本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る切削方法と切削装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る切削装置の構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示された切削装置の切削ユニットを分解して示す斜視図である。図3は、図2に示された切削ユニットの要部の断面図である。図4は、図1に示された切削装置の切削ブレードを交換する際に用いられる着脱治具を示す斜視図である。図5は、図4に示された着脱治具を回転するためのトルクレンチを示す斜視図である。図6は、図1に示された切削装置が停止したスピンドルを所定の回転数まで回転する際のスピンドルの回転数の変化を示す図である。図7は、図1に示された切削装置が停止したスピンドルを所定の回転数まで回転する際のスピンドルモータに流れる電流値の変化を示す図である。図8は、実施形態1に係る切削方法の流れを示すフローチャートである。
(切削装置)
実施形態1に係る切削装置1は、図1に示す被加工物200を切削加工する切削装置である。実施形態1では、被加工物200は、シリコン、ガリウムヒ素、SiC(炭化ケイ素)又はサファイア、などを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。被加工物200は、表面201に格子状に形成された複数の分割予定ライン202によって格子状に区画された領域にデバイス203が形成されている。
また、本発明の被加工物200は、中央部が薄化され、外周部に厚肉部が形成された所謂TAIKO(登録商標)ウエーハでもよく、ウエーハの他に、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状の樹脂パッケージ基板、セラミックス基板、フェライト基板、又はニッケル及び鉄の少なくとも一方を含む基板、ガラス基板等でも良い。実施形態1において、被加工物200は、裏面204が外周縁に環状フレーム205が装着された粘着テープ206に貼着されて、環状フレーム205に支持されている。
図1に示された切削装置1は、被加工物200をチャックテーブル10で保持し分割予定ライン202に沿って切削ブレード21で切削加工する装置である。切削装置1は、図1に示すように、被加工物200を保持面11で吸引保持するチャックテーブル10と、切削ブレード21でチャックテーブル10に保持された被加工物200を切削する切削ユニット20と、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮影する撮像ユニット90と、制御ユニット100とを備える。
また、切削装置1は、図1に示すように、チャックテーブル10を水平方向と平行なX軸方向に加工送りする加工送りユニットであるX軸移動ユニット30と、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りする割り出し送りユニットであるY軸移動ユニット31と、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りする切り込み送りユニットであるZ軸移動ユニット32とを少なくとも備える。
チャックテーブル10は、円盤形状であり、被加工物200を保持する保持面11がポーラスセラミック等から形成されている。また、チャックテーブル10は、X軸移動ユニット30により切削ユニット20の下方の加工領域41と、切削ユニット20の下方から離間して被加工物200が搬入出される搬入出領域42とに亘ってX軸方向に移動自在に設けられ、かつ回転駆動源によりZ軸方向と平行な軸心回りに回転自在に設けられている。チャックテーブル10は、図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで、保持面11に載置された被加工物200を吸引、保持する。実施形態1では、チャックテーブル10は、粘着テープ206を介して被加工物200の裏面204側を吸引、保持する。また、チャックテーブル10の周囲には、図1に示すように、環状フレーム205をクランプするクランプ部12が複数設けられている。
切削ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物200を切削する切削ブレード21を着脱自在に装着した切削手段である。切削ユニット20は、チャックテーブル10に保持された被加工物200に対して、Y軸移動ユニット31によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、Z軸移動ユニット32によりZ軸方向に移動自在に設けられている。
切削ユニット20は、図1に示すように、Y軸移動ユニット31及びZ軸移動ユニット32などを介して、装置本体2から立設した支持フレーム3に設けられている。切削ユニット20は、Y軸移動ユニット31及びZ軸移動ユニット32により、チャックテーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
切削ユニット20は、図2に示すように、スピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転自在に設けられたスピンドル23と、スピンドル23の先端に固定具であるフランジ機構29と、固定具であるフランジ機構29を介して固定された切削ブレード21と、を有している。
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード21は、中央に装着孔211を有する円環状の切り刃212のみからなるワッシャブレードである。切り刃212は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。また、基台と、基台の外周縁に配設された切り刃とからなるハブブレードでも良い。
スピンドル23は、図3に示すモータであるスピンドルモータ28により軸心回りに回転される。即ち、切削ユニット20は、スピンドル23を軸心回りに回転させるスピンドルモータ28を備えている。スピンドル23は、先端がスピンドルハウジング22の先端面221より突出している。スピンドル23の先端は、先端に向かうにしたがって徐々に細く形成されており、先端面に開口したねじ孔231が設けられている。
スピンドルモータ28は、図3に示すように、スピンドルハウジング22内に収容され、スピンドル23に連結されたロータ281と、ロータ281を回転させるステータ282とを備える。ステータ282には、制御ユニット100により制御される電源110からスピンドル23を回転させるための電力が供給される。また、ステータ282には、該ステータ282即ちスピンドルモータ28に流れる電流値を検出する検出部である電流値検出手段111が接続している。電流値検出手段111は、ステータ282即ちスピンドルモータ28に流れる電流値を検出し、検出した結果を制御ユニット100に出力する。即ち、切削装置1は、電源110及び電流値検出手段111を備える。
また、切削装置1は、図3に示すように、スピンドル23の回転数を検出する検出部である回転数検出手段112を備える。回転数検出手段112は、スピンドル23の回転数を検出し、検出した結果を制御ユニット100に出力する。なお、制御ユニット100、回転数検出手段112及び電流値検出手段111とは、特許請求の範囲に記載された少なくともスピンドルモータ28を制御する制御手段を構成する。
スピンドルハウジング22は、Y軸移動ユニット31及びZ軸移動ユニット32によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられている。スピンドルハウジング22は、スピンドル23の先端を除く部分及びスピンドルモータ等を収容し、スピンドル23を軸心回りに回転可能に支持する。
フランジ機構29は、図2に示すように、支持フランジ24と、押さえフランジ25と、ナット27とを備える。
支持フランジ24は、固定ねじ26が中央に設けられた貫通孔241を通ってスピンドル23の先端面に設けられたねじ孔231と螺合してスピンドル23の先端に固定される。支持フランジ24は、円筒状のボス部242と、ボス部242のスピンドルハウジング22寄りの一端部に設けられたフランジ部243とを備えている。ボス部242は、支持フランジ24が取り付けられたスピンドル23の軸心と同軸に配置される。
ボス部242は、装着孔211に挿通されて、外周面上に切削ブレード21が装着される。ボス部242は、外径が全長に亘って切削ブレード21の装着孔211の内径と略等しく形成されている。なお、ボス部242の外径が切削ブレード21の装着孔211の内径と略等しいとは、ボス部242の外周面と装着孔211の内周面とが少なくとも複数個所で互いに接触することが可能な程度に外径と内径とが等しいことを示している。
また、ボス部242は、先端部の外周面に雄ネジ244が形成されている。ボス部242の内周面は、スピンドル23の先端と密に接触するように、スピンドルハウジング22に向かうにしたがって徐々に内径が大きく形成されている。
フランジ部243は、ボス部242のスピンドルハウジング22寄りの一端部から径方向外向きに突出した鍔状の部材である。フランジ部243は、装着孔211内にボス部242が通された切削ブレード21と対面して支持する支持面245を外縁の全周に設けている。支持面245は、切削ブレード21と密に接触して、切削ブレード21を支持する。
押さえフランジ25は、円環状に形成され、中央に内側に支持フランジ24のボス部242が通されてボス部242が挿通される装着孔251と、外周縁にフランジ部243の支持面245との間に切削ブレード21を挟持する環状の挟持部252とを有している。
ナット27は、スピンドル23の先端に固定された支持フランジ24のボス部242が切削ブレード21の装着孔211と、押さえフランジ25の装着孔251とが順に通された後、ボス部242の雄ネジ244の外周に螺合して、押さえフランジ25及び切削ブレード21を支持フランジ24に固定する。また、ナット27の切削ユニット20の先端側に露出する端面には、複数の穴271が設けられている。実施形態1では、穴271は、周方向に等間隔に4つ設けられている。
このように構成されたフランジ機構29は、支持フランジ24がスピンドル23の先端を内側に通し、固定ねじ26等によりスピンドル23の先端部に固定され、切削ブレード21の装着孔211と押さえフランジ25の装着孔251内に順に支持フランジ24のボス部242が通される。フランジ機構29は、ナット27をボス部242の雄ネジ244に螺合して、支持フランジ24に押さえフランジ25及び切削ブレード21を固定するとともに、切削ブレード21を支持フランジ24の支持面245と押さえフランジ25の挟持部252との間に挟んで切削ブレード21を固定する。
なお、切削ユニット20のスピンドル23、支持フランジ24、押さえフランジ25及びナット27の軸心は、Y軸方向と平行に設定されている。
また、前述した切削装置1では、加工領域41が図示しない複数の外壁により覆われ、搬入出領域42側に設けられた図示しない開口を通してオペレータにより切削ユニット20の切削ブレード21が交換即ち着脱される。なお、開口は、図示しないスプラッシュカバーにより開閉自在であり、切削装置1の加工動作中にはスプラッシュカバーにより塞がれ、切削ブレード21の着脱作業中にはスプラッシュカバーにより開放される。
また、実施形態1に係る切削装置1は、切削ユニット20の切削ブレード21を着脱する際には、図4に示された着脱治具50及び図5に示すトルクレンチ60が用いられる。着脱治具50は、外径がナット27の外径よりも大きくかつ押さえフランジ25及び切削ブレード21の外径よりも小さな厚手の円盤状に形成されている。
着脱治具50は、図4に示すように、円形凹部51が形成されており、円形凹部51の内周面に周方向に等間隔に4つのナット把持爪52が配設されている。円形凹部51は、切削ユニット20のナット27の外側に被さることができる。ナット把持爪52は、半径方向に弾性変形可能に配設され、互いの間に円形凹部51が被さったナット27を外側から把持可能である。円形凹部51の中央部には、トルクレンチ60の先端の差し込み用の貫通孔53が形成されているとともに、円形凹部51の底面には、ナット27の穴271に係合可能な係合ピン54が周方向に等間隔に4つ設けられている。係合ピン54は、ばね等の弾性部材により円形凹部51の底面から突没自在に設けられている。
トルクレンチ60は、着脱治具50の貫通孔53中に挿入されて係合する係合部61と、トルクレンチ回転用のハンドル62とを有している。トルクレンチ60は、ナット27の外側に被さった着脱治具50の貫通孔53に係合部61が挿入されて係合し、ハンドル62が回転されることにより、着脱治具50を介してナット27を支持フランジ24に対して回転させる。
切削ブレード21を交換(着脱)する際には、スプラッシュカバーにより開口を開いた状態で、切削装置1のオペレータが円形凹部51をナット27の外側に被せ、貫通孔53内にトルクレンチ60の係合部61を挿入して係合させる。オペレータが、ハンドル62を回転して着脱治具50がハンドル62とともに回転し、係合ピン54が穴271に係合すると、ハンドル62とともにナット27が支持フランジ24に対して回転する。ナット27を支持フランジ24のボス部242から取り外す。オペレータが押さえフランジ25を一旦取り外した後、切削ブレード21を交換し、その後、押さえフランジ25を支持フランジ24に取り付ける。
オペレータが、ナット27を着脱治具50の円形凹部51内に収容し、支持フランジ24のボス部242の雄ネジ244の外周に螺合し、貫通孔53内にトルクレンチ60の係合部61を挿入して係合する。オペレータが、ハンドル62を回転して、ナット27を支持フランジ24に対して回転して、ナット27及び押さえフランジ25を支持フランジ24に固定して、フランジ24,25間に交換後の切削ブレード21を挟持して固定する。
実施形態1において、切削ユニット20は、図1に示すように、スピンドルハウジング22の先端面221に固定され、切削ブレード21の上方及びX軸方向の両側を覆って、切削加工中に加工液である切削水を切削ブレード21に供給するブレードカバー70を備える。実施形態1では、ブレードカバー70は、スピンドルハウジング22の先端面221に固定される固定部材71と、固定部材71に対してX軸方向に移動自在な可動部材72とを備える。可動部材72は、切削装置1の加工動作中に固定部材71に接触する位置に位置付けられ、切削ブレード21の着脱作業中に固定部材71から離れた位置に位置付けられる。なお、実施形態1では、ブレードカバー70の可動部材72は、ナット27の外周に着脱治具50が取り付けられた状態であっても切削装置1の加工動作中に位置付けられる固定部材71に接触する位置に位置することができる。
撮像ユニット90は、切削ユニット20と一体的に移動するように、切削ユニット20に固定されている。撮像ユニット90は、チャックテーブル10に保持された切削前の被加工物200の分割すべき領域を撮影する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニット90は、チャックテーブル10に保持された被加工物200を撮影して、被加工物200と切削ブレード21との位置合わせを行なうアライメントを遂行するため等の画像を得、得た画像を制御ユニット100に出力する。
X軸移動ユニット30は、チャックテーブル10を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にX軸方向に沿って加工送りするものである。Y軸移動ユニット31は、切削ユニット20を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にY軸方向に沿って割り出し送りするものである。Z軸移動ユニット32は、切削ユニット20を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、チャックテーブル10と切削ユニット20とを相対的にZ軸方向に沿って切り込み送りするものである。
X軸移動ユニット30、Y軸移動ユニット31及びZ軸移動ユニット32は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及びチャックテーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
また、切削装置1は、チャックテーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、チャックテーブル10のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。
制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、切削装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して切削装置1の各構成要素に出力する。
制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットと、報知ユニット113とに接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。報知ユニット113は、音と光のうち少なくとも一方により切削装置1のオペレータに報知する。
制御ユニット100は、入力ユニットから受け付けた加工内容情報を記憶し、切削装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を切削装置1に実施させるものである。なお、加工内容情報には、切削ユニット20の切削ブレード21が被加工物200を切削する時のスピンドル23の所定の回転数402(図6に示す)が含まれる。
制御ユニット100は、加工動作を開始する際、即ち、スピンドルモータ28を制御して、停止したスピンドル23の回転を開始する際に、回転開始からスピンドル23の回転数が所定の回転数402よりも低い第2の所定の回転数401(図6に示す)になるまでの間、電源110からスピンドルモータ28に一定の所定の電流値501(図7に示す)の電力を供給する。その後、制御ユニット100は、回転数検出手段112の検出結果に基づいて、図6に示すように、スピンドル23の回転開始から第2の所定の回転数401になったことを検出する。すると、制御ユニット100は、図6に示すように、回転開始から所定の時間302経過した時に、スピンドル23の回転数が所定の回転数402になるように、図7に示すように、第2の所定の回転数401になったことを検出した時間301からスピンドルモータ28に流れる電流値を所定の電流値501よりも徐々に大きくする。制御ユニット100は、所定の時間302経過し、スピンドル23の回転数が所定の回転数402に到達し、以降はスピンドル23の回転数及びスピンドルモータ28に流れる電流値を一定に維持して、被加工物200を切削する加工動作を実施する。
なお、スピンドル23の回転開始からスピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401になる時間301、及びスピンドル23の回転数が所定の回転数402となる時間302のスピンドルモータ28に流れる電流値502は、スピンドル23に固定されるフランジ機構29、切削ブレード21等の物品の質量により変化する。
また、制御ユニット100は、図1に示すように、正常状態記憶部101と、判定部102とを備える。正常状態記憶部101は、切削ユニット20の正常時に、スピンドル23が停止した状態から回転が開始されたスピンドル23の一定時間におけるスピンドル23の回転数の変化を記憶するものである。実施形態1では、切削ユニット20の正常時とは、スピンドル23に切削加工に不要なものが取り付けられていない状態をいい、スピンドル23に切削加工に必要なフランジ機構29と切削ブレード21が取り付けられて、着脱治具50が取り付けられていない状態をいう。また、実施形態1では、一定時間とは、スピンドル23の回転開始から第2の所定の回転数401になるまでの時間301である。
実施形態1では、正常状態記憶部101は、回転数の変化として、スピンドル23が停止した状態からスピンドルモータ28に所定の電流値501の電力を供給してスピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401になるまでの時間301を記憶している。
判定部102は、回転数検出手段112で検出されたスピンドル23の回転数の変化を、正常状態記憶部101で記憶された回転数の変化と比較して着脱治具50の取り外し忘れの有無を検出するものである。
なお、正常状態記憶部101の機能は、前述した記憶装置により実現される。判定部102の機能は、記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを演算処理装置が実行することで実現される。
実施形態1に係る切削方法は、前述した構成の切削装置1で被加工物200を切削する方法である。切削方法は、図8に示すように、ブレード取り付けステップST1と、検出ステップST2と、切削ステップST5等を備える。
(ブレード取り付けステップ)
図9は、図8に示された切削方法のブレード取り付けステップを示す切削ユニットの正面図である。ブレード取り付けステップST1は、スピンドル23の先端に着脱治具50を用いて切削ブレード21を固定するステップである。
ブレード取り付けステップST1では、スプラッシュカバーを開いて前述した開口を開放し、図9に示すように、ブレードカバー70の可動部材72を固定部材71から離れた位置に位置付けて、着脱治具50及びトルクレンチ60で切削ブレード21をスピンドル23の先端に固定する。ブレード取り付けステップST1では、ブレードカバー70の可動部材72を固定部材71に接触する位置に位置付け、スプラッシュカバーで前述した開口が塞がれる。
ブレード取り付けステップST1では、オペレータが入力ユニットから入力した加工内容情報を制御ユニット100が受け付け、切削加工前の被加工物200が粘着テープ206を介してチャックテーブル10の保持面11に載置され、オペレータから加工動作の開始指示を入力ユニットを介して受け付けると、検出ステップST2に進む。
(検出ステップ)
図10は、図8に示された切削方法の検出ステップで検出したスピンドルの回転数の変化の一例を示す図である。検出ステップST2は、ブレード取り付けステップST1を実施した後、切削ステップST5を実施する前に、停止した状態から回転が開始されたスピンドル23の一定時間における回転数の変化を検出するステップである。
検出ステップST2では、制御ユニット100が、スピンドルモータ28等を図6及び図7に示すように制御して、スピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401になるまでスピンドルモータ28に所定の電流値501の電力を供給する。検出ステップST2では、制御ユニット100が、時間301において、スピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401になると、所定の時間302までにスピンドル23の回転数が所定の回転数402になるように、スピンドルモータ28に流れる電流値を所定の電流値501よりも徐々に大きくする。
実施形態1において、検出ステップST2では、制御ユニット100は、回転数検出手段112の検出結果に基づいて、スピンドル23が停止した状態からスピンドルモータ28に所定の電流値501の電力を供給してスピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401なるまでの時間301-1(図10に示す)を検出する。こうして、実施形態1では、回転数検出手段112は、スピンドル23が停止した状態から回転が開始されたスピンドル23の一定時間における回転数の変化である時間301-1を検出する。なお、図10は、正常状態記憶部101に記憶した時間301に対応した回転数の変化を実線で示し、検出ステップST2で検出した時間301-1に対応した回転数の変化を一点鎖線で示している。
切削方法では、判定部102が、検出ステップST2で検出されたスピンドル23の回転数の変化である時間301-1に基づいて、着脱治具50の取り外し忘れの有無、即ち切削ユニット20が正常化かを判定する(ステップST3)。ステップST3では、判定部102は、正常状態記憶部101に記憶した時間301と、回転数検出手段112の検出結果に基づいて検出された時間301-1との時間差301-2を算出する。ステップST3では、判定部102は、時間差301-2が予め定められた閾値以上であると、着脱治具50の取り外し忘れが有る、即ち切削ユニット20が異常(ステップST3:No)と判定する。判定部102は、着脱治具50の取り外し忘れを検出して、切削ステップST5を行うことなく報知ユニット113を作動させてオペレータに報知(ステップST4)して切削方法を終了する。
また、ステップST3では、判定部102は、時間差301-2が予め定められた閾値未満であると、着脱治具50の取り外し忘れが無い、即ち切削ユニット20が正常(ステップST3:Yes)と判定する。判定部102は、制御ユニット100が真空吸引源等を制御して粘着テープ206を介して裏面204側をチャックテーブル10の保持面11に吸引保持し、クランプ部12を制御して環状フレーム205をクランプし、スピンドル23の回転数が所定の回転数402になると、切削ステップST5に進む。こうして、判定部102は、回転数検出手段112で検出されたスピンドル23の回転数の変化である時間301-1を、正常状態記憶部101で記憶された回転数の変化である時間301-1と比較して着脱治具50の取り外し忘れの有無を検出する。
また、ステップST3では、判定部102は、時間差301-2が予め定められた閾値未満であり、着脱治具50の取り外し忘れが無い、即ち切削ユニット20が正常(ステップST3:Yes)と判定すると、回転数検出手段112の検出結果に基づいて検出された時間301-1を最新の切削ユニット20の正常時の時間301として正常状態記憶部101に記憶して、次に、ステップST3を実施する際に使用する。こうして、実施形態1では、正常状態記憶部101に記憶する時間301を回転数検出手段112の検出結果に基づいて検出された時間301-1としたが、本発明では、切削装置1は、ブレード取り付けステップST1を実施する前、即ち、切削ブレード21の交換前に加工動作を開始された時の時間301を測定して正常状態記憶部101に記憶しても良く、切削装置の出荷前に予め着脱治具50が装着されていない状態で時間301を測定して正常状態記憶部101に記憶にしても良い。この場合、切削装置1は、正常状態記憶部101にスピンドル23の先端に固定するフランジ機構29の種類毎に時間301を測定して、フランジ機構29の種類に対応付けて記憶しても良い。
実施形態1では、スピンドル23の回転が開始してから第2の所定の回転数401に到達するまでの正常時の時間301と、検出された時間301-1との時間差301-2に基づいて着脱治具50の取り外し忘れを判定したが、第2の所定の回転数401よりも低速の回転数404(図11に示す)到達するまでの正常時の時間304と、検出された時間304-1との時間差304-2に基づいて判定してもよい。なお、図11は、実施形態1の変形例に係る切削方法の検出ステップで検出したスピンドルの回転数の変化の一例を示す図である。なお、図11は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
(切削ステップ)
図12は、図8に示された切削方法の切削ステップを一部断面で示す側面図である。切削ステップST5は、ブレード取り付けステップST1を実施した後、スピンドル23を所定の回転数402で回転させて切削ブレード21で被加工物200を切削するステップである。
切削ステップST5では、制御ユニット100が、X軸移動ユニット30を制御してチャックテーブル10を加工領域41に向かって移動して、撮像ユニット90で被加工物200を撮影し、撮像ユニット90が撮影して得た画像に基づいて、アライメントを遂行する。切削ステップST5では、制御ユニット100が各移動ユニット30,31,32を制御して、分割予定ライン202に沿って被加工物200と切削ユニット20とを相対的に移動させながら、図12に示すように、切削ブレード21を各分割予定ライン202に粘着テープ206に達するまで切り込ませて被加工物200を個々のデバイス203に分割する。制御ユニット100は、切削装置1が被加工物200を個々のデバイス203に分割すると、切削方法を終了する。
こうして、実施形態1に係る切削方法では、検出ステップST2は、ブレード取り付けステップST1後に、切削ステップST5を実施するために、停止したスピンドル23の回転数を開始し、スピンドル23の回転数が所定の回転数402になるまで実施される。
以上説明したように、実施形態1に係る切削方法は、スピンドル23の回転数がスピンドル23とともに回転する物品の質量によって変化するものであり、検出ステップST2において停止した状態から回転が開始されたスピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401になるまでの時間301-1を検出し、検出した時間301-1に基づいて着脱治具50の取り外し忘れを検出する。
実施形態1に係る切削方法は、着脱治具50がスピンドルに装着されたままの場合では、装着されていない正常時に比べて慣性モーメントが大きくなり、第2の所定の回転数401に到達するまでの時間301-1の正常時の時間301との時間差301-2が大きくなるため、着脱治具50の取り外し忘れを検出することができる。また、実施形態1に係る切削方法は、着脱治具50の取り外し忘れを検出すると、報知ユニット113を作動させて切削ステップST5を行うことなく終了する。
その結果、実施形態1に係る切削方法は、着脱治具50をスピンドル23に取り付けたまま回転させることを抑制でき、着脱治具50が他の部材に衝突することを抑制できる。よって、実施形態1に係る切削方法は、着脱治具50が他の部材に衝突することを抑制しながらもスピンドル23に着脱治具50が装着されていることを把握することができるという効果を奏する。
また、実施形態1に係る切削方法は、検出ステップST2が、切削ステップST5を実施するために、停止したスピンドル23の回転を開始し、スピンドル23の回転数が所定の回転数402にまで実施するので、スピンドル23の回転開始から切削ステップST5までの所要時間が長時間化することを抑制できる。
実施形態1に係る切削装置1は、制御ユニット100が切削ユニット20の正常時の停止した状態から第2の所定の回転数401になるまでの時間301を記憶する正常状態記憶部101を備え、スピンドル23が停止した状態から回転が開始されたスピンドル23の回転数を検出する回転数検出手段112を備え、制御ユニット100が回転数検出手段112の検出結果に基づいて検出された第2の所定の回転数401になるまでの時間301-1と、正常状態記憶部101に記憶された時間301とを比較して着脱治具50の取り外し忘れの有無を検出する判定部102を備えている。このために、切削装置1は、第2の所定の回転数401に到達するまでの時間301-1と正常時の時間301とを比較するため、着脱治具50の取り外し忘れを検出することができる。また、実施形態1に係る切削装置1は、着脱治具50の取り外し忘れを検出すると、報知ユニット113を作動させて切削ステップST5を行うことなく終了する。その結果、切削装置1は、着脱治具50が他の部材に衝突することを抑制しながらもスピンドル23に着脱治具50が装着されていることを把握することができるという効果を奏する。
また、実施形態1に係る切削装置1は、正常状態記憶部101が切削ユニット20の正常時の停止した状態から第2の所定の回転数401になるまでの時間301を記憶し、判定部102が回転数検出手段112の検出結果に基づいて検出された第2の所定の回転数401になるまでの時間301-1と、正常状態記憶部101に記憶された時間301とを比較して着脱治具50の取り外し忘れの有無を検出するので、スピンドル23の回転数が所定の回転数402に到達する前に、着脱治具50の外し忘れの有無を検出できる。その結果、切削装置1は、スピンドル23に誤って取り外し忘れされた着脱治具50がスピンドル23の回転により飛散することを抑制でき、着脱治具50が他の部材に衝突することを抑制することができるという効果を奏する。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る切削方法及び切削装置を図面に基づいて説明する。図13は、実施形態2に係る切削方法の検出ステップで検出したスピンドルモータの電流値の変化の一例を示す図である。図13は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、正常状態記憶部101と、検出ステップST2及びステップST3が実施形態と異なること以外、実施形態1と同じである。
実施形態2に係る切削装置1の正常状態記憶部101は、切削ユニット20の正常時に、スピンドル23が停止した状態から回転が開始されたスピンドル23の図13に示す一定時間303におけるスピンドルモータ28の電流値の変化を記憶するものである。なお、実施形態2では、一定時間303は、スピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401になった時間301,301-1からの時間である。
実施形態2では、正常状態記憶部101は、電流値の変化として、スピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401になった時間301以降、且つスピンドル23の回転数が所定の回転数402となる時間302までの間で所定の時間303経過する間の電流値を記憶している。即ち、実施形態2において、正常状態記憶部101は、スピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401になった時間301から所定の回転数402になるまでの一定時間におけるスピンドルモータ28の電流値の変化を記憶している。
実施形態2では、判定部102は、電流値検出手段111で検出されたスピンドルモータ28の電流値の変化を、正常状態記憶部101で記憶された電流値の変化と比較して着脱治具50の取り外し忘れの有無を検出するものである。
実施形態2に係る切削方法の検出ステップST2は、ブレード取り付けステップST1を実施した後、切削ステップST5を実施する前に、停止した状態から回転が開始されたスピンドル23の一定時間における電流値の変化を検出するステップである。実施形態2に係る切削方法の検出ステップST2では、制御ユニット100が、実施形態1と同様に、スピンドルモータ28等を図6及び図7に示すように制御して、停止したスピンドル23を所定の回転数402になるまで回転する。
実施形態2において、検出ステップST2では、制御ユニット100は、回転数検出手段112の検出結果に基づいて、第2の所定の回転数401となった時間301-1(図13に示す)を検出し、電流値検出手段111の検出結果に基づいて、時間301-1から所定の時間303経過した時の電流値503-1(図13に示す)を検出する。こうして、実施形態2では、電流値検出手段111は、第2の所定の回転数401となった時から所定の回転数402になるまでの間でスピンドル23の一定時間303におけるスピンドルモータ28の電流値の変化である電流値503-1を検出する。なお、図13は、正常状態記憶部101に記憶した電流値503に対応した電流値の変化を実線で示し、検出ステップST2で検出した電流値503-1に対応した電流値の変化を一点鎖線で示している。
実施形態2において、ステップST3では、判定部102が、検出ステップST2で検出されたスピンドルモータ28の電流値の変化である電流値503-1に基づいて、着脱治具50の取り外し忘れの有無、即ち切削ユニット20が正常化かを判定する。実施形態2において、ステップST3では、判定部102は、正常状態記憶部101に記憶した電流値503と、電流値検出手段111の検出結果に基づいて検出された電流値503-1との電流値差503-2を算出する。実施形態2において、ステップST3では、判定部102は、電流値差503-2が予め定められた閾値以上であると、着脱治具50の取り外し忘れが有る、即ち切削ユニット20が異常(ステップST3:No)と判定して、実施形態1と同様に、オペレータに報知(ステップST4)して切削方法を終了する。
また、実施形態2において、ステップST3では、判定部102は、電流値差502-2が予め定められた閾値未満であると、着脱治具50の取り外し忘れが無い、即ち切削ユニット20が正常(ステップST3:Yes)と判定して、実施形態1と同様に、切削ステップST5に進む。こうして、判定部102は、電流値検出手段111で検出されたスピンドルモータ28の電流値の変化である電流値503-1を、正常状態記憶部101で記憶された電流値の変化である電流値503と比較して着脱治具50の取り外し忘れの有無を検出する。
また、実施形態2において、ステップST3では、判定部102は、電流値差503-2が予め定められた閾値未満であり、着脱治具50の取り外し忘れが無い、即ち切削ユニット20が正常(ステップST3:Yes)と判定すると、電流値検出手段111の検出結果に基づいて検出された電流値502-1を最新の切削ユニット20の正常時の電流値503として正常状態記憶部101に記憶して、次に、ステップST3を実施する際に使用する。こうして、実施形態2では、正常状態記憶部101に記憶する電流値503を電流値検出手段111の検出結果に基づいて検出された電流値503-1としたが、本発明では、切削装置1は、ブレード取り付けステップST1を実施する前、即ち、切削ブレード21の交換前に加工動作を開始された時の電流値503を測定して正常状態記憶部101に記憶しても良く、切削装置の出荷前に予め着脱治具50が装着されていない状態で電流値503を測定して正常状態記憶部101に記憶にしても良い。この場合、切削装置1は、正常状態記憶部101にスピンドル23の先端に固定するフランジ機構29の種類毎に電流値503を測定して、フランジ機構29の種類に対応付けて記憶しても良い。
こうして、実施形態2に係る切削方法では、検出ステップST2は、ブレード取り付けステップST1後に、切削ステップST5を実施するために、停止したスピンドル23の回転数を開始し、スピンドル23の回転数が所定の回転数402になるまでに実施される。
実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、検出ステップST2においてスピンドル23の回転数が第2の所定の回転数401になった時間301-1から所定の時間303経過した時のスピンドルモータ28の電流値503-1を検出し、電流値503-1に基づいて着脱治具50の取り外し忘れを検出する。実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、着脱治具50がスピンドル23に装着されたままの場合では、装着されていない正常時に比べて慣性モーメントが大きくなり、一定時間303におけるスピンドルモータ28の電流値503-1の正常時の電流値503との電流値差503-2が大きくなるため、着脱治具50の取り外し忘れを検出することができる。また、実施形態2に係る切削方法は、着脱治具50の取り外し忘れを検出すると、報知ユニット113を作動させて切削ステップST5を行うことなく終了する。
その結果、実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、着脱治具50をスピンドル23に取り付けたまま回転させることを抑制でき、着脱治具50が他の部材に衝突することを抑制できる。よって、実施形態2に係る切削方法及び切削装置1は、着脱治具50が他の部材に衝突することを抑制しながらもスピンドル23に着脱治具50が装着されていることを把握することができるという効果を奏する。
〔変形例〕
本発明の実施形態1及び実施形態2の変形例に係る切削方法及び切削装置を図面に基づいて説明する。図14は、実施形態1及び実施形態2の変形例に係る切削装置の切削ユニットを分解して示す斜視図である。なお、図14は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
変形例に係る切削装置1の切削ユニット20-1は、切削ブレード21-1がいわゆるハブブレードであり、導電性の金属で構成されかつ中央にボス部242を通る装着孔211-1を有する円環状の基台213と、基台213の外周縁に設けられかつ被加工物200を切削する円環状の切り刃212-1を備えることと、フランジ機構29-1が押さえフランジ25を備えずに、ナット27と支持フランジ24とで切削ブレード21-1を挟持してスピンドル23の先端に固定すること以外、実施形態1及び実施形態2と同じである。
変形例に係る切削方法及び切削装置1は、検出ステップST2において停止した状態から回転が開始されたスピンドル23の回転数の変化又はスピンドルモータ28の電流値の変化を検出し、回転数の変化又は電流値の変化に基づいて着脱治具50の取り外し忘れを検出する。その結果、変形例に係る切削方法及び切削装置1は、実施形態1及び実施形態2と同様に、着脱治具50が他の部材に衝突することを抑制しながらもスピンドル23に着脱治具50が装着されていることを把握することができるという効果を奏する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、本発明は、加工開始時に所定の回転数402に到達するまでの間に、検出ステップST2を実施する他、次のタイミングで検出してもよい。
例えば、切削ブレード21,21-1の交換後にスプラッシュカバーを閉じた後、自動的にスピンドル23が10000rpm等と加工時の回転数よりも低速の回転数まで回転され、この10000rpmに達するまでに実施形態1や2の検出ステップST2を実施しても良い。加工時の回転数に達するまでに検出ステップST2を実施すれば、特に検出ステップST2のために時間を取られることがない。また、本発明では、あえて検出ステップST2として時間を割いてでも、より低速で一度回転させて検出ステップST2を実施しても良い。