JP7301549B2 - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、液体吐出ヘッドおよびその製造方法に関する。
吐出口からインクなどの液体を吐出して記録媒体に画像を記録する液体吐出ヘッドが知られている。液体吐出ヘッドは、一般に、基板と、液体を吐出するための吐出口を有する吐出口形成部材とを有している。基板には、基板を貫通する供給路が形成され、吐出口形成部材には、供給路と吐出口とを連通する流路が形成されている。
このような液体吐出ヘッドでは、供給路を通じて供給される液体にゴミなどの異物が含まれていると、それらが流路や吐出口に侵入してしまい、液体の吐出不良が発生して画像品位の低下を引き起こすおそれがある。そのため、液体吐出ヘッドの信頼性向上という観点から、流路よりも上流側に、液体中の異物を捕集するフィルタ構造を設ける技術が知られている。特許文献1には、供給路自体が複数の孔からなり、フィルタ機能を兼ねる液体吐出ヘッドが記載されている。また、特許文献2には、流路に連通する側の供給路の開口部に、中空部を介して積層された少なくとも2つのフィルタ層を有する液体吐出ヘッドが記載されている。
特開2006-62302号公報 特開2007-203623号公報
特許文献1,2に記載されたフィルタ構造では、いくつかの孔にかかるような比較的大きな異物を捕集した場合、その形状や大きさによっては、捕集した異物によって孔が塞がれてしまう可能性がある。これにより、塞がれた孔の下流側に位置する流路部分への液体の供給が阻害され、液体のリフィル性が低下することで、高品位の画像を安定して得られなくなり、信頼性の低下につながるおそれがある。
そこで、本発明の目的は、液体中に比較的大きな異物が含まれる場合でも、安定して高品位の画像を得ることができる液体吐出ヘッドおよびその製造方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明の液体吐出ヘッドは、第1の面および第1の面と反対側の第2の面を有する基板と、基板の第1の面の側に設けられ、液体を吐出するための吐出口を有する吐出口形成部材とを有し、基板が、基板を貫通し、吐出口に液体を供給するための供給路を有し、供給路のうち第1の面の側の端部に、複数の第1の孔からなる第1のフィルタ部が設けられている、液体吐出ヘッドであって、供給路のうち第2の面の側の端部に、第1の孔の最小開口径よりも大きい最小開口径を有する複数の第2の孔からなる第2のフィルタ部が設けられ、第2のフィルタ部が、供給路の一部を構成するように基板と一体に形成されている
また、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、第1の面および第1の面と反対側の第2の面を有する基板と、基板の第1の面の側に設けられ、液体を吐出するための吐出口を有する吐出口形成部材とを有し、基板が、基板を貫通し、吐出口に液体を供給するための供給路を有し、供給路のうち第1の面の側の端部に、複数の第1の孔からなる第1のフィルタ部が設けられている、液体吐出ヘッドの製造方法であって、基板の第1の面の側に、複数の第1の孔と先導孔を形成する工程と、先導孔から基板にエッチングを行い、複数の第1の孔に連通する供給路を形成する工程と、供給路のうち第2の面の側の端部に、第1の孔の最小開口径よりも大きい最小開口径を有する複数の第2の孔からなる第2のフィルタ部を形成する工程と、を含み、第2のフィルタ部を形成する工程が、第2のフィルタ部が供給路の一部を構成するように、基板と一体に第2のフィルタ部を形成することを含んでいる。
以上、本発明によれば、液体中に比較的大きな異物が含まれる場合でも、安定して高品位の画像を得ることができる。
一実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視図である。 一実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面図および平面図である。 第1のフィルタ部と第2のフィルタ部の配置例を示す平面図である。 一実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法を示す断面図である。 第2のフィルタ部の他の構成例を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、同一の機能を有する構成には図面中に同一の番号を付与し、その説明を省略する場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの斜視図である。図2(a)は、図1のA-A線に沿った断面図である。図2(b)および図2(c)は、それぞれ本実施形態の液体吐出ヘッドに設けられた第1のフィルタ部および第2のフィルタ部の近傍を拡大して示す平面図である。
液体吐出ヘッド1は、インクなどの液体を吐出して記録媒体に画像を記録するものであり、基板10と、吐出口形成部材9とを有している。基板10は、表面(以下、「基板表面」ともいう)21とその反対側の裏面(以下、「基板裏面」ともいう)22を有し、吐出口形成部材9は、基板10の表面21の側に設けられている。基板10は、例えばシリコンで形成されている。この場合、基板10の面方位は(100)であることが好ましく、基板10の厚みは580~750μmであることが好ましい。また、吐出口形成部材9は、後述するように、流路12を形成するとともに液体と接触する部材である。そのため、吐出口形成部材9には、構造材料としての高い機械的強度、下地である基板10側との密着性、耐液性(例えば耐インク性)が求められる。さらに、吐出口形成部材9には、吐出口11としての微細なパターンをパターニングするための解像性が求められる。このような材料としては、例えばエポキシ樹脂が挙げられる。
基板表面21には、液体を吐出するために利用されるエネルギーを発生する複数のエネルギー発生素子2が設けられている。複数のエネルギー発生素子2は、細長い長方形状の基板10の長手方向に沿って所定のピッチで2列に並んで配置されている。なお、以下の説明では、基板10の長手方向をX方向、X方向に直交する方向(基板10の短辺方向)をY方向とする。吐出口形成部材9には、液体を吐出するための複数の吐出口11と、それぞれが吐出口11に連通する複数の流路12とが形成されている。吐出口11は、エネルギー発生素子2に対応する位置に設けられ、エネルギー発生素子2が発生するエネルギーにより、流路12内の液体を発泡させて吐出することができる。エネルギー発生素子2としては、発熱素子(ヒータ)の他、流路12の壁を変形させることで圧力を発生させて液体を吐出する圧電素子(ピエゾ素子)を用いることもできる。
基板10には、基板10を貫通する供給路13が形成されている。供給路13は、X方向に延びるスリット状の形状を有し、その断面形状は、基板裏面22の側から基板表面21の側に向けて幅が狭くなるテーパー状である。供給路13は、基板表面21に開口する開口部13aを有し、開口部13aは、複数のエネルギー発生素子2からなる2つの列の間でX方向に延びている。なお、図示していないが、基板表面21には、エネルギー発生素子2に電気信号や電力を供給するために電気的に接続された配線層が設けられている。また、同様に図示していないが、基板裏面22には、例えばSIOである酸化膜が設けられていてもよい。
また、基板表面21には、例えばSiOである酸化膜4を介して密着向上層20が設けられている。密着向上層20は、基板10と吐出口形成部材9との密着性を向上させる機能を有し、例えば、ポリエーテルアミド樹脂または感光性のエポキシ樹脂を含む有機膜である。密着向上層20のうち開口部13aに対向する領域、具体的には、後述する先導孔領域23を除いた領域には、複数の第1の孔33からなる第1のフィルタ部31が形成されている。換言すると、第1のフィルタ部31は、供給路13のうち基板表面21の側の端部に設けられている。ここで、基板表面21の側の端部とは、基板表面21から深さ方向に100μmの範囲を意味する。第1のフィルタ部31は、供給路13と流路12との間に位置し、供給路13から流路12へと供給される液体に含まれるゴミなどの異物を除去し、それらが吐出口11に侵入することを抑制する機能を有している。
第1のフィルタ部31(すなわち密着向上層20)の厚みや、第1の孔33の最小開口径、開口形状、配置は、特に制限はないが、第1のフィルタ部31の流抵抗などを考慮し、液体の吐出に影響を与えない範囲で決定されることが好ましい。例えば、第1のフィルタ部31の厚みは、0.5~3.0μmであることが好ましく、一例として2.0μmである。第1の孔33の最小開口径は、フィルタとしての捕集性能の観点から、吐出口11の最小開口径よりも小さいことが好ましく、例えば、吐出口11の最小開口径が15μmの場合、8~13μmであることが好ましい。ここで、最小開口径とは、開口径の最小値を意味する。また、第1の孔33の開口形状としては、フィルタとしての機能が発揮される限り、任意の形状が可能であるが、第1の孔33を均一にある程度の密度で配置することを考慮すると、円形や正多角形、ひし形、平行四辺形などが好ましい。また、第1の孔33の配置も特に制限はないが、同様に配置の密度と均一性を考慮すると、千鳥状配置が好ましい。一例として、第1の孔33は、図2(b)に示すように、円形(例えば直径10μm)の開口形状を有し、X,Y方向ともに所定のピッチ(例えば20μm)で千鳥状に配置されている。
さらに、第1のフィルタ部31の上流側、具体的には、基板裏面22に形成された凹部14の内部に、複数の第2の孔34からなる第2のフィルタ部32が設けられている。換言すると、第2のフィルタ部32は、供給路13のうち基板裏面22の側の端部に設けられている。ここで、基板裏面22の側の端部とは、基板裏面22から深さ方向に350μmの範囲を意味する。第2のフィルタ部32は、第2の孔34が第1の孔33の最小開口径よりも大きい最小開口径を有し、したがって、第1のフィルタ部31で捕集されるよりも大きな異物を捕集する機能を有している。これにより、第1のフィルタ部31と第2のフィルタ部32からなるフィルタ構造の捕集効率を高めることが可能になる。なお、第2のフィルタ部32が凹部14内に設けられていることで、基板10を支持部材に接合する際に、基板裏面22に塗布した接着剤が毛細管現象により第2のフィルタ部32内に流入することを抑制して、良好な接合が可能になる。
第2のフィルタ部32は、基板表面21側に設けられた第1のフィルタ部31との間に一定以上の空間、好ましくは長さ350μm以上の空間を形成するように、基板裏面22側に設けられている。これにより、上述したように、第2のフィルタ部32が比較的大きな異物を捕集する場合に、捕集した異物によって一部の第2の孔34が塞がれたとしても、その塞がれた第2の孔34と第1のフィルタ部31との間には十分な空間が存在することになる。そのため、塞がれた第2の孔によって、第1のフィルタ部31から流路12への液体の供給が阻害されることを抑制することができ、液体の供給性能が損なわれることがない。また、いくつかの第2の孔34が塞がれたとしても、それよりも下流側に第1のフィルタ部31が設けられていることで、フィルタ全体としての捕集性能も維持することができる。
第2のフィルタ部32の上述のような構成は、フィルタ全体としての寿命の観点からも有利である。すなわち、異物捕集時にフィルタが受けるダメージは、一般に、比較的小さな異物を捕集する場合に比べて、比較的大きな異物を捕集する場合に大きくなると考えられる。このため、より下流側、すなわち吐出口11により近い位置に設けられた第1のフィルタ部31が異物捕集時に受けるダメージをより少なくすることができ、結果として、フィルタ全体としての寿命を長くすることができる。なお、第2のフィルタ部32は、供給路13の一部を構成するように基板10と一体に形成されている。このことも、第2のフィルタ部32の機械的強度を確保することにつながり、フィルタ全体としての寿命を長くすることにつながる。
第2のフィルタ部32の厚みは、50~250μmであることが好ましい。また、第2のフィルタ部32の形成領域は、液体の吐出方向から見て、例えば、X方向に12000μm、Y方向に300μmである。第2の孔34の開口形状および配置に特に制限はなく、一例として、図2(c)に示すように、第2の孔34は、正方形の開口形状を有し、X,Y方向ともに所定のピッチで千鳥状に配置されている。第2の孔34の開口径は、例えば20~120μmであることが好ましい。なお、図示した例では、基板裏面22に、SiOである酸化膜4が設けられているが、この酸化膜4は必ずしも設けられていなくてもよい。
図3は、本実施形態における第1のフィルタ部と第2のフィルタ部の配置例を示す平面図であり、基板表面側(液体の吐出方向)から見た図である。なお、図3では、第2の孔の数が4個、第1の孔の数が16個の場合を示しているが、それぞれの孔の数はこれに限定されるものではない。
図3(a)に示す配置例では、第2の孔34は、正方形の開口形状を有し、X,Y方向ともに、正方形の一辺の長さL(例えば20μm)の2倍のピッチ(例えば40μm)で千鳥状に配置されている。これに対し、第1の孔33は、円形(例えば直径10μm)の開口形状を有し、その中心が上記正方形の頂点に位置するように配置されている。このような配置例では、例えば、図3(b)に示すように、斜線で示した第2の孔34cが異物で塞がれたとしても、この第2の孔34cの下流側に位置する第1の孔33cは、異物によって塞がれていない他の第2の孔34a,34c,34dと距離が近い。そのため、このような配置例は、異物で塞がれた第2の孔34cの下流側に位置する第1の孔33cへの液体の供給性能の低下を最小限に抑えることができる点で有利である。なお、第1の孔33の開口形状は円形に限定されず、正多角形であってもよく、第2の孔34の開口形状も正方形に限定されず、矩形であってもよい。
図4を参照して、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。図5は、本実施形態の製造方法の各工程における液体吐出ヘッドの概略断面図であり、図2に対応する図である。
まず、基板表面21にエネルギー発生素子2と配線層(図示せず)と酸化膜4を有するとともに、基板裏面22に酸化膜4を有し、シリコンで形成された細長い矩形状の基板10を用意する。なお、本実施形態では形成されないが、基板表面21のうち、例えば供給路13の開口部13aが形成される領域に、犠牲層が形成されてもよい。犠牲層は、例えばAl-Si合金、Al-Cu、Cuなどで形成され、開口部13aの幅をより良好に制御するために設けられる。
次に、図4(a)に示すように、基板表面21の側に、第1のフィルタ部31を有する密着向上層20を形成する。具体的には、酸化膜4上に、例えばポリエーテルアミド樹脂をスピンコート法により成膜した後、パターニングを行い、複数の第1の孔33を形成し、第1のフィルタ部31を有する密着向上層20を形成する。パターニングは、例えばポジ型の感光性樹脂をマスクとして用いて、一般的なフォトリソグラフィー技術によって行われる。あるいは、密着向上層20として感光性のエポキシ樹脂を用い、一般的なフォトリソグラフィー技術によって直接パターニングを行うことで、第1のフィルタ部31を形成することもできる。なお、密着向上層20には、複数の第1の孔33と共に、後述する第1の先導孔24が形成される領域に対応して先導孔領域23が形成される。
次に、図4(b)に示すように、基板表面21の側に保護膜16を形成する。具体的には、密着向上層20上に、例えば環化ゴム系の樹脂をスピンコート法により成膜することで、保護膜16を形成する。保護膜16は、後述するエッチング工程において基板表面21をエッチングから保護するために形成される。保護膜16の膜厚は、エッチング液やエッチング条件等に応じて、その際のエッチングに耐え得る厚みである必要がある。例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(83℃、22%)による異方性エッチングを0.5~4時間程度行う場合には、保護膜16の膜厚は5~200μmであることが好ましい。
次に、図4(c)に示すように、基板表面21の側に第1の先導孔24を形成し、その後、基板裏面22の側に改質層25を形成する。
第1の先導孔24は、後述するエッチング工程時にそこからエッチングを進行させて基板10に供給路13を形成するためのものであり、例えばパルスレーザー光を用いたレーザーアブレーション技術により形成される。第1の先導孔24は、供給路13の形成精度と均一性との観点から、基板10の長手方向(X方向)または短手方向(Y方向)に沿って形成されていることが好ましい。このとき、第1の先導孔24のX方向またはY方向における間隔は、開口部13aに対応する領域内で、第1の先導孔24の直径、レーザー加工の位置精度やアライメント精度等を考慮して設定されることが好ましい。例えば、第1の先導孔24の直径が10μm程度であり、レーザー加工の位置精度が±10μm程度、アライメント精度が±5μm程度である場合、第1の先導孔24のX方向における間隔は20~150μmであることが好ましい。第1の先導孔24をX方向に沿って形成する場合、その列数は、供給路13の中心線上に1列、または中心線を対称として2列であることが好ましい。本実施形態では、図2(b)に示すように、第1の先導孔24はX方向に1列形成されているが、2列形成する場合、例えば第1の先導孔23のY方向における間隔は20~60μmであることが好ましい。第1の先導孔24の深さは、第2のフィルタ部32の所望の厚み(基板表面21側の端部位置)を考慮して設定されることが好ましく、例えば350~600μmであることが好ましい。
改質層25は、後述するエッチング工程時に除去されことで、そこからエッチングを進行させて基板10に凹部14を形成するためのものであり、例えばレーザー照射により酸化膜4を改質して形成される。したがって、改質層25の形状や寸法を調整することで、凹部14を所望の形状や寸法に形成することができる。
次に、異方性エッチングを行い、図4(d)に示すように、基板10に供給路13および凹部14を形成する。具体的には、エッチング液として、例えば、TMAH水溶液や水酸化カリウム(KOH)水溶液等の強アルカリ溶液を用いて、基板表面21と基板裏面22の両側から異方性エッチングを行う。この異方性エッチングにより、基板表面21側では第1の先導孔24から、基板裏面22側では改質層25からそれぞれエッチングが進行する。このとき、基板表面21と基板裏面22の両側からのエッチングにより基板10が貫通しないように、第1の先導孔24の深さやエッチング時間等が調整され、基板10に供給路13および凹部14が形成される。なお、エッチング時間は、開口部13aの所望の寸法、凹部14の所望の形状や寸法等を考慮して設定されることが好ましく、例えば、TMAH水溶液(83℃、22%)を用いる場合、0.5~4時間であることが好ましい。
次に、図4(e)に示すように、凹部14の底面に、例えばパルスレーザー光を用いたレーザーアブレーション技術により第2の先導孔26を形成する。第2の先導孔26は、後述するエッチング工程時にそこからエッチングを進行させ、第2のフィルタ部32を構成する第2の孔34を形成するためのものである。したがって、第2の先導孔26の形成条件により、第2の孔34の形状や寸法、形成位置が決定される。第2の先導孔26の深さは、凹部14の底面を貫通しない範囲、かつ異方性エッチング後に凹部14の底面を貫通するような範囲に設定されることが好ましい。また、第2の先導孔26の形成位置は、凹部14の底面のうち供給路13に対向する領域内であることが好ましい。第2の先導孔26の間隔(ピッチ)は、異方性エッチング後に第2の孔34同士がつながらないような範囲であることが好ましく、さらに、X,Y方向ともに等ピッチであることが好ましい。そのようなピッチとしては、例えば40~150μmが好ましい。
次に、異方性エッチングを行い、図4(f)に示すように、第2のフィルタ部32を構成する第2の孔34を形成する。ここでは、図4(d)に示すエッチング工程と同様の条件で、異方性エッチングを行うことができる。このような異方性エッチングにより、第2の先導孔26からエッチングが進行し、第2の孔34が形成される。エッチング時間は、第2の孔34の所望の寸法に応じて設定されることが好ましく、例えば0.3~1.0時間であることが好ましい。ただし、上述の通り、異方性エッチング後に第2の孔34同士がつながって第2のフィルタ部32が形成されなくなることを考慮する必要がある。ここで、凹部14の開口部近傍の酸化膜4がバリとして残っている場合には、それを除去するために、例えばバッファードフッ酸(BHF)によるウェットエッチングを用いることができる。
なお、第2のフィルタ部32の形成方法としては、上述した方法、すなわち、第2の先導孔26を利用した異方性エッチングに限定されず、例えば、ドライエッチング技術を用いることもできる。
次に、例えばエチルベンゼンとキシレンの混合液を用いて、保護膜16を除去する。そして、図2(g)に示すように、基板表面21の側に、吐出口11と流路12を有する吐出口形成部材9を形成する。吐出口形成部材9の形成方法は、例えば、以下の通りである。
まず、基板表面21に、例えばアクリル系紫外線硬化型テープ等のラミネートテープを貼り付け、基板裏面22の側からディスペンス等により供給路13の内部に穴埋め材を充填する。穴埋め材としては、例えばポリビニルアルコール(PVA)を用いることができる。穴埋め材の充填方法としては、例えば第2の孔34からの毛細管現象を利用し、さらに温調・圧力・ベーク条件等を適切に調整しながら充填する方法を用いることができる。次に、テープの材料特性に対応した波長の紫外線照射により、ラミネートテープを除去する。これにより、基板表面21側に、開口を備えていない平坦な面が形成される。この面に、スピンコート法等により、例えばポジ型の感光性樹脂を塗布し、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、流路12を形成するための型材を形成する。そして、この型材上に、スピンコート法等により、例えばネガ型の感光性エポキシ樹脂を塗布し、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、吐出口11を有する吐出口形成部材9を形成する。なお、密着向上層20に形成された先導孔領域23には、吐出口形成部材9が入り込むことで蓋がされたようになるため、先導孔領域23から異物が侵入することはない。最後に、例えば水を用いて、供給路13の内部に充填された穴埋め材を除去し、例えば乳酸メチルを用いて型材を除去する。これにより、第1のフィルタ部31を介して供給路13に連通する流路12が形成され、液体吐出ヘッド1が完成する。
図5は、本実施形態における第2のフィルタ部の他の構成例を示す断面図であり、図2(a)に対応する図である。
図5(a)に示す構成例では、第2のフィルタ部32は、上流側の面が基板裏面22と同一平面になるように、基板裏面22側に形成されている。この場合、例えば、基板10の厚みを725μm、第2のフィルタ部32の厚みを150μmとすると、第1のフィルタ部31と第2のフィルタ部32との間には長さ575μmの空間が形成されている。また、第2の孔34は、一例として、一辺30μmの正方形の開口形状を有し、X,Y方向ともに60μmのピッチで配置されている。
この構成例では、改質層25の形成を省略し、基板裏面22側の酸化膜4の厚みを異方性エッチングに耐え得る厚みにすることで、第2のフィルタ部32の上流側の面が基板裏面22と同一平面になるように、第2のフィルタ部32を形成することができる。なお、基板裏面22に設けられた酸化膜4は除去せずに残しておいてもよいが、図示したように酸化膜4を除去する場合、BHFによるウェットエッチングを用いることができる。この構成例では、一例として、先導孔領域23は、直径40μmの円形に形成され、X方向に60μmのピッチで1列に形成される。
第2のフィルタ部32は、必ずしも基板10と一体に形成されている必要はなく、基板10とは別体の有機膜または無機膜で形成されていてもよい。図5(b)に示す構成例では、第2のフィルタ部32は、例えばポリエーテルアミド樹脂からなる有機膜である保護膜6に形成されている。この場合、第2のフィルタ部32は基板裏面22に形成されているため、例えば、基板10の厚みを725μmとすると、第1のフィルタ部31と第2のフィルタ部32との間には長さ725μmの空間が形成されている。また、第2の孔34は、一例として、直径30μmの円形の開口形状を有し、X,Y方向ともに60μmピッチで千鳥状に配置されている。
この構成例では、第2のフィルタ部32の形成方法として、第1のフィルタ部31の形成方法と同様の方法を用いることができる。なお、基板裏面22が保護膜6で被覆されている場合、供給路13は、第1の先導孔24を通じて基板表面21側から進行する異方性エッチングが基板裏面22に到達することで形成される。このとき、供給路13は、基板10の結晶方位に沿って形成されるため、第1の先導孔23の形成位置と異方性エッチングの条件により、その形状を制御することができる。この構成例では、一例として、先導孔領域23は、直径20μmの円形に形成され、X方向に40μmのピッチで1列に形成される。
なお、図示していないが、図5(b)に示す構成例では、供給路13の基板裏面22側の開口形状を高精度に制御するために、当該開口を規定するためのパターンを保護膜6に形成してもよい。そのようなパターンとしては、例えば、エッチング量を加味して、所望の開口の周縁部に沿って一定間隔で形成された保護膜6の抜きパターンが挙げられる。異方性エッチング工程時にこの抜きパターンの部分からエッチングが進行し、パターン同士がつながることで、所望の開口形状を得ることができる。そして、基板表面21側からの異方性エッチングが基板裏面22に到達することで、基板裏面22側に所望の開口形状を有する供給路13が形成される。
1 液体吐出ヘッド
9 吐出口形成部材
10 基板
31 第1のフィルタ部
32 第2のフィルタ部

Claims (7)

  1. 第1の面および該第1の面と反対側の第2の面を有する基板と、前記基板の前記第1の面の側に設けられ、液体を吐出するための吐出口を有する吐出口形成部材とを有し、前記基板が、該基板を貫通し、前記吐出口に液体を供給するための供給路を有し、前記供給路のうち前記第1の面の側の端部に、複数の第1の孔からなる第1のフィルタ部が設けられている、液体吐出ヘッドであって、
    前記供給路のうち前記第2の面の側の端部に、前記第1の孔の最小開口径よりも大きい最小開口径を有する複数の第2の孔からなる第2のフィルタ部が設けられ
    前記第2のフィルタ部が、前記供給路の一部を構成するように前記基板と一体に形成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記供給路が、前記第1のフィルタ部と前記第2のフィルタ部との間に、前記基板の厚み方向の長さ350μm以上の空間を有する、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記第2のフィルタ部が、前記基板の前記第2の面に形成された凹部の内部に設けられている、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記第1のフィルタ部が、前記基板と前記吐出口形成部材との間に設けられた有機膜に形成されている、請求項1からのいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記第1の孔が、円形または正多角形の開口形状を有し、前記第2の孔が、矩形の開口形状を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記第1のフィルタ部は、液体の吐出方向から見て、前記第1の孔の中心が前記矩形の頂点に位置するように配置されている、請求項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 第1の面および該第1の面と反対側の第2の面を有する基板と、前記基板の前記第1の面の側に設けられ、液体を吐出するための吐出口を有する吐出口形成部材とを有し、前記基板が、該基板を貫通し、前記吐出口に液体を供給するための供給路を有し、前記供給路のうち前記第1の面の側の端部に、複数の第1の孔からなる第1のフィルタ部が設けられている、液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    前記基板の前記第1の面の側に、前記複数の第1の孔と先導孔を形成する工程と、
    前記先導孔から前記基板にエッチングを行い、前記複数の第1の孔に連通する前記供給路を形成する工程と、
    前記供給路のうち前記第2の面の側の端部に、前記第1の孔の最小開口径よりも大きい最小開口径を有する複数の第2の孔からなる第2のフィルタ部を形成する工程と、を含み、
    前記第2のフィルタ部を形成する工程は、前記第2のフィルタ部が前記供給路の一部を構成するように、前記基板と一体に前記第2のフィルタ部を形成することを含むことを特徴とする、液体吐出ヘッドの製造方法。
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