JP7300464B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
以上から、本発明は良好な絶縁性を発揮し得る積層体を提供することを目的とする。
[2] 前記無機フィラーが、平均球形度0.8~1.0の球状無機フィラーを含有する[1]に記載の積層体。
[3] 前記基材樹脂層が無機フィラーを含有する[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記シリコーン樹脂組成物中の前記無機フィラーがアルミナである[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 前記アルミナの頻度粒度分布において粒径15~80μmの領域と、粒径1.0~14μmの領域及び粒径0.1~0.9μmの領域の少なくとも1つの領域と、に極大ピークがある[4]に記載の積層体。
(シリコーン樹脂組成物層)
シリコーン樹脂組成物層は、シリコーン樹脂及び無機フィラーを含有するシリコーン樹脂組成物を硬化してなる。シリコーン樹脂を含有することで耐熱性が得られ、無機フィラーを含有することで良好な絶縁性や熱伝導性が得られる。
シリコーン樹脂組成物中のシリコーン樹脂の含有量は20~40体積%である。下限については22体積%以上が好ましく、より好ましくは24体積%以上、さらに好ましくは26体積%以上である。上限については38体積%以下が好ましく、より好ましくは36体積%以下、さらに好ましくは36体積%以下である。
特に、アルコキシシラン剤、シリコーンオイル、シランカップリング剤を添加することで、ピール強度や絶縁性をより良好にすることができる。
上記の通り、添加剤を任意成分として含む場合や不純物が少量含まれても本発明の効果は害されないが、本発明の効果を得る観点からは、シリコーン樹脂と無機フィラーの含有量の合計が90体積%以上であることが好ましく、より好ましくは95%体積%以上、さらに好ましくは97体積%以上である。
基材樹脂層は、ガラス転移点が200℃以上である樹脂を含む。ガラス転移点が200℃以上であれば、十分な耐熱性が得られ、積層体の絶縁性や熱伝導性を良好に維持することができる。基材樹脂層は、塗膜から形成される層でも、フィルムから形成される層でもよい。
基材樹脂層中の樹脂の含有量は特に限定されないが、下限については、78体積%以上が好ましく、より好ましくは80体積%以上、さらに好ましくは82体積%以上である。上限については92体積%以下が好ましく、より好ましくは90体積%以下、さらに好ましくは88体積%以下である。
無機フィラーとしては、シリコーン樹脂組成物層に含有される無機フィラーと同様なものを使用することができる。
基材樹脂層中の無機フィラーの含有量は特に限定されないが、下限については8体積%以上が好ましく、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは12体積%以上である。上限については22体積%以下が好ましく、より好ましくは20体積%以下、さらに好ましくは18体積%以下である。
また、基材樹脂層中には、シリコーン樹脂組成物層と同様に添加剤が少量含まれてもよいし、不純物が少量含まれてもよい。なお、基材樹脂層中において、上記樹脂と無機フィラーの合計含有量は90体積%以上が好ましく、より好ましくは95体積%以上、さらに好ましくは97体積%以上である。
本実施形態に係る積層体は、例えば下記のようにして製造することができる。
まず、シリコーン樹脂と無機フィラーとを混合してシリコーン樹脂組成物を作製する。シリコーン樹脂と無機フィラーの混合方法は、特に限定されるのもではなく、少量の場合は手混合も可能であるが、万能混合機、プラネタリーミキサー、ハイブリッドミキサー、ヘンシェルミキサー、ニーダー、ボールミル、ミキシングロール等の一般的な混合機が用いられる。混合に際して、各成形方法に適する混合物とするために、水、トルエン、アルコール等の各種溶剤を添加してもよい。
また、必要に応じて添加される添加剤は、上記の混合時に添加することが好ましい。
基材シートへの塗布方法としては、従来公知の方法、例えば、コーター法、ドクターブレード法、押出成形法、射出成形法、プレス成形法等を用いることができる。
積層体を構成するシリコーン樹脂組成物層の厚みは、絶縁性、熱伝導性の観点から以下の範囲にあることが好ましい。下限については0.08mm以上が好ましく、より好ましくは0.10mm以上、さらに好ましくは0.12mm以上である。上限については0.50mm以下が好ましく、より好ましくは0.40mm以下、さらに好ましくは0.30mm以下である。
また、積層体全体の厚みは、特に限定されず、好ましい厚みは用途等により異なるが、下限については0.10mm以上が好ましく、より好ましくは0.12mm以上、さらに好ましくは0.14mm以上である。上限については0.55mm以下が好ましく、より好ましくは0.45mm以下、さらに好ましくは0.35mm以下である。
なお、本発明の積層体は、シリコーン樹脂組成物層と、シリコーン樹脂組成物層に隣接する基材樹脂層と、を有するものであればよく、これらの層以外の層を含む3層以上の積層体としてもよいし、シリコーン樹脂組成物層を複数有する3層以上の積層体としてもよいし、基材樹脂層を複数有する3層以上の積層体としてもよい。
自動車、携帯電子機器、産業用機器、及び家庭用電化製品等に用いられる電子部品に対し、絶縁性を維持するための電子部品用放熱部品またはその一部として好適に用いられる。特に好ましい用途として放熱シートが挙げられる。
ポリオルガノシロキサンベースポリマー(東レ・ダウコーニング社製商品名「CF3110」)と架橋剤(東レ・ダウコーニング社製商品名「RC-4」)を重量比で100:1となるよう混合して、シリコーン樹脂成分を得た。得られたシリコーン樹脂成分と、アルミナとを表1に示す体積%となるように攪拌機で15時間混合し、アルミナ含有シリコーン樹脂組成物を調製した。使用したアルミナはいずれも熱伝導率が20W/(m・K)以上であった。
無機フィラー(アルミナ)の平均球形度は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、商品名「FPIA-3000」)を用い、以下のようにして測定した。粒子像から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定した。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の球形度はA/Bとして表示できる。そこで試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定するとPM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)2となり、個々の粒子の球形度は、A/B=A×4π/(PM)2として算出できる。これを任意に選ばれた100個の粒子について測定し、その平均値を2乗したものを平均球形度とした。なお測定溶液はサンプル0.1gに蒸留水20mlとプロピレングリコール10mlを加え、3分間超音波分散処理を行い調製した。
無機フィラー(アルミナ)の平均粒径および粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製「SALD-200」)を用いて測定した。ガラスビーカーに50ccの純水と無機フィラーを5g添加して、スパチュラを用いて撹拌し、その後超音波洗浄機で10分間、分散処理を行い、評価サンプル溶液を調製した。評価サンプル溶液を、スポイトを用いて装置のサンプラ部に一滴ずつ添加して、吸光度が測定可能になるまで安定するのを待って測定した。レーザー回折式粒度分布測定装置のセンサで検出した粒子による回折/散乱光の光強度分布のデータから粒度分布を計算した。平均粒子径は測定される粒子径の値に相対粒子量(差分%)を掛けて、相対粒子量の合計(100%)で割って求めた。また、15~80μmの領域に現れる極大ピーク(ピーク1)、1.0~14μmの領域に現れる極大ピーク(ピーク2)、0.1~0.9μmの領域に現れる極大ピークを(ピーク3)についても求めた。
アルミナの割合を表1に示した割合とした以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
(比較例3)
基材樹脂層としてのポリイミドフィルムを、ユニチカ社製ポリエチレンテレフタレートフィルム「商品名S25」(厚さ:0.026mm)とした以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
基材樹脂層としてのポリイミドフィルムを、表2に示すアルミナ含有ポリイミドフィルム(実施例3は東レ・デュポン社製の「商品名100MT」(厚み0.028mm)、実施例4は東レ・デュポン社製の「商品名100MT」(厚み0.031mm))とした以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
(実施例5~6)
基材樹脂層としてのポリイミドフィルムを、表2に示す窒化ホウ素含有ポリイミドフィルム(実施例5は東レ・デュポン社製の「商品名100MT+」(厚み0.028mm)、実施例6は東レ・デュポン社製の「商品名」(厚み0.032mm))とした以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
各例で作製した積層体を下記の評価項目(1)~(5)によって評価した。結果を表1に示す。
JIS C2110に記載の方法に準拠し、各例の積層体の絶縁破壊電圧を、短時間破壊試験(室温:23℃)にて評価した。
熱伝導率(H;単位W/(m・K))は、積層体の厚み方向に対して評価を行なった。熱拡散率(A;単位m2/sec)と密度(B;単位kg/m3)、比熱容量(C;単位J/(kg・K))から、H=A×B×Cとして、算出した。
熱拡散率は、積層体を幅10mm×長さ10mmに加工し、測定用レーザー光の反射防止のため、積層体の両面にカーボンブラックを塗布した後、レーザーフラッシュ法により求めた。測定装置はキセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製商品名「LFA447NanoFlash」)を用いた。
密度はアルキメデス法を用いて求めた。
比熱容量はJIS K 7123:1987に記載の方法に準拠して求めた。
島津製作所社製精密万能試験機「AUTOGRAPH AG-2000D」を使用して、23℃の環境下、引張速度200mm/minで、JIS K 6854-2に従い、180度方向の剥離を行って、シリコーン樹脂組成物層と基材樹脂層との間のピール強度を求めた。
なお、シリコーン樹脂組成物中の無機フィラーの平均球形度が0.8~1.0の範囲にない場合であっても、本発明範囲内にあれば、上記平均球形度が0.8~1.0の範囲外で本発明範囲外のものと比較して、絶縁性等の特性が改善された。また、シリコーン樹脂組成物中の無機フィラーがアルミナ以外であっても、本発明範囲内にあれば、上記無機フィラーがアルミナ以外で本発明範囲外のものと比較して、絶縁性等の特性が改善された。また、シリコーン樹脂組成物中の無機フィラーがアルミナであり、下記条件を満たさない場合であっても、本発明範囲内にあれば、上記無機フィラーがアルミナであり、下記条件を満たさず本発明範囲外のものと比較して、絶縁性等の特性が改善された。
(条件)アルミナの頻度粒度分布において粒径15~80μmの領域と、粒径1.0~14μmの領域及び粒径0.1~0.9μmの領域の少なくとも1つの領域と、に極大ピークがある。
Claims (2)
- シリコーン樹脂及び無機フィラーを含有するシリコーン樹脂組成物を硬化してなるシリコーン樹脂組成物層と、前記シリコーン樹脂組成物層に隣接し、ガラス転移点が200℃以上である樹脂を含む基材樹脂層と、を有し、
前記シリコーン樹脂組成物層中に前記無機フィラーを60~80体積%含有し、
前記シリコーン樹脂組成物中の前記無機フィラーがアルミナであり、
前記アルミナの頻度粒度分布において粒径15~80μmの領域と、粒径1.0~14μmの領域及び粒径0.1~0.9μmの領域の少なくとも1つの領域と、に極大ピークがあり、
前記基材樹脂層が無機フィラーを含有する、積層体。 - 前記シリコーン樹脂組成物中の前記無機フィラーが、平均球形度0.8~1.0の球状無機フィラーを含有する請求項1に記載の積層体。
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