以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1(a)および図1(b)は、本発明の実施形態に係るリモコン装置を備えたトイレ室を模式的に示す斜視図である。
リモコン装置10は、トイレ装置100とともに用いられる。リモコン装置10は、複数の操作ボタン14を含む。各操作ボタン14は、例えば押し下げ操作が可能な、いわゆる押しボタンである。リモコン装置10は、各操作ボタン14の操作を検出し、操作された操作ボタン14に応じた無線信号をトイレ装置100に送信する。トイレ装置100は、リモコン装置10から送信された無線信号を受信し、その無線信号に応じた動作を実行する。このように、リモコン装置10は、使用者の操作に応じて、所定の動作の実行をトイレ装置100に指示し、トイレ装置100を遠隔操作する。
トイレ装置100は、洋式腰掛便器110(以下、便器110と称す)と、その上に設けられた便座ユニット120と、を備える。
便器110は、ボウル部112を有する。ボウル部112は、便器110の上部に設けられる。ボウル部112は、便器110の上面110aよりも凹んだ凹状である。ボウル部112は、使用者から排泄された汚物や尿などを受ける。また、ボウル部112は、内部に水を貯留し、排水管から悪臭や害虫類などが室内に侵入することを防ぐ。
便座ユニット120は、本体部122と、便座124と、便蓋126と、を有する。便座124と便蓋126とは、本体部122に対して開閉可能にそれぞれ軸支されている。図1(a)および図1(b)は、便蓋126が開いた状態を表している。図1(a)は、便座124が開いた状態を表している。図1(b)は、便座124が閉じた状態を表している。便蓋126は、閉じた状態において便座124の上方を覆う。なお、便蓋126は、必ずしも設けられていなくてもよい。
便座ユニット120は、例えば衛生洗浄機能と、便座暖房機能と、を有する。衛生洗浄機能は、便座124に座った使用者の「おしり」などを洗浄する洗浄動作を行う機能である。便座暖房機能は、便座124の着座面を適温に温める便座加熱動作を行う機能である。また、便座124に座った使用者の「おしり」などに温風を吹き付けることにより、衛生洗浄によって濡れた「おしり」などを乾燥させる局部乾燥機能を設けていてもよい。
衛生洗浄機能では、例えば、使用者の操作に応じて、人体局部に向けて洗浄水を吐水するノズル130を本体部122から便器110のボウル部112内に進出させる。そして、ノズル130の先端付近に設けられた吐水口から洗浄水を噴射する。これにより、使用者の「おしり」などを洗浄することができる。ノズル130は、衛生洗浄機能を実行していない状態では、本体部122内に収納される。
また、衛生洗浄機能は、例えば、使用者の「おしり」に向けて洗浄水を噴射するおしり洗浄機能と、女性局部に向けて洗浄水を噴射するビデ洗浄機能と、を含む。衛生洗浄機能では、冷水のみならず、ヒータによって加熱した温水を洗浄水として吐水口から噴射することもできる。
本体部122は、便器110の上部後方に設置される。本体部122の前面は、ボウル部112の開口端の形状に沿って凹状に湾曲した湾曲凹面132を有する。湾曲凹面132の左右には、ボウル部112の開口端に沿って前方に向けて延出した延出部134が設けられている。湾曲凹面132は、その中央付近が高く、左右の延出部134に近づくにしたがって次第に低くなる形状を有する。
湾曲凹面132の中央には、ノズルダンパー136が設けられている。ノズルダンパー136は、ノズル130を進出および後退させる開口部を覆う閉止部材である。ノズルダンパー136は、例えば本体部122に回動可能に支持されている。ノズルダンパー136は、例えば支持軸を中心に回転することにより、開口部を覆う閉じ位置と、開口部を露出させる開き位置との間で移動する。ノズルダンパー136は、衛生洗浄機能を実行していない待機状態において、閉じ位置に保持される。そして、ノズルダンパー136は、衛生洗浄機能の実行によってノズル130が進出する際に、開き位置に移動する。
図2は、図1中のリモコン装置を拡大して示す斜視図である。
図3は、リモコン装置を分解して示す分解斜視図である。
図4は、図3中のベースを拡大して示す斜視図である。
図5は、図4中のリンク機構が作動した場合を示す斜視図である。
図6は、発電機と収納ケースとを分解して示す分解斜視図である。
図7は、図4中の伝達機構、第1リンクの長孔、支持部を拡大して示す斜視図である。
図8は、図2中のリモコン装置を矢示A-A方向からみた断面斜視図である。
図9は、図4中のベース、第1リンク、長孔、支持部を矢示B-B方向からみた断面斜視図である。
図10は、図2中のリモコン装置を矢示C-C方向からみた断面図である。
図11は、リモコン装置を模式的に示すブロック図である。
図2、図3に示すように、リモコン装置10は、外郭を形成する外郭ケース11と、操作ボタン14と、発電機17と、リンク機構40と、を備えている。外郭ケース11は、トイレ室の壁面に取付けられる第1ケース12と、第1ケース12に取付けられる第2ケース13と、を有している。第1ケース12と第2ケース13との間には、発電機17、伝達機構30、およびリンク機構40が取付けられるベース15が設けられている。また、ベース15と第1ケース12との間には、基板82が設けられている。
図3、図10に示すように、第2ケース13の表面板13aには、操作ボタン14が上端側を支点として押し下げ操作可能に取付けられている。第2ケース13の表面板13aには、各操作ボタン14の下端側に対応する位置に、操作ボタン14の押し下げ操作の最下点位置を規定するための突当り部13bが形成されている。この突当り部13bには、後述の緩衝材70が設けられている。また、表面板13aには、各操作ボタン14の中央部に対応する位置に、それぞれ貫通孔13cが形成されている。この貫通孔13cには、後述する伝達機構30の押圧部材32が摺動可能に挿通している。
操作ボタン14は、第2ケース13の表面板13aに上下方向に2列に並んで設けられている。各操作ボタン14は、上端側が回動可能な固定端(支点)となり、下端側が押し下げ可能な自由端となっている。図2に示すように、第2ケース13の上段側には、例えばリモコン装置10の長手方向の一側(図2中の左側)から他側(図2中の右側)に向けて順番に、停止ボタン14a、おしり洗浄ボタン14b、ビデ洗浄ボタン14c、および音発生ボタン14dが設けられている。一方、第2ケース13の下段側には、例えばリモコン装置10の長手方向の一側から他側に向けて順番に、吐水流量小ボタン14e、吐水流量大ボタン14f、音量小ボタン14g、音量大ボタン14h、およびノズル洗浄ボタン14iが設けられている。
おしり洗浄ボタン14bは、トイレ装置100におしり洗浄の開始を指示するためのボタンである。ビデ洗浄ボタン14cは、トイレ装置100にビデ洗浄の開始を指示するためのボタンである。音発生ボタン14dは、トイレ装置100に擬音(マスキング音)発生の開始を指示するためのボタンである。停止ボタン14aは、トイレ装置100に衛生洗浄機能やマスキング音の停止を指示するためのボタンである。すなわち、この例においては、おしり洗浄ボタン14bとビデ洗浄ボタン14cとが、ノズル130からの吐水を行わせるための吐水ボタンである。停止ボタン14aは、押し下げ操作により、ノズル130からの吐水を停止させる。
吐水流量小ボタン14eは、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いを弱くする指示をトイレ装置100に入力するためのボタンである。吐水流量大ボタン14fは、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いを強くする指示をトイレ装置100に入力するためのボタンである。音量小ボタン14gは、マスキング音の音量を小さくする指示をトイレ装置100に入力するためのボタンである。音量大ボタン14hは、マスキング音の音量を大きくする指示をトイレ装置100に入力するためのボタンである。
ノズル洗浄ボタン14iは、ノズル130を洗浄する指示をトイレ装置100に入力するためのボタンである。なお、各操作ボタン14は、上記のものに限定されるものではない。例えば、局部を乾燥させるための温風を吹出させる指示をトイレ装置100に入力するためのボタン、洗浄水や乾燥風の温度の変更をトイレ装置100に指示するためのボタンなどを設けてもよい。
ベース15は、外郭ケース11の内部に位置して、第1ケース12にねじ止めされている。このベース15には、各操作ボタン14に対応する位置にそれぞれ挿通穴15aが形成されている。この挿通穴15aは、リモコン装置10の長手方向に延びるように形成されている。各挿通穴15aには、後述の伝達機構30が設けられている。
また、図4に示すように、ベース15には、下段の長手方向の一側(図4中の左側)に発電機17を取付けるための発電機取付部16が設けられている。発電機取付部16は、第2ケース13をベース15に取付けた状態で、停止ボタン14aの下側に位置している。発電機取付部16は、ベース15の裏面側(第1ケース12側)が発電機17を取付けるための取付開口となっており、表面側(第2ケース13側)に発電機17を覆うカバー16aが設けられている。
発電機17は、ベース15の発電機取付部16に取付けられ、外郭ケース11の内部に設けられている。この発電機17は、後述のリンク機構40および伝達機構30を介して各操作ボタン14に接続され、操作ボタン14のいずれかが押し下げ操作されることにより発電する。そして、発電機17は、押動されることで発電可能な発電部18と、発電部18が発電したときに振動を発生させるクリック機構19とを有している。
発電部18には、操作ボタン14の押し下げ操作により押動される可動部18aと、可動部18aの作動により回転されるモータ(図示せず)とが設けられている。可動部18aは、バネなどにより発電機17の外部に向けて付勢されている。可動部18aは、後述のリンク機構40の第2リンク51に接続され、第2リンク51の移動によりバネの弾性力に抗して発電機17の内部に押し込まれる。可動部18aが押し込まれると、モータの回転軸が回転し、モータから交流の電力が発生する。発電部18の発電方式は、モータに限ることなく、必要な電力を供給できる任意の方式でよい。また、発電部18から出力される電力は、直流でもよいし、脈流でもよい。
クリック機構19は、発電部18が発電したときに振動を発生させ、この振動が後述のリンク機構40を介して操作ボタン14に伝達されることで、クリック感を出力する。具体的には、操作ボタン14が押し込み操作されることにより、可動部18aがバネの弾性力に抗して押し込まれると、可動部18aに係合した連動部材が移動する。そして、可動部18aが押し込み位置まで移動すると、連動部材と可動部18aとの係合状態が解除され、連動部材が弾性力によって初期位置に戻る。連動部材は、初期位置に戻るときに、他の部材に衝突して停止する。連動部材と他の部材との衝突により発生する振動は、可動部18a、リンク機構40、および伝達機構30を介して操作ボタン14に伝達され、使用者にクリック感として伝わる。この場合、連動部材が初期位置に戻ると、連動部材を付勢しているバネの弾性力が解除されるので操作ボタン14の操作力が弱まり、使用者がクリック感を感じやすくなる。
また、連動部材は、ギヤなどを介してモータの回転軸に連結されており、連動部材が初期位置に戻るときの勢いで回転軸が回転することにより発電が行われる。すなわち、クリック機構19は、発電部18が発電した時に、押し下げ操作された操作ボタン14にクリック感を出力する。この場合、クリック機構19は、連動部材と他の部材との衝突により音(打音)が発生する。この発電機17の構成では、例えば使用者の押し下げ操作の速度などに依存せず、連動部材に加える弾性力によって発電量を制御することができる。これにより、例えば操作毎の発電量のバラツキを抑制することができ、安定した発電量を得ることができる。この例において、クリック機構19は、発電部18の発電機構の一部を兼ねている。クリック機構19は、必ずしも発電部18に設ける必要はなく、発電部18と別に設けてもよい。
収納ケース20は、内部に発電機17を収納した状態で、ベース15の発電機取付部16(外郭ケース11の内部)に設けられる。収納ケース20は、例えば樹脂およびゴムなどの防音性を有する弾性材料により形成され、発電機17が発電したときに発生する音を低減させている。図4~図6に示すように、収納ケース20は、ベース15の発電機取付部16に取付けられた状態で、カバー16a側に位置する前ケース20aと、第1ケース12側に位置して前ケース20aに嵌合する後ケース20bと、を有している。発電機17は、前ケース20aと後ケース20bとにより全体が覆われている。前ケース20aは、発電機17の外形形状に沿って形成され、発電機17の可動部18aの下端側に対応する位置に貫通孔200が形成されている。この貫通孔200には、第2リンク51の先端側が収納ケース20の外部から内部に向けて挿通している。
収納ケース20は、本発明の音低減部を構成するもので、クリック機構19が振動したときに発生する音を低減させるものである。この場合、収納ケース20は、発電部18が発電したときに、連動部材と他の部材との衝突により発生する音が外部に漏れないように遮音している。すなわち、収納ケース20は、外郭ケース11の外部に漏れる音を低減している。これにより、使用者は、使用者にとって不快となり得る音は感じずに、指先からクリック感のみを感じることができる。その結果、静音性を保った状態で、使用者に発電したことを認識させることができる。また、収納ケース20は、発電機17のみを覆っているので、リモコン装置10を大型化させることなく、静音性を向上させることができる。
伝達機構30は、ベース15の各挿通穴15aにそれぞれ摺動可能に設けられている。この伝達機構30は、各操作ボタン14とリンク機構40との間に設けられ、各操作ボタン14の押し下げ操作によりリンク機構40をリモコン装置10の長手方向に移動させるものである。図7、図8に示すように、伝達機構30は、ベース15から操作ボタン14に向けて突出する突出棒31と、突出棒31に摺動可能に設けられ操作ボタン14により押圧される押圧部材32と、押圧部材32により挿通穴15a内を移動する動力伝達部材33と、を有している。
押圧部材32は、筒状に形成され、内部に突出棒31が挿通している。押圧部材32は、第2ケース13とベース15との間で動力伝達部材33に当接している。また、押圧部材32は、第2ケース13の貫通孔13cから操作ボタン14に向けて突出し、操作ボタン14に当接している。これにより、操作ボタン14を押し下げ操作すると、押圧部材32は動力伝達部材33を押圧するようになっている。
動力伝達部材33は、挿通穴15a内をリモコン装置10の長手方向に移動可能に設けられている。この動力伝達部材33の中央部には、突出棒31が挿通する挿通孔33aがリモコン装置10の長手方向に延びるように形成されている。動力伝達部材33は、第2ケース13の表面板13aに対面する傾斜面33bを有している。この傾斜面33bには、押圧部材32が当接している。これにより、押圧部材32が傾斜面33bを押圧すると、動力伝達部材33にリモコン装置10の長手方向(横方向)への力が働き、動力伝達部材33が挿通穴15aを移動する。動力伝達部材33は、挿通穴15aに設けられた戻しバネ34により付勢され、操作ボタン14の押し下げ操作が解除されたときに、戻しバネ34の弾性力により初期位置(図4の位置)に戻される。
リンク機構40は、ベース15に取付けられた状態で、外郭ケース11の内部に設けられている。このリンク機構40は、例えば金属材料、樹脂材料により形成され、操作ボタン14が押し下げ操作されると、発電機17の発電部18を押動するように移動する。リンク機構40は、上段側に位置してリモコン装置10の長手方向に延びる第1リンク41と、下段側(第1リンク41よりも下側)に位置してリモコン装置10の長手方向に延びる第2リンク51と、リモコン装置10の長手方向の他側に位置して、第1リンク41と第2リンク51とを連結する連結杆60と、を有している。第1リンク41と第2リンク51とは同様の構成となっているので、以下第1リンク41について詳しく説明し、第2リンク51についてはその説明を省略する。
第1リンク41は、伝達機構30の動力伝達部材33に当接する第1スライド杆42と、第1スライド杆42に接続され水平方向に延びる第2スライド杆43と、を有している。第1スライド杆42は、第2スライド杆43から上方に向けてL字状に延び、先端側がベース15の挿通穴15aに挿通して動力伝達部材33に当接している。
一方、第2スライド杆43は、リモコン装置10(ベース15)の長手方向に延びている。第2スライド杆43の長手方向の他側には、連結杆60の上端が接触する接触部43aが設けられている。そして、第2スライド杆43の長手方向の他側端部には、ベース15との間に第1リンク41を一側に向けて付勢する戻しバネ44が設けられている。戻しバネ44は、操作ボタン14の押し下げ操作が解除されると、第1リンク41を図4に示す初期位置に戻す。第2スライド杆43は、長手方向に延びた長孔43bを有している。この長孔43bは、第2スライド杆43の長手方向に離間して複数個(例えば、2個)設けられている。各長孔43bには、後述の支持部45が摺動可能に係合される。
支持部45は、リンク機構40の第1リンク41とベース15との間に設けられている。この支持部45は、ベース15から操作ボタン14側に向けて突出して第1リンク41を摺動可能に支持するものである。支持部45は、がたつきを低減することで、クリック機構19が振動したときに発生する音を低減する音低減部となっている。支持部45は、第1リンク41の第2スライド杆43の長手方向に離間して複数個(例えば、2個)設けられている。第2スライド杆43は、複数個の支持部45によりベース15に支持されることで下方への撓みが抑制され、円滑にスライド移動することができる。支持部45は、第2スライド杆43の長孔43bに係合することにより、第2スライド杆43を長手方向に摺動可能に支持している。
支持部45は、長孔43bの上下方向の面部に隙間なく係合していてもよいし、上下方向の面部のどちらか一方にのみ当接していてもよい。支持部45が前記面部のどちらか一方にのみ当接している場合には、支持部45を回転可能なローラとすることにより、第2スライド杆43を円滑にスライド移動させることができる。また、支持部45と長孔43bとにより、第1リンク機構40の製造公差を吸収することができる。従って、第1リンク機構40をベース15に取付けたときに、第1リンク機構40のがたつきを抑制することができる。その結果、第1リンク機構40が作動したときおよびクリック機構19から操作ボタン14に向けて振動が伝わるときに、他の部材と接触する打音(接触音)を低減することができる。
図9に示すように、支持部45は、ベース15から突出する軸部46と、軸部46の先端側に設けられ、第2スライド杆43を挟む一対の鍔部47と、を有している。一対の鍔部47は、第2スライド杆43を厚さ方向で挟持することにより、第2スライド杆43のがたつきを抑制している。これにより、操作ボタン14が押し下げ操作されたときに第1リンク41を円滑にスライド移動させることができ、第1リンク41から発する作動音を低減することができる。
第2リンク51も第1リンク41と同様に、第1スライド杆52と、第2スライド杆53と、を有している。第2スライド杆53の長手方向の他側には、連結杆60の下端が接触する接触部53aが設けられている。また、第2スライド杆53は、長孔53bを有している。第2スライド杆53の一側端部は、収納ケース20の貫通孔200から収納ケース20の内部に挿通して、発電機17の可動部18aに当接している。この場合、操作ボタン14が押し下げ操作されると、第2スライド杆53が発電機17に向けてスライド移動することにより可動部18aを押動する。これにより、発電機17は、発電を行う。また、第2スライド杆53の一側には、ベース15との間に第1リンク51を他側に向けて付勢する戻しバネ54が設けられている。戻しバネ54は、操作ボタン14の押し下げ操作が解除されると、第2リンク51を図4に示す初期位置に戻す。
リンク機構40の第2リンク51とベース15との間にも複数個の支持部55が設けられている。支持部55も第1リンク41の支持部45と同様に、第2スライド杆53の長孔53bに摺動可能に係合している。支持部55は、第2リンク51の作動音を抑制する音低減部となっており、軸部56と、一対の鍔部57と、を有している。支持部55は、第2リンク51のがたつきを抑制して、第2リンク51が作動したときの作動音を低減している。
連結杆60は、第1リンク41と第2リンク51との間に位置して、ベース15に回動可能に設けられている。図4、図5に示すように、連結杆60は、長さ方向の中央部が回動支点となっており、上端側が第1リンク41の第2スライド杆43の接触部43aに接触し、下端側が第2リンク51の第2スライド杆53の接触部53aに接触している。
連結杆60は、第1リンク41がベース15の一側から他側に向けてスライド移動したときに接触部43aにより押圧されて回動し、接触部53aを押圧して第2リンク51をベース15の他側から一側(発電機17側)に向けてスライド移動させる。
緩衝材70は、操作ボタン14と外郭ケース11との間に設けられている。緩衝材70は、各操作ボタン14に対応して設けられている。図3、図10に示すように、緩衝材70は、第2ケース13の突当り部13bに設けられている。緩衝材70は、例えばスポンジ、ゴムなどの弾性材料からなり、操作ボタン14が押し下げ操作されたときに操作ボタン14と外郭ケース11との接触音を低減するものである。また、緩衝材70は、使用者が操作ボタン14を押し下げ操作したときの感触を滑らかなものにすることができ、高級感を与えることができる。
緩衝材70は、操作ボタン14が押し下げ操作されたときに、外郭ケース11(第2ケース13)と操作ボタン14とにのみ接触する。すなわち、緩衝材70は、伝達機構30およびリンク機構40には接触していない。これにより、発電機17のクリック機構19が発した振動を、リンク機構40および伝達機構30を介して操作ボタン14に伝達することができ、使用者にクリック感を付与することができる。なお、緩衝材70は、第2ケース13の突当り部13bに限らず、操作ボタン14の下端側に設けてもよい。
図11に示す複数の検出部80は、複数の操作ボタン14のそれぞれに対応して設けられている。複数の検出部80のそれぞれは、複数の操作ボタン14のそれぞれの押し下げ操作を検出する。各検出部80には、例えば基板82に設けられたホール素子が用いられる。各検出部80は、例えば機械式のスイッチなどでもよい。
基板82は、第1ケース12とベース15との間に設けられている。基板82には、電源部84および制御部86が設けられている。電源部84は、発電機17によって発電された電力を蓄積する蓄電素子84aを含む。電源部84は、蓄電素子84aの電圧が所定値以上になったときに、蓄電素子84aに蓄積された電力を制御部86に供給して制御部86を起動させる。蓄電素子84aには、例えばコンデンサや蓄電池などが用いられる。蓄電素子84aの容量は、例えば制御部86の起動および無線信号の送信に必要な電力を蓄積できる最低限の容量に設定される。これにより、例えば蓄電素子84aの大型化を抑制できる。また、蓄電素子84aに残った余剰の電力によって、制御部86が誤動作を起こすことなどを抑制できる。
制御部86は、発電機17で発電された電力を用いて動作する。制御部86は、複数の検出部80のそれぞれと電気的に接続されている。制御部86は、複数の検出部80のそれぞれの検出結果を基に、押し下げ操作された操作ボタン14を判別する。そして、制御部86は、判別した操作ボタン14に対応した無線信号をトイレ装置100に送信することにより、トイレ装置100を遠隔操作する。
制御部86は、例えばおしり洗浄ボタン14bの押し下げ操作を判別した場合、おしり洗浄の開始を指示する無線信号をトイレ装置100に送信する。トイレ装置100は、リモコン装置10からの無線信号を受信し、その無線信号に対応した処理を実行する。トイレ装置100は、例えばおしり洗浄の開始を指示する無線信号の受信に応じて、ノズル130をボウル部112内に進出させ、ノズル130からの吐水を開始する。制御部86は、同じ無線信号をトイレ装置100に複数回(例えば、3回)送信する。これにより、リモコン装置10とトイレ装置100との間の通信ミスを抑制することができる。
制御部86は、例えばマイコン86aと、高周波発生回路86bと、送信部86cと、を含む。マイコン86aは、例えば押し下げ操作された操作ボタン14の判別および判別した操作ボタン14に対応する信号の生成を行う。高周波発生回路86bは、例えばマイコン86aの生成した信号を高周波信号に変換する。高周波発生回路86bは、例えば2.4GHzの高周波信号を生成する。送信部86cは、例えばアンテナを含み、高周波発生回路86bの生成した高周波信号を無線信号に変換してトイレ装置100に送信する。
制御部86は、2.4GHzの無線信号をトイレ装置100に送信する。2.4GHz帯を用いた無線通信では、例えば赤外線通信の場合のように、電波の透過窓(いわゆる黒窓)を外郭ケース11に設ける必要がなくなる。これにより、例えばリモコン装置10の意匠性を高めることができる。また、2.4GHz帯を用いた無線通信では、赤外線通信に比べて障害物の影響が小さい。これにより、トイレ装置100との間の通信品質を高めることもできる。なお、マイコン86a、高周波発生回路86bおよび送信部86cは、1つのチップ内に納めてもよいし、異なる素子として分けてもよい。リモコン装置10とトイレ装置100との間の通信は、上記に限ることなく、任意でよい。制御部86の構成は、上記に限ることなく、各操作ボタン14の判別やトイレ装置100との無線通信などが可能な任意の構成でよい。
本実施形態によるリモコン装置10は、上述の如き構成を有するもので、次にリモコン装置10の操作ボタン14が押し下げ操作されたときの伝達機構30とリンク機構40との作動について説明する。以下の説明では、衛生洗浄機能やマスキング音の停止を指示するための停止ボタン14aが押し下げ操作された場合について説明する。
図4は、停止ボタン14aの押し下げ操作がされていないときの伝達機構30とリンク機構40との位置を示している。一方、図5は、停止ボタン14aの押し下げ操作がなされたときの伝達機構30とリンク機構40との位置を示している。
停止ボタン14aが押し下げ操作されると、伝達機構30の押圧部材32が貫通孔13cからベース15に向けて押し込まれる。停止ボタン14aは、下端側が緩衝材70を介して第2ケース13の突当り部13bに突き当ることにより、押し下げ操作が規制される。緩衝材70により、停止ボタン14aと第2ケース13との接触音が低減され、静音性を向上することができる。また、緩衝材70により、停止ボタン14aの押し下げ時の感触が柔らかになり、使用者に高級感を与えることができる。
押圧部材32は、停止ボタン14aの押し下げ操作により動力伝達部材33を押圧する。この場合、動力伝達部材33は、押圧部材32との当接面が傾斜面33bとなっている。従って、動力伝達部材33の傾斜面33bは、押圧部材32の押圧方向の力を横方向(図4、図5中の右側)に分力する。これにより、動力伝達部材33は、戻しバネ34の弾性力に抗して挿通穴15aを一側(図5中の左側)から他側(図5中の右側)に向けて移動する。
そして、動力伝達部材33は、第1リンク41の第1スライド杆42を一側から他側に向けて押圧する。これにより、第1リンク41は、戻しバネ44の弾性力に抗してスライド移動することにより、第2スライド杆43の接触部43aが連結杆60を回動させる。そして、連結杆60は、第2リンク51の第2スライド杆53の接触部53aを他側から一側に向けて押圧する。これにより、第2スライド杆53は、収納ケース20の貫通孔200から収納ケース20の内部に差込まれて、発電機17の可動部18aを押動する。
発電機17の発電部18は、可動部18aが押動されることにより発電する。可動部18aが押し込み位置まで移動すると、可動部18aに係合するクリック機構19の連動部材がバネの弾性力によって初期位置に戻る。このとき、連動部材は、他の部材に衝突して停止する。連動部材が初期位置に戻ると、連動部材を付勢しているバネの弾性力が解除されるので、停止ボタン14aの操作力が弱まる。そして、連動部材と他の部材との衝突により発生する振動が、可動部18a、リンク機構40、および伝達機構30を介して操作ボタン14に伝達され、使用者にクリック感として伝わる。
ここで、クリック機構19は、連動部材が他の部材と衝突することにより、クリック感のための振動を発生させるとともに、衝突音(打音)を発生させる。この衝突音は、例えばトイレブース内の使用者が停止ボタン14aなどを操作したことを他人に知られるので、使用者にとって不快な音となる虞がある。そこで、本実施形態では、発電機17を防音性の高い弾性材料からなる収納ケース20で覆うことにより、発電機17内で発生した衝突音が外郭ケース11の外部に漏れないようにしている。これにより、停止ボタン14aを押し下げ操作したときには、クリック感のみが使用者に伝わることになる。
この場合、第2ケース13の突当り部13bには、停止ボタン14aが押し下げ操作されたときのクッションとなる緩衝材70が設けられている。これにより、停止ボタン14aが押し下げ操作されたときに、第2ケース13の突当り部13bに停止ボタン14aが衝突したときの衝突音を低減することができ、静音性を向上することができる。また、緩衝材70は、停止ボタン14aが押し下げ操作されたときに、停止ボタン14aと第2ケース13とにのみ接触している。これにより、クリック機構19で発生した振動は、緩衝材で減衰されることなく停止ボタン14aに伝達されるので、クリック感を効果的に使用者に伝えることができる。
また、本実施形態では、リンク機構40の第1リンク41が支持部45により、ベース15に対してスライド移動可能に支持されている。支持部45は、長孔43bにより第1リンク41の製造公差を吸収させてベース15に第1リンク41を取付けることができる。また、支持部45は、一対の鍔部47が第2スライド杆43を挟持することによりがたつきを抑制している。さらに、支持部45は、第2スライド杆43の長手方向に離間して複数個設けられているので、第2スライド杆43が下方に撓むのを抑制している。一方、リンク機構40の第2リンク51も同様に、支持部55により、がたつきを抑制することができる。
これにより、停止ボタン14aの押し下げ操作がなされてリンク機構40がスライド移動したとき、クリック機構19からリンク機構40を介して停止ボタン14aに振動が伝わるとき、および停止ボタン14aの押し下げ操作が解除されてリンク機構40が初期位置に戻るときのリンク機構40の作動を円滑に行うことができ、作動音の発生を抑制することができる。
かくして、本実施形態によるリモコン装置10は、外郭を形成する外郭ケース11と、外郭ケース11に設けられ、押し下げ操作可能な操作ボタン14と、外郭ケース11の内部に設けられ、押動されることで発電可能な発電部18を有する発電機17と、外郭ケース11の内部に設けられ、操作ボタン14が押し下げ操作されると、発電機17の発電部18を押動するように移動するリンク機構40と、外郭ケース11の内部に設けられ、発電機17が発電したときに発生する音を低減させる音低減部と、を備え、発電機17は、発電部18が発電したときに振動を発生させ、リンク機構40を介して操作ボタン14に振動を伝達することでクリック感を出力するクリック機構19を有し、音低減部は、クリック機構19が振動したときに発生する音を低減させることを特徴としている。
これにより、クリック機構19により発電機17内の振動が操作ボタン14に伝達されるため、使用者は発電が適切に行われたことを認識することができる。また、音低減部により、クリック機構19が振動したときの音が低減されるため、リモコン装置10の操作音を他の使用者に聞こえ難くでき、静音性を向上させることができる。
また、音低減部は、内部に発電機17を収納する収納ケース20であることを特徴としている。また、収納ケース20は、弾性材料により形成されていることを特徴としている。収納ケース20は、音自体を低減するのではなく、発生した音が外部に漏れないようにしている。これにより、操作ボタン14に伝達される振動を大きくしてクリック感を得やすくしても、外部に漏れる音を小さくすることができる。また、収納ケース20を例えばゴムなどの弾性材料により形成しているので、防音性を高くすることができる。
また、外郭ケース11の内部に設けられ、リンク機構40が取付けられるベース15を、さらに備え、ベース15は、リンク機構40を摺動可能に支持する支持部45、55を有することを特徴としている。これにより、リンク機構40のがたつきを抑制することができ、リンク機構40が作動したときにリンク機構40と他の部材との接触音を低減することができる。
また、操作ボタン14とリンク機構40との間に設けられ、操作ボタン14の押し下げ操作によりリンク機構40を水平方向に移動させる伝達機構30を、さらに備え、リンク機構40は、伝達機構30に当接する第1スライド杆42、52と、第1スライド杆42、52に接続され水平方向に延びる第2スライド杆43、53と、を有し、支持部45、55は、第2スライド杆43、53の長手方向に離間して複数個設けられていることを特徴としている。これにより、リンク機構40を安定して保持させることができ、リンク機構40が作動したときに発生する音を低減することができる。
また、第2スライド杆43、53は、長手方向に延びた長孔43b、53bを有し、支持部45、55は、ベース15から操作ボタン14側に向けて突出し、第2スライド杆43、53の長孔43b、53bと係合することにより、第2スライド杆43、53を長手方向に摺動可能に支持することを特徴としている。これにより、第2スライド杆43、53が支持部45、55に対して摺動するので、リンク機構40と他の部材との接触箇所が少なく、リンク機構40が作動したときに発生する音を低減することができる。
また、操作ボタン14と外郭ケース11との間に設けられ、操作ボタン14が押し下げ操作されたときに操作ボタン14と外郭ケース11との接触音を低減する緩衝材70を、さらに備えたことを特徴としている。これにより、緩衝材70は、操作ボタン14と外郭ケース11との突き当たり音(接触音)を低減したため、操作ボタン14を押し下げ操作したときの操作音をより低減できる。
また、緩衝材70は、操作ボタン14を押し下げ操作したときに、外郭ケース11と操作ボタン14とにのみ接触することを特徴としている。これにより、緩衝材70がリンク機構40や伝達機構30に接触していないので、発電機17のクリック機構19で出力されるクリック感を減衰させずに使用者に伝えることができる。
図12は、本発明の変形例によるリモコン装置のリンク機構などを示す正面図である。
この変形例によるリモコン装置10の特徴は、上述した実施形態による戻しバネ44と戻しバネ54とに変えて、ねじりバネ90と緩衝バネ95とを設けたことにある。なお、変形例では、上述した実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
ねじりバネ90は、連結杆60の回動支点に設けられている。このねじりバネ90は、第1リンク41および第2リンク51を初期位置に戻すように付勢している。例えば停止ボタン14aが押し下げ操作されると、連結杆60は第2スライド杆43の接触部43aにより押圧されてねじりバネ90の弾性力に抗して回動する。そして、連結杆60は、第2リンク51の接触部53aを押圧して第2リンク51をベース15の他側から一側(発電機17側)に向けてスライド移動させる。その後、停止ボタン14aの押し下げ操作が解除されると、ねじりバネ90の弾性力により連結杆60が初期位置に戻るように回動して、連結杆60が接触部43a、53aを押圧して第1リンク41と第2リンク51とを初期位置に戻す。
緩衝バネ95は、ベース15と第2リンク51との間に設けられている。具体的には、緩衝バネ95は、ベース15と第2スライド杆53との間に位置して、ベース15に取付けられている。この緩衝バネ95は、操作ボタン14を押し下げ操作したときの操作音を低減するものである。緩衝バネ95は、長手方向の一側がベース15に取付けられ、他側が隙間Sを介して第2スライド杆53に対向している。緩衝バネ95の他側端部は、第2リンク51が発電機17に向けてスライド移動していないときには第2スライド杆53との間に隙間Sが形成されている。一方、緩衝バネ95の他側端部は、第2リンク51が発電機17に向けてスライド移動したときのストロークの最終段階で第2スライド杆53に押圧される。
これにより、緩衝バネ95は、第2リンク51のストロークの最終段階で第2スライド杆53を初期位置に戻す方向(一側から他側)に付勢する。この付勢力は、リンク機構40から伝達機構30を介して操作ボタン14に伝わる。これにより、操作ボタン14を押し下げ操作したときには、最初は軽く操作することができ最終位置では重くなる。その結果、押し下げ操作の最終位置では、操作ボタン14を押し下げ操作したときの速度が低減されるので、操作ボタン14が突当り部13bに接触したときの接触音(打音)を抑制することができる。従って、例えば各突当り部13bと各操作ボタン14との間に緩衝剤70を設けなくても、操作ボタン14と突当り部13bとの接触音を低減することができる。この場合、緩衝剤70は、各操作ボタン14に対応して設けなければならないが、緩衝バネ95は、第2リンク51に1個設けるだけでよいので、リモコン装置10の組立性を向上できるとともに、コストを削減することができる。
かくして、このように構成された変形例によるリモコン装置10においても、上述した実施形態と同様に、使用者に対して発電機17が発電したことをクリック機構19により認識させることができるとともに、クリック機構19のクリック音および操作ボタン14の操作音を低減して静音性を向上させることができる。
なお、上述した実施形態によるリモコン装置10は、操作ボタン14が上下方向で2段状に並んでいる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば操作ボタンが横方向に一列に並んで設けられたものおよび上下方向で3段以上に並んでいるものとしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、リモコン装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。