JP6519016B2 - 熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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(1)質量%で、C:0.03%以上0.25%以下、Si:0.001%以上2.0%以下、Mn:0.5%以上4.0%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、sol.Al:0.001%以上1.0%以下、B:0.0001%以上0.005%以下、N:0.01%以下、を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、
板厚1/4板厚位置においてマルテンサイト相と下部ベイナイト組織の合計面積率が85%以上であり、結晶方位差15°以上の境界で囲まれた結晶粒の平均粒径が20μm以下であり、そのアスペクト比が0.30以下である結晶粒が面積割合で50%以下であり、
板厚中心位置において{100}<011>〜{211}<011>方位群のX線ランダム強度比の平均値が6.0以下、かつ、最大値が8.0以下であることを特徴とする熱延鋼板。
(2)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびMo:0.5%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼板。
(3)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびCr:2.0%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の熱延鋼板。
(4)前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下およびREM:0.01%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)から上記(3)までのいずれか1つに記載の熱延鋼板。
(5)上記(1)ないし上記(4)のいずれか1つに記載の熱延鋼板を製造するに当たり、上記(1)ないし上記(4)のいずれか1つに記載の化学組成を有するスラブまたは鋼片に多パス熱間圧延を施して熱延鋼板とする熱延鋼板の製造方法であって、
前記多パス熱間圧延における最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率を20%以上、最終圧延パスの圧下率を10%以上とし、
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延温度及び圧延仕上げ温度をAr3以上1100℃以下かつ式(1)で求められるT0(℃)以上とし、
最終圧延パスの1つ前の圧延パス完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間t1(s)及び最終圧延パス完了(仕上げ圧延完了)から冷却を開始するまでの時間t2(s)がそれぞれ式(2)及び式(3)を満足し、
冷却開始から式(5)で求められるMs(℃)以下の温度域まで、式(4)で求められるCR(℃/s)以上かつ20℃/s以上の平均冷却速度で冷却することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
T0(℃)=850+350{(%Ti)+2(%Nb)+0.3(%V)} (1)
0.002/exp(−6080/(T1+273))≦t1≦2.0 (2)
0.002/exp(−6080/(T2+273))≦t2≦4.0 (3)
CR(℃/s)=50{5.6−4.8(%C)−0.5(%Si)−1.1(%Mn)−1180(%B)−0.9(%Cr)−2.1(%Mo)} (4)
Ms(℃)=561−474(%C)−33(%Mn)−17(%Ni)−21(%Mo) (5)
ここで、各記号の意味は次の通りである:
t1:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間(秒)。
T1:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延温度(℃)。
t2:仕上げ圧延完了後、冷却を開始するまでの時間(秒)。
T2:圧延仕上げ温度(℃)
C:0.03%以上0.25%以下
Cは、マルテンサイト相の強度を高める作用を有する。C含有量が0.03%未満では所望とする強度が得難くなる。したがって、C含有量は0.03%以上とする。好ましくは0.05%以上である。一方、C含有量が0.25%超では、穴拡げ性及び母材低温靭性を低下させると共に、溶接性も低下させる。したがって、C含有量は0.25%以下とする。好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは、0.15%以下である。
Siは、固溶強化、および、焼入れ性の向上を介して鋼板の強度を高める作用を有し、また、脱酸作用も有する。Si含有量が0.001%未満では、上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、Si含有量は0.001%以上とする。好ましくは0.1%以上である。一方、過剰に添加するとα変態を促進させることにより所望の組織が得難くなる。そのため、含有量上限を2.0%とする。好ましくは1.50%以下、より好ましくは1.25%以下である。
Mnは、固溶強化、および、焼入れ性の向上を介して鋼板の強度を高める作用を有する。Mn含有量が0.5%未満では、上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、Mn含有量は0.5%以上とする。好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.5%以上である。一方、4%超添加してもこの効果が飽和する。このため、Mn含有量は、4%以下とする。
Pは、不純物として含有される元素であり、鋼板の低温靭性及び加工性を低下させる作用を有する。このため、P含有量は0.10%以下とする。好ましくは、0.06%以下、より好ましくは0.03%以下、さらに好ましくは0.015%以下である。
Sは、不純物として含有される元素であり、鋼板の低温靭性及び加工性を低下させる作用を有する。このため、S含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.005%以下、より好ましくは0.003%以下、さらに好ましくは0.001%以下である。
Alは、脱酸により鋼を健全化する作用を有する。sol.Al含有量が0.001%未満では、上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、sol.Al含有量は0.001%以上とする。好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.02%以上である。一方、sol.Al含有量を1.0%超としても、上記作用による効果は飽和してしまい、さらに、フェライト変態を促進する効果により、所望の組織を得難くなる。したがって、sol.Al含有量は1.0%以下とする、好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.4%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。
Nは、不純物として含有される元素であり、鋼板の加工性を低下させる作用を有する。このため、N含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.006%以下、より好ましくは0.005%以下である。
Bは、γ粒界に偏析して、少量の添加により焼入れ性を顕著に向上させて鋼の強度を高める作用を有する。さらに、粒界強度を高めることにより破断面割れの防止にも有効に作用するため含有させる。過剰に含有させると熱間圧延でのオーステナイトの再結晶を抑制して、圧延荷重の増大をもたらし、所望の集合組織も得難くなる。したがって、B含有量は0.005%以下とする。好ましくは、0.003%以下、より好ましくは0.002%以下である。一方、上記作用を確実に得るには0.0001%以上を満足することが望ましい。好ましくは0.0006%以上、より好ましくは0.001%以上である。
Ti、Nb、VおよびMoは、炭化物または窒化物として析出し、鋼板の強度を高める作用を有する。また、これらの析出物は、オーステナイトの粗大化を抑制し、組織の微細化を促進する作用も有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかしながら、Tiについては0.2%を超えて含有させると、Nbについては0.1%を超えて含有させると、Vについては0.5%を超えて含有させると、Moについては0.5%を超えて含有させると、熱間圧延に供する前の段階において粗大な炭化物または窒化物が鋼中に多量に析出してしまい、熱延鋼板の加工性の劣化を招く。また、多量の炭化物や窒化物の析出により穴拡げ性や低温靭性が低下する。したがって、それぞれの元素の含有量は、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびMo:0.5%以下とする。Tiについては0.1%以下とすることが好ましく、0.05%以下とすることがさらに好ましい。Nbについては0.05%以下とすることが好ましく、0.03%以下とすることがさらに好ましい。Vについては0.3%以下とすることが好ましい。Moについては0.3%以下とすることが好ましい。さらに、フェライトの生成を容易にする観点からは、TiおよびNbの合計含有量を0.1%以下とすることが好ましく、0.03%以下とすることがさらに好ましく、0.01%以下とすることが特に好ましい。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Ti:0.001%以上、Nb:0.001%以上、V:0.01%以上およびMo:0.001%以上のいずれか満足させることが好ましい。
選択される1種または2種以上]
Cu、NiおよびCrは、析出強化や固溶強化により鋼板の強度を一層向上させる作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、Cu及びNiは1.0%超、Crは2.0%超となると、加工性の低下が著しくなる。また、Cuを添加する場合はスラブの粒界脆化を防止するため、Cuの添加量の1/2以上のNiを添加することが望ましい。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Cu:0.02%以上、Ni:0.02%以上およびCr:0.02%以上のいずれか満足させることが好ましい。
Ca、Mg及びREM(希土類元素)は、凝固中に析出する酸化物や窒化物を微細化して、鋼塊または鋼片の健全性を向上させる作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかしながら、Caの場合には0.01%を超えて含有させても、Mgの場合には0.01%を超えて含有させても、REMの場合には0.01%を超えて含有させても、それぞれ上記作用による効果は飽和してしまい、徒にコスト上昇を招く。したがって、それぞれの含有量は、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.01%以下とする。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Ca:0.0002%以上、Mg:0.0002%以上およびREM:0.0002%以上のいずれか満足させることが好ましい。ここで、REMは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素を指し、上記REMの含有量は、これらの元素の合計含有量を指す。ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加される。
[マルテンサイト相と下部ベイナイト組織の合計面積率:85%以上]
マルテンサイト相及び下部ベイナイト組織は硬質かつ均質で微細な組織であり、高強度と優れた穴拡げ性と低温靭性を兼備させるのに適した組織である。マルテンサイト相と下部ベイナイト組織の合計面積率が85%未満では、所望とする強度を確保し、優れた伸びフランジ性と低温靭性を兼備させることが困難である。したがって、マルテンサイト相と下部ベイナイト組織の合計面積率は85%以上とする。好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。特に上限は設けず、100%であっても良い。なお、マルテンサイト相には、オートテンパーされた焼き戻しマルテンサイト相も含まれる。
任意の組織であるその他組織として、フェライト、上部ベイナイト、残留オーステナイト、パーライト及び粒界セメンタイトなどがある。これらの組織が面積率で15%を越えると、異相界面の増加に伴ってボイド起点が増加して穴拡げ性の劣化を招く。そのため、上限を15%以下とする。好ましくは8%以下、より好ましくは5%以下である。少なければ少ないほど良いので下限は特に限定されない。下限は0%であってもよい。上記マルテンサイト相と下部ベイナイト組織の合計面積率:85%以上を満足することにより、その他の組織:15%以下は自動的に満足する。
本発明の鋼組織であるマルテンサイトやベイナイトのブロックおよびフェライト粒等の結晶粒の平均粒径が粗大であると、破断時の破面単位が大きくなり、低温靭性が低下する。したがって、結晶粒の平均粒径は20μm以下とする。好ましくは15μm以下、より好ましくは13μm以下である。平均粒径は小さいほど好ましいので下限は特に限定されない。
アスペクト比とは結晶粒の短軸を長軸で除した値であり0から1の値を取る。アスペクト比が小さいほど結晶粒が扁平であり、1に近いほど等軸粒であることを表す。アスペクト比が0.30以下の扁平な結晶粒が多いほど、特性の異方性が大きくなり穴拡げ性を低下させると同時に、低温靭性も低下させる。そのため、本発明では、アスペクト比が0.30以下の結晶粒の面積率を50%以下とする。組織は等軸である方が好ましいため、この面積率は小さいほど良い。好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下、最も好ましくは30%以下である。
[板厚中心位置において{100}<011>〜{211}<011>方位群のX線ランダム強度比の平均値が6.0以下、かつ、最大値が8.0以下]
板厚中心位置において{211}<011>〜{100}<011>方位の集合組織が発達すると穴拡げ性が低下する。このため、これらの方位を低減させることにより、穴拡げ性を向上させることができる。したがって、これらの方位のX線ランダム強度比の平均値を6.0以下、最大値を8.0以下とする。それぞれ好ましくは5.0以下、7.0以下、より好ましくは4.0以下、6.0以下、さらに好ましくは3.0以下、5.0以下である。低ければ低いほど好ましい。
本発明で得られる熱延鋼板は、鋼組織および集合組織の制御により、高強度で優れた低温靭性と穴拡げ性を有する。しかし、鋼板の引張強度が小さいと、車体軽量化や剛性向上などの効果が小さい。そのため、鋼板の引張強度(TS)は960MPa以上であることが好ましい。より好ましくは1050MPa以上、さらに好ましくは1100MPa以上、特に好ましくは1150MPa以上である。
本発明の熱延鋼板の製造方法については、特に限定するものではないが、以下の製造方法によって容易に得られる。
[最終圧延パスの圧下率は10%以上]
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率を上記のように高めることによって、主に再結晶オーステナイト粒の微細化を図られ、さらに、最終圧延パスの圧下率を上記のように高めることによって、オーステナイトの再結晶促進及び微細化が図られ、後述する熱間圧延後の冷却条件と相俟って、低温靭性および穴拡げ性に好適な鋼組織および集合組織を有する熱延鋼板を製造することができる。したがって、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率を20%以上とする。好ましくは22%以上とする。さらに好ましくは25%以上である。また、最終圧延パスの圧下率は10%以上とする。好ましくは14%以上、さらに好ましくは18%以上、特に好ましくは22%以上である。
T0=850+350{(%Ti)+2(%Nb)+0.3(%V)} (1)
本発明では、仕上げ圧延後期のオーステナイト相の加工と再結晶を繰り返すことにより、組織を微細化すると共に集合組織の発達の抑制を図る。そのために、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延温度及び圧延仕上げ温度は、Ar3以上1100℃以下かつ式(1)で求められるT0(℃)以上とする。ここで、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延温度とは、最終圧延パスの1つ前の圧延パス後の鋼板表面温度を指し、圧延仕上げ温度とは最終圧延パス後の鋼板表面温度を指すものとする。これら温度をともにAr3以上とすることにより、最終圧延パス間と圧延中におけるフェライト変態が防止される。T0以上とすることにより、圧延パス間においてはオーステナイトの再結晶を適度に促して再結晶オーステナイト粒の微細化が図られ、熱間圧延後においては、後述する熱間圧延後の冷却条件と相俟って、低温靭性および穴拡げ性に好適な鋼組織および集合組織を有する熱延鋼板が得られる。T0未満では、熱間圧延後冷却前におけるオーステナイトが著しく扁平となり、最終製品である熱延鋼板において圧延方向に伸長した組織形態を呈するようになり、塑性異方性が大きくなって穴拡げ性や低温靭性が低下する。好ましくはT0+20℃以上、より好ましくはT0+40℃以上である。一方、これらの温度が1100℃を超えると、組織が粗大化してしまい低温靭性が低下する。したがって、最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延温度及び圧延仕上げ温度は1100℃以下とする。好ましくは1070℃以下、より好ましくは1040℃以下である。なお、これらの温度は鋼材の表面温度であり、放射温度計等により測定することができる。
0.002/exp(−6080/(T1+273))≦t1≦2.0 (2)
0.002/exp(−6080/(T2+273))≦t2≦4.0 (3)
ここで、各記号の意味は次の通りである:
t1:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間(秒)。
T1:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延温度(℃)。
t2:仕上げ圧延完了後、冷却を開始するまでの時間(秒)。
T2:圧延仕上げ温度(℃)
本発明では、組織を微細化すると共に集合組織の発達も抑制することが重要である。オーステナイトからマルテンサイトなどに変態する前の蓄積圧下率を高めると、組織は微細化するが集合組織が発達して、穴拡げ性が劣化する。一方、蓄積圧下率を小さくすると集合組織の発達は抑制できるが組織が粗大化してしまい、高い低温靭性が得難くなる。そこで、仕上げ圧延後期のパス間時間及び仕上げ圧延完了から冷却を開始するまでの時間を適正に制御して、それぞれにおいてオーステナイトの再結晶を介して細粒化と集合組織の発達を抑制する。そのためには、上記式(2)および(3)を満足させることが重要である。オーステナイトの再結晶に必要な時間として下限が定まり、再結晶オーステナイト粒の粒成長による組織粗大化の防止のために上限が定まる。なお、「冷却を開始」とは、仕上げ圧延後のランナウトテーブルにおける水冷冷却の開始を意味する。
CR(℃/s)=50{5.6−4.8(%C)−0.5(%Si)−1.1(%Mn)−1180(%B)−0.9(%Cr)−2.1(%Mo)} (4)
Ms(℃)=561−474(%C)−33(%Mn)−17(%Ni) −21(%Mo) (5)
圧延仕上げ後、水冷によりオーステナイトからマルテンサイト変態する温度域まで冷却して、所望の組織が得られる。冷却速度が遅い場合は、冷却の過程でフェライトやベイナイトが形成して、強度が低下すると共に、穴拡げ性が低下する場合がある。また、冷却停止温度が十分に低くないと所望とするマルテンサイト面積率が十分に得られず、強度が低下すると共に低温靭性が低下する場合がある。そのため、冷却開始から冷却停止までの平均冷却速度は式(4)で求められるCR以上とする。好ましくはCR+10℃/s以上、より好ましくは、CR+20℃/s以上、さらに好ましくはCR+30℃/s以上である。また、冷却停止温度は式(5)で求められるMs以下とする。好ましくはMs−50℃以下、より好ましくはMs−100℃以下、最も好ましくはMs−200℃以下である。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.03%以上0.25%以下、
Si:0.001%以上2.0%以下、
Mn:0.5%以上4.0%以下、
P:0.10%以下、
S:0.010%以下、
sol.Al:0.001%以上1.0%以下、
B:0.0001%以上0.005%以下、
N:0.01%以下、
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、
板厚1/4板厚位置においてマルテンサイト相と下部ベイナイト組織の合計面積率が85%以上であり、
結晶方位差15°以上の境界で囲まれた結晶粒の平均粒径が20μm以下であり、
そのアスペクト比が0.30以下である結晶粒が面積割合で50%以下であり、
板厚中心位置において{100}<011>〜{211}<011>方位群のX線ランダム強度比の平均値が6.0以下、かつ、最大値が8.0以下であることを特徴とする熱延鋼板。 - 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびMo:0.5%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板。
- 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびCr:2.0%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱延鋼板。
- 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下およびREM:0.01%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の熱延鋼板。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の熱延鋼板を製造するに当たり、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化学組成を有するスラブまたは鋼片に多パス熱間圧延を施して熱延鋼板とする熱延鋼板の製造方法であって、前記多パス熱間圧延における
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧下率を20%以上、
最終圧延パスの圧下率を10%以上とし、
最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延温度及び圧延仕上げ温度をAr3以上1100℃以下かつ式(1)で求められるT0(℃)以上とし、
最終圧延パスの1つ前の圧延パス完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間t1(s)及び最終圧延パス完了(仕上げ圧延完了)から冷却を開始するまでの時間t2(s)がそれぞれ式(2)及び式(3)を満足し、
冷却開始から式(5)で求められるMs(℃)以下の温度域まで、式(4)で求められるCR(℃/s)以上かつ20℃/s以上の平均冷却速度で冷却する
ことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
T0(℃)=850+350{(%Ti)+2(%Nb)+0.3(%V)} (1)
0.002/exp(−6080/(T1+273))≦t1≦2.0 (2)
0.002/exp(−6080/(T2+273))≦t2≦4.0 (3)
CR(℃/s)=50{5.6−4.8(%C)−0.5(%Si)−1.1(%Mn)−1180(%B)−0.9(%Cr)−2.1(%Mo)} (4)
Ms(℃)=561−474(%C)−33(%Mn)−17(%Ni)−21(%Mo) (5)
ここで、各記号の意味は次の通りである:
t1:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延完了から最終圧延パスの圧延開始までのパス間時間(秒)。
T1:最終圧延パスの1つ前の圧延パスの圧延温度(℃)。
t2:仕上げ圧延完了後、冷却を開始するまでの時間(秒)。
T2:圧延仕上げ温度(℃)
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