以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、縦型洗濯乾燥機である洗濯機Sを例に挙げて説明するが、前面側に洗濯物の出し入れ口が形成されほぼ水平軸周りにドラムが回転するドラム式洗濯乾燥機やその他の機器に送風機22を適用できる。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の送風機22が搭載される洗濯機Sを示す右側縦断面図である。洗濯機Sを使用側(前側)から向かって見て右と左とする。
図1に示すように、洗濯機Sは、筐体の外枠1、洗濯水を貯留する外槽2、回転槽(内槽)3、駆動モータ10、および送風機22を備えている。本実施形態の送風機22は、洗濯機Sの乾燥工程において、乾燥風を作る役割をもつ。
外槽2は、例えば合成樹脂製のものであり、外枠1内の中央に防振支持され外枠1内に収容されている。
回転槽3は、洗濯、脱水、乾燥される洗濯物を収容する洗濯兼脱水槽である。回転槽3は、外槽2の内部中央に設けられる。また、回転槽3は、鉛直方向に回転軸を有し、外槽2内に回転自在に支持される。
回転槽3の底部には、洗濯水を攪拌して洗い、すすぎを行う攪拌翼4が回動自在に設けられている。攪拌翼4は、洗濯運転時および乾燥運転時に、正転/逆転を繰り返す動作が行われる。また、攪拌翼4は、脱水運転時に、回転槽3と一緒に回転槽3内の洗濯物とともに高速回転し、洗濯物に含まれる水分を遠心力で脱水する。
駆動モータ10は、外枠1内に設けられ、攪拌翼4および回転槽3を回転駆動する。駆動モータ10は、例えばDCブラシレスモータが使用される。DCブラシレスモータは、ベクトル制御によって制御が行われる。駆動モータ10は、攪拌翼4および回転槽3をダイレクトドライブしているが、ベルトなどの減速機構を用いて駆動してもよい。
外枠1の上部には、開閉自在な外蓋5が設けられている。外蓋5は、外枠1の上部に設けられたトップカバー6に後側が軸支持されている。外槽2の上部の外蓋5下方には、内蓋34が後側の軸周りに開閉自在に設けられている。回転槽3に対する洗濯物の出し入れは、外蓋5および内蓋34を開くことで行われる。
外枠1内には、トップカバー6の外蓋5の後側に、給水ユニット7が設けられている。給水ユニット7は、内部に複数の水路を有する給水ボックス(図示せず)を有している。給水ユニット7は、トップカバー6から上方に突き出る給水ホース接続口8から供給される水道水や風呂水を外槽2の内部に注ぐ。また、トップカバー6の前側には、洗剤、仕上剤の投入装置35が設けられている。洗剤、仕上剤は、投入ホース36により、外槽2と回転槽3の間に注がれる。
また、洗濯機Sは、洗濯物を乾かす乾燥機構9を備えている。乾燥機構9は、回転槽3内の洗濯物を乾燥する乾燥用空気の循環送風や除湿を行う。乾燥機構9は、大部分が乾燥用空気循環路で占められている。乾燥用空気循環路は、外槽2の底部に連通する底部循環路20と、底部循環路20から上向きに延びる除湿用縦通路21とを備える。
送風機22の下部の吸込側は、除湿用縦通路21の上端部に接続される。送風機22と除湿用縦通路21の間には乾燥フィルタ45が配置され、送風機22に異物が流入しないようになっている。送風機22の前部の排出側は、戻り接続循環路25と接続され連通している。なお、送風機22の詳細については後記する。
戻り接続循環路25は、その一部の上部蛇腹ホース23を介して、外槽2の上部に連通する。底部循環路20は、その一部の下部蛇腹ホース26を介して、外槽2の底部に連通している。
下部蛇腹ホース26は、外槽2の底落込部31に接続されている。底落込部31は、下部連通管41を介して、排水用の洗濯水排水路42と、循環用の洗濯水循環水路43に連通する。洗濯水排水路42には、排水時のみ開弁される常閉型の排水弁44が設けられている。
排水弁44は、洗濯運転時や乾燥運転時には閉じられている。排水弁44は、洗濯水を排水する排水時に開いて、外槽2に溜まっている洗濯水やすすぎ水を、洗濯水排水路42から洗濯機Sの外部(機外)に排出する。洗濯水循環水路43には、糸くず等を除去するための異物除去トラップ32が設けられている。
洗濯水循環水路43は、洗濯水循環水縦水路46に接続されている。洗濯水循環水縦水路46は、外槽2の外側面に沿って上昇して回転槽3の上側まで延び、回転槽3の上側に設けられている洗濯糸屑除去装置33に連通している。
外槽2に溜まる洗濯水やすすぎ水は、洗濯水循環水縦水路46を流れて洗濯糸屑除去装置33から回転槽3内に散布して注がれる。このような散布注水を継続しつつ洗濯やすすぎが行われるので、少ない水量で洗濯、すすぎが行われる。
洗濯機Sは、外槽2に溜まる洗濯水やすすぎ水の水位を検知する水位センサ47を備えている。外槽2の底部近傍にはエアートラップ50が設けられている。エアートラップ50に連通してエアーチューブ49が接続されている。このエアーチューブ49の上端には水位センサ47が連通して接続される。
図2は、第1実施形態の送風機22を示す外観斜視図である。なお、図2では、図1に示す洗濯機Sでの取り付け状態での前後上下を示す。
洗濯機Sでは、送風機22の遠心羽根車300(図2参照)が回転することによって乾燥用空気が回転槽3内を流通し、回転槽3内の洗濯物を乾燥させる。また、送風機22の電気ヒータ24(図3参照)によって、除湿領域で水分が凝縮された乾燥用空気が再加熱されて回転槽3を流れる。こうして、乾燥用空気は、水分の凝縮を行いつつ循環することで、洗濯物の水分をさらに蒸発させ乾燥させる。
図2に示すように、送風機22は、一方の筐体であるファンカバー51、他方の筐体であるファンケーシング52、電動機100、遠心羽根車300、ディフューザ400(図3参照)、電気ヒータ24(図3参照)を備えている。
電動機100は、遠心羽根車300の回転駆動源である。遠心羽根車300は、回転によって循環する乾燥用空気を作る。ディフューザ400は、乾燥用空気の運動エネルギーを圧力エネルギーに変換する。
電気ヒータ24は、乾燥用空気が洗濯物の水分を乾燥させるための熱源である。送風機22を洗濯機S(図1参照)に搭載する場合、例えば、送風機22のファンカバー51が略下向きとなるようにして外枠1(図1参照)内に設置される。
<ファンカバー51>
図3は、ファンカバー51側から見たときの送風機22の分解斜視図である。
図3に示すように、ファンカバー51は、一方向に細長い形状を有し、長手方向の一方に吸込口57が形成され、長手方向の他方に排出口58が形成されている。吸込口57は、乾燥フィルタ45(図1参照)を介して除湿用縦通路21(図1参照)の上端部に接続される。排出口58は、乾燥用空気循環路の戻り接続循環路25(図1参照)に接続される。
吸込口57は、筒状の貫通孔であり、遠心羽根車300の吸込開口302の中央と対向する。排出口58は、円筒状の貫通孔であり、電気ヒータ24の下流側に位置している。また、乾燥用空気は、遠心羽根車300で加圧されるため、排出口58の直径は、吸込口57の直径よりも大きく形成されている。また、吸込口57と排出口58は、略同じ方向(図1では下方向)を向いて形成されている。
吸込口57の周囲には、円環状の突出部51aが軸方向Axに突出して形成されている。なお、軸方向Axとは、電動機100の回転軸101が延びる方向を意味する。また、ファンカバー51は、略矩形状の突出部51bが形成され、電気ヒータ24が収納されている。
ファンカバー51の周縁部には、ファンケーシング52と固定するためのねじ固定部91が複数箇所形成されている。
<ファンケーシング52>
ファンケーシング52は、ファンカバー51と固定した際、内部に送風機22の機構が収容される空間が形成される。図3に示すように、ファンカバー51とファンケーシング52との間に、遠心羽根車300、ディフューザ400および電気ヒータ24が配置される。
ファンケーシング52は、ディフューザ400が配置される一方側にスクロール流路70が形成されている。ディフューザ400が配置される他方側には、遠心羽根車300が配置されている。
スクロール流路70は、舌端部71側の流路幅が狭く形成され、舌端部71から時計回り方向に向けて流路幅が徐々に広くなるように構成されている。なお、舌端部71は、スクロール流路70の開始点である。また、スクロール流路70は、舌端部71から1周した後、電気ヒータ24に向けて9の数字を描くように構成されている。
また、スクロール流路70の出口は、ケーシング吐出口59である(図3の斜線部参照)。このケーシング吐出口59は、空気が舌端部71の位置から電気ヒータ24に向かってながれ始める位置である。また、図3に示すように、スクロール流路70の開始点である舌端部71と、出口であるケーシング吐出口59付近で、スクロール流路70の上流と下流が合流する面(連通する面)を、スクロール合流面95とする(図3の斜線部参照)。
また、ファンケーシング52は、スクロール流路70から電気ヒータ24に空気を導入する導入路72aが形成されている。導入路72aは、電気ヒータ24に向けて流路幅が広がるように構成されている。詳述すると、導入路72aは、電気ヒータ24の加熱部分24aの幅と略同一の幅に広がるように構成されている。なお、この導入路72aの入口(導入口)がケーシング吐出口59である。また、ファンカバー51についても、導入路72aと同様に下流に向けて流路幅が広がるように構成されている。ファンケーシング52とファンカバー51とを組み合わせることで、電気ヒータ24の矩形状の加熱部分24aに沿った形状の導入路72が形成される。
電気ヒータ24は、熱交換用の多数のフィンを備えている。電気ヒータ24の多数のフィンにより、スクロール流路70から流出して導入路72を通過した空気を加熱する。
また、ファンケーシング52は、電気ヒータ24の下流側に、ファンカバー51の排出口58に連通する凹形状の流路77が形成されている。図3に示すように、流路77は、排出口58に向けて傾斜するように、ファンカバー51側に傾斜して形成されている。
また、ファンケーシング52は、電気ヒータ24の加熱部分から外れた位置が空気の流れの邪魔にならないように、幅方向に突出する形状を有している。
図3に示すファンケーシング52には、スクロール流路70の中心に、電動機100の回転軸101が挿入される軸挿入孔80が形成されている。また、ファンケーシング52の外周縁部には、ファンカバー51のねじ固定部91に対応する位置に、ねじ(不図示)が挿通されるねじ挿通部92が形成されている。
また、ファンケーシング52には、軸挿入孔80とスクロール流路70との間に、ディフューザ400をファンケーシング52に固定するためのねじ穴93が複数箇所(実施形態では4箇所)に形成されている。ねじ穴93は、軸挿入孔80を囲んで形成されている。また、ファンケーシング52は、ねじ穴93の周縁に、円形の凹部93aが形成されている。
また、ファンケーシング52には、ねじ穴93の径方向外周に、ファンケーシング凹部94が形成されている。ファンケーシング凹部94は、凹状の溝部であり、略環状に形成されている。
図3に示す電動機100は、径方向の中心に遠心羽根車300と結合される回転軸101を有している。電動機100は、ファンケーシング52に取り付けられている。また、電動機100は、回転軸101に固定されるロータ(回転子)、ロータの周囲に設けられるステータ(固定子)、回転軸101を回転自在に支持する軸受を有している。電動機100は、ロータ、ステータおよび軸受を収容する略円柱状のケース102を有している。ケース102の外周面(側面)には、円環状のつば部103が形成されている。つば部103には、電動機100をファンケーシング52にねじ固定するためのねじ挿通孔104が周方向に複数箇所(本実施形態では4箇所)間隔を置いて形成されている。
<ディフューザ400>
ディフューザ400は、例えば合成樹脂によって形成され、遠心羽根車300の軸方向Axの面と対向する円形の底板400aを有している。底板400aは、中心に円形の貫通孔400bが形成されている。貫通孔400bは、ファンケーシング52の軸挿入孔80よりも大径に形成されている。また、底板400aは、貫通孔400bの周囲に、ディフューザ400をファンケーシング52に固定するためのねじ(不図示)が挿通されるねじ挿通孔430が複数箇所に形成されている。ねじ挿通孔430は、ファンケーシング52のねじ穴93と対向する位置に形成されている。
また、ディフューザ400は、ねじ挿通孔430の周縁に、図示しないねじの頭部が、底板400aの表面(図示上面)から突出しないようにするための窪み部430aが形成されている。窪み部430aにより、底板400aと遠心羽根車300との距離を縮め、かつ、遠心羽根車300が回転したときに、遠心羽根車300がねじ(不図示)に接触しない構成である。
底板400aの外周縁部には、底板400aよりも軸方向Axに一段高く形成されたディフューザ外側底面部(基部)400cが環状に形成されている。ディフューザ外側底面部400cの軸方向Axの上面(ファンカバー51側の面)には、複数のディフューザベーン401が周方向に沿って等間隔に形成されている。このディフューザベーン401は、周方向に延びる長さは、いずれのディフューザベーン401も同様である。
なお、本実施形態ではディフューザベーン401が周方向に沿って等間隔に形成されているが、不等間隔でもよい。不等間隔とすることで、翼通過周波数騒音を低減することができる。
図4は、電動機100の側から見たときの送風機22の分解斜視図である。
ファンカバー51の吸込口57には、ベルマウス部57aが形成されている。ファンカバー51のベルマウス部57aの周囲には、リング状のシール部材56(図14参照)が収容される凹部51cが形成されている。
また、ファンカバー51には、シール部材56を凹部51cに保持させる環状の抑え部材55(図14参照)が設けられている。抑え部材55は、凹部51cの周囲側に形成され、凹部51cよりも一段高く(浅く)形成された環状の凹部51dに載置される。抑え部材55は、凹部51dの周囲に形成された固定部51eを介してファンカバー51に固定される。
また、ファンカバー51には、円環状の弾性部材90が設けられている。なお、図4では、弾性部材90がファンカバー51に取り付けられた状態を図示している。弾性部材90は、ディフューザベーン401の先端部(上端部)と対向する位置に配置されている。
図4に示すファンカバー51は、スクロール流路70(図3参照)から電気ヒータ24に向けて延びる導入路72bが形成されている。導入路72bは、導入路72a(図3参照)に沿って連続して形成されている。また、導入路72bは、スクロール流路70(図3参照)側から電気ヒータ24に向けて流路の深さ(流路高さ)寸法H(図4参照)が深く(高く)なるように構成されている。
ファンケーシング52のスクロール流路70は、電動機100が設置される側に膨らむようにして構成されている。また、スクロール流路70は、舌端部71(図3参照)側の流路から、導入路72(図3参照)側に向けて、流路深さ(軸方向Axの深さ)が徐々に深くなるように構成されている。また、導入路72aは、電気ヒータ24に向けて流路深さが略一定となるように形成されている。電気ヒータ24の下流側のファンケーシング52の流路77は、ファンカバー51側に近付くように形成されている。
ファンケーシング52には、電動機100を固定するためのねじボス78(図4参照)が複数箇所(本実施形態では4箇所)に形成されている。
図4に示すように、ディフューザ400は、ディフューザベーン401が設けられる面とは反対側(背面側)に、ファンケーシング52側に突き出る凸条部440が形成されている。凸条部440は、ファンケーシング52のファンケーシング凹部94(図3参照)と嵌合する。
ディフューザ400のねじ挿通孔430には、ファンケーシング52の凹部93a(図3参照)と嵌合するボスである突起部430bが形成されている。各突起部430bは、それぞれファンケーシング52の対応する凹部93aと嵌合する。
ディフューザ400は、ファンケーシング52に、ねじ(図示せず)をディフューザ400のねじ挿通孔430を挿通させ、ファンケーシング52のねじ穴93に螺着することで固定される。
図3に示す電動機100の回転軸101は、ファンケーシング52の軸挿入孔80に挿通される。さらに、回転軸101は、ディフューザ400の貫通孔400bに挿通され、回転軸101の先端部が遠心羽根車300に固定される。
ファンカバー51とファンケーシング52は、ねじ(図示せず)がファンケーシング52のねじ挿通部92に挿通され、ファンカバー51のねじ固定部91に固定されることで、結合される。これにより、図2に示すように、送風機22は、遠心羽根車300とディフューザ400を配置するケーシング部61と、電気ヒータ24を配置するヒータ部62とが形成される。図3に示すように、ケーシング部61(図2参照)とヒータ部62(図2参照)の接続空間境界面をケーシング吐出口59とする。
<遠心羽根車300>
図5は、遠心羽根車300の斜視図である。図6は、遠心羽根車300の分解斜視図である。
図5、図6に示すように、遠心羽根車300は、シュラウド板301と、ハブ板311と、シュラウド板301とハブ板311とで挟まれる複数枚の羽根321とを備えて構成されている。
シュラウド板301は、円形の金属板によって形成されている。シュラウド板301は、径方向の中央部に、空気を吸込む円筒状の吸込開口302が形成されている。吸込開口302は、ハブ板311と軸方向Axの反対側(図示上方)の外方に突出して形成されている。
シュラウド板301は、吸込開口302の周囲に、各羽根321に形成された爪322aと嵌合する貫通孔303が形成されている。
図6に示すハブ板311は、円形の金属板によって形成されるとともに、径方向の中央部に、回転軸101(図3参照)が固定される孔312が設けられている。孔312には、補強板314a、補強板314b(図4参照)が、円板のハブ板311を軸方向Axの両側から挟んで固定されている。
ハブ板311は、シュラウド板301と同様に、各羽根321に形成された爪322bと嵌合する貫通孔313が形成されている。
羽根321は、細長い矩形状の金属板を湾曲させて形成されている。換言すると、羽根321は、遠心羽根車300の回転方向Wに対して、内径側(内周側)から外径側(外周側)にかけて後退するように湾曲している。このような羽根321は、一般には後ろ向き羽根とも呼ばれ、このような羽根形状を持つ羽根車を使用したファンはターボファンとも呼ばれる。
また、羽根321は、上端部(軸方向Axの一端側)に爪322aが、下端部(軸方向Axの他端側)に爪322bが長手方向に間隔を置いて複数箇所(本実施形態ではそれぞれ5箇所)形成されている。爪322a,322bは、矩形状に形成され、上下方向(軸方向Ax)に突出して形成されている。また、羽根321は、周方向に等間隔に配置される。
図5に示すように、羽根321は、爪322a(図6参照)がシュラウド板301の貫通孔303に挿入され、爪322b(図6参照)がハブ板311の貫通孔313に挿入される。そして、それぞれの爪322a,322bをシュラウド板301とハブ板311とにかしめる。これにより、羽根321がシュラウド板301とハブ板311とに固定され、遠心羽根車300が構成されている。
なお、本実施形態では、シュラウド板301を有するクローズドタイプの遠心羽根車300を例に挙げて説明したが、樹脂によりハブ板311と羽根321を一体成型したオープンタイプの遠心羽根車としてもよい。これにより、部品点数を低減でき、低コスト化が図られる。また、樹脂型とすることで、羽根にさらにひねりを加える三次元化も容易となり、高効率化も図られる。
また、本実施形態では、後向き羽根を持つターボファンを例に挙げて説明したが、前向き羽根を持つシロッコファンを適用してもよい。また、羽根車(300)の形状は遠心型に限定されるものではなく、斜流型でもよい。斜流型とすることで、羽根車の外径を小型化でき、送風機22の小型化が可能となる。
なお、遠心羽根車300は金属で形成する場合を例示したが、遠心羽根車300の強度が確保できれば、樹脂で成形してもよい。樹脂は軽量なので、回転させるエネルギーが少なく済み、省電力化が可能である。
<ディフューザ400>
図7は、ディフューザ400をファンカバー51側から見た平面図である。図8は、ディフューザ400をファンケーシング52側から見た平面図である。図9は、図7のIX-IX線断面図である。
図7に示すように、ディフューザ400の軸方向の一方側には、底板400aの周囲に、複数のディフューザベーン401が周方向全体に等間隔で配置されて構成されている。ディフューザベーン401は、底板400aの周囲に形成されたディフューザ外側底面部400cに対して軸方向Axに直交して立ち上がるように形成されている。図3に示すように、ディフューザベーン401は、遠心羽根車300の外周縁部よりも外側に位置している。
また、ディフューザベーン401は、薄板状に形成され、平面視において周方向に延びて形成されている。また、ディフューザベーン401(401A、401B)は、一方端の前縁412よりも他方端の後縁402が径方向外側に配置されている。また、隣り合うディフューザベーン401A,401B間には後記するディフューザ流路410が形成される。ディフューザ流路410は、前縁412側から後縁402側に向けて径方向の寸法が徐々に広くなるように構成されている。
また、ディフューザベーン401Aは、ディフューザ外側底面部400cの外周縁部が、後縁402から、隣接するディフューザベーン401Bの圧力面403に対して略垂直に延びるように切込部404が形成されている。なお、圧力面403とは、ディフューザベーン401の径方向外側に向いている前縁412から後縁402までの全体の面を意味している。このような切込部404が形成されることで、ディフューザ外側底面部400cの外周縁部に、軸方向Axに貫通する略三角形状の切欠部405が形成されている。換言すると、ディフューザ400の外周縁部は、周方向に沿って鋸歯状になるように形成されている。
この構成により、ディフューザ400をファンケーシング52(図3参照)に取り付けたときに、ファンケーシング52と、ディフューザベーン401と、切込部404とで形成された略三角形状の連通路420が形成される(図7の斜線部参照)。
また、ディフューザ400には、ディフューザ400をファンケーシング52(図3参照)に取り付けたときに、スクロール合流面95(図3参照)にあたる位置に、スクロール合流面95を流通する流れを阻害する、遮蔽板470(遮蔽部材)が形成されている。この遮蔽板470は、ディフューザ400から、舌端部71(図3参照)の方向に向かって形成され、スクロール合流面95を遮蔽する突起物である。
図7、図8に示すように、遮蔽板470は、板状に形成されている。また、遮蔽板470は、側方および下方に突出して形成されている。なお、遮蔽板470は、より流れを阻害するために、スクロール合流面95(図3参照)の面積の半分以上を遮蔽することが望ましい。
図9に示すように、遮蔽板470の上端面470sがディフューザベーン401の上端面401sと同じ高さである。また、遮蔽板470は、側端面470t(側端縁部)および下端面470u(下端縁部)が、ファンケーシング52のスクロール内側壁面79(流路壁面)に沿うように湾曲して形成されている。また、側端面470tおよび下端面470uは、スクロール内側壁面79に当接するように形成される。これにより、遮蔽板470は、スクロール合流面95を遮蔽することができ、スクロール流路70内における、スクロール合流面95を通過し、下流から上流へ向かって発生する逆流を抑制することができる。
図8に示すように、ディフューザ400の軸方向の他方側には、中心Oからの寸法が変化する凸条部440が形成されている。凸条部440は、環状に並ぶディフューザベーン401よりも径方向内側に位置している。また、凸条部440は、ねじ挿通孔430よりも径方向外側に位置している。
凸条部440は、軸方向Ax(図4参照)からの平面視において真円形とならないように、複数の曲率の曲線を繋げた形状であり、ディフューザ400の径方向中心O(以下、中心Oと称す)に対して非軸対称形状である。ディフューザ400の径方向中心Oとは、電動機100の回転軸101と一致する。
凸条部440は、中心Oからねじ挿通孔430A(430)を通る距離R10が最も短く形成されている。また、凸条部440は、中心Oからねじ挿通孔430B(430)を通る距離R20が距離R10よりも長く形成されている。また、凸条部440は、中心Oからねじ挿通孔430C(430)を通る距離R30が距離R20よりも長く形成されている。また、凸条部440は、中心Oからねじ挿通孔430D(430)を通る距離R40が距離R30よりも長く形成されている。
このように、凸条部440をディフューザ400の径方向中心O(以下、中心Oと称す)(電動機100の回転軸101)に対して非軸対称とすることで、後記するように、回転軸101(図3参照)の径方向中心Oから径方向内側壁面73(図13参照)までの径方向距離をΔRsc,in(図13参照)を短くして、スクロール流路70(図3参照)が遠心羽根車300(図3参照)の径方向に大きくなることなく、スクロール流路70を拡大できる。そのため、送風機22を小型化できる。
ディフューザ400の軸方向の他方側には、凸条部440の径方向外側にディフューザ外側背面部450が形成されている。ディフューザ外側背面部450は、軸方向Ax(紙面垂直方向)からの平面視において略C型に形成されている。図8に示すねじ挿通孔430Cからねじ挿通孔430Dにおける凸条部440の径方向外側には、ディフューザ外側背面部450が形成されていないディフューザ外側非背面部451となっている。
図9に示すように、凸条部440は、底板400aの背面から、ねじ挿通孔430よりも軸方向Axに高く(長く)形成されている。また、凸条部440は、図3に示すファンケーシング凹部94と嵌合する。また、凸条部440よりも径方向内側の近傍には、ねじ挿通孔430(430A~430D)が位置している。ディフューザ400は、ねじ(図示せず)を、ねじ挿通孔430に挿通して、ファンケーシング52のねじ穴93(図3参照)に螺着することによってファンケーシング52に固定される。
図8、図9に示すように、凸条部440の径方向内側には、凸条部440の形状に沿って弾性体のシール部材460が設けられている。シール部材460は、凸条部440の形状に沿うため、中心O(電動機100の回転軸101)に対して非軸対称に設けられている。このような位置にシール部材460を設けることで、凸条部440をファンケーシング凹部94(図3参照)に嵌合させたときに、シール部材460が弾性変形してファンケーシング52とディフューザ400は密着固定される。
これにより、スクロール流路70内の圧力差および加工上の表面粗さによって、ファンケーシング52とディフューザ400間で発生する、スクロール流路70の下流から、下流より圧力が低い上流への漏れ流れを抑制できる。
また、ファンケーシング52に取り付けたディフューザ400がファンカバー51(図3、図4参照)によって覆われることで、ディフューザベーン401およびディフューザ外側底面部400cとファンカバー51とでディフューザ流路410(図7参照)が形成される。
図10は、ディフューザベーン401の子午面形状を示す図である。なお、図10では、流体の流れを太さの違う2つの破線で示している。
ディフューザベーン401の子午面形状は、後縁402(図7参照)側が軸方向Axのスクロール流路70側(底面側)に緩やかに傾斜している。本実施形態では、ディフューザベーン401をスクロール流路70側(底面側)に延びる形状とすることで、軸方向Axに傾斜して拡大するディフューザ流路410(図7参照)が構成されている。この傾斜により、略三角形状の連通路420(図7参照)からスクロール流路70への流れを、軸方向Axのスクロール流路70側へスムーズ(円滑)に転向させることができる。
本実施形態の図10に示すディフューザベーン401の子午面形状は、ディフューザベーン401の上縁401a側は傾斜していない。しかし、変形例の図11に示すように、ディフューザベーン401Aの上縁401a側も軸方向Axのスクロール流路70側に傾斜してもよい。図11は、変形例に係るディフューザベーン401Aの子午面形状を示す図である。変形例のディフューザベーン401Aの構成により、スクロール流路70への流れを、軸方向Axのスクロール流路70側へさらにスムーズに転向させることができ、損失低減が可能になる。
図12は、送風機22からファンカバー51を取り外した状態を示す平面図である。
遠心羽根車300は、その中心部が電動機100(図3参照)の回転軸101に固定されている。また、遠心羽根車300は、ファンケーシング52に固定されたディフューザ400の底板400a(図7参照)上に配置され、遠心羽根車300の周囲全体にディフューザベーン401が配置される。このとき、遠心羽根車300は、それぞれのディフューザベーン401と接触しないように、所定の間隔を開けて配置されている。
遮蔽板470は、舌端部71の最も近くに配置されるディフューザベーン401の外側面(外周面)から舌端部71に向けて突出して形成されている。この遮蔽板470が形成されたディフューザベーン401は、前縁412がスクロール合流面95(図3参照)よりも上流側に位置し、後縁402がスクロール合流面95よりも下流側に位置するように配置されている。また、遮蔽板470は、前縁412と後縁402との間のディフューザベーン401の外周面から径方向の外側に延びている。また、遮蔽板470の先端は、舌端部71の先端に接した状態で配置されている。
これにより、遠心羽根車300からディフューザ流路410を通過した空気は、矢印Sで示すように、遮蔽板470によって流れる向きが変えられ、導入路72に向かって流れるようになる。また、ディフューザ流路410からスクロール流路70を通って流れた空気についても、遮蔽板470によってスクロール流路70の下流から上流へ戻る流れが遮断され、導入路72に向かって流れるようになる。このように遮蔽板470によって、舌端部71において下流から上流に向けて空気が逆流するのが規制される。これにより、スクロール合流面95における逆流を防止して、送風機22として高効率化を図ることが可能になる。
図13は、スクロール流路70の形状を示す模式図である。なお、図13は、ファンケーシング52から電気ヒータ24、電動機100、遠心羽根車300およびディフューザ400の内部部品を全て取り外した状態を示している。また、図13では、遠心羽根車300の外周縁部(最外周)を符号110で示し、ディフューザ400の外周縁部(最外周)を符号111で示している。
送風機22は、図13に示すスクロール流路70と、図12に示すディフューザ流路410とを備えている。
図13に示すように、スクロール流路70は、舌端部71から図13の時計周りにケーシング吐出口59までの流路を意味している。また、スクロール流路70は、中央部のスクロール部75(流路部)と、吐き出し口の吐出部(吐出路)76とを、備えている。なお、本実施形態では、図13に示すように、遠心羽根車300の回転方向Wに対して、先端側のスクロール流路70の開始端部を舌端部71(点Aで示す位置)とする。
図12に示すように、ディフューザ400の径方向の外周であり、ディフューザベーン401の下流側には略三角形状の連通路420が周方向に並んで形成されている。連通路420の上流側は、隣り合うディフューザベーン401,401と、ディフューザ外側底面部400cと、ファンカバー51(図3、図4参照)とで囲まれるディフューザ流路410と連通する。図13に示すように、遠心羽根車300がW方向に回転することで、遠心羽根車300の外周から空気(流体)がディフューザ流路410に吐出される。吐出された空気は、図12の矢印α1で示すように、ディフューザ流路410を通り、略三角形状の連通路420に流れ込む。連通路420を通った吐出された空気は、ディフューザ400の背面側に設けられたスクロール流路70(図14参照)(図13の紙面垂直方向の奥側)に流れ込む。
図13に示すスクロール流路70に流れた空気は、スクロール部75を通り、吐出部76に吐出される。そして、吐出部76を通過した空気は、ケーシング吐出口59を通り、導入路72に導入される。なお、吐出部76は、点Bを始点として、点Bからケーシング吐出口59までのスクロール流路70を意味している。
また、スクロール流路70を形成する内壁面について、回転軸101の径方向中心Oから径方向距離が近い側の壁面を径方向内側壁面73とし、遠い側の壁面を径方向外側壁面74とする。この場合、回転軸101の径方向中心Oから径方向内側壁面73までの径方向距離をΔRsc,inとし、回転軸101の径方向中心Oから径方向外側壁面74までの径方向距離をΔRsc,outとする。
また、本実施形態では、ΔRsc,inを舌端部71からケーシング吐出口59に向かうにつれて一部において減少させている。これにより、遠心羽根車300はスクロール流路70と少なくとも一部の領域において軸方向Axに重なっている。なお、図13では、スクロール流路70が遠心羽根車300と軸方向Axにおいて重なる部分を斜線で示している。また、点Bよりも下流側では、ΔRsc,inが徐々に増加して、その後、径方向内側壁面73が遠心羽根車300の外周縁部110と一致している。
図13に示す、舌端部71から、点Bで示すスクロール部75の終点(ディフューザベーン401がファンケーシング52の流路壁面から離れ始める位置)にかけて、ΔRsc,outが一定となる区間を有する。また、点Bからケーシング吐出口59にかけて、ΔRsc,outが徐々に拡大(変化)する区間を有する。また、ディフューザ流路410(点Aから点Bまでの区間)は、全体がスクロール流路70と軸方向Axにおいて重なっている。
図14は、図2のXIV-XIV線断面図である。
スクロール流路70は、ファンカバー51と、ファンケーシング52と、ディフューザ外側背面部450とに囲まれて構成されている。また、ディフューザベーン401の上面と遮蔽板470の上端面470s(図3、図4参照)はファンカバー51に具備された弾性部材90に当接し、ディフューザ流路410の空気の漏れ流れを抑制している。なお、図14では、上端面470sが弾性部材90に当接している状態を図示していない。
ここで、遠心羽根車300がスクロール流路70と軸方向Axに重なる領域112(図13のハッチング部)とは、回転軸101の径方向中心Oから遠心羽根車300の外周縁部110までの径方向距離をR1とすると、R1>ΔRsc,inとなる領域を意味する。図13において説明した斜線部は、遠心羽根車300がスクロール流路70(スクロール部75、吐出部76)と軸方向Axにおいて重なる領域112を示している。
同様に、ディフューザ流路410とスクロール流路70とが軸方向Axに重なる領域とは、回転軸101の径方向中心Oからディフューザ400の外周縁部111までの径方向距離をR2とすると、R2>ΔRsc,inとなる領域を意味する。
図13に示すように、スクロール流路70は、舌端部71からケーシング吐出口59にかけて徐々に流路断面積を拡大させている。このように、スクロール部75の全体が、ΔRsc,outが一定となる区間を有する、すなわち、ΔRsc,outが増加する区間を有しないことで送風機22の径方向の小型化を図っている。そのため、ΔRsc,inを徐々に減少させることで流路断面積の拡大を可能にしている。これは、スクロール流路70を遠心羽根車300の回転面上(径方向外側)に配置せず、遠心羽根車300の回転面から軸方向Axにずらした位置(軸方向Axに重なる位置)にスクロール流路70を配置したことにより実現可能となっている。
さらに、ΔRsc,inを遠心羽根車300の外径(外周縁部110)より小さくすることで、同じ流路断面積を保ちつつ、流路断面の軸方向Axの高さを抑えることができ、送風機22の軸方向Axの長さを短くすることが可能になる。つまり、ΔRsc,inを遠心羽根車300の外径(外周縁部110)より小さくすればするほど遠心羽根車300の径方向に流路の容積を拡大できるので、流路断面の軸方向Axの高さを抑えることができる。
なお、本実施形態において、遠心羽根車300がスクロール流路70と少なくとも一部の領域において軸方向Axに重なっているが(図14参照)、この限りではなく、複数の領域および全周にわたって重なってもよい。これにより、送風機22を設置する空間に柔軟に対応したスクロール流路70の形状を実現できる。また、全周にわたって重なった場合、ΔRsc,inの減少に伴い、ΔRsc,outを減少させることができるため、更なる送風機22の径方向の小型化を図ることができる。
<送風機22内の空気の流れ>
次に、送風機22内における空気の流れについて図14を参照して説明する。
電動機100を駆動し、回転軸101と同軸の遠心羽根車300が回転すると、ファンカバー51の吸込口57から空気が遠心羽根車300内に流入する。流入した空気は、回転する遠心羽根車300内で昇圧および増速され、遠心羽根車300から吐出される。遠心羽根車300から吐出された空気は、ディフューザ400に導かれる。ディフューザ400のディフューザ流路410で空気が減速されることによって、吐出された空気の持つ運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され(圧力回復という)、昇圧される。
ディフューザ流路410から吐出された空気は、ディフューザ流路410とスクロール流路70とが接続される連通路420(図12参照)によって軸方向Axのスクロール流路70側に転向され、スクロール流路70に流入する。スクロール流路70に流入した空気は、遠心羽根車300の回転方向W(図13参照)に減速しながら進行し、図13に示すスクロール流路70(スクロール部75および吐出部76)を通ってケーシング吐出口59に排出される。スクロール流路70からケーシング吐出口59に向かって進行する空気は、運動エネルギーが圧力エネルギーに変換されてさらに昇圧される。
ケーシング吐出口59から吐出された空気は導入路72を通って、図12に示す電気ヒータ24を通過し、図2に示すファンカバー51の排出口58から排出される。電気ヒータ24を通過する空気は、加熱されて乾燥に適した温度となる。
また、ディフューザ流路410とスクロール流路70により、遠心羽根車300からの空気の流れを減速している。また、図12に示すケーシング吐出口59の形状を略矩形形状にすることによって、電気ヒータ24へ流入する空気の分布が一様になるようにしている。これにより、電気ヒータ24で発生する圧力損失を低減でき、送風機の高効率化を図ることができる。
また、送風機22は、スクロール流路70が、遠心羽根車300に対して軸方向Axの電動機100側(電動機100が設置される側)に配置され、遠心羽根車300と電動機100(つば部103)(図14参照)との間に位置している。このように、遠心羽根車300と電動機100との間にスクロール流路70を形成することで、送風機22の径方向への小型化を図ることが可能になる。
また、スクロール流路70は、スクロール合流面95(図3参照)が遮蔽板470(図3参照)によって遮蔽されている。これにより、ディフューザ流路410からスクロール部75を介して旋回して流れた空気が、舌端部71において下流から上流へ逆流するのを抑制することができ、送風機22の高効率化を図ることができる。
図14に示すように、送風機22は、ファンケーシング52におけるディフューザ400が設けられる面と軸方向Axの反対側に、遠心羽根車300と同軸の回転軸101を備える電動機100が設けられている。電動機100のねじ挿通孔104(図3参照)に、ねじ(図示せず)に用いて電動機100をファンケーシング52に固定する際、弾性体のブッシュ106(防振ゴム、図3参照)を介して固定される。弾性体のブッシュ106により、電動機100から発生する振動をブッシュ106で吸収して緩和させることができる。
また、電動機100のケース102には、回転軸101の周囲に、円環状の凹部102aが、凹面がファンケーシング52側に向くように形成されている。そして、凹部102aには防振ゴム105(弾性部材)が設けられている。電動機100は、防振ゴム105を介してファンケーシング52に取り付けられている。これにより、電動機100から発生する振動を緩和させることができる。
ところで、良好な圧力回復を得るために、スクロール流路70の流路断面積は、舌端部71からケーシング吐出口59にかけて、徐々に拡大することが望ましい。そのため一般的には、スクロール流路70の径方向外側壁面74を径方向外側に拡大し、ΔRsc,out(図14参照)を舌端部71からケーシング吐出口59かけて増加させることで、流路断面積の拡大を図っている。しかし、このように構成した場合、流路断面積が拡大するにつれてスクロール流路70の径方向の大きさも拡大し、ひいては送風機22が大型化する。
そこで、本実施形態では、図13に示すように、スクロール流路70を、舌端部71からケーシング吐出口59にかけて、ΔRsc,outが一定となる区間(舌端部71からディフューザベーン401が流路壁面から離れる点Bまで)を有し、ΔRsc,inを舌端部71から吐出部76の開始点(スクロール部75の終点、または点Bの位置)に向かうにつれて減少させている。これにより、回転軸101の径方向外側にスクロール流路70を増加させることなく、徐々に流路断面積を拡大でき、良好な圧力回復を行うスクロール流路70を実現できる。
以上説明したように、第1実施形態の送風機22は、電動機100と、電動機100に回転自在に設けられる回転軸101と、回転軸101に設けられる遠心羽根車300と、遠心羽根車300の外周に設けられるディフューザ流路410と、ディフューザ流路410の下流に設けられるスクロール流路70と、を備える。スクロール流路70のスクロール合流面95には遮蔽板470が設けられている(図3、図4、図7参照)。これによれば、スクロール合流面95(図3参照)を通過する、下流から上流への逆流を抑制することができるので、損失を低減することができ、送風機22の高効率化を図ることができる。
また、第1実施形態では、遮蔽板470は、ディフューザ流路410を構成する部品に設けられている(図3、図4参照)。これによれば、遮蔽板470とディフューザ400との隙間を無くすことができるので、遮蔽板470とディフューザ400との間における逆流を防止できる。
また、第1実施形態では、遮蔽板470は、スクロール流路70の流路断面積の半分以上を遮蔽する(図9参照)。これによれば、スクロール部75を旋回して流れた空気の逆流を効果的に抑制できる。
また、第1実施形態では、遮蔽板470の上端面470sは、ディフューザ流路410のディフューザベーン401の上端面(上面)401sと同じ高さである(図9参照)。これによれば、スクロール合流面95における逆流をより確実に抑えることができる。
また、第1実施形態では、遮蔽板470の側端面470t(側端縁部)および下端面470u(下端縁部)は、スクロール流路70のスクロール内側壁面79(流路壁面)に当接している(図4、図9参照)。これによれば、スクロール合流面95における逆流をより確実に抑えることができる。
また、第1実施形態は、送風機22が洗濯機Sに備えられている(図1参照)。これにより、高効率化によって乾燥運転時の送風機22への入力電力を低減できるため、消費電力量を抑えた洗濯機Sを提供することができる。
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係る送風機の要部であるファンケーシング52Aを示す斜視図である。
第2実施形態の送風機は、ファンケーシング52A側に第1実施形態の遮蔽板470と同様の遮蔽板470A(遮蔽部材)が設けられている。なお、図15に示していない他の部分は、第1実施形態と同様に構成されている。
遮蔽板470Aは、ファンケーシング52Aのスクロール合流面95(図3、図13参照)の位置において、舌端部71からスクロール内側壁面79(図14参照)に向かうように形成されている。また、遮蔽板470Aは、ファンケーシング52Aと一体に樹脂成型されている。また、ディフューザ400をファンケーシング52Aに取り付けたときに、遮蔽板470Aの上端面470sは、ディフューザベーン401の上端面401sと同じ高さである。また、ディフューザ400をファンケーシング52Aに取り付けたときに、遮蔽板470Aの側端面470tは、ディフューザベーン401の外周面に当接した状態で配置されている。また、遮蔽板470Aの下端面は、スクロール内側壁面79から延びて一体に形成されている。
第2実施形態では、遮蔽板470Aがスクロール流路70を構成する部品に設けられている。これによれば、ディフューザベーン401の周方向の位置を変更したとしても、スクロール合流面95(図3参照)を通過する、下流から上流への逆流を確実に抑制することができる。
なお、遮蔽板470Aは、ファンケーシング52Aと一体成型ではなく、別部品としてもよい。例えば、遮蔽板470Aは、ファンケーシング52Aと嵌合する構成でもよく、またはディフューザ400に嵌合する構成でもよい。
(第3実施形態)
図16は、第3実施形態に係る送風機の要部であるディフューザを示す平面図である。図17は、図16のディフューザを裏面側から見たときの平面図である。
図16に示すように、遮蔽板470B(遮蔽部材)は、第1実施形態と同様に、ディフューザ400Bに設けられている。遮蔽板470Bは、樹脂成型によってディフューザ400Bと一体に形成されている。また、遮蔽板470Bは、板状に形成され、ディフューザベーン401から舌端部71に向けて延びている。また、遮蔽板470Bの出口側(吐出部76側)に向く面470mが、導入路72(流路)の内壁面72sと面一(つらいち)になるように形成されている。
このように遮蔽板470Bをディフューザ400Bに形成することで、スクロール合流面95(図3参照)を通過する、下流から上流への逆流を抑制することができるので、損失を低減することができ、送風機22の高効率化を図ることができる。また、遮蔽板470Bの出口側の面470mと導入路72の内壁面72sとを面一にすることで、スクロール流路70を旋回して流れてきた空気が舌端部71に衝突するのを抑制して、損失をさらに低減でき、送風機22の高効率化を図ることができる。
なお、第3実施形態では、遮蔽板470Bをディフューザ400Bに設けた場合を例に挙げて説明したが、第2実施形態と同様に、遮蔽板470Bをファンケーシング52側に設けてもよい。または、ディフューザ400Bやファンケーシング52とは別々の部品で構成してもよい。
また、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態では、スクロール流路70をディフューザ400に対して軸方向に重なるように設けた場合を例に挙げて説明したが、スクロール流路70をディフューザ400の径方向外側(外周側)に設ける構成であってもよい。