ところが、上記特許文献に開示の操作桿カバーには、以下のような解決すべき問題点が存在する。具体的には、上記の操作桿カバーでは、装着部、柱状部および吸盤部が合成樹脂や合成ゴムなどで一体形成されている。このため、上記特許文献に開示の操作桿カバーを介して操作桿を傾動操作するときには、基本的には、操作桿カバーの高さに相当する長さだけ軸線方向に延長した操作桿を操作するのと同様の軌跡でこれを操作することとなる。
この場合、上記特許文献に開示されている操作桿のような操作用スティックは、スティックコントローラの内部に規定されている基点を中心として傾動させられることで任意の方向を指示することができるように構成されている。このため、この種の操作用スティックでは、非操作状態(直立状態)と、操作状態(傾動状態)とで頭部の上面(操作時に使用者の指が接する面)の傾斜角度が相違する状態となる。したがって、このような操作用スティック(操作桿)に操作桿カバーを装着した状態で傾動操作するときには、操作桿の頭部における上面の傾きと同様の傾斜角度で操作桿カバーの吸盤部における上面を傾ける必要がある。
なお、上記特許文献に開示の操作桿カバーでは、親指で操作することを想定して配設されている操作用スティック(操作桿)を、掌に吸盤部を吸着させた状態の操作桿カバーを介して操作するといった特殊な操作形態での使用を意図して構成されているが、親指で操作されることを想定された操作用スティックを親指で操作するときの操作感の向上を目的として操作用スティック(頭部)に装着されるカバーも存在する。このようなカバーにおいても、使用者の親指に接するパッド部の形状が上記の操作桿カバーにおける吸盤部とは相違するものの、使用時には、操作用スティックの頭部における上面の傾きと同様の傾斜角度でパッド部における上面を傾ける必要がある。
一方、家庭用ゲーム機の普及や、いわゆる「eスポーツ」の競技人口の増加に伴い、手大きさや形状が異なる様々な使用者によってスティックコントローラが使用されている。これに応じて、操作用スティックの長さや頭部の大きさが異なる各種のスティックコントローラが提供されており、手の大きさや形状が異なる様々な使用者が、それぞれの指の可動範囲内で操作用スティックを傾動操作することが可能となっている。しかしながら、使用者の手の大きさや形状の種類は無数に存在し、スティックコントローラの持ち方も使用者毎に相違するため、例え、任意の大きさのスティックコントローラを用意したり上記のようなカバーを装着したりしたとしても、個々の好みに応じた操作感が得られる状態とするのは非常に困難である。
具体的には、この種のスティックコントローラでは、操作用スティックをいずれの向きに傾動させたとしても、使用者の指が接している操作部(パッド部)は、操作用スティックの傾動量に応じた角度で同様に傾斜した状態となる。具体的には、操作用スティックを左向きに5度傾動させたときには、操作部(パッド部)が左向きに5度傾斜した状態となり、操作用スティックを右向きに5度傾動させたときには、操作部(パッド部)が右向きに5度傾斜した状態となる。これに対して、使用者の指は、手の大きさや、スティックコントローラの持ち方により、操作用スティックを左向きに傾動させるときと、右向きに傾動させるときとで指(操作部に接する指の腹)の傾斜が相違する状態となることが多い。このため、操作部の傾斜角度と使用者の指(指の腹)の傾斜角度とが一致ない状態となることがあり、操作用スティックの頭部、または、頭部に装着されたカバーに対する指の滑りが生じ易くなっている現状がある。
したがって、激しい操作を行っているときなどに、操作用スティックやカバーから指が外れてしまい、操作用スティックに対する傾動操作が中断されてしまうことがあるという問題点が存在する。また、操作用スティックやカバーから指が外れなかった場合においても、操作用スティックを傾動させる向きによって操作感が異なる状態となっていることで、繊細な操作を行うときに違和感を覚えることもある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、手の大きさや形状、およびスティックコントローラの持ち方が異なる様々な使用者が、違和感なく確実に操作用スティックを傾動操作し得る操作補助具を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1記載の操作補助具は、操作用スティックに対する傾動操作の操作方向および操作量に応じた操作信号を出力可能に構成されたスティックコントローラにおける当該操作用スティックに装着されて当該傾動操作を補助する操作補助具であって、前記操作用スティックの先端部に嵌着可能に構成された取付部と、前記取付部に対する揺動が可能にボールジョイント機構を介して当該取付部に取り付けられたパッド部とを備え、前記ボールジョイント機構は、前記取付部および前記パッド部のいずれか一方に立設されたシャフト部の先端にボール部が設けられたボールスタッドと、前記ボール部の嵌入が可能に前記取付部および前記パッド部の他方にボール受け部が設けられたソケットとを備えて構成されている。
また、請求項2記載の操作補助具は、請求項1記載の操作補助具において、前記ボールジョイント機構は、前記ボールスタッドが前記取付部に設けられると共に前記ソケットが前記パッド部に設けられている。
また、請求項3記載の操作補助具は、請求項2記載の操作補助具において、前記パッド部において操作者の指に接する操作部には、前記ボールスタッドに前記ソケットが嵌着された状態において当該ボールスタッドのボール部を露出させるボール部露出孔が開口されている。
さらに、請求項4記載の操作補助具は、請求項2または3記載の操作補助具において、前記シャフト部に対して取外し可能に装着された鍔状部材を備え、前記鍔状部材は、前記シャフト部に装着された状態において前記取付部に対して前記パッド部が傾動させられたときに当該パッド部における前記取付部側の端部が当該鍔状部材に対して点的に接する厚みに形成されて当該取付部に対する当該パッド部の傾動量を制限可能に構成されている。
また、請求項5記載の操作補助具は、請求項1から3のいずれかに記載の操作補助具において、前記ボールジョイント機構は、前記ボール部と前記ボール受け部との間に配設されて当該ボール受け部の底部から当該ボール部を離間させる付勢部材を備えている。
また、請求項6記載の操作補助具は、請求項1から3のいずれかに記載の操作補助具において、前記取付部および前記パッド部の少なくとも一方に配設されて、非操作状態において当該取付部に対して当該パッド部を予め規定された非操作時位置に磁力によって案内するマグネットを備えている。
請求項1記載の操作補助具では、操作用スティックの先端部に嵌着可能に構成された取付部と、取付部に対する揺動が可能にボールジョイント機構を介して取付部に取り付けられたパッド部とを備え、ボールジョイント機構が、取付部およびパッド部のいずれか一方に立設されたシャフト部の先端にボール部が設けられたボールスタッドと、ボール部の嵌入が可能に取付部およびパッド部の他方にボール受け部が設けられたソケットとを備えて構成されている。
したがって、請求項1記載の操作補助具によれば、操作用スティックを操作しようとする指の動きに応じた傾斜状態となるように取付部に対するパッド部の揺動が許容されるため、パッド部における十分に広い領域を指の腹に接触させた状態を維持しつつ操作用スティックを操作することができる。これにより、操作用スティックの操作時にパッド部に対する指の滑りが生じる事態を好適に回避できるため、手の大きさや形状、およびスティックコントローラの持ち方が異なる様々な使用者が、違和感なく確実に操作用スティックを傾動操作することができる。
請求項2記載の操作補助具によれば、ボールスタッドが取付部に設けられると共にソケットがパッド部に設けられたボールジョイント機構を備えたことにより、パッド部を取り外した状態の取付部だけを操作用スティックに装着し、取付部に配設されているボールスタッドのボール部に指を添えてこれを操作することで、ボール部を指の腹に食い込ませた状態での操作が可能となり、取付部(ボール部)に対する指の滑りを確実に回避することができるため、操作用スティックを一層確実に傾動操作することができる。
請求項3記載の操作補助具によれば、ボールスタッドのボール部を露出させるボール部露出孔をパッド部における操作部に開口したことにより、パッド部に対する力の加え方(操作部に対する指の当て方)を任意に調整することにより、ボール部露出孔から露出しているボール部に対して指の腹を強く押し付けなければ、取付部に対してパッド部を回動(揺動)させるような操作態様で操作用スティックを傾動させることができ、ボール部露出孔から露出しているボール部に対して指の腹を強く押し付けるようにすることで、取付部からパッド部を取り外した状態において取付部だけを操作するのと同様の操作態様で操作用スティックを傾動させることができる。これにより、パッド部の脱着を行わなくても、操作者の好みに応じた操作態様で操作用スティックを操作することができる。
請求項4記載の操作補助具によれば、シャフト部に装着された状態において取付部に対してパッド部が傾動させられたときにパッド部における取付部側の端部が鍔状部材に対して点的に接する厚みに形成されて取付部に対するパッド部の傾動量を制限可能に構成された鍔状部材を備えたことにより、傾動量がある程度大きくなった状態から操作用スティックをさらに傾動させるときに、取付部に対するパッド部の揺動が規制された状態でこれを操作することができるため、パッド部に加える力を操作用スティックの傾動に効率よく作用させることができると共に、操作している指の腹の傾斜に応じてパッド部を傾斜させた状態で操作することができるため、パッド部に対する指の滑りを一層好適に回避することができる。
請求項5記載の操作補助具によれば、ボール部とボール受け部との間に配設されてボール受け部の底部からボール部を離間させる付勢部材を備えたことにより、付勢部材による付勢方向に沿って加える力が弱い状態では、取付部に対するパッド部の揺動が許容されると共に、付勢方向に沿って加える力を大きくして付勢部材による付勢力に抗してボール部に対してボール受け部の底部を押し付けた状態とすることで、取付部に対するパッド部の揺動を抑制することができ、恰も、操作補助具の高さの分だけ延長した操作用スティックを直接操作しているかのような操作感でこれを操作することができる。
請求項6記載の操作補助具によれば、取付部およびパッド部の少なくとも一方に配設されて、非操作状態において取付部に対してパッド部を予め規定された非操作時位置に磁力によって案内するマグネットを備えたことにより、パッド部から指を離すことで、操作用スティックが非操作状態に復帰するのと同時に、パッド部が非操作時位置に復帰するため、違和感なく再操作を開始することができる。
以下、本発明に係る操作補助具の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、操作補助具1の構成について添付図面を参照して説明する。
図1に示す操作補助具1は、スティックコントローラ10の操作用スティック11に装着されて操作用スティック11に対する傾動操作を補助することができるように構成されている。この場合、スティックコントローラ10は、「操作用スティックに対する傾動操作の操作方向および操作量に応じた操作信号を出力可能に構成されたスティックコントローラ」の一例であって、ゲーム機などの各種電子機器に接続して使用したり、ラジオコントロール機器やリモートコントロール機器の遠隔操作装置搭載して使用したりすることができるように構成されている。また、操作用スティック11は、「操作用スティック」の一例であって、1本の指(一例として、親指)によって操作することを想定して構成されている。この操作用スティック11は、先端部11aが円板状に形成されると共に、スティックコントローラ10の内部に規定された基点を中心として任意の方向に傾動させられることで任意の方向を指示することができるように構成されている。
一方、操作補助具1は、「操作補助具」の一例であって、取付部2、パッド部3、スプリング4およびカラー5を備えている。
取付部2は、「取付部」の一例であって、操作用スティック11の先端部11aに嵌着することができるように構成されている。この取付部2は、操作用スティック11の先端部11aにおける上面(操作補助具1等を装着せずに操作用スティック11を直接操作するときに使用者の指が接する部位)に接して先端部11aを覆うように構成された円板状のベース部21と、先端部11aからベース部21が離脱するのを規制する4本の係合用爪部22,22・・とを備えている。なお、係合用爪部22の本数については4本に限定されず、3本、または5本以上の多数本とすることができる。さらに、係合用爪部22をベース部21の周方向に沿って十分に幅広に形成することで、対向配置した2本の係合用爪部22によって取付部2を操作用スティック11(先端部11a)に嵌着する構成を採用することもできる。
また、取付部2には、後述するようにパッド部3に設けられたソケット32と相俟って「ボールジョイント機構」の一例であるボールジョイント機構BJを構成するボールスタッド23(「ボールスタッド」の一例)がベース部21の中央部に立設されている。具体的には、本例の操作補助具1では、ベース部21に立設された円柱状のシャフト部23a(「取付部およびパッド部のいずれか一方に立設されたシャフト部」の一例)と、シャフト部23aの先端に設けられたボール部23b(「ボール部」の一例)とでボールスタッド23が構成されている。この場合、本例の操作補助具1では、一例として、ベース部21、係合用爪部22,22・・およびボールスタッド23が樹脂材料によって一体成形されている。
パッド部3は、「パッド部」の一例であって、取付部2に対する揺動が可能にボールジョイント機構BJを介して取付部2に取り付けられている。このパッド部3は、使用者の指に接する操作部31の下方中央部に、前述のボールスタッド23と相俟ってボールジョイント機構BJを構成するソケット32(「ソケット」の一例)におけるボール受け部32a(「ボール部の嵌入が可能に取付部およびパッド部の他方に設けられたボール受け部」の一例)が形成されている。また、ボール受け部32aの中央部には、スプリング4を挿入可能な挿入孔31hが形成されている。この場合、本例の操作補助具1では、一例として、パッド部3がステンレススチール等の金属材料で形成されている。
スプリング4は、「付勢部材」の一例であって、パッド部3の挿入孔31hに一端部が挿入された状態でボールスタッド23のボール部23bとソケット32のボール受け部32aとの間に配設されてボール受け部32aの底部からボール部23bを相対的に離間させる向きでパッド部3に対して取付部2を付勢する。なお、本例の操作補助具1では、パッド部3に形成された挿入孔31hにスプリング4の一端を挿入した状態で取付部2とパッド部3との間にスプリング4を配置する構成を採用しているが、このような構成に代えて、スプリング4を挿入可能な挿入孔をボールスタッド23におけるボール部23bの突端に形成し、この挿入孔にスプリング4の一端を挿入した状態で取付部2とパッド部3との間にスプリング4を配置する構成を採用することもでききる。
カラー5は、「シャフト部に対して取外し可能に装着された鍔状部材」の一例であって、後述するように、ボールスタッド23のシャフト部23aに装着された状態において取付部2に対してパッド部3が傾動させられたときにパッド部3における取付部2側の端部が点的に接する厚みに形成されて取付部2に対するパッド部3の傾動量を制限することができるように構成されている。この場合、カラー5は、一例として、弾性変形による拡径が可能な弾性樹脂材料によってリング状(平ワッシャ形状)に形成されると共に、非変形状態における内径がシャフト部23aの外径よりも大きく、かつボール部23bの外径よりも小さくなるように構成されている。
また、本例の操作補助具1では、同図に示すカラー5とは厚みが異なる各種のカラー(図示せず)が用意されており、同図のカラー5に代えて任意の厚みのカラーをシャフト部23aに装着して使用することができるように構成されている。なお、本例では、一例として、初期状態において中程度の厚みのカラー5がシャフト部23aに装着されているものとする。
次に、操作補助具1の使用方法の一例について添付図面を参照して説明する。
最初に、操作用スティック11に操作補助具1を装着する。具体的には、操作用スティック11における先端部11aの上面にベース部21の底面を対向させるように配置した状態で操作用スティック11の基端部側に向かって操作補助具1を相対的に移動させる。この際には、ベース部21の外縁部に設けられている各係合用爪部22が外向きに押し拡げられるようにして弾性変形すると共に、図1に示すように、ベース部21の底面が先端部11aの上面に接する状態まで操作補助具1が移動させられたときに、各係合用爪部22が先端部11aに係合した状態となる。これにより、操作用スティック11に対する操作補助具1の装着が完了する。
次いで、スティックコントローラ10を手に持ち、一例として、親指の腹をパッド部3における操作部31の上面に添える。この際に、本例の操作補助具1では、一例として、操作部31の上面が上向きに突出する緩やかな湾曲形状に形成されている。このため、親指の腹の十分に広い領域がパッド部3(操作部31)に接した状態となる。次いで、一例として、操作用スティック11を矢印Aの向きに傾動させるときには、パッド部3に添えた親指を矢印Bの向きに移動させる。
この際に、本例の操作補助具1とは異なり、操作用スティック11に嵌着されている取付部2に対するパッド部3の揺動が許容されない構成(ボールジョイント機構BJが存在しない構成)が採用されていた場合には、親指の移動に伴って操作用スティック11が矢印Aの向きに傾動させられたときに、操作補助具の全体が操作用スティック11と共に移動する(傾動させられる)。この結果、図2に破線で示すように、パッド部3に傾きが生じた状態となる。したがって、操作部31の上面(使用者の指が接している面)に傾きが生じた状態での操作が強要されることとなるため、使用者の手の大きさやスティックコントローラ10の持ち方によっては、操作部31に対する指の接触領域が減少し、操作部31に対する指の滑りが生じ易くなる。
これに対して、ボールジョイント機構BJを介して取付部2にパッド部3が取り付けられて取付部2に対するパッド部3の揺動が許容されている本例の操作補助具1では、一例として、操作用スティック11の傾動操作時に指の腹を大きく傾けることなく操作可能な大きな手の使用者が使用するときに、図2に実線で示すように、パッド部3に傾きを生じさせることなく、取付部2を操作用スティック11と共に傾動させることができる。具体的には、本例の操作補助具1では、ボールジョイント機構BJを介して取付部2にパッド部3が取り付けられているため、操作用スティック11と共に傾動する取付部2におけるボール部23bに対するパッド部3の矢印Cの向きへの相対的な回動が許容される。このため、操作部31の上面(使用者の指が接している面)に大きな傾きを生じさせることなく、パッド部3を矢印Bの向きに移動させることができる。この結果、操作部31の上面の十分に広い領域を指の腹に接触させた状態を維持しつつ操作を継続することができるため、操作部31に対する指の滑りを好適に回避することができる。
また、操作用スティック11を矢印Aの向きへさらに傾動させるときには、パッド部3に添えた親指を矢印Bの向きにさらに移動させる。この際には、矢印Bの向きへのパッド部3の移動に伴って取付部2と共に操作用スティック11が矢印Aの向きへさらに傾動させられる。この際に、取付部2に対するパッド部3の矢印Cの向きへの相対的な回動によって、図3に示すように、パッド部3の下端(「取付部2側の端部」)がカラー5に対して点的に接触させられる。この際には、取付部2に対するパッド部3の矢印Cの向きへの相対的な回動が規制される結果、パッド部3に添えた親指を矢印Bの向きに移動させようとしたときは、パッド部3が徐々に傾くようにして取付部2と共に矢印Aの向きに傾動させられる。
この場合、非操作状態からの操作用スティック11の傾動量が大きくなったときには、使用者の指の腹にも傾きが生じ易くなる。このため、非操作状態からの傾動量が大きくなったときに、取付部2に装着されているカラー5の上面にパッド部3の下端部を点的に接触させて取付部2に対するパッド部3の回動(揺動)を規制することで、操作用スティック11をさらに傾動させるための傾動操作時に、操作部31の上面の十分に広い領域を指の腹に接触させた状態を維持しつつ、パッド部3を矢印Bの向きに効率よく移動させることができる。
なお、上記の例とは相違するが、非操作状態からの傾動量が大きくなった状態においても操作部31に大きな傾きを生じさせることなく操作を継続したい場合(例えば、使用者の手が非常に大きく、指の可動範囲が広いとき)には、カラー5を薄厚のものに交換したり、カラー5をシャフト部23aから取り外したりすることで、取付部2に対するパッド部3の回動(揺動)が許容される範囲(パッド部3の下端部をカラー5に接触させることなく操作可能な範囲)を予め拡大しておくことができる。例えば、カラー5を取り外しておくことにより、図4に示すように、取付部2に対してパッド部3を矢印Cの向きに回動させることができる範囲が拡大される結果、図3に示す状態と同様の傾斜角度まで取付部2と共に操作用スティック11を傾動させたときにも、パッド部3に大きな傾きを生じさせることなくこれを操作することが可能となる。
また、非操作状態からの傾動量が小さい状態において取付部2に対するパッド部3の回動を規制したいとき(例えば、使用者の手が小さく、指の可動範囲が狭いとき)には、カラー5を厚手のものに交換することで、パッド部3の矢印Bの向きへの移動量に伴って取付部2に対してパッド部3が矢印Cの向きに僅かに回動した時点においてパッド部3の下端部をカラー5に点的に接触させ、以降の傾動操作において取付部2と共にパッド部3を傾けるようにして移動させることができる(図示せず)。このように、使用者の手の大きさ(指の可動範囲)や、使用者の好み(操作の癖)に応じて任意の厚みのカラー5を装着したり、カラー5を取り外した状態としたりすることにより、取付部2に対するパッド部3の回動(揺動)が許容される範囲を調整して、操作部31の上面を指の腹に好適に接触させた状態において操作を行うことが可能となる。
また、図1に示す非操作状態におけるベース部21の上面とパッド部3の下端部との離間距離と等しい厚みのカラー5をシャフト部23aに装着することで、取付部2に対するパッド部3の揺動が許容されない状態とすることもできる(図示せず)。このような状態で操作を行うことで、恰も軸線方向に延長された操作用スティック11を直接操作しているかのような操作感でこれを操作することが可能となる。
さらに、本例の操作補助具1では、カラー5の装着によって取付部2に対するパッド部3の回動を規制する上記のような使用方法だけでなく、ボールスタッド23のシャフト部23aにおける軸線方向に沿ってパッド部3を取付部2に押し付けた状態とすることで、取付部2に対するパッド部3の回動を抑制することが可能となっている。
具体的には、本例の操作補助具1では、図5に示すように、取付部2(ボールスタッド23におけるボール部23b)とパッド部3(ソケット32におけるボール受け部32a)との間に配設されているスプリング4による付勢力によってボール部23bの突端とボール受け部32aの底部との間に隙間が生じる状態となっている。このため、パッド部3(ボール受け部32aの底面)を取付部2(ボール部23bの突端面)に押し付ける力が弱い状態(スプリング4を縮長させる向きに加わる力が小さい状態)においては、前述のように取付部2に対するパッド部3の回動が許容されて、使用者の指の姿勢に応じた傾斜角度でパッド部3を傾けた状態で操作を行うことができる。なお、本明細書において参照する各図では、各構成要素の位置関係等に関する理解を容易とするために、ボール部23bとボール受け部32aとの間の隙間を誇張して大きく図示している。
一方、取付部2に対するパッド部3の傾きを生じさせずに操作を行いたいときには、スプリング4の付勢力に抗してパッド部3をボールスタッド23におけるシャフト部23aの軸線方向に沿って押し込むことにより、図6に示すように、パッド部3(ソケット32におけるボール受け部32a)を取付部2(ボールスタッド23におけるボール部23b)に押し当てた状態とする。この際に、取付部2に対してパッド部3を十分な押付け力で押し付けた状態とすることにより、取付部2に対するパッド部3の回動が規制されて、恰も軸線方向に延長された操作用スティック11を直接操作しているかのような操作感でこれを操作することが可能となる。
また、本例の操作補助具1では、操作用スティック11の一層確実な操作を要するときや、操作補助具1における操作部31の上面の位置が高過ぎると感じたときに、図7に示すように、取付部2からパッド部3を取り外した状態(すなわち、取付部2だけを操作用スティック11に装着した状態)で使用することができる。この際には、ボールスタッド23におけるボール部23bに添えた指を任意の向きに移動させることで操作用スティック11を傾動させることができる。この場合、小径のボール部23bに指を添えて操作を行うことで、ボール部23bが指の腹に食い込んだ状態でこれを移動させることができる。したがて、取付部2(ボール部23b)に対する滑りが生じ難くなるため、操作用スティック11を所望の向きに確実に傾動させることができると共に、パッド部3が存在しないことで、十分に低い操作桿(取付部2が装着された状態の操作用スティック11)を操作することができる。
このように、この操作補助具1では、操作用スティック11の先端部11aに嵌着可能に構成された取付部2と、取付部2に対する揺動が可能にボールジョイント機構BJを介して取付部2に取り付けられたパッド部3とを備え、ボールジョイント機構BJが、「取付部」および「パッド部」のいずれか一方(本例では、取付部2)に立設されたシャフト部23aの先端にボール部23bが設けられたボールスタッド23と、ボール部23bの嵌入が可能に「取付部」および「パッド部」の他方(本例では、パッド部3)にボール受け部32aが設けられたソケット32とを備えて構成されている。
したがって、この操作補助具1によれば、操作用スティック11を操作しようとする指の動きに応じた傾斜状態となるように取付部2に対するパッド部3の揺動が許容されるため、パッド部3における十分に広い領域を指の腹に接触させた状態を維持しつつ操作用スティック11を操作することができる。これにより、操作用スティック11の操作時にパッド部3に対する指の滑りが生じる事態を好適に回避できるため、手の大きさや形状、およびスティックコントローラ10の持ち方が異なる様々な使用者が、違和感なく確実に操作用スティック11を傾動操作することができる。
また、この操作補助具1によれば、は、ボールスタッド23が取付部2に設けられると共にソケット32がパッド部3に設けられたボールジョイント機構BJを備えたことにより、パッド部3を取り外した状態の取付部2だけを操作用スティック11に装着し、取付部2に配設されているボールスタッド23のボール部23bに指を添えてこれを操作することで、ボール部23bを指の腹に食い込ませた状態での操作が可能となり、取付部2(ボール部23b)に対する指の滑りを確実に回避することができるため、操作用スティック11を一層確実に傾動操作することができる。
さらに、この操作補助具1によれば、シャフト部23aに装着された状態において取付部2に対してパッド部3が傾動させられたときにパッド部3における取付部2側の端部が鍔状部材に対して点的に接する厚みに形成されて取付部2に対するパッド部3の傾動量を制限可能に構成されたカラー5を備えたことにより、傾動量がある程度大きくなった状態から操作用スティック11をさらに傾動させるときに、取付部2に対するパッド部3の揺動が規制された状態でこれを操作することができるため、パッド部3に加える力を操作用スティック11の傾動に効率よく作用させることができると共に、操作している指の腹の傾斜に応じてパッド部3を傾斜させた状態で操作することができるため、パッド部3に対する指の滑りを一層好適に回避することができる。
また、この操作補助具1によれば、ボール部23bとボール受け部32aとの間に配設されてボール受け部32aの底部からボール部23bを離間させるスプリング4を備えたことにより、スプリング4による付勢方向に沿って加える力が弱い状態では、取付部2に対するパッド部3の揺動が許容されると共に、付勢方向に沿って加える力を大きくしてスプリング4による付勢力に抗してボール部23bに対してボール受け部32aの底部を押し付けた状態とすることで、取付部2に対するパッド部3の揺動を抑制することができ、恰も、操作補助具1の高さの分だけ延長した操作用スティック11を直接操作しているかのような操作感でこれを操作することができる。
次に、「操作補助具」の他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、上記の操作補助具1と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図8に示す操作補助具1Aは、「操作補助具」の他の一例であって、前述の操作補助具1と同様にして、スティックコントローラ10における操作用スティック11の先端部11aに装着された状態で操作用スティック11の傾動操作を補助可能に構成されている。この操作補助具1Aは、操作補助具1における取付部2およびパッド部3に代えて、「取付部」の他の一例である取付部2A、および「パッド部」の他の一例であるパッド部3Aを備えて構成されている。取付部2Aは、一例として、ボールスタッド23のシャフト部23aに「マグネット」の一例であるマグネット6a(一例として、リングマグネット)が配設されている。また、パッド部3Aは、一例として、操作部31の下端部に「マグネット」の他の一例であるマグネット6b(一例として、リングマグネット)が配設されている。
この場合、操作補助具1Aでは、一例として、マグネット6aの外周側部位とマグネット6bの内周側部位とが同極となるような磁性体で構成されている。したがって、取付部2Aに対するパッド部3Aの傾きが生じてマグネット6bの内周側部位の一部がマグネット6aの外周側部位に接近したときには、マグネット6a,6bの反発力により、取付部2Aに対してパッド部3Aが、図6に示す位置(非操作状態における位置:「予め規定された非操作時位置」の一例)に案内される。これにより、例えば、操作用スティック11に傾動操作時に取付部2Aに対してパッド部3Aが相対的に傾けられた状態となったときにも、パッド部3Aの操作部31から指を離すことで、操作用スティック11が非操作状態に復帰するのと同時にパッド部3Aが非操作時位置に復帰させられる。
このように、この操作補助具1Aによれば、取付部2Aおよびパッド部3Aの少なくとも一方(本例では双方)に配設されて、非操作状態において取付部2Aに対してパッド部3Aを予め規定された非操作時位置に磁力によって案内するマグネット6を備えたことにより、パッド部3Aから指を離すことで、操作用スティック11が非操作状態に復帰するのと同時に、パッド部3Aが非操作時位置に復帰するため、違和感なく再操作を開始することができる。
一方、図9に示す操作補助具1Bは、「操作補助具」のさらに他の一例であって、前述の操作補助具1,1Aと同様にして、スティックコントローラ10における操作用スティック11の先端部11aに装着された状態で操作用スティック11の傾動操作を補助可能に構成されている。この操作補助具1Bは、操作補助具1における取付部2に代えて、「取付部」の他の一例である取付部2Bを備えて構成されている。この取付部2Bは、ベース部21を先端部11aに嵌着させるための各係合用爪部22の外周部に嵌入用溝22sが形成されると共に、この嵌入用溝22sに嵌入可能なスナップリング24を備えている。したがって、この操作補助具1Bでは、操作用スティック11(先端部11a)に対する前述の操作補助具1の装着手順と同様の手順で各係合用爪部22を先端部11aに係合させた後に、同図に示すように嵌入用溝22sにスナップリング24を嵌入させた状態とすることにより、各係合用爪部22の先端部11aからの外れが好適に回避される。しがたって、操作用スティック11からの操作補助具1Bの意図しない外れを好適に回避することができる。
また、図10に示す操作補助具1Cは、「操作補助具」のさらに他の一例であって、前述の操作補助具1,1A,1Bと同様にして、スティックコントローラ10における操作用スティック11の先端部11aに装着された状態で操作用スティック11の傾動操作を補助可能に構成されている。この操作補助具1Cは、操作補助具1におけるパッド部3に代えて、「パッド部」の他の一例であるパッド部3Cを備えて構成されている。このパッド部3Cでは、操作部31cの両端に一対の突起33,33が立設されている。この突起33,33は、同図に破線で示す指の幅と同程度の距離だけ離間させられており、操作部31cの上面に指の腹を添えたときに、突起33,33の対向面に指の側部が接するように構成されている。したがって、同図に示す矢印D1,D2の向きに指を移動させたときに、指と一緒にパッド部3Aを確実に移動させることができる。
さらに、図11に示す操作補助具1Dは、「操作補助具」のさらに他の一例であって、前述の操作補助具1,1A~1Cと同様にして、スティックコントローラ10における操作用スティック11の先端部11aに装着された状態で操作用スティック11の傾動操作を補助可能に構成されている。この操作補助具1Dは、操作補助具1におけるパッド部3に代えて、「パッド部」の他の一例であるパッド部3Dを備えて構成されている。このパッド部3Dでは、使用者(操作者)の指に接する操作部31dに、ボールスタッド23のボール部23bを露出させる露出孔31ex(「ボール部露出孔」の一例)が開口されており、操作部31dの上面に指の腹を添えたときに、操作部31dだけででなく、露出孔31exから露出しているボール部23bにも指の腹が接するように構成されている。
したがって、このパッド部3Dを備えた操作補助具1Dを操作用スティック11の先端部11aに装着し、パッド部3Dに対する力の加え方(操作部31dに対する指の当て方)を任意に調整することにより、露出孔31exから露出しているボール部23bに対して指の腹を強く押し付けなければ、前述の操作補助具1について図1~4を参照しつつ説明した「取付部2に対してパッド部3を回動(揺動)させるような操作態様」で操作用スティック11を傾動させることができる。また、露出孔31exから露出しているボール部23bに対して指の腹を強く押し付けるようにすることで、図7を参照しつつ説明した「取付部2からパッド部3を取り外した状態において取付部2だけを操作する操作態様」と同様の操作態様で操作用スティック11を傾動させることができる。これにより、パッド部3Dの脱着を行わなくても、使用者(操作者)の好みに応じた操作態様で操作用スティック11を操作することができる。
なお、「操作補助具」の構成は、上記の操作補助具1の構成の例に限定されない。
例えば、取付部2とパッド部3との間に「付勢部材」としてのスプリング4を配設した構成の操作補助具1を例に挙げて説明したが、「付勢部材」を備えずに「操作補助具」を構成することもできる。また、「鍔状部材」としてのカラー5を備えた操作補助具1を例に挙げて説明したが、「鍔状部材」を備えずに「操作補助具」を構成することもできる。