<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係るパネルユニット1の概要を説明する。
パネルユニット1は、複数の耐火パネル2と、連結部材3と、隙間4とを備える(図1参照)。複数の耐火パネル2は、全体として板状をなすよう並べられたものである。隙間4は、一方向D1に隣り合う耐火パネル2同士の間にある。連結部材3は、複数の耐火パネル2のうち、一方向D1に隣り合う耐火パネル2同士を連結する部材であって、板部33と、切欠き部31とを備える。板部33は、耐火パネル2に対向する。切欠き部31は、一方向D1と交差する交差方向D2における板部33の両端を切り欠くようにして形成されたものである。切欠き部31は、耐火パネル2の厚み方向D3に見た正面視において、隙間4と重なっている。
このようなパネルユニット1によれば、連結部材3を設置する際、切欠き部31を隙間4に重ねることで、連結部材3を容易に位置決めできる。
次に、本実施形態に係るパネルユニット1を、図1~図6を参照して詳細に説明する。下記説明において、パネルユニット1が建物に設置された状態で、一方向D1は建物の上下方向として規定され、交差方向D2は建物の左右方向として規定される。この場合、上下方向D1は、左右方向D2と直交してもよい。また、耐火パネル2の厚み方向D3は、上下方向D1及び左右方向D2と直交していてもよい。なお、上下方向D1、左右方向D2、及び厚み方向D3を、それぞれ第1方向、第2方向、及び第3方向としてもよい。
パネルユニット1は、図1に示すように、複数の耐火パネル2と、隙間4と、連結部材3と、複数の連結板24とを備える。
隙間4は、複数の耐火パネル2のうち、一方の耐火パネル2の端部を上下方向D1において他方の耐火パネル2の端部に突き付けた状態で、隣り合う耐火パネル2同士の間に形成される。このような隙間4に、後述の第1及び第2耐火シート41、42を設けてもよい(図6参照)。
連結部材3は、上下方向D1に隣り合う耐火パネル2同士を連結する部材である(図1参照)。このような連結部材3は、鋼板等の金属板に折り曲げ加工をすることで形成されうる。連結部材3は、図1のように、耐火パネル2の、左右方向D2における両端の間にあり、この両端から離れた位置に設けられている。また、連結部材3は、図2A及び図2Bのように板部33と、切欠き部31と、フランジ部34を備える。フランジ部34は、図2Aのように第1フランジ部34aと、第2フランジ部34bとを備える。
板部33は、図1のように連結部材3が耐火パネル2を連結した状態で、耐火パネル2に対向する板状の部分である。板部33は幅を有する。板部33の幅方向は、上下方向D1と平行である。
また、板部33は、図2Aのように、複数の貫通孔36と、複数の貫通孔37と、複数の貫通孔38とが形成された本体部33bと、突出部33aとを有する。突出部33aは、左右方向D2におけるフランジ部34の両端から突出している。左右方向D2において、フランジ部34の両端は、本体部33bの両端と同じ位置にある。貫通孔36、37、38の各々は、図2Bのように本体部33bを貫通する孔である。なお、図2Aの例では、4つの貫通孔36と、4つの貫通孔37と、4つの貫通孔38とが、本体部33bに形成されている。
また、板部33のうち、耐火パネル2と対向する面にシール部材32が貼付けられている(図2B及び図6参照)。シール部材32は、隙間4を気密にシールする気密性(図6参照)と、耐火性とを有する。このようなシール部材32は、板状の部材であって、図2Aのように左右方向D2において一対の切欠き部31同士の間にあり、かつ上下方向D1において貫通孔36の下端に沿わせて設けられている。さらに、シール部材32の下端は、上下方向D1において貫通孔38の上端と切欠き部31との間にある。すなわち、連結部材3が耐火パネル2を連結した状態で、シール部材32は、隙間4の幅よりも大きく、隙間4を跨いで上下方向D1に隣り合う耐火パネル2、2に対向する。これにより、連結部材3を設置する際、切欠き部31を隙間4に重ねて連結部材3を位置決めしながら、シール部材32で隙間32を容易に塞ぐことができる。シール部材32gが隙間32を塞ぐことで、火災等の加熱時に芯材23が耐火パネル2と板部33との間に漏れにくくなり、パネルユニット1の耐火性能を向上させることができる。また、シール部材32が貫通孔36の下端と貫通孔38の上端との間にあることにより、連結部材3を設置する際に、固定具5a、5cがシール部材32に当たりにくくなるため、シール部材32にちぎれ等の破損が生じにくくなる。このため、シール部材32は隙間4を気密にシールできる。シール部材32として、例えば、難燃性ゴム材料などを用いることができる。
切欠き部31は、図2Aのように左右方向D2における板部33の両端を切り欠くようにして形成された部分である。切欠き部31は、上下方向D1で板部33の幅を二等分する中央よりも第2フランジ部34b側にある。切欠き部31は、上端と下端とを有すると共に、この上端及び下端の間の寸法である幅を有する。このため、切欠き部31の幅方向は、上下方向D1と平行である。切欠き部31の幅は、上下方向D1における隙間4の幅と同じであるか、または隙間4の幅よりも大きいことが好ましい。この場合、連結部材3を設置する際に、作業者は切欠き部31と隙間4とが重なっている状態を目視で確認できるため、連結部材3を容易に位置決めできる。連結部材3を位置決めするにあたって、切欠き部31の上端を隙間4の上端に合わせるか、または切欠き部31の下端を隙間4の下端に合わせることができる。
フランジ部34は、上下方向D1における板部33の両端から厚み方向D3で耐火パネル2とは反対側に向かって突出する部分である(図6参照)。このようなフランジ部34は、図2Aのように、左右方向D2において、板部33よりも短い。すなわち、板部33はフランジ部34よりも長い(図2A参照)。このため、連結部材3が設置された状態で、図3のように、ロックウール等の耐火材43を連結部材3と耐火パネル4とに吹き付ける際、連なった耐火材43を突出部33aと耐火パネル2とに設けることができる。すなわち、板部33とフランジ部34とをつなぐ部分と耐火パネル2との間に隙間が生じても、連なった耐火材43を突出部33aと耐火パネル2とに設けることで、パネルユニット1の耐火性能を向上させることができる。耐火材43を吹き付けるにあたって、任意のシール材で隙間4を予め塞いでおくことが好ましい。
フランジ部34は、第1フランジ部34aと、第2フランジ部34bとを備える(図2A参照)。第1フランジ部34aは、板部33の上端から厚み方向D3で耐火パネル2とは反対側に向かって突出する部分である。第2フランジ部34bは、板部33の上端から厚み方向D3で耐火パネル2とは反対側に向かって突出する部分である。そして、第1フランジ部34aのみにマーク35が形成されている。このマーク35は、左右方向D2における第1フランジ部34aの両端部に形成されている。第1フランジ部34aのみにマーク35が形成されていることにより、連結部材3を設置する際に、連結部材3の上下を確実に視認できるため、連結部材3の上下を誤認させにくくできる。マーク35は、本実施形態では、第1フランジ部34aを上下方向D1に貫通する孔である。
耐火パネル2は、図4A~図4Cのようなサンドイッチパネル20であって、第1金属外皮21と、第2金属外皮22と、芯材23とを備える。
第1金属外皮21及び第2金属外皮22は、金属板をロール成形などで加工することによって形成される。金属板としては、亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板、塗装鋼板などが用いられる。第1金属外皮21及び第2金属外皮22の板厚は、例えば、0.3~1.5mmである。
第1金属外皮21は、図4A~図4Cのように、パネルユニット1が建物に設置された状態で、芯材23よりも屋外側にある。第2金属外皮22は、芯材23よりも屋内側にある。そして、第1金属外皮21と第2金属外皮22との間に芯材23がある。すなわち、芯材23は、第1金属外皮21と第2金属外皮22とに覆われている。
芯材23は、断熱材230と耐火材231の組み合わせで構成される。断熱材230は、ロックウール、グラスウールなどの繊維状無機材をバインダーなどで固めて形成したブロック体を、複数並べて、全体形状が板状となるように配置したものである。耐火材231は、断熱材230に比べて耐火性の高い部材であり、例えば、石膏ボード、珪酸カルシウムボードなどである。
耐火材231は、芯材23の屋内側の部分を構成する第1耐火材23aと、芯材23の上端部にある第2耐火材23bと、芯材23の下端部にある第3耐火材23cとを備える。断熱材230は、芯材23の屋外側の部分を構成する。厚み方向D3において、第1耐火材23aは芯材23の厚みのおよそ三分の一であり、断熱材230は芯材23の厚みのおよそ三分の二である。芯材23は、左右方向D2に亘って材質が一定である。すなわち、芯材23は、左右方向D2に亘って、断熱材230と、第1耐火材23aと、第2耐火材23bと、第3耐火材23cとを有する。
本実施形態のパネルユニット1では、複数の耐火パネル2は3種の耐火パネル2により構成される。この3種の耐火パネル2は、それぞれ、下段、中段、及び上段の耐火パネル2を構成し、これらの耐火パネル2が上下方向D1に並んで板状をなす(図1参照)。このため、下段の耐火パネル2はパネルユニット1の下部を構成し、中段の耐火パネル2はパネルユニット1の中部を構成し、上段の耐火パネル2はパネルユニット1の上部を構成する。
下段の耐火パネル2は、図4Aのように、第2耐火材23bの上端で上方に突出する上接続部26を有している。この上接続部26では、第4耐火材23dが第1金属外皮21により覆われている。第4耐火材23dとして、例えば、石膏ボード、珪酸カルシウムボードなどを用いることができる。また、第1金属外皮21は、芯材23の屋外側の面に取り付けられる第1本体部21aと、第1本体部21aの下端から屋内側に延びる第1下片部21bとを備える。第2金属外皮22は、芯材23の屋内側の面に取り付けられる第2本体部22aと、第2本体部22aの下端から屋外側に延びる第2下片部22bとを備える。そして、第1及び第2下片部21b、22bは第2連結板24bにより連結される(図4A参照)。第1及び第2金属外皮21、22を連結するにあたって、第1及び第2下片部21b、22bの各々と第2連結板24bとが重なる位置で固定具52が上下方向D1で芯材23に向かって打ち込まれる。
下段の耐火パネル2において、第1金属外皮21は第1側片部21dを更に備え、第2金属外皮22は第2側片部22dを更に備える(図1参照)。第1側片部21dは、第1本体部21aの側端から屋内側に延びる部分である。第2側片部22dは、第2本体部22aの側端から屋外側に延びる部分である。そして、第1及び第2側片部21d、22dは第1連結板24aにより連結される(図1参照)。第1及び第2金属外皮21、22を連結するにあたって、第1及び第2側片部21d、22dの各々と第1連結板24aとが重なる位置で固定具51が左右方向D2で芯材23に向かって打ち込まれる。
中段の耐火パネル2は、図4Bのように、下段の耐火パネル2と同様の上接続部26と、第3耐火材23cの下端で下方に突出する下接続部27とを有する。この上接続部26では、第5耐火材23eのうち、屋内側面及び下端が第2金属外皮22により覆われ、屋外側面が第1金属外皮21により覆われている。第5耐火材23eとして、例えば、石膏ボード、珪酸カルシウムボードなどを用いることができる。また、第1金属外皮21は、芯材23の屋外側の面に取り付けられる第1本体部21aを備える。第2金属外皮22は、芯材23の屋内側の面に取り付けられる第2本体部22aを備える。
上段の耐火パネル2は、中段の耐火パネル2と同様の下接続部27を有する。また、第1金属外皮21は、第1本体部21aと、第1本体部21aの上端から屋内側に延びる第1上片部21cとを備える。第2金属外皮22は、第2本体部22aと、第2本体部22aの上端から屋外側に延びる第2上片部22cとを備える。そして、第1及び第2上片部21c、22cは第2連結板24bにより連結される(図4C参照)。第1及び第2金属外皮21、22を連結するにあたって、第1及び第2上片部21c、22cの各々と第2連結板24bとが重なる位置で固定具52が上下方向D1で芯材23に向かって打ち込まれる。
上段の耐火パネル2において、第1金属外皮21は第1側片部21dを更に備え、第2金属外皮22は第2側片部22dを更に備える(図1参照)。そして、第1及び第2側片部21d、22dは第1連結板24aにより連結される(図1参照)。第1及び第2金属外皮21、22を連結するにあたって、第1及び第2側片部21d、22dの各々と第1連結板24aとが重なる位置で固定具51が左右方向D2で芯材23に向かって打ち込まれる。
本実施形態のパネルユニット1では、図5のように、下段の耐火パネル2の上に中段の耐火パネル2を接続し、この中段の耐火パネル2の上に更に上段の耐火パネル2を接続する。このとき、下段の耐火パネル2の上接続部26よりも屋内側に中段の耐火パネル2の下接続部27が位置する。また中段の耐火パネル2の上接続部26よりも屋内側に上段の耐火パネル2の下接続部27が位置する。このようなパネルユニット1において、上下方向D1に隣り合う第1金属外皮21同士が接していることが好ましい。
そして、下段の耐火パネル2と中段の耐火パネル2とが接続し、中段の耐火パネル2と上段の耐火パネル2とが接続した状態で、上接続部26と下接続部27とが、図6のように固定具5aにより固定される。この場合、上接続部26の上端と下接続部27の下端との間は狭いため、固定具5aにより上接続部26と下接続部27と固定することは困難である。そこで、切欠き部31を隙間4に重ねて連結部材3を位置決めすることで、耐火パネル2に対する貫通孔36を固定する位置も容易に決めることができる。これにより、貫通孔36を通った固定具5aにより上接続部26と下接続部27とを確実に固定することができる。上接続部26と下接続部27とを確実に固定することにより、火災等の加熱時に隙間4が上下方向D1に更に開きにくくなるため、パネルユニット1の耐火性能を向上させることができる。固定具5aとして、例えば、ねじなどを用いることができる。上接続部26の上端と下接続部27の下端との間の距離は、例えば、10mm~15mmの範囲内である。
隙間4には、図6のように、第1耐火シート41と第2耐火シート42とを設けることが好ましい。第1耐火シート41は、上下方向D1で第2耐火材23bと第5耐火材23eとの間にある耐火性を有するシート状の部材である。第2耐火シート41は、厚み方向D3で第4耐火材23dと第5耐火材23eとの間にある耐火性を有するシート状の部材である。第1及び第2耐火シート41、42として、例えば、ロックウールフェルトなどを用いることができる。
本実施形態において、隙間4よりも上方にある耐火パネル2は貫通孔37を通った固定具5bにより固定される。また、隙間4よりも下方にある耐火パネル2は貫通孔38を通った固定具5cにより固定される。固定具5b、5cとして、例えば、ねじなどを用いることができる。
また、図6のように連結部材3を設置した状態で、隙間4を跨いで連結部材3と耐火パネル2との間にシール部材32が介在する。このため、シール部材32は隙間4を気密にシールでき、パネルユニット1の耐火性能を向上させることができる。
パネルユニット1は、上記の通り、複数の連結板24を備える。複数の連結板24は、パネルユニット1の側端、上端、及び下端において、第1金属外皮21と第2金属外皮22とを連結する板状の部材である(図1参照)。
連結板24は、パネルユニット1の側端、上端、及び下端において、第1金属外皮21と第2金属外皮22とを連結する板状の部材であって、金属板を打ち抜きなどで加工することによって形成される。金属板としては、例えば、亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板、塗装鋼板などが用いられる。連結板24は、図1のように、第1連結板24aと、第2連結板24bとを備える。
第1連結板24aは、パネルユニット1の側端において、第1金属外皮21と第2金属外皮22とを連結する板状の部材である。このような第1連結板24aと第1及び第2金属外皮21、22の各々と重なる位置で固定具51が左右方向D2で芯材23に向かって打ち込まれている。左右方向D2に見た第1連結板24aの平面形状として、例えば、円形、楕円形、並びに四角形及び六角形等の多角形が挙げられる。また、固定具51として、例えば、ねじなどを用いることができる。
第2連結板24bは、パネルユニット1の上端及び下端において、第1金属外皮21と第2金属外皮22とを連結する板状の部材である。このような第2連結板24bと第1及び第2金属外皮21、22の各々と重なる位置で固定具52が上下方向D1で芯材23に向かって打ち込まれている。上下方向D1に見た第2連結板24bの平面形状として、例えば、円形、楕円形、並びに四角形及び六角形等の多角形が挙げられる。また、固定具52として、例えば、ねじなどを用いることができる。
本実施形態では、パネルユニット1の中部において、上接続部26と下接続部27とが接続しているため、下段及び中段の耐火パネル2の上端に第2連結板24bが設けられていなく、中段及び上段の耐火パネル2の下端に第2連結板24bが設けられていない。
パネルユニット1は、ビル等の大型建物の外壁となるカーテンウォールに用いられることが好ましく、特にこのカーテンウォールが備えるスパンドレル部に用いられることが好ましい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るパネルユニット1を、図7~図9を参照して説明する。また、下記において、第1実施形態と共通する構成は、図面に同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
パネルユニット1は、図7のように、複数の耐火パネル2と、隙間4と、連結部材3と、複数の連結板24とを備える。パネルユニット1は、図8のように、シール部材32を更に備える。
連結部材3は、板部33と、切欠き部31と、フランジ部34とを備える。板部33は、本体部33bと、突出部33aとを有する。本体部33bには、図7のように、複数の貫通孔37と複数の貫通孔38が形成されているが、図2Aのような貫通孔36が形成されていない。このため、シール部材32は、左右方向D2において貫通孔37の上端を繋いでいることが好ましい(図8参照)。フランジ部34は、第1フランジ部34aと、第2フランジ部34bとを備える。第1フランジ部34aのみにマーク35が形成されている。
複数の耐火パネル2の各々は、図7のようなサンドイッチパネル20であって、第1金属外皮21と、第2金属外皮22と、芯材23とを備える。芯材23は断熱材230と耐火材231とにより構成され、耐火材231は、第1耐火材23aと、第2耐火材23bと、第3耐火材23cとを備える。
本実施形態のパネルユニット1では、同形状の耐火パネル2が用いられる。このため、耐火パネル2は、図4A~図4Cのような上接続部26及び下接続部27を備えず、耐火材231は、第4及び第5耐火材23d、23eを備えない(図8参照)。これにより、耐火パネル2の上端及び下端は略平坦となる。耐火パネル2の上端及び下端が略平坦であっても、複数の耐火パネル2が上下方向D1に並んだ状態で、隣り合う耐火パネル2同士の間に隙間4が形成される(図8参照)。そして、この隙間4に切欠き部31を重ねて連結部材3を位置決めし、隙間4をシール部材32で塞ぐ。連結部材3の位置決め後、隙間4よりも上方にある耐火パネル2は貫通孔37を通った固定具5bにより固定される。また、隙間4よりも下方にある耐火パネル2は貫通孔38を通った固定具5cにより固定される。
複数の連結板24は、図9のように、第1連結板24aと、第2連結板24bとを備える。
第1連結板24aは、図9のように、各耐火パネル2の側端において、第1金属外皮21と第2金属外皮22とを連結する板状の部材である。このような第1連結板24aと第1及び第2金属外皮21、22の各々と重なる位置で固定具51が左右方向D2で芯材23に向かって打ち込まれている。
第2連結板24bは、図9のように、各耐火パネル2の上端及び下端において、第1金属外皮21と第2金属外皮22とを連結する板状の部材である。このような第2連結板24bと第1及び第2金属外皮21、22の各々と重なる位置で固定具52が上下方向D1で芯材23に向かって打ち込まれている。
耐火パネル2は、図9のように段差緩和部24cを更に備える。段差緩和部24cは、上下方向D1における耐火パネル2の両端に設けられている。具体的には、耐火パネル2の上端では、段差緩和部24cと第2連結板24bとがこの順で設けられ、耐火パネル2の下端では、第2連結板24bと段差緩和部24cとがこの順で設けられている。このような段差緩和部24cは、第1金属外皮21を屋外側に切り欠くと共に、第2金属外皮22を屋内側に切り欠くようにして形成されている。耐火パネル2の上端にある段差緩和部24cは、上下方向D1において、耐火パネル2の下端にある第2連結板24bと重なる位置に設けられている。また、耐火パネル2の下端にある段差緩和部24cは、上下方向D1において、耐火パネル2の上端にある第2連結板24bと重なる位置に設けられている。また、上下方向D1で見た耐火パネル2の平面視において、段差緩和部24cは、第2連結板24bよりも大きい。また、段差緩和部24cは、上下方向D1に深さを有する。段差緩和部24cの深さは、第1及び第2金属外皮21、22の厚みと同じであってもよく、第1及び第2金属外皮21、22の厚みよりも大きくてもよい。段差緩和部24cの深さが第1及び第2金属外皮21、22の厚みよりも大きい場合、芯材23のうち、段差緩和部24cが位置する部分を必要な深さだけ取り除いてもよい。
本実施形態では、複数の耐火パネル2が上下方向D1に並んだ状態の隙間4において、この隙間4よりも上方の耐火パネル2の下端にある第2連結板24は、隙間4よりも下方の耐火パネル2の上端にある段差緩和部24cに嵌まり込む。また、隙間4よりも下方の耐火パネル2の上端にある第2連結板24は、隙間4よりも上方の耐火パネル2の下端にある段差緩和部24cに嵌まり込む。
上記のように第2連結板24が段差緩和部24cに嵌まり込むことで、この第2連結板24による段差を段差緩和部24cが緩和する。これにより、隙間4を小さくできるため、パネルユニット1の耐火性能を向上させることができる。本実施形態では、上下方向D1において隣り合う耐火パネル2同士が接していることが好ましい。この場合、耐火パネル2同士が隣り合う部分の境界を隙間4とする。
本実施形態のパネルユニット1では、複数の耐火パネル2は3種の耐火パネル2により構成される。この3種の耐火パネル2は、それぞれ、下段、中段、及び上段の耐火パネル2を構成し、これらの耐火パネル2が上下方向D1に並んで板状をなす(図7参照)。
3種の耐火パネル2を並べるにあたって、下段の耐火パネル2の上端を中段の耐火パネル2の下端に接続し、中段の耐火パネル2の上端を中段の耐火パネル2の下端に接続する。
また、本実施形態では、隙間4に任意の耐火シートを設けてもよい。この耐火シートとして、例えば、ロックウールフェルトなどを用いることができる。
<変形例>
上記実施形態では下段、中段、及び上段の耐火パネル2を上下方向D1に並べたが、変形例では中段の耐火パネル2を用いなくてもよい。すなわち、下段の耐火パネル2と上段の耐火パネル2とを上下方向D1に並べて板状をなしてもよい。
上記実施形態では下段、及び上段の耐火パネル2の間に中段の耐火パネル2を1つ設けたが、変形例では下段、及び上段の耐火パネル2の間に中段の耐火パネル2を2つ以上設けてもよい。
上記実施形態では切欠き部31は突出部33aだけに形成されているが、変形例では連結部材3が一体であれば、切欠き部31は突出部33aの一端から本体部33bの途中まで切り欠くようにして形成されていてもよい。
上記実施形態ではフランジ部34のうち第1フランジ部34aのみにマーク5が形成されているが、変形例ではマーク5が第1フランジ部34aの代わりに第2フランジ部24bに形成されていてもよい。
上記実施形態では本体部33bと耐火パネル2との間に隙間が形成されているが、変形例では固定具5b、5cを打ち込むことで、上下方向D1における本体部33bの両端部は耐火パネル2に接してもよい。また、上下方向D1における突出部33aの両端部と耐火パネル2とが確実に接するよう、ねじなどの固定具を突出部33aに打ち込んでもよい。
上記実施形態ではマーク5が第1フランジ部34aのみに形成されているが、変形例ではマーク5が第1フランジ部34aの代わりに突出部33aに形成されていてもよい。
上記実施形態ではマーク5が第1フランジ部34aのみに形成されているが、変形例ではマーク5が第1フランジ部34aの代わりに本体部33bに形成されていてもよい。
上記実施形態では芯材23は断熱材230と耐火材231とにより構成されるが、変形例では芯材23は断熱材230のみから構成されていてもよい。この場合、断熱材230は、断熱性と耐火性との両方を有することが好ましい。
上記第1実施形態では、下接続部27は、上接続部26よりも屋内側に位置するようにして設けられているが、変形例では、厚み方向D3において上接続部26及び下接続部27の位置を逆にして、上接続部26が下接続部27よりも屋内側に位置するようにしてもよい。この場合、連結部材3を上下反転して使用することができる。
<まとめ>
上記の実施形態及び変形例に示す通り、本開示は下記の態様を含む。
第1態様は、建物に設置されるパネルユニット(1)であって、複数の耐火パネル(2)と、連結部材(3)と、隙間(4)とを備える。複数の耐火パネル(2)は、全体として板状をなすよう並べられたものである。隙間(4)は、一方向(D1)に隣り合う耐火パネル(2)同士の間にある。連結部材(3)は、複数の耐火パネル(2)のうち、一方向(D1)に隣り合う耐火パネル(2)同士を連結するものであって、板部(33)と、切欠き部(31)とを備える。板部(33)は、耐火パネル(2)に対向する。切欠き部(31)は、一方向(D1)と交差する交差方向(D2)における板部(33)の両端を切り欠くようにして形成されたものである。切欠き部(31)は、耐火パネル(2)の厚み方向(D3)に見た正面視において、隙間(4)と重なっている。
第1態様によれば、連結部材(3)を設置する際、切欠き部(31)を隙間(4)に重ねることで、連結部材(3)を容易に位置決めできる。
第2態様は、第1態様のパネルユニット(1)であって、連結部材(3)は、フランジ部(34)を更に備える。フランジ部(34)は、一方向(D1)における板部(33)の両端から厚み方向(D3)で耐火パネル(2)とは反対側に向かって突出するものである。板部(33)は、交差方向(D2)おいて、フランジ部(34)よりも長い。
第2態様によれば、連結部材(3)が設置された状態で、ロックウール等の耐火材を連結部材(3)と耐火パネル(4)とに吹き付ける際、連なった前記耐火材を突出部(33a)と耐火パネル(2)とに設けることができる。このため、板部(33)とフランジ部(34)とをつなぐ部分と耐火パネル(2)との間に隙間が生じても、連なった前記耐火材を突出部(33a)と耐火パネル(2)とに設けることで、パネルユニット(1)の耐火性能を向上させることができる。
第3態様は、第1又は第2態様のパネルユニット(1)であって、シール部材(32)を更に備える。シール部材(32)は、耐火パネル(2)と連結部材(3)との間で隙間(4)を塞ぐ。
第3態様によれば、シール部材(32)は隙間(4)を気密にシールできる。
第4態様は、第3態様のパネルユニット(1)であって、シール部材(32)は、連結部材(3)に貼付けられている。
第4態様によれば、連結部材(3)を設置する際、切欠き部(31)を隙間(4)に重ねて連結部材(3)を位置決めしながら、シール部材(32)で隙間(32)を容易に塞ぐことができる。
第5態様は、第1~第4態様のいずれか1つのパネルユニット(1)であって、複数の耐火パネル(2)の各々は、第1金属外皮(21)と、第2金属外皮(22)と、第1金属外皮(21)と第2金属外皮(22)との間にある芯材(23)とを備えるサンドイッチパネルである。
第5態様によれば、連結部材(3)を設置する際、切欠き部(31)を隙間(4)に重ねることで、連結部材(3)を容易に位置決めできる。
第6態様は、第5態様のパネルユニット(1)であって、複数の連結板(24)を更に備える。複数の連結板(24)は、第1金属外皮(21)と第2金属外皮(22)とを連結する。
第6態様によれば、連結部材(3)を設置する際、切欠き部(31)を隙間(4)に重ねることで、連結部材(3)を容易に位置決めできる。
第7態様は、第5又は第6態様のパネルユニット(1)であって、一方向(D1)に複数の耐火パネル(2)が並んだ状態で、隣り合う第2金属外皮(22)同士の間に隙間(4)がある。
第7態様によれば、連結部材(3)を設置する際、切欠き部(31)を隙間(4)に重ねることで、連結部材(3)を容易に位置決めできる。
第8態様は、第6又は第7態様のパネルユニット(1)であって、複数の連結板(24)は、第1連結板(24a)と、第2連結板(24b)とを備える。第1連結板(24a)は、パネルユニット(1)の側端に設けられたものである。第2連結板(24b)は、一方向(D1)におけるパネルユニット(1)の両端に設けられたものである。
第8態様によれば、連結部材(3)を設置する際、切欠き部(31)を隙間(4)に重ねることで、連結部材(3)を容易に位置決めできる。
第9態様は、第8態様のパネルユニット(1)であって、第2連結板(24b)は、一方向(D1)における耐火パネル(2)の両端に設けられている。
第9態様によれば、連結部材(3)を設置する際、切欠き部(31)を隙間(4)に重ねることで、連結部材(3)を容易に位置決めできる。
第10態様は、第9態様のパネルユニット(1)であって、耐火パネル(2)は、段差緩和部(24c)を更に備える。段差緩和部(24c)は、隙間(4)において、第2連結板(24)による段差を緩和する。
第10態様によれば、隙間(4)を小さくできるため、パネルユニット(1)の耐火性能を向上させることができる。