JP7302137B2 - ハンガーボックス及びハンガーボックスに用いられるハンガーバー - Google Patents

ハンガーボックス及びハンガーボックスに用いられるハンガーバー Download PDF

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Description

本発明は、衣服を服用ハンガーに掛けたままの状態で梱包して運搬することができるハンガーボックス、及びこのハンガーボックスに用いられるハンガーバーに関するものである。
従来、eコマースなどで購入又はオークションで落札等した衣服を輸送する場合、あるいは仕立てや直しが終了した衣服を運搬する際に、ダンボールなどで形成されたハンガーボックス(衣服配送箱)が用いられる場合がある。このようなハンガーボックスには、衣服を服用ハンガーにかけたまま吊るすことができるようにハンガーバーが設けられており、しわにならないように衣服を吊るした状態で梱包・運搬可能となっている。
例えば、特許文献1には、四枚の側板と閉塞された底板よりなり、一方の対向する2側板に中央部に切り目が設けられた内フラップを設け、他方の対向する2側板の一方には外フラップが設けられ、他方の外フラップが設けられた側板の少なくとも一部とを上記一方の対向する2側板のいずれか或いは底板に連設し、更に別体で中央の折目に対称な多数のハンガー等の吊下げ用の孔を設けた垂下片と、その夫々の垂下片の左右に止片を設けた補強フラップを前記外フラップの突合わせ部位と内フラップの中央部の切り目とに差込んだことを特徴とする衣類の収納・運搬箱が開示されている。
実用新案登録第3019373号公報
ところで、特許文献1の衣類の収納・運搬箱は、引っ越しの際に複数着の衣服を吊るした状態で服用ハンガーにかけたまま搬送可能なものとなっている。
ただ、衣服は種類によってその重さが大きく異なる。例えば、軽量なTシャツなどの衣服であれば、数着掛けても重量はそれほど大きくはなく、特許文献1の収納・運搬箱であっても十分に運搬することは可能である。しかし、Tシャツの数倍の重量を有する紳士用のスーツやコートなどの衣服の場合、服用ハンガーに掛けたまま特許文献1の補強フラップ52に数着も掛けると、補強フラップ52(ハンガーバー)に大きな荷重が加わり、補強フラップ52が破損したり差込み孔31~34から差込み片50、51が抜け落ちたりする可能性がある。
つまり、特許文献1の衣類の収納・運搬箱は、差込み孔31~34に差込み片50、51を差し込んで補強フラップ52をテープなどで固定する構造となっており、テープで留められる補強フラップ52は支持強度が大きいとはいい難い。当然、このような収納・運搬箱で重量がある衣服を数着支持することは困難である。
また、重量がある衣服を吊るすと、ハンガーバーが取り付けられたハンガーボックスにも大きな力が加わり、側壁や側板が内側や外側に変形して箱自体が歪んで破損してしまう可能性も大きくなる。そのため、ハンガーボックス自体の変形や歪みを防止するために何らかの手段を講じているのが好ましい。この点で特許文献1の衣類の収納・運搬箱は、箱自体の破損や変形を防止できるものとはなっていない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ダンボールだけで構成されたものでありながら、重量のある衣服の荷重を確実に支えることができ、ボックス自体の変形や破損も防止することができるハンガーボックス及びハンガーボックスに用いられるハンガーバーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のハンガーボックス及びハンガーボックスに用いられるハンガーバーは以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のハンガーボックスは、服用ハンガーを吊下状態で支持可能なビーム形状とされたハンガーバーを、互いに対面し合う側壁間に架け渡し状に備えるハンガーボックスであって、前記ハンガーバーは、当該ハンガーバーの長手方向と直交する方向に、ダンボール紙を折り重ねることで、前記架け渡し方向に長尺とされており、前記側壁には、前記ハンガーバーを内外に貫通させるべく上下に伸び且つ上方に向かって開口するスリットが形成されており、前記ハンガーバーは、前記スリットの上方を向く開口から差し入れた上で長手方向の両端を前記側壁の外側に突出させると共に、突出した端部を前記側壁に向かって折り返して、折り返された端部を前記側壁の外面に沿わせるようにして取り付けられていることを特徴とする。
好ましくは、前記ハンガーバーは、長手方向に伸びる折返線を境に前記ダンボール紙を折り返すことで、前記ダンボール紙が左右に重なり合った構造とされており、前記側壁の外側に突出した端部を、長手方向と交差する方向に伸びる折返線を境に長手方向に折り返して前記側壁の外面に取り付けられているとよい。
好ましくは、前記ハンガーバーは、左右方向の厚みに比べて、上下方向の寸法が広幅となるような断面形状を有しているとよい。
好ましくは、前記ハンガーバーの長手方向の両端には、前記ハンガーバーの折り返し端を側壁の外面に係止するための係止片が設けられており、前記側壁には、前記係止片を差し込み可能な差し込みスリットが形成されているとよい。
また、本発明のハンガーボックスに用いられるハンガーバーは、上述したハンガーボックスに用いられるハンガーバーであって、前記服用ハンガーを吊下するハンガー掛け部が、前記ハンガーバーの長手方向に距離をあけて少なくとも2ヶ所以上形成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記ハンガー掛け部には、前記服用ハンガーが単数の場合に用いられる第1掛け部と、前記服用ハンガーが複数の場合に用いられる第2掛け部と、があり、前記第1掛け部と第2掛け部とは、互いに前記ハンガーバーの上縁における異なる位置に形成されているとよい。
本発明のハンガーボックス及びハンガーボックスに用いられるハンガーバーによれば、ダンボールだけで構成されたものでありながら、重量のある衣服の荷重を確実に支えることができ、ボックス自体の変形や破損も防止することができる。
第1実施形態のハンガーボックスにおいて上側のフラップをすべて透過してボックス本体を見た場合の透過斜視図である。 第1実施形態のハンガーボックスの使用態様を示した図である。 折り返し前の平坦に展開された状態の第1実施形態のハンガーバー(3つ折タイプ)を示した図である。 組み立て途中の状態(第3側片のみを折り返した状態)の第1実施形態のハンガーバー(3つ折タイプ)を示した図である。 組み立て後の状態(第1側片と第2側片とを折り返して重ねた状態)の第1実施形態のハンガーバー(3つ折タイプ)を示した図である。 第1実施形態のハンガーボックスを組み立てるに際して、ハンガーボックスに図5のハンガーバーを差し込む手順を示した図である。 第1実施形態のハンガーボックスを組み立てるに際して、ハンガーボックスにハンガーバーを差し込んでいる途中の手順を示した図である。 第1実施形態のハンガーボックスを組み立てる際に、上側前部フラップを後方に折り返して、差し込まれたハンガーバーを上から押さえる手順を示した図である。 第1実施形態のハンガーボックスを組み立てる際に、側壁の外側に突出したハンガーバーの折り返し端を外面に沿うように折り返す手順を示した図である。 第1実施形態のハンガーボックスを組み立てる際に、折り返し端の係止片を側壁の差し込みスリットに差し入れる手順を示した図である。 第1実施形態のハンガーボックスを組み立てる際に、差し込みスリットに差し入れられた係止片を抜け止め片で抜け止め固定する手順を示した図である。 第1実施形態のハンガーボックスを組み立てるに際して、折り返された上側前部フラップの上から、上側後部フラップでさらに固定する手順を示した図である。 折り返し前の平坦に展開された状態の第2実施形態のハンガーバー(2つ折タイプ)を示した図である。 組み立て後の状態の第2実施形態のハンガーバー(2つ折タイプ)を示した図である。
[第1実施形態]
以下、本発明のハンガーボックス1及びハンガーボックス1に用いられるハンガーバー2の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1に示すように、第1実施形態のハンガーボックス1は、服用ハンガー3を吊下状態で支持可能なビーム形状とされたハンガーバー2を、互いに対面し合うボックス本体4の側壁間に架け渡し状に備えるものとなっている。具体的には、このハンガーボックス1は、上下方向、左右方向、及び前後方向に距離を開けて平行に対面し合う2枚1組の長方形のダンボール板を、全部で3組組み合わせて形成されていて、左右方向や前後方向に比して上下方向に背が高い直方体形状となっている。ボックス本体4の内部には、服用ハンガー3を吊下した状態で掛け止め可能なハンガーバー2が、前側壁4Fと後側壁4Bとに前後に架け渡された状態で設けられている。
次に、第1実施形態のハンガーボックス1を構成するボックス本体4及びハンガーバー2について説明する。
以降では、ハンガーボックス1を水平に切断した場合の断面における短辺方向を、ハンガーバー2及びハンガーボックス1を説明する場合の前後方向という。また、ハンガーボックス1を水平に切断した場合の断面における長辺方向を、ハンガーバー2及びハンガーボックス1を説明する場合の左右方向という。さらに、前後方向及び左右方向の双方に直交する方向を、ハンガーバー2及びハンガーボックス1を説明する場合の上下方向という。なお、これらの方向については、適宜図中に矢印を用いて示している。
図2は、第1実施形態のハンガーボックス1の使用態様を模式的に示したものである。
図2に示すように、第1実施形態のハンガーボックス1は、上下セットのスーツなどのように重量がある衣服Sを少ない場合は1着、多くても2着、箱内に吊下して運搬できるように形成されたものである。また、第1実施形態のハンガーボックス1は、前後方向の厚みに比べて左右方向の幅の方が長く、さらに左右方向や前後方向に比べて上下方向に背が高い構成とされている。
具体的には、図2に示す如く、第1実施形態のハンガーボックス1は、上方から見た場合に左右方向に長い長方形の断面を有している。そして長方形の短辺に相当する右側の側壁に、服用ハンガー3に掛けられた衣服Sをボックス内に入れたりボックス外に出したりする衣服出入口5が形成されている。この衣服出入口5は、衣服Sの出し入れに合わせて扉のように開閉自在とされている。つまり、ハンガーボックス1は、服用ハンガー3に掛けた衣服Sを縦にした状態で、衣服出入口5から箱内に出し入れできるようになっている。
ボックス本体4は、シングルのダンボール紙を用いて箱状に形成されている。このボックス本体4は上方に向かって開口しており、上方の開口を閉鎖できるように、前側、後側、左側及び右側に折り返し自在なフラップ6が設けられている。これら4枚のフラップ6のうち、前側のフラップ6F及び後側のフラップ6Bにおける幅方向中央側には、逆U字状の切り込みが形成されており、切り込まれた部分を折り返してボックス本体4の前側壁4F及び後側壁4Bに沿って重ね合わせ可能とされている。つまり、ボックス本体4の前側壁4F及び後側壁4Bは、上側の幅方向中央側だけがダンボール紙が二重に重なった状態となっている。このダンボールが二重となった部分には、二重に重なったダンボールを内外に貫通するようにスリット7が形成されている。このスリット7は、上下に伸びるように形成されており、上方に向かって開口していて、上述したハンガーバー2の前端側及び後端側の折り返し端8を差し込んで取り付け可能となっている。つまり、上述したハンガーバー2は、前後方向の両端(前端側及び後端側)をスリット7に差し込むことでボックス本体4に固定可能となっている。
なお、スリット7の上下方向に沿った切り込み深さは、ハンガーバー2の上下方向の寸法にもよるが、少なくとも50mm以上とされており、上下方向に高さがあるハンガーバー2でも差し込んで固定できる寸法に形成されている。
ハンガーバー2は、ボックス本体4を構成するものと同じダンボール紙を用いて形成されており、このダンボール紙を少なくとも2回以上に亘って折り返して重ね合わせることで、重量があるスーツやコートなどの衣類であっても、服用ハンガー3ごと吊るして支持できる強度に形成されている。
具体的には、第1実施形態のハンガーバー2は、ダンボール紙を長手方向と直交する方向(以降の図3及び図4では上下方向)に3重に折り重ねることで前後方向に長尺な板状(角棒状)に形成されている。このハンガーバー2は、折り重ねられた後で、長手方向の両端(前端側及び後端側)を、ボックス本体4の前側壁4Fと後側壁4Bとに係合して、ボックス本体4に対して前後方向に架け渡されるように、言い換えれば長手方向が架け渡し方向となるように取り付けられる。この第1実施形態のハンガーバー2の折り返し手順は、図3~図4に示すようなものとなっている。
つまり、図3に示すように、第1実施形態のハンガーバー2は、平坦に展開した状態では、左右方向に比べて前後方向に長い形状(略長方形状)に形成されている。この展開された状態のハンガーバー2には、前後方向に沿うように伸びる折返線9が2線互いに平行に形成されている。
以降では、これら2線の折返線9のうち、左側の折返線9を「左折返線9L」、右側の折返線9を「右折返線9R」という。また、展開された状態のハンガーバー2のうち、左右折返線9L、9Rに挟まれた部分を「第1側片」、右折返線9Rの右側を「第2側片」、左折返線9Lの左側を「第3側片」、という。
平坦に広げられた状態のダンボール紙から第1実施形態のハンガーバー2を組み上げる場合は、まず左折返線9Lに沿って、左折返線9Lの左側に位置する第3側片を、左右折返線9L、9Rの間に位置する第1側片の上に重ねるように折り返す。
次に、図4に示すように、互いに重ね合わされた第3側片及び第1側片の上から、右折返線9Rに沿って、右折返線9Rの右側に位置する第2側片を折り返して重ね合わせる。
このようにすればダンボール紙が上から第2側片、第3側片、第1側片の順に3枚に亘って重ね合わされたハンガーバー2を組み立てることができる。
図5に示すハンガーバー2は、互いに重ね合わされた3枚のダンボール紙が、左右方向に重なり合うように配備されたものである。言い換えれば、図5のハンガーバー2は、図4のものを右方向に90度だけ回転させた(横倒しにした)ものとなっている。つまり、このハンガーバー2は、ダンボール紙が左右方向に三枚重ね合わされており、前後方向に長尺であると共に上下方向や左右方向にもある程度の厚みを有する角棒状に形成されている。
上述したハンガーバー2をボックス本体4に取り付ける場合は、ハンガーバー2の前端側を、長手方向の中途側に対して左方と左方に向くようにそれぞれほぼ直角に折り曲げる。また、ハンガーバー2の後端側も、長手方向の中途側に対して左方と左方に向くようにほぼ直角に折り曲げる。このようにすれば、ハンガーバー2を、上方から見た場合にI字状の外観となるように変形することができ、ボックス本体4に取り付けることが可能となる。
具体的には、ハンガーバー2の前端側については、第1側片のダンボール紙のみ(左右に並んだハンガーバー2の3枚のダンボール紙のうち、左側に位置するダンボール紙のみ)を長手方向の中途側に対して左方に折り返して左側の折り返し端8とする。また、第2側片のダンボール紙のみ(左右に並んだハンガーバー2の3枚のダンボール紙のうち、右側に位置するダンボール紙のみ)を右方に折り返して右側の折り返し端8とする。このとき、第1側片のダンボール紙の前端側や第2側片のダンボール紙の前端側には前折返線9Fがあり、前折返線9Fを境に左右に折り返すことで、ハンガーバー2の前端側は略T字状に分岐した構造となる。
また、ハンガーバー2の後端側についても、前端側と同様に第1側片のダンボール紙のみを長手方向の中途側に対して左方に折り返して左側の折り返し端8とし、また第2側片のダンボール紙のみを右方に折り返して右側の折り返し端8とする。第1側片のダンボール紙の後端側や第2側片のダンボール紙の後端側にも前折返線9Fと同様に後折返線9Bがあり、後折返線9Bを境に左右に折り返すことで、ハンガーバー2の後端側は略T字状に分岐した構造となる。
なお、ハンガーバー2を構成する3つの折り返し片のうち、左右方向の中央に配備された第3側片は、第1側片や第2側片より短く形成されており、折り返し端8を両端に有していない。つまり、ハンガーバー2の折り返し端8は、第1側片と第2側片だけに存在するものとなっている。また、上述した第1側片や第2側片に設けられた前後2枚の折り返し端8の先端にはそれぞれの折り返し端8に対して折り曲げ可能な係止片10がさらに形成されている。
また、ハンガーバー2の下部には、下方に向かって突出する位置決め突起11が形成されている。この位置決め突起11は、上述したスリット7にハンガーバー2を差し入れた場合に、スリット7の下端よりもさらに下方にまで突出して、ボックス本体4の前側壁4Fと後側壁4Bに接触することで、前側壁4F及び後側壁4Bが箱の内側に向かって歪むことを抑制可能となっている。
さらに、ハンガーバー2の上部には、服用ハンガー3を掛け止めするハンガー掛け部12が形成されている。このハンガー掛け部12は、ハンガーバー2の長手方向に少なくとも2ヶ所以上、本実施形態の場合は長手方向に距離をあけて3ヶ所形成されている。本実施形態の3ヶ所のハンガー掛け部12のうち、中央のハンガー掛け部12は、衣服Sが掛けられた服用ハンガー3を1つだけ収容する場合に用いられる第1掛け部13である。また、両端のハンガー掛け部12は、服用ハンガー3を2つ収容する場合に用いられる第2掛け部14である。これらのハンガー掛け部12は、いずれもハンガーバー2の上縁に、下方に向かって凹む凹部として形成されており、上部のフラップ6でボックスを閉鎖した場合に服用ハンガー3の吊下金具がずれない構成とされている。
また、上述した第1掛け部13は、ハンガーバー2の長手方向の中間よりも後側にオフセットした位置に形成されている(第1掛け部13と第2掛け部14とは、互いにハンガーバー2の長手方向における異なる位置に形成されている)。このように第1掛け部13を後側にオフセットした位置に形成するのは、以下のような理由からである。
すなわち、スーツなどの衣類は、後身頃に比べて前身頃が大きくなるような寸法に形成されることが多い。そのため、ハンガーバー2の長手方向の中間に第1掛け部13を形成すると、ボックス本体4の後側壁4Bまでの距離に比べて、前側壁4Fまでの距離に余裕がなくなり、衣服Sの前側がボックス本体4に接触してシワなどが入る原因となる。
そこで、本実施形態のハンガーボックス1では、第1掛け部13から後側壁4Bまでの距離に比べて、第1掛け部13から前側壁4Fまでの距離の方が長くなる位置、言い換えれば前後方向の中央側から後側にオフセットした位置に第1掛け部13を形成している。具体的には、この第1掛け部13を形成する位置は、第1掛け部13から後側壁4Bまでの距離が「3~4.5」であるのに対して、第1掛け部13から前側壁4Fまでの距離が「7~5.5」となるような位置とされている。
一方、第2掛け部14も、第1掛け部13と同様に、後身頃に比べて前身頃が大きいスーツに対応した位置に形成されている。具体的には、前側壁4Fから後側壁4Bまでの距離が約250mmのハンガーボックス1の場合であれば、前側壁4Fから後方に約100mmの位置に前側の第2掛け部14が、またこの第1掛け部13から後方に約100mmの位置に後側の第2掛け部14が形成されており、後側の第2掛け部14から後側壁4Bまでの距離は約50mmとなっている。このような配置に第2掛け部14を設ければ、スーツなどの衣服Sを2着収容しても衣服S同士の間隔が適正なものとなり、衣服Sがボックスや他の衣服Sに当たってシワなどが入ったり、ハンガーバー2から誤って服用ハンガー3ごと落下したりすることが防止される。
係止片10は、上述した折り返し端8の先端に形成されており、ボックス本体4の前側壁4F及び後側壁4Rに形成された差し込みスリット15に差し込まれることで、折り返し端8を固定可能となっている。係止片10は、折り返し端8の先端からさらに先端側に向かって突出する突片であり、左側の折り返し端8であれば左方に向かって、右側の折り返し端8であれば右方に向かって突出している。係止片10は、先端側(突端側)に向かうに連れて上下方向の幅が広くなるようなくさび状(台形を横にしたような形状)に形成されており、上述した差し込みスリット15に一旦差し込まれたら抜け難くなるような形状に形成されている。
差し込みスリット15は、上述した折り返し端8をボックス本体4の前側壁4Fまたは後側壁4Bに沿うように折り返した場合に、折り返し端8の先端に設けられた係止片10に対応した位置に形成されている。差し込みスリット15は、係止片10とほぼ同じか、やや大きなくさび状に形成されており、上述した係止片10を差し込めるようになっている。具体的には、本実施形態の差し込みスリット15は、上述したくさび形状のうち、上下方向の長さが長い1辺を切り込まずに残したまま、残りの3辺に沿って切り込みを行うことで形成されており、切り込まずに残した1辺がヒンジとして作用することで扉のように開閉可能となっている。それゆえ、この差し込みスリット15を扉のように開動させて、係止片10をスリット7内に差し込み、差し込みスリット15を再び閉めれば、係止片10を抜けないように固定することが可能となる。
なお、上述した手順は、差し込みスリット15の開閉のみで係止片10を係止する態様を示しているが、差し込みスリット15に係止片10を差し込んだ上で、テープなどを用いて差し込みスリット15の開口を貼り付けて閉じれば、差し込みスリット15が開かないようになり係止片10の抜け止めをより確実に行うことが可能となる。
次に、図6~図12を用いて、ハンガーボックス1の組み上げ方(使用方法)について説明する。
まず、図6に示すように、上方に向かって開口したハンガーボックス1を用意する。このハンガーボックス1は、前側壁4F及び後側壁4Bの上部における幅方向中央側のダンボール紙だけが二重に重なった状態となっている。このダンボール紙が二重となった部分には、二重に重なったダンボールを内外に貫通するようにスリット7が形成されている。このスリット7は、上下方向に沿うように形成されており、また上方に向かって開口している。
図7に示すように、上方に向かって開口するハンガーボックス1のスリット7に対して、まずハンガーバー2を上方から差し入れる。このときのハンガーバー2の折り返し端8は、ハンガーバー2の長手方向の中途側と同じ方向を向いており、左右いずれの方向にも折り曲げられていない。つまり、ハンガーバー2は、後端側から前端側まで一直線に伸びる構成となっており、上下方向に沿うスリット7にスムーズに差し入れることができる構成となっている。なお、後端側から前端側まで一直線に伸びたハンガーバー2は、ボックス本体4の前側壁4Fから後側壁4Bまでの間隔より長尺であるため、前側壁4Fのスリット7からはハンガーボックス1の外側に向かってハンガーバー2の前端側2Fが突出し、また後側壁4Bのスリット7からはハンガーボックス1の外側に向かってハンガーバー2の後端側2Bが突出する。
図8に示すように、スリット7の下側の溝端までハンガーバー2を差し入れると、スリット7の下側の溝端にハンガーバー2の下端縁が接触する。このとき、上述した位置決め突起11が、スリット7の下端(下側の溝端)よりもさらに下方にまで突出し、下方に突出した突端がボックス本体4の前側壁4F及び後側壁4Bの内周面に接触する。そのため、ボックス本体4の前側壁4Fや後側壁4Bが箱の内側に向かって歪むことはない。
図9に示すように、スリット7の下端までハンガーバー2が差し込まれたら、前側の上部のフラップ6Fを後方に向かって折り返し、前側の上部のフラップ6Fで差し込まれたハンガーバー2がスリット7から抜けないように押さえ込む。
上述したフラップ6でハンガーバー2を押さえ込んだら、前端側の折り返し端8と、後端側の折り返し端8を左右に折り返す。具体的には、上述したように前側壁4Fのスリット7からはハンガーボックス1の外側に向かってハンガーバー2の前端側が突出している。そこで、この前方に突出した前端側の折り返し端8のうち、左側の折り返し端8を左方向に揺動させると共に、右側の折り返し端8を右方向に揺動させる。
一方、後側壁4Bのスリット7からはハンガーボックス1の外側に向かってハンガーバー2の後端側が突出している。そこで、この後方に突出した後端側の折り返し端8のうち、左側の折り返し端8を左方向に揺動させると共に、右側の折り返し端8を右方向に揺動させる。
図10に示すように、左方向に向かった左側の折り返し端8の揺動と、右方向に向かった右側の折り返し端8の揺動とに合わせて、上述した差し込みスリット15を開動させる。つまり、左側及び右側の差し込みスリット15は、扉のように開閉可能になっており、開動することで係止片10をスリット内に差し入れることができるようになる。
それゆえ、図11に示すように、左右それぞれの差し込みスリット15に係止片10を差し入れた上で、差し込みスリット15を閉じれば、係止片10を抜けないように係止することができる。
上述した図9~図11の手順は前側壁4Fにハンガーバー2の前端側を取り付ける場合のものであるが、後側壁4Rにハンガーバー2の後端側を取り付ける場合にも、同様な手順を行うことができる。
図12に示すように、後側壁4Bにもハンガーバー2の後端側を取り付けたら、ハンガーバー2が取り付けられたハンガーボックス1を得ることができる。
第1実施形態のハンガーボックス1は、ダンボール紙を複数回折り重ねたハンガーバー2を用いているため、衣服Sの重量を支えるに十分な強度を備えている。そのため、ダンボールだけで構成されたものでありながら、重量のある衣服Sの荷重を確実に支えることができる。
また、上述したハンガーバー2は、前端側及び後端側を左右方向に折り返した折り返し端8でボックス本体4を外側から押さえるように取り付けられており、ボックス本体4を外側に向かって変形しないように押さえる機能を有している。加えて、ハンガーバー2の下側には、ボックス本体4が内側に向かって変形することを防止する位置決め突起11も設けられている。
つまり、上述したハンガーバー2を取り付けることで、ボックス本体4は内側に向かっても外側に向かっても変形を起こしにくくなる。その結果、ボックス本体4自体の変形や破損を抑制することも可能となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のハンガーボックス1及びハンガーボックス1に用いられるハンガーバー2について説明する。
上述した第1実施形態のハンガーバー2はダンボール紙を3重に折り重ねたものであったが、ダンボール紙の重ね合わせは3重に限ったものではない。例えば、第2実施形態に示すようにダンボール紙を2重に重ね合わせたものであってもよいし、4重以上に重ねたものであっても良い。
具体的には、第2実施形態のハンガーバー2は、ダンボール紙を2重に折り重ねることで前後方向に長尺な棒状に形成されている。この第2実施形態のハンガーバー2の折り返し手順は、図13及び図14に示すようなものとなっている。
すなわち、図13に示すように、第2実施形態のハンガーバー2は、平坦に展開した状態では、左右方向に比べて前後方向に長い形状に形成されている。この展開された状態のハンガーバー2には、前後方向に沿うように伸びる折返線9が左右方向の中央に1線形成されている。
第2実施形態のハンガーバー2を組み上げる場合は、まず中央の折返線9に沿って、折返線9の左側に位置する第1側片を、折返線9の右側に位置する第2側片の上に重ねるように折り返す。
次に、図14に示すように、第2実施形態のハンガーバー2は、2枚に亘って重ね合わされたハンガーバー2を、左右方向にダンボール紙が重なり合うように、右方向に90度だけ回転させた(横倒しにした)ものである。この図14に示すハンガーバー2は、ダンボール紙が左右方向に二枚重ね合わされており、前後方向に長尺であると共に上下方向や左右方向にもある程度の厚みを有する角棒状に形成されている。
このようにすればダンボール紙が第2側片、第1側片の順に亘って重ね合わされた第2実施形態のハンガーバー2を組み立てることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 ハンガーボックス
2 ハンガーバー
3 服用ハンガー
4 ボックス本体
4F ボックス本体の前側壁
4R ボックス本体の後側壁
5 衣服出入口
6 フラップ
6F 前側のフラップ
6R 後側のフラップ
7 スリット
8 折り返し端
9 折返線
9L 左折返線
9R 右折返線
10 係止片
11 位置決め突起
12 ハンガー掛け部
13 第1掛け部
14 第2掛け部
15 差し込みスリット
S 衣服

Claims (6)

  1. 服用ハンガーを吊下状態で支持可能なビーム形状とされたハンガーバーを、互いに対面し合う側壁間に架け渡し状に備えるハンガーボックスであって、
    前記ハンガーバーは、当該ハンガーバーの長手方向と直交する方向に、ダンボール紙を折り重ねることで、前記架け渡し方向に長尺とされており、
    前記側壁には、前記ハンガーバーを内外に貫通させるべく上下に伸び且つ上方に向かって開口するスリットが形成されており、
    前記ハンガーバーは、前記スリットの上方を向く開口から差し入れた上で長手方向の両端を前記側壁の外側に突出させると共に、突出した端部を前記側壁に向かって折り返して、折り返された端部を前記側壁の外面に沿わせるようにして取り付けられている
    ことを特徴とするハンガーボックス。
  2. 前記ハンガーバーは、
    長手方向に伸びる折返線を境に前記ダンボール紙を折り返すことで、前記ダンボール紙が左右に重なり合った構造とされており、
    前記側壁の外側に突出した端部を、長手方向と交差する方向に伸びる折返線を境に長手方向に折り返して前記側壁の外面に取り付けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載のハンガーボックス。
  3. 前記ハンガーバーは、左右方向の厚みに比べて、上下方向の寸法が広幅となるような断面形状を有している
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のハンガーボックス。
  4. 前記ハンガーバーの長手方向の両端には、前記ハンガーバーの折り返し端を側壁の外面に係止するための係止片が設けられており、
    前記側壁には、前記係止片を差し込み可能な差し込みスリットが形成されている
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のハンガーボックス。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のハンガーボックスに用いられるハンガーバーであって、
    前記服用ハンガーを吊下するハンガー掛け部が、前記ハンガーバーの長手方向に距離をあけて少なくとも2ヶ所以上形成されている
    ことを特徴とするハンガーバー。
  6. 前記ハンガー掛け部には、前記服用ハンガーが単数の場合に用いられる第1掛け部と、前記服用ハンガーが複数の場合に用いられる第2掛け部と、があり、
    前記第1掛け部と第2掛け部とは、互いに前記ハンガーバーの上縁における異なる位置に形成されている
    ことを特徴とする請求項5に記載のハンガーバー。
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