以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、電磁リレーの長手方向(カードのスライド方向、レール部の延在方向)を前後方向(X方向)、電磁リレーの短手方向(レール部の並設方向、境界線の延在方向)を幅方向(Y方向)として説明する。そして、電磁リレーの厚さ方向(カードおよび接点部の組付方向)を上下方向(Z方向)として説明する。
また、以下では、電磁リレーの接点部が配置される側を前後方向前方、電磁石ブロックが配置される側を前後方向後方とし、接点部の端子部が突出する側を上下方向下方として説明する。
本実施形態にかかる電磁リレー1は、図1に示すように、略直方体状のハウジング20を備えている。
ハウジング20は、接点装置10が組み付けられる樹脂製のベース200と、一端が開口した略箱形状をしており、接点装置10が組み付けられたベース200を覆うように配置される樹脂製のカバー201と、を備えている。
そして、ベース200をカバー201で覆うことで、ハウジング20の内部に接点装置10を収容している。
この接点装置10は、電磁石ブロック30と、電磁石ブロック30の励磁、非励磁によって往復移動する接極子40と、接極子40の移動に伴ってスライドするカード50と、可動接点部600および固定接点部700を有する接点部60と、で構成されるものである(図2参照)。
そして、接点装置10が組み付けられたベース200をカバー201で覆った状態で、ベース200の裏面側に接着剤(図示せず)を塗布することで、接点装置10をベース200に固定するとともに、ベース200とカバー201とを固定している。
電磁石ブロック30は、図2および図3に示すように、コイル310と、中空円筒状の筒状部324を有し、当該筒状部324にコイル310が巻回されるコイルボビン320と、を備えている。
また、電磁石ブロック30は、コイルボビン320の筒状部324に形成された挿入穴324aに挿入される鉄芯330と、鉄芯330の先端332aに固定される略L字状の継鉄350と、を備えている。
さらに、電磁石ブロック30は、コイルボビン320に取り付けられ、コイル310が絡げられるコイル端子340と、継鉄350に取り付けられ、接極子40を付勢するヒンジばね360と、を備えている。
コイルボビン320は、図4に示すように、前後方向(X方向)に延在し、コイル310が巻回される円筒状の筒状部324を備えており、例えば、合成樹脂材料を成形加工することで形成することができる。この筒状部324には、鉄芯330の軸部332が挿入される挿入穴324aが形成されている。
また、筒状部324の前端側には前側鍔部321が形成されており、後端側には後側鍔部322が形成されている。
本実施形態では、前側鍔部321および後側鍔部322の上部は、上側に向かうにつれて幅方向(Y方向)の幅が狭くなるように形成されている。このように、前側鍔部321および後側鍔部322の上部を幅狭とすることで、幅狭のカード50を用いた場合であっても、カード50とコイルボビン320との干渉を抑制できるようにしている。こうすることで、電磁リレー1の幅方向(Y方向)の小型化を図っている。
また、前側鍔部321の上端の幅方向(Y方向)の両端には、前後方向(X方向)の前方に突出する位置決め片321aがそれぞれ形成されている。そして、この一対の位置決め片321a,321aの間に、後述する継鉄350の上側突部351bを配置させることで、継鉄350の位置決めがなされるようにしている。このとき、継鉄350の上側突部351bを一対の位置決め片321a,321aで挟持することで継鉄350の位置決めがなされるようにするのが好ましい。こうすれば、継鉄350をコイルボビン320に仮固定することができ、後述するように、鉄芯330と継鉄340とをカシメ固定する際に、継鉄350がコイルボビン320に対して位置ずれしてしまうのを抑制することが可能となる。
一方、後側鍔部322には、鉄芯330の頭部331が配置される円形凹部322aが形成されている。この円形凹部322aは、挿入穴324aと略同心となるように形成されており、鉄芯330の軸部332を挿入穴324aに挿入させた際に、この円形凹部322aに頭部331が収容されるようにしている。なお、円形凹部322a内における挿入穴324aの周囲には、頭部331の位置決めを行う位置決め突起322bが複数形成されている。
さらに、本実施形態では、後側鍔部322の下端の幅方向(Y方向)の両端に、前後方向(X方向)の後方に突出する台座部323がそれぞれ形成されている。この台座部323,323は、後述するベース200の載置部232,232にそれぞれ載置されるものである。また、各台座部323には上下方向(Z方向)に貫通する挿通孔323aがそれぞれ形成されており、この挿通孔323aにコイル端子340を圧入することで、コイル端子340がコイルボビン320に固定されている。
さらに、各台座部323の後部における幅方向(Y方向)の外側には、下方に向けて突出する挟持片323bがそれぞれ形成されている。そして、電磁石ブロック30をベース200に組み付けた際には、後述するベース200の後側突出部231の被挟持部231aが一対の挟持片323b,323bで挟持されるようになっている。
鉄芯330は、図5に示すように、磁性材料を用いて形成されており、略円板状の頭部331と、頭部331の前側の中心部から前後方向(X方向)の前方に延設された軸部332と、を備えている。そして、軸部332の先端332aを円形凹部322a側から挿入穴324aに挿入し、頭部331を円形凹部322aに収容することで、鉄芯330がコイルボビン320に挿入される。なお、鉄芯330の頭部331は、コイル310に通電した際に磁極部として機能するものである。
コイル端子340は、本実施形態では、図6に示すように、クランク状に屈曲されており、コイル端子340の上端を下側から台座部323の挿通孔323aに挿入することで、コイルボビン320に取り付けられている。このとき、コイル端子340の圧入部341を挿通孔323aに圧入させることで、コイル端子340を台座部323に圧入固定している。
継鉄350は、図7に示すように、縦壁部351と横壁部352とで略L字状に形成されており、コイル310の周辺に磁束の磁路を形成するものである。この継鉄350は、例えば、板状の磁性材料をプレス成形することで形成することができる。
縦壁部351の中央部には、鉄芯330の軸部332の先端332aが挿入される挿通孔351aが、前後方向(X方向、縦壁部351の厚さ方向)に貫通するように形成されている。そして、この挿通孔351aに鉄芯330の軸部332の先端332aを挿入してカシメ固定することで、鉄芯330と継鉄340とを固定している。また、縦壁部351の上部には、上方に向けて突出する上側突部351bが形成されており、この上側突部351bを一対の位置決め片321a,321aの間に配置させることで、継鉄340のコイルボビン320に対する位置ずれが抑制されるようにしている。
また、横壁部352の下面352cには、下方に突出する突起部352aが形成されており、この突起部352aにヒンジばね360の挿通孔361aを挿通させてカシメ固定することで、ヒンジばね360が継鉄350に固定されている。また、横壁部352の幅方向(Y方向)の両端には、係合突条352b,352bがそれぞれ形成されている。この係合突条352b,352bは、後述する電磁石ブロック収容空間270内に形成された係合溝271,271に挿入することで、係合溝271,271に係合されるものである。本実施形態では、係合突条352b,352bの前端部352d,352dが、係合溝271,271に挿入しやすいように、前側に向かうにつれて厚さが薄くなるように形成されている。
ヒンジばね360は、図8に示すように、継鉄350の横壁部352に固定される固定部361と、固定部361の後端361bに連設され、側面視で略J字状となるように屈曲形成されたばね部362と、を備えている。このヒンジばね360は、例えば、ばね材料からなる板材を屈曲成形することで形成することができる。そして、固定部361には上述した挿通孔361aが形成されており、固定部361は横壁部352の下側に固定されている。
また、ばね部362の中央部には十分なばね性が得られるように穴部363が形成されており、ばね部362は、本実施形態では、両端362a,362aが固定部361の後端361bに連設された略U字状の板材を屈曲させた形状をしている。さらに、本実施形態では、ばね部362の後端部362bの幅方向(Y方向)の中央部に、前方かつ下方に延在する係止片362cが形成されており、この係止片362cを後述する接極子40の係合凹部41aに係合させることで、接極子40がヒンジばね360に取り付けられるようにしている。
かかる構成をした電磁石ブロック30は、例えば、以下のようにして組み立てることができる。
まず、コイルボビン320の筒状部324にコイル310を巻回する。その後、台座部323,323にコイル端子340,340をそれぞれ圧入固定する。そして、台座部323,323に圧入固定されたコイル端子340,340の一方にコイル310の一端を絡げるとともに、他方にコイル310の他端を絡げる。
また、上記の作業に前後して、継鉄350の横壁部352に形成された突起部352aに、ヒンジばねに形成された挿通孔361aを挿通してカシメ固定することで、ヒンジばね360を継鉄350に固定する。
その後、継鉄350の縦壁部351の上側突部351bを一対の位置決め片321a,321aの間に配置させるとともに、挿通孔351aを挿入穴324aに連通させる。このとき、継鉄350は、横壁部352の固定部361が固定される側(横壁部352の下面352c)が、コイルボビン320とは反対側(下側)を向くようにした状態で配置される。
そして、鉄芯330の軸部332の先端332aを円形凹部322a側から挿入穴324aに挿入し、頭部331を円形凹部322aに収容する。このとき、軸部332の先端332aは、継鉄350の挿通孔351aに挿通されて前方に突出することとなる。
そして、挿通孔351aの前方に突出した軸部332の先端332aをカシメ固定することで、鉄芯330および継鉄350がコイルボビン320に固定される。
こうして、電磁石ブロック30が組み立てられる。なお、各部材の組み付け順序は上記の順番に限定されるものではない。
接極子40は、図9に示すように、略長方形状の接極子本体41を備えており、例えば、板状の磁性材料を用いて形成することができる。この接極子本体41は、上下方向(Z方向)に細長い長方形状をしており、接極子本体41の後側の中央下部には係合凹部41aが形成されている。そして、この係合凹部41aには上述したヒンジばね360の係止片362cが係合されるようになっており、係合凹部41aに係止片362cを係合させることで、接極子40がヒンジばね360に取り付けられるようになっている。こうすることで、電磁石ブロック30の励磁、非励磁によって揺動(往復移動)するように、接極子40が電磁石ブロック30に取り付けられることとなる。
また、接極子本体41の上部には、突出部42,42が幅方向(Y方向)の両側に突出するように形成されている。そして、この突出部42,42をカード50に形成された後述する載置部550,550に載置することで、カード50が接極子40の動き(揺動)に連動してスライドするようにしている。
カード50は、接極子40の往復動に連動して往復スライドするものであり、本実施形態では、前後方向(X方向)に往復スライドするようにベース200に保持されている。
このカード50は、図10に示すように、前後方向(X方向)に延在し、後述するベース部200に形成されたレール部290に沿って前後方向(X方向)に往復スライドするスライド片510を備えている。
本実施形態では、カード50は、前後方向(X方向)に延在し、ベース部200に形成された第1のレール部290Aに沿って前後方向(X方向)に往復スライドする第1のスライド片510Aを備えている。
また、カード50は、前後方向(X方向)に延在し、ベース部200に形成された第2のレール部290Bに沿って前後方向(X方向)に往復スライドする第2のスライド片510Bを備えている。
そして、この第1のスライド片510Aおよび第2のスライド片510Bは、幅方向(Y方向)に並設されている。
このように、第1のスライド片510Aおよび第2のスライド片510Bは、幅方向(Y方向)に並んだ状態で、略平行に延在するように設けられている。
さらに、本実施形態では、第1のスライド片510Aおよび第2のスライド片510Bは、幅方向(Y方向)で互いに対向するように設けられており、幅方向(Y方向)に延在する連結片(連結部)540によって連結されている。
すなわち、第1のスライド片510Aおよび第2のスライド片510Bは、連結片(連結部)540によって一体に形成されている。
本実施形態では、連結片(連結部)540は、第1のスライド片510Aの延在方向の一方側(前後方向前側)と第2のスライド片510Bの延在方向の一方側(前後方向前側)とを連結する第1の連結片(第1の連結部)541を備えている。
また、連結片(連結部)540は、第1のスライド片510Aの延在方向の他方側(前後方向後側)と第2のスライド片510Bの延在方向の他方側(前後方向後側)とを連結する第2の連結片(第2の連結部)542を備えている。
このように、カード50は、第1のスライド片510A、第2のスライド片510B、第1の連結片(第1の連結部)541および第2の連結片(第2の連結部)542で略枠状に形成されており、略枠状のカード50の内側には、ベース200に形成されたカード取付部280を挿入する挿通穴580が形成されている。
このカード50は、例えば、合成樹脂材料を成形加工することで形成することができる。
また、カード50には、レール部290に沿って摺動する摺動部511が形成されており、この摺動部511をレール部290内で摺動させることで、ベース200に保持されたカード50を前後方向(X方向)に往復スライドさせている。
本実施形態では、摺動部511はスライド片510に形成されており、この摺動部511を介してスライド片510をレール部290にガイドさせながら前後方向(X方向)に往復スライドさせている。
すなわち、第1のスライド片510Aに第1の摺動部511Aを形成するとともに、第2のスライド片510Bに第2の摺動部511Bを形成することで、第1の摺動部511Aを第1のレール部290Aに沿って摺動させるとともに、第2の摺動部511Bを第2のレール部290Bに沿って摺動させるようにしている。
さらに、本実施形態では、第1のスライド片510Aには、第1の摺動部511Aが前後方向(X方向:第1のスライド片510Aの延在方向)に2つ(複数)並設されている。また、第2のスライド片510Bには、第2の摺動部511Bが前後方向(X方向:第2のスライド片510Bの延在方向)に2つ(複数)並設されている。
そして、2つの第1の摺動部511Aは、第1のスライド片510Aの内面(挿通穴580側の面)に、挿通穴580に向けて(幅方向内側に向けて)突出するようにそれぞれ形成されている。また、2つの第2の摺動部511Bも、同様に、第2のスライド片510Bの内面(挿通穴580側の面)に、挿通穴580に向けて(幅方向内側に向けて)突出するようにそれぞれ形成されている。
このように、本実施形態では、略枠状のカード50の4箇所に摺動部511が形成されている。なお、4つの摺動部511は、前後方向(X方向)の前側の第1の摺動部511Aおよび第2の摺動部511Bが、幅方向(Y方向)で互いに対向するように設けられており、前後方向(X方向)の後側の第1の摺動部511Aおよび第2の摺動部511Bが、幅方向(Y方向)で互いに対向するように設けられている。
また、カード50には、可動接点部600の後述する被押圧部622aを押圧する押圧部520が形成されている(図19参照)。本実施形態では、押圧部520は、第1のスライド片510Aに設けられ、第1の連結片(第1の連結部)541よりも前後方向(X方向)の前方に突出する第1の押圧部520Aと、第2のスライド片510Bに設けられ、第1の連結片(第1の連結部)541よりも前後方向(X方向)の前方に突出する第2の押圧部520Bと、で構成されている。
このように、カード50の幅方向(Y方向)の両側に、前方に突出する押圧部520をそれぞれ形成し、それぞれの押圧部520が可動接点部600の被押圧部622aを押圧することで、可動接点部600の可動接点610をより確実に前後方向(X方向)に移動させることができるようにしている。
また、本実施形態では、カード50は、上下方向(Z方向:カード50のスライド方向と交差する方向)に移動させることで、ベース200に組み付けられるようになっている。
すなわち、カード50をベース200に組み付ける際には、ベース200をカード50よりも下方に位置させた状態で、カード50を下方に移動(平行移動)させるようにしている。
そして、押圧部520には、カード50を下方に移動させてベース200に組み付けるようにした状態で、下方に突出する誘い込み部530が形成されている。この誘い込み部530は、カード50を下方に移動させてベース200に組み付ける際に、可動接点部600の上端部を前後方向(X方向)の前方に移動させて、押圧部520を可動接点部600の被押圧部622aへと誘い込むために形成されたものである。
具体的には、誘い込み部530は、側面視(幅方向から視た状態)で、下方に向かうにつれて幅狭になるテーパ状をしており、先端531が押圧部520の前端521よりも後方に位置するように形成されている。
すなわち、カード50を下方に移動させてベース200に組み付けるようにした状態で、誘い込み部530の前側(可動接点部600側)には、下方に向かうにつれて可動接点部600から離れるように傾斜する傾斜面532が形成されている。本実施形態では、この傾斜面532は、側面視(幅方向から視た状態)で、押圧部520の前端521と誘い込み部530の先端531とを連結するように形成されている。
そして、この誘い込み部530は、各押圧部520のそれぞれに形成されている。すなわち、第1の押圧部520Aには、先端531Aと、第1の押圧部520Aの前端521Aと先端531Aとを連結する傾斜面532Aと、を有する第1の誘い込み部530Aが形成されている。そして、第2の押圧部520Bには、先端531Bと、第2の押圧部520Bの前端521Bと先端531Bとを連結する傾斜面532Bと、を有する第2の誘い込み部530Bが形成されている。
また、カード50には、接極子40の突出部42が載置される載置部550が形成されており、突出部42を載置部550に載置させることで、カード50を接極子本体41の動きに連動させるようにしている。
具体的には、第2の連結片(第2の連結部)542の幅方向(Y方向)の両端から前後方向(X方向)の後方に突出するように載置部550,550を形成し、各載置部550,550に一対の突出部42,42を載置させるようにしている。
この載置部550,550は、第2の連結片(第2の連結部)542の後端542aから下方に向けて延設された前側壁551と、前壁部551の前後方向(X方向)の後方に形成され、前壁部551と前後方向で対向する後側壁552と、前壁部551および後側壁552の幅方向(Y方向)の外側を連結する外側壁553と、前壁部551、後側壁552および外側壁553の下端に連設される底壁554と、を備えている。
すなわち、載置部550,550は、前壁部551と後側壁552と外側壁553と底壁554とで、上下方向(Z方向)の上方および幅方向(Y方向)の内側が開口するように形成されている。そして、載置部550,550の間には、接極子本体41の通過が可能な空間部560が形成されている。
したがって、本実施形態では、一対の突出部42,42が上側に位置するとともに、係合凹部41aが後方に開口させた状態となるように接極子40を配置し、かかる状態で一対の突出部42,42を上方から載置部550,550に載置させるとともに、接極子本体41を空間部560に配置させる(載置部550,550の間に配置させる)ことで、接極子40がカード50に互いに連動可能に載置されるようにしている。
なお、本実施形態では、第2の連結片(第2の連結部)542の幅方向(Y方向)の中央部から前後方向(X方向)の後方に突出するように円弧状突起543が形成されており、この円弧状突起543によって接極子40のがたつきを抑制できるようにしている。
接点部60は、固定接点711,751が形成された固定接点部700と、固定接点711,751に接離する可動接点610が形成された可動接点部600と、を有している。
可動接点部600は、図11に示すように、可動接点610が形成され、上述した押圧部520(第1の押圧部520Aおよび第2の押圧部520B)に押圧されて弾性変形する弾性変形部620と、ベース200に圧入されて可動接点部600をベース200に固定する圧入部630と、を有している。この可動接点部600の可動接点610を除く部位は、例えば、板厚および板幅を有する1枚の金属製の板材をプレス成形することで形成することができる。
本実施形態では、弾性変形部620は、可動接点610が取り付けられる本体部621と、本体部621の幅方向(Y方向)の両側から上方に分岐するように形成された分岐部622,622と、を備えている。なお、本体部621には、図示せぬ挿通孔が形成されており、この挿通孔に可動接点610を固定することで、可動接点610が本体部621に固定されるようになっている。また、本実施形態では、本体部621の前後方向(X方向:板厚方向)の両側に可動接点610が形成されている。
分岐部622,622の前後方向(X方向)の後側の面には、押圧部520(第1の押圧部520Aおよび第2の押圧部520B)に押圧される被押圧部622a,622aとなる領域がそれぞれ設けられている。
そして、この被押圧部622a,622aが押圧部520(第1の押圧部520Aおよび第2の押圧部520B)に押圧されることで、弾性変形部620(本体部621および分岐部622,622)が前後方向(X方向)の前方に弾性変形し、可動接点610が前方に移動することになる。
なお、可動接点部600は、カード50が往復スライド範囲において最も後側に位置する状態(電磁石ブロック30が非励磁の状態)のときでも、押圧部520(第1の押圧部520Aおよび第2の押圧部520B)によって前方に押圧されるようにしている。すなわち、可動接点部600およびカード50をベース200に組み付けた際には、可動接点部600の弾性変形部620が、自由状態(可動接点部600のみをベース200に組み付けた状態:カード50によって干渉されていない状態)のときよりも、前方に変位した状態となるようにしている。こうすることで、可動接点部600の弾性変形部620が後方に付勢された状態でベース200に組み付けられるようにしている。
また、本実施形態では、第1の押圧部520Aおよび第2の押圧部520Bのそれぞれの幅(Y方向の幅)を、各分岐部622,622の幅(Y方向の幅)よりも広くなるようにしている。すなわち、各分岐部622,622に形成された被押圧部622a,622aのほぼ全面が、第1の押圧部520Aや第2の押圧部520Bと当接する(面接触する)ようになっている。
ここで、本実施形態では、可動接点部600の被押圧部622a,622aにおける第1の押圧部520Aおよび第2の押圧部520Bと当接する端縁(Y方向両端の縁部)にR部622b,622bを形成している(図18参照)。
このように、R部622b,622bを形成することで、第1の押圧部520Aや第2の押圧部520Bと当接する(面接触する)領域にエッジが形成されてしまうのを抑制することができるようにしている。こうすることで、第1の押圧部520Aや第2の押圧部520Bが被押圧部622a,622aによって削られてしまうのを抑制できるようにしている。
したがって、R部622b,622bは、少なくとも被押圧部622a,622aの上下方向(Z方向)の下端から上端にかけて形成されるようにするのが好ましい。
さらに、分岐部622,622の先端(上端)まで、すなわち、被押圧部622a,622aおよび分岐部622,622における被押圧部622a,622aよりも上部の端縁(Y方向両端の縁部)にもR部が形成されるようにするのが好ましい。こうすれば、カード50をベース200に組み付ける際に(押圧部520を被押圧部622aに誘い込む際に)、第1の押圧部520Aや第2の押圧部520Bが分岐部622,622の端縁によって削られてしまうのを抑制することができる。
また、本実施形態では、カード50を下方に移動させてベース200に組み付けるようにした状態で、可動接点部600の被押圧部622aよりも上側に、誘い込み部530から離れる方向に屈曲した屈曲部622cを形成している。
すなわち、分岐部622,622の被押圧部622a,622aよりも上側には、先端が誘い込み部530から離れる方向に屈曲した屈曲部622c,622cがそれぞれ形成されている。
こうすることで、カード50を下方に移動させて誘い込み部530A,530Bによって分岐部622,622に力が加えられた際に生じる水平方向分力(分岐部622,622を前方に移動させるように働く力)を大きくすることができる。その結果、より確実に弾性変形部620(本体部621および分岐部622,622)を前後方向(X方向)前方に弾性変形させて、可動接点610を前方に移動させることができるようになる。
なお、分岐部622,622の被押圧部622a,622aよりも上側に、前側上方(誘い込み部530側)に凸となるR部を形成するようにしてもよい。すなわち、分岐部622,622の被押圧部622a,622aよりも上側を、前端が前方に位置するように湾曲させてもよい。
圧入部630には、圧入突起631が形成されており、圧入部630をベース200の可動接点部圧入部223に圧入固定することで、可動接点部600がベース200に組み付けられるようにしている。
また、圧入部630の幅方向(Y方向)の両端には、下方に突出し、ハウジング20の下方から露出する可動側端子部640,640が形成されている。本実施形態では、可動側端子部640,640の厚さ(X方向:板厚方向の厚さ)が、弾性変形部620の厚さ(X方向:板厚方向の厚さ)よりも厚くなるようにしている。こうすることで、弾性変形部620を弾性変形させやすくしつつ、可動側端子部640,640の強度を確保できるようにしている。
可動側端子部640,640の厚さを厚くする方法としては、例えば、板状の部材における可動側端子部に該当する部位を折り曲げる方法がある。
また、本実施形態では、弾性変形部620の圧入部630側(下側)に、2つの(複数の)穴650,650が、弾性変形部620と圧入部630との境界線Lに沿って、すなわち、Y方向(可動接点部600の幅方向)に沿って、並ぶように形成されている。
そして、2つ(複数)の穴650,650は、上下方向(Z方向:境界線Lと交差する方向)に細長くなるように形成されている。この2つ(複数)の穴650,650は、本実施形態では、下側が圧入部630に位置するように形成されている。すなわち、各穴650,650は、境界線Lが含まれるようにした状態で、上下に細長く延びるように形成されている。
このように、2つの(複数の)穴650,650を、弾性変形部620と圧入部630との境界線Lに沿って並設することで、弾性変形部620を弾性変形させる際に、弾性変形部620と圧入部630との境界線Lの近傍に生じる応力を分散させることができ、可動接点部600の塑性変形を抑制できるようにしている。
なお、弾性変形部620と圧入部630との境界線Lは、実際には、明確に示すことができないものであるが、全体としてはY方向に沿うものである。そこで、本実施形態では、図11に示すように、可動接点部600の下部の幅広となる部分よりも下側を圧入部630とし、その幅広となる部分に形成される直線(仮想線)を、便宜上、弾性変形部620と圧入部630との仮想の境界線Lとしている。そして、弾性変形部620と圧入部630との境界線Lに沿うとは、Y方向に沿う(可動接点部600の幅方向に沿う)ことを意味している。
かかる構成をした可動接点部600は、可動側端子部640,640の先端をベース200の上側から後述する可動側端子挿通孔214,214にそれぞれ挿通させるとともに、圧入部630を可動接点部圧入部223に圧入固定することで、可動側端子部640,640がハウジング20の下方から露出した状態で、可動接点部600がベース200に組み付けられる。
なお、ハウジング20の下方から露出する可動側端子部640にはプリント基板などの相手側部材が電気的に接続される。
一方、固定接点部700は、可動接点610の移動に伴って当該可動接点610に接離する第1の固定接点711を有し、ベース200の可動接点部600よりも後側(カード50側)に配置される第1の固定接点部710を備えている。
また、固定接点部700は、可動接点610の移動に伴って当該可動接点610に接離する第2の固定接点751を有し、ベース200の可動接点部600よりも前側(カード50側とは反対側)に配置される第2の固定接点部750を備えている。
このように、本実施形態では、接点部60は、第1の固定接点部710と、第2の固定接点部750と、第1の固定接点部710と第2の固定接点部750との間に配置される可動接点部600と、を備えている。
そして、電磁石ブロック30を励磁させたり、非励磁にしたりすることで、カード50を前後方向(X方向)に往復スライドさせた際には、可動接点部600の可動接点610が、第1の固定接点711および第2の固定接点751のいずれかに接触するようにしている。
また、本実施形態では、第1の固定接点部710を常閉接点としている。すなわち、電磁石ブロック30が非励磁の状態で、第1の固定接点711が可動接点610に接触しており、電磁石ブロック30を励磁させることで、第1の固定接点711が可動接点610から離間するようにしている。一方、第2の固定接点部750を常開接点としている。すなわち、電磁石ブロック30が非励磁の状態で、第2の固定接点751が可動接点610から離間しており、電磁石ブロック30を励磁させることで、第2の固定接点751が可動接点610に接触するようにしている。
第1の固定接点部710は、図12に示すように、第1の固定接点711が形成され、板厚および板幅を有する本体部712と、本体部712に連設されるとともに、下方に突出する第1の固定側端子部(端子部)713,713と、を有している。この第1の固定接点部710の第1の固定接点711を除く部位は、例えば、1枚の金属製の板材をプレス成形して屈曲させることで形成することができる。また、本体部712の上部には、挿通孔712aが形成されており、この挿通孔712aに第1の固定接点711を固定することで、第1の固定接点711が本体部712に固定されている。
そして、第1の固定接点部710は、第1の固定側端子部713,713の先端をベース200の上側から後述する第1の固定側端子挿通孔213,213にそれぞれ挿通させるとともに、本体部712の下部を第1の固定接点部圧入部221に圧入固定することで、第1の固定側端子部713,713がハウジング20の下方から露出した状態で、第1の固定接点部710がベース200に組み付けられる。
なお、ハウジング20の下方から露出する第1の固定側端子部713にはプリント基板などの相手側部材が電気的に接続される。
一方、第2の固定接点部750は、図13に示すように、第2の固定接点751が形成され、板厚および板幅を有する本体部752と、本体部752に連設されるとともに、下方に突出する第2の固定側端子部(端子部)753,753と、を有している。この第2の固定接点部750の第2の固定接点751を除く部位も、例えば、1枚の金属製の板材をプレス成形して屈曲させることで形成することができる。また、本体部752の上部には、挿通孔752aが形成されており、この挿通孔752aに第2の固定接点751を固定することで、第2の固定接点751が本体部752に固定されている。
そして、第2の固定接点部750は、第2の固定側端子部753,753の先端をベース200の上側から後述する第2の固定側端子挿通孔215,215にそれぞれ挿通させるとともに、本体部752の下部を第2の固定接点部圧入部222に圧入固定することで、第2の固定側端子部753,753がハウジング20の下方から露出した状態で、第2の固定接点部750がベース200に組み付けられる。
なお、ハウジング20の下方から露出する第2の固定側端子部753にはプリント基板などの相手側部材が電気的に接続される。
ここで、本実施形態では、同一形状の固定接点素材800を用い、当該固定接点素材800を屈曲させることで、第1の固定接点部710および第2の固定接点部750を形成している。
すなわち、第1の固定接点部710の本体部712および第1の固定側端子部713,713は、厚さが略一定の板状の固定接点素材800を屈曲させることで形成されている。そして、第2の固定接点部750の本体部752および第2の固定側端子部753,753も、同様に、板状の固定接点素材800を屈曲させることで形成されている。
このように、第1の固定接点部710および第2の固定接点部750を形成する固定接点素材800は、本体部712や本体部752となる本体部形成予定部810を備えている(図14参照)。また、固定接点素材800は、第1の固定側端子部713,713や第2の固定側端子部753,753となる端子部形成予定部820を備えている(図14参照)。
そして、本実施形態では、端子部形成予定部820は、基部821が本体部形成予定部810の下側(一端側)に連結されている。さらに、端子部形成予定部820は、先端822が基部821よりも本体部形成予定部810の上側(他端側)に位置するように形成されている。
具体的には、端子部形成予定部820の基部821が本体部形成予定部810の下端811に連設されており、端子部形成予定部820は、本体部形成予定部810よりも幅方向の外側に突出するように形成されている。そして、端子部形成予定部820は、幅方向外側の端部から上方に向けて延在するように屈曲された形状をしている。また、端子部形成予定部820の上下方向に延在する部位は、途中で幅方向内側および上方に屈曲するクランク状に形成されている。
すなわち、端子部形成予定部820は、本体部形成予定部810の下端811に連設された基部821を有し、幅方向の外側に延びる第1の水平延設部823と、第1の水平延設部823の外端823aから上側に向かって延びる第1の垂直延設部824と、第1の垂直延設部824の上端824aから幅方向の内側に延びる第2の水平延設部825と、先端822を有し、第2の水平延設部825の内端825aから上側に向かって延びる第2の垂直延設部826と、を備えている。
このように、本体部形成予定部810の下端811に連設された端子部形成予定部820は、途中で上方に折り曲げられた形状をしており、先端822が上方を向くように形成されている。
そして、端子部形成予定部820を先端822が本体部形成予定部810の下側(一端側)に向けて突出するように曲げることで、第1の固定側端子部713,713や第2の固定側端子部753,753を形成している。
具体的には、端子部形成予定部820を第1曲げ部A1で約90°屈曲させるとともに、第2曲げ部A2で約90°屈曲させることで、第1の固定側端子部713,713を形成している(図12(c)および図14(b)参照)。このとき、第1曲げ部A1で屈曲させる方向と第2曲げ部A2で屈曲させる方向とが同一の方向となるようにしている(図12(c)の矢印a1,a2参照)。そのため、上方を向いた先端822は180°回転して下方を向くようになる。このように、端子部形成予定部820を同方向に2回屈曲させることで、上方を向いた先端822が下方を向くようにしつつ、本体部形成予定部810よりも下方に突出するようにしている。こうすることで、第1の固定接点部710の本体部712および第1の固定側端子部713,713を形成している。
また、端子部形成予定部820を第1曲げ部B1で約90°屈曲させるとともに、第2曲げ部B2で約90°屈曲させることで、第2の固定側端子部753,753を形成している(図13(c)および図14(b)参照)。このとき、第1曲げ部B1で屈曲させる方向と第2曲げ部B2で屈曲させる方向とが同一の方向となるようにしている(図13(c)の矢印b1,b2参照)。そのため、上方を向いた先端822は180°回転して下方を向くようになる。このように、端子部形成予定部820を同方向に2回屈曲させることで、上方を向いた先端822が下方を向くようにしつつ、本体部形成予定部810よりも下方に突出するようにしている。こうすることで、第2の固定接点部750の本体部752および第2の固定側端子部753,753を形成している。
このように、本実施形態では、第1の固定接点部710および第2の固定接点部750は、同一形状の固定接点素材800を用いて本体部および端子部が形成されている。
本実施形態では、設計上の都合等によって、第1の固定接点部710と第2の固定接点部750とで、本体部の位置から端子部の露出部分の位置までの距離が異なるようにしている。そのため、端子部形成予定部820の曲げ位置を第1の固定接点部710を形成する場合と第2の固定接点部750を形成する場合とで異ならせている。すなわち、第1曲げ部A1の位置と第1曲げ部B1の位置とを異ならせるとともに、第2曲げ部A2の位置と第2曲げ部B2の位置とを異ならせている。
しかしながら、本体部の位置から端子部の露出部分の位置までの距離を同一とする場合には、同一の箇所で屈曲させることで、第1の固定接点部710および第2の固定接点部750を形成することができる。この場合、第1の固定接点部710の形状と第2の固定接点部750の形状は同一の形状となる。
なお、第1の固定接点部710と第2の固定接点部750を形成する際に、同一形状の固定接点素材800を用いる必要はなく、それぞれの形状に応じた形状(異なった形状)の固定接点素材を用いるようにしてもよい。
ベース200は、図15〜図17に示すように、前後方向(X方向)に細長い略長方形状の基底部210を備えており、この基底部210には、電磁石ブロック30および接点部60が組み付けられている。
また、ベース200の基底部210には、電磁石ブロック30と接点部60との絶縁距離を確保するための絶縁壁240が形成されている。本実施形態では、絶縁壁240は、基底部210に一体に形成されている。
このベース200は、例えば、合成樹脂材料を成形加工することで形成することができる。
そして、ベース200の基底部210は、絶縁壁240によって接点部取付部(接点部配置領域)220と電磁石ブロック取付部(電磁石ブロック配置領域)230とに区画されている。このとき、基底部210の前後方向(X方向)の前側に接点部取付部(接点部配置領域)220が形成されるとともに、基底部210の前後方向(X方向)の後側に電磁石ブロック取付部(電磁石ブロック配置領域)230が形成されている。
基底部210の接点部取付部(接点部配置領域)220の前後方向(X方向)の後側には、第1の固定接点部710の本体部712の下部が圧入される第1の固定接点部圧入部221が形成されている。
また、接点部取付部(接点部配置領域)220における第1の固定接点部圧入部221の前後方向(X方向)の後側には、第1の固定側端子部713,713が挿通される第1の固定側端子挿通孔213,213が、基底部210の厚さ方向(Z方向)に貫通するように形成されている。この第1の固定側端子挿通孔213,213は、接点部取付部(接点部配置領域)220の幅方向(Y方向)の両端にそれぞれ形成されている。
そして、基底部210の接点部取付部(接点部配置領域)220の前後方向(X方向)の中央部には、可動接点部600の圧入部630が圧入される可動接点部圧入部223が形成されている。
また、接点部取付部(接点部配置領域)220における可動接点部圧入部223の幅方向(Y方向)の両端には、可動側端子部640,640がそれぞれ挿通される可動側端子挿通孔214,214が、基底部210の厚さ方向(Z方向)に貫通するように形成されている。
さらに、基底部210の接点部取付部(接点部配置領域)220の前後方向(X方向)の前側には、第2の固定接点部750の本体部752の下部が圧入される第2の固定接点部圧入部222が形成されている。
また、接点部取付部(接点部配置領域)220における第2の固定接点部圧入部222の前後方向(X方向)の前側には、第2の固定側端子部753,753が挿通される第2の固定側端子挿通孔215,215が、基底部210の厚さ方向(Z方向)に貫通するように形成されている。この第2の固定側端子挿通孔215,215は、接点部取付部(接点部配置領域)220の幅方向(Y方向)の両端にそれぞれ形成されている。
そして、接点部取付部(接点部配置領域)220における第1の固定接点部710と可動接点部600との間には、隔壁211が、幅方向(Y方向)に延在するとともに、上下方向(Z方向)の上方に向けて立ち上がるように立設されている。そして、この隔壁211によって、第1の固定接点部710と可動接点部600とを仕切ることで、第1の固定接点711と可動接点610との間の絶縁距離を確保している。また、隔壁211を設けることで、第1の固定接点711と可動接点610とが接離する際に生じる消耗粉によって第1の固定接点部710と可動接点部600とが短絡してしまったり、基底部210が絶縁劣化してしまったりするのを抑制できるようにしている。
なお、隔壁211には、前後方向(X方向)の後方、すなわち、第1の固定接点部圧入部221側に向けて突出する圧入突起211a、および、前後方向(X方向)の前方、すなわち、可動接点部圧入部223側に向けて突出する圧入突起211bが形成されている。
また、接点部取付部(接点部配置領域)220における可動接点部600と第2の固定接点部750との間には、隔壁212が、幅方向(Y方向)に延在するとともに、上下方向(Z方向)の上方に向けて立ち上がるように立設されている。そして、この隔壁212によって、可動接点部600と第2の固定接点部750とを仕切ることで、可動接点610と第2の固定接点751の間の絶縁距離を確保している。また、隔壁212を設けることで、可動接点610と第2の固定接点751とが接離する際に生じる消耗粉によって可動接点部600と第2の固定接点部750とが短絡してしまったり、基底部210が絶縁劣化してしまったりするのを抑制できるようにしている。
なお、隔壁212には、前後方向(X方向)の前方、すなわち、第2の固定接点部圧入部222側に向けて突出する圧入突起212aが形成されている。また、基底部220には、前後方向(X方向)の後方、すなわち、可動接点部圧入部223側に向けて突出する圧入突起212bが形成されている。
また、基底部210を、接点部取付部(接点部配置領域)220と電磁石ブロック取付部(電磁石ブロック配置領域)230とに区画する絶縁壁240は、隔壁部260を備えている。
この隔壁部260は、基底部210における電磁石ブロック30と接点部60との間から幅方向(Y方向)に延在するとともに、上下方向(Z方向)の上方に向けて立ち上がるように立設されている。本実施形態では、前後方向(X方向)から視た状態で、電磁石ブロック30および接点部60が隔壁部260の外側にはみ出さないように、当該隔壁部260を基底部210に形成している。
このように、本実施形態では、基底部210は、隔壁部260によって、接点部取付部(接点部配置領域)220と電磁石ブロック取付部(電磁石ブロック配置領域)230とに前後方向で区画されている。
また、絶縁壁240は、ベース200に組み付けられた電磁石ブロック30を覆う周壁部250を備えている。
本実施形態では、周壁部250は、前後方向(X方向)に延在するように形成されており、周壁部250の前端250aが隔壁部260の外周縁260aに連設されている。また、周壁部250は、幅方向(Y方向)の一端250bが基底部210の一端側の長辺部210aに連設されるとともに、幅方向(Y方向)の他端250cが基底部210の他端側の長辺部201bに連設されている。
したがって、本実施形態では、基底部210と周壁部250と隔壁部260とで前後方向(X方向)の後側に開口する電磁石ブロック収容空間270が画成されている。そして、電磁石ブロック30を前後方向(X方向)の後側から前側に移動(平行移動)させることで、電磁石ブロック30は、電磁石ブロック収容空間270内に収容された状態で、ベース200に組み付けられる。
なお、本実施形態では、周壁部250は、電磁石ブロック取付部(電磁石ブロック配置領域)230の前後方向(X方向)の前側のみに形成されている。すなわち、電磁石ブロック取付部(電磁石ブロック配置領域)230の前後方向(X方向)の後側には、周壁部250よりも前後方向(X方向)の後側に突出する後側突出部231が形成されている。
この後側突出部231には、台座部323,323が載置される載置部232,232と、台座部323,323に形成された挟持片323b,332bによって挟持される被挟持部231aと、が形成されている。
また、被挟持部231aには、ばね部362との干渉を抑制するための逃げ溝233,233が形成されている。
周壁部250は、基底部210の長辺部210a,210bにそれぞれ連設され、長辺部210a,210bから前後方向(X方向)に延在するとともに、上下方向(Z方向)の上方に向けて立ち上がるように立設された第1側壁(下部側壁)251,251を備えている。また、周壁部250は、第1側壁(下部側壁)251,251よりも幅方向(Y方向)の内側で上下方向(Z方向)の上方に向けて立ち上がるように立設された第2側壁(上部側壁)252,252を備えている。
さらに、周壁部250は、第1側壁(下部側壁)251,251の上端251b,251bと第2側壁(上部側壁)252,252の下端252a,252aとを連結する連結壁253,253と、第2側壁(上部側壁)252,252の上端252b,252b同士を連結する天壁部254と、を備えている。
本実施形態では、連結壁253,253は、幅方向(Y方向)の内側に屈曲した形状をしている。
また、第1側壁(下部側壁)251,251の幅方向(Y方向)の内側の下部には、幅方向(Y方向)の内側に向けて突出する突条251a,251aが形成されており、この突条251a,251aと基底部210との間には、係合突条352b,352bが挿入される係合溝271,271が形成されている。
このように、本実施形態では、上述した第1側壁(下部側壁)251,251、第2側壁(上部側壁)252,252、連結壁253,253、および天壁部254で、周壁部250を形成している。そして、隔壁部260の外周形状(前後方向から視た状態における輪郭形状)を、上述した周壁部250の外周形状(前後方向から視た状態における輪郭形状)に対応した形状としている。
さらに、本実施形態では、絶縁壁240の上部に、カード50が保持されるカード保持部280を形成している。
このカード保持部280は、絶縁壁240(ベース200)のうち、カード50を組み付ける際に、上述したカード50の挿通穴580に挿通される部分である。
そして、このカード保持部280には、カード50のスライドをガイドするレール部290が形成されている。このように、本実施形態では、レール部290は、周壁部250の上側(基底部210とは反対側)に形成されている。
このレール部290は、第2側壁(上部側壁)252,252と連結壁253,253とで、前後方向(X方向)に延在するとともに、上下方向(Z方向)の上方および幅方向(Y方向)の外側に開口するように形成されている。
すなわち、レール部290は、略平行に延在する第1のレール部290Aおよび第2のレール部290Bを有している。
ここで、本実施形態では、レール部290に抜け止め部291を形成し、カード保持部280にカード50をより確実に保持させることができるようにした。
この抜け止め部291は、摺動部511がレール部290から外れてしまうのを抑制する機能を有するものである。
特に、本実施形態では、カード保持部280にカード50を保持した状態で、当該カード50を往復スライドさせた際に、摺動部511がレール部290から外れてしまうのを抑制できるように、抜け止め部291を設けている。
すなわち、カード50を往復スライドさせた際における一端側の位置から他端側の位置までの間のいずれの位置にカード50があったとしても、摺動部511のレール部290からの外れが抜け止め部291によって抑制されるようにしている。
なお、カード50を往復スライドさせた際における一端側の位置とは、電磁リレー1を組み立てた状態で電磁石ブロック30を励磁させて、カード50を前後方向(X方向)で最も前側にスライドさせた状態とした場合におけるカード50の位置のことである。一方、他端側の位置とは、電磁リレー1を組み立てた状態で電磁石ブロック30を非励磁にして、カード50を前後方向(X方向)で最も後側にスライドさせた状態とした場合におけるカード50の位置のことである。
また、本実施形態では、抜け止め部291は、レール部290の上側に、幅方向(Y方向)の外側に突出するように形成されており、カード保持部280にカード50を保持した状態で、摺動部511の上方に位置するようになっている。
さらに、1つのレール部290には、2つ(複数)の抜け止め部291,291が、前後方向(X方向:レール部290の延在方向)で並ぶように設けられている。
そして、レール部290における隣り合う抜け止め部291,291の間には、摺動部511の通過を許容する空間部292が形成されている。なお、本実施形態では、前側に形成された抜け止め部291の前方にも、摺動部511の通過を許容する空間部292が形成されている。
そして、以下のようにしてカード50をカード保持部280に保持させることで、抜け止め部291によって摺動部511の抜け止めがなされるようにしている。
まず、カード50を上下方向(Z方向:レール部290の延在方向と交差する方向)下方側に移動させて、摺動部511を空間部292からレール部290内に導入する。
そして、摺動部511をレール部290内に導入した状態でカード50を前後方向(X方向:レール部290の延在方向)後側に移動させる。このとき、上下方向(Z方向:レール部290の延在方向と交差する方向)から視て、摺動部511と抜け止め部291とが少なくとも一部で重なり合うようにする。
こうすることで、カード50が、抜け止め部291によって摺動部511の抜け止めがなされた状態で、カード保持部280(ベース200)に往復スライド可能に保持されることとなる。
また、本実施形態では、摺動部511および当該摺動部511のレール部290からの外れを抑制する抜け止め部291のうち少なくともいずれか一方である抜け止め部291に、テーパ部291aを形成している。具体的には、カード50をカード保持部280に保持させる際に、摺動部511と干渉する可能性のある抜け止め部291の前側上部に、下方かつ前方に傾斜するようにテーパ部291aを形成している。なお、抜け止め部291の前側上部にR部を形成するようにしてもよい。また、摺動部511の後側下部にテーパ部やR部を形成することも可能である。
このように、摺動部511および当該摺動部511のレール部290からの外れを抑制する抜け止め部291のうち少なくともいずれか一方に、テーパ部やR部を形成することで、カード50をベース200へ組み付ける際に、よりスムースにカード50をベース200に組み付けることができるようになる。また、カード50をベース200に組み付ける際に、摺動部511と抜け止め部291とが接触してカード50が削れてしまうことによる異物発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、抜け止め部291は、第1のレール部290Aに形成され、第1の摺動部511Aの第1のレール部290Aからの外れを抑制する第1の抜け止め部291Aを備えている。
また、抜け止め部291は、第2のレール部290Bに形成され、第2の摺動部511Bの第2のレール部290Bからの外れを抑制する第2の抜け止め部291Bを備えている。
そして、第1のレール部290Aには、2つ(複数)の第1の抜け止め部291A,291Aが、前後方向(X方向:第1のレール部290Aの延在方向)に並んで設けられており、第1のレール部290Aにおける隣り合う第1の抜け止め部291A,291Aの間には、第1の摺動部511Aの通過を許容する第1の空間部292Aが形成されている。なお、本実施形態では、前側に形成された第1の抜け止め部291Aの前方にも、第1の摺動部511Aの通過を許容する第1の空間部292Aが形成されている。
また、第2のレール部290Bには、2つ(複数)の第2の抜け止め部291B,291Bが、前後方向(X方向:第2のレール部290Bの延在方向)に並んで設けられており、第2のレール部290Bにおける隣り合う第2の抜け止め部291B,291Bの間には、第2の摺動部511Bの通過を許容する第2の空間部292Bが形成されている。なお、本実施形態では、前側に形成された第2の抜け止め部291Bの前方にも、第2の摺動部511Bの通過を許容する第2の空間部292Bが形成されている。
そして、2つ(複数)の第1の摺動部511Aのうちのいずれか1つ(前側の第1の摺動部511A)が、2つ(複数)の第1の抜け止め部291Aのうちのいずれか1つ(前側の第1の抜け止め部291A)によって第1のレール部290Aからの外れが抑制されるようにしている。
また、2つ(複数)の第1の摺動部511Aのうちの他の1つ(後側の第1の摺動部511A)が、2つ(複数)の第1の抜け止め部291Aのうちの他の1つ(後側の第1の抜け止め部291A)によって第1のレール部290Aからの外れが抑制されるようにしている。
一方、2つ(複数)の第2の摺動部511Bのうちのいずれか1つ(前側の第2の摺動部511B)が、2つ(複数)の第2の抜け止め部291Bのうちのいずれか1つ(前側の第2の抜け止め部291B)によって第2のレール部290Bからの外れが抑制されるようにしている。
そして、2つ(複数)の第2の摺動部511Bのうちの他の1つ(後側の第2の摺動部511B)が、2つ(複数)の第2の抜け止め部291Bのうちの他の1つ(後側の第2の抜け止め部291B)によって第2のレール部290Bからの外れが抑制されるようにしている。
このように、本実施形態では、略枠状のカード50の前後左右に離れた4箇所に摺動部511が形成されており、カード保持部280の前後左右に離れた4箇所に抜け止め部291が形成されている。そして、カード保持部280にカード50を組み付けた際には、カード保持部280の4箇所に形成された抜け止め部291が4箇所の摺動部511にそれぞれ一対一で対応し、各摺動部511は、それぞれに対応する抜け止め部291によって抜け止めがなされている。
また、4つの抜け止め部291のそれぞれには、上述したテーパ部291aが形成されている。
具体的には、カード50をカード保持部280に保持させる際に、第1の摺動部511Aのそれぞれと干渉する可能性のある2つの第1の抜け止め部291のそれぞれの前側上部に、下方かつ前方に傾斜するようにテーパ部291aAを形成している。一方、カード50をカード保持部280に保持させる際に、第2の摺動部511Bのそれぞれと干渉する可能性のある2つの第2の抜け止め部291Bのそれぞれの前側上部に、下方かつ前方に傾斜するようにテーパ部291aBを形成している。
次に、かかる構成をした電磁リレー1の組立方法の一例を説明する。
まず、第1の固定接点部710を、第1の固定側端子部713,713の先端が下方を向くようにした状態で、上方から下方に移動させることで、ベース200の接点部取付部(接点部配置領域)220に組み付ける(図20参照)。
具体的には、第1の固定側端子部713,713の先端をベース200の上側から第1の固定側端子挿通孔213,213にそれぞれ挿通させるとともに、本体部712の下部を第1の固定接点部圧入部221に上側から圧入固定する。
こうして、第1の固定側端子部713,713がハウジング20の下方から露出した状態で、第1の固定接点部710をベース200の接点部取付部(接点部配置領域)220に組み付ける。
次に、可動接点部600を、可動側端子部640,640の先端が下方を向くようにした状態で、上方から下方に移動させることで、ベース200の接点部取付部(接点部配置領域)220に組み付ける(図20参照)。
具体的には、可動側端子部640,640の先端をベース200の上側から可動側端子挿通孔214,214にそれぞれ挿通させるとともに、圧入部630を可動接点部圧入部223に上側から圧入固定する。
こうして、可動側端子部640,640がハウジング20の下方から露出した状態で、可動接点部600をベース200の接点部取付部(接点部配置領域)220に組み付ける。
なお、第1の固定接点部710のベース200への組み付けおよび可動接点部600のベース200への組み付けは、可動接点部600のベース200への組み付けを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
その後、カード50を上方から下方に移動させることで、ベース200のカード保持部280に組み付ける(図21参照)。
具体的には、ベース200をカード保持部280が上方に位置するように配置するとともに、カード50をカード保持部280の上方に位置するように配置する(図22参照)。
このとき、前側の第1の摺動部511Aが、前側に形成された第1の抜け止め部291Aの前方に形成された第1の空間部292Aに上下方向(Z方向)で対向している。
一方、前側の第2の摺動部511Bが、前側に形成された第2の抜け止め部291Bの前方に形成された第2の空間部292Bに上下方向(Z方向)で対向している。
また、後側の第1の摺動部511Aが、2つの第1の抜け止め部291Aの間に形成された第1の空間部292Aに上下方向(Z方向)で対向している。
一方、後側の第2の摺動部511Bが、2つの第2の抜け止め部291Bの間に形成された第2の空間部292Bに対向している。
そして、各誘い込み部530の先端531が、分岐部622の屈曲部622cに上下方向(Z方向)でそれぞれ対向している。
そして、かかる状態としたカード50を上下方向(Z方向)の下方に平行移動させる(図22の矢印c1参照)。
すると、各誘い込み部530の先端531が、分岐部622の屈曲部622cにそれぞれ当接して、弾性変形部620(本体部621および分岐部622,622)が弾性変形して前後方向(X方向)の前方に移動する(図22の矢印d参照)。
なお、弾性変形部620(本体部621および分岐部622,622)は、カード50を上下方向(Z方向)の下方に平行移動させる程、誘い込み部530によって押圧されて前後方向(X方向)前方に弾性変形(移動)することとなる。
そして、4つの摺動部511が空間部292を介してレール部290内に収容されるまでカード50を上下方向(Z方向)の下方に平行移動させて、押圧部520が可動接点部600の被押圧部622aへと誘い込まれるようにする。すなわち、押圧部520が、前後方向(X方向)の後側で被押圧部622aに当接するようにする。
そして、4つの摺動部511をレール部290内に収容させた状態で、カード50を前後方向(X方向)の後側に平行移動(スライド)させる(図22の矢印c2参照)。この前後方向(X方向)の後側へのカード50の平行移動(スライド)は、弾性変形部620(本体部621および分岐部622,622)の弾性復元力を利用して行うことができる(図22の矢印d参照)。
そして、上下方向(Z方向:レール部290の延在方向と交差する方向)から視て、摺動部511と抜け止め部291とが少なくとも一部で重なり合うまで、カード50を前後方向(X方向)の後側に平行移動(スライド)させる。
こうして、カード50が、抜け止め部291によって摺動部511の抜け止めがなされた状態で、カード保持部280(ベース200)に往復スライド可能に保持される。
なお、本実施形態では、前後方向(X方向)の後側にカード50を平行移動(スライド)させると、第1の連結片(第1の連結部)541の後端や誘い込み部530の後端が隔壁部260の前面に当接し、それ以上の移動が規制されるようになっている。
次に、別工程で予め組み立てられた電磁石ブロック30を、前後方向(X方向)の前方に平行移動させて、ベース200の電磁石ブロック取付部(電磁石ブロック配置領域)230に組み付ける(図23参照)。
具体的には、電磁石ブロック30を、継鉄350の横壁部352が下側になるとともに、ヒンジばね360のばね部362が後方を向くようにした状態で、電磁石ブロック収容空間270の開口に対向させる。
そして、横壁部352の幅方向(Y方向)の両端に設けられた係合突条352b,352bを係合溝271,271に挿入させながら、電磁石ブロック30を電磁石ブロック収容空間270内に収容する。このとき、電磁石ブロック30は、係合突条352b,352bが係合溝271,271に係合され、被挟持部231aが一対の挟持片323b,323bで挟持され、台座部323,323が載置部232,232にそれぞれ載置された状態で、ベース200に組み付けられる。
なお、電磁石ブロック30のベース200への組み付けは、カード50のベース200への組み付けの前に行うこともできるし、カード50のベース200への組み付けと同時に行うこともできる。また、第1の固定接点部710のベース200への組み付けや可動接点部600のベース200への組み付けよりも前に、電磁石ブロック30のベース200への組み付けを行うこともできる。
また、電磁石ブロック30は予め組み立てられている必要はなく、電磁石ブロック30の組立を、第1の固定接点部710、可動接点部600およびカード50のベース200への組み付けと平行して行うようにすることも可能である。
次に、接極子40の一対の突出部42を載置部550に載置させるとともに、ばね部362の係止片362cを接極子40の係合凹部41aに係合させることで、カード50を接極子本体41の動きに連動させるようにする(図24参照)。
具体的には、一対の突出部42,42が上側に位置するとともに、係合凹部41aが後方に開口させた状態となるようにした接極子40をカード50の上方に配置し、かかる状態とした接極子40を上下方向(Z方向)の下方に平行移動させる。
そして、一対の突出部42,42を上方から載置部550,550に載置させるとともに、接極子本体41を空間部560に挿通させ、ばね部362の係止片362cを接極子40の係合凹部41aに係合させる。こうすることで、接極子40がカード50に互いに連動可能に載置される。
次に、第2の固定接点部750を、第2の固定側端子部753,753の先端が下方を向くようにした状態で、上方から下方に移動させることで、ベース200の接点部取付部(接点部配置領域)220に組み付ける(図25および図26参照)。
具体的には、第2の固定側端子部753,753の先端をベース200の上側から第2の固定側端子挿通孔215,215にそれぞれ挿通させるとともに、本体部752の下部を第2の固定接点部圧入部222に上側から圧入固定する。
こうして、第2の固定側端子部753,753がハウジング20の下方から露出した状態で、第2の固定接点部750をベース200の接点部取付部(接点部配置領域)220に組み付ける。
その後、カバー201を上方から取り付けて図示せぬ接着剤により固定することで、電磁リレー1が組み立てられる。
なお、各部材の組み付け順は上記の順序に限られるものではないが、カード50は、少なくとも可動接点部600および第1の固定接点部710がベース200に組み付けられた後にベース200に組み付けられるようにするのが好ましい。
また、接極子40は、少なくともカード50および電磁石ブロック30がベース200に組み付けられた後にカード50および電磁石ブロック30に組み付けられるようにするのが好ましい。
そして、第2の固定接点部750は、接極子40がカード50および電磁石ブロック30に組み付けられた後にベース200に組み付けられるようにするのが好ましい。
次に、電磁リレー1の動作について説明する。
まず、コイル310に電圧が印加されていない(通電されていない)場合には、電磁石ブロック30が非励磁の状態であり、接極子40は、ヒンジばね360のばね部362の付勢力によって磁極部(鉄芯330の頭部331)から離れている。すなわち、接極子40の上端を前後方向(X方向)の後方に回動させた状態となっている。そのため、第1の固定接点711と可動接点610とが当接しているとともに、可動接点610と第2の固定接点751とが離間している。
そして、コイル310に電圧を印加(通電)して、電磁石ブロック30を励磁させると、接極子40の前面と磁極部(鉄芯330の頭部331)の磁極面(後面)との間に磁力が発生して、接極子40が磁極部(鉄芯330の頭部331)の磁極面(後面)に吸引される。すなわち、接極子40が下部を中心として前方に回動する。
そして、この接極子40の回動(移動、揺動)に伴って、カード50の押圧部520が前方にスライドし、この押圧部520が可動接点部600の被押圧部622aを押圧して弾性変形部620(本体部621および分岐部622,622)を第2の固定接点部750側(前方)に弾性変形させる。こうして、弾性変形部620の本体部621に取り付けられた可動接点610が第1の固定接点711から離間し、第2の固定接点751に当接する。
一方、コイル310への電圧印加を解除(通電を解除)すると、ばね部362の付勢力によって、接極子40が、下部を中心として後方に回動し、可動接点610が第2の固定接点751から離間し、第1の固定接点711に当接することとなる。
以上説明したように、本実施形態にかかる電磁リレー1は、ベース200と、ベース200に組み付けられる電磁石ブロック30と、電磁石ブロック30の励磁、非励磁によって往復移動する接極子40と、接極子40の移動に伴ってスライドするカード50と、を備えている。
また、電磁リレー1は、カード50のスライドに伴って移動する可動接点610を有し、ベース200に組み付けられる可動接点部600と、可動接点610の移動に伴って当該可動接点610が接離する固定接点711,751を有し、ベース200に組み付けられる固定接点部700と、を備えている。
さらに、ベース200には、カード50のスライドをガイドするレール部290が形成されており、カード50には、レール部290に沿って摺動する摺動部511が形成されている。
そして、レール部290には、摺動部511のレール部290からの外れを抑制する抜け止め部291が形成されている。
こうすれば、カード50を可動接点部600に係合させる必要がなくなるため、カード50をベース200に組み付ける際等にカード50が削れてしまうことによる異物発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、カード50がベース200に往復スライド可能に取り付けられている。
そして、カード50を往復スライドさせた際の一端側の位置から他端側の位置までの間のいずれの位置にカード50があったとしても、摺動部511のレール部290からの外れを抜け止め部291が抑制するようにしている。
こうすることで、電磁リレー1の通常の使用時に、カード50がベース200から外れてしまうのを抑制することができるようになる。
また、本実施形態では、レール部290には、抜け止め部291がX方向(レール部290の延在方向)に複数並設されるとともに、レール部290における隣り合う抜け止め部291の間には、摺動部511の通過を許容する空間部292が形成されている。
そして、カード50をZ方向(レール部290の延在方向と交差する方向)に移動させて摺動部511を空間部292からレール部290内に導入し、摺動部511をレール部290内に導入した状態でカード50をX方向(レール部290の延在方向)に移動させ、Z方向(レール部290の延在方向と交差する方向)から視た際に摺動部511と抜け止め部291とが少なくとも一部重なり合うようにすることで、カード50がベース200に往復スライド可能に保持されるようにしている。
こうすれば、カード50をとり容易にベース200へ組み付けることができるようになる。
また、本実施形態では、抜け止め部291(摺動部511および当該摺動部511のレール部290からの外れを抑制する抜け止め部291のうち少なくともいずれか一方)に、テーパ部291a(テーパ部およびR部のうち少なくともいずれか一方)を形成している。
こうすれば、カード50をベース200に組み付ける際に、摺動部511と抜け止め部291とが干渉してしまうのが抑制され、よりスムースにカード50をベース200に組み付けることができるようになる。
また、本実施形態では、レール部290は、略平行に延在する第1のレール部290Aおよび第2のレール部290Bを有している。
一方、摺動部511は、第1のレール部290Aに沿って摺動する第1の摺動部511Aと、第2のレール部290Bに沿って摺動する第2の摺動部511Bと、を有している。
そして、抜け止め部291は、第1のレール部290Aに形成され、第1の摺動部511Aの第1のレール部290Aからの外れを抑制する第1の抜け止め部291Aと、第2のレール部290Bに形成され、第2の摺動部511Bの第2のレール部290Bからの外れを抑制する第2の抜け止め部291Bと、を有している。
こうすれば、カード50をスライドさせる際にカード50ががたついてしまうのを抑制することができ、カード50をよりスムースにスライドさせることができるようになる。
また、本実施形態では、カード50は、第1の摺動部511Aが形成され、X方向(第1のレール部290Aの延在方向)に延在する第1のスライド片510Aと、第2の摺動部511Bが形成され、X方向(第2のレール部290Bの延在方向)に延在する第2のスライド片510Bと、第1のスライド片510Aと第2のスライド片510Bとを連結する連結部540と、を備えている。
このように、2つのスライド片510を一体化させることで、スライド片510を補強することができ、カード50の変形を抑制することができる。その結果、カード50をよりスムースにスライドさせることができるようになる。
また、本実施形態では、連結部540は、第1のスライド片510AのX方向前側(第1のスライド片510Aの延在方向の一方側)と第2のスライド片510BのX方向前側(第2のスライド片510Bの延在方向の一方側)とを連結する第1の連結片(第1の連結部)541を備えている。また、第1のスライド片510AのX方向後側(第1のスライド片510Aの延在方向の他方側)と第2のスライド片510BのX方向後側(第2のスライド片510Bの延在方向の他方側)とを連結する第2の連結片(第2の連結部)542を備えている。
このように、2つのスライド片510を2箇所で一体化させることで、スライド片510を補強することができ、カード50の変形をより一層抑制することができるようになる。その結果、カード50をよりスムースにスライドさせることができるようになる。
また、本実施形態では、第1のレール部290Aには、第1の抜け止め部291AがX方向(第1のレール部290Aの延在方向)に複数並設されるとともに、第1のレール部290Aにおける隣り合う第1の抜け止め部291Aの間には、第1の摺動部511Aの通過を許容する第1の空間部292Aが形成されている。
そして、第2のレール部290Bには、第2の抜け止め部291BがX方向(第2のレール部290Bの延在方向)に複数並設されるとともに、第2のレール部290Bにおける隣り合う第2の抜け止め部291Bの間には、第2の摺動部511Bの通過を許容する第2の空間部292Bが形成されている。
こうすれば、カード50をZ方向に平行移動させるだけで、第1の摺動部511Aを第1のレール部290A内に収容させつつ、第2の摺動部511Bを第2のレール部290B内に収容させることができ、カード50を容易にベース200へ組み付けることができるようになる。
また、本実施形態では、第1のスライド片510Aには、第1の摺動部511AがX方向(第1のスライド片510Aの延在方向)に複数並設されるとともに、第2のスライド片510Bには、第2の摺動部511BがX方向(第2のスライド片510Bの延在方向)に複数並設されている。
そして、前側の第1の摺動部511A(複数の第1の摺動部511Aのうちのいずれか1つ)が前側の第1の抜け止め部291A(複数の第1の抜け止め部291Aのうちのいずれか1つ)によって第1のレール部290Aからの外れが抑制されている。
また、後側の第1の摺動部511A(複数の第1の摺動部511Aのうちの他の1つ)が後側の第1の抜け止め部291A(複数の第1の抜け止め部291Aのうちの他の1つ)によって第1のレール部290Aからの外れが抑制されている。
一方、前側の第2の摺動部511B(複数の第2の摺動部511Bのうちのいずれか1つ)が前側の第2の抜け止め部291B(複数の第2の抜け止め部291Bのうちのいずれか1つ)によって第2のレール部290Bからの外れが抑制されている。
さらに、後側の第2の摺動部511B(複数の第2の摺動部511Bのうちの他の1つ)が後側の第2の抜け止め部291B(複数の第2の抜け止め部291Bのうちの他の1つ)によって第2のレール部290Bからの外れが抑制されている。
こうすることで、カード50がベース200に4箇所で保持されるため、カード50をより確実にベース200に保持することができ、カード50のスライド時のがたつきをより抑制することができるようになる。
また、本実施形態では、ベース200は、電磁石ブロック30、可動接点部600および固定接点部700が組み付けられる基底部210と、基底部210に組み付けられた電磁石ブロック30を基底部210に組み付けられた可動接点部600および固定接点部700から絶縁する絶縁壁240と、を備えている。
さらに、絶縁壁240は、基底部210に連設されて当該基底部210を電磁石ブロック取付部(電磁石ブロック配置領域)230と接点部取付部(接点部配置領域)220とに区画する隔壁部260と、隔壁部260および基底部210に連設され、基底部210に組み付けられた電磁石ブロック30の周囲を覆う周壁部250と、を備えている。
そして、周壁部250の上側(周壁部250の基底部210とは反対側)にレール部290が形成されている。
このように、基底部210から離れた位置でカード50をベース200に保持させるようにすることで、構成を複雑化させることなく可動接点610の近傍をカード50で押圧することができるようになる。すなわち、カード50の構成をより簡素化することができるようになる。
また、本実施形態では、カード50には、可動接点部600の被押圧部622aを押圧する押圧部520が形成されており、可動接点部600の被押圧部622aにおける押圧部520と当接する端縁にR部622bが形成されている。
このように、R部622bを形成することで、押圧部520と当接する領域にエッジが形成されてしまうのを抑制することができ、押圧部520が被押圧部622aによって削られてしまうのを抑制できるようになる。
また、本実施形態では、接極子40は、接極子本体41と、接極子本体41から外方に向けて突出する突出部42と、を備えており、カード50には、突出部42が載置され、カード50を接極子本体41の動きに連動させる載置部550が形成されている。
このように、接極子40をカード50に載置させるようにすれば、カード50を接極子40に圧入させる必要がなくなるため、カード50の組付時等にカード50が削れてしまうことによる異物発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、固定接点部700は、可動接点610の移動に伴って当該可動接点610に接離する第1の固定接点711を有し、ベース200の後側(ベース200の可動接点部600よりもカード50側)に配置される第1の固定接点部710を備えている。
また、可動接点610の移動に伴って当該可動接点610に接離する第2の固定接点751を有し、ベース200の前側(ベース200の可動接点部600よりもカード50側とは反対側)に配置される第2の固定接点部750を備えている。
そして、カード50は、少なくとも可動接点部600および第1の固定接点部710がベース200に組み付けられた後にベース200に組み付けられている。
また、接極子40は、少なくともカード50および電磁石ブロック30がベース200に組み付けられた後にカード50および電磁石ブロック30に組み付けられている。
そして、第2の固定接点部750は、接極子40がカード50および電磁石ブロック30に組み付けられた後にベース200に組み付けられている。
こうすれば、カード50の組付時に、前方に移動した可動接点部600が第2の固定接点部750に干渉してしまうことを抑制することができる。その結果、第2の固定接点部750が変形してしまうのを抑制することができるようになる。
また、本実施形態では、カード50を上下方向(カード50のスライド方向と交差する方向)に移動させることで、カード50がベース200に組み付けられるようにしている。
また、カード50には、可動接点部600の被押圧部622aを押圧する押圧部520が形成されている。
そして、カード50を下方に移動させてベース200に組み付けるようにした状態で、押圧部520には、下方に突出し、可動接点部600を移動させて押圧部520を可動接点部600の被押圧部622aへと誘い込む誘い込み部530が形成されている。
こうすれば、カード50を下方に移動させてベース200に組み付ける際には、誘い込み部530によって可動接点部600が前方に移動するため、押圧部520を可動接点部600の被押圧部622aへと容易に誘い込むことができる。その結果、カード50をより容易にベース200に組み付けることができるようになる。特に、本実施形態では、カード50を下方に移動させる際に可動接点部600を手作業で前方に移動させる必要がなくなるため、機械による組立を容易に行うことができる。また、電磁リレー1の組立速度をより速めることが可能となる。
また、本実施形態では、カード50を下方に移動させてベース200に組み付けるようにした状態で、誘い込み部530の前側(誘い込み部530の可動接点部600側)に、下方に向かうにつれて可動接点部600から離れるように傾斜する傾斜面532を形成している。
このような傾斜面532を形成することで、傾斜面532によってスムースに可動接点部600を前方に移動させることができるようになり、より確実に押圧部520を可動接点部600の被押圧部622aへと誘い込むことができるようになる。
また、本実施形態では、カード50を下方に移動させてベース200に組み付けるようにした状態で、可動接点部600の被押圧部622aよりも上側に、誘い込み部530から離れる方向に屈曲した屈曲部622cを形成している。
こうすれば、より容易に押圧部520を可動接点部600の被押圧部622aへと誘い込むことができる。特に、誘い込み部530から離れる方向に屈曲した屈曲部622cとすることで、カード50から屈曲部622cに加えられる水平方向分力をより大きくすることができるため、可動接点部600をより確実に前方へ移動させることができるようになる。
なお、カード50を下方に移動させてベース200に組み付けるようにした状態で、可動接点部600の被押圧部622aよりも上側に、後側(誘い込み部530側)に凸となるR部を形成してもよい。
このように、可動接点部600の被押圧部622aよりも上側にR部を形成することによっても、より容易に押圧部520を可動接点部600の被押圧部622aへと誘い込むことができる。
また、本実施形態では、可動接点部600は、ベース200に圧入される圧入部630と、当該圧入部630に連設されて弾性変形する弾性変形部620と、を備えている。
そして、弾性変形部620の下側(圧入部630側)には、Y方向に沿って(弾性変形部620と圧入部630との境界線Lに沿って)複数の穴650が並設されている。
こうすれば、弾性変形部620と圧入部630との境界線Lに生じる応力を分散させることができ、可動接点部620の塑性変形を抑制することができるようになる。
また、本実施形態では、複数の穴650は、Z方向(境界線Lと交差する方向)に細長くなるように形成されている。
こうすれば、弾性変形部620をより弾性変形部させやすくすることができ、可動接点部600の塑性変形をより確実に抑制することができる。
また、本実施形態では、固定接点部700は、固定接点711,751が取り付けられる本体部712,752と、本体部712,752に連設されるとともにベース200に挿入される端子部713,753と、を備えている。
また、本体部712,752および端子部713,753は、板状の固定接点素材800を屈曲することで形成されている。
この固定接点素材800は、本体部712,752となる本体部形成予定部810と、端子部713,753となる端子部形成予定部820と、を備えている。
さらに、端子部形成予定部820は、基部821が本体部形成予定部810の下側(一端側)に連結されるとともに、先端822が基部821よりも本体部形成予定部810の上側(他端側)に位置するように形成されている。
そして、端子部形成予定部820を先端822が本体部形成予定部810の下側(一端側)に向けて突出するように曲げることで、端子部713,753が形成されている。
こうすれば、板状の部材から固定接点素材800を形成する際に、無駄となる領域を小さく(無駄な材料の量を少なく)することができるため、材料の歩留まりをより向上させることができ、コストの削減を図ることができる。
また、本実施形態では、固定接点部700は、可動接点610の移動に伴って当該可動接点610に接離する第1の固定接点711を有し、ベース200の後側(ベース200の可動接点部600よりもカード50側)に配置される第1の固定接点部710を備えている。また、可動接点610の移動に伴って当該可動接点610に接離する第2の固定接点751を有し、ベース200の前側(ベース200の可動接点部600よりもカード50側とは反対側)に配置される第2の固定接点部750を備えている。
そして、第1の固定接点部710と第2の固定接点部750とは、同一形状の固定接点素材800を用いて本体部712,752および端子部713,753が形成されている。すなわち、固定接点711,751と、固定接点711,751が形成される本体部712,752と、本体部712,752に連設される端子部713,753と、を備える固定接点部700の本体部712,752および端子部713,753を形成するために固定接点素材800を用いている。
こうすることで、第1の固定接点部710の本体部712および端子部713を形成するための固定接点素材と、第2の固定接点部750の本体部752および端子部753を形成するための固定接点素材とを別個に用意する必要がなくなる。このように、固定接点素材を共用化することで、型抜き用の金型を共通化することができるため、コストをより削減させることができるようになる。
以上、本発明の好適な実施形態について例示して説明したが、上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、電磁石ブロックや接点部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)を適宜に変更することが可能である。