以下、図面を参照しながら各実施例を説明する。各実施例の説明において、他の実施例と同一の構成については説明を省略する場合がある。以下の説明では、特に断りのない限り、スイッチはN型のMOSトランジスタであるものとして説明を行う。スイッチがオンの状態とはN型MOSトランジスタにハイレベル(Hレベル)の制御信号が入力し、N型MOSトランジスタが導通の状態を示す。スイッチがオフの状態とはローレベル(Lレベル)の制御信号が入力し、N型MOSトランジスタが非導通の状態を示す。
なお、N型のMOSトランジスタでなくP型のMOSトランジスタを用いてもよい。その場合には、制御信号などのP型MOSトランジスタへ供給する電位をN型の場合と逆転させるなど適宜変更して適用することが可能である。また、スイッチは、N型のMOSトランジスタとP型のMOSトランジスタとを併用したCMOSスイッチであってもよく、適宜変更可能である。また、各実施例の説明において、回路素子同士の接続関係を説明しているが、別の素子(スイッチ、バッファなど)を間に入れるなどの変更は適宜行うことが可能である。
(実施例1)
図1は、実施例1を説明するための光電変換装置のブロック図である。光電変換装置は、光を検出し信号を出力する単位回路を有する。本実施例の光電変換装置は、撮像可能な光電変換装置とし、単位回路を画素とする。図1の画素領域100は複数の画素PIXを有する。複数の画素は、行R1からRnまでのn行、且つ列C1から列Cmまでのm列に配されている。ここで、図1において、列方向を第1方向D1が示し、行方向を第2方向D2が示す。画素領域100には、撮像信号を検出する画素PIXのほかに、遮光されたオプティカルブラック画素や信号を出力しないダミー画素、焦点検出用画素等の他の画素(図示せず)が配置されていてもよい。画素列のそれぞれには垂直信号線101が配されており、垂直信号線101には複数の画素PIXが接続している。画素PIXから信号は垂直信号線101に出力される。画素行のそれぞれには制御信号線102が配されており、制御信号線102には画素PIXの素子の動作を制御するための制御信号が供給される。図1において各画素行に対して1本の制御信号線102が配されているが、実際には各画素行に対して複数の制御信号線102が配されているものとする。垂直走査回路部103は、画素PIX内の素子を駆動するための制御信号を、制御信号線102を介して画素PIXに供給するための回路である。垂直走査回路部103は制御信号線102に接続されている。そして、垂直走査回路部103は、制御回路部104からの信号を受けて、各行に制御信号を供給する。垂直信号線101の一端は、列読み出し回路部105に入力される。列読み出し回路部105は、画素PIXから読み出された画素信号に対して、増幅処理やAD変換処理などの信号処理を実施する回路である。列読み出し回路部105は、バッファや差動増幅回路を含む増幅部、サンプルホールド回路、AD変換回路等を含み得る。水平走査回路部106は、制御信号を列読み出し回路部105に供給する回路部である。水平走査回路部106からの制御信号によって、列読み出し回路部105で処理された画素信号を出力回路部107に転送される。出力回路部107は、信号を光電変換装置の外部の信号処理部に出力するための回路である。制御回路部104は、タイミングジェネレーターなどの、各回路を制御するための回路である。制御回路部104は、垂直走査回路部103、列読み出し回路部105、水平走査回路部106及び出力回路部107の動作やそのタイミングを制御する制御信号を供給する。なお、垂直走査回路部103、列読み出し回路部105、水平走査回路部106及び出力回路部107への制御信号の少なくとも一部は、制御回路部104ではなく光電変換装置の外部から供給してもよい。
図2は、本実施例における光電変換装置の画素に関する模式的な回路図である。列C1と列C2を示しており、各列の1つの画素PIXのみを示し、他の画素は省略している。列C1と列C2において同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
図2において、画素PIXは、光電変換素子201、転送トランジスタ202、リセットトランジスタ203、増幅トランジスタ204、選択トランジスタ205、容量付加トランジスタ206を有している。
光電変換素子201は、例えばフォトダイオードであるが、有機材料の光電変換膜やフォトゲート等の任意の構成が適用できる。転送トランジスタ202は、光電変換素子201とフローティングディフュージョン部(以下、FD部)207との間を選択的に接続する。そして、転送トランジスタ202は、光電変換素子201で生じた電荷をFD部207へ転送する。FD部207は、増幅トランジスタ204の入力ノードである。増幅トランジスタ204は、FD部207の電位に基づく信号を選択トランジスタ205へと出力する。増幅トランジスタ204の一端209は例えば電源電圧に接続される。増幅トランジスタ204はソースフォロワ回路の一部であり、増幅トランジスタ204のゲート電極が入力ノードである。選択トランジスタ205は、増幅トランジスタ204と垂直信号線101との間を選択的に接続する。そして、選択トランジスタ205は、垂直走査回路からの制御信号のタイミングに合わせて増幅トランジスタ204からの信号を垂直信号線101へと出力する。
容量付加トランジスタ206の一端がFD部207に接続し、他端がリセットトランジスタ203の一端と接続している。リセットトランジスタ203の他端は例えば電源電圧208と接続している。言い換えると、容量付加トランジスタ206はリセットトランジスタ203とFD部207との間を選択的に接続する。また、FD部207に対して容量付加トランジスタ206とリセットトランジスタ203が直列に接続しているとも言える。リセットトランジスタ203は、FD部207をリセット電位に設定する(リセットする)ことが可能である。容量付加トランジスタ206は、自身がオン、オフすることでFD部207の容量を切り替え得る。
ここで、容量付加トランジスタ206について、説明する。容量付加トランジスタ206は少なくとも一端がFD部207に接続すればよい。容量付加トランジスタ206がオンする際に、容量付加トランジスタ206のチャネル形成による容量(MOS容量)がFD部207の容量に付加される。更には、容量付加トランジスタ206の他端に係る容量、例えばゲート電極と他端との間の容量や、他端を構成する半導体領域のPN接合容量や、周りの配線間との容量などが、FD部207の容量に付加される。FD部207の容量が大きくなることで、FD部207が保持可能な電荷が増え、ダイナミックレンジの拡大が可能である。また、容量付加トランジスタ206がオフする際には、前述の容量付加トランジスタ206に係る容量はFD部207に付加されず、FD部207の容量は変化しない。この場合には、FD部207の1つの電荷に対する電圧変化量(電荷電圧変換効率)を高めることができる。なお、この電荷電圧変換効率が高いとは、つまり感度が高いとも言える。よって、容量付加トランジスタ206によって、FD部207の容量(入力ノードの容量)の切り替え、すなわち感度の切り替えが可能である。なお、容量付加トランジスタ206がオンする際に付加される容量の大きさは、トランジスタの設計や他の配線との配置などを設定することによって、適宜、決定することができる。
画素PIXの各トランジスタのゲート電極には、制御信号が供給される。図2では、転送トランジスタ202のゲート電極に制御信号Φ202が供給され、リセットトランジスタ203のゲート電極に制御信号Φ203が供給され、容量付加トランジスタ206のゲート電極に制御信Φ206が供給される。制御信号Φ202、203、206はそれぞれ図1の水平走査回路部106から制御信号線102を介して各トランジスタに供給される。図2では、制御信号線102は複数の列に渡って配され、共通の制御信号が同一の列に配された複数の画素PIXに供給される。
垂直信号線101には、クリップ回路210が接続している。クリップ回路210は、垂直信号線101の信号(電位)の振幅を制限し得る。クリップ回路210は、少なくとも1つのトランジスタ211を有する。トランジスタ211の一端が垂直信号線101に接続し、トランジスタ211のゲート電極には制御信号が供給される。垂直信号線101の電位が所定の値をこえる、あるいは下回る場合に、クリップ回路210は制御信号に応じた電位に垂直信号線101の電位が保たれるように動作する。
また、垂直信号線101には、定電流源212が接続している。定電流源212は各垂直信号線101に対して2つのトランジスタ213、214が直列に接続されている。トランジスタ213の一端は垂直信号線101に接続し、トランジスタ213の他端はトランジスタ214の一端と接続している。トランジスタ214の他端は接地(グランド電位に接続)している。各列のトランジスタ213のゲート電極は共通に接続され、各列のトランジスタ214のゲート電極は共通に接続されている。なお、定電流源212は、トランジスタ213がないなど、別の構成であってもよい。
図3(a)、および図3(b)は、図2の画素における各トランジスタの制御信号を示すタイミング図である。タイミング図の横軸は時間である。図3(a)、および図3(b)において、図2で示した各制御信号Φ205、Φ203、Φ206、Φ202の電位の状態が示されている。更に、制御信号Φ105は、図1の列読み出し回路部105において画素からの信号を保持するための制御信号の電位の状態を示している。各制御信号は、各トランジスタがオンとなるHレベルの電圧VHと、オフとなるLレベルの電圧VLをそれぞれ有している。電圧の大小関係は、VH>VLである。図3(a)は容量付加トランジスタ206をオンにした場合であり、図3(b)は容量付加トランジスタ206をオフにした場合を示す。
まず、図3(a)の場合について説明する。時刻t1において、制御信号Φ205がHレベルとなり、画素の選択トランジスタ205がオンとなり、画素は信号が出力される状態(選択状態)になる。そして、制御信号Φ203、Φ206がHレベルとなっている。なお、制御信号Φ206は時刻t1から時刻t10まで常時Hレベルである。容量付加トランジスタ206がオンとなり、リセットトランジスタ203がオンとなる。この時、リセットトランジスタ203によって、FD部207と、FD部207に接続するオン状態の容量付加トランジスタ206が所定の電位に設定(リセット)される。
時刻t2において、制御信号Φ203がLレベルになり、リセットトランジスタ203がオフとなり、FD部207のリセットが完了する。一方、制御信号Φ206はHレベルが維持されているため、オンした状態である。ここで、リセット動作は制御信号Φ203によって制御されているともいえる。このとき、オンとなった容量付加トランジスタ206がFD部207に接続しているため、容量付加トランジスタ206がオフの状態におけるFD部207の容量に比べて、FD部207の容量が増大している。次に、時刻t3~t4において、制御信号Φ105がHレベルになることで、画素からの信号が垂直信号線を介して列読み出し回路にて保持される。このときの画素からの信号は、FD部207をリセットした際のFD部207の電位に基づく信号(リセット信号)である。
時刻t5~t6において、制御信号Φ202がHレベルになることで、光電変換素子201の電荷がFD部207へ転送される。FD部207へ転送された電荷に基づく信号(検出信号)が画素から出力される。時刻t7~t8において、制御信号Φ105がHレベルになることで、画素からの信号が列読み出し回路にて保持される。時刻t9において、制御信号Φ203がHレベルになることで、容量付加トランジスタ206とFD部207がリセットされる。時刻t10で制御信号Φ205がLレベルになることで、画素が非選択状態となり、この画素の一連の読み出し動作が完了する。ここで、検出信号とは、光に応じた信号であり、例えば、撮像の場合には画像信号ともいえる。
この読み出し動作では、制御信号Φ206が常時Hレベルとなっているため、容量付加トランジスタ206のゲート下に形成されるチャネルを含む領域もFD部207の容量に付加される。そのため、FD部207が保持する電荷量の増大が可能になり、FD部207のダイナミックレンジを拡大することが可能である。
次に、図3(b)の場合について説明する。時刻t1において、制御信号Φ205がHレベルとなり、画素の選択トランジスタ205がオンとなり、画素は信号が読み出される状態(選択状態)になる。そして、制御信号Φ203、Φ206がHレベルとなっている。なお、制御信号Φ203は時刻t1から時刻t10まで常時Hレベルである。容量付加トランジスタ206がオンとなり、リセットトランジスタ203がオンとなる。この時、リセットトランジスタ203によって、FD部207と、FD部207に接続するオン状態の容量付加トランジスタ206と、が所定の電位に設定(リセット)される。
時刻t2において、制御信号Φ206がLレベルになることで、容量付加トランジスタ206がオフとなる。そして、リセットトランジスタ203とFD部207とが切り離されるため、FD部207のリセットが完了する。ここで、制御信号Φ203はHレベルが維持されているため、リセットトランジスタ203はオン状態を維持している。つまり、リセット動作は制御信号Φ206によって制御されているともいえる。このとき、オフとなった容量付加トランジスタ206がFD部207に接続しているため、FD部207に容量が付加されていない。言い換えると、図3(a)のときのFD部207の容量に比べて、FD部207の容量が減少しているとも言える。
時刻t3~t4において、制御信号Φ105がHレベルになることで、画素からの信号が垂直信号線を介して列読み出し回路にて保持される。このときの画素からの信号は、図3(a)と同様に、FD部207をリセットしたときのFD部207の電位に基づく信号(リセット信号)である。時刻t5~t6において、制御信号Φ202がHレベルになることで、光電変換素子の電荷がFD部207へ転送される。FD部207へ転送された電荷に基づく信号が画素から出力される。時刻t7~t8において、制御信号Φ105がHレベルになることで、画素からの信号が列読み出し回路にて保持される。時刻t9において、制御信号Φ206がHレベルになることで、容量付加トランジスタ206がオンし、FD部207がリセットされる。時刻t10で制御信号Φ205がLレベルになることで、画素が非選択状態となり、この画素の一連の読み出し動作が完了する。
この読み出し動作では、制御信号Φ203が常時Hレベルとなっているため、リセットトランジスタ203が常時オンとなっている。容量付加トランジスタ206はリセット動作のタイミングでオンとなり、FD部207のリセットを行っている。また、容量付加トランジスタ206は、時刻t2~時刻t9でオフとなっているため、FD部207の容量は図3(a)に比べて小さく、FD部207における電荷電圧変換効率が高い状態で読み出し動作を行うことが可能である。つまり、転送トランジスタ202によって転送されてきた電荷によるFD部207の電位の変化(振幅)が大きくなる。よって、暗い低輝度の被写体の撮影など、信号となる電荷が少ない場合に、感度を向上させることが可能となる。
図3(b)の読み出し動作を行うとき、低低輝度の被写体を撮影する際に次のようなことが生じ得る。撮像面内の一部に高輝度の被写体が存在した場合、高輝度の被写体に対応する信号の読み出し時に、FD部207の電荷電圧変換効率が高いため、想定以上のFD部207に電位の変化が生じ得る。そして、大きな電位変化によって、FD部207以降の信号の読み出し経路における動作範囲をこえてしまう可能性がある。読み出し経路とは、具体的には垂直信号線や列読み出し回路である。例えば、垂直信号線では、高輝度の被写体に対応する信号を読み出す垂直信号線の定電流源を介して、他の垂直信号線の信号にも影響を及ぼしてしまうことがある。また、低輝度の被写体を撮影する際には、列読み出し回路で信号を増幅することが多い。信号が増幅されることによって、その影響(ノイズ)も増幅され画質の劣化が生じ得る。図2に示したように各列の垂直出力線ごとに電位の変動を制限する(振幅制限回路)となるクリップ回路を設けているが、さらなる高品質な画像を得るためには十分ではない。クリップ回路からの距離によって、垂直信号線の抵抗などの影響が出るためである。
そこで、本実施例では、容量付加トランジスタ206を駆動する制御信号Φ206が少なくとも3種類の電圧を有する。3種類の電圧は、容量付加トランジスタ206をオンにするHレベルの電圧VHと、容量付加トランジスタ206をオフにするLレベルの電圧VLと、電圧VHと電圧VLの間の電圧であるM1レベルの電圧VM1である。ここで、電圧VM1は、容量付加トランジスタ206がFD部207の振幅制限回路として動作するための電圧である。電圧の大小関係は、VH>VM1>VLである。
図4(a)を用いて、容量付加トランジスタ206を振幅制限回路として動作させる場合について説明する。図4(a)は、図3(a)および図3(b)と同様のタイミング図である。時刻t2~時刻t9の容量付加トランジスタ206の動作以外は、図3(b)と同様である。
時刻t1において、制御信号Φ205がHレベルとなり、画素の選択トランジスタ205がオンとなり、画素は信号が読み出される状態(選択状態)になる。そして、制御信号Φ203、Φ206がHレベルとなっている。制御信号Φ203は時刻t1から時刻t10までHレベルである。容量付加トランジスタ206がオンとなり、リセットトランジスタ203がオンとなる。この時、リセットトランジスタ203によって、FD部207と、FD部207に接続するオン状態の容量付加トランジスタ206と、が所定の電位に設定(リセット)される。
時刻t2において、制御信号Φ206がM1レベルになることで、容量付加トランジスタ206がオフすると同時に、振幅制限として機能し始める。ここで、リセットトランジスタ203とFD部207とが切り離されるため、FD部207のリセットが完了する。ここで、制御信号Φ203はHレベルが維持されているため、リセットトランジスタ203はオン状態を維持している。つまり、時刻t2においては、リセット動作は制御信号Φ206によって制御されているともいえる。このとき、容量付加トランジスタ206はオフであるため、FD部207に容量が付加されていない。なお、厳密には制御信号Φ206がLレベルの時と比べると、微細な容量変化が生じる可能性もあるため、制御信号Φ206の状態は2回の信号が読み出される期間で同一であることが望ましい。
時刻t3~t4において、制御信号Φ105がHレベルになることで、画素からの信号が垂直信号線を介して列読み出し回路にて保持される。この信号は、FD部207をリセットしたときのFD部207の電位に基づく信号(リセット信号)である。時刻t5~t6において、制御信号Φ202がHレベルになることで、光電変換素子201の電荷がFD部207へ転送される。そして、FD部207へ転送された電荷に基づく信号が画素から出力される。時刻t7~t8において、制御信号Φ105がHレベルになることで、画素からの信号が列読み出し回路にて保持される。時刻t9において、制御信号Φ206がHレベルになることで、容量付加トランジスタ206がオンし、FD部207がリセットされる。時刻t10で制御信号Φ205がLレベルになることで、画素が非選択状態となり、この画素の一連の読み出し動作が完了する。
時刻t5~t6において、光電変換素子201の電荷がFD部207へ転送され、FD部207において電圧が変化する。このとき、図3(b)の動作と同様にFD部207は高い電荷電圧変換効率になるように設定されている。ここで、仮に、高輝度な被写体に応じた多くの電荷がFD部207に転送されるとFD部207の電圧が電荷に見合う分だけ下がろうとする。しかし、容量付加トランジスタ206が振幅制限回路として動作しているため、容量付加トランジスタ206がFD部207の電圧を所定の値(設定電圧)になるように制限する。例えば、FD部207の電圧が高いリセットの状態から、光電変換素子201からの電荷(電子)によって、容量付加トランジスタ206の設定電圧よりもFD部207の電圧が下がる場合がある。つまり、FD部207の電位の変動(振幅)が大きくなる場合がある。そのとき、容量付加トランジスタ206はオフの状態から切り替わり、FD部207の電圧を設定電圧に維持するように動作する。なお、光電変換素子201からの電荷が転送された際にFD部207の電圧が設定電圧よりも下がらない場合には、容量付加トランジスタ206は動作しない。つまり、FD部207の電圧がある一定の値以下に下がるときには、容量付加トランジスタ206がオンとなり、リセット電位の供給配線へ電荷が排出される。この動作によって、FD部207の振幅が制限されるため、FD部207の電圧が下がりすぎることを抑制することができる。従って、より高品質な画像情報を得ることが可能となる。
図4(a)の読み出し動作においては、制御信号Φ206と制御信号Φ203は、それぞれ2つの電圧を有している。制御信号Φ206は電圧VHと電圧VM1を、制御信号Φ203は電圧VHと電圧VLを有している。電圧VHは容量付加トランジスタ206とリセットトランジスタ203がオンする電圧であり、電圧VLはリセットトランジスタ203がオフする電圧である。電圧VM1は、容量付加トランジスタ206がオフする電圧であり、また振幅制限回路として動作可能な電圧である。これは、2つのトランジスタがオフする電圧が異なるとも言える。
図4(b)は、図3(a)、図3(b)および図4(a)の動作をまとめた表である。図4(b)は、信号を読み出しする期間における、制御信号Φ206と制御信号Φ203との関係を示している。ここで、信号を読み出しする期間とは、図3(a)、図3(b)および図4(a)における時刻t2~t9までの間の期間であり、リセット動作が終了して信号を画素外の回路が保持するまでの期間である。特に、図3(a)~図4(a)における時刻t5~t8の間、電荷がFD部207に転送されてから電荷に基づく信号が読み出されるまでの間に図4(b)に示す関係が満たされていればよい。このとき、リセット信号が読み出される図3(a)~図4(a)における時刻t2~t4の間も時刻t5~t8と同じ動作を行っていることが望ましい。リセット信号はできる限り電荷に基づく信号が読み出されるときと同じ条件下の信号を用いたいためである。
動作Aは、図3(a)に対応し、FD部207の容量を大きくして信号読み出し動作をする場合を示している。制御信号Φ206は電圧VHであり、制御信号Φ203は電圧VLとなっている。動作Bは、図3(b)に対応し、FD部207の容量を大きくせずに信号読み出し動作をする場合を示している。制御信号Φ206は電圧VLである。図3(b)において制御信号Φ203は電圧VHであったが、電圧VLであっても同様の動作が可能である。動作Cは、図4(a)に対応し、容量付加トランジスタ206をオフにしてFD部207の容量を大きくせずに、振幅制限回路として動作させ、信号読み出し動作をする場合を示している。制御信号Φ206は電圧VM1であり、制御信号Φ203は電圧VHである。
図4(b)に示した動作と信号処理との関係について説明する。例えば、図4(b)の動作と列読み出し回路の増幅部のゲインとの関係を次のようにすることができる。増幅部が高いゲインで増幅処理をする場合には、動作Cに示す制御信号を用いて読み出し動作を行う。そして、増幅部が低いゲインで増幅処理をする場合には、動作Aまたは動作Bに示す制御信号を用いて読み出し動作を行う。このような関係で信号処理を行うことによって、読み出し経路の動作範囲を逸脱せずに良質な画像情報を得ることができる。
また、例えば、図4(b)の動作と被写体の輝度との関係を次のようにすることができる。被写体の輝度が高い場合には動作Aに示す制御信号を用いて読み出し動作を行う。そして、被写体の輝度が低い場合には動作Bまたは動作Cに示す制御信号を用いて読み出し動作を行う。このような関係で信号処理を行うことによって、低輝度の被写体の場合にも感度よく信号を得ることができる。また、動作Cを行うことによって、後の信号処理において高いゲインの増幅処理を行った場合にも読み出し経路の動作範囲をこえずに良質な画像情報を得ることができる。
本実施例の光電変換装置は、動作A~Cを制御回路部104(図1)からの信号で切り替えることが可能である。例えば、被写体の輝度をモニターし、その結果に基づく信号によって制御回路部104から切り替え信号が供給され得る。また、後に説明する撮像システムとしてデジタルスチルカメラの例があるが、デジタルスチルカメラのISO感度の設定に応じて、ゲインが設定される場合もある。そのような場合には、例えば、制御回路部104から、設定されたISO感度に対応したゲインの設定信号や、動作を選択する制御信号が供給され得る。このISO感度の設定は任意に設定可能であるが、上述のように輝度情報をフィードバックすることで設定することも可能である。
本実施例の制御信号Φ203と制御信号Φ206が異なるオフ電圧を有する構成により、FD部207の電位が下がりすぎてしまうことを抑制することが可能である。また、本実施例の制御信号Φ206が少なくとも3つの電圧を有することで、FD部207、すなわち入力ノードに係る容量を適宜切り替えつつ、入力ノードの電位が下がりすぎてしまうことを抑制することが可能である。
なお、制御信号Φ206は、4つのレベル、更に他とは異なるM2レベルを有していてもよい。M2レベルはHレベルとLレベルの間の値であり、その電圧VM2は、VH>VM2>VLを満たす。更に、例えばVM1<VM2であれば、増幅部のゲインの設定などによって、制御信号Φ206をM1レベルからM2レベルで切り替えることも可能である。M2レベルで動作する場合とは、M1レベルよりもより高いゲインの場合などが挙げられる。
また、クリップ回路が制限する信号線の振幅は容量付加トランジスタ206が制限する入力ノードの振幅よりも大きく設定するとよい。
(実施例2)
本実施例では、実施例1の構成に加えて、リセットトランジスタ203の制御信号Φ203がHレベルとLレベルの間のM2レベルを有している。図5(a)を用いて、制御信号Φ203がM2レベルを有するときの動作について説明する。図5(a)は、図3(a)~図4(a)と同様のタイミング図である。制御信号Φ203以外は図3(a)の場合と同様である。つまり、時刻t2~t9において制御信号Φ203はLレベルでなくM2レベルとなっている。ここで、M2レベルは電圧VM2であり、リセットトランジスタ203がオフしつつ、FD部207の電位の振幅制限回路として動作可能な電圧である。つまり、図5(a)に示す動作によって、容量付加トランジスタ206がオンすることでFD部207の容量を大きくしつつ、FD部207の電位が下がりすぎることを抑制することが可能である。
図5(b)は図4(b)と同様の表である。動作Dは、図5(a)に対応し、FD部207の容量を大きくして信号読み出し動作をする場合を示している。制御信号Φ206は電圧VHであり、制御信号Φ203は電圧VM2である。ここで、電圧VM2は、リセットトランジスタの電圧VH、VLと、VH>VM2>VLの関係を満たす。なお、本実施例においては、図4(b)の動作Bは図5(b)の動作B’として示すことができる。すなわち、制御信号Φ203はVH、VL、VM2のいずれの値であってもよい。
(実施例3)
本実施例では、光電変換素子の蓄積期間を異ならせた場合について、図6を用いて説明する。まず、光電変換素子の蓄積期間を長く設定した画像と短く設定した画像の2つの画像を合成することでダイナミックレンジが拡大した画像を得る動作について説明する。図6(a)は信号の蓄積と読み出し動作を模式的に示したタイミング図である。横軸が時間を示し、縦軸は垂直走査回路の読み出し動作を示している。
図6(a)に示すように、1フレーム期間に、蓄積期間が長い画素の蓄積(以下、長蓄積画素)および読み出し動作と、蓄積期間が短い画素(以下、短蓄積画素)の蓄積および読み出し動作が行われている。点線で示されるシャッタが蓄積の開始を示し、画素行ごとに蓄積の開始が順次行われている。実線は読み出し動作の開始を示し、画素行ごとに蓄積の終了および読み出し動作が順次行われている。ここで、短蓄積画素の信号を読み出すときには、列読み出し回路において低いゲインで増幅され、長蓄積画素の信号を読み出すときには、列読み出し回路において高いゲインで増幅される。そこで、本実施例では、短蓄積画素の信号を読み出すときには、容量付加トランジスタ206をオンして読み出し動作を行う。つまり、図4(b)および図5(b)に示す動作Aまたは動作Dを行う。また、長蓄積画素の信号を読み出すときには、容量付加トランジスタ206をオフする。つまり、図4(b)および図5(b)に示す動作B’または動作Cを行う。このような2つの読み出し動作を行うことにより、長い蓄積期間を有する画素の信号で形成された画像の画質劣化を低減でき、短蓄積画像との良好な画像合成が可能となる。
図6(b)および図6(c)は図6(a)のような2つの読み出し動作によって読み出されるときの画素領域100のイメージ図である。図6(b)には長蓄積期間の画素領域100を、図6(c)には短蓄積期間の画素領域100を示す。まず、図6(b)において所定の蓄積期間で電荷を蓄積した各画素PIX1(斜縞模様)が示されている。図6(a)に示す長蓄積画素の読み出し動作が始まると各画素PIX1から電荷に基づく信号が読み出される。そして、図6(c)に示されるように、所定の蓄積期間よりも短い蓄積期間で電荷を蓄積した各画素PIX2(チェック模様)が示されている。図6(a)に示す短蓄積画素の読み出し動作が始まると各画素PIX2から電荷に基づく信号が読み出される。換言すると、ある画素において、短蓄積期間で光電変換素子にて蓄積した電荷を読み出す読み出し動作と、それよりも長い長蓄積期間で前記光電変換素子にて蓄積した電荷を読み出す読み出し動作が行われる。その際、短蓄積画素を読み出す動作においては、制御信号Φ206はLあるいはHレベルに設定される。そして、長蓄積画素を読み出す動作においては、制御信号Φ206はLレベルあるいはM1レベルに設定される。このようにして読み出された画素の信号に基づく2枚の画像を信号処理部において合成することで、ダイナミックレンジが拡大した画像を得ることができる。
図6(a)~(c)では、2枚の画像を読み出す方法を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図7(a)に示すように、画素領域100において長蓄積期間の画素PIX1の行と短蓄積期間の画素PIX2の行を交互に設けるように設定してもよい。つまり、長蓄積画素PIX1と短蓄積画素PIX2が同時刻に存在する。また、図6(a)に示す長蓄積期間の読み出しと短蓄積期間の読み出しを重畳させて行う場合には、ある時間において、画素領域100の半分が長蓄積画素PIX1となり、別の半分が短蓄積画素PIX2となる。また、行に限らず、図7(b)のように、任意の領域701、702、703ごとに蓄積期間の長さを異ならせることも可能である。領域701には長蓄積画素PIX1が、領域702には短蓄積画素PIX2が、領域703には長蓄積画素よりも長い蓄積期間を有する長蓄積画素PIX3が配されている。これらの場合においても、容量付加トランジスタやリセットトランジスタの動作は、蓄積期間の長さや増幅処理のゲインなどによって選択可能である。例えば、長蓄積画素PIX1は動作Bまたは動作Cで読み出し動作を行う。短蓄積画素PIX2は動作Aまたは動作Dで読み出し動作を行う。長蓄積画素PIX3は動作Bまたは動作Cで読み出し動作を行う。このとき、長蓄積画素PIX1、PIX3がともに動作Cで読み出しが行われる場合には、長蓄積画素PIX1の制御信号Φ206をM1レベルに、長蓄積画素PIX3の制御信号Φ206をM2レベルにするなど、適宜、設定を行うことができる。なお、図7(b)のような領域ごとに動作を変更させる場合には、例えば、図1の垂直走査回路だけでなく水平走査回路から制御信号を与える構成にすればよい。
本実施例では、蓄積期間の長さで動作を変更する例を説明したが、例えば、被写体の輝度情報をモニターし領域ごとに動作を変更する方法や、被写体の輝度情報をモニターし決定されたISO感度に合わせて動作を変更する方法など、適宜、変更が可能である。
(実施例4)
本実施例では、容量付加トランジスタを更に有する場合について、図8を用いて説明する。図8は、本実施例における光電変換装置の画素に関する模式的な回路図である。図8は、容量付加トランジスタ800が加わった点を除いて、図2と同等である。
図8では、容量付加トランジスタ206とリセットトランジスタ203との間に容量付加トランジスタ800が設けられている。容量付加トランジスタ800の一端が容量付加トランジスタ206の一端と接続し、容量付加トランジスタ800の他端がリセットトランジスタ203の一端と接続している。容量付加トランジスタ800は、容量付加トランジスタ206とリセットトランジスタ203との間の導通を制御している。容量付加トランジスタ206、800、リセットトランジスタ203がオンとなることで、電源電圧208がFD部207と接続され、FD部207がリセットされる。
容量付加トランジスタ800は次のようにFD部207に容量を付加する。2つの容量付加トランジスタ206、800がオンすることで、容量付加トランジスタ206に係る容量とともに容量付加トランジスタ800に係る容量がFD部207の容量に付加される。容量付加トランジスタ800に係る容量とは、例えばゲート電極と他端との寄生容量や、他端を構成する半導体領域のPN接合容量などである。このとき、容量付加トランジスタ206のオンとなる場合よりもさらにFD部207の容量を大きくすることができ、よりダイナミックレンジを拡大することが可能となる。また、容量付加トランジスタ206がオフする際には、2つの容量付加トランジスタ206、800に係る容量はFD部207に付加されず、FD部207の容量は変化しない。
容量付加トランジスタ800のゲート電極に供給される制御信号Φ800も少なくとも3種類の電圧を有する。3種類の電圧は、容量付加トランジスタ800をオンにするHレベルの電圧VHと、容量付加トランジスタ800をオフにするLレベルの電圧VLと、電圧VHと電圧VLの間の電圧であるM4レベルの電圧VM4である。ここで、電圧VM4は、容量付加トランジスタ800がFD部207の振幅制限回路として動作するための電圧である。電圧の大小関係は、VH>VM4>VLである。
制御信号Φ800を用いた読み出し動作について、図9(a)を用いて説明する。図9(a)は、容量付加トランジスタ800を電圧制限回路として動作させる場合について説明する。図9(a)は、図4(a)と同様のタイミング図である。
時刻t1において、制御信号Φ205がHレベルとなり、画素の選択トランジスタ205がオンとなり、画素は信号が読み出される状態(選択状態)になる。そして、制御信号Φ203、Φ206、Φ800がHレベルとなっている。2つの容量付加トランジスタ206、800がオンとなり、リセットトランジスタ203がオンとなる。この時、リセットトランジスタ203によって、FD部207と、FD部207に接続するオン状態の容量付加トランジスタ206、800と、が所定の電位に設定(リセット)される。
時刻t2において、制御信号Φ800がM4レベルになることで、容量付加トランジスタ800がオフし振幅制限として機能し始める。ここで、リセットトランジスタ203とFD部207とが切り離されるため、FD部207のリセットが完了する。ここで、制御信号Φ203、206はHレベルが維持されているため、リセットトランジスタ203と容量付加トランジスタ206はオン状態を維持している。リセット動作は制御信号Φ206によって制御されているともいえる。また、容量付加トランジスタ206はオンであるため、FD部207に容量が付加されている。
時刻t3~t4において、制御信号Φ105がHレベルになることで、画素からの信号が垂直信号線を介して列読み出し回路にて保持される。この信号は、FD部207をリセットしたときのFD部207の電位に基づく信号(リセット信号)である。時刻t5~t6において、制御信号Φ202がHレベルになることで、光電変換素子201の電荷がFD部207へ転送される。そして、FD部207へ転送された電荷に基づく信号が画素から出力される。時刻t7~t8において、制御信号Φ105がHレベルになることで、画素からの信号が列読み出し回路にて保持される。時刻t9において、制御信号Φ800がHレベルになることで、容量付加トランジスタ800がオンし、FD部207がリセットされる。時刻t10で制御信号Φ205がLレベルになることで、画素が非選択状態となり、この画素の一連の読み出し動作が完了する。
時刻t5~t6において、多くの電荷が転送されてきた際に、容量付加トランジスタ800はFD部207の電位が下がり過ぎないように動作する。このような動作によって、FD部207の容量(入力ノードの容量)を増大させつつ、良質な画像信号を得ることができる。
図9(b)は、図4(b)および図5(b)と同様に動作をまとめた表である。図9(b)は、信号を読み出しする期間における、3つの制御信号Φ206、Φ800、Φ203との関係を示している。信号を読み出しする期間については、図4(b)と同様であるので説明を省略する。
動作Eは、動作BのようにFD部207に容量を付加せずに信号読み出し動作をする場合を示している。制御信号Φ206は電圧VLであるため、FD部207に容量が付加されることはない。このとき、制御信号Φ800、Φ203はいずれの電圧を有していてもよい。動作Fは、動作CのようにFD部207に容量を付加せずに信号読み出し動作をする場合を示している。ここで、制御信号Φ206は電圧VM1であるため、FD部207の振幅制限回路として動作可能である。このとき、制御信号Φ800、Φ203は電圧VHであり、電流制限回路に必要な電源電圧と容量付加トランジスタ206との間の接続を可能にしている。動作Gは、動作Aと同様に容量付加トランジスタ206をオンしてFD部207の容量を大きくしている。この際、制御信号Φ800が電圧VLであるため、容量付加トランジスタ800に係る容量は付加していない。制御信号Φ203はいずれの電圧を有していてもよい。動作Hは、図9(a)の動作に対応し、容量付加トランジスタ206をオンしてFD部207の容量を大きくしつつ、容量付加トランジスタ800を振幅制限回路として動作させて、信号読み出し動作をする場合を示している。このとき、制御信号Φ203は電圧VHであり、電源電圧と容量付加トランジスタ800との間を接続している。動作Iは、2つの容量付加トランジスタ206、800をオンしてFD部207の容量が最も大きくなる場合を示している。制御信号Φ206、Φ800は電圧VHであり、制御信号Φ203は電圧VLである。動作JはFD部207の容量を最も大きくしつつ、リセットトランジスタ203をFD部207の振幅制限回路として機能させている。制御信号Φ206、Φ800は電圧VHであり、制御信号Φ203は電圧VM3である。この動作によって、FD部207の容量を大きくしつつ、FD部207の電位の低下を抑制することが可能となる。
そして、動作Kは、制御信号Φ206、Φ800、Φ203がいずれも電圧VHであり、電荷を排出している。動作Kは、例えば、画素領域100のなかで画像形成に使用されない画素に用いられる。画像形成に使用されない画素とは、例えば、信号を読み出さない画素や信号を読み出しても使用しない画素がある。それら画素は、例えば、信号数の調整のために読み飛ばされる画素(間引き画素)や、オプティカルブラック画素といった基準信号を出力する画素の周りなどに設けられるダミー画素が挙げられる。例えば、図7(b)の領域702のみ画素の信号のみを読み出す場合には、次の駆動を行うとよい。領域701や領域703の画素の制御信号Φ206、Φ800、Φ203を動作Kに示す状態にし、制御信号Φ205をLレベルにする。このような駆動を行うことで、領域701や領域703の画素を余剰電荷の排出のために利用しつつ、信号を読み出さないため読み出し動作の速度を向上させることができる。
以上のように、複数の容量付加トランジスタを設ける構成においても、高品質な画像を得ることが可能である。
(実施例5)
本実施例では、垂直走査回路部103の構成についてについて説明する。図10は垂直走査回路部103を説明するための回路図である。垂直走査回路部103は、走査回路1000とバッファ回路1005を有する。バッファ回路1005は、走査回路1000からの信号を受けて、1つの制御信号線102へ出力する電圧を切り替えることができる。バッファ回路1005は、2つのインバーターと2つのトランジスタを有する。まず、トランジスタ1002はその一端が電圧VLに接続され、トランジスタ1003はその一端が電圧M1、VM3、VM4のいずれかの中間電圧に接続されている。インバーター1001は、走査回路1000からの信号を2つのトランジスタに相補的に入力させるために設けられている。トランジスタ1002がオンのときにはトランジスタ1003がオフとなり、トランジスタ1002から電圧VLが出力される。トランジスタ1003がオンのときにはトランジスタ1002がオフとなり、トランジスタ1003から電圧VM1、VM3、VM4のいずれかの電圧が出力される。インバーター1004はP型のトランジスタとN型のトランジスタからなり、N型のトランジスタの一端が電圧VHと接続している。走査回路1000からの信号に応じて、3つの電圧VH、電圧VL、電圧VMのいずれかを制御信号線102へ出力する。図10に示す制御信号線102は、制御信号Φ206、Φ203、Φ800のいずれかである。このようなバッファ回路1005を有することで、少なくとも3種類の制御信号を供給することが可能となる。例えば、図8に示す制御信号線は5本あり、その中で少なくとも3本には図10のバッファ回路1005が設けられている。このような回路によっても、実施例1~4に示す動作を行うことができる。3種類以上の制御信号を供給する場合には、本回路を適宜、変更すればよい。なお、3種類以上の制御信号を供給する方法は、本実施例の回路に限定されず、適宜、実施することができる。
(実施例6)
本実施例では、実施例1~4で説明した動作とは別の時刻における動作について説明する。本実施例の光電変換装置は図1および図2と同様である。図11(a)および図11(b)は、本実施例を説明するためのタイミング図である。図11(a)は実施例1で説明した図4(a)と対応しており、図11(a)の図4(a)と同じ動作の部分については説明を省略する。図11(b)は実施例2で説明した図5(a)と対応しており、図11(b)の図5(a)と同じ動作の部分については説明を省略する。
まず、図11(a)は、容量付加トランジスタ206を振幅制限回路として動作させる場合について説明する。図11(a)は、時刻t0~t12までの各種制御信号を示している。時刻t0~t12の動作が繰り返し行われているものとする。図11(a)において、時刻t1~t10の間の制御信号は、図4(a)の時刻t1~t10に示す制御信号と一致しているため説明を省略する。すなわち、図11(a)における時刻t1~t10における動作は、図4(a)と同じ動作である。図11(a)では、図4(a)と同様に時刻t2~t9において、制御信号Φ206がM1レベルとなっており、容量付加トランジスタ206が振幅制限回路として動作している。
図11(a)において、時刻t6~t12と、時刻t0~時刻t5は光電変換素子の蓄積期間である。この蓄積期間において、図11(a)の制御信号Φ206はM1レベルとなっている。蓄積期間においても制御信号Φ206をM1レベルとすることで、次のような効果を得ることができる。蓄積期間中に強い光が照射された場合に、光電変換素子からFD部へ溢れる電荷や、FD部で生じてしまった電荷によって、FD部の電位が降下する可能性がある。FD部の電位が降下すると、時刻t3において読み出される基準信号が変動するため、時刻t7において読み出される信号が正常な場合に比べて小さな信号として読み出されてしまう。例えば、光電変換装置を撮像装置として用いるとき、太陽のような高輝度な被写体を撮影すると、強い光が当たった部分の信号レベルが低くなり、太陽の中央が黒沈みする等の画質の劣化が生じうる。しかし、本実施例のように蓄積期間に制御信号Φ206をM1レベルとなっていることで、FD部の電位降下を抑制することができる。これによって、光電変換装置を用いる際に太陽のような強い光源があったとしても、画質の低下を抑制することができる。なお、蓄積期間の少なくとも一部で制御信号Φ206をHレベルとLレベルの間のM1レベルとすることで、効果を得ることができる。
図11(b)では、リセットトランジスタ203を振幅制限回路として動作させる場合について説明する。図11(b)は、時刻t0~t12までの各種制御信号を示している。時刻t0~t12の動作が繰り返し行われているものとする。図11(b)において、時刻t1~t10の間の制御信号は、図5(a)の時刻t1~t10に示す制御信号と一致しているため説明を省略する。すなわち、図11(b)における時刻t1~t10における動作は、図5(a)と同じ動作である。図11(b)では、図5(a)と同様に時刻t2~t9において、制御信号Φ203がM2レベルとなっている。M2レベルとは、電圧VM2であり、VL>VM2>VLの関係を満たす。ここでは、制御信号Φ206がHレベルであるため、リセットトランジスタ203が振幅制限回路として動作している。図11(b)において、図11(a)と同様に、時刻t6~t12と、時刻t0~時刻t5は光電変換素子の蓄積期間である。この蓄積期間において、図11(b)の制御信号Φ203はM2レベルとなっている。蓄積期間において、制御信号Φ206がHレベル、且つ制御信号Φ203がM2レベルであることで、図11(a)と同様にFD電位の降下を抑制することができる。
図11(c)は、図11(a)および図11(b)の動作をまとめた表である。時刻t0~t13および時刻t11~t12は、それぞれ次のような電圧を取ることができる。図11(a)に対応した動作C’’では、制御信号Φ206が電圧VM1であり、制御信号Φ203は電圧VHである。図11(b)に対応する動作D’’では、制御信号Φ206が電圧VHであり、制御信号Φ203は電圧VM2である。他の時刻においては、図4(b9や図5(b)に示す動作を適宜選択することができる。
本実施例では、蓄積期間におけるFD部の電位降下を抑制する動作を説明した。加えて、本実施例では、実施例1~4において説明した信号転送時におけるFD部の電位降下を抑制する動作を行っている。しかし、本実施例の動作において、実施例1~4にて説明した動作を行わなくてもよい。具体的には、図11(a)における時刻t2~時刻t9において、制御信号Φ206はLレベルであってもよい。このような動作であっても、蓄積期間におけるFD部の電位降下を抑制し、画質の低下を抑制することができる。
また、時刻t2~時刻t9における制御信号Φ206のレベルが、時刻t0~時刻t5および時刻t6~時刻t12の少なくとも一部における制御信号Φ206のレベルよりも高くてもよい。すなわち、制御信号Φ206が4つの電圧値を有し、HレベルとLレベルとの間に、2つのMレベルを有していてもよい。
(実施例7)
本実施例では、実施例6で説明した動作を実施例4に示した光電変換装置で行う場合について説明する。本実施例の光電変換装置は図8に示す回路を有する。図12(a)~図12(c)は、本実施例を説明するためのタイミング図である。
図12(a)を用いて、容量付加トランジスタ800を振幅制限回路として動作させる場合について説明する。図12(a)は、図9(a)と対応しており、図9(a)と同じ動作の部分については説明を省略する。図12(a)は、時刻t0~t12までの各種制御信号を示している。時刻t0~t12の動作は繰り返し行われているものとする。図12(a)において、時刻t1~t10の間の制御信号は、図9(a)の時刻t1~t10に示す制御信号と一致している。図12(a)における時刻t1~t10における動作は、図9(a)と同じ動作である。図12(a)では、図9(a)と同様に時刻t2~t9において、制御信号Φ800がM1レベルとなっており、容量付加トランジスタ800が振幅制限回路として動作している。
そして、図12(a)では、図9(a)に比べて、時刻t0~t13と時刻t11~t12の制御信号Φ800がM1レベルになっている。図12(a)において、時刻t6~t12と、時刻t0~時刻t5は光電変換素子の蓄積期間である。この蓄積期間において、図12(a)の制御信号Φ800はM1レベルとなっている。蓄積期間においても制御信号Φ206をM1レベルとすることで、FD部の電位降下を抑制することができる。
図12(b)は、容量付加トランジスタ206を振幅制限回路として動作させた場合のタイミング図である。図12(b)では、制御信号Φ800は常にHレベルであり、時刻t0~t13と時刻t11~t12で制御信号Φ206がM1レベルとなっている。また、時刻t2~t9で制御信号Φ206がM1レベルとなっている。このような動作によって、FD部の容量を増大させつつ、FD部電位降下を抑制することができる。
図12(c)は、リセットトランジスタ203を振幅制限回路として動作させた場合のタイミング図である。図12(c)では、制御信号Φ800と制御信号Φ206は常にHレベルであり、時刻t0~t13と時刻t11~t12で制御信号Φ203がM1レベルとなっている。また、時刻t2~t9で制御信号Φ203がM1レベルとなっている。このような動作によって、FD部の容量を図12(b)よりも増大させつつ、FD部電位降下を抑制することができる。
本実施例では、蓄積期間におけるFD部の電位降下を抑制する動作を説明した。本実施例では、実施例1~4において説明した信号転送時におけるFD部の電位降下を抑制する動作を行っているが、行わなくてもよい。すなわち、時刻t2~時刻t9において、図12(a)では制御信号Φ800はLレベルであってもよい。時刻t2~時刻t9において、図12(b)では制御信号Φ206はLレベルであってもよい。また、図12(c)においては、時刻t2~時刻t9において、制御信号Φ203はLレベルであってもよい。このような動作であっても、蓄積期間におけるFD部の電位降下を抑制することができる。また、実施例6に記載したように、制御信号Φ203は4つの電圧値を有していてもよい。
(実施例8)
本実施例では、光電変換素子の蓄積期間を決めるタイミングを他の実施例と異ならせた場合について説明する。図13は、本実施例を説明するためのタイミング図である。図13(a)は図11(a)と対応するタイミング図であり、図13(b)は図12(a)と対応するタイミング図である。図13(a)および図13(b)では、図11(a)および図12(a)とは異なる蓄積期間を開始する制御信号が供給されている。
時刻t14~t15において、図13(a)では制御信号Φ202と制御信号Φ206がHレベルとなり、図13(b)では制御信号Φ202と制御信号Φ800がHレベルとなる。この時、いずれの場合においても、光電変換素子とFD部がリセットされている。図13(a)では、時刻t15において、制御信号Φ202がLレベルとなり、制御信号Φ206がM1レベルとなる。図13(b)では、時刻t15において、制御信号Φ202がLレベルとなり、制御信号Φ800がM1レベルとなる。図13(a)および図13(b)のいずれの場合においても、この時刻t15が光電変換素子の蓄積開始時刻となる。このような動作によって、光電変換素子の蓄積期間を決めてもよい。この動作は、他の実施例にも適宜、組み合わせることができる。例えば、図12(b)や図12(c)の場合には、制御信号Φ800の代わりに制御信号Φ203や制御信号Φ206を制御することで、光電変換素子の蓄積開始時刻を規定することができる。
なお、時刻t11~t14において、図13(a)の制御信号Φ206と図13(b)の制御信号Φ800はM1レベルとなっているが、それに限定されない。これらの制御信号は、Hレベルであってもよいが、M1レベルあるいはLレベルであってもよい。また、実施例6に記載したように、制御信号Φ203は4つの電圧値を有していてもよい。
(実施例9)
本実施例では、光電変換装置の一例を説明する。本実施例の光電変換装置は、少なくとも2つの積層用の半導体基板が電気的に接続された状態で積層して構成されている。このような光電変換装置は、積層型の光電変換装置とも称される。ここで、半導体基板は、部材ともチップとも称する場合がある。
図14は、本実施例の光電変換装置1100の模式図であり、光電変換装置1100の分解斜視図である。1つの半導体基板1110には画素領域1111が設けられている。別の半導体基板1120には、制御部1121と信号処理部1122が設けられている。制御部1121と信号処理部1122のそれぞれの半導体基板1110への正射影は、少なくとも一部が画素領域1111と重畳している。なお、本実施例の光電変換装置1100は、更に、別の処理回路を有する半導体基板を有していてもよく、3つ以上の積層用の半導体基板を有していてもよい。
制御部1121は、画素路に駆動信号を供給する垂直走査回路や、電源回路を含み得る。また、制御部1121は光電変換装置を駆動するためのタイミング発生回路や、変換回路へ参照信号を供給する参照信号供給回路、増幅回路あるいは変換回路から信号を順次読み出すための水平走査回路を含み得る。例えば、制御部1121は、図1における光電変換装置の垂直走査回路部103、水平走査回路部106、制御回路部104などを含む。
信号処理部1122は、画素領域で発生した信号電荷に基づく電気信号を処理する。信号処理部1122は、ノイズ除去回路、増幅回路、変換回路、画像信号処理回路を含むことができる。ノイズ除去回路は、例えば相関二重サンプリング(CDS)回路である。増幅回路は、例えば列アンプ回路である。変換回路は、例えばコンパレータとカウンタで構成されたアナログデジタル変換(ADC)回路である。画像信号処理回路は、例えばメモリとプロセッサを含み、アナログデジタル変換されたデジタル信号から画像データを生成したり、画像データに画像処理を施したりする。例えば、信号処理部1122は、図1における列読み出し回路部105を含む。
本実施例において、図10に示したバッファ回路1005は、半導体基板1120に配されている。このように、画素領域100が配された半導体基板とは別に、制御信号を供給するバッファ回路を含む走査回路部が配された半導体基板があれば実施例1~5に記載の動作を行うことができる。
(実施例10)
図15は、本実施例による撮像システム1200の構成を示すブロック図である。本実施例の撮像システム1200は、光電変換装置1204を含む。ここで、光電変換装置1204は、上述の実施例で述べた光電変換装置のいずれかを適用することができる。撮像システム1200の具体例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダー、監視カメラ等が挙げられる。図15では、撮像システム1200としてデジタルスチルカメラの例を示している。
図15に例示した撮像システム1200は、光電変換装置1204、被写体の光学像を光電変換装置1204に結像させるレンズ1202、レンズ1202を通過する光量を可変にするための絞り1203、レンズ1202の保護のためのバリア1201を有する。レンズ1202および絞り1203は、光電変換装置1204に光を集光する光学系である。
撮像システム1200は、光電変換装置1204から出力される出力信号の処理を行う信号処理部1205を有する。信号処理部1205は、必要に応じて入力信号に対して各種の補正、圧縮を行って出力する信号処理の動作を行う。撮像システム1200は、更に、画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリ部1206、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1209を有する。更に撮像システム1200は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1211、記録媒体1211に記録または読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1210を有する。なお、記録媒体1211は、撮像システム1200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。また、記録媒体制御I/F部1210から記録媒体1211との通信や外部I/F部1209からの通信は無線によってなされてもよい。
更に撮像システム1200は、各種演算を行うとともにデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1208、光電変換装置1204と信号処理部1205に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1207を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、撮像システム1200は、少なくとも光電変換装置1204と、光電変換装置1204から出力された出力信号を処理する信号処理部1205とを有すればよい。なお、実施例9にて説明したようにタイミング発生部1207は光電変換装置に搭載されていてもよい。全体制御・演算部1208およびタイミング発生部1207は、光電変換装置1204の制御機能の一部または全部を実施するように構成してもよい。
光電変換装置1204は、画像用信号を信号処理部1205に出力する。信号処理部1205は、光電変換装置1204から出力される画像用信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。また、信号処理部1205は、画像用信号を用いて、画像を生成する。なお、信号処理部1205やタイミング発生部1207は、光電変換装置に搭載されていてもよい。つまり、信号処理部1205やタイミング発生部1207は、画素が配された基板に設けられていてもよく、実施例9に記載したような別の基板に設けられている構成であってもよい。上述した各実施例の光電変換装置を用いて撮像システムを構成することにより、より良質の画像が取得可能な撮像システムを実現することができる。
(実施例11)
本実施例の撮像システム及び移動体について、図16および図17を用いて説明する。図16は、本実施例による撮像システム及び移動体の構成例を示す概略図である。図17は、本実施例による撮像システムの動作を示すフロー図である。本実施例では、撮像システムとして車載カメラの一例を示す。
図16は、車両システムとこれに搭載される撮像システムの一例を示したものである。撮像システム1301は、撮像装置1302、画像前処理部1315、集積回路1303、光学系1314を含む。光学系1314は、撮像装置1302に被写体の光学像を結像する。撮像装置1302は、光学系1314により結像された被写体の光学像を電気信号に変換する。撮像装置1302は、上述の各実施例のいずれかの光電変換装置である。画像前処理部1315は、撮像装置1302から出力された信号に対して所定の信号処理を行う。画像前処理部1315の機能は、撮像装置1302内に組み込まれていてもよい。撮像システム1301には、光学系1314、撮像装置1302及び画像前処理部1315が、少なくとも2組設けられており、各組の画像前処理部1315からの出力が集積回路1303に入力されるようになっている。
集積回路1303は、撮像システム用途向けの集積回路であり、メモリ1305を含む画像処理部1304、光学測距部1306、視差演算部1307、物体認知部1308、異常検出部1309を含む。画像処理部1304は、画像前処理部1315の出力信号に対して、現像処理や欠陥補正等の画像処理を行う。メモリ1305は、撮像画像の一次記憶、撮像画素の欠陥位置を格納する。光学測距部1306は、被写体の合焦や、測距を行う。視差演算部1307は、複数の撮像装置1302により取得された複数の画像データから視差情報(視差画像の位相差)の算出を行う。物体認知部1308は、車、道、標識、人等の被写体の認知を行う。異常検出部1309は、撮像装置1302の異常を検出すると、主制御部1313に異常を発報する。
集積回路1303は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
主制御部1313は、撮像システム1301、車両センサ1310、制御ユニット1320等の動作を統括・制御する。なお、主制御部1313を持たず、撮像システム1301、車両センサ1310、制御ユニット1320が個別に通信インターフェースを有して、それぞれが通信ネットワークを介して制御信号の送受を行う(例えばCAN規格)方法も取り得る。
集積回路1303は、主制御部1313からの制御信号を受け或いは自身の制御部によって、撮像装置1302へ制御信号や設定値を送信する機能を有する。
撮像システム1301は、車両センサ1310に接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの自車両走行状態及び自車外環境や他車・障害物の状態を検出することができる。車両センサ1310は、視差画像から対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段でもある。また、撮像システム1301は、自動操舵、自動巡行、衝突防止機能等の種々の運転支援を行う運転支援制御部1311に接続されている。特に、衝突判定機能に関しては、撮像システム1301や車両センサ1310の検出結果を基に他車・障害物との衝突推定・衝突有無を判定する。これにより、衝突が推定される場合の回避制御、衝突時の安全装置起動を行う。
また、撮像システム1301は、衝突判定部での判定結果に基づいて、ドライバーに警報を発する警報装置1312にも接続されている。例えば、衝突判定部の判定結果として衝突可能性が高い場合、主制御部1313は、ブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして、衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置1312は、音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムやメーターパネルなどの表示部画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
本実施例では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム1301で撮影する。図16(b)に、車両前方を撮像システム1301で撮像する場合の撮像システム1301の配置例を示す。
2つの撮像装置1302は、車両1300の前方に配置される。具体的には、車両1300の進退方位又は外形(例えば車幅)に対する中心線を対称軸に見立て、その対称軸に対して2つの撮像装置1302が線対称に配置されると、車両1300と被写対象物との間の距離情報の取得や衝突可能性の判定を行う上で好ましい。また、撮像装置1302は、運転者が運転席から車両1300の外の状況を視認する際に運転者の視野を妨げない配置が好ましい。警報装置1312は、運転者の視野に入りやすい配置が好ましい。
次に、撮像システム1301における撮像装置1302の故障検出動作について、図17を用いて説明する。撮像装置1302の故障検出動作は、図17に示すステップS1410~S1480に従って実施される。
ステップS1410は、撮像装置1302のスタートアップ時の設定を行うステップである。すなわち、撮像システム1301の外部(例えば主制御部1313)又は撮像システム1301の内部から、撮像装置1302の動作のための設定を送信し、撮像装置1302の撮像動作及び故障検出動作を開始する。
次いで、ステップS1420において、有効画素から画素信号を取得する。また、ステップS1430において、故障検出用に設けた故障検出画素からの出力値を取得する。この故障検出画素は、有効画素と同じく光電変換部を備える。この光電変換部には、所定の電圧が書き込まれる。故障検出用画素は、この光電変換部に書き込まれた電圧に対応する信号を出力する。なお、ステップS1420とステップS1430とは逆でもよい。
次いで、ステップS1440において、故障検出画素の出力期待値と、実際の故障検出画素からの出力値との該非判定を行う。ステップS1440における該非判定の結果、出力期待値と実際の出力値とが一致している場合は、ステップS1450に移行し、撮像動作が正常に行われていると判定し、処理ステップがステップS1460へと移行する。ステップS1460では、走査行の画素信号をメモリ1305に送信して一次保存する。そののち、ステップS1420に戻り、故障検出動作を継続する。一方、ステップS1440における該非判定の結果、出力期待値と実際の出力値とが一致していない場合は、処理ステップはステップS1470に移行する。ステップS1470において、撮像動作に異常があると判定し、主制御部1313、又は警報装置1312に警報を発報する。警報装置1312は、表示部に異常が検出されたことを表示させる。その後、ステップS1480において撮像装置1302を停止し、撮像システム1301の動作を終了する。
なお、本実施例では、1行毎にフローチャートをループさせる例を例示したが、複数行毎にフローチャートをループさせてもよいし、1フレーム毎に故障検出動作を行ってもよい。なお、ステップS1470の警報の発報は、無線ネットワークを介して、車両の外部に通知するようにしてもよい。
また、本実施例では、他の車両と衝突しない制御を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。さらに、撮像システム1301は、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機或いは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
本発明の光電変換装置は、更に、カラーフィルタやマイクロレンズを有する構成であってもよく、距離情報など各種情報を取得可能な構成であってもよい。例えば、1つの入力ノードに対して複数の光電変換素子を有していてもよく、複数の光電変換素子に共通の1つのマイクロレンズが設けられている構成であってもよい。また、増幅トランジスタはソースフォロワ回路の一部であるが、AD変換器の一部を構成していてもよい。具体的には、AD変換器が含む比較器の一部を増幅トランジスタが構成していてもよい。また、比較器の一部の構成が別の半導体基板に設けられている構成であってもよい。
また、単位回路は転送トランジスタを有しておらず、入力ノードに直接光電変換素子が接続している構成であってもよい。更には、オーバーフロードレインといった電荷排出部が設けられていてもよい。
各実施例において、全てのトランジスタのHレベルの電圧をVH、Lレベルの電圧とVLとして説明したが、各トランジスタの制御信号のVHおよびVLは異なる値を有していてもよい。つまり、それぞれの制御信号が有する電圧VH、電圧VLは各トランジスタがオンし、オフするように任意に設定可能である。
本発明は、上記実施例に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施例の一部の構成を他の実施例に追加した例や、他の実施例の一部の構成と置換した例も、本発明の実施例である。また、上述の実施例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらの例示によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な態様で実施することができる。