JP7306601B1 - 積層造形物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

鋼マトリックスと、該鋼マトリックス中に分散したセラミック粒子とを含有し、前記鋼マトリックスは、質量%で、C:0.030%以上0.800%以下、Si:0.01%以上2.50%以下、Mn:0.10%以上8.00%以下、P:0.100%以下、S:0.0200%以下、Al:0.100%以下、N:0.1000%以下、およびO:0.5000%以下、を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、気孔の面積率が0.50%以下であり、前記気孔を除く領域においてマルテンサイトが面積率で90%以上であり、旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が1.5以上であり、高角粒界長さLHAをミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界長さLで除した値LHA/Lが2.0以上である鋼組織とを有し、前記セラミック粒子の融点は2000℃以上である、積層造形物。

Description

本開示は、積層造形物およびその製造方法に関する。
近年、地球環境の保全の見地から、自動車の燃費向上が重要な課題となっている。このため、車体材料の高強度化により薄肉化を図り、車体そのものを軽量化しようとする動きが活発となってきている。自動車用の構造用部材や補強用部材に使用される高強度鋼板は成形性に優れることが要求されるが、鋼板の高強度化は成形性の低下を招くために、プレス成型時に割れが発生したり、降伏強度が高いためにスプリングバックが大きく発生したりする。また、プレス成型後に高い寸法精度が得られない。プレス成型後は残留応力が鋼板内に残存するため、使用環境から侵入する水素によって遅れ破壊(水素脆化)が懸念される。
近年、複雑な金属製品や部材を容易に形成できる手法として、積層造形法が注目されている。積層造形法は一般的に3Dプリンティングとも呼称される。積層造形法の種類として、例えば、金属粉末に熱源を照射して溶かしながら積層していくパウダースプレー法、及びステージ上に敷き詰めた金属粉末に熱源を照射して溶融し、これを凝固させる作業を繰り返して積層していくパウダーベッド法がある。
特許文献1には、電子ビームを用いた積層造形法により、フェライトとパーライトからなる積層造形部材が提案されている。
特開2019-203148号公報
特許文献1に記載の技術について、一般的にフェライトは軟質な相であり、さらなる高強度化の余地がある。また、特許文献1に記載の技術においては、耐遅れ破壊特性及びヤング率についても検討されていない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、その目的は、980MPa以上のTS(引張強さ)と高ヤング率とを有し、耐遅れ破壊特性に優れた積層造形物およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記した課題を解決するべく、高強度および優れた耐遅れ破壊特性を有する積層造形物を製造するため、積層造形物の成分組成および製造方法の観点から鋭意研究を重ねたところ、以下の知見を見出した。
すなわち、0.030質量%以上0.800質量%以下のCを含有し、Tiなどのその他の合金元素の成分組成を適正に調整した金属粉末と、融点が2000℃以上のセラミック粒子との混合粉末をステージ上に敷き詰める工程と、該ステージ上に敷き詰めた混合粉末に、熱源を走査しながら照射する工程とを繰り返し行なって積層造形することで、気孔の面積率が0.50%以下であり、気孔を除く領域において面積率でマルテンサイトが90%以上である鋼組織を有し、かつ、高角粒界長さをミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界長さで除した値が2.0以上である、980MPa以上のTS、高ヤング率、及び優れた耐遅れ破壊特性を有する積層造形物を製造することが可能となることがわかった。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1] 鋼マトリックスと、該鋼マトリックス中に分散したセラミック粒子とを含有し、
前記鋼マトリックスは、質量%で、
C:0.030%以上0.800%以下、
Si:0.01%以上2.50%以下、
Mn:0.10%以上8.00%以下、
P:0.100%以下、
S:0.0200%以下、
Al:0.100%以下、
N:0.1000%以下、および
O:0.5000%以下、
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、
気孔の面積率が0.50%以下であり、
前記気孔を除く領域においてマルテンサイトが面積率で90%以上であり、
旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が1.5以上であり、
高角粒界長さLHAをミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界長さLで除した値LHA/Lが2.0以上である鋼組織と
を有し、
前記セラミック粒子の融点は2000℃以上である、積層造形物。
[2] 前記成分組成は、さらに、質量%で、
Ti:0.200%以下、
Nb:0.200%以下、
V:0.200%以下、
Ta:0.10%以下、
W:0.10%以下、
B:0.0100%以下、
Cr:1.00%以下、
Mo:1.00%以下、
Co:1.000%以下、
Ni:1.00%以下、
Cu:1.00%以下、
Sn:0.200%以下、
Sb:0.200%以下、
Ca:0.0100%以下、
Mg:0.0100%以下、
REM:0.0100%以下、
Zr:0.100%以下、
Te:0.100%以下、
Hf:0.10%以下、および
Bi:0.200%以下
のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する、前記[1]に記載の積層造形物。
[3] 前記セラミックス粒子が、立方晶窒化ホウ素、二ホウ化チタン、炭化ケイ素、および炭化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]又は[2]に記載の積層造形物。
[4] 前記[1]~[3]のいずれかに記載の積層造形物の製造方法であって、
前記[1]または[2]に記載の成分組成を有する金属粉末と前記セラミック粒子との混合粉末をステージ上に敷き詰める工程と、
前記ステージ上に敷き詰めた前記混合粉末に熱源を走査しながら照射する工程と、
を繰り返し行う、積層造形物の製造方法。
[5] 前記熱源がレーザービームまたは電子ビームである、前記[4]に記載の積層造形物の製造方法。
[6] 前記熱源の照射エネルギー密度が50J/mm以上800J/mm以下である、前記[4]又は[5]に記載の積層造形物の製造方法。
本発明によれば、980MPa以上のTS(引張強さ)と高ヤング率を有し、耐遅れ破壊特性に優れた積層造形物およびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本積層造形物は、鋼マトリックスと、該鋼マトリックス中に分散したセラミック粒子とを含有する。先ず、積層造形物の鋼マトリックスの成分組成の適正範囲およびその限定理由について説明する。なお、以下の説明において、積層造形物の成分元素の含有量を表す「%」は、特に明記しない限り「質量%」を意味する。また本明細書中において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
C:0.030%以上0.800%以下
Cは、鋼の重要な基本成分の1つであり、特に本開示では、マルテンサイトの面積率及びマルテンサイトの下部組織の構造に影響する重要な元素である。Cの含有量が0.030%未満では、マルテンサイトの下部組織が粗大となり、高角粒界長さが減少し、良好な耐遅れ破壊特性を実現することが困難になる。一方、Cの含有量が0.800%を超えると、マルテンサイトの正方晶性が増加し、積層造形時にマルテンサイト変態による体積変化が大きくなり、気孔の面積率が増加する。したがって、Cの含有量は、0.030%以上0.800%以下とする。Cの含有量は、好ましくは0.050%以上、より好ましくは0.070%以上とする。Cの含有量は、好ましくは0.700%以下、より好ましくは0.650%以下とする。
Si:0.01%以上2.50%以下
Siは、鋼の重要な基本成分の1つであり、特に本開示では、積層造形中の炭化物生成を抑制し、マルテンサイトの硬さに影響する元素である。Siの含有量が0.01%未満では、炭化物の生成を抑制する効果が不十分で所望のTSを実現することが困難になる。一方、Siの含有量が2.50%を超えると、脆化し、耐遅れ破壊特性が劣化する。したがって、Siの含有量は、0.01%以上2.50%以下とする。Siの含有量は、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.10%以上とする。Siの含有量は、好ましくは2.00%以下、より好ましくは1.80%以下とする。
Mn:0.10%以上8.00%以下
Mnは、鋼の重要な基本成分の1つであり、特に本開示では、マルテンサイトの面積率に影響する重要な元素である。また、Mnは、焼入れ性を向上させる元素である。Mnの含有量が0.10%未満であると、積層造形中にフェライトなどの軟質相が生成し、所望のTSを実現することが困難になる。一方、オーステナイト安定化元素であるMnの含有量が8.00%を超えると、水素の固溶度が大きい残留オーステナイトが存在し、耐遅れ破壊特性が劣化する。したがって、Mnの含有量は、0.10%以上8.00%以下とする。Mnの含有量は、好ましくは、0.50%以上、より好ましくは、1.00%以上である。Mnの含有量は、好ましくは6.00%以下、より好ましくは5.00%以下である。
P:0.100%以下
Pは、旧オーステナイト粒界に偏析して粒界を脆化させるため、耐遅れ破壊特性が劣化する。そのため、Pの含有量は0.100%以下とする。なお、Pの含有量の下限は特に規定しないが、Pは固溶強化元素であり、鋼板の強度を上昇させることができることから、0.001%以上とすることが好ましい。したがって、Pの含有量は、0.100%以下とする。Pの含有量は、より好ましくは0.001%以上とする。Pの含有量は、好ましくは0.070%以下とする。
S:0.0200%以下
Sは、硫化物として存在し、水素脆化の割れ起点となることから鋼板の耐遅れ破壊特性が劣化する。そのため、Sの含有量は0.0200%以下にする。なお、Sの含有量の下限は特に規定しないが、生産技術上の制約から、0.0001%以上とすることが好ましい。したがって、Sの含有量は0.0200%以下とする。Sの含有量は、より好ましくは0.0001%以上とする。Sの含有量は、好ましくは0.0050%以下とする。
Al:0.100%以下
Alは、A変態点を上昇し、ミクロ組織中に多量のフェライトを含んでしまうため、所望のTSを実現することが困難になる。そのため、Alの含有量は0.100%以下にする。なお、Alの含有量の下限は特に規定しないが、積層造形中の炭化物生成を抑制し、マルテンサイトの硬さを増加させることから、Alの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。したがって、Alの含有量は0.100%以下とする。Alの含有量は、より好ましくは0.001%以上とする。Alの含有量は、好ましくは0.050%以下とする。
N:0.1000%以下
Nは、窒化物として存在し、水素脆化の割れ起点となり鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させる。そのため、Nの含有量は0.1000%以下にする。なお、Nの含有量の下限は特に規定しないが、生産技術上の制約から、Nの含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。したがって、Nの含有量は0.0100%以下とする。Nの含有量は、より好ましくは0.0001%以上とする。Nの含有量は、好ましくは0.0050%以下とする。
O:0.5000%以下
Oは、酸化物として存在し、水素脆化の割れ起点となり鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させる。そのため、Oの含有量は0.5000%以下にする。なお、Oの含有量の下限は特に規定しないが、生産技術上の制約から、Oの含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。したがって、Oの含有量は0.5000%以下とする。Oの含有量は、より好ましくは0.0001%以上とする。Oの含有量は、好ましくは0.4000%以下とする。
本発明の一実施形態に従う高強度鋼板は、上記の成分を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する。
積層造形物は、上記の成分組成に加えて、さらに、質量%で、Ti:0.200%以下、Nb:0.200%以下、V:0.200%以下、Ta:0.10%以下、W:0.10%以下、B:0.0100%以下、Cr:1.00%以下、Mo:1.00%以下、Co:1.000%以下、Ni:1.00%以下、Cu:1.00%以下、Sn:0.200%以下、Sb:0.200%以下、Ca:0.0100%以下、Mg:0.0100%以下、REM:0.0100%以下、Zr:0.100%以下、Te:0.100%以下、Hf:0.10%以下、およびBi:0.200%以下から選ばれる少なくとも1種の元素を、単独で、あるいは組み合わせて含有してもよい。
Ti、NbおよびVは、それぞれ0.200%以下であれば粗大な析出物や介在物が多量に生成せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、Ti、NbおよびVの含有量はそれぞれ0.200%以下にすることが好ましい。なお、Ti、NbおよびVの含有量の下限は特に規定しないが、積層造形時に、微細な炭化物、窒化物もしくは炭窒化物を形成することによって、鋼板の強度を上昇させることから、Ti、NbおよびVの含有量はそれぞれ0.001%以上とすることがより好ましい。したがって、Ti、NbおよびVを含有する場合には、その含有量はそれぞれ0.200%以下とする。Ti、NbおよびVを含有する場合には、より好ましくはその含有量はそれぞれ0.001%以上とする。Ti、NbおよびVを含有する場合には、その含有量はより好ましくはそれぞれ0.100%以下とする。
TaおよびWは、それぞれ0.10%以下であれば粗大な析出物や介在物が多量に生成せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、TaおよびWの含有量はそれぞれ0.10%以下にすることが好ましい。なお、TaおよびWの含有量の下限は特に規定しないが、積層造形時に、微細な炭化物、窒化物もしくは炭窒化物を形成することによって、鋼板の強度を上昇させることから、TaおよびWの含有量はそれぞれ0.01%以上とすることがより好ましい。したがって、TaおよびWを含有する場合には、その含有量はそれぞれ0.10%以下とする。TaおよびWを含有する場合には、その含有量はより好ましくはそれぞれ0.01%以上とする。TaおよびWを含有する場合には、その含有量は、より好ましくはそれぞれ0.08%以下とする。
Bは、0.0100%以下であれば積層造形時に割れを生成せず、所望のTSが実現できる。そのため、Bの含有量は0.0100%以下にすることが好ましい。なお、Bの含有量の下限は特に規定しないが、焼鈍中にオーステナイト粒界に偏析し、焼入れ性を向上させる元素であることから、Bの含有量は0.0003%以上とすることがより好ましい。したがって、Bを含有する場合には、その含有量は0.0100%以下とする。Bを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.0003%以上とする。Bを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.0080%以下とする。
Cr、MoおよびNiは、それぞれ1.00%以下であれば粗大な析出物や介在物が増加せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、Cr、MoおよびNiの含有量はそれぞれ1.00%以下にすることが好ましい。なお、Cr、MoおよびNiの含有量の下限は特に規定しないが、焼入れ性を向上させる元素であることから、Cr、MoおよびNiの含有量はそれぞれ0.01%以上とすることがより好ましい。したがって、Cr、MoおよびNiを含有する場合には、その含有量はそれぞれ1.00%以下とする。Cr、MoおよびNiを含有する場合には、その含有量はより好ましくはそれぞれ0.01%以上とする。Cr、MoおよびNiを含有する場合には、その含有量はより好ましくはそれぞれ0.80%以下とする。
Coは、1.000%以下であれば粗大な析出物や介在物が増加せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、Coの含有量は1.000%以下にすることが好ましい。なお、Coの含有量の下限は特に規定しないが、焼入れ性を向上させる元素であることから、Coの含有量は0.001%以上とすることがより好ましい。したがって、Coを含有する場合には、その含有量は1.000%以下とする。Coを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.001%以上とする。Coを含有する場合には、その含有量は、より好ましくは0.800%以下とする。
Cuは、1.00%以下であれば粗大な析出物や介在物が増加せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、Cuの含有量は1.00%以下にすることが好ましい。なお、Cuの含有量の下限は特に規定しないが、焼入れ性を向上させる元素であることから、Cuの含有量は0.01%以上とすることがより好ましい。したがって、Cuを含有する場合には、その含有量は1.00%以下とする。Cuを含有する場合には、その含有量はより好ましくは、0.01%以上とする。Cuを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.80%以下とする。
Snは、0.200%以下であれば積層造形時において鋼板内部に割れを生成せず、所望のTSが実現できる。そのため、Snを含有する場合、Snの含有量は0.200%以下にすることが好ましい。なお、Snの含有量の下限は特に規定しないが、Snは焼入れ性を向上させる元素であることから、Snの含有量は0.001%以上とすることがより好ましい。したがって、Snを含有する場合には、その含有量は0.200%以下とする。Snを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.001%以上とする。Snを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.100%以下とする。
Sbは、0.200%以下であれば粗大な析出物や介在物が増加せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、Sbの含有量は0.200%以下にすることが好ましい。なお、Sbの含有量の下限は特に規定しないが、表層軟化厚みを制御し、強度調整を可能にする元素であることから、Sbの含有量は0.001%以上とすることがより好ましい。したがって、Sbを含有する場合には、その含有量は0.200%以下とする。Sbを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.001%以上とする。Sbを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.100%以下とする。
Ca、MgおよびREMは、それぞれ0.0100%以下であれば粗大な析出物や介在物が増加せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、Ca、MgおよびREMの含有量は0.0100%以下にすることが好ましい。なお、Ca、MgおよびREMの含有量の下限は特に規定しないが、窒化物や硫化物の形状を球状化し、鋼板の耐遅れ破壊特性を向上する元素であることから、Ca、MgおよびREMの含有量はそれぞれ0.0005%以上とすることがより好ましい。したがって、Ca、MgおよびREMを含有する場合には、その含有量はそれぞれ0.0100%以下とする。Ca、MgおよびREMを含有する場合には、その含有量はより好ましくはそれぞれ0.0005%以上とする。Ca、MgおよびREMを含有する場合には、その含有量はさらに好ましくはそれぞれ0.0050%以下とする。
ZrおよびTeは、それぞれ0.100%以下であれば粗大な析出物や介在物が増加せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、ZrおよびTeの含有量は0.100%以下にすることが好ましい。なお、ZrおよびTeの含有量の下限は特に規定しないが、窒化物や硫化物の形状を球状化し、鋼板の耐遅れ破壊特性を向上する元素であることから、ZrおよびTeの含有量はそれぞれ0.001%以上とすることがより好ましい。したがって、ZrおよびTeを含有する場合には、その含有量はそれぞれ0.100%以下とする。ZrおよびTeを含有する場合には、その含有量はより好ましくはそれぞれ0.001%以上とする。ZrおよびTeを含有する場合には、その含有量はより好ましくはそれぞれ0.080%以下とする。
Hfは、0.10%以下であれば粗大な析出物や介在物が増加せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、Hfの含有量は0.10%以下にすることが好ましい。なお、Hfの含有量の下限は特に規定しないが、窒化物や硫化物の形状を球状化し、鋼板の耐遅れ破壊特性を向上する元素であることから、Hfの含有量は0.01%以上とすることがより好ましい。したがって、Hfを含有する場合には、その含有量は0.10%以下とする。Hfを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.01%以上とする。Hfを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.08%以下とする。
Biは、0.200%以下であれば粗大な析出物や介在物が増加せず、鋼板の耐遅れ破壊特性を劣化させない。そのため、Biの含有量は0.200%以下にすることが好ましい。なお、Biの含有量の下限は特に規定しないが、偏析を軽減する元素であることから、Biの含有量は0.001%以上とすることがより好ましい。したがって、Biを含有する場合には、その含有量は0.200%以下とする。Biを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.001%以上とする。Biを含有する場合には、その含有量はより好ましくは0.100%以下とする。
なお、上記したTi、Nb、V、Ta、W、B、Cr、Mo、Ni、Co、Cu、Sn、Sb、Ca、Mg、REM、Zr、Te、HfおよびBiについて、各含有量が好ましい下限値未満の場合には本発明の効果を害することがないため、不可避的不純物として含むものとする。
次に、鋼マトリックスの鋼組織について説明する。
気孔の面積率:0.50%以下
気孔の面積率が0.50%超となると、変形時に気孔を起点として早期に割れが発生するため、所望のTSが実現できない。そのため、980MPa以上のTSを確保するために、気孔の面積率を0.50%以下にする。気孔の面積率は、好ましくは、0.30%以下、より好ましくは0.20%以下である。気孔の面積率は低いことが好ましいことから、下限は特に限定されず、0%であってもよい。
なお、気孔の面積率は、積層造形物の積層方向に平行な断面を研磨後、光学顕微鏡を用いて100倍の倍率で5視野観察し、得られた画像を用いて、Media Cybernetics社のImage-Proを用いて気孔の面積率を5視野分算出し、それらの値を平均して求める。
マルテンサイトの面積率:90%以上
マルテンサイトの面積率は90%以上とする。マルテンサイトの面積率が90%を下回る場合、残部組織の種類によって、980MPa以上のTS又は耐遅れ破壊特性が劣位となる。マルテンサイトの面積率は、好ましくは95%以上である。また、ここで云うマルテンサイトは焼入れマルテンサイトおよび焼戻しマルテンサイトを云う。マルテンサイトの面積率の上限は特に限定されず、100%であってもよい。
なお、マルテンサイトの面積率は、以下のとおり決定する。積層方向に平行な板厚断面を研磨後、3vol.%ナイタールで腐食し、積層方向の最上層から300μm離れた位置について、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて2000倍の倍率で10視野観察し、得られた組織画像を用いて、Media Cybernetics社のImage-Proを用いて各組織(フレッシュマルテンサイト、および焼戻しマルテンサイト)の面積率を10視野分算出し、それらの値を平均して求めることが出来る。また、上記の組織画像において、焼入れマルテンサイトは白色の組織、焼戻しマルテンサイトは白色のマルテンサイトの内部に灰色の内部構造を有する組織を呈している。
旧オーステナイト粒の平均アスペクト比:1.5以上
旧オーステナイト粒の平均アスペクト比を1.5以上とすることで、水素脆化による割れの進展を抑制でき、優れた耐遅れ破壊特性を得ることができる。旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は、好ましくは、2.0以上とする。旧オーステナイト粒の平均アスペクト比の上限は特に限定されないが、好ましくは20.0以下である。
旧オーステナイト粒の平均アスペクト比は、積層方向の最上層から300μm離れた位置について、EBSD(Electron Backscattered Diffraction)測定により得られたマルテンサイトのIPF(Inverse Pole Figure)マップからオーステナイトのIPFマップへと再構築を行い、次いで再構築されたオーステナイト粒に外接する楕円を描画し、その長軸長さを短軸長さで除することで算出する。
高角粒界長さLHAをミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界長さLで除した値LHA/Lが2.0以上
高角粒界(high angle grain boundary:HAGB)長さをミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界長さで除した値が2.0以上であることは、重要な構成案件である。マルテンサイト組織におけるミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界は旧オーステナイト粒界のほとんどを記述する。一方、ここでいう高角粒界とはミスオリエンテーション角が15°以上65°以下の粒界であり、旧オーステナイト粒界に加え、ラス境界、ブロック境界およびパケット境界といった下部組織の界面を含む。割れが発生しやすい旧オーステナイト粒界に対し、ラス境界、ブロック境界およびパケット境界の割合が高いほど、これらの境界が割れの進展を抑制するため、耐遅れ破壊特性が良好になる。したがって、良好な耐遅れ破壊特性を確保するために、高角粒界長さをミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界長さで除した値が2.0以上である必要がある。高角粒界長さをミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界長さで除した値は、好ましくは2.1以上、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.5以上である。
高角粒界長さ、およびミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界長さはEBSD(Electron Backscattered Diffraction)により、積層方向の最上層から300μm離れた位置について、1000倍の倍率で測定し、評価した。
鋼マトリックスの鋼組織には、マルテンサイト以外に、フェライト、ベイナイト、残留オーステナイト及びセメンタイトの残部組織が、面積率で合計10%以下の範囲で含まれても、本開示の効果が損なわれることはない。
融点が2000℃以上のセラミックス粒子
次いで、積層造形物が含有するセラミック粒子について説明する。融点が2000℃以上のセラミックス粒子を含有することは、極めて重要な構成案件である。鋼より硬質なセラミックス粒子を含有することで、高いヤング率を実現することができる。セラミック粒子の融点は2000℃以上とする。セラミック粒子の融点が2000℃未満であると、積層造形中にセラミックス粒子が溶解して、鋼組織中にセラミックス粒子として存在できず高いヤング率を実現することができない。セラミック粒子の融点は、好ましくは2200℃以上である。セラミック粒子の融点の上限は特に限定されないが、3200℃以下であることが好ましい。
より高いヤング率を確保するために、積層造形物中のセラミック粒子の含有量は、気孔を除く領域の面積率で、1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。また、セラミック粒子の含有量は、気孔を除く領域の面積率で、60%以下とすることが好ましく、50%以下とすることがより好ましい。セラミック粒子の含有量が、気孔を除く領域の面積率で、60%以下であれば、積層造形工程において、金属粉末同士をより好適に溶融させて気孔の面積率をより低減させ、より好適なTSを実現することができる。
なお、セラミック粒子の面積率は、積層造形物の積層方向に平行な板厚断面を研磨後、光学顕微鏡を用いて100倍の倍率で5視野観察し、得られた画像を用いて、Media Cybernetics社のImage-Proを用いて気孔の面積率を5視野分算出し、それらの値を平均して求めることが出来る。
セラミック粒子は、立方晶窒化ホウ素、二ホウ化チタン、炭化ケイ素、および炭化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらのセラミック粒子を、単独で、または組み合わせて、積層造形物に含有させることができる。
積層造形物の引張強さは980MPa以上である。積層造形物の引張強さは、好ましくは、1080MPa以上である。
なお、引張強さは、積層造形物の積層方向に平行にJIS5号試験片を採取して、JIS Z 2241(2011年)に準拠して引張試験を行ない、測定する。
次に、積層造形物の製造条件について説明する。
一実施形態に係る積層造形物の製造条件においては、上述した成分組成を有する金属粉末とセラミック粒子との混合粉末をステージ上に敷き詰める工程と、
前記ステージ上に敷き詰めた前記混合粉末に熱源を走査しながら照射する工程と
を繰り返し行う。
混合粉末をステージ上に敷き詰める工程と、ステージ上に敷き詰めた金属粉末に熱源を走査しながら照射する工程とを繰り返し行う製造方法は、パウダーベッド法に基づくものである。混合粉末をステージ上に層状に敷き詰めて、このステージ上に敷き詰めた混合粉末に熱源を走査しながら照射する。熱源の照射により、照射箇所の金属粉末を溶融させて、凝固させ、金属層を形成する。一層分の混合粉末への熱源の照射後に、凝固した金属層を含む混合粉末の上に再度混合粉末を敷き詰めて、再度熱源を走査しながら照射する工程を行い、以後、混合粉末を敷き詰める工程と、敷き詰めた混合粉末に熱源を走査しながら照射する工程とをこの順に繰り返す。この積層造形によって積層造形物を形成する。
熱源が、レーザービームまたは電子ビーム
ステージ上に敷き詰めた混合粉末に熱源を走査しながら照射する工程において、熱源としては、レーザービームまたは電子ビームを利用することができる。
熱源の照射エネルギー密度が50J/mm以上800J/mm以下
熱源の照射エネルギー密度が50J/mm未満だと、金属粉末を十分に溶融できなくなり、凝固後の造形物中には、金属粉末の隙間に由来する気孔が多く形成されてしまう。したがって、熱源の照射エネルギー密度が50J/mm以上とする必要がある。また、照射エネルギー密度が800J/mm超となると、セラミックス粒子が溶融し、硬質なセラミック粒子として鋼マトリックス中に分散できず、高ヤング率を得ることができない。加えて、すでに積層造形された領域への熱影響が顕著となり、旧オーステナイト粒の形態が球状化し、所望の平均アスペクト比が得られず、耐遅れ破壊特性が劣化する。したがって、熱源の照射エネルギー密度は50J/mm以上800J/mm以下とする。熱源の照射エネルギー密度は、好ましくは70J/mm以上とする。また、熱源の照射エネルギー密度は、好ましくは700J/mm以下とする。
熱源の照射エネルギー密度は下記の式で計算される。
=P/(h×v×t)
ここで、E:照射エネルギー密度(J/mm)、P:熱源出力(W)、v:走査スピード(mm/s)、h:走査スペース(mm)、t:積層ピッチ(mm)である。
熱源の出力は50W以上とすることが好ましく、また500W以下とすることが好ましい。熱源の出力が500W以下であれば、熱源を照射中の金属粉末の溶融部が深くなりすぎることを防ぎ、溶融部の凝固時にキーホールと呼ばれる気孔が生成することをより好適に防ぐことができるためである。また、熱源の出力が50W以上であれば、金属粉末を十分に溶融でき、積層造形物の気孔の面積率をより好適に低減することができる。
熱源の走査スピードは300mm/s以上とすることが好ましく、また2000mm/s以下とすることが好ましい。熱源の走査スピードが2000mm/s以下であれば、金属粉末が好適に溶融し、積層造形物の気孔の面積率をより低減することができる。また、熱源の走査スピードが300mm/s以上であれば、熱源の照射中に金属の溶融部が深くなりすぎることを好適に防ぎ、キーホールの生成をより好適に防ぐことができる。
走査スペースとは、走査する熱源について、隣り合う照射位置の離間距離(ビーム、レーザ等の中心位置の間隔)のことである。走査スペースは0.05mm以上とすることが好ましく、また0.20mm以下とすることが好ましい。走査スペースが0.20mm以下であれば、熱源の照射時に、敷き詰められた金属粉末を全面で溶融することがより好適に可能であり、気孔の面積率をより低減することができる。また、走査スペースが0.05mm以上であれば、熱源を照射中の金属の溶融部が深くなることを好適に防ぎ、凝固時にキーホールが生成することをより好適に防ぐことができる。
また積層ピッチとは、積層造形するときに敷き詰めた「一層毎の金属粉末層の厚さ」のことである。積層ピッチは、0.01mm以上とすることが好ましく、また0.10mm以下とすることが好ましい。積層ピッチが0.10mm以下であれば、熱源の照射時に敷き詰められた金属粉末の全体に熱が伝わりやすく金属粉末がより好適に溶融して、気孔の面積率をより低減することができる。また、積層ピッチが0.01mm以上であれば、積層数が多くなりすぎることを防ぎ、積層造形に要する時間がより短くなる。
その他の製造方法の条件は、特に限定しないが、積層造形時の雰囲気は例えばアルゴンガス等の不活性雰囲気や、窒素ガスとすることができる。また、減圧環境下(真空を含む)にすることもできる。特に、熱源に電子ビームを利用するときに、造形時の雰囲気を減圧環境下(真空を含む)にすることが好ましい。
金属粉末の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いればよい。積層造形用の金属粉末の製造方法としてはアトマイズ法が一般的であり、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、遠心アトマイズ法等の方式がある。金属粉末の平均粒径(メジアン径)は、20μm以上とすることが好ましく、また200μm以下とすることが好ましい。金属粉末の平均粒径が20μm以上であれば、金属粉末間の付着力の増加を好適に抑制して粉末の流動性を好適な範囲内とし、ステージ上に金属粉末を均一に敷き詰めることがより容易である。また、金属粉末の平均粒径が200μm以下であれば、金属粉体間の空隙が大きくなりすぎることを好適に防いで、積層造形物内の機械特性をより向上することができる。
セラミック粒子の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いればよい。セラミック粒子の平均粒径は、積層造形時にステージ上に混合粉末をより均一に敷き詰めるために、金属粉末の平均粒径と同等またはそれ以下とすることが好ましい。セラミック粒子の平均粒径の下限については特に限定されない。
混合粉末の製造方法も特に限定されず、公知の方法により、金属粉末とセラミック粒子とを混合すればよい。
また積層造形物の形状は特に限定しない。積層造形物は、例えば、自動車用の部材及び薄板であり得る。また、積層造形物にめっき処理を施してもよい。積層造形物に樹脂や油脂コーティングなどの各種塗装処理を施すこともできる。めっき処理及び各種塗装処理は単独でまたは組み合わせて施すことができる。
表1に示す成分組成を有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる金属粉末及びセラミック粒子を混合し、混合粉末とした。金属粉末及びセラミック粒子の製造方法及び平均粒径を表1に示した。該混合粉末を積層造形装置に供給し、表2に示す条件でパウダーベッド法により積層造形を実施して、板厚1.4mm、ハット長さ200mm、ハット幅70mm、ハット高さ30mm、肩部R4mmとなるハット部材を造形した。なお、積層方向がハット高さと一致するように積層造形を行った。
得られたハット部材の鋼組織を上述の方法で観察し、引張強さ、耐遅れ破壊特性について調査を行い、その結果を表2に示した。
引張試験は、得られた部材のハット底部の位置からJIS5号試験片を採取して、JIS Z 2241(2011年)に準拠して行い、TS(引張強さ)を測定した。
ヤング率測定は、ハット底部の位置から10mm×50mmの試験片を切り出し、横振動型の共振周波数測定装置を用いて、American Society to Testing Materialsの基準(C1259)に従い、ヤング率を測定した。本発明では、220GPa以上である場合を良好とした。
耐遅れ破壊特性の評価は、ハット底部の位置から4点曲げ試験片を採取し、ASTM G39-99(2016)に準拠して4点曲げ試験を実施した。室温で塩酸(pH=3.0)の溶液に浸漬しながら曲げ応力をかけて、破断有無を評価した。曲げ応力を0.8×TSとして、96時間以上破断しない場合は耐遅れ破壊特性を良好(○)、96時間未満で破断した場合は耐遅れ破壊特性を劣(×)とした。試験片のn数は2で試験を実施した。2本とも破断ない場合を良好(〇)、1本でも破断した場合を劣(×)とした。
Figure 0007306601000001
Figure 0007306601000002
Figure 0007306601000003
Figure 0007306601000004
本発明例の積層造形物は、いずれも980MPa以上のTSを有し、耐遅れ破壊特性に優れた積層造形物が得られている。一方、比較例では、TS、耐遅れ破壊特性の少なくともどちらかの特性が劣っている。

Claims (11)

  1. 鋼マトリックスと、該鋼マトリックス中に分散したセラミック粒子とを含有し、
    前記鋼マトリックスは、質量%で、
    C:0.030%以上0.800%以下、
    Si:0.01%以上2.50%以下、
    Mn:0.10%以上8.00%以下、
    P:0.100%以下、
    S:0.0200%以下、
    Al:0.100%以下、
    N:0.1000%以下、および
    O:0.5000%以下、
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成と、
    気孔の面積率が0.50%以下であり、
    前記気孔を除く領域においてマルテンサイトが面積率で90%以上であり、
    旧オーステナイト粒の平均アスペクト比が1.5以上であり、
    高角粒界長さLHAをミスオリエンテーション角が20°以上50°以下の粒界長さLで除した値LHA/Lが2.0以上である鋼組織と
    を有し、
    前記セラミック粒子の融点は2000℃以上である、積層造形物。
  2. 前記成分組成は、さらに、質量%で、
    Ti:0.200%以下、
    Nb:0.200%以下、
    V:0.200%以下、
    Ta:0.10%以下、
    W:0.10%以下、
    B:0.0100%以下、
    Cr:1.00%以下、
    Mo:1.00%以下、
    Co:1.000%以下、
    Ni:1.00%以下、
    Cu:1.00%以下、
    Sn:0.200%以下、
    Sb:0.200%以下、
    Ca:0.0100%以下、
    Mg:0.0100%以下、
    REM:0.0100%以下、
    Zr:0.100%以下、
    Te:0.100%以下、
    Hf:0.10%以下、および
    Bi:0.200%以下
    のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する、請求項1に記載の積層造形物。
  3. 前記セラミックス粒子が、立方晶窒化ホウ素、二ホウ化チタン、炭化ケイ素、および炭化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の積層造形物。
  4. 請求項1または2に記載の積層造形物の製造方法であって、
    請求項1または2に記載の成分組成を有する金属粉末と前記セラミック粒子との混合粉末をステージ上に敷き詰める工程と、
    前記ステージ上に敷き詰めた前記混合粉末に熱源を走査しながら照射する工程と、
    を繰り返し行う、積層造形物の製造方法。
  5. 請求項3に記載の積層造形物の製造方法であって、
    請求項1または2に記載の成分組成を有する金属粉末と前記セラミック粒子との混合粉末をステージ上に敷き詰める工程と、
    前記ステージ上に敷き詰めた前記混合粉末に熱源を走査しながら照射する工程と、
    を繰り返し行う、積層造形物の製造方法。
  6. 前記熱源がレーザービームまたは電子ビームである、請求項4に記載の積層造形物の製造方法。
  7. 前記熱源がレーザービームまたは電子ビームである、請求項5に記載の積層造形物の製造方法。
  8. 前記熱源の照射エネルギー密度が50J/mm 以上800J/mm 以下である、請求項4に記載の積層造形物の製造方法。
  9. 前記熱源の照射エネルギー密度が50J/mm 以上800J/mm 以下である、請求項5に記載の積層造形物の製造方法。
  10. 前記熱源の照射エネルギー密度が50J/mm 以上800J/mm 以下である、請求項6に記載の積層造形物の製造方法。
  11. 前記熱源の照射エネルギー密度が50J/mm 以上800J/mm 以下である、請求項7に記載の積層造形物の製造方法。
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