JP7308007B2 - 非水電解質二次電池用電極合剤層、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用電極合剤層、非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用の電極合剤層及びそれを用いた非水電解質二次電池用電極、並びにそれを用いた非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池の高機能化、具体的には高入出力化の観点から、繊維状炭素、具体的には平均繊維径が10~150nmのマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)を導電助剤として電極合剤層に添加する技術が知られている。例えば、特許文献1には、平均繊維径が150nmのMWCNTを電極合剤層に添加する技術が開示されている。また、特許文献2には、粒状の導電助剤と繊維状炭素とを複合して用いる技術が記載されている。
特許文献1や2に記載されたMWCNTを活用する方法の場合、MWCNTの分散性が悪く電極塗布用のペースト(スラリー)に分散させる際に、繊維を粉砕する必要が生じたり、繊維径が小さいために繊維がシュリンクして丸まったりすることが多かった。そのため、電極合剤層中での繊維の実効長が短くなり、繊維状の導電助剤を用いている割には、長距離の電子伝導パスを形成するのが困難であり、長距離電子導電が必要となる膜厚の厚い電極層において、十分な電子伝導性を確保することが困難であった。このような背景から、電極活物質粒子の表面集電性と電極合剤層内の長距離電子電導性とを両立した電極合剤層の開発が望まれている。
特開2009-16265号公報 特開2014-160590号公報
本発明の目的は、電極合剤層における電極材の表面集電性と長距離電子電導性とを両立した非水電解質電池用の電極合剤層及びそれを用いた電極、並びにその電極を用いた非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明者らは、上記の従来技術に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、正極活物質の表面を導電材で被覆して成る被覆正極活物質と、実効長が長くアスペクト比の大きい繊維状炭素と、を併用することにより、電極合剤層内に長距離の電子導電ネットワークを形成し、正極活物質の表面集電性及び長距離電子導電性を両立した電極合剤層を作製できることを見出した。さらには、所定の繊維状炭素と被覆正極活物質とを組み合わせることによって、添加量あたりの電気伝導度が高く、厚膜電極であっても優れた長距離電子導電性を有する電極合剤層を作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を解決する本発明は以下に記載するものである。
〔1〕 正極活物質と前記正極活物質の表面を被覆する導電材とから成る被覆正極活物質と、
平均繊維径が200~900nmであってアスペクト比が30以上の繊維状炭素と、
を含有することを特徴とする非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔2〕 前記繊維状炭素が、平均実効長よりも長い実効長を有する細繊維状炭素の含有割合が本数基準で48%以下である〔1〕に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔3〕 前記繊維状炭素がピッチ系炭素である〔1〕又は〔2〕に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔4〕 前記被覆正極活物質の充填密度2.0g/cm時における粉体体積抵抗が、1.0×10Ω・cm以下である〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔5〕 前記導電材が炭素からなる〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔6〕 前記繊維状炭素の含有量が0.5~10質量%である〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔7〕 平均粒子径(一次粒子径)が10~100nmの炭素系導電助剤を5質量%以下含有する〔1〕乃至〔6〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
〔8〕 集電体と、
前記集電体に積層された〔1〕乃至〔7〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極合剤層と、
から成る非水電解質二次電池用電極。
〔9〕 〔1〕乃至〔7〕のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極合剤層を含んで構成される非水電解質二次電池。
本発明によれば、MWCNTを導電助剤に用いた従来の電極合剤層と比較して、長距離の導電パスが形成された電極合剤層を形成することができ、高性能の非水電解質二次電池を提供することができる。
実施例において用いる正極活物質A、B、Cの密度-体積抵抗率を示すグラフである。 実施例1の繊維状炭素を含む電極合剤層を、溶媒に溶解し、乾燥後観察した写真(デジタルマイクロスコープ像、倍率3,000倍)である。 実施例1の電極合剤層を解体して得た繊維状炭素の実効長を表すグラフ(ヒストグラム)である。 アスペクト比に対する電気伝導度の値をプロットしたグラフである。
以下、本発明について説明する。
1.非水電解質二次電池用電極合剤層
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤層は、
(1)正極活物質と前記正極活物質の表面を被覆する導電材とから成る被覆正極活物質と、
(2)平均繊維径が200~900nmであってアスペクト比が30以上の繊維状炭素と、
を含有する。
本発明の非水電解質二次電池用電極合剤層は、微粒子状の炭素系導電助剤をさらに含むことが好ましい。
なお、以下、非水電解質二次電池用電極合剤層を単に「電極合剤層」ともいう。
本発明の電極合剤層の厚さ(膜厚)は特に制限されないが、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることがさらに好ましく、80μm以上であることがよりさらに好ましく、90μm以上であることが特に好ましく、100μm以上であることが最も好ましい。膜厚の上限は特に制限されないが、一般に1000μm未満であり、800μm未満であることが特に好ましい。膜厚が50μm未満であると、任意の容量セルを製造しようとした場合、セパレータや集電体を多量に使用することになり、セル内における電極合剤層の体積占有率が低下する。これは、エネルギー密度の観点から好ましくなく、用途がかなり制限されてしまう。膜厚が1000μm以上であると、電極合剤層にクラックが発生し易く、製造が比較的困難である。また、膜厚が1000μm以上であると、Liイオンの輸送が阻害されやすく、抵抗が上昇し易い。電極合剤層の膜厚の測定方法としては特に限定されないが、例えばマイクロメーターを使用して計測することができる。なお、本発明における電極合剤層の厚さは、後述する集電体の厚さを含まない電極合剤層のみの厚さを意味する。
電極合剤層の密度(25℃)は、用いる正極活物質により相違するが、1.5~3.5g/cmであることが好ましく、2.0~3.0g/cmであることがより好ましい。また、電極合剤層の空孔率は、15~60%であることが好ましく、20~50%であることがより好ましい。空孔率が15%未満である場合、イオンの移動が阻害されてしまい、高出力化の観点から好ましくない。また、空孔率が60%を超える場合、体積当たりの容量密度が小さくなってしまうため好ましくない。
1-1.被覆正極活物質
本発明において、被覆正極活物質は、正極活物質と該正極活物質表面の一部又は全部を被覆する導電材とから成る。被覆正極活物質は、正極活物質の表面全体の20%以上が導電材により被覆されていることが好ましく、50%以上が被覆されていることがより好ましい。
被覆正極活物質を充填密度2.0g/cmで充填した際の粉体体積抵抗は、1.0×10Ω・cm以下であることが好ましく、1.0×10-2~1.0×10Ω・cmであることがより好ましく、1.0×10-1~1.0×10Ω・cmであることがさらに好ましく、1.0~1.0×10Ω・cmであることが特に好ましい。1.0×10Ω・cmを超える場合、後述する実効長の長い繊維状炭素と併用しても十分な電池特性が得られ難い。
被覆正極活物質の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、0.05~7μmであることがより好ましく、1~7μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が10μmを超えると、大電流下での充放電反応の効率が低下してしまう場合がある。
(正極活物質)
本発明の電極合剤層に含まれる正極活物質としては、非水電解質二次電池において、正極活物質として知られている従来公知の材料の中から、任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。例えば、リチウムイオン二次電池であれば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム含有金属酸化物が好適である。このリチウム含有金属酸化物としては、リチウムと、Co、Mg、Mn、Ni、Fe、Al、Mo、V、W及びTiなどからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、を含む複合酸化物を挙げることができる。
具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1-a、LiCo1-b、LiCoFe1-b、LiMn、LiMnCo2-c、LiMnNi2-c、LiMn2-c、LiMnFe2-c、(ここで、x=0.02~1.2、a=0.1~0.9、b=0.8~0.98、c=1.2~1.96、z=2.01~2.3である。)などからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。好ましいリチウム含有金属酸化物としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1-a、LiMn、LiCo1-b(ここで、x、a、b及びzは上記と同じである。)からなる群より選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。なお、xの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
上記正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、当該正極活物質の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、0.05~7μmであることがより好ましく、1~7μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が10μmを超えると、大電流下での充放電反応の効率が低下してしまう場合がある。
本発明の電極合剤層における正極活物質の含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70~98.5質量%であることがより好ましく、75~98.5質量%であることがさらに好ましい。60質量%未満である場合、エネルギー密度の要求の高い電源用途への適用は困難となってしまう場合がある。98.5質量%を超える場合、バインダー量が少な過ぎて電極合剤層にクラックが発生したり、電極合剤層が集電体から剥離する場合がある。さらに、繊維状炭素や炭素系導電助剤の含有量が少な過ぎて電極合剤層の導電性が不十分になる場合がある。
(導電材)
本発明の電極合剤層に含まれる正極活物質は、その全部又は一部が導電材によって被覆されている。この導電材としては、金属微粒子、導電性高分子、カーボン材料などを用いることができる。これらの中でも、加工性及び導電性の観点からカーボン材料を用いることが好ましい。以下、導電材としてカーボン材料を用いる場合について詳述する。
正極活物質の表面をカーボン材料で被覆する方法としては、特に限定されるものではないが、正極活物質と微粒子カーボン(カーボンブラック)などを混合してメカニカルに加工する方法(メカノフュージョン)、ケミカルベーパーデポジション(CVD)などの気相成長法、フェノール樹脂やポリビニルアルコールなどの炭素形成能のあるポリマーを塗布後(溶液法)に焼成して炭素化する方法などを採用することができる。
正極活物質に対するカーボン材料の被覆量(質量%)は、0.1~5質量%であり、0.5~4質量%であることが好ましく、1~3質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満の場合、正極活物質の表面導電性が十分でなく、良好な電池特性が得られない。5質量%を超える場合、正極活物質の体積エネルギー密度が低下するため好ましくない。
1-2.繊維状炭素
本発明の電極合剤層に含まれる繊維状炭素は、平均繊維径が200~900nmであってアスペクト比が30以上の繊維状炭素である。
このような繊維状炭素としては、本発明の効果を奏すれば特に限定されないが、天然黒鉛、石油系又は石炭系コークスを熱処理することで製造される人造黒鉛や難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素などを挙げることができる。これらの中でも、易黒鉛化性炭素が好ましい。易黒鉛化性炭素とは、2500℃以上の高温での加熱処理によって、3次元的な積層規則性を持った黒鉛構造を形成し易い炭素原料である。易黒鉛化性炭素は、軟質炭素、ソフトカーボンなどとも呼ばれる。
易黒鉛化性炭素としては、石油コークス、石炭ピッチコークス、ポリ塩化ビニル、3,5-ジメチルフェノールホルムアルデヒド樹脂などを原料とするものが挙げられる。特に、溶融状態において光学的異方性相(液晶相)を形成しうるメソフェーズピッチ又はその混合物を原料とするピッチ系炭素が、高結晶性及び高導電性が期待されることから好ましい。
メソフェーズピッチとしては、石油残渣油を水素添加・熱処理を主体とする方法や、水素添加・熱処理・溶剤抽出を主体とする方法で得られる石油系メソフェーズピッチ;コールタールピッチを水素添加・熱処理を主体とする方法や、水素添加・熱処理・溶剤抽出を主体とする方法で得られる石炭系メソフェーズピッチ;ナフタレン、アルキルナフタレン又はアントラセン等の芳香族炭化水素を原料として超強酸(例えばHF、BF)の存在下で重縮合させて得られる合成液晶ピッチ等が挙げられる。これらの中でも、合成液晶ピッチは不純物を含まないためより好ましい。
繊維状炭素は、導電性の観点から、粉末X線回折による黒鉛構造の(002)面の面間隔d(002)は、0.335~0.340nmの範囲にあるものが好ましく、0.335~0.339nmの範囲にあるものがより好ましく、0.335~0.3385nmの範囲にあるものがさらに好ましい。
繊維状炭素は、結晶性が高いことが好ましく、結晶子長さ(La)が10~500nmであることが好ましく、30~500nmであることがより好ましく、50~500nmであることがさらに好ましく、100~500nmであることがさらにより好ましく、120~500nmであることが特に好ましい。10nm未満である場合、繊維状炭素の導電性は十分でない。一方、結晶子サイズは、X線回折法によって測定を行うが、結晶が大きく発達すると測定誤差が大きくなることから、実質的には500nmが測定の限界である。
繊維状炭素は、グラフェン(網平面群)の厚さ(Lc)が1.0~130nmであることが好ましく、20~130nmであることがより好ましく、30~130nmであることがさらに好ましく、40~130nmであることが特に好ましく、50nm~130nmであることが最も好ましい。1.0nm未満である場合、繊維状炭素の導電性が著しく低下してしまうため好ましくない。
繊維状炭素の平均繊維径は200~900nmであり、200~600nmであることが好ましく、200~500nmであることがより好ましく、220~400nmであることがさらに好ましく、250~350nmであることが最も好ましい。平均繊維径が200nm未満である場合、繊維状炭素が折れていたり丸まったりして、その導電に寄与する実効長が短くなり易い。一方、平均繊維径が900nmを超える場合、単位質量当たりの繊維本数が少なくなる。その結果、導電パスの形成が不十分になる場合がある。なお、本発明において、平均繊維径、平均粒子径及びアスペクト比は、電界放射型走査電子顕微鏡を用いて撮影した写真図より測定される値を意味する。
繊維状炭素の平均実効長は、3μm以上であり、3~100μmであることが好ましく、10~100μmであることがより好ましく、12~80μmであることがよりさらに好ましく、15~70μmであることが特に好ましい。繊維状炭素の平均実効長が長いほど、非水電解質二次電池用電極内の導電性、電極の強度、電解液保液性が増して好ましい。しかし、長すぎる場合、繊維状炭素が電極合剤層の面内方向に配向し易くなる。その結果、膜厚方向への導電パスを形成し難くなってしまう。そのため、本発明における繊維状炭素の平均実効長は上記範囲内にあることが好ましい。
本発明において繊維状炭素の長さは、実際の繊維長ではなく、実効長によって定義される。なぜなら、繊維状炭素は、電極合剤層内において実際の繊維長で導電に寄与しているとは限らないからである。例えば、電極合剤層内で繊維が折れ曲がったり丸まったりして、実際の繊維長で導電に寄与していない場合がある。本発明において、繊維状炭素の実効長は、単体の繊維状炭素に両端が接する最長の線分の長さとして定義される。換言すれば、単体の繊維状炭素が導電することができる最大の直線距離である。即ち、繊維状炭素が完全な直線構造を有する場合は、実効長は実際の繊維長と略等しい。繊維状炭素が分岐構造を有する場合や丸まっている場合は、その単体の繊維状炭素上にある2点間を結ぶ最大の線分の長さをいう。
繊維状炭素の形状は特に限定されるものではないが、実質的に分岐を有さない直線構造であることが好ましい。分岐とは、繊維状炭素の主軸が中途で枝分かれしていることや、繊維状炭素の主軸が枝状の副軸を有することをいう。実質的に分岐を有さない直線構造とは、繊維状炭素の分岐度が0.01個/μm以下であることを意味する。
なお、この繊維状炭素は、全体として繊維状の形態を有していればよく、例えば、上記アスペクト比の好ましい範囲未満のものが接触したり結合したりして一体的に繊維形状を持っているもの(例えば、球状炭素が数珠状に連なっているもの、極めて短い少なくとも1本または複数本の繊維が融着等によりつながっているものなど)も含む。
繊維状炭素のアスペクト比(繊維状炭素の実効長を繊維径で除した値)は、30以上であり、40以上であることが好ましく、50超であることがより好ましく、55以上であることがさらに好ましく、60以上であることがより好ましい。アスペクト比が30未満である場合、電極中において導電パスが形成され難く、繊維状炭素の添加による電極の抵抗低減効果が得られ難い。アスペクト比の上限値は特に限定されないが、一般に4000以下であり、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。4000を超える場合、繊維状炭素の分散性が損なわれることから好ましくない。
本発明の電極合剤層は、平均繊維径が200~900nmであって、平均アスペクト比が30以上の繊維状炭素を複数本含有している(以下、「繊維状炭素集合体」ともいう)。この繊維状炭素集合体は、平均実効長よりも長い実効長を有する繊維状炭素の含有割合が、繊維状炭素集合体に対して本数基準で48%以下であることが好ましい。48%以下であることで、平均実効長を上回る実効長を有する長い繊維状炭素を相対的に多く含有するため、長距離の電子伝導パスの形成に有利となる。実効長が平均実効長よりも長い繊維状炭素の含有割合は、45%以下であることがより好ましく、42%以下であることがさらに好ましく、40%以下であることがよりさらに好ましく、35%以下であることが特に好ましく、30%以下であることが特に好ましい。実効長が平均実効長よりも長い繊維状炭素の含有割合は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。
本発明における繊維状炭素集合体は、区間を5μmとして区分した際の繊維状炭素の実効長の最頻値が繊維状炭素集合体の平均実効長よりも小さいことが好ましい。即ち、繊維状炭素の集合体の実効長分布(本数基準)において、最も高いピークトップの実効長が、平均実効長より小さいことが好ましい。また、実効長分布(本数基準)において、ピークトップは1つであることが好ましい。このような分布を有する繊維状炭素を用いることにより、実効長の長い繊維状炭素によって長距離の導電パスを形成するとともに、実効長の短い繊維状炭素によって実効長の長い繊維状炭素が面内方向へ配向することを阻害する作用を高くすることができる。その結果、電極合剤層の膜厚方向への導電パスを形成し易くなる。
このような繊維状炭素の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができるが一例を以下に示す。
繊維状炭素の製造方法は、例えば次に記載する(1)~(4)の工程を経ることにより製造することができる。
(1)熱可塑性樹脂及び炭素前駆体から成る樹脂組成物を溶融状態で成形することにより、炭素前駆体を繊維化して樹脂複合繊維を得る工程、
(2)前記樹脂複合繊維を安定化し、樹脂複合安定化繊維を得る安定化工程、
(3)樹脂複合安定化繊維から前記熱可塑性樹脂を除去して安定化繊維のみを分離する熱可塑性樹脂除去工程、
(4)安定化繊維を不活性雰囲気下で加熱して炭素化乃至黒鉛化して繊維状炭素を得る炭化焼成工程。
<熱可塑性樹脂>
この繊維状炭素の製造方法で使用する熱可塑性樹脂は、樹脂複合繊維を製造することができるとともに、熱可塑性樹脂除去工程において容易に除去される必要がある。このような熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート系ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルカーボネート、ポリサルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリ乳酸が例示される。これらの中でも、ポリオレフィンが好ましく用いられる。
ポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メチルペンテン-1、及びこれらを含む共重合体が挙げられる。熱可塑性樹脂除去工程において除去し易いという観点からは、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、高圧法低密度ポリエチレン、気相法・溶液法・高圧法直鎖状低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどの単独重合体又はエチレンとα-オレフィンとの共重合体;エチレン・酢酸ビニル共重合体などのエチレンと他のビニル系単量体との共重合体が挙げられる。
この熱可塑性樹脂は、JIS K 7210(1999年度)に準拠して測定されたメルトマスフローレート(MFR)が0.1~10g/10minであることが好ましく、0.1~5g/10minであることがより好ましく、0.1~3g/10minであることが特に好ましい。MFRが上記範囲であると、熱可塑性樹脂中にメソフェーズピッチを良好にミクロ分散することができる。また、樹脂複合繊維を成形する際に、繊維が引き延ばされることにより、炭素前駆体の分子配向性を制御して得られる繊維状炭素の結晶性を向上させるとともに、得られる繊維状炭素の繊維径をより小さくすることができる。熱可塑性樹脂は炭素前駆体と容易に溶融混練できるという点から、非晶性の場合はガラス転移温度が250℃以下、結晶性の場合は融点が300℃以下であることが好ましい。
<炭素前駆体>
炭素前駆体としてはメソフェーズピッチを用いることが好ましい。以下、炭素前駆体としてメソフェーズピッチを用いる場合について説明する。メソフェーズピッチとは、溶融状態において光学的異方性相(液晶相)を形成しうるピッチである。使用するメソフェーズピッチとしては、石炭や石油の蒸留残渣を原料とするものや、ナフタレン等の芳香族炭化水素を原料とするものが挙げられる。例えば、石炭由来のメソフェーズピッチは、コールタールピッチの水素添加・熱処理を主体とする処理、水素添加・熱処理・溶剤抽出を主体とする処理等により得られる。
メソフェーズピッチの光学的異方性含有量(メソフェーズ率)は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
また、上記メソフェーズピッチは、軟化点が100~400℃であることが好ましく、150~350℃であることがより好ましい。
<樹脂組成物>
この繊維状炭素の製造方法において用いられる、熱可塑性樹脂とメソフェーズピッチとから成る樹脂組成物(以下、メソフェーズピッチ組成物ともいう)は、熱可塑性樹脂100質量部とメソフェーズピッチ1~150質量部とを含んで成ることが好ましい。メソフェーズピッチの含有量は5~100質量部であることがより好ましい。メソフェーズピッチの含有量が150質量部を超えると所望の分散径を有する樹脂複合繊維が得られず、1質量部未満であると目的とする繊維状炭素を安価に製造することができない等の問題が生じるため好ましくない。
繊維径が900nm以下である繊維状炭素を製造するためには、熱可塑性樹脂中におけるメソフェーズピッチの分散径を0.01~50μmとすることが好ましく、0.01~30μmとすることがより好ましい。熱可塑性樹脂中におけるメソフェーズピッチの分散径が0.01~50μmの範囲を逸脱すると、所望の繊維状炭素を製造することが困難となることがある。なお、メソフェーズピッチ組成物中において、メソフェーズピッチは球状又は楕円状の島相を形成するが、本発明における分散径とは、島相が球状の場合はその直径を意味し、楕円状の場合はその長軸径を意味する。
上記0.01~50μmの分散径は、メソフェーズピッチ組成物を300℃で3分間保持した後においても上記範囲内を維持していることが好ましく、300℃で5分間保持した後においても維持していることがより好ましく、300℃で10分間保持した後においても維持していることが特に好ましい。一般に、メソフェーズピッチ組成物を溶融状態で保持しておくと、メソフェーズピッチ組成物中においてメソフェーズピッチが時間と共に凝集する。メソフェーズピッチが凝集してその分散径が50μmを超えると、所望の繊維状炭素を製造することが困難となることがある。メソフェーズピッチ組成物中におけるメソフェーズピッチの凝集速度は、使用する熱可塑性樹脂及びメソフェーズピッチの種類により変動する。
メソフェーズピッチ組成物は、熱可塑性樹脂とメソフェーズピッチとを溶融状態において混練することにより製造することができる。熱可塑性樹脂とメソフェーズピッチとの溶融混練は公知の装置を用いて行うことができる。例えば、一軸式混練機、二軸式混練機、ミキシングロール、バンバリーミキサーからなる群より選ばれる1種類以上を用いることができる。これらの中でも、熱可塑性樹脂中にメソフェーズピッチを良好にミクロ分散させるという目的から、二軸式混練機を用いることが好ましく、特に各軸が同方向に回転する二軸式混練機を用いることが好ましい。
混練温度としては、熱可塑性樹脂とメソフェーズピッチとが溶融状態であれば特に制限されないが、100~400℃であることが好ましく、150~350℃であることが好ましい。混練温度が100℃未満であると、メソフェーズピッチが溶融状態にならず、熱可塑性樹脂中にミクロ分散させることが困難であるため好ましくない。一方、400℃を超える場合、熱可塑性樹脂及びメソフェーズピッチの分解が進行するため好ましくない。また、溶融混練の時間としては、0.5~20分間であることが好ましく、1~15分間であることがより好ましい。溶融混練の時間が0.5分間未満の場合、メソフェーズピッチのミクロ分散が困難であるため好ましくない。一方、20分間を超える場合、繊維状炭素の生産性が著しく低下するため好ましくない。
溶融混練は、酸素ガス含有量が10体積%未満の不活性雰囲気下で行うことが好ましく、酸素ガス含有量が5体積%未満の不活性雰囲気下で行うことがより好ましく、酸素ガス含有量が1%体積未満の不活性雰囲気下で行うことが特に好ましい。この製造方法で使用するメソフェーズピッチは、溶融混練時に酸素と反応することにより変性してしまい、熱可塑性樹脂中へのミクロ分散を阻害することがある。このため、酸素とメソフェーズピッチとの反応を抑制するために不活性雰囲気下で溶融混練を行うことが好ましい。
<樹脂複合繊維>
上記のメソフェーズピッチ組成物から樹脂複合繊維を製造する方法としては、所望の繊維状炭素が作製できれば限定されないが、メソフェーズピッチ組成物を紡糸口金より溶融紡糸する方法、メソフェーズピッチ組成物を矩形口金より溶融製膜する方法を例示することができる。
結晶性の高い繊維状炭素を得るためには、樹脂複合繊維を得る段階において、樹脂複合繊維に含まれるメソフェーズピッチの分子配向性を高める操作を行うことが有効である。樹脂複合繊維に含まれるメソフェーズピッチの分子配向性を高める操作としては、溶融状態のメソフェーズピッチの分子配向性を高めるための変形を加えることが効果的であり、係る方法としては、溶融状態のメソフェーズピッチにせん断によるひずみを加える方法、伸長によるひずみを加える方法を例示することができる。
せん断によるひずみを加える方法としては、メソフェーズピッチが溶融した状態において、溶融状態のメソフェーズピッチ組成物の線速度を大きくすることにより、溶融状態のメソフェーズピッチ組成物が口金流路内を通過する際の通過速度を高くすることにより、せん断によるひずみを加える方法が挙げられる。
また、伸長によるひずみを加える方法としては、メソフェーズピッチが溶融した状態において、溶融状態のメソフェーズピッチ組成物の線速度を、吐出側に向けて大きくしていく方法が挙げられる。具体的には、口金流路内の断面積を吐出側に向けて漸減させる方法や、口金から吐出されたメソフェーズピッチ組成物を、吐出線速度よりも大きな線速度で引き取る方法などが挙げられる。
メソフェーズピッチの分子配向性を高める操作を経る際の温度は、メソフェーズピッチの溶融温度よりも高いことが必要であり、150~400℃であることが好ましく、180~350℃であることがより好ましい。400℃を超える場合、メソフェーズピッチの変形緩和速度が大きくなり、繊維の形態を保つことが難しくなる。
また、樹脂複合繊維の製造工程は冷却工程を有していてもよい。冷却工程としては、例えば、溶融紡糸の場合、紡糸口金の下流の雰囲気を冷却する方法が挙げられる。溶融製膜の場合、矩形口金の下流に冷却ドラムを設ける方法が挙げられる。冷却工程を設けることにより、メソフェーズピッチが伸長により変形する領域を調整でき、ひずみの速度を調整することができる。また、冷却工程を設けることにより、紡糸又は製膜後の樹脂複合繊維を直ちに冷却固化させて安定した成形を可能とする。
<樹脂複合安定化繊維>
上記のようにして得られた樹脂複合繊維は、該樹脂複合繊維に含まれるメソフェーズピッチ繊維を安定化(不融化ともいう)して樹脂複合安定化繊維が作製される。安定化は、空気、酸素、オゾン、二酸化窒素、ハロゲンなどを用いるガス気流処理、酸性水溶液などを用いる溶液処理など公知の方法で行うことができるが、生産性の面からガス気流処理による不融化が好ましい。
使用するガス成分としては、取り扱いの容易性から空気、酸素、又はこれを含む混合ガスであることが好ましく、コストの関係から空気を用いるのが特に好ましい。酸素ガス濃度としては、全ガス組成の10~100体積%の範囲にあることが好ましい。酸素ガス濃度が全ガス組成の10体積%未満であると、樹脂複合繊維に含まれるメソフェーズピッチを安定化するのに多大の時間を要してしまうので好ましくない。
安定化の反応温度は、50~350℃が好ましく、60~300℃がより好ましく、100~300℃がさらに好ましく、200~300℃が特に好ましい。安定化の処理時間は、10~1200分間が好ましく、10~600分間がより好ましく、30~300分間がさらに好ましく、60~210分間が特に好ましい。
上記安定化処理によりメソフェーズピッチの軟化点は著しく上昇するが、所望の繊維状炭素を得るという目的から、メソフェーズピッチの軟化点は400℃以上となることが好ましく、500℃以上となることがさらに好ましい。
<熱可塑性樹脂除去工程>
次に、上述のようにして得られる樹脂複合安定化繊維は、その中に含まれる熱可塑性樹脂が除去されて安定化繊維が分離される。この工程では、安定化繊維の熱分解を抑制しながら、熱可塑性樹脂を分解・除去する。熱可塑性樹脂を分解・除去する方法としては、例えば、溶剤を用いて熱可塑性樹脂を除去する方法や、熱可塑性樹脂を熱分解して除去する方法が挙げられる。
熱可塑性樹脂の熱分解は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。ここでいう不活性雰囲気とは、二酸化炭素、窒素、アルゴン等のガス雰囲気をいい、その酸素濃度は30体積ppm以下であることが好ましく、20体積ppm以下であることがより好ましい。本工程で使用する不活性ガスとしては、コストの関係から二酸化炭素及び窒素を用いることが好ましく、窒素を用いることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂の熱分解は減圧下で行うこともできる。減圧下で熱分解することにより、熱可塑性樹脂を十分に除去することができる。その結果、安定化繊維を炭素化又は黒鉛化して得られる繊維状炭素又は黒鉛化繊維の繊維間における融着を少なくすることができる。雰囲気圧力は低いほど好ましいが、50kPa以下であることが好ましく、30kPa以下であることがより好ましく、10kPa以下であることがさらに好ましく、5kPa以下であることが特に好ましい。一方、完全な真空は達成が困難であるため、圧力の下限は一般に0.01kPa以上である。
熱可塑性樹脂の熱分解を減圧下で行う場合、上記の雰囲気圧力が保たれれば、微量の酸素や不活性ガスが存在してもよい。特に微量の不活性ガスが存在すると、熱可塑性樹脂の熱劣化による繊維間の融着が抑制される利点があり好ましい。なお、ここでいう微量の酸素とは、酸素濃度が30体積ppm以下であることをいい、微量の不活性ガスとは、不活性ガス濃度が20体積ppm以下であることをいう。用いる不活性ガスの種類は、上述したとおりである。
熱分解の温度は、350~600℃であることが好ましく、380~550℃であることがより好ましい。熱分解の温度が350℃未満である場合、安定化繊維の熱分解は抑えられるものの、熱可塑性樹脂の熱分解を十分行うことができない場合がある。一方、600℃を超える場合、熱可塑性樹脂の熱分解は十分行うことができるものの、安定化繊維までが熱分解される場合があり、その結果、炭素化時の収率が低下し易い。熱分解の時間としては、0.1~10時間であることが好ましく、0.5~10時間であることがより好ましい。
安定化工程及び熱可塑性樹脂除去工程は、樹脂複合繊維又は樹脂複合安定化繊維を、支持基材上に目付け2000g/m以下で保持して行うことが好ましい。支持基材に保持することによって、安定化処理時又は熱可塑性樹脂除去時の加熱処理による樹脂複合繊維又は樹脂複合安定化繊維の凝集を抑制することができ、通気性を保つことが可能となる。
支持基材の材質としては、溶剤や加熱によって変形や腐食を生じないことが必要である。また、支持基材の耐熱温度としては、上記の熱可塑性樹脂除去工程の熱分解温度で変形しないことが必要であることから、600℃以上の耐熱性を有していることが好ましい。このような材質としては、ステンレスなどの金属材料やアルミナ、シリカなどのセラミックス材料を挙げることができる。
また、支持基材の形状としては、面垂直方向への通気性を有する形状であることが好ましい。このような形状としては網目構造が好ましい。網目の目開きは0.1~5mmであることが好ましい。目開きが5mmよりも大きい場合、加熱処理によって網目の線上に繊維が凝集し易くなり、メソフェーズピッチの安定化や熱可塑性樹脂の除去が不十分となる場合があり好ましくない。一方、網目の目開きが0.1mm未満である場合、支持基材の開孔率の減少により、支持基材の面垂直方向への通気性が低下する場合があり好ましくない。
<炭化焼成工程>
上記安定化繊維を不活性雰囲気下で炭素化及び/又は黒鉛化することにより繊維状炭素が得られる。その際に使用する容器としては、黒鉛製のルツボ状のものが好ましい。ここで、炭素化とは比較的低温(好ましくは1000℃程度)で加熱することをいい、黒鉛化とはさらに高温で加熱(好ましくは3000℃程度)することにより黒鉛の結晶を成長させることをいう。
上記安定化繊維の炭素化及び/又は黒鉛化時に使用される不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が挙げられる。不活性雰囲気中の酸素濃度は、20体積ppm以下であることが好ましく、10体積ppm以下であることがより好ましい。炭素化及び/又は黒鉛化時の焼成温度は、500~3500℃が好ましく、800~3200℃がより好ましい。特に黒鉛化の際の焼成温度としては、2000~3500℃が好ましく、2100~3200℃がより好ましい。黒鉛化時の温度が2000℃未満である場合、結晶成長が妨げられ、結晶子長さが不十分となり導電性が著しく低下するおそれがある。また、黒鉛化温度が3500℃を超える場合、結晶成長の点では好ましいが、繊維状炭素の酸素含有量が減少する傾向がある。焼成時間は、0.1~24時間が好ましく、0.2~10時間がより好ましい。
<粉砕処理>
上記繊維状炭素の製造方法は、粉砕処理工程を有していても良い。粉砕処理は、熱可塑性樹脂除去工程、及び/又は、炭化焼成工程において実施するのが好ましい。粉砕方法としては、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、インペラーミル、カッターミル等の微粉砕機を適用することが好ましく、粉砕後に必要に応じて分級を行ってもよい。湿式粉砕の場合、粉砕後に分散媒体を除去するが、この際に2次凝集が顕著に生じるとその後の取り扱いが非常に困難となる。このような場合は、乾燥後、ボールミルやジェットミル等を用いて解砕操作を行うことが好ましい。
本発明の電極合剤層に含まれる繊維状炭素の含有量は、0.5~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましく、1~3質量%であることがさらに好ましい。0.5質量%未満である場合、導電パスの形成が不十分になり易く、電極合剤層の膜厚方向の抵抗値が十分に低下しない場合がある。10質量%を超える場合、電極中の活物質量が少なくなり、得られる電池のエネルギー密度が低下し易い。
1-3.その他の物質
(繊維状炭素以外の炭素系導電助剤)
本発明の電極合剤層は、上記の繊維状炭素の他に炭素系導電助剤を含むことが好ましい。繊維状炭素以外の炭素系導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、鱗片状炭素、グラフェン、グラファイトを挙げることができる。これらの炭素系導電助剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。
これらの炭素系導電助剤の形状は特に限定されないが、微粒子状であることが好ましい。炭素系導電助剤の平均粒子径(一次粒子径)は10~100nmであることが好ましく、20~100nmであることがより好ましい。これらの炭素系導電助剤のアスペクト比は、10以下であり、1~5であることが好ましく、1~3であることがより好ましい。
本発明の電極合剤層における繊維状炭素以外の炭素系導電助剤の含有量は、5質量%以下であることが好ましく、0.5~4質量%であることがより好ましく、1~3質量%であることがさらに好ましい。
(バインダー)
本発明の電極合剤層は、バインダーを含むことが好ましい。バインダーとしては、電極成形が可能であり、十分な電気化学的安定性を有しているバインダーであれば用いることが可能である。係るバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フルオロオレフィン共重合体架橋ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド、フェノール樹脂等よりなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)が好ましい。
本発明の電極合剤層におけるバインダーの含有量は、1~25質量%であることが好ましく、3~15質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。1質量%未満である場合、電極合剤層にクラックが発生したり、電極合剤層が集電体から剥離してしまうことがある。25質量%を超える場合、電極中の活物質量が少なくなり、得られる電池のエネルギー密度が低下し易い。
2. 非水電解質二次電池用電極
以下、本発明の電極合剤層を備える非水電解質二次電池用電極について説明する。
なお、以下、非水電解質二次電池用電極を単に「電極」ともいう。
本発明の電極合剤層は、電極を構成する集電体の表面に積層される。本発明の電極合剤層を備える電極の作製方法としては、以下の二つの方法が一般的である。一つの方法は、上記被覆正極活物質、上記繊維状炭素、バインダー、及び必要に応じて他の成分を混合・混練し、押し出し成形によりフィルム化して、これを圧延、延伸した後、集電体と貼り合わせる方法である。
もう一つの方法は、上記被覆正極活物質、上記繊維状炭素、バインダー、バインダーを溶解する溶媒、及び必要に応じて他の成分を混合してスラリーを調製し、このスラリーを集電体表面に塗布して溶媒を除去した後、プレスを行う方法である。
本発明の場合、どちらの方法も採用できるが、後者の方法が好適であるので、以下後者の方法について詳述する。
上記スラリーにおける固形分濃度(上記スラリーの溶媒以外の成分の合計質量がスラリーの全質量に占める割合をいう。)は、10~80質量%であることが好ましく、20~70質量%であることがより好ましい。固形分濃度が80質量%を超えると、均一なスラリー作製が困難である場合がある。また、固形分濃度が10質量%未満であると、スラリーの粘度が不十分であり、電極合剤層の厚みが不均一になってしまう場合がある。
スラリーに用いる溶媒としては、バインダーを溶解する溶媒である限り特に制限されない。具体的には、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホオキシド(DMSO)等よりなる群から選ばれる1種類以上を挙げることができ、特にNMP又はDMAcが好ましい。
電極を作製する際に、スラリー中のチクソ性が強過ぎると、塗布に適した流動性を確保することが困難となる場合がある。このような場合には、スラリー化助剤を使用してもよい。スラリー化助剤としては、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール等よりなる群から選ばれる1つ以上を挙げることができる。特に、ポリビニルピロリドンを使用することが好適である。上記のようなスラリー化助剤を添加することにより、少ない溶媒量であっても十分な流動性を確保することができ、炭素系導電助剤の分散性も格段に向上する。また、溶媒除去後のクラックの発生も抑制できる。スラリー化助剤の添加量としては、スラリー中の溶媒以外の成分の合計に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、0.5~8質量%であることがさらに好ましい。スラリー化助剤の添加量が10質量%を超えると、逆にスラリー粘度が急激に低下し、分散不良を生じて好適なスラリー作製が困難となる場合がある。スラリー化助剤の添加量が0.5質量%未満である場合、スラリー化助剤の効果が現れ難い。
上記スラリーは、後述する集電体の表面に塗布する。塗布方法としては、ドクターブレード等の適宜の塗布方法を採用することができる。塗布後、例えば、60~150℃、好ましくは80~120℃において、好ましくは60~180分間加熱処理することにより溶媒を除去する。その後、溶媒除去後の塗布物をプレスすることにより、本発明の電極合剤層を含んで構成される電極を製造することができる。
電極を構成する集電体としては、任意の導電性材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン又は銅の金属材料を用いることができる。特に、アルミニウム、ステンレス鋼又は銅が好ましく、アルミニウム又はカーボンコートを施したアルミニウムを用いることがより好ましい。
集電体の厚みとしては、10~50μmが好ましい。
3.非水電解質二次電池
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の電極合剤層を含んで構成される。非水電解質二次電池としては、リチウムイオン二次電池、リチウム電池、リチウムイオンポリマー電池が例示される。
本発明の非水電解質二次電池は、負極活物質層が集電体の表面に形成されてなる負極、電解質を含む電解質層、及び本発明の電極合剤層が集電体の表面に形成されてなる正極から構成される。この負極活物質層と本発明の電極合剤層とが向き合い、かつ、負極活物質層と本発明の電極合剤層との間に電解質層が挿入されるようにして積層されて構成される。
本発明の非水電解質二次電池のセル形状は、特に限定されず、いかなる形状においても実施することができる。具体的には、例えばボタン型、円筒型、角型等のセル形状を挙げることができる。また、複数対の正負電極とセパレータが積層された内部構成とすることも好ましく、この場合、公知のスタック積層型、捲回型、折り返し積層型等の方式を採用することが可能である。本発明の非水電解質二次電池の外装材としては、例えば金属缶、アルミラミネート樹脂フィルム等を挙げることができる。本発明の非水電解質二次電池は、電極合剤層に添加されている所定の繊維状炭素が直線構造を有しており、かつ高い導電性を有しているため、導電パスを形成しやすく、優れた充放電特性を得ることができる。さらに、電極強度も向上する。
(電解質層)
非水電解質二次電池を構成する電解質層としては、非水溶媒にリチウム塩等の電解質が溶解した非水電解液が用いられる。本発明の非水電解質二次電池に用いられる電解液の25℃における電気伝導度は、1×10-2S/cm以上であることが好ましい。
一般に非水電解液は、水系の電解液に比べ耐電圧が高く、高いエネルギー密度が得られるという特徴がある。非水溶媒としては、公知のものを制限なく用いることが可能であるが、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、アセトニトリル、ニトロメタン、メトキシアセトニトリル、ニトロエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシプロピオニトリル、N-メチルピロリドン、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、3-メチルスルホラン、エチルメチルカーボネート等が挙げられる。これらの非水溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。電解液に用いる溶媒は、適当な沸点、融点、粘性及び比誘電率を有することが重要であり、上記の中でも特にプロピレンカーボネート又はγ-ブチロラクトンを主体とするものが好適に用いられる。
本発明の非水電解質二次電池に用いる電解質としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiAlCl、LiSbF、LiSCN、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ホウ酸塩類、イミド塩類が挙げられる。ホウ酸塩類としては、ビス(1,2-ベンゼンジオレート(2-)-O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3-ナフタレンジオレート(2-)-O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’-ビフェニルジオレート(2-)-O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5-フルオロ-2-オレート-1-ベンゼンスルホン酸-O,O’)ホウ酸リチウムなどが挙げられる。イミド塩類としては、ビストリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム((CFSONLi)、トリフルオロメタンスルホン酸ノナフルオロブタンスルホン酸イミドリチウム(LiN(CFSO)(CSO))、ビスペンタフルオロエタンスルホン酸イミドリチウム((CSONLi)などが挙げられる。電解質の濃度としては、0.5~2mol/Lが好ましい。電解質は、上記のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。サイクル安定性、充放電効率の向上等を目的として、電解質に公知の添加剤を添加してもよい。
(負極活物質)
非水電解質二次電池を構成する負極活物質としては、リチウム系電池において、負極活物質として知られている従来公知の材料(リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料)の中から、1種又は2種以上選択して用いることができる。例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料として、炭素材料や、Si及び/又はSnを含む合金や酸化物などを用いることができる。これらの中でもコストなどの観点からは炭素材料が好ましい。上記炭素材料としては、天然黒鉛、石油系及び石炭系コークスを熱処理することで製造される人造黒鉛、樹脂を炭素化したハードカーボン、メソフェーズピッチ系炭素材料などが挙げられる。
天然黒鉛や人造黒鉛を用いる場合、電池容量の増大の観点から、粉末X線回折による黒鉛構造の(002)面の面間隔d(002)が0.335~0.337nmの範囲にあるものが好ましい。天然黒鉛とは、鉱石として天然に産出する黒鉛質材料のことをいう。天然黒鉛は、その外観と性状によって、結晶化度の高い鱗状黒鉛と結晶化度が低い土状黒鉛の2種類に分けられる。鱗状黒鉛はさらに外観が葉状の鱗片状黒鉛と、塊状である鱗状黒鉛とに分けられる。黒鉛質材料となる天然黒鉛は、産地や性状、種類は特に制限されない。また、天然黒鉛又は天然黒鉛を原料として製造した粒子に熱処理を施して用いてもよい。
人造黒鉛とは、広く人工的な手法で作られた黒鉛及び黒鉛の完全結晶に近い黒鉛質材料をいう。代表的な例としては、石炭の乾留、原油の蒸留による残渣などから得られるタールやコークスを原料にして、500~1000℃程度の焼成工程、2000℃以上の黒鉛化工程を経て得たものが挙げられる。また、溶解鉄から炭素を再析出させることで得られるキッシュグラファイトも人造黒鉛の一種である。
負極活物質として炭素材料の他に、Si及び/又はSnを含む合金を使用すると、Si及び/又はSnを単体で用いる場合やそれぞれの酸化物を用いる場合に比べ、充放電時の電極の膨張率が小さくなり、サイクル特性が良好になる。これらの中でも、Si系合金が好ましい。Si系合金としては、B、Mg、Ca、Ti、Fe、Co、Mo、Cr、V、W、Ni、Mn、Zn及びCuなどからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、Siと、の合金などが挙げられる。具体的には、SiB、SiB、MgSi、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、VSi、WSi、ZnSiなどからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明の非水電解質二次電池においては、負極活物質として、既述の材料を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、当該負極活物質の平均粒子径は10μm以下とする。平均粒子径が10μmを超えると、大電流下での充放電反応の効率が低下してしまう。平均粒子径は0.1~10μmとすることが好ましく、1~7μmとすることがより好ましい。
(セパレータ)
上記のような非水電解液を用いる場合、負極活物質層と本発明の電極合剤層とが直接接触することを防ぐために、セパレータを用いることが一般的である。セパレータの形状としては、紙状(フィルム状)、多孔膜状等の公知の形状を好適に採用することができる。セパレータの材質としては、例えば、セルロース、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリイミド、ポリオレフィン、テフロン(登録商標)、ポリフェニレンスルファイドからなる群より選ばれる1種類以上の材質を好適に用いることができる。これらの中でも、耐熱性と薄膜化の観点から、セルロース紙、芳香族ポリアミド又は脂肪族ポリイミド多孔膜が好ましい。セパレータの膜厚としては、短絡防止の観点から20~100μm程度であることが好ましいが、本発明では従来のセパレータに比べて十分薄い5~20μm程度のセパレータの適用も可能である。薄いセパレータを用いた方がセパレータに由来する内部抵抗が低減されるため出力が向上し、セルのエネルギー密度も向上する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されない。実施例中の各種測定や分析は、それぞれ以下の方法に従って行った。
(1)繊維状炭素の形状確認
卓上電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型式NeoScope JCM-6000)を用いて観察及び写真撮影を行った。繊維状炭素等の平均繊維径は、得られた電子顕微鏡写真から無作為に300箇所を選択して繊維径を測定し、それらのすべての測定結果(n=300)の平均値を平均繊維径とした。平均実効長についても同様に算出した。
(2)繊維状炭素のX線回折測定
X線回折測定はリガク社製RINT-2100を用いてJIS R7651法(2007年度)に準拠し、格子面間隔(d002)、結晶子長さ(La)、グラフェン(網平面群)の厚さ(Lc)(六角網面積層方向)を測定した。
(3)体積抵抗率の測定方法
体積抵抗率の測定はダイヤインスツルメンツ社製の粉体抵抗システム(MCP-PD51)を用いて、0.50~10.00kNの荷重下で四探針方式の電極ユニットを用いて測定した。体積抵抗率は充填密度の変化に伴う体積抵抗率の関係図から充填密度が2.0g/cm時の体積抵抗率の値を試料の体積抵抗率とした。
[製造例1] <繊維状炭素の製造>
熱可塑性樹脂として高密度ポリエチレン(HI-ZEX(登録商標)5000SR、(株)プライムポリマー製;350℃、600s-1の溶融粘度14Pa・s)90質量部及び熱可塑性炭素前駆体として合成メソフェーズピッチAR・MPH(三菱ガス化学(株)製)10質量部を、同方向二軸押出機(東芝機械(株)製「TEM-26SS」、バレル温度310℃、窒素気流下)で溶融混練して樹脂組成物を調製した。
メソフェーズピッチの熱可塑性樹脂中への分散径は0.05~2μmであった。また、このメソフェーズピッチ組成物を300℃で10分間保持したが、メソフェーズピッチの凝集は認められず、分散径は0.05~2μmであった。
次いで、このメソフェーズピッチ組成物を、幅0.2mmのスリット幅、スリット長さ100mm、導入角60°の矩形口金を用いて厚み60μmの面状体に成形した。口金温度は340℃、吐出量は2.4kg/時間、せん断速度は1360s-1、吐出線速度と引取り速度との比率であるドラフト比は25、吐出口から冷却ドラムまでの距離は50mmであった。この条件での口金内部での伸長ひずみ速度は95s-1であり、口金外部での伸長ひずみ速度は208s-1であった。得られた面状体を用いて、目開き1.46mm、線径0.35mmの金網上に、短繊維の目付けが30g/mになるように不織布状に配置した。
この樹脂複合繊維から成る不織布を215℃で3時間保持することにより、樹脂複合安定化繊維を得た。
次に、上記樹脂複合安定化繊維を、真空ガス置換炉中で、窒素置換を行った後に1kPaまで減圧した。減圧状態下で、5℃/分の昇温速度で500℃まで昇温し、500℃で1時間保持することにより、熱可塑性樹脂を除去して安定化繊維を得た。得られた安定化繊維をエタノール/イオン交換水混合溶媒(体積比1/1)中に加え、ミキサーで10分間粉砕することにより分散させた。得られた分散液は濾過した。この安定化繊維を流量1l/minの窒素下で室温から1000℃まで5℃/minの条件で昇温し、1000℃到達後30分間保持することで炭化を行った。さらに、アルゴンガス雰囲気下、室温から3時間で3000℃まで昇温することで繊維状炭素を作製した。得られた繊維状炭素は乾式ジェットミルにて解砕処理を行った。
以上のような黒鉛化処理を経て得られた繊維状炭素の繊維径は、200~600nm(平均繊維径300nm)であり、実効繊維長と繊維径との比から計算されるアスペクト比は101であり、非常に分散性に優れた繊維状炭素(炭素繊維)であった。また、X線回折法で測定した結果から、繊維状炭素の格子面間隔(d002)は0.3367nm、結晶子長さ(La)は185nm、網平面群の厚さ(Lc002)は80nmであり、結晶性の高い繊維状炭素であった。
[製造例2]<被覆正極活物質の製造>
公知の技術に従い、水熱法によりリン酸鉄リチウムを作製した。ブタンガスを100ml/minでフローさせ、700℃で5分間処理し、炭素をリン酸鉄リチウムの粒子表面にコーティングすることで、正極活物質Aを作製した。ブタンガスのフロー時間を10分間とした以外は、正極活物質Aと同様に操作を行うことで、正極活物質Bを作製した。炭素をコーティングしないものを正極活物質Cとした。正極活物質A、B、Cの被覆炭素量とかさ密度2.0g/cm時の粉体体積抵抗を表1に示す。被覆炭素量が多いほど粉体体積抵抗が低くなっており、活物質自体の導電性向上、すなわち活物質の表面集電性向上につながると考えられる。
また、正極活物質A、B、Cの粉体体積抵抗測定の結果を図1に示す。
Figure 0007308007000001
[実施例1] <電極の作製>
製造例1の繊維状炭素(CNF)を2質量部、製造例2の被覆正極活物質Aを91質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製、W#7200)を7質量部、溶媒としてN-メチルピロリドンを用いてスラリーを作製した。作製したスラリーを集電体(厚さ15μmのアルミニウム箔)に塗布後、120℃で3h乾燥させることで電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は112μm、密度は2.5g/cmであった。
この電極の電極合剤層を、溶媒に溶解し、乾燥後、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製VHX-200)を用いて撮影した写真の中から代表的なものを図2に示す。繊維状炭素の平均実効長は19.6μm(アスペクト比=65)であった。また、これの実効長を測定した繊維状炭素集合体のヒストグラムを図3に示す。実効長が平均実効長よりも長い繊維状炭素の含有量は、繊維状炭素全体に対して本数基準で37.5%であった。
また、図4に、アスペクト比に対する電気伝導度の値をプロットした。
[実施例2] <電極の作製>
製造例1の繊維状炭素(CNF)を1.5質量部、製造例2の被覆正極活物質Aを91.5質量部用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は110μm、密度は2.5g/cmであった。
[実施例3] <電極の作製>
製造例1の繊維状炭素(CNF)を1.8質量部、炭素系導電助剤としてアセチレンブラック(平均粒子径=36nm)を0.2質量部用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は112μm、密度は2.5g/cmであった。
[実施例4] <電極の作製>
製造例2の被覆正極活物質Aの代わりに製造例2の被覆正極活物質Bを用いた以外は実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は122μm、密度は2.4g/cmであった。
[実施例5] <電極の作製>
製造例1の繊維状炭素(CNF)を1.5質量部、製造例2の被覆正極活物質Bを91.5質量部用いたこと以外は実施例4と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は125μm、密度は2.4g/cmであった。
[実施例6] <電極の作製>
製造例1の繊維状炭素(CNF)を1質量部、製造例2の被覆正極活物質Bを92質量部用いたこと以外は実施例4と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は118μm、密度は2.4g/cmであった。
[比較例1] <電極の作製>
製造例1の繊維状炭素(CNF)に代えてMWCNT(平均繊維径=150nm、平均実効長=7.5μm、アスペクト比=50)を用いた以外は実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は116μm、密度は2.5g/cmであった。
また、図4に、アスペクト比に対する電気伝導度の値をプロットした。
[比較例2] <電極の作製>
MWCNTを1.5質量部、製造例2の被覆正極活物質Aを91.5質量部用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は115μm、密度は2.5g/cmであった。
[比較例3] <電極の作製>
製造例1の繊維状炭素(CNF)に代えてアセチレンブラック(平均粒子径=36nm、アスペクト比=1)を用いた以外は実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は110μm、密度は2.5g/cmであった。
[比較例4]
アセチレンブラックを1.5質量部、製造例2の被覆正極活物質Aを91.5質量部用いたこと以外は比較例3と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は110μm、密度は2.5g/cmであった。
[比較例5]
製造例1の繊維状炭素(CNF)に代えて、当該繊維状炭素(CNF)を粉砕(株式会社スギノマシン社製、スターバースト)し、平均実効長5.5μmの繊維状炭素(S-CNF、アスペクト比=18)を得た。この繊維状炭素を用いたこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は123μm、密度は2.5g/cmであった。
[比較例6]
製造例1の繊維状炭素(CNF)を含まず、製造例2の被覆正極活物質Bを93質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製、W#7200)を7質量部用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は123μm、密度は2.4g/cmであった。
[比較例7]
製造例2の被覆正極活物質Aに代えて、被覆処理を施していない製造例2の正極活物質Cを用いた以外は実施例1と同様に操作を行い、電極を作製した。電極を構成する電極合剤層の膜厚は123μm、密度は2.4g/cmであった。
<電極の抵抗測定>
ポテンショスタット/ガルバノスタット(北斗電工株式会社製HA-151)を用いて、作製した電極の膜厚方向の電極抵抗を測定した結果と、その抵抗値から算出される電気伝導度を表2に示す。また、被覆正極活物質AまたはBを用い、導電助剤添加量が2質量%の電極について、炭素系導電助剤のアスペクト比と、電極の電気伝導度/導電助剤添加量の関係を図4に示す。表2および図4より、炭素被覆された被覆正極活物質A又はBを用い、かつ、アスペクト比が30以上の繊維状炭素(CNF)を用いる場合、電極の電気伝導度(電極電導度)が極めて高かった。
<電池に期待される効果>
表1および図1より、被覆正極活物質の表面集電性が良好であることが示唆される。一方、表2および図4より、アスペクト比が30以上の繊維状炭素を用いた電極合剤層の電気伝導度が非常に良好であることがわかり、さらに正極活物質として被覆正極活物質を用いることにより、より良好な電気伝導度を達成できることがわかる。
したがって、被覆正極活物質と、アスペクト比が30以上の繊維状炭素を組み合わせた電極合剤層とすることにより、活物質の表面集電性と、電極合剤層内における長距離の電子伝導ネットワーク形成と、を両立させた電極合剤層を作製することができる。このような電極合剤層を用いることで、高容量化を可能とする厚膜電極でありながら、高出力化も同時に達成する長距離電子伝導性を有するため、高容量かつ高出力の非水電解質二次電池を提供することができる。
Figure 0007308007000002

Claims (8)

  1. 正極活物質と前記正極活物質の表面を被覆する導電材とから成る被覆正極活物質と、
    平均繊維径が本数基準で220~400nmであって、平均実効長が本数基準で10~70μmであり、平均実効長よりも長い実効長を有する繊維状炭素の含有割合が本数基準で42%以下であり、実効長分布(本数基準)におけるピークトップが1つである繊維状炭素と、
    を含有することを特徴とする非水電解質二次電池用電極合剤層。
  2. 前記繊維状炭素がピッチ系炭素である請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
  3. 前記被覆正極活物質の充填密度2.0g/cm時における粉体体積抵抗が、1.0×10Ω・cm以下である請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
  4. 前記導電材が炭素からなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
  5. 前記繊維状炭素の含有量が0.5~10質量%である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
  6. 平均粒子径(一次粒子径)が10~100nmの炭素系導電助剤を5質量%以下含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層。
  7. 集電体と、
    前記集電体に積層された請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層と、
    から成る非水電解質二次電池用電極。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用電極合剤層を含んで構成される非水電解質二次電池。
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