JP7306145B2 - 気体の濃縮方法 - Google Patents

気体の濃縮方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7306145B2
JP7306145B2 JP2019142627A JP2019142627A JP7306145B2 JP 7306145 B2 JP7306145 B2 JP 7306145B2 JP 2019142627 A JP2019142627 A JP 2019142627A JP 2019142627 A JP2019142627 A JP 2019142627A JP 7306145 B2 JP7306145 B2 JP 7306145B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
isobutene
silica
gas
carbon atoms
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019142627A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021023863A (ja
Inventor
稔了 都留
正言 金指
貴史 豊田
浩一 谷元
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2019142627A priority Critical patent/JP7306145B2/ja
Publication of JP2021023863A publication Critical patent/JP2021023863A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7306145B2 publication Critical patent/JP7306145B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Description

本発明は、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4以上の炭化水素を含む混合気体からイソブテンを濃縮する気体の濃縮方法に関する。
tert-ブチルアルコールおよびメチル-tert-ブチルエーテルは、気相接触酸化によりメチルメタクリレートを製造するための原料に使用されている。tert-ブチルアルコールは、イソブテンの水和反応により製造する方法が良く知られており、例えば、特許文献1及び特許文献2には、ナフサの熱分解により得られた炭素数4の炭化水素留分に対して水を添加することで、該炭素数4の炭化水素留分中のイソブテンをtert-ブチルアルコールに選択的に水和してtert-ブチルアルコールを製造する方法が記載されている。また、メチル-tert-ブチルエーテルは、イソブテンと、メタノールと、を反応させることにより製造されることが良く知られている。例えば、特許文献3には、炭素数4の炭化水素留分にメタノールを添加し、選択的にイソブテンをメチル-tert-ブチルエーテルに変換する方法が記載されている。
特開昭60-233024号公報 特開平11-193255号公報 特開平4-117342号公報
tert-ブチルアルコール又はメチル-tert-ブチルエーテルを工業的に製造する場合、製造コストを抑えることが求められる。しかしながら、本発明者等の検討によると、特許文献1~3に記載される方法の場合、イソブテンからtert-ブチルアルコール又はメチル-tert-ブチルエーテルを合成する反応は平衡反応であるため、反応収率は原料として使用する炭素数4の炭化水素留分中のイソブテン濃度に依存し、原料として使用する炭素数4の炭化水素留分中のイソブテン濃度が低いと反応収率が低下してしまうという問題があることが判明した。また、使用できる炭素数4の炭化水素留分中のイソブテン濃度に制約がある。また、特許文献1~3に記載される方法の場合、水和又はメタノールの添加の際に、原料中にイソブテン以外の炭素数4の炭化留分を含んでいるために、反応効率が低下してしまうという問題もある。さらに、イソブテン以外の炭素数4の炭化留分に由来する副生成物の生成に伴う不純物の増加も想定される。そのため、上記問題を解決するには、炭素数4の炭化水素留分からイソブテンンを濃縮して、該イソブテン濃度の高い炭素数4の炭化水素留分から、tert-ブチルアルコール又はメチル-tert-ブチルエーテルを製造することが好ましいと考えられる。しかしながら、炭素数4の炭化水素留分からイソブテンを濃縮しようとする場合、一般的には蒸留操作が想定されるが、蒸留操作により炭素数4の炭化水素留分からイソブテンを濃縮する場合、多大なエネルギーが必要となる。そこで、本発明は、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素を含む混合気体からイソブテンを濃縮する新規な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑みた結果、特定のシリカ膜を用いることにより、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素と、を含む混合気体から、イソブテンを濃縮することができることを見出し、上記課題を解決し、本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明は、以下を要旨とする。
[1]平均細孔径が0.59nm以上0.71nm以下のシリカ膜を介して、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素と、を含む混合気体からイソブテンを濃縮する、気体の濃縮方法であって、
前記シリカ膜はシラノール基を有し、
前記シリカ膜中の炭素原子に対するシリカ原子の存在比が1.0以上、3.0以下であり、
温度が30℃~100℃の範囲であり、かつ前記混合気体の供給側の圧力が大気圧以上、透過側の圧力が大気圧以下、前記供給側の圧力と前記透過側の圧力との差が98.7kPa以上、10MPa以下である環境下において行われる、気体の濃縮方法
[2]前記シリカ膜の厚さが50nm以上500nm以下である、[1]に記載の気体の濃縮方法。
[3]前記イソブテン以外の炭素数4の炭化水素が1-ブテン、n-ブタン及びイソブタンから選択される1以上の炭化水素を含む、[1]又は[2]に記載の気体の濃縮方法。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の気体の濃縮方法により濃縮されたイソブテンを気相酸化することによりメタクロレイン及び/又はメタクリル酸を製造する方法。
本発明により、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素と、を含む混合気体からイソブテンを濃縮する新規な方法を提供することができる。
実施例に用いた装置の概略図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施形態の一例であり、本発明はこれらに内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明では、特定のシリカ膜を介して、少なくともイソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素と、を含む混合気体からイソブテンを濃縮する。
<1.シリカ膜>
本発明において、シリカ膜はシリカ原子を含有して構成されるアモルファス状の膜であり、具体的には、シロキサン結合および/またはシラノール基を含んで構成される員環構造により形成される細孔を有するアモルファス状の膜である。なお、アモルファス構造を有することは、X線回折により2θ=22.5°近辺にブロードなハローピークが検出されることで確認することができる。
本実施形態においてシリカ膜の平均細孔径は、0.45nm以上0.90nm以下である。このように平均細孔径が0.45nm以上0.90nmのシリカ膜を用い、少なくともイソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素を含む混合気体を、該シリカ膜に接触させることにより、混合気体からイソブテン以外の炭素数4の炭化水素を効率良く分離することができる。また、その結果、高濃度でイソブテンを濃縮することができる。この理由は明らかではないが下記の理由が考えられる。
本発明において、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素を含む混合気体からイソブテンを効率良く濃縮できる理由としては、シリカ膜の平均細孔径と各炭化水素成分の動的分子径の関係、及び、各炭化水素成分のシリカ膜への吸着性の相互作用に起因していると思われる。すなわち、シリカ膜は、シラノール基等を有するために、シリカ膜の平均細孔径と同等程度の分子径を持つ分子であれば、シリカ膜への吸着性の低い、分子内に不飽和結合を有さない分子がイソブテンよりも優先して透過することになる。例えば、イソブタンとイソブテンでは、動的分子径はそれぞれ、約0.53nmと約0.50nmであり、イソブタンの方が動的分子径が大きいものの、分子内に不飽和結合を有さないイソブタンは、分子内に不飽和結合を有するイソブテンと比較して、シリカ膜への吸着性が小さいため、上記の平均細孔径を有するシリカ膜のイソブテンよりも優先してシリカ膜を透過すると考えられる。
一方、イソブテンと1-ブテンのように、分子内に不飽和結合を有する分子どうしの場合、シリカ膜に対する吸着性の差異は極めて小さく、さらに、1-ブテンの動的分子径は0.43nm程度であり、シリカ膜の平均細孔径は、いずれの分子の分子径よりも大きいために、理論上は、透過性に有意な差は見られないはずである。しかしながら、特定の平均細孔径に制御された上記のシリカ膜を用いることで、このわずかな吸着性の差と、分子径の差が相互的に作用して、1-ブテンが優先的にシリカ膜を透過して、イソブテンの濃縮が可能になると考えられる。
なお、本発明においてシリカ膜の平均細孔径とは、Evaluation and Fabrication of Pore-Size-Tuned Silica Membranes with Tetraethoxydimethyl Disiloxane for Gas Separation、AIChE Journal、Vol.57、No.10、pp2755-2765(2011)に記載されている手法により、ヘリウム(分子径0.26nm)、四フッ化炭素(分子径0.48nm)および六フッ化硫黄(分子径0.55nm)の透過流束から算出される正規化クヌーセンベースパーミアンスから算出した値を意味するものとする。なかでも、シリカ膜の平均細孔径は0.50nm以上であることが好ましく、0.55nm以上であることがさらに好ましく、0.60nm以上であることが特に好ましく、一方、0.85nm以下であることが好ましく、0.80nm以下であることがさらに好ましく、0.75nm以下であることが特に好ましい。
また、シリカ膜中の炭素原子に対するシリカ原子の存在比は、特段の制限はないが、所望の平均細孔径を得るために、0.6以上であることが好ましく、1.0以上であることがさらに好ましく、一方、4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがさらに好ましい。
シリカ膜の厚さは特段の制限はないが、膜の耐久性を確保するために、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、100nm以上であることが特に好ましく、一方、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素成分の透過流量を増加させるために、500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、200nm以下であることが特に好ましい。
また、シリカ膜は、所望の平均細孔径を維持するためにシリカ膜を構成するアモルファス構造内にフッ素原子を有することが好ましい。特に、フッ素原子の存在形態は、Si-F基あるいはC-F基であることが好ましい。
シリカ膜は、特段の制限はないが、支持体に支持されていることが好ましい。すなわち、シリカ膜は支持体上に設けられていることが好ましい。なお、本発明において、支持体と、支持体上に設けられたシリカ膜とを合わせてシリカ膜複合体と称す場合がある。
支持体としては、好ましくは無機多孔質基体が挙げられる。なお、無機多孔質基体とは、主に無機材料により構成される支持体であり、外壁側から内壁側に向かって連通する細かな気孔が設けられた支持体である。
無機多孔質基体を構成する材料は特段の制限はなく、ガラス、セラミック、金属、カーボン成型体、又は樹脂等の種々の材料を適用可能である。
セラミックとしては、特段の制限はないが、シリカ、α-アルミナ、γーアルミナ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化珪素、炭化珪素などのセラミック焼結体などが挙げられる。なかでも、α-アルミナ、γ-アルミナ等のアルミナやムライトが好ましく、アルミナが特に好ましい。
支持体の形状は特段の制限はなく、平板状、管状、円筒状、円柱状、角柱状、ハニカム状、モノリス等が挙げられる。なお、支持体上にシリカ膜を設ける場合、支持体のどの表面にシリカ膜を設けてもよく、複数の表面にシリカ膜を設けてもよい。例えば、支持体が円筒状の場合、外側の表面にシリカ膜を設けても側の表面にシリカ膜を設けてもよいし、外側と内側の両方にシリカ膜を設けてもよい。また、内側及び/又は外側の全表面にシリカ膜を設けてもよいし、表面の一部に設けてもよい。
なお、支持体自体は、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素を含む混合気体からイソブテン以外の炭素数4の炭化水素を分離する性能を有する必要はなく、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素と、を含む混合気体を透過させる限りにおいて特段の制限はない。従って、支持体の気孔の平均径は、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、一方、通常100μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5.0μm以下である。このような気孔を有する支持体であれば、十分な強度を有してシリカ膜を適切に支持することができ、また、シリカ膜を透過したイソブテン以外の炭素数4の炭化水素を十分な速度で透過させることができる。
支持体の厚さは特に限定されるものではない。材質や気孔率等によっても異なるが、例えば、厚さを0.5mm以上とすることが好ましく、より好ましくは0.8mm以上であり、さらに好ましくは1.3mm以上である。また、支持体が円筒状のように中に空洞を有する場合、その内径は特段の制限はなく材質や気孔率等によっても異なるが、例えば、上記した支持体の厚さに対する内径の比(内径(mm)/厚さ(mm))を20以下とすることが好ましく、17以下とすることがより好ましく、13以下とすることがさらに好ましく、9以下とすることが特に好ましい。支持体の長さ(軸方向長さ)は特に限定されるものではない。
シリカ膜の製造方法は、上述の平均細孔径を有するシリカ膜が得られる限りにおいて特段の制限はないが、下記に説明するように、フッ素ドープされたシリカゾルを調整した後に、支持体上に該シリカゾルを塗布、焼成する方法が好ましい。
(フッ素ドープされたシリカゾル調製工程)
水を含む溶媒中で、シリカ源とフッ素源とを混合し、反応させることによりフッ素ドープシリカゾル(以下、フッ素ドープシリカゾルと称す場合がある)を得ることができる。
シリカ源としては、特段の制限はないが、Si(OR)又は(RO)SiXSi(OR)で表される化合物が挙げられる。なお、Rはアルキル基を表す。なお、アルキル基として、特段の制限はないが、得られるシリカ膜の平均細孔径は、当該アルキル基に依存する傾向がある。すなわち、該アルキル基の炭素数が大きいと得られるシリカ膜の平均細孔径も大きくなる傾向があり、該アルキル基の炭素数が小さいと得られるシリカ膜の平均細孔径も小さくなる傾向がある。そのため、本発明においては、アルキル基のなかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。なお、シリカ源としては一つのシリカ源のみを使用してもよいし、所望の平均細孔径を有するシリカ膜が得られるように、複数種のシリカ源を使用してもよい。また、Xは1つ以上の水素原子が置換されていてもよい直鎖状飽和アルキレン基(-CnHn-)を表す。シリカ源の具体例としては、オルトケイ酸エチルやビストリエトキシシリルエタン、ビストリエトキシシリルブタン、ビストリエトキシシリルオクタンなどが挙げられる。
フッ素源として、フッ化アンモニウム(NHF)、フッ酸(HF)などが挙げられる。
水を含む溶媒中にて、シリカ源とフッ素源とを混合、反応させることで、シリカ源のアルコキシ基(OR)が加水分解されて水酸基になるとともに、脱水縮合(縮重合)によって隣接する化合物同士がSi-O-Si結合で重合し、シリカネットワークが形成される。また、フッ素原子の存在により、さらなる縮合反応を防止して所望の平均細孔径を有するシリカ膜が得られやすくなる。
より具体的には、上記化合物を、水を含む溶媒に溶解し、触媒として酸又は塩基を添加して、加水分解と縮重合反応に十分な時間攪拌することが好ましい。そして、縮重合に寄与しなかったシリカネットワーク内の水酸基がフッ素に置換されることにより、フッ素がドープされたフッ素ドープシリカゾルが得られる。なお、溶媒としては特段の制限はないが、エタノール、プロピルアルコール等が挙げられる。また、酸としては特段の制限はないが塩酸、硝酸等が挙げられ、塩基としてはアンモニア等が挙げられる。
なお、シリカ源とフッ素源との添加割合について特に制限はないが、フッ素源の添加割合が高いほど、得られるシリカ膜の平均細孔径が大きくなる傾向がある。シリカ源の珪素原子とフッ素源のフッ素原子との添加割合(モル比)は、所望の平均細孔径が得られるように適宜、調整すればよく、例えば、99:1~50:50の範囲とすることが好ましい。
また、水の添加割合(モル比)は、シリカ源のアルコキシ基が十分に加水分解されるよう、過剰に加えられること好ましく、例えば、水:シリカ源が100:1~300:1であることが好ましい。
また、シリカ源の配合比率を調整することにより、得られるフッ素ドープシリカゾルの粒径を制御することができる。シリカ源の配合比率が高くなるとフッ素ドープシリカゾルの粒径も大きくなる。異なる粒径のフッ素ドープシリカゾルを調製しておき、後述の塗布工程にて粒径の大きなフッ素ドープシリカゾルから粒径の小さなフッ素ドープシリカゾルの順に塗布することが好ましい。
(塗布工程)
上述のように調製されたフッ素ドープシリカゾルを支持体に塗布する。フッ素ドープシリカゾルの塗布は、スピンコーティング法、ディップコーティング法のほか、不織布をフッ素ドープシリカゾルに浸して塗布するなど、種々の方法により行い得る。
(焼成工程)
塗布したフッ素ドープシリカゾルを乾燥してゲル化させた後、焼成を行う。焼成を行うことにより、脱水縮合がより進行し、シリカネットワークが緻密になる。焼成温度は、100℃より高い温度とすることが好ましい。また、シリカ源として、(RO)SiXSi(OR)で表される化合物を用いた場合、400℃以上で焼成すると、Si-X-Siのアルキル鎖が分解されてしまい、細孔が形成されにくくなる場合があるため、400℃未満の温度で焼成することが好ましい。
以上のようにして、支持体上に、細孔が制御されたシリカ膜を製造することができる。なお、上記の塗布工程及び焼成工程は複数回行ってもよい。
<2.気体の濃縮方法>
混合気体は、少なくともイソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素と、を含有する。なお、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素としては、特段の制限はなく、n-ブタン、1-ブテン、2-ブテン、イソブタン、又はブタジエンが挙げられる。なかでも、本発明に係る気体の濃縮方法は、ナフサの熱分解により得られる炭素数4の炭化水素成分からイソブテンを濃縮する際に有効に利用することが想定されるために、ナフサの熱分解により主に得られる、n-ブタン、1-ブテン及びイソブタンのうち少なくとも1種であることが好ましい。
なお、混合気体はイソブテン及びイソブテン以外の炭素数4の炭化水素以外に、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、エチレン等の炭素数2の炭化水素、プロパン、プロピレン等の炭素数3の炭化水素、並びに炭素数5以上の炭化水素等が挙げられる。但し、分離性能の低下を防ぐために、混合気体中のイソブテン及びイソブテン以外の炭素数4の炭化水素の含有量は、50体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがさらに好ましく、90体積%以上であることが特に好ましい。一方、上限は100体積%である。
混合気体中のイソブテン以外の炭素数4の炭化水素の総量に対するイソブテンの割合は、特段の制限はないが、効率良くイソブテンを濃縮するために、10体積%以上であることが好ましく、20体積%以上であることがさらに好ましく、40体積%以上であることが特に好ましく、一方、十分な透過流束を確保するために、95体積%以下であることが好ましく、90体積%以下であることがさらに好ましい。
本発明の濃縮方法は、蒸気透過法により行う。具体的には、シリカ膜の一方の側に混合気体を供給し、シリカ膜の他方側(透過側)を、該シリカ膜の混合気体を供給する側よりも低い圧力とすることによって、混合気体からイソブテン以外の炭素数4の炭化水を選択的に透過させる。すなわち、シリカ膜複合体を使用する場合、通常、シリカ膜側と支持体側のうち、シリカ膜側から混合気体を供給し、支持体側にイソブテン以外の炭素数4の炭化水素を透過させることが好ましいが、この場合、支持体側の圧力をシリカ膜側の圧力よりも低い圧力としておく。これにより、混合気体からイソブテン以外の炭素数4の炭化水素を分離することができ、その結果、混合気体中のイソブテン濃度を高めることができるため、イソブテンの濃縮が可能となる。
混合気体からイソブテンを効率的に濃縮するために、シリカ膜に対する透過側と供給側でできるだけ大きな差圧を付けることが好ましい。できるだけ大きな差圧をつけるためには、供給側を加圧にするか、あるいは透過側を減圧状態にすることが好ましい。
混合気体の供給側の圧力は特段の制限はないが、透過性を考慮すれば、大気圧以上であることが好ましく、絶対圧で200kPa以上であることがさらに好ましく、シリカ膜複合体の破損を防止するために、50MPa以下であることが好ましく、10MPa以下であることがさらに好ましい。
透過側の圧力は特段の制限はないが、透過性を考慮すれば、大気圧以下であることが好ましく、絶対圧で50kPa以下であることがさらに好ましく、一方下限は、通常、真空下、すなわち、絶対圧で0kPaである
混合気体の供給側の圧力と、透過側の圧力との差は、特段の制限はないが、イソブテンの効率的な濃縮を実現するために、10kPa以上であることが好ましく、50kPa以上であることがさらに好ましく、一方、シリカ膜複合体の破損を防止するために、50MPa以下であることが好ましく、10MPa以下であることがさらに好ましい。
混合気体の供給速度は、特段の制限はないが、濃度分極を抑制し、十分な透過流量を得るために、透過流量の2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがさらに好ましく、10倍以上であることが特に好ましい。
混合気体からイソブテンを濃縮する際の温度は、特段の制限はないが、0℃以上であることが好ましく、なかでも、効率的な濃縮のために、30℃以上であることがさらに好ましく、50℃以上であることがさらに好ましく、消費する熱エネルギーを抑えるために、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがさらに好ましい。なお、混合気体の供給時の温度とは膜表面近傍での温度を意味するものとする。
なお、イソブテンの濃縮の際にシリカ膜を透過した気体成分中には一部のイソブテンを含有している場合がある。このような場合、シリカ膜を透過した気体成分を再度、シリカ膜により濃縮することで混合気体中のイソブテンを効率良く回収することができる場合がある。
なお、本発明の気体の濃縮方法の適用プロセスは特段の制限はなく、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素を含む混合気体からイソブテンの濃縮が必要になるいかなるプロセスにも適用可能である。なかでも、本発明における気体の濃縮方法は、簡便にイソブテンを濃縮することが可能となるため、イソブテンの気相酸化によりメタクロレイン及び/又はメタクリル酸を製造する際に、特に有効である。また、該濃縮操作の際に、蒸留塔の操作が必要ないために、メタクロレイン及び/又はメタクリル酸の製造コストを低減することができる。すなわち、上述の方法により濃縮されたイソブテンを気相酸化することにより、メタクロレイン及び/又はメタクリル酸を製造することが好ましい。なお、イソブテンの気相酸化によりメタクロレイン及び/又はメタクリル酸を製造する場合の条件等は特段の制限はなく、公知の方法を使用することができる。
以下、本発明について下記に示す実施例を基に説明するが、本発明は実施例に限定されるわけではない。なお、シリカ膜の平均細孔径は上述の方法により算出した。
<実施例1>
(気体分離装置)
図1に示す装置を用いて、蒸気透過法により、それぞれ、イソブテン、1-ブテン、n-ブタン及びイソブタンの透過性能試験を行った。以下に詳細を説明する。図1に示される装置は、ガスボンベ1から供給されてガス除湿器2を通過した供給ガスが、圧力調整バルブ3により圧力が所定の値に調整され、分離膜設置部5に導入される構成となっている。また、分離膜設置部5には一方の末端が封止されたシリカ膜複合体6が設置されており、シリカ膜複合体6の他方の末端は、透過ライン7に接続されている。透過ライン7に接続されたガスフローメーター8により、透過ガス量が測定される。また、背圧バルブ11により供給側の圧力を制御することができる。なお、実質的に圧力損失は無視できるためにガスフローメーター8は大気圧解放されており、透過ライン7およびシリカ膜複合体6の透過側は大気圧状態に保持されるため、供給ガスの圧力を透過側圧力、すなわち大気圧以上に設定することで、供給側と透過側の圧力差を駆動力として、供給ガスはシリカ膜複合体6を透過することとなる。なお、透過性能試験中は、ヒーター9および温度調節器10により分離膜設置部5内部は一定温度に保持される。
(分離操作)
シリカ膜複合体6として、長さ100mm、直径10mmの単管状のα-アルミナ支持体表面に形成されたシリカ膜A(平均細孔径0.59nm、膜厚150nm、有効膜面積0.00314m、シリカ原子・炭素原子存在比2:1)を用いて、供給ガスとしては、イソブテンを用い、分離膜設置部5内の温度を30℃に保持し、供給ガスの圧力が絶対圧として200kPaとなるように圧力調整バルブ3を調整し、イソブテンの透過性能試験を開始した。透過性能試験開始後、3時間の透過ガス量を測定し、以下の式(1)からパーミアンスP[mol/(m・s・Pa)]を算出した。なお、イソブテンを供給する前には、あらかじめ窒素の透過量が一定になるまでシリカ膜に窒素を供給した。
P=M/(A×t×Δp)・・・(1)
M:透過気体の物質量(mol)
A:シリカ膜の有効膜面積(m
t:透過時間(h)
Δp:供給ガスと透過側の圧力差(Pa)
続いて、供給ガスとして窒素を用いて、温度を200℃に保持した分離膜設置部5内に、窒素を2時間供給することで、シリカ膜複合体6の脱着処理を行った。
次に、再度、分離膜設置部5内の温度を30℃に保持し、供給ガスとして1-ブテンを用い、供給ガスの圧力が絶対圧として200kPaとなるように圧力調整バルブ3を調整し、1-ブテンの透過性能試験を開始した。透過性能試験開始後、2時間の透過ガス量を測定し、上記の式(1)からパーミアンスP[mol/(m・s・Pa)]を算出した。
同様の条件で、n-ブタンおよびイソブタンについても透過性能試験を行い、パーミアンスPを算出した。なお、各成分の透過性能試験前には窒素による脱着処理を2時間行った。
各成分の透過性能試験により得られたパーミアンスから、以下に示す式(2)を用いて混合気体中の各成分のイソブテンに対する分離係数Yを算出した。結果を表1に示す。
Y=(対象とする気体のパーミアンス)/(イソブテンのパーミアンス) ・・・(2)
<実施例2~4>
透過性能試験における分離膜設置部5内の温度を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様の方法により透過性能試験を行い、分離係数Yを算出した。結果を表1に示す。
<実施例5~8>
シリカ膜複合体6として、長さ100mm、直径10mmの単管状のα-アルミナ支持体表面に形成されたシリカ膜B(平均細孔径0.64nm、膜厚150nm、有効膜面積0.00314m、シリカ原子・炭素原子存在比2:1)を用い、透過性能試験の温度を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様の方法により、透過性能試験を行い、分離係数Yを算出した。得られた結果を表1に示す。なお、イソブタンに関しては透過性能試験を実施しなかった。
<実施例9~12>
シリカ膜複合体6として、長さ100mm、直径10mmの単管状のα-アルミナ支持体表面に形成されたシリカ膜C(平均細孔径0.71nm、膜厚150nm、有効膜面積0.00314m、シリカ原子・炭素原子存在比2:1)を用い、透過性能試験の温度を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様の方法により、透過性能試験を行い、分離係数Yを算出した。結果を表1に示す。
Figure 0007306145000001
表1の結果から、イソブテンが該シリカ膜に対してほとんど透過しないのに対して、他の炭素数4の成分の透過性が高いことが分かる。この結果から、当該シリカ膜を用いることにより、炭素数4の炭化水素混合成分から効率良くイソブテンを濃縮できることが期待できる。
1 ガスボンベ
2 ガス除湿器
3 圧力計バルブ
4 圧力計
5 分離膜設置部
6 シリカ膜複合体
7 透過ライン
8 ガスフローメーター
9 ヒーター
10 温度調節器
11 背圧バルブ

Claims (4)

  1. 平均細孔径が0.59nm以上0.71nm以下のシリカ膜を介して、イソブテンと、イソブテン以外の炭素数4の炭化水素と、を含む混合気体からイソブテンを濃縮する、気体の濃縮方法であって、
    前記シリカ膜はシラノール基を有し、
    前記シリカ膜中の炭素原子に対するシリカ原子の存在比が1.0以上、3.0以下であり、
    温度が30℃~100℃の範囲であり、かつ前記混合気体の供給側の圧力が大気圧以上、透過側の圧力が大気圧以下、前記供給側の圧力と前記透過側の圧力との差が98.7kPa以上、10MPa以下である環境下において行われる、気体の濃縮方法
  2. 前記シリカ膜の厚さが50nm以上500nm以下である、請求項1に記載の気体の濃縮方法。
  3. 記イソブテン以外の炭素数4の炭化水素が1-ブテン、n-ブタン及びイソブタンから選択される1以上の炭化水素を含む、請求項1又は2に記載の気体の濃縮方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の気体の濃縮方法により濃縮されたイソブテンを気相酸化することによりメタクロレイン及び/又はメタクリル酸を製造する方法。
JP2019142627A 2019-08-02 2019-08-02 気体の濃縮方法 Active JP7306145B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019142627A JP7306145B2 (ja) 2019-08-02 2019-08-02 気体の濃縮方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019142627A JP7306145B2 (ja) 2019-08-02 2019-08-02 気体の濃縮方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021023863A JP2021023863A (ja) 2021-02-22
JP7306145B2 true JP7306145B2 (ja) 2023-07-11

Family

ID=74662637

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019142627A Active JP7306145B2 (ja) 2019-08-02 2019-08-02 気体の濃縮方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7306145B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002533216A (ja) 1998-12-30 2002-10-08 コーニング インコーポレイテッド ゼオライト膜およびその製造方法
JP2007517648A (ja) 2004-01-13 2007-07-05 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 複合膜
JP2009539592A (ja) 2006-06-13 2009-11-19 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 複合膜の製造方法
WO2016121377A1 (ja) 2015-01-27 2016-08-04 日本ゼオン株式会社 分離膜およびその製造方法
WO2018047773A1 (ja) 2016-09-06 2018-03-15 三菱ケミカル株式会社 イソブチレンの分離精製方法およびイソブチレンの製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60163829A (ja) * 1984-01-30 1985-08-26 ユ−オ−ピ− インコ−ポレイテツド 原料油からイソブチレンを分離する方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002533216A (ja) 1998-12-30 2002-10-08 コーニング インコーポレイテッド ゼオライト膜およびその製造方法
JP2007517648A (ja) 2004-01-13 2007-07-05 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 複合膜
JP2009539592A (ja) 2006-06-13 2009-11-19 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 複合膜の製造方法
WO2016121377A1 (ja) 2015-01-27 2016-08-04 日本ゼオン株式会社 分離膜およびその製造方法
WO2018047773A1 (ja) 2016-09-06 2018-03-15 三菱ケミカル株式会社 イソブチレンの分離精製方法およびイソブチレンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021023863A (ja) 2021-02-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6211481B2 (ja) ノルマルパラフィンまたはパラキシレンの分離方法およびゼオライト膜複合体
Nagasawa et al. Pervaporation and vapor permeation characteristics of BTESE-derived organosilica membranes and their long-term stability in a high-water-content IPA/water mixture
JPWO2011148713A1 (ja) 炭素膜複合体およびその製造方法ならびに分離膜モジュール
US20040038044A1 (en) Silica membranes and process of production thereof
Drobek et al. Coupling microwave-assisted and classical heating methods for scaling-up MFI zeolite membrane synthesis
JP6270685B2 (ja) ノルマルパラフィンの分離方法
JP7306145B2 (ja) 気体の濃縮方法
JP6837363B2 (ja) 炭化水素化合物の分離方法
US20230078309A1 (en) Method for drying separation membrane and method for producing separation membrane structure
Drobek et al. Evaluation of a new supercritical CO2-assisted deposition method for preparing gas selective polymer/zeolite composite membranes
WO2021240917A1 (ja) 分離膜複合体、分離膜複合体の製造方法および分離方法
JP7227031B2 (ja) ゼオライト膜付多孔質支持体、その製造方法、及びそれを用いた窒素の分離方法
JP4384540B2 (ja) 水素分離材及びその製造方法
WO2016104048A1 (ja) ガス分離方法
JP6368424B2 (ja) シリカ膜フィルタ
JP2021181042A (ja) 消毒用エタノール製造システム
WO2019189358A1 (ja) 高含水系における低Siゼオライト膜適応脱水システムおよび脱水方法
Kang et al. γ-Alumina composite membranes modified with microporous silica for CO2 separation
JP2010069432A (ja) 固体シリカ膜、それを用いた炭化水素分離膜及びその製造方法
CN115943194B (zh) 液体燃料合成系统
Wiheeb HYDROGEN PURIFICATION USING A MICROPOROUS HYDROTALCITE-SILICA COMPOSITE MEMBRANE: Chemical
JP2021155357A (ja) 気体の濃縮方法および(メタ)アクリル酸の製造方法
WO2016104049A1 (ja) ガス分離方法
Wang et al. Prediction of pervaporation performance of aqueous ethanol solutions by nanopermporometry characterization
WO2022130741A1 (ja) 分離膜複合体、分離装置、分離方法および分離膜複合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220310

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230117

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20230213

RD13 Notification of appointment of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433

Effective date: 20230213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230530

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230612

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7306145

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151