つの側部91は、2つの挿入部71に一対一で対応している。各側部91は、対応する挿入部71に挿入されている。2つの側部91は、2つの永久磁石6に一対一で対応している。各側部91は、対応する永久磁石6に隣接している。固定接点F10を基準として、各側部91は、対応する永久磁石6よりも外側に位置している。つまり、各側部91は、対応する永久磁石6とカバー702の内面との間に配置されている。そのため、第1の継鉄9のうち永久磁石6に隣接する部位(側部91)と固定接点F10との間の距離L15は、永久磁石6のうち第1の継鉄9に隣接する部位と固定接点F10との間の距離L16よりも長い。ここで、本実施形態では、永久磁石6の全体が側部91に隣接しているので、永久磁石6のうち第1の継鉄9に隣接する部位とは、永久磁石6の全体を指す。
連結部92の形状は、矩形枠状である。連結部92は、中心に開口部920を有している。開口部920の形状は、矩形状である。固定接点F10と可動接点M10とが配置された空間SP1は、開口部920の内側の空間SP14を含む。ここで、空間SP1は、ケース7Dの内部空間である。開口部920の内面は、ケース7Dの内部に位置している。第3の方向D3における連結部92の両端からはそれぞれ、側部91が突出している。2つの側部91は、連結部92から第2の方向D2に沿って同じ向きに突出している。
連結部92は、カバー702の内面に対向して配置されている。連結部92は、各挿入部71の収容壁712の一端とカバー702の内面との間の隙間711に通されている。
連結部92は、固定接点F10と可動接点M10とが配置された空間SP1に露出している。すなわち、第1の継鉄9の少なくとも一部は、空間SP1に露出している。固定接点F10は、連結部92と可動接点M10との間に位置している。
図34A、34Bに、実施形態5の電磁継電器1Dにおいて発生したアーク及びアークの両側の端点P3、P4が移動する様子の一例を示す。図34Aにおいて、太線の破線は、発生直後のアークの仮想経路A1を表す。図34A、34Bにおいて、細線の2点鎖線はそれぞれ、移動後のアークの仮想経路A1を示す。端点P3は、可動導電部3Dにおけるアークの端点であり、端点P4は、固定導電部4Dにおけるアークの端点である。図34A、34Bの太矢印は、アークの各点に作用するローレンツ力の向きを表す。
空間SP1に配置された第1の継鉄9は、開口部920を有しているので、開口部920の内側の空間を、アークの伸長空間の一部として用いることができる。すなわち、アークを、開口部920の内側の空間まで伸びるように引き伸ばすことができる。このように、接点装置2Dでは、第1の継鉄9が開口部920を有していない場合と比較して、アークの伸長空間が広い。
また、図28に示すように、端部42のうち、一の向きS1と反対向きにおける先端部423の周囲の部位は、可動接点M10から離れる向きに湾曲している。先端部423と可動接点M10との間の第2の方向D2における距離L14は、固定接点F10と可動接点M10との間の第2の方向D2における距離L1よりも大きい。そのため、端部42においてアークの端点P4が可動接点M10に最も近い位置から先端部423に向かって移動した場合に、アークが引き伸ばされる。これにより、接点装置2Dでは、消弧性能を更に向上させている。
図34A、34Bでは、固定導電部4Dにおけるアークの端点P4が端部42から延在部41へ移動するようにしてアークが引き伸ばされる場合について説明した。これに対して、アークは、端点P4が端部42に留まったままの状態で引き伸ばされる場合がある。この場合のアークの仮想経路A2を図示した図28、35を参照して、以下詳細に説明する。
以下では、アークが仮想経路A2に沿って発生する場合の、固定導電部4Dにおけるアークの端点を端点P5とし、この場合の可動導電部3Dにおけるアークの端点を端点P6とする。
端点P5が第3の方向D3における固定接点F10の中心付近に位置するときは、図28における固定接点F10の右に、固定接点F10に固定された基材40の一部があるので、アークは端点P5から右へ引き延ばされ難い。
導体において、電界は、尖った部位に集中しやすい。つまり、固定接点F10の中心付近と比較して、第3の方向D3における固定接点F10の端では電界集中が起きやすい。そのため、アークの端点P5は、第3の方向D3における固定接点F10の端に移動する傾向にある。実際に、端点P5は、第3の方向D3における固定接点F10の中心付近から、図35のように、第3の方向D3における固定接点F10の端まで移動することがある。すると、アークは、基材40の近傍(図28において、基材40よりも紙面手前側)を通って、端点P5から右へ引き延ばされることが可能となる。そのため、アークは、例えば、仮想経路A2のように引き伸ばされる。すなわち、仮想経路A2では、アークは、第3の方向D3における固定接点F10の端から、延在部41側へ延び、さらに、一の向きS1に延び、円を描くようにして可動接点M10につながっている。つまり、アークが固定接点F10から可動接点M10側とは反対側に延びる。
ここで、固定導電部4Dの固定接点F10におけるアークの端点P5が、第3の方向D3における固定接点F10の端まで早く移動すると、アークを早く引き伸ばすことができる。そのため、第3の方向D3において固定接点F10の幅W1が十分に小さいことが好ましい。図36Aに示すように、本実施形態の固定導電部4Dでは、第3の方向D3において、固定接点F10(第1接点)の幅W1は、固定導電部4D(第1導電部)の幅の中の最大幅W3よりも小さい。ここでは、最大幅W3は、後述する第3部位415の第3の方向D3における幅に相当する。さらに、第3の方向D3において、固定接点F10の幅W1は、固定導電部4Dのうち、固定接点F10と可動接点M10とが配置された空間SP1に露出している部位(後述する第1部位413及び第2部位414)の幅の中の最大幅W2よりも小さい。ここでは、最大幅W2は、第2部位414の第3の方向D3における幅に相当する。
固定導電部4Dでは、第3の方向D3において、固定接点F10を含む端部42の幅は、端部42のどの箇所でも略一定である。つまり、端部42のうち固定接点F10を除く部位の幅は、固定接点F10の幅W1と略等しい。図36A、36Bに示すように、延在部41は、第1部位413、第2部位414及び第3部位415を有している。第1部位413、第2部位414及び第3部位415の各々の形状は、矩形板状である。第1部位413は、端部42につながっている部位である。第3部位415は、直流電源V1(図12参照)の負極に電気的に接続される第2の端子部46(図29参照)と電気的にかつ機械的に接続されている部位である。第2部位414は、第1部位413と第3部位415との間の部位である。第1部位413から第2部位414に至る部位では、テーパ416により、第3の方向D3の幅が広がっている。第1部位413、第2部位414及び第3部位415を、第3の方向D3において幅が大きい方から順に並べると、第3部位415、第2部位414、第1部位413の順となる。
第3の方向D3において、固定導電部4Dの最大幅W3は、第3部位415の幅である。また、第3部位415は、ケース7D(図29参照)の複数の壁部72の間に配置されることにより、固定接点F10と可動接点M10とが配置された空間SP1に露出していない状態とされている。第3の方向D3において、固定導電部4Dのうち、固定接点F10と可動接点M10とが配置された空間SP1に露出している部位の幅の中の最大幅W2は、第2部位414の幅である。
また、第3の方向D3において、固定接点F10の幅W1は、可動接点M10の幅W4以下である。
ここで、一例として、固定接点F10の幅W1は0.1~1.5mm、第2部位414の最大幅W2は0.5mm~1.7mm、第3部位415の最大幅W3は2.5mm以下、可動接点M10の幅W4は1.5~3.0mmである。
このように、第3の方向D3において固定接点F10の幅W1が最大幅W2、W3、幅W4よりも小さいので、幅W1が最大幅W2以上、最大幅W3以上又は幅W4以上の場合と比較して、固定接点F10におけるアークの端点P5が第3の方向D3における固定接点F10の端まで早く移動する。これにより、アークを引き伸ばしやすくすることができる。
(永久磁石による外部への影響)
次に、実施形態5の接点装置2Dの他の利点について、比較例に係る接点装置2Pとの比較を交えて説明する。図37は、比較例に係る接点装置2Pの要部の断面図である。接点装置2Pは、第1の継鉄9を備えていない点で、実施形態5に係る接点装置2D(図33参照)と相違する。接点装置2Dの第1の継鉄9は、2つの永久磁石6の発生する磁束が接点装置2Dの外部に及ぼす影響を低減させる。
より詳細には、第1の継鉄9を備えていない接点装置2Pでは、2つの永久磁石6で発生する磁束(図37に点線で示す)の一部は、2つの永久磁石6が並んでいる方向である第3の方向D3に沿って接点装置2Pの外部へ漏れる。一方で、第1の継鉄9を備えている接点装置2Dでは、2つの永久磁石6で発生する磁束(図33に点線で示す)の少なくとも一部は、第1の継鉄9により形成される磁気回路に沿うこととなる。第1の継鉄9により形成される磁気回路は、第1の継鉄9の2つの側部91のうち一方の側部91から、連結部92を通り、他方の側部91に至る経路により構成される。つまり、磁束が磁気回路に沿うことで、接点装置2Dの外部に出る磁束は、接点装置2Dの付近を通りやすくなる。これにより、接点装置2Dでは、第1の継鉄9を備えていない接点装置2Pと比較して、2つの永久磁石6の発生する磁束が接点装置2Dの外部に及ぼす影響を低減させることができる。例えば、2つの永久磁石6が接点装置2Dの外部の部材を着磁させたり、2つの永久磁石6が接点装置2Dの外部の部材を吸引したりする可能性を低減させることができる。実験では、永久磁石6の中央部から外部へ漏れる磁束の磁束密度は、接点装置2Dでは約60mTであり、接点装置2Pでは約200mTであった。また、接点装置2Dの周面のうち磁束密度が最も大きい部位での磁束密度は、約90mTであった。
(実施形態5の変形例1)
次に、実施形態5の変形例1について、図38を用いて説明する。実施形態5と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態5では、図36Aに示すように、固定接点F10と可動接点M10とが接触する場合に、第2の方向D2から見て、固定接点F10の中心を通り一の向きS1と平行な第1の直線SL1は、可動接点M10の中心を通り一の向きS1と平行な第2の直線SL2と一致する。
本変形例1では、実施形態5と比較して、図38に示すように、固定接点F10を含む固定導電部4Eが、第3の方向D3にずれて配置されている。より詳細には、可動接点M10の中心が、固定接点F10の第3の方向D3における一端付近に接触するように、固定導電部4Eがずれて配置されている。
本変形例1では、固定接点F10と可動接点M10とが接触する場合に、第2の方向D2から見て、固定接点F10の中心を通り一の向きS1と平行な第1の直線SL1は、可動接点M10の中心を通り一の向きS1と平行な第2の直線SL2とは異なる位置にある。つまり、第1の直線SL1は第2の直線SL2と一致しない。可動接点M10の中心は、固定接点F10のうち、固定接点F10の中心に対して第3の方向D3にずれた位置に接触することになる。
そのため、固定接点F10と可動接点M10との間にアークが発生した場合に、固定接点F10におけるアークの端点は、まず最初に第3の方向D3における固定接点F10の端の付近に位置する可能性が高い。これにより、本変形例1では、実施形態5と比較して、固定接点F10におけるアークの端点が、第3の方向D3における固定接点F10の端へとより短い時間で移動しやすい。固定接点F10におけるアークの端点が、第3の方向D3における端に移動すると、図35に示す仮想経路A2のようにアークが引き延ばされることがある。つまり、本変形例1では、アークの端点が第3の方向D3における固定接点F10の端へ移動するのに要する時間を短縮することで、アークをより早く引き伸ばし、消弧性能の向上を図ることができる。
(実施形態5の変形例2)
次に、実施形態5の変形例2について、図39を用いて説明する。実施形態5と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例の接点装置2Fは、永久磁石6を1つのみ備えている点で、実施形態5の接点装置2Dと相違する。また、実施形態5の第1の継鉄9は、2つの側部91及び連結部92を有しているのに対して、本変形例の第1の継鉄9Fは、1つの側部91のみを有している。
固定接点F10を基準として、永久磁石6は、第3の方向D3における一方側(図39では下側)に位置する。また、固定接点F10を基準として、第3の方向D3における他方側(図39では上側)には、永久磁石6が配置されていない。
本変形例2であっても、永久磁石6の磁界により発生するローレンツ力をアークに作用させて、アークを引き伸ばすことができる。また、本変形例2であっても、第1の継鉄9Fが磁気回路を構成するので、永久磁石6が接点装置2Fの外部に及ぼす影響を低減させることができる。
なお、固定接点F10を基準として、第3の方向D3における一方側に、複数の永久磁石6が配置されていてもよい。
また、固定接点F10を基準として、1又は複数の永久磁石6が第3の方向D3における一方側に位置する場合に、第1の継鉄9Fは、1つの側部91のみを有する構成に限定されない。例えば、第1の継鉄9Fは、実施形態5の第1の継鉄9のように、2つの側部91と連結部92とを有していてもよい。
(実施形態5の変形例3)
次に、実施形態5の変形例3について、図40を用いて説明する。実施形態5と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例3の接点装置2Gの第1の継鉄9Gは、連結部92を有していない点で、実施形態5の第1の継鉄9と相違する。また、本変形例3の接点装置2Gは、永久磁石6Gを1つのみ備えている点で、実施形態5の接点装置2Dと相違する。
永久磁石6Gの2つの磁極は、永久磁石6Gの長手方向の両端(図40の上端及び下端)に設けられている。永久磁石6Gの2つの磁極のうち一方は、第1の継鉄9Gの2つの側部91のうち一方に対向しており、永久磁石6Gの2つの磁極のうち他方は、第1の継鉄9Gの2つの側部91のうち他方に対向している。接点装置2Gでは、2つの側部91のうち一方から永久磁石6Gを通り2つ側部91のうち他方に至る経路が、永久磁石6Gの磁束が通る磁気回路を構成する。つまり、第1の継鉄9Gは、永久磁石6Gで発生する磁束の経路上に配置されている。
第1の継鉄9Gのうち永久磁石6Gに隣接する部位911と固定接点F10との間の距離L17は、永久磁石6Gのうち第1の継鉄9Gに隣接する部位61Gと固定接点F10との間の距離L18よりも長い。固定接点F10を基準として、各側部91の少なくとも一部(部位911)は、対応する永久磁石6Gよりも外側に位置している。
2つの側部91は、永久磁石6Gの磁界により着磁する。したがって、実施形態5と同様に、固定接点F10及び可動接点M10の周りには、第3の方向D3に沿った磁界が発生する。これにより、本変形例3であっても、永久磁石6Gの磁界により発生するローレンツ力をアークに作用させて、アークを引き伸ばすことができる。また、本変形例3であっても、第1の継鉄9Gが磁気回路を構成するので、永久磁石6Gの発生する磁束が接点装置2Gの外部に及ぼす影響を低減させることができる。
なお、実施形態5において、2つの永久磁石6の配置は変えずに、第1の継鉄9の構成のみを本変形例3のように変更してもよい。つまり、実施形態において、固定接点F10を基準として第3の方向D3における両側に永久磁石6を配置した構成は変えずに、第1の継鉄9の構成を連結部92を有さない構成としてもよい。
(実施形態5の変形例4)
次に、実施形態5の変形例4について、図41、42を用いて説明する。実施形態5と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
本変形例4の接点装置2Hは、第1の継鉄9H及び2つの永久磁石6を収容する空間が、ケース7Hの内部ではなく外部に開口している点で、実施形態5の接点装置2Dと相違する。すなわち、ケース7Hのカバー702のうち、覆い部704には、2つの第1開口部74と、2つの第1開口部74を連結する第2開口部75とが形成されている。カバー702は、2つの第1開口部74と第2開口部75とにおいて、内側へ窪んでいる。つまり、カバー702には、2つの第1開口部74と第2開口部75とにおいて外部につながった窪みが形成されている。2つの第1開口部74における窪みの深さは、第2開口部75における窪みの深さよりも大きい。
また、接点装置2Hは、第1の継鉄9Hの連結部92Hの形状がU字状である点でも、実施形態5の接点装置2Dと相違する。連結部92Hは、基台701とカバー702とが並んでいる方向(第1の方向D1)におけるカバー702側(上側)において、第1の継鉄9Hの2つの側部91を連結している。
2つの第1開口部74に対して、第1の継鉄9Hの2つの側部91と、2つの永久磁石6とが一対一で対応している。各第1開口部74には、対応する側部91及び永久磁石6が通されている。第2開口部75には、第1の継鉄9Hの連結部92Hの少なくとも一部が通されている。
ケース7Hは、2つの第1挿入部71Hを備えている。側部91及び永久磁石6の組が2つ設けられていることに対応して、第1挿入部71Hが2つ設けられている。すなわち、2つの第1挿入部71Hは、第3の方向D3における固定接点F10(図33参照)の両側に設けられている。各第1挿入部71Hは、ケース7Hの内部の空間SP1に設けられた収容壁712Hと、カバー702の一部とを含む。各第1挿入部71Hの形状は、第1開口部74において開口した矩形箱状である。側部91及び永久磁石6は、第1開口部74を通して、第1挿入部71Hに挿入されている。
ケース7Hは、第2挿入部76を更に備えている。第2挿入部76は、ケース7Hの内部の空間SP1に設けられた収容壁761と、カバー702の一部とを含む。第2挿入部76の形状は、第2開口部75において開口した矩形箱状である。第1の継鉄9Hの連結部92Hの少なくとも一部は、第2開口部75を通して、第2挿入部76に挿入されている。
第1の継鉄9Hの開口部920Hは、切欠き状に形成されている。開口部920Hの内側には、第1挿入部71Hの一部である収容壁712Hと、第2挿入部76の一部である収容壁761とが位置している。以下の説明では、開口部920Hの内側の空間SP15は、収容壁712H及び収容壁761が配置された領域を含まない空間とする。すなわち、空間SP15は、開口部920Hの内側に位置する収容壁712H及び収容壁761よりも更に内側の空間であって、固定接点F10と可動接点M10とが配置された空間SP1の一部であるとする。つまり、空間SP1は、開口部920Hの内側の空間を含む。ここで、空間SP1は、ケース7Hの内部空間である。
ケース7Hは、2つの第1挿入部71H及び第2挿入部76を含む収容部77を有している。収容部77は、2つの永久磁石6と第1の継鉄9Hとを収容している。収容部77は、2つの永久磁石6と第1の継鉄9Hとを、ケース7Hの内部空間(空間SP1)から隔てている。
(実施形態5のその他の変形例)
次に、実施形態5のその他の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、変形例1~3と適宜組み合わせて実現されてもよい。
第1の継鉄9の連結部92の形状は、枠状に限定されない。第1の継鉄9の連結部92の形状は、例えば、第1の方向D1の一端が開放されたU字状であってもよい。
また、第1の継鉄9の連結部92の配置は、実施形態5に示した配置に限定されない。例えば、連結部92は、固定接点F10に対して図29における左側に配置されていてもよい。すなわち、固定接点F10と連結部92との間に可動接点M10が位置するように、連結部92が配置されてもよい。あるいは、連結部92は、固定接点F10に対して図29における上側又は下側に配置されていてもよい。すなわち、連結部92は、第1の方向D1において固定接点F10と対向する位置に配置されてもよい。
第1の継鉄9は、電気絶縁性を有する部材によりコーティングされていてもよい。これにより、第1の継鉄9と固定導電部4Dとの間の電気絶縁性を向上させることができる。
また、第1の継鉄9の連結部92と固定導電部4Dとの間には、電気絶縁性を有する部材(例えば板状の部材)が配置されていてもよい。これにより、第1の継鉄9と固定導電部4Dとの間の電気絶縁性を向上させることができる。あるいは、第1の継鉄9は、ケース本体70に埋め込まれていてもよい。
第1の継鉄9に対する固定接点F10の配置と、第1の継鉄9に対する可動接点M10の配置とが、実施形態5とは逆であってもよい。すなわち、可動接点M10は、連結部92と固定接点F10との間に位置していてもよい。つまり、固定接点F10と可動接点M10とのうち一方は、他方と連結部92との間に位置していてもよい。
永久磁石6の配置は、実施形態5に示した配置に限定されない。例えば、永久磁石6は、図29における固定接点F10又は可動接点M10の上側に配置されてもよい。すなわち、永久磁石6は、第1の方向D1において固定接点F10又は可動接点M10と対向するように配置されてもよい。
(まとめ)
以上説明した実施形態1~5及び変形例から、以下の態様が開示されている。
第1の態様に係る接点装置2は、第1導電部(固定導電部4)と、第2導電部(可動導電部3)と、を備える。第1導電部は、第1端部(端部42)と、第1延在部(延在部41)と、を有する。第1端部は、第1接点(固定接点F10)を含む。第1延在部は、一の向きS1に延びるように設けられ、一の向きS1における先端で第1端部につながっている。第2導電部は、第2端部(端部32)と、第2延在部(延在部31)と、を有する。第2端部は、第2接点(可動接点M10)を含む。第2延在部は、一の向きS1に延びるように設けられ、一の向きS1における先端で第2端部につながっている。第1接点及び第2接点のうち一方は可動接点M10であり、第1接点及び第2接点のうち他方は固定接点F10である。可動接点M10は、固定接点F10に接触する閉位置と固定接点から離れた開位置との間で移動する。第1端部及び第2端部のうち少なくとも第1端部は、一の向きS1における第1端部の先端420から折り返されたように湾曲している。第1接点は、第1端部における折り返された部位に存在し、第2接点に対向している。
上記の構成によれば、少なくとも第1端部(端部42)は、一の向きS1における第1端部の先端420から折り返されたように湾曲している。これにより、端部42では、端部42が平状である場合と比較して、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1の端点P4が移動しやすい。例えば、端部42では、端部42のうち端部32側とは反対側の面411へと、アークA1の端点P4が移動しやすい。したがって、接点装置2で発生するアークA1に対する消弧性能を向上させることができる。
また、第2の態様に係る接点装置2では、第1の態様において、第1導電部(固定導電部4)は、基材40を有する。基材40は、第1端部(端部42)の一部を含む。基材40には、第1接点(固定接点F10)が圧着されている。
上記の構成によれば、第1端部(端部42)では、第1接点(固定接点F10)が基材40に圧着されているので、例えば、第1接点が基材40にかしめられる場合と比較して、第1接点と基材40との隙間を小さくできる。これにより、第1接点と基材40との間で、アークA1の端点P4が移動しやすい。
また、第3の態様に係る接点装置2では、第1又は2の態様において、第1導電部(固定導電部4)は、基材40を有する。基材40は、第1端部(端部42)の一部を含む。基材40には、第1接点(固定接点F10)が固定されている。基材40の表面401は、第1接点(固定接点F10)の面(第1の面F11)と面一である。第1の面F11は、第1接点のうち、第2接点(可動接点M10)に対向する面である。
上記の構成によれば、基材40の表面401は、第1接点(固定接点F10)の面(第1の面F11)と面一である。これにより、基材40の表面401と第1接点の面との間に段差がある場合と比較して、基材40と第1接点との間で、アークA1の端点P4が移動しやすい。
また、第4の態様に係る接点装置2では、第3の態様において、第1端部(端部42)は、一の向きS1における第1端部の先端420から第2端部(端部32)側に延びるように湾曲した面(第1の面F11)を有している。
上記の構成によれば、第1端部(端部42)では、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1の端点P4が更に移動しやすい。
また、第5の態様に係る接点装置2は、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、永久磁石6を更に備える。永久磁石6は、規定の方向(第3の方向D3)において、第1接点(固定接点F10)と第2接点(可動接点M10)とのうち少なくとも1つに対向する。
上記の構成によれば、永久磁石6が磁束を発生し、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1にローレンツ力が作用するので、アークA1が引き延ばされやすい。
また、第6の態様に係る接点装置2では、第5の態様において、規定の方向(第3の方向D3)は、一の向きS1と直交し、かつ、第1接点(固定接点F10)と第2接点(可動接点M10)とが対向する方向(第2の方向D2)と直交する方向である。
上記の構成によれば、永久磁石6が磁束を発生することにより、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1にローレンツ力が作用するので、アークA1が引き延ばされやすい。また、アークA1は、第1導電部(固定導電部4)及び第2導電部(可動導電部3)のそれぞれの端部における対向面とは反対側を含む空間において延伸されやすい。
また、第7の態様に係る接点装置2は、第5の態様において、永久磁石6を2つ備える。第1接点(固定接点F10)と第2接点(可動接点M10)とのうち少なくとも1つは、2つの永久磁石6の間に位置する。第2導電部(可動導電部3)は、基部321を有する。第2接点は、基部321に固定される。規定の方向(第3の方向D3)は、第1接点と第2接点とが対向する方向(第2の方向D2)と直交し、かつ、基部321の長手方向(第1の方向D1)と直交する方向である。
上記の構成によれば、アークA1を基部321の長手方向(第1の方向D1)に沿って引き延ばすことができる。
また、第8の態様に係る接点装置2では、第5~7の態様のいずれか1つにおいて、永久磁石6は、第1接点(固定接点F10)と第2接点(可動接点M10)との間において第1接点と第2接点とが対向する方向(第2の方向D2)に流れる電流に対して、一の向きS1に沿った方向(第1の方向D1)にローレンツ力が作用するように配置されている。
上記の構成によれば、永久磁石6が磁束を発生することにより、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1が更に引き延ばされやすい。すなわち、アークA1が、第1端部(端部42)及び第2端部(端部32)の一の向きS1側に存在する空間、及び、第1端部及び第2端部の互いの対向面とは反対側を含む空間において、アークA1が効率よく伸長される。
また、第9の態様に係る接点装置2Cでは、第5の態様において、永久磁石6Cは、規定の方向(第1の方向D1)において第1接点(固定接点F50)と第2接点(可動接点M50)とのうち少なくとも1つに対向する。規定の方向は、一の向きS1に沿った方向である。
上記の構成によれば、永久磁石6Cが磁束を発生し、固定接点F50と可動接点M50との間で発生するアークA1にローレンツ力が作用するので、アークA1が引き延ばされやすい。
また、第10の態様に係る接点装置2Cでは、第5又は9の態様において、永久磁石6Cは、規定の方向(第1の方向D1)において第1接点(固定接点F50)と第2接点(可動接点M50)とのうち少なくとも1つに対向する。第2導電部(可動導電部300)は、基部30Aを有する。第2接点は、基部30Aに固定される。基部30Aの長手方向は、規定の方向に沿っている。
上記の構成によれば、永久磁石6Cが磁束を発生し、固定接点F50と可動接点M50との間で発生するアークA1にローレンツ力が作用するので、アークA1が引き延ばされやすい。
また、第11の態様に係る接点装置2では、第5~11の態様のいずれか1つにおいて、永久磁石6は、規定の方向(第3の方向D3)において、第1端部(端部42)及び第2端部(端部32)に対向する。
上記の構成によれば、永久磁石6が磁束を発生することにより、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1が更に引き延ばされやすく、アークA1に対する消弧性能を向上できる。
また、第12の態様に係る接点装置2は、第1~11のいずれか1つの態様において、ケース7を更に備える。ケース7には、第1導電部(固定導電部4)及び第2導電部(可動導電部3)が収容される。ケース7の内部の空間は、空間SP11と、空間SP12及び空間SP13のうち少なくとも一方と、を含む。空間SP11は、第1端部(端部42)及び第2端部(端部32)に対して一の向きS1において存在する。空間SP12は、第1接点(固定接点F10)と第2接点(可動接点M10)とが対向する方向(第2の方向D2)において、第1接点から見て第2接点側とは反対側に存在する。空間SP13は、第1接点と第2接点とが対向する方向において、第2接点から見て第1接点側とは反対側に存在する。
上記の構成によれば、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1を、空間SP11、空間SP12又は空間SP13へ引き延ばすことができる。
また、第13の態様に係る接点装置2では、第1~12のいずれか1つの態様において、第1導電部(固定導電部4)は、直流電源V1の負極に電気的に接続される。第2導電部(可動導電部3)は、直流電源V1の正極に電気的に接続される。
第1端部(端部42)及び第2端部(端部32)のうち、直流電源V1の負極に電気的に接続される端部42は、アークA1が発生する場合に電子を放出する。上記の構成によれば、直流電源V1の負極に電気的に接続される端部42は、一の向きS1における端部42の先端420から折り返されたように湾曲している。したがって、直流電源V1の負極に電気的に接続される端部42が平状である場合と比較して、アークA1の端点P4(電子の放出点)が移動しやすい。
また、第14の態様に係る接点装置2では、第1~13のいずれか1つの態様において、第2導電部(可動導電部3)は、基部321を有する。基部321は、第2端部(端部32)の一部を含む。第2接点(可動接点M10)は、基部321にかしめられている。
上記の構成によれば、第2接点(可動接点M10)を基部321に容易に取り付けられる。
また、第15の態様に係る接点装置2では、第1~14のいずれか1つの態様において、第1接点(固定接点F10)と第2接点(可動接点M10)との間の距離L1は、0.6mm以上1.1mm以下である。
上記の構成によれば、距離L1がより短い場合と比較して、アークA1が引き延ばされやすい。
また、第16の態様に係る接点装置2では、第1~15のいずれか1つの態様において、第1接点(固定接点F10)と第2接点(可動接点M10)とが対向する方向(第2の方向D2)から見た第2接点の外縁は曲線形である。
上記の構成によれば、第2接点(可動接点M10)では熱が伝達されやすいので、アークA1の端点P3が移動しやすい。
また、第17の態様に係る接点装置2は、第1~16のいずれか1つの態様において、ケース7を更に備える。ケース7は、ケース本体70と、挿入部71と、を有する。ケース本体70には、第1導電部(固定導電部4)及び第2導電部(可動導電部3)が収容される。挿入部71は、ケース本体70の内側に設けられる。挿入部71には、永久磁石6が挿入される。
上記の構成によれば、永久磁石6は、ケース本体70の内側の挿入部71に挿入されるので、ケース本体70の外側に永久磁石6が配置される場合と比較して、ケース本体70の外部の構成に対して永久磁石6を絶縁することが容易である。
また、第18の態様に係る電磁継電器1は、第1~17のいずれか1つの態様に係る接点装置2と、駆動部5と、を備える。駆動部5は、コイル51と、接極子52と、を有する。接極子52は、コイル51の通電状態の変化に応じて変位することで、第1導電部(固定導電部4)及び第2導電部(可動導電部3)のうち可動接点M10を有する導電部(可動導電部3)を駆動して、可動接点M10を閉位置と開位置との間で移動させる。
上記の構成によれば、接点装置2では、第1端部(端部42)では、端部42が平状である場合と比較して、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1の端点P4が移動しやすい。したがって、消弧性能を向上できる。
また、第19の態様に係る電磁継電器1では、第18の態様において、駆動部5は、カード53を更に有する。カード53は、接極子52の変位に応じて変位することで、第1導電部(固定導電部4)及び第2導電部(可動導電部3)のうち可動接点M10を有する導電部(可動導電部3)を駆動して、可動接点M10を閉位置と開位置との間で移動させる。カード53は、電気絶縁性を有する。カード53は、第1導電部(固定導電部4)及び第2導電部(可動導電部3)のうち可動接点M10を有する導電部(可動導電部3)と接極子52との間に配置されている。
上記の構成によれば、カード53は、電気絶縁性を有し、可動接点M10を有する導電部(可動導電部3)と接極子52との間に配置されている。したがって、カード53により、可動接点M10を有する導電部と接極子52との間の絶縁性を向上できる。
また、第20の態様に係る電磁継電器1では、第19の態様において、第1導電部(固定導電部4)及び第2導電部(可動導電部3)のうち可動接点M10を有する導電部(可動導電部3)は、対向部34を更に有する。対向部34は、可動接点M10のうち固定接点F10に対向する面M11から見て固定接点F10側とは反対側に設けられている。対向部34は、カード53に対向する。
上記の構成によれば、対向部34により、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1からカード53を保護できる。
また、第21の態様に係る電磁継電器1では、第18~20のいずれか1つの態様において、接点装置2は、ケース7を更に備える。ケース7には、第1導電部(固定導電部4)、第2導電部(可動導電部3)及び駆動部5が収容される。ケース7は、内壁73を有する。内壁73は、第1導電部(固定導電部4)及び第2導電部(可動導電部3)のうち可動接点M10を有する導電部(可動導電部3)と接極子52との間に設けられている。内壁73は、空間SP1と空間SP2とを隔てる。空間SP1には、固定接点F10と可動接点M10とが配置される。空間SP2には、接極子52が配置される。
上記の構成によれば、内壁73により、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークA1から接極子52を保護できる。
第22の態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)は、第1の態様において、第1導電部(固定導電部4D又は4E)と、第2導電部(可動導電部3D)と、を備える。第1導電部は、第1端部(端部42)と、第1延在部(延在部41)と、を有する。第1端部は、第1接点(固定接点F10)を含む。第1延在部は、一の向きS1に沿って長さを有する。第1延在部は、一の向きS1における先端で第1端部につながっている。第2導電部は、第2端部(端部32)と、第2延在部(延在部31)と、を有する。第2端部は、第2接点(可動接点M10)を含む。第2延在部は、一の向きS1に沿って長さを有する。第2延在部は、一の向きS1における先端で第2端部につながっている。第1接点及び第2接点のうち一方は可動接点M10であり、他方は固定接点F10である。可動接点M10は、固定接点F10に接触する閉位置と固定接点から離れた開位置との間で移動する。第1端部は、中間部421と、湾曲部422と、を有する。中間部421は、第1延在部につながっている。湾曲部422は、湾曲形状を有する。湾曲部422は、一の向きS1における中間部421の先端420から一の向きS1と反対向きに延びている。第1接点は、湾曲部422に存在し、第2接点に対向している。
上記の構成によれば、第1端部(端部42)のうち湾曲部422が湾曲形状を有しているので、端部42が平状である場合と比較して、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークの端点が移動しやすい。例えば、端部42では、端部42のうち端部32側とは反対側の面411へと、アークの端点が移動しやすい。したがって、接点装置2D(又は2F、2G、2H)で発生するアークに対する消弧性能を向上させることができる。
また、第23の態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)は、第22の態様において、永久磁石6(又は6G)と、ヨーク(第1の継鉄9、9F、9G又は9H)と、を更に備える。ヨークは、永久磁石6(又は6G)に隣接して配置されている。ヨークのうち永久磁石6(又は6G)に隣接する部位と固定接点F10との間の距離L15(又はL17)は、永久磁石6(又は6G)のうちヨークに隣接する部位と固定接点F10との間の距離L16(又はL18)よりも長い。
上記の構成によれば、永久磁石6(又は6G)で発生する磁束の少なくとも一部は、ヨーク(第1の継鉄9、9F、9G又は9H)を通る。したがって、永久磁石6(又は6G)で発生する磁束が接点装置2D(又は2F、2G、2H)の外部に漏れる可能性を低減できる。
また、第24の態様に係る接点装置2D(又は2H)では、第23の態様において、ヨーク(第1の継鉄9又は9H)は、2つの側部91と、連結部92(又は92H)と、を有する。2つの側部91は、規定の方向(第3の方向D3)において、固定接点F10の両側に位置する。規定の方向は、一の向きS1及び固定接点F10と可動接点M10とが対向する方向(第2の方向D2)の両方と直交する。連結部92(又は92H)は、2つの側部91を連結する。
上記の構成によれば、永久磁石6で発生する磁束の少なくとも一部は、ヨーク(第1の継鉄9)の2つの側部91と連結部92(又は92H)とにより構成される磁気回路を通る。したがって、永久磁石6で発生する磁束が接点装置2D(又は2H)の外部に漏れる可能性を更に低減できる。
また、第25の態様に係る接点装置2D(又は2H)は、第24の態様において、ケース7D(又は7H)を備える。ケース7D(又は7H)は、固定接点F10と可動接点M10とが配置された内部空間(空間SP1)を有する。連結部92(又は92H)は、開口部920(又は920H)を有する。内部空間(空間SP1)は、開口部920(又は920H)の内側の空間SP14(又はSP15)を含む。
上記の構成によれば、開口部920(又は920H)の内部空間を、アークを引き延ばすための空間の一部として用いることができる。
また、第26の態様に係る接点装置2Hでは、第25の態様において、ケース7Hは、収容部77を有する。収容部77には、永久磁石6とヨーク(第1の継鉄9H)とが収容される。収容部77は、永久磁石6とヨークとをケース7Hの内部空間(空間SP1)から隔てる。
上記の構成によれば、ヨーク(第1の継鉄9H)と固定接点F10及び可動接点M10との間の電気絶縁性の向上を図ることができる。
また、第27の態様に係る接点装置2D(又は2H)では、第24~26の態様のいずれか1つにおいて、固定接点F10と可動接点M10とのうち一方は、他方と連結部92(又は92H)との間に位置する。
上記の構成によれば、ヨーク(第1の継鉄9又は9H)が一の向きS1において固定接点F10及び可動接点M10と対向する位置に配置される場合と比較して、一の向きS1におけるアークの引き延ばしがヨークにより阻害される可能性を低減できる。
また、第28の態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)では、第27の態様において、固定接点F10は、連結部92(又は92H)と可動接点M10との間に位置する。
上記の構成によれば、可動接点M10が固定接点F10とヨーク(第1の継鉄9又は9H)との間に位置する場合と比較して、可動接点M10の移動がヨークにより阻害される可能性を低減できる。
また、第29の態様に係る接点装置2Fでは、第23~28の態様のいずれか1つにおいて、固定接点F10を基準として、永久磁石6は、規定の方向(第3の方向D3)における一方側に位置する。規定の方向は、一の向きS1及び固定接点F10と可動接点M10とが対向する方向(第2の方向D2)の両方と直交する。
上記の構成によれば、固定接点F10を基準として永久磁石6を規定の方向(第3の方向D3)における両側に設ける場合と比較して、アークを引き延ばすための空間を確保しやすい。
また、第30の態様に係る接点装置2Dでは、第23~29の態様のいずれか1つにおいて、ヨーク(第1の継鉄9)の少なくとも一部は、固定接点F10と可動接点M10とが配置された空間SP1に露出している。
上記の構成によれば、例えば、固定接点F10と可動接点M10とが配置された空間SP1に、ヨーク(第1の継鉄9)を被覆する部材が設けられている場合と比較して、空間SP1をアークの引き延ばしのために広く利用できる。
また、第31の態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)では、第22~30の態様のいずれか1つにおいて、規定の方向(第3の方向D3)において、第1接点(固定接点F10)の幅W1は、第1導電部(固定導電部4D又は4E)の幅の中の最大幅W3よりも小さい。規定の方向は、一の向きS1及び固定接点F10と可動接点M10とが対向する方向(第2の方向D2)の両方と直交する。
上記の構成によれば、第1接点(固定接点F10)の幅W1がより大きい場合と比較して、第1接点及び第2接点(可動接点M10)の間に発生したアークが、第1接点の幅方向における側方(第3の方向D3における固定接点F10の近傍)を通って引き延ばされる可能性が高まる。
また、第32の態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)では、第31の態様において、規定の方向(第3の方向D3)において、第1接点(固定接点F10)の幅W1は、第1導電部(固定導電部4D又は4E)のうち、固定接点F10と可動接点M10とが配置された空間SP1に露出している部位の幅の中の最大幅W2よりも小さい。
上記の構成によれば、第1接点(固定接点F10)の幅W1がより大きい場合と比較して、第1接点及び第2接点(可動接点M10)の間に発生したアークが、第1接点の幅方向における側方(第3の方向D3における第1接点の近傍)を通って引き延ばされる可能性が高まる。
また、第33の態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)では、第22~32の態様のいずれか1つにおいて、規定の方向(第3の方向D3)において、第1接点(固定接点F10)の幅W1は、第2接点(可動接点M10)の幅W4以下である。規定の方向は、一の向きS1及び固定接点F10と可動接点M10とが対向する方向(第2の方向D2)の両方と直交する。
上記の構成によれば、第1接点(固定接点F10)の幅W1がより大きい場合と比較して、第1接点及び第2接点(可動接点M10)の間に発生したアークが、第1接点の幅方向における側方(第3の方向D3における第1接点の近傍)を通って引き延ばされる可能性が高まる。
また、第34の態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)では、第22~33の態様のいずれか1つにおいて、第1接点(固定接点F10)と第2接点(可動接点M10)とが接触する場合に、固定接点F10と可動接点M10とが対向する方向(第2の方向D2)から見て、第1の直線SL1は、第2の直線SL2とは異なる位置にある。第1の直線SL1は、第1接点の中心を通り一の向きS1と平行である。第2の直線SL2は、第2接点の中心を通り一の向きS1と平行である。
上記の構成によれば、第1の直線SL1と第2の直線SL2とが一致する場合と比較して、第1接点(固定接点F10)及び第2接点(可動接点M10)の間に発生したアークが、第1接点の側方(第3の方向D3における第1接点の近傍)を通って引き延ばされる可能性が高まる。
また、第35の態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)では、第22~34の態様のいずれか1つにおいて、第1端部(端部42)の一部は、第1端部のうち一の向きS1と反対向きにおける先端部423に近づくほどに第2接点(可動接点M10)から離れるように湾曲している。
上記の構成によれば、第1接点(固定接点F10)及び第2接点(可動接点M10)の間に発生したアークの、第1接点上の端点が、一の向きS1とは反対向きに移動した場合に、アークを引き延ばすことができる。
第1の態様以外の構成については、接点装置2(又は2B、2C、2D、2F、2G、2H)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、第36の態様に係る電磁継電器1Dは、第22~35の態様のいずれか1つに係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)と、駆動部5と、を備える。駆動部5は、コイル51と、接極子52と、を有する。接極子52は、コイル51の通電状態の変化に応じて変位することで、第1導電部(固定導電部4D又は4E)及び第2導電部(可動導電部3D)のうち可動接点M10を有する導電部(可動導電部3D)を駆動して、可動接点M10を閉位置と開位置との間で移動させる。
上記の構成によれば、接点装置2D(又は2F、2G、2H)では、第1端部(端部42)では、端部42が平状である場合と比較して、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークの端点が移動しやすい。したがって、消弧性能を向上できる。
ところで、第1の継鉄9に関する第23~30の態様に係る構成は、第1及び22の態様の構成を必ずしも全て必須とすることなく、適用可能である。例えば、第23~30の態様に係る構成は、固定導電部4D又は4Eの形状に関する構成とは独立して適用されてもよい。より詳細には、第23~30の態様に係る構成は、固定導電部4D又は4Eの端部42が湾曲していない構造を有する接点装置に適用されてもよい。すなわち、第23~30の態様に係る構成は、従来から有る接点装置に適用されてもよい。
すなわち、第37の態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)は、固定接点F10(第1接点)と、可動接点M10(第2接点)と、を備える。可動接点M10は、固定接点F10に接触する閉位置と固定接点から離れた開位置との間で移動する。接点装置2D(又は2F、2G、2H)は、永久磁石6(又は6G)と、ヨーク(第1の継鉄9、9F、9G又は9H)と、を更に備える。ヨークは、永久磁石6(又は6G)に隣接して配置されている。ヨークのうち永久磁石6(又は6G)に隣接する部位と固定接点F10との間の距離L15(又はL17)は、永久磁石6(又は6G)のうちヨークに隣接する部位と固定接点F10との間の距離L16(又はL18)よりも長い。
上記の構成によれば、永久磁石6(又は6G)で発生する磁束の少なくとも一部は、ヨーク(第1の継鉄9、9F、9G又は9H)を通る。したがって、永久磁石6(又は6G)で発生する磁束が接点装置2D(又は2F、2G、2H)の外部に漏れる可能性を低減できる。
第37の態様に係る構成は、第24~30の態様に係る構成と組み合わせて適用されてもよい。
第22~37の態様に係る構成は、第1の態様に係る構成を必須とすることなく適用されてもよい。すなわち、一態様に係る接点装置2D(又は2F、2G、2H)は、第1導電部(固定導電部4D又は4E)と、第2導電部(可動導電部3D)と、を備える。第1導電部は、第1端部(端部42)と、第1延在部(延在部41)と、を有する。第1端部は、第1接点(固定接点F10)を含む。第1延在部は、一の向きS1に沿って長さを有する。第1延在部は、一の向きS1における先端で第1端部につながっている。第2導電部は、第2端部(端部32)と、第2延在部(延在部31)と、を有する。第2端部は、第2接点(可動接点M10)を含む。第2延在部は、一の向きS1に沿って長さを有する。第2延在部は、一の向きS1における先端で第2端部につながっている。第1接点及び第2接点のうち一方は可動接点M10であり、他方は固定接点F10である。可動接点M10は、固定接点F10に接触する閉位置と固定接点から離れた開位置との間で移動する。第1端部は、中間部421と、湾曲部422と、を有する。中間部421は、第1延在部につながっている。湾曲部422は、湾曲形状を有する。湾曲部422は、一の向きS1における中間部421の先端420から一の向きS1と反対向きに延びている。第1接点は、湾曲部422に存在し、第2接点に対向している。
上記の構成によれば、第1端部(端部42)のうち湾曲部422が湾曲形状を有しているので、端部42が平状である場合と比較して、固定接点F10と可動接点M10との間で発生するアークの端点が移動しやすい。例えば、端部42では、端部42のうち端部32側とは反対側の面411へと、アークの端点が移動しやすい。したがって、接点装置2D(又は2F、2G、2H)で発生するアークに対する消弧性能を向上させることができる。
また、第22~37の態様に係る構成は、第2~第21の態様に係る構成と適宜組み合わせて適用されてもよい。
上述した各実施形態は、変形例も含めて、適宜組み合わせて実現されてもよい。