JP7304017B2 - 獣皮の脱毛方法 - Google Patents

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Description

本発明は、獣皮の体毛を効果的に除去する脱毛方法に関する。
獣皮の製革工程は、準備工程、鞣し工程及び仕上げ工程の3工程に大別できる。準備工程では、一般に、原皮の水漬け、裏打ち、脱毛・石灰漬け、分割、垢出し、再石灰漬け、脱灰・酵解の各処理がなされる。脱毛石灰漬け(石灰脱毛)は、水酸化カルシウム(消石灰:Ca(ОH))を過飽和濃度に調製した石灰溶液に原皮を浸漬処理する作業で、通常、その作用を強め、処理時間を短縮するために、硫化ナトリウムや水硫化ナトリウムなどの脱毛促進剤を添加した石灰溶液が使用される。この処理によって、体毛、表皮の破壊、不必要タンパク質の除去、脂肪酸エステルのケン化がなされると共に、皮は膨潤し、線維構造がゆるめられてほぐされる。脱毛が十分にできず皮に体毛が残った場合、棘(とげ)のような状態になってしまい、製品にすることはできないことから、この工程は革作りにおいて最も重要な工程の一つである。
脱毛促進に用いられる硫化ナトリウム又は水硫化ナトリウム(別名:硫化水素ナトリウム)は、硫化物により体毛の構成材料であるケラチン(シスチン)中のS-S結合(ジスルフィド結合)を還元し、切断するというものである。
しかしながら、硫化ナトリウムや水硫化ナトリウムは、酸と反応して硫化水素ガスを発生する。硫化物による脱毛廃水は下水管に直接放流することはできないため、自前で処理をした後に下水へ放流する必要がある。したがって、廃水処理施設の設置やそのランニングコストなど、多大な処理費用が発生するため、皮革製造業社にとり負担となっている。
硫化ナトリウム等に代わる方法として、酵素による脱毛方法も検討されている(特許文献1)。酵素による脱毛方法は、ウシ皮やウマ皮などの比較的毛が細い獣毛の脱毛には効果的であるが、ブタやイノシシなど剛毛に対しては、十分な効果を発揮できない。また、酵素脱毛法は、体毛を溶解しないため廃水処理が比較的楽になる一方で、反応系に分離した体毛を回収する必要があり、そのためには、特別な回収装置が必要であった。
また、非特許文献1には、苛性ソーダを用いた脱毛について報告されているが、低濃度のNaOH溶液を大量に用いて原皮を処理するものであり、高濃度の苛性ソーダを用いるものではない。
特開2004-43660号公報
JALCA, VOL.96, 2001 P.222-233
本発明は、硫化ナトリウムや水硫化ナトリウム等の硫化物や酵素を使用することなく、獣皮の脱毛を効率よく行う方法を提供することに関する。
本発明者らは、斯かる実情に鑑み検討したところ、密閉容器内で、原皮を高濃度の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム溶液中で撹拌処理することにより、皮の品質を損なうことなくその体毛を効果的に除去できることを見出した。
すなわち、本願発明は、以下の1)~6)に係るものである。
1)回転可能な密閉装置内で、原皮と水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む処理液とを、浴比〔処理液の量/原皮の質量〕0.1~0.8L/kgで撹拌処理する工程を含む獣皮の脱毛方法であって、水酸化ナトリウムを原皮100質量部に対して6.5質量部以上、又は水酸化カリウムを原皮100質量部に対して9.1質量部以上用いる、方法。
2)浴比が0.15~0.5L/kgである、1)の方法。
3)原皮100質量部に対して水酸化ナトリウムを7.5~20質量部又は水酸化カリウムを10.5~28質量部用いる、1)の方法。
4)塩化ナトリウム又は/及び塩化カリウムを添加する工程を含む、1)~3)のいずれかの方法。
5)炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムを添加する工程を含む、1)~4)のいずれかの方法。
6)リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム及びリン酸水素二カリウムから選ばれる1種以上のリン酸塩を添加する工程を含む、1)~5)のいずれかの方法。
本発明の方法によれば、皮の品質を損なうことなく獣皮の体毛を効果的に除去できる。本発明の方法によれば、硫化物を使用しないことから、硫化水素ガス発生の問題がなく、また硫化物を排水するための廃水処理施設の設置が不要となり処理費用が削減できる。
水酸化ナトリウム処理後のブタ皮の状態。(A)15分後(実施例1)、(B)40分後(実施例1)、(C)15分後(実施例2)、(D)50分後(実施例3)、(E)60分後(実施例4)、(F)60分後(実施例5)。 水酸化カリウム処理後のブタ皮の状態(実施例14)。(A)原皮、(B)60分後、(C)120分後、(D)水洗後。 水酸化ナトリウム及び緩衝作用処理後のブタ皮の状態(実施例11)。(A)34分後(B)47分後、(C)60分後、(D)82分後、(E)95分後。 水酸化カリウム処理後のブタ皮の状態(実施例17)。(A)12分後、(B)23分後、(C)30分後、(D)45分後、(E)45分後。 水酸化ナトリウム処理後のシカ皮の状態(実施例18)。(A)原皮、(B)脱毛後。 水酸化カリウム処理後のシカ皮の状態(実施例20)。(A)原皮、(B)肉面にソーダ灰を塗布した状態、(C)60分後、(D)260分後、(E)390分後。 水酸化ナトリウム処理後のブタ皮の状態。(A)比較例1、(B)比較例2。
本発明において、「獣皮」とは、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカ、イノシシ、ラクダ等の体毛を有する4肢動物(獣)の皮を意味する。なお、「体毛」とは、これらの動物の表皮に生えている毛をいう。
「原皮」とは、獣皮に付いている肉や脂肪を取り除いた生の状態又は、塩漬け、乾燥等の防腐処理が施された皮を意味する。
本発明の方法に使用される「密閉装置」としては、回転(自転)によって容器内の内容物を撹拌可能な密閉装置が挙げられ、具体的には、皮を投入するための出し入れ口、液体の薬品を注入するための注入口、水や湯を入れるための水道管、浴を排水するための排水管又は/及び排水口を備え、駆動機で回転(自転)させることができるドラム型の密閉容器が挙げられる。
斯かるドラム型の密閉装置としては、革製造用のドラムである、皮革を浴と共に回転するために用いる太鼓形回転容器(回転数5~20rpm)を用いることができる。
本発明においては、密閉装置内で、原皮と水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む処理液とを接触させる。
「原皮」は、どの様な状態のものであってもよいが、生原皮を使用する場合は、予め原皮質量に対し、中性塩、例えば塩化ナトリウム、緩衝作用のある炭酸塩やリン酸塩、例えばソーダ灰(炭酸ナトリウム)、重曹(炭酸水素ナトリウム)、リン酸水素ナトリウム等の1種又は2種以上を革製造用のドラム内の原皮に加え、皮中に十分浸透した状態にしておくことが好ましい。
生原皮に塩化ナトリウムを用いる場合は、原皮質量に対し好ましくは5~30質量部、より好ましくは10~20質量部を添加し、撹拌により皮中に十分に浸透した状態にした後、表面に付着した過剰な塩化ナトリウムを水洗により除去する。水洗時間として好ましくは60分以内、更に好ましくは30分以内、より好ましくは10分以内であるが、特定の水洗条件に縛られるものではない。ただし、水洗を行わなくても最終的な脱毛率には影響しない。
炭酸塩として例えばソーダ灰を用いる場合、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部、さらに好ましくは1~2質量部を添加し、革製造用ドラム内で5分間~60分間撹拌し、皮中に浸透した状態にする。撹拌後、過剰なソーダ灰を水洗により除去する必要はない。
塩蔵原皮を用いる場合、水洗により過剰な塩分を除去する必要があるが、水洗時間として好ましくは60分以内、更に好ましくは30分以内、より好ましくは10分以内であるが、特定の水洗条件に縛られるものではない。ただし、水洗を行わなくても最終的な脱毛率には影響しない。
この際、炭酸塩等の緩衝作用のある化学薬品、例えばソーダ灰(NaCО)、重曹(NaHCО)、リン酸水素二ナトリウム(NaHPО)又はその水和物(NaHPО・12HО)の1種又は2種以上を添加することもできる。添加量としては、0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部、さらに好ましくは1~2質量部である。
原皮との接触に用いられる水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムは、発熱反応によって皮コラーゲンのゼラチン化を抑制する観点から、溶液状態のものを用いるのが好ましい。
水酸化ナトリウムは、水酸化ナトリウム溶液(48%(w/w)、比重1.50(15℃))、水酸化カリウムは、水酸化カリウム溶液(50%(w/w)、比重1.51(15℃)又は48%(w/w)、比重1.4907(15℃))が市販されており、本発明においては、これらをそのまま処理液とすること、或いはこれらを水で25~48%(w/w)未満に希釈して処理液とすることができる。
処理液としては、皮の吸水・膨潤を抑制する点から、好ましくは水で35%(w/w)~48%(w/w)未満に希釈した水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液であり、より好ましくは希釈をしない48%(w/w)濃度の水酸化ナトリウム溶液又は50%(w/w)若しくは48%(w/w)濃度の水酸化カリウム溶液である。
水が多くなると皮が過膨潤を起こし、反応系中の皮同士が強く擦られ、表面に傷が発生する。また、過度の膨潤は、皮繊維が損傷し、革に加工した際の強度が低下する要因となる。
本発明の方法において、水酸化ナトリウムは、原皮100質量部に対して6.5質量部以上になるように用いられる。6.5質量部未満であると、脱毛率が低下する。
水酸化カリウムを用いた場合、水酸化ナトリウムと比較して分子量が1.4倍であるため、添加量も1.4倍の9.1質量部以上になるように用いられる。
水酸化ナトリウムの使用量は、原皮100質量部に対して6.5質量部以上であればよいが、より好ましくは7質量部以上、より好ましくは7.5質量部以上である。また、上限は特に限定されないが、経済性、作業性を考慮すれば、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
水酸化カリウムの使用量は、原皮100質量部に対して9.1質量部以上であればよいが、より好ましくは9.8質量部以上、より好ましくは10.5質量部以上である。また、経済性、作業性を考慮すれば、好ましくは42質量部以下、より好ましくは28質量部以下、より好ましくは21質量部以下である。
水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの添加量は、反応温度、反応時間に合わせて適宜調整することができる。
本発明の方法において、処理液の量は、原皮の質量に対する処理液の量の比で表される浴比[処理液の量/原皮の質量]が、反応に必要な水酸基を確保する点から0.1L/kg以上、好ましくは0.15L/kg以上、より好ましくは0.2L/kg以上である。一方、温度上昇により反応が促進し、皮のコラーゲンが分解されることを防ぐ点から、好ましくは0.8L/kg以下、より好ましくは0.5L/kg以下、より好ましくは0.3L/kg以下である。
水道水又は工業用水による希釈により浴比を大きくすると、希釈水の水温が反応に大きな影響を与えることになることから、浴比は小さくした方が好ましい。
処理温度は、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下であり、基本的に室温(5~30℃)で行うことができる。冬期(室温5~15℃程度)のように室温が低い場合には、使用する試薬量を増やしたり、反応時間を長くしたり、体毛の溶解反応の進行状況に応じて適宜加温することができる。ただし、反応温度が高温になると皮が損傷しやすくなるため、反応温度を好ましくは25℃以下、更に好ましくは20℃以下に抑えることが好ましい。
処理時間は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの添加量や濃度、反応時の温度に応じて適宜設定できるが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム添加後、通常10分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上であり、皮の損傷を抑制する点から、120分以下、より好ましくは90分以下、より好ましくは60分以下ある。
獣皮の体毛を溶解するためのドラム(密閉型容器)の回転数は、極力少ないことが好ましい。過剰な撹拌により原皮の損傷を抑制する手段としては、水酸化ナトリウム溶液を添加し、原皮と好ましくは5分以内、更に好ましくは2分以内撹拌することで、水酸化ナトリウム溶液が原皮全体に行き渡る状態にした後、ドラムの回転を停止することによっても体毛の溶解を進行させることができる。停止時間は好ましくは2時間以内、より好ましくは1時間以内である。また、適宜ドラムを、好ましくは10回転以内、より好ましくは5回転以内、より好ましくは2回転以内回転し、皮と水酸化ナトリウム溶液が均一に行き渡るようにすることもできる。回転の頻度としては、好ましくは10分間以内に1度、より好ましくは5分間以内に1度、上記の回転数で行うことである。停止中の回転は必ずしも行う必要はないが、反応促進の観点からは定期的な回転、撹拌は行うことが好ましい。
処理液には、必要に応じて、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の中性塩の1種又は2種以上を添加することができる。特に、浴比が比較的大きい状態(0.5~0.8L/kg)で処理を行う場合で、反応系の温度が20℃以上になる場合には、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムを添加することにより皮の損傷や膨潤を効果的に抑制することができる。
この場合、添加する中性塩の量は、原皮100質量部に対して3~20質量部、好ましくは5~15質量部、より好ましくは8~12質量部である。
中性塩の添加は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムによる脱毛反応が十分に進行した後に行うことが好ましい。脱毛反応が十分に進行するのに必要な時間としては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを添加した後20分以上、好ましくは30分以上である。
また、上記の中性塩を添加する代わりに、或いはこれに加えて、緩衝作用のある薬品、例えば、ソーダ灰(炭酸ナトリウム、NaCО)、重曹(炭酸水素ナトリウム、NaHCО)、リン酸三ナトリウム(リン酸ナトリウム、NaPО)、リン酸水素二ナトリウム(リン酸二ナトリウム、NaHPО)、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸水素二カリウム(KHPО)等のリン酸塩の1種又は2種以上を添加することもできる。これにより、皮の損傷や膨潤を効果的に抑制することができる。この内、ソーダ灰を用いるのが水への溶解度が高い上に、リンを含まず汚濁負荷が少ない点から廃水処理が容易であり好ましい。
この場合、添加するソーダ灰の量は、0.5~10質量部、好ましくは1~5質量部、より好ましくは1~2質量部である。
本発明の脱毛処理には、従来の脱毛処理に用いられている消石灰(水酸化カルシウム)は特に必要ではないが、脱毛反応を十分に進行させる点、及び革作りにおいて柔軟性を付与する点から、原皮100質量部に対して1~5質量部程度の水酸化カルシウムを添加しても良い。水酸化カルシウムを添加する場合、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムによる脱毛反応が十分に進行し、中性塩を加えて10分以上、好ましくは30分以上経過した後であることが好ましい。
皮の損傷を抑制しつつ、体毛を溶解しきるためのより好ましい処理条件としては、例えば以下の1)~4)が挙げられる。
1)水酸化ナトリウムの使用量が、原皮100質量部に対して6.5~7.5質量部、又は水酸化カリウムの使用量が原皮100質量部に対して9.1~10.5質量部、浴比0.14~0.22L/kg、28℃、40分間処理。
2)水酸化ナトリウムの使用量が、原皮100質量部に対して8.0~10.0質量部、又は水酸化カリウムの使用量が原皮100質量部に対して11.2~12.6質量部、浴比0.17~0.29L/kg、25℃、45分間処理。
3)水酸化ナトリウムの使用量が、原皮100質量部に対して原皮に対する水酸化ナトリウム10.0~12.0質量部、又は水酸化カリウムの使用量が原皮100質量部に対して14.0~16.8質量部、浴比0.21~0.35L/kg、塩化ナトリウムを皮重100質量に対して10質量部添加、22℃、50分間処理。
4)水酸化ナトリウムの使用量が、原皮100質量部に対して14~16質量部、又は水酸化カリウムの使用量が原皮100質量部に対して19.6~22.4質量部、浴比0.30~0.43L/kg、塩化ナトリウムを原皮100質量部に対して10質量部添加、15℃、60分間処理。
処理終了後、排浴し、流水水洗した後、水酸化カルシウム(消石灰)を添加し(例えば、原皮100質量部に対し1.0~5.0質量部、浴比1.50~3.00L/kg)、一昼夜反応させる。また、必要に応じて界面活性剤を添加し(例えば、原皮100質量部に対し0.2~2.0質量部)、その後排浴し、流水水洗が行われる。
斯くして脱毛処理された皮は、脱灰、酵解(ベーチング)、浸酸の処理を経て、鞣し工程に付され、革となる。
本発明の方法により脱毛処理された皮(以下単に「脱毛皮」という。)は、革作り以外にもゼラチンやコラーゲンケーシング等の食品、化粧品、医薬品としても利用することができる。従来、脱毛に利用されてきた薬品は、上述の通り硫黄化合物の一種である硫化ナトリウムや水硫化ナトリウム(以下単に「硫化ナトリウム等」という。)といった硫化物であるが、硫化ナトリウム等は、日本国内では食品添加物として認められていないことから、食品の製造工程に使用することは問題がある。これに対して、水酸化ナトリウムや食塩等は、品質により食品添加物として認められている。すなわち、本発明の脱毛処理方法を製造工程に用い、最終製品であるゼラチンやコラーゲンケーシング等を作製することが可能である。
また、硫化ナトリウム等による廃水は、硫化水素を発生させ、管路維持の妨げや管路を腐食させることから、下水道へ流す際は規制値が設けられている。下水管の腐食・劣化が進行した場合、維持管理費が増大するだけではなく、管体が欠損した場合は、道路の陥没や地下水汚染の危険性も増大する。
硫化物等を用いて脱毛した廃水は、汚濁を測る指標である沃素消費量が1~3万mg/L(規制値は220mg/L未満)である。それに対し、水酸化ナトリウム又は/及び水酸化カリウムを用いて脱毛を行った場合、廃水の沃素消費量は200~300mg/Lであり、廃液処理にかかる費用が大幅に削減できる。
さらに、本発明の方法によれば、原皮に含まれる脂肪分が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムによってけん化されて高級脂肪酸塩ができることから、廃水から固形石鹸や液体石鹸の製造が可能となる。また、処理液中に水酸化カルシウムを用いた場合、金属石鹸となり、潤滑剤としての利用が考えられる。
また、水酸化カリウム、塩化カリウム等のカリウム系の薬品を用いて脱毛を行った場合、肥料として利用できる。
実施例1 ブタ皮の脱毛処理
原皮として、国産ブタ皮を用いた。
まず、太鼓形回転容器に、原皮25kg(100質量部)、48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液3.385kg(水酸化ナトリウム:1.625kg(6.5質量部))(48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液2.257L)、水を加えて全液量を4.5kgとし(浴比0.18L/kg)、30℃で40分撹拌した。
脱毛状態を確認した後、塩化ナトリウム2500g(10質量部)を投入し、さらに30℃で60分撹拌した。皮内部に隠れていた体毛について完全に溶解しているか、又は非常に脆くなっていることからこの後の処理で除去可能な状態であることを確認した。その後排浴し、水中で撹拌しながら十分に洗浄した。
脱毛皮に、水酸化カルシウム750g(3.0質量部)及び界面活性剤100g(0.4質量部)を加え、浴比2.50(L/kg)で一夜間欠運転により撹拌した。間欠運転の条件は、10分間撹拌した後60分間休止とした。その後排浴し、水中で撹拌しながら十分に水洗し、脱毛処理を完結した。
実施例2~6 ブタ皮の脱毛処理
原皮質量、水酸化ナトリウムの使用量、浴比、処理温度、処理時間を変更し、実施例1と同様にして、ブタ皮の脱毛処理を行った(表1)。
なお、水酸化カルシウムは、脱毛状態が芳しくない場合には、塩化ナトリウム又は/及び塩化カリウムを加えて30~60分間撹拌した後、又は塩化ナトリウム又は/及び塩化カリウムと同時に加えることができる。加える量は原皮100質量部に対して1~3質量部が適当であった。
また、太鼓形回転容器による撹拌は極力穏やかに行うことが適当で、好ましくは10rpm以下、より好ましくは6rpm以下であった。ただし、薬品投入当初、1分間程度撹拌した後、それ以降約5分間毎に4~5回転程度の撹拌を行うのみでも、適切な薬品量であれば脱毛は完了した。
Figure 0007304017000001
実施例1~6に示したいずれの条件においても、水酸化ナトリウム溶液を投入し40~60分撹拌後、概ね表面の体毛を溶解し、脱毛することができた。
実施例1の場合について、水酸化ナトリウム添加後15分後の様子を図1(A)に示す。この時点では、表面の体毛はほぼ残っていた。ただし、原皮の状態と比較して、若干縮れていた。さらに開始40分後には図1(B)に示したように、ほぼ溶解していた。
その他実施例2~6についても、図1(C)~(F)にそれぞれ示した通り、ほぼ溶解していたか、物理的な作用で容易に分解する状態になっていた。
実施例7~11 水酸化ナトリウム及び緩衝作用を有する薬品を併用したブタ皮の脱毛処理
水酸化ナトリウムによる処理を行う前に、ブタ皮に重曹又はソーダ灰等の緩衝作用を有する薬品を予め添加する処理を行った。原皮質量、水酸化ナトリウム及び重曹又はソーダ灰の使用量、浴比、処理温度、処理時間は表2に示した。なお、ここで、ブタ原皮1枚当たりの質量は5kgとして計算した。
太鼓形回転容器にブタ皮を投入し、水洗を行った。排浴後、重曹又はソーダ灰を投入し、10分間程度回転して十分になじませた。その後、48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液を投入し、状態を確認しながら撹拌した。撹拌は6rpm以下で行ったが、48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液を投入した後1分間程度撹拌してから回転を停止し、それ以降約5分間毎に4~5回転程度の撹拌により行った。ただし、ドラムを回転しない場合よりも脱毛に要する時間は長くなった。

Figure 0007304017000002
実施例7~11に示したいずれの条件も、水酸化ナトリウムによる反応を緩和させることを目的として重曹又はソーダ灰を使用したものである。ここで、重曹又はソーダ灰の添加は、水酸化ナトリウムの投入前後のいずれにおいても可能であった。
脱毛が完了するまでの撹拌時間は、投入した水酸化ナトリウム量と緩衝作用を有する薬品量及び回転型密閉容器内の温度により異なっていたが、水酸化ナトリウム溶液を投入し、95~240分撹拌することで、概ね表面の体毛を溶解し、脱毛することができた。
また、緩衝作用を有する薬品を用いた場合、この薬品濃度を増加させることにより原皮を損傷させることなく脱毛時間を長くすることが可能であった。これは、硫化ナトリウム等による脱毛法では概ね24時間かけて脱毛を行っていたところ、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムによる脱毛法では概ね1時間以内で完了するため、作業工程上の余裕を持たせることに意義がある。
実施例11の場合について、脱毛状態の変化を図3に示す。
図3の(A)は、水酸化ナトリウム溶液を加えて34分後の状態である。(B)は水酸化ナトリウム溶液を加えて47分間撹拌した皮である。(C)は水酸化ナトリウム溶液を加えて60分間撹拌した皮である。(D)は、(C)の状態確認後0.5質量部のソーダ灰を加え、22分間撹拌した皮を水洗いした表面である。(E)は、(D)の状態確認後更に1.0質量部のソーダ灰を加え、13分間撹拌した皮を水洗いした表面である。
実施例12~14 水酸化カリウム溶液を使用したブタ皮の脱毛処理
表3に示す原皮質量、水酸化カリウムの使用量、浴比、処理温度、処理時間で、実施例1と同様にして、ブタ皮の脱毛処理を行った。なお、実施例12及び13において、ブタ原皮1枚当たりの質量は5kgとして計算した。
水酸化カルシウムは、脱毛状態が芳しくない場合には、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを加えて30~60分間撹拌した後、又は塩化ナトリウム又は塩化カリウムと同時に加えた。加える量は原皮100質量部に対して1~3質量部が適当であった。
Figure 0007304017000003
実施例12~14に示したいずれの条件においても、水洗後の原皮に水酸化カリウム溶液を投入し40~60分撹拌後、概ね表面の体毛を溶解し、脱毛することができた。
実施例14の場合について、脱毛状態の変化を図2に示す。
図2の(A)は、体毛が付いた状態の原皮である。(B)は水酸化カリウム溶液を加えて60分間撹拌した皮である。(C)は塩化カリウムを原皮100質量部に対して10質量部加え、60分間撹拌した脱毛皮である。(D)は(C)の脱毛皮を水洗したものである。
実施例15~17 水酸化カリウム溶液及び緩衝作用を有する薬品を使用したブタ皮の脱毛処理
水酸化カリウムによる処理を行う前に、ブタ皮に重曹又はソーダ灰等の緩衝作用を有する薬品を予め添加する処理を行った。原皮質量、水酸化カリウム及び重曹又はソーダ灰の使用量、浴比、処理温度、処理時間は表4に示した。なお、ここで、ブタ原皮1枚当たりの質量は5kgとして計算した。
太鼓形回転容器にブタ皮を投入し、水洗を行った。排浴後、重曹又はソーダ灰を投入し、10分間程度回転して十分になじませた。その後、50%(w/w)水酸化カリウム溶液を投入し、状態を確認しながら撹拌した。撹拌は6rpm以下で行ったが、50%(w/w)水酸化カリウム溶液を投入した後1分間程度撹拌してから回転を停止し、それ以降約5分間毎に4~5回転程度の撹拌を行うだけでも脱毛は完了した。ただし、連続して回転させる場合よりも脱毛に要する時間は長くなった。

Figure 0007304017000004
実施例15~17に示したいずれの条件においても、水酸化カリウム溶液を投入し120~150分間撹拌後、概ね表面の体毛を溶解し、脱毛することができた。
実施例17の場合について、脱毛状態の変化を図4に示す。ここでは回転型密閉容器内で原皮とリン酸水素二カリウムを撹拌した後、水酸化カリウム溶液を添加した。
図4の(A)は、水酸化カリウム溶液を加えて12分後の状態である。(B)は水酸化カリウム溶液を加えて23分間撹拌した皮である。(C)は水酸化カリウム溶液を加えて30分間撹拌した皮である。(D)は、(C)の後、塩化カリウムを原皮100質量部に対して6質量部加え、15分間撹拌した脱毛皮である。この状態では、表面には若干の体毛が残っていた。(E)は(D)の皮表面を手で擦ったもので、体毛は物理的な作用で容易に分解する状態になっていた。
実施例18~20 シカ皮の脱毛処理
水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム溶液及び緩衝作用を有する薬品を使用したシカ皮の脱毛処理
水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムによる処理を行う前に、シカ皮に重曹又はソーダ灰等の緩衝作用を有する薬品を予め添加する処理を行った。原皮質量、水酸化カリウム及び重曹又はソーダ灰の使用量、浴比、処理温度、処理時間は表5に示した。
太鼓形回転容器にシカ皮を投入し、水洗を行った。排浴後、重曹又はソーダ灰を投入し、10分間程度回転して十分になじませた。その後、48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液又は50%(w/w)水酸化カリウム溶液を投入し、状態を確認しながら撹拌した。撹拌は6rpm以下で行ったが、48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液又は50%(w/w)水酸化カリウム溶液を投入した後1分間程度撹拌してから回転を停止し、それ以降約5分間毎に4~5回転程度の撹拌を行うだけでも脱毛は完了した。ただし、連続して回転させる場合よりも脱毛に要する時間は長くなった。
Figure 0007304017000005
実施例18~20に示したいずれの条件においても、水酸化ナトリウム溶液を投入し、60~240分間撹拌後、概ね表面の体毛を溶解し、脱毛することができた。
ここで、実施例18においては緩衝作用を有する薬品を使用しない場合の、実施例19及び20においては緩衝作用を有する薬品を使用した場合の脱毛条件を示した。
実施例18の場合について、脱毛状態の変化を図5に示す。
図5(A)にシカ原皮の写真を示した。また、図5(B)に脱毛皮を水洗した写真を示した。
また、実施例20の場合について、脱毛状態の変化を図6に示す。
図6の(A)は、体毛の付いた原皮の表面側である。(B)は、原皮の肉面側にソーダ灰を塗布した状態である。(C)は、水酸化カリウム溶液を加え60分間撹拌した皮の表面である。(D)は、(C)の状態から更に200分間、即ち(B)の状態から260分間撹拌した皮の表面である。(E)は、(D)の段階に塩化カリウム1480g(10質量部)を投入した後、130分間撹拌した表面の状態である。
実施例21 脱毛処理後の皮の特性評価(1)
(1)試験革の製造
a)水酸化ナトリウムによる脱毛処理
実施例1と同様にして、ブタ原皮を脱毛処理した。
b)硫化ナトリウム等による脱毛処理
まず、太鼓型回転容器に、原皮50kg(100質量部)を投入し、10分間流水水洗を行った。排浴後、水戻しのため、水100リットル(200質量部)及び界面活性剤150g(0.3質量部)を加え、30分間撹拌した。排浴し、水100リットル(200質量部)及び水硫化ナトリウム500g(1質量部)を加え、10分間撹拌した。さらに、硫化ナトリウム1.1kg(2.2質量部)加え、10分間撹拌した後、水酸化カルシウム500g(1質量部)を加え60分間撹拌した。その後、水酸化カルシウム1kg(2質量部)及び界面活性剤150g(0.3質量部)を加え180分間撹拌した後、一夜間間欠運転により撹拌した。間欠運転の条件は、10分間撹拌した後60分間休止とした。その後排浴し、水中で撹拌しながら十分に洗浄した。
さらに、水100リットル(200質量部)及び界面活性剤150g(0.3質量部)を加え、60分間撹拌することで水洗した。その後、水125リットル(250質量部)、水酸化カルシウム1kg(2質量部)及び界面活性剤150g(0.3質量部)を加え30分間撹拌した後、一夜間間欠運転により撹拌した。間欠運転の条件は、10分間撹拌した後60分間休止とした。その後排浴し、水中で撹拌しながら十分に洗浄し、脱毛処理を完結した。
c)a)及びb)により脱毛処理された皮を、下記表6に示すように、脱灰、ピックリングを行った後、クロム鞣剤を用いて鞣しを行った。なお、クロム鞣剤にはクロモザールBを、防黴剤にはファインサイト♯600をそれぞれ用いた。
Figure 0007304017000006
d)(1)で作製された鞣し革(以下単に「ウエットブルー」という。)を、1mmに革の厚さを調整した(この作業をシェービングという。)。このウェットブルーは、表7に示す工程及び処方に基づき染色及び加脂を行った。この際、染料には、セラファストベージュEを、加脂剤にはオリカゾールEX2をそれぞれ用いた。
この処方に基づき作製した革は、ネット張り(穴のあいた金属板上に、革を四方から引っ張りながらレザートグルという金具で固定し、整形する作業のこと。)を行い、乾燥した。
Figure 0007304017000007
(2)革の引張強さ、伸び、引裂強さの評価
a)評価方法
試験を行うに際し、予め気温20℃、湿度65%の条件下で48時間以上調湿した試料を試験に供した。
JIS K6550に基づき、引張強さ、伸び、引裂強さを測定した。水酸化ナトリウム脱毛皮と硫化ナトリウム脱毛皮それぞれにつき6枚用意した。各革試料についてJIS
K6550により規定されている部位から、各試験につき6点の試験試料を切り抜いた。すなわち、試験試料は6枚×6点/枚=36点とした。
b)評価結果
試験の結果を表8に示す。
引張強さは、水酸化ナトリウム脱毛皮が若干劣っていたものの(t値=0.07274>0.05で有意差無し)、両者に有意差はなかった。
一方、伸びについては、水酸化ナトリウム脱毛皮の方が数値は大きく(t値=2.4332×10-17<0.05で有意差有り)、伸びやすい柔軟な革であることが明らかであった。
さらに引裂強さについては、水酸化トリウム脱毛皮による方が数値は大きく(t値=2.1342×1008<0.05で有意差有り)、性能は優れているといえた。
Figure 0007304017000008
実施例22 脱毛処理後の皮の特性評価(2)
a)評価方法
裸皮から作製したゼラチンの品質を評価するため、ゼリー強度の測定をJIS K6503に基づき行った。なお、ゼラチンのゼリー強度は5段階で評価されており、250グラム以上が1種、200グラム以上が2種、150グラム以上が3種、100グラム以上が4種、50グラム以上が5種と規定されている。
実施例4と同様にしてブタ原皮を脱毛処理した後、表7に示した処方によりピックル皮を作製した。作製したピックル皮を70℃の湯浴中で加温・溶解し、凍結乾燥によりゼラチンを得た。このゼラチン7.5グラムを専用のゼリーカップに取り、蒸留水105ミリリットルを加え、ゴム栓をし、常温(室温約20℃)で約1時間膨潤させた。次に、65℃の湯浴中で軽くかき混ぜながら約20分間で溶解した。溶解を終えた試料は、室温に放置して放冷した後、10℃で冷却した。17~18時間冷却した後、テクスチャーアナライザーにより侵入距離4ミリメートル、侵入速度1ミリメートル/秒の条件で応力を測定した。
比較として、硫化ナトリウム等で脱毛したピックル皮から作製したゼリーについても強度測定を行った。硫化ナトリウム等による脱毛処方は、実施例21(b)に従い、ピックル皮の作製は表7に従った。
試料点数は、水酸化ナトリウム脱毛皮から作製したゼリーは6点、硫化ナトリウム等脱毛皮から作製したゼリーは2点である。
b)評価結果
試験結果の平均値を表9に示す。
Figure 0007304017000009
すなわち、ゼリー強度は、水酸化ナトリウム脱毛皮が3種、硫化ナトリウム等脱毛皮が5種未満と評価され、水酸化ナトリウムによるものの方が優れた強度を示した。
比較例1
原皮として、国産ブタ皮を用いた。まず、太鼓型回転容器に、原皮13.5kg(100質量部)、48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液1.406kg(水酸化ナトリウム:0.675kg(5.0質量部))(48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液0.938L)、水を加えて全液量を3.38kgとし(浴比0.25L/kg)、30℃で180分撹拌した。
この処理による脱毛皮を図7(A)に示す。ここに示した通り、体毛が溶け残っていた。
比較例2
原皮として、国産ブタ皮を用いた。まず、太鼓型回転容器に、原皮14.1kg(100質量部)、48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液1.175kg(水酸化ナトリウム:0.564kg(4.0質量部))(48%(w/w)水酸化ナトリウム溶液0.783L)、水を加えて全液量を1.235kgとし(浴比0.06L/kg)、32℃で240分撹拌した。
この処理による脱毛皮を図7(B)に示す。ここに示した通り、体毛が溶け残っていた。

Claims (6)

  1. 回転可能な密閉装置内で、原皮と水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む処理液とを、浴比〔処理液の量/処理液と接触させる際の原皮の質量〕0.1~0.8L/kgで撹拌処理する工程を含む獣皮の脱毛方法であって、水酸化ナトリウムを処理液と接触させる際の原皮100質量部に対して6.5質量部以上、又は水酸化カリウムを処理液と接触させる際の原皮100質量部に対して9.1質量部以上用い、処理液中の水酸化ナトリウム濃度35~48%(w/w)又は水酸化カリウム濃度35~48%(w/w)若しくは50%(w/w)で処理する、方法。
  2. 浴比が0.15~0.5L/kgである、請求項1記載の方法。
  3. 原皮100質量部に対して水酸化ナトリウムを7.5~20質量部又は水酸化カリウムを10.5~28質量部用いる、請求項1記載の方法。
  4. 塩化ナトリウム又は/及び塩化カリウムを添加する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
  5. 炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムを添加する工程を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
  6. リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム及びリン酸水素二カリウムから選ばれる1種以上のリン酸塩を添加する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
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