以下、本開示に係る燃料供給装置について、ガソリンスタンド等の給油所に設置され、給油ノズルのノズル筒先を車両等の給油口に挿入し、ガソリン、軽油といった燃料を車両等の燃料タンクに補給する給油装置を例に、図面に基づき説明する。
なお、以下の説明では、地上設置型式の給油装置を例について説明するが、本開示に係る燃料供給装置に適用される給油装置は、例えば懸垂式の給油装置等、地上設置型式以外の給油装置にも適用可能である。
図1は、本開示に係る燃料供給装置の一実施形態としての給油装置の一実施例の概略構成図である。
図1において、給油装置1は、地上設置式の給油装置を示している。給油装置1は、給油装置本体(給油装置筐体)10と、給油装置本体10から導出された給油ホース(燃料供給ホース)20と、給油ホース20の先端に設けられた給油ノズル(燃料供給ノズル)30とを有する。給油装置本体10内には、ポンプモータ12により駆動されるポンプ(送液機器)11、ポンプ11から吐出された燃料の液量を計測する流量計13が収納されている。流量計13には、単位流量毎(例えば、0.01L毎)の油液の流れに対応した流量パルスを生成する流量発信器15が付設されている。
ポンプ12の吸込口は、吸込口配管14、及び図示せぬ地中配管を介して、地下貯油タンク(貯液タンク)2内と連通接続されている。ポンプ12の吐出口は、流量計13の流入口に連通接続されている。流量計13の流出口は、流出口配管16を介して、他端側に給油ホース20の基端側が接続されたスイベル継手17の一端側と連通接続されている。これにより、図示の給油装置1においては、吸込口配管14、ポンプ12、流量計13、流出口配管16によって、給油ノズル30に対する本体内燃料供給路が構成され、給油ホース20によって、給油ノズル30に対する本体外燃料供給路が構成されている。
給油ホース20の途中には、ホース継手ユニット21が設けられ、給油ホース20は、本体側ホース部分22とノズル側ホース部分23とに分かれている。なお、図示の例では、ホース継手ユニット21を給油ホース20の途中に設けた実施例を示したが、ホース継手ユニット21の配設位置はこれに限定されず、給油ホース20の基端や先端に設けられていてもよい。ホース継手ユニット21は、給油ノズル30が給油口(燃料供給口)に装着されたまま給油対象車両が発車する等して給油ホース20に異常に過大の引張力が作用した場合に、本体側ホース部分21aとノズル側ホース部分21bとで分離して、給油ホース20の破断を防ぐとともに、ホース継手ユニット21の上流側の本体側ホース部分22および下流側のノズル側ホース部分23からの燃料の漏出を防ぐ安全継手として機能する。
給油ノズル30は、図1においては図示省略するが、ノズル本体32内の液通路35に配設された主弁41をノズルレバー31の操作量に応じて開閉する弁機構40、ノズルレバー31の操作位置を一乃至は複数の所望位置に保持できるレバー保持機構、及び、供給対象における燃料液面がノズル筒先に達したならば、ノズルレバー31の開弁操作状態に関係なく弁機構40を閉弁させる自動閉弁機構(自動満タン閉弁機構)60、等を備えている。給油ノズル30は、給油ホース20の先端側にスイベル継手18を介して回動可能に連通接続されている。作業者は、ノズル本体32内の弁機構40の主弁41をノズルレバー31の操作に応動して開閉できる。作業者は、ノズルレバー31をレバー保持機構の所望位置に保持しておくことによって、弁機構40の開弁量(開弁位置)をこの所望位置に対応する開弁量に保持できる。なお、このうち、自動閉弁機構60に関係する構成については、追って詳述する。
給油ノズル30は、図1に示すように、給油作業(燃料供給作業)に使用されていないときは、給油装置本体10に設けられたノズル掛け(ノズル収納部)25に格納されている。給油ノズル30は、給油作業時、作業者によってノズル掛け25から取り出される。作業者は、給油ノズル30の先端の吐出パイプ33を車両等の給油口に挿入し、ノズルレバー31を操作して弁機構40の主弁41を開弁することにより、車両等の燃料タンクに燃料の補給が行えるようになっている。ノズル掛け25には、給油ノズル30の取り出し及び掛け戻しを検知するためのノズルスイッチ26が設けられている。給油作業の際における給油量等の給油情報は、給油装置本体10に表示面を外部に臨ませて設けられた給油情報表示器120に表示される。
また、給油装置本体10内には、ポンプ11,流量計13等といった機器に加え、給油装置各部を制御する制御装置100、制御装置100の指示に基づきポンプモータ12を制御駆動するポンプモータ駆動回路110が設けられている。ポンプモータ駆動回路110は、インバータを有して構成され、制御装置100からの指示に含まれる供給量指示に応じて、ポンプモータ12の駆動回転数をインバータで可変制御し、ポンプ11から給油ノズル30への燃料送出量を、予め規定されている使用最大吐出量(例えば、40L/min)の範囲内で調整する。
制御装置100は、メモリ,入出力インタフェース等を備えたマイクロコンピュータ装置を含んで構成されている。制御装置100には、ノズルスイッチ26の検出信号、流量発信器15の流量パルス出力等が入力され、これらの信号入力に基づいて、給油装置1の各部を制御する。
具体的に、制御装置100は、ノズルスイッチ26からの検出信号に基づき、給油ノズル30のノズル掛け25からの取り出しを検知すると、ポンプモータ駆動回路110にポンプモータ12の駆動指示を出力し、ポンプモータ駆動回路110はポンプモータ12を起動して予め設定された通常吐出量(例えば、使用最大吐出量である40L/min)で駆動開始させる。また、ノズルスイッチ26からの検出信号に基づき、給油ノズル30のノズル掛け25への収納を検知すると、ポンプモータ駆動回路110にポンプモータ12の停止指示を出力し、ポンプモータ駆動回路110はポンプモータ12の駆動を停止させる。このように、制御装置100は、ポンプ11から給油ノズル30への燃料油液の送液量を使用最大吐出量の範囲内(図示の例では、0~40L/minの範囲内)で制御する油液供給制御部として機能する。
また、制御装置100は、流量発信器15からの流量パルス信号の入力に基づき給油作業時の給油量を演算して、給油作業の際における給油量等の給油情報を給油情報表示器120に表示する給油演算部としても機能する。
その上で、作業者は、図示の給油装置1を使用して、車両等の燃料タンクに対する燃料の補給作業(燃料供給作業)を、通常、次に述べるようにして行う。
作業者は、まず、給油ノズル30をノズル掛け25から取り出して、その吐出パイプ33を車両等の燃料タンクの給油口に挿入する。それから、作業者は、給油ノズル30のノズルレバー31を開弁操作して弁機構40の主弁41を開弁し、燃料タンクに対する吐出量が所望量になるようにノズルレバー31の操作状態を調整しながら保持する。これにより、給油ノズル30は、弁機構40の主弁41が開弁して、吐出パイプ33からは、ノズルレバー31の操作状態に対応した燃料吐出が開始される。その際、ポンプモータ12すなわちポンプ11は、ノズルスイッチ26からのノズル取り出し検出信号の出力に基づき、制御装置100によって送液駆動される。また、車両等の燃料タンクに対する給油ノズル30からの燃料供給量すなわち給油量は、流量発信器15からの流量パルス信号の入力に基づき、制御装置100によって演算され、給油情報表示器120に表示される。給油ノズル30からの燃料吐出は、作業者によるノズルレバー31の操作量に応じて弁機構40の主弁41の開弁量が変化し、調整される。
一方、給油ノズル30から車両等の燃料タンクへの燃料吐出の中断及び終了は、作業者によるノズルレバー31の閉弁操作又は自動閉弁機構の作動によって弁機構40の主弁41が閉弁されることによって行われる。したがって、作業者は、車両等の燃料タンクに対する所望量の給油を終了したならば、自動閉弁機構の作動によってノズルレバー31が開弁操作状態のままになっている場合にはノズルレバー31を閉弁操作してから、給油ノズル30を車両等の燃料タンクの給油口から取り外してノズル掛け25に収納する。制御装置100は、ノズルスイッチ26からのノズル収納検出信号の出力に基づき、ポンプモータ12すなわちポンプ11の送液駆動を停止させる。
図2は、図1に示した給油ノズルのノズル本体部分の一部断面図である。図2は、図1に示した給油ノズル30のノズル本体32部分を、図1の紙面に沿って上側から下側に眺めたノズル本体32の一部断面図である。
図2に示すように、ノズル本体32内には、流入口34と吐出パイプ33との間を連通する液通路35が設けられている。流入口34は、スイベル継手18との連結部になっている。そして、液通路35には、液通路35における燃料の流れを流通・遮断する弁機構40が設けられている。
弁機構40は、ノズル本体32の液通路35の内周壁に形成された環状の弁座部42と、この弁座部42に離着座する弁体部43とからなる主弁41を有する。弁体部43は、図示の例では、弁座部42に離着座して液通路35を連通・遮断する主弁体44と、この主弁体44に離着座して主弁体44の弁体通路46を連通・遮断する副弁体45とから構成されている。弁機構40の副弁体45とノズル本体32内に取り付けられたバネ受け部材47との間には、コイル状のバネ部材48が介装されている。バネ部材48は、副弁体45を主弁体44に着座させ、さらに主弁体44を弁座部42に着座させるように、副弁体45を付勢している。
弁軸部材49は、弁軸スリーブ50と、この弁軸スリーブ50に形成されたスリーブ孔51内を進退可能な弁軸ロッド52とによって構成されている。弁軸スリーブ50の軸方向の一端側には、主弁体44が取り付けられている。主弁体44は、弁軸スリーブ50の外周面に一体的に形成された副弁体45に対して、弁軸スリーブ50の軸方向に沿って当接・離間可能に、弁軸スリーブ50に取り付けられている。一方、弁軸ロッド52は、一端側が、弁軸スリーブ50のスリーブ孔51内を進退可能な挿入部53になっており、他端側が、弁軸スリーブ50の他端面と当接可能な段部を備えたレバー係合部54になっている。レバー係合部54にはノズルレバー31が係合し、ノズル本体32との間にはコイル状のバネ部材55が設けられている。バネ部材55は、弁軸ロッド52のスリーブ孔51からの退出を妨げるように、弁軸ロッド52を軸方向に沿って付勢している。なお、バネ部材55の付勢力は、バネ部材48の付勢力よりも、小さく設定されている。その上で、弁軸スリーブ50及び弁軸ロッド52は、自動閉弁機構60の係合ロッド61によって、自動閉弁機構60が非作動状態であるときには、軸方向に沿って一体的に移動可能に連結された状態になっている。そのために、弁軸スリーブ50及び弁軸ロッド52には、係合ロッド61が係合可能な係合孔62及び係合溝63が形成されている。
自動閉弁機構60は、ノズル本体32内に形成され、ダイアフラム65によって画成された負圧室66及び大気圧室67と、図示せぬ負圧発生部と、図示せぬ液面検知口と、負圧室66と負圧発生部及び液面検知口とを連通する導入通路68と、ダイアフラムに一体的に固定され、係合ロッド61を支持する案内部材69とを有して構成されている。負圧室66には導入通路68が連通し、負圧発生部で発生させられた負圧を導入できるようになっているとともに、液面検知口からは大気圧を導入できるようになっている。負圧発生部は、ノズル本体32内の液通路35における燃料の流れの狭隘部分に形成され、燃料の流れによるベンチュリ効果で負圧を発生する。例えば、負圧発生部は、図示せぬ自動弁の弁座開口に設けられている。自動弁は、液通路35における弁機構40の下流側部分に設けられ、吐出パイプ33の筒先からの燃料の垂れ落ちを防止する。
液面検知口は、吐出パイプ33の先端側に設けられた開口部(図示せず)によって構成され、給油作業中に、吐出パイプ33を車両等の燃料タンクの給油口に挿入した状態で、燃料タンク内を上昇した燃料の液面又は泡面によって閉塞され得るようになっている。大気圧室67は、常時、大気圧に保たれている。導入通路68は、液面検知口が燃料の液面又は泡面によって閉塞されていない液面検知口の開放時は、負圧発生部で負圧が発生しても負圧室66内の圧力を大気圧に補償する一方、液面検知口が燃料の液面又は泡面によって閉塞された液面検知口の閉塞時は、負圧室66内に負圧発生部で発生した負圧を導入する。案内部材69は、ダイアフラム65の変位に応動して移動可能に構成され、その移動によって係合ロッド61の弁軸ロッド52に対する係合および係合解除を案内する。案内部材69は、弁体部43(主弁41)の開弁位置と閉弁位置との間での、弁機構40の弁軸スリーブ50及び弁軸ロッド52の軸方向に沿った係合ロッド61の移動を許容するガイド孔(図示せず)を有する。係合ロッド61は、このガイド孔に挿通されて支持されている。ダイアフラム65及び案内部材69は、ノズル本体32内に取り付けられたバネ受け部材71との間に設けられたコイル状のバネ部材72によって、係合ロッド61を弁軸ロッド52の係合溝63に係合させるように常時付勢されている。
このように構成された自動閉弁機構60では、給油作業中、吐出パイプ33が車両等の燃料タンクの給油口に挿入された状態で、液面検知口が燃料タンク内を上昇した燃料の液面又は泡面によって閉塞されると、負圧室66では、負圧発生部で発生した負圧が補償されなくなり、室内は負圧状態になる。その際、ダイアフラム65は、負圧室66と大気圧室67との間に生じた差圧によりバネ部材72の付勢力に抗して撓んで変位する。係合ロッド61は、ダイアフラム65の変位に連動した案内部材69の移動によって、弁軸ロッド52との係合が解除される。これにより、弁軸スリーブ50は、ノズルレバー31の操作量に連動して移動変位する弁軸部材49とは独立して、軸方向に沿って移動変位できるようになり、弁機構40の主弁41は、バネ部材48の付勢力によって弁座部42に着座させられる。このようにして、自動閉弁機構60は、給油作業中に車両等の燃料タンクが満タンになったならば、ノズルレバー31の開弁操作状態にかかわらず、その作動によって弁機構40を閉弁する。自動閉弁機構60は、給油作業中、満タンになっても車両等の燃料タンクに燃料が供給され続け、給油口から燃料が溢れ出してしまうことを防止できる。
さらに、給油ノズル30のノズル本体32には、状態検出器80が設けられている。状態検出器80は、ポンプ11から給油ノズル30へ燃料送液中に、自動閉弁機構60が未だ閉弁作動する前の、自動閉弁機構60が閉弁作動する目前の閉弁作動目前状態を検出する。図示の自動閉弁機構60の場合、自動閉弁機構60が閉弁作動する前の状態は、弁機構40の主弁41が開弁されている状態において、自動閉弁機構60の係合ロッド61の少なくとも一部が弁軸ロッド52の係合溝63内に所在し、弁軸スリーブ50及び弁軸ロッド52の一体的な連結状態が保たれている状態を指す。また、自動閉弁機構60が未だ閉弁作動する前の、自動閉弁機構60が閉弁作動する目前の閉弁作動目前状態は、弁機構40の主弁41が開弁されている状態において、自動閉弁機構60のダイアフラム65が負圧室66と大気圧室67との間に生じた差圧によって、バネ部材72の付勢力に抗して変位し始めるときから、弁軸スリーブ50及び弁軸ロッド52の一体的な連結状態が解除される直前までの状態を指す。すなわち、状態検出器80は、弁軸スリーブ50及び弁軸ロッド52の一体的な連結状態が解除される程ではない負圧室66の圧力低下、換言すれば、導入通路68を介して負圧室66に供給される、負圧発生部からの負圧が液面検知口から導入される大気で補償できなくなり始めたことを、自動閉弁機構60のダイアフラム65の移動変位、すなわち負圧室66の負圧変化から、直接的に検出する。
図示の例では、状態検出器80は、ダイアフラム82と、光センサ83と、バネ受け部材84とを含んで構成されている。ダイアフラム82は、ノズル本体32内に、自動閉弁機構60の負圧室66とは画成された基準圧力室81を形成する。
基準圧力室81は、自動閉弁機構60の大気圧室67と同様に、常時、大気圧に保たれている。光センサ83は、例えば、フォトレーザーとフォトダイオードとの組み合わせからなる検出端を備え、この検出端に対するダイアフラム82の近接・離間を検出する。なお、この場合の近接状態には、ダイアフラム82と光センサ83の検出端との当接状態が含まれていてもよい。光センサ83の検出出力は、給油ホース20に沿設された信号線87(図1においては、図示省略)を介して、制御装置100に入力される。バネ受け部材84は、自動閉弁機構60の負圧室66内に設けられ、ノズル本体32内に設けられたガイド部材86によって、自動閉弁機構60におけるダイアフラム65の変位方向に沿って、すなわち、弁軸ロッド52の係合溝63に対する係合・離脱方向に沿って、移動可能に支持されている。バネ受け部材84は、ノズル本体32内のバネ受け部材84との間に設けられたコイル状のバネ部材85によって、自身がダイアフラム82に押し当てられるように、常時、付勢されている。
したがって、図示の状態検出器80においては、ダイアフラム82の受圧面積およびバネ部材85の付勢力の大きさを、自動閉弁機構60のダイアフラム65の受圧面積およびバネ部材72の付勢力の大きさとの関係で適宜設定することによって、自動閉弁機構60の負圧室66の圧力の大きさ又はダイアフラム65の変位に連動した、係合ロッド61と弁軸ロッド52の係合溝63との係合量の大きさを、光センサ83の検出信号の大きさに対応変換して検出できるようになっている。すなわち、状態検出器80によれば、ポンプ11から給油ノズル30へ燃料送液中に、自動閉弁機構60が未だ閉弁作動する前の、自動閉弁機構60が閉弁作動する目前の閉弁作動目前状態を検出することができる。
なお、図示の例では。状態検出器80は、ダイアフラム65と光センサ83とを用いて構成したが、状態検出器80の具体的な構成は、この構成に限定されるものでない。例えば、圧力センサを用いて負圧室66内の圧力状態を基に検出したり、歪みセンサを用いてダイアフラム65の変形を基に検出したり、液検知センサを用いて燃料若しくは燃料の泡が液面検知口に対して付着したり或いは液面検知口から侵入し始めたことを検出するようにしてもよい。このように状態検出器80の具体的構成については、自動閉弁機構60が閉弁作動する目前の状態になったことを検出できるものであれば、説明した実施例および変形例の具体的構成に限定されない。
図3は、本実施例の給油装置における給油作業の制御構成を示したフローチャートである。次に、図3に基づいて、制御装置100が給油作業時にインバータを有するポンプモータ駆動回路110を介して行う、ポンプ11から給油ノズル30への燃料送出制御について説明する。
給油装置1の装置電源が投入されると、制御装置100は、ノズルスイッチ26の検出信号がOFFからONに変化したか否かにより、ノズル取り出し検出信号の入力、すなわち給油ノズル30がノズル掛け25から取り出されたか否かを監視する(図3、ステップS10)。
制御装置100は、給油ノズル30がノズル掛け25から取り出され、給油作業が開始されると(S10_Yes)、新たな給油作業開始時のリセット処理を行う(S15)。この給油作業開始時のリセット処理には、流量パルス信号(流量パルス)を計数して給油量を演算するカウンタのゼロリセット、給油情報表示器120の表示リセット、後述する追加給油モードのリセット、等が含まれる。
そして、制御装置100は、今回、新たな給油作業を開始するに当たって、ノズルレバー31の開弁操作によって給油ノズル30からの燃料吐出が開始された後のポンプ11の運転モードとして、ポンプモータ12を昼間モードで運転するか、または夜間モードで運転するか、を予め設定しておくようになっている(S20)。その設定は、制御装置100が、例えば、自身の時計機能を利用して、現在時刻が予め設定してある昼間時刻範囲内に含まれるか否か、又は予め設定してある夜間時刻範囲内に含まれるか否かを判定することによって行う。制御装置100は、昼間モード運転する場合は、ノズルレバー31の開弁操作による給油ノズル30からの実際の燃料吐出開始時に、使用最大吐出量の範囲内(例えば、0~40L/minの範囲内)の予め設定してある通常吐出量(例えば、40L/min)でポンプ11を運転するように、ポンプモータ12の駆動指示をポンプモータ駆動回路110に出力すべく、昼間モードでのポンプ運転を設定する(S30)。また、制御装置100は、夜間モード運転する場合は、ノズルレバー31の開弁操作による給油ノズル30からの実際の燃料吐出開始時に、予め設定してある昼間モード運転よりも低い通常吐出量(例えば、30%落ちの28L/min)でポンプ11を運転するように、ポンプモータ12の駆動指示をポンプモータ駆動回路110に出力すべく、夜間モードでのポンプ運転を設定する(S35)。したがって、夜間においては、給油作業を行う都度、給油ノズル30のノズルレバー31をいちいち加減操作しなくとも、通常吐出量が昼間よりも低い流量になり、給油作業中の騒音低減を自動的に行えるようになっている。
そして、制御装置100は、このようにして、給油ノズル30からの実際の燃料吐出開始時のポンプ11の運転モードを昼間/夜間別に予め設定した後(S20~S30)、まず、ポンプ11をアイドリング運転モードで運転するためのポンプモータ12の駆動指示を、ポンプモータ駆動回路110に出力する(S40)。これにより、給油ノズル30がノズル掛け25から取り出されてから(S10_Yes)、給油ノズル30の吐出パイプが車両等の燃料タンクの給油口に挿入され、ノズルレバー31の開弁操作によって給油ノズル30から実際の燃料吐出が開始されるまで(S50_Yes)の間は、制御装置100は、アイドリング運転モードでポンプ11を運転することになる。
ここで、アイドリング運転モードは、昼間モードでのポンプ運転の場合(S30、吐出量40L/min)や夜間モードでのポンプ運転の場合(S35、吐出量28L/min)よりも、ポンプ11からの吐出量(ポンプ11から給油ノズル30への送液流量)を予め低くしたポンプ11の運転モードである。このアイドリング運転モードによれば、通常吐出量でのポンプ運転に対して、ポンプモータ12の駆動電力を抑えて、給油装置1を省エネルギーで稼動することができる。
制御装置100は、給油ノズル30のノズル掛け25から取り出しに基づき、ステップS40によってポンプ11をアイドリング運転モードで運転開始した後は、流量計13に付設された流量発信器15から、単位計測流量ごとの燃料の流れに対応した流量パルス信号が入力されたか否か(S50)、給油ノズル30に設けられた状態検出器80から自動閉弁機構60が作動目前状態になったことを示す作動目前信号が入力されたか否か(S60)、流量発信器15からの流量パルス信号の入力間隔が、給油作業が中断されたことの判定のために予め設定してある基準時間を超えたか否か(S70)、及び、給油ノズル30がノズル掛け25に収納されて、ノズルスイッチ26の検出信号がONからOFFに変化したか否か(S80)、を併せて監視しながら、これらの監視を繰り返し、随時、ポンプ11の運転を制御する。
これらのうち、制御装置100は、流量発信器15から流量パルス信号(個別の流量パルス)が入力されると(S50_Yes)、今回の給油作業における給油量を演算・更新し、現時点における給油量等の給油情報を給油情報表示器120に表示する(S52)。また、制御装置100は、流量発信器15からの流量パルス信号の入力間隔を計時するための流量パルス入力間隔タイマの計時をリセット・スタートして、次に流量パルス信号が入力されるまでの、流量パルス信号の入力間隔の計時を開始(再開も含む)する(S54)。さらに、制御装置100は、アイドリング運転モードでポンプ11を運転するためのポンプモータ12の駆動指示を、直近でポンプモータ駆動回路110に出力済であるか否かを判定し(S56)、出力済である場合は(S56_Yes)、後述する追加給油モードが設定されているか否かについて、さらに判定する(S57)。その上で、制御装置100は、これらステップS56,S57の判定結果に基づいて、ポンプ11の運転モードを次のように制御する。
直近でアイドリング運転モードでポンプ11を運転する指示をポンプモータ駆動回路110に出力済であり、追加給油モードが設定されていない場合は(S56_Yes、S57_No)、自動閉弁機構60が未だ作動しておらず追加給油モードが設定されていない状況で、ノズルレバー31が開弁操作されて給油ノズル30からの実際の燃料吐出が開始/再開された状況に該当する。そのため、制御装置100は、現在のアイドリング運転モードでのポンプ11の運転を、ステップS30またはS35で給油作業開始当初に設定してある昼間モード運転又は夜間モード運転のいずれかによる運転に変更するように、昼間モード運転又は夜間モード運転のいずれかでポンプ11を運転するためのポンプモータ12の駆動指示を、ポンプモータ駆動回路110に出力する(S58)。給油作業におけるこのような状況としては、給油作業の開始に当たって、ノズル掛け25から取り出した給油ノズル30の吐出パイプ33を車両等の燃料タンクに挿入し、ノズルレバー31を開弁操作した状況や、給油ノズル30の自動閉弁機構が作動する前にノズルレバー31を閉弁操作して、給油ノズル30からの燃料吐出を一旦中断させた後、再びノズルレバー31が開弁操作して給油ノズル30からの燃料吐出を再開させた状況が該当する。
また、アイドリング運転モードでポンプ11を運転するためのポンプモータ12の駆動指示を直近でポンプモータ駆動回路110に出力済であり、追加給油モードが設定されている場合には(S56_Yes、S57_Yes)、制御装置100は、現在のアイドリング運転モードで運転中のポンプ11を、ウォーターハンマー抑制運転モードでポンプ11を運転するように、ポンプモータ12の駆動指示をポンプモータ駆動回路110に出力する(S59)。ウォーターハンマー抑制運転モードでは、ポンプ11からの吐出量は、昼間モード運転(S30)や夜間モード運転(S35)の場合よりも低い吐出量で、自動閉弁機構60の作動には支障を来たすことがない、自動閉弁機構60の作動に起因したウォーターハンマーによる、給油ノズル30の弁機構40を起点とした瞬間的かつ急激な圧力上昇を抑制できる吐出量(例えば、10L/min)に予め設定してある。給油作業におけるこのような状況としては、給油ノズル30の自動閉弁機構60の作動後に、ノズルレバー31を一旦閉弁操作して、自動閉弁機構60の係合ロッド61を介した、弁機構40の弁軸スリーブ50と弁軸ロッド52との一体的な連結状態を回復させてから、再びノズルレバー31を開弁操作して車両等の燃料タンクに追加給油する状況が該当する。
また、アイドリング運転モードでポンプ11を運転するためのポンプモータ12の駆動指示を直近でポンプモータ駆動回路110に出力済ではない場合や(S56_No)、アイドリング運転モードでポンプ11を運転するためのポンプモータ12の駆動指示を直近でポンプモータ駆動回路110に出力済であっても追加給油モードが既に設定されている場合は(S56_Yes、S57_Yes)、直近で指示してあるポンプモータ12の運転モード(昼間モード運転、夜間モード運転、ウォーターハンマー抑制運転のうちのいずれか)を変更せず、現在のポンプ11の運転を続行させる。給油作業におけるこのような状況としては、給油ノズル30からの実際の燃料吐出が継続的に行われている状況が該当する。
一方、制御装置100は、状態検出器80から自動閉弁機構60が作動目前状態になったことを示す作動目前信号が入力されると(S60_Yes)、追加給油モードが設定されているか否かを確認する(S61)。その上で、制御装置100は、これらステップS60,S61の判定結果に基づいて、ポンプ11の運転モードを次のように制御する。
追加給油モードが設定されていない場合は(S61_No)、ウォーターハンマー抑制運転モードでポンプ11を運転するように、ポンプモータ12の駆動指示をポンプモータ駆動回路110に出力する(S62)。ウォーターハンマー抑制運転モードでは、ポンプ11からの吐出量は、昼間モード運転(S30)や夜間モード運転(S35)の場合よりも低い吐出量で、自動閉弁機構60の作動には支障を来たすことなく、自動閉弁機構60の作動に起因したウォーターハンマーによる、給油ノズル30の弁機構40を起点とした瞬間的かつ急激な圧力上昇を抑制できる吐出量(例えば、10L/min)に予め設定してある。
これに対し、状態検出器80から自動閉弁機構60が作動目前状態になったことを示す作動目前信号が入力されていない場合や(S60_No)、状態検出器80から自動閉弁機構60が作動目前状態になったことを示す作動目前信号が入力されても、追加給油モードが既に設定されている場合は(S60_Yes、S61_Yes)、直近に指示してあるポンプモータ12の運転モードを変更せず、現在の運転モードでのポンプ11の運転を継続させる。これにより、状態検出器80から自動閉弁機構60が作動目前状態になったことを示す作動目前信号が入力されていない場合は(S60_No)、直近に指示してあるポンプ11の運転(昼間モード運転、夜間モード運転、ウォーターハンマー抑制運転、アイドリング運転のうちのいずれか)が継続されることになる。また、状態検出器80から自動閉弁機構60が作動目前状態になったことを示す作動目前信号が入力されても、追加給油モードが既に設定されている場合は(S60_Yes、S61_Yes)、直近に指示してあるポンプ11の運転(ウォーターハンマー抑制運転)が継続されることになる。
このような、ステップS62でウォーターハンマー抑制運転モードでポンプ11を運転する指示が出される給油作業における状況は、ポンプ11が通常運転(昼間モード運転若しくは夜間モードのいずれかで運転)されて給油ノズル30からの実際の燃料吐出が行われている状態で、車両等の燃料タンク内の液面又は泡面が自動閉弁機構60を作動させる目前になっている状況に該当する。
一方、制御装置100は、流量発信器15からの流量パルス信号の入力間隔が、給油停止の判定のために予め設定してある基準時間を超えると(S70_Yes)、給油ノズル30のノズルレバー31の閉弁操作又は自動閉弁機構60の作動によって弁機構40の主弁41が閉弁し、給油作業が中断/停止されたことを判定する。そして、流量パルス信号の入力間隔が基準時間を超えて給油作業が中断/停止されている場合、制御装置100は、さらにウォーターハンマー抑制運転モードでポンプ11を運転するためのポンプモータ12の駆動指示を、直近でポンプモータ駆動回路110に出力済であるか否かについて判定し(S72)、直近でウォーターハンマー抑制運転モードでポンプ11を運転する指示が出力済である場合は(S72_Yes)、追加給油モードが設定されているか否かについて、さらに判定する(S73)。その上で、制御装置100は、これらステップS72,S73の判定結果に基づいて、ポンプ11の運転モードを次のように制御する。
ウォーターハンマー抑制運転モードでポンプ11を運転するためのポンプモータ12の駆動指示を、直近でポンプモータ駆動回路110に出力済ではない場合は(S72_No)、現在、ポンプ11が昼間モード運転、夜間モード運転のいずれかで運転されている状態で、給油ノズル30のノズルレバー31の閉弁操作によって弁機構40の主弁41が閉弁したことにより給油作業が中断されたとして、制御装置100は、アイドリング運転モードでポンプ11を運転するように、ポンプモータ12の駆動指示をポンプモータ駆動回路110に出力する(S75)。
また、直近でウォーターハンマー抑制運転モードでポンプ11を運転する指示がポンプモータ駆動回路110に出力済であり、追加給油モードが設定されていない場合は(S72_Yes、S73_No)、現在、ポンプ11がウォーターハンマー抑制運転モードで運転され、追加給油モードが設定されていない状態で、自動閉弁機構60が作動目前状態になったことを示す作動目前信号が状態検出器80から出力後、給油ノズル30のノズルレバー31の閉弁操作又は自動閉弁機構60の作動によって弁機構40の主弁41が閉弁して給油作業が中断された状況に該当する。
本実施例では、制御装置100は、これ以降に、給油ノズル30のノズルレバー31のレバー操作に基づき給油ノズル30からの燃料吐出の再開された際には、燃料供給対象である車両等の燃料タンク内の液量は、現在、ポンプ11がウォーターハンマー抑制運転モードで運転されていることから(前述のS60_Yes、S61_No、S62)、状態検出器80から自動閉弁機構60が作動目前状態になったことを示す作動目前信号が入力された満タン近くの液量状態になっているため、ポンプ11からの吐出流量が低い、例えばウォーターハンマー抑制運転モードで運転再開することが好ましいと判断するようになっている。そこで、これ以降に、給油ノズル30のノズルレバー31のレバー操作に基づき給油ノズル30からの燃料吐出が再開されて正確な満タンにするための追加給油が行われる場合に、給油ノズル30からの燃料吐出が再開されて流量パルス信号が入力された際に(前述のS50_Yes、S56_Yes)、ウォーターハンマー抑制運転モードでポンプ11を運転するための追加給油モードが設定されるように(前述のS50_Yes、S56_Yes、S57_Yes、S59)、追加給油モードを設定してから(S74)、ポンプ11をアイドリング運転モードで運転するためのポンプモータ12の駆動指示を、ポンプモータ駆動回路110に出力する(S75)。
また、直近でウォーターハンマー抑制運転モードでポンプ11を運転する指示がポンプモータ駆動回路110に出力済であり、追加給油モードが設定されている場合は(S72_Yes、S73_Yes)、既に追加給油モードが設定済なので、そのままポンプ11をアイドリング運転モードで運転するためのポンプモータ12の駆動指示を、ポンプモータ駆動回路110に出力する(S75)。
これらに対し、制御装置100は、流量発信器15からの流量パルス信号の入力間隔が、給油停止の判定のために予め設定してある基準時間を超えておらず(S70_No)、給油ノズル30からの実際の燃料吐出が継続している状態では、直近に指示してあるポンプモータ12の運転モード(昼間モード運転、夜間モード運転、ウォーターハンマー抑制運転のうちのいずれか)を変更せず、現在のポンプ11の運転を続行させる。
本実施例では、アイドリング運転モードは、流量発信器15から流量パルス信号が入力された場合の処理(S50~S59)で説明したように、ノズルレバー31の閉弁操作によって中断された給油ノズル30の吐出パイプ33からの燃料吐出がノズルレバー31の開弁操作によって再開された場合には(S50_Yes、S57_Yes)、給油作業開始当初に指示した昼間モード運転又は夜間モード運転に復帰する(S58)ことを前提とした運転モードとして、ウォーターハンマー抑制運転モードとは別の運転モードになっている。これは、アイドリング運転モードになるときとウォーターハンマー抑制運転モードになるときとでは、供給対象である燃料タンク内の液量状態が異なり、給油作業の進捗具合に関して、両者をタイミング的に区別して検出できることによる。
そのため、本実施例では、アイドリング運転モードでのポンプ11からの吐出量(ポンプ11から給油ノズル30への送液流量)は、ウォーターハンマー抑制運転モードよりも低い吐出量(吐出量0のポンプモータ12の駆動停止状態や、自動閉弁機構60の作動が保障されない極めて低い吐出量も含む)に設定しておくことも可能になる。これにより、自動閉弁機構60が作動目前状態になっていない状況で給油作業が中断されたときには、給油作業が中断されている間は、ポンプ11はアイドリング運転モードで運転されるので、給油装置1の省エネルギー化がはかれる。また、給油作業が再開されたときには、追加給油ではない状況では、ポンプ11の運転は給油作業開始当初に指示した昼間モードでの運転又は夜間モードでの運転に復帰するので、再開した給油作業で給油ノズル30からの吐出流量が不足する等といった支障も来たすことがない。また、追加給油である状況では、ウォーターハンマー抑制運転モードでの運転に復帰するので、追加給油の際の給油ノズル30のノズルレバー31の操作による給油ノズル30からの吐出流量調整も行い易くなる。
一方、制御装置100は、給油ノズル30がノズル掛け25に収納されて、ノズルスイッチ26の検出信号がONからOFFに変化したことを検出した場合は(S80_Yes)、今回の給油作業が終了したとして、ポンプモータ駆動回路110に、ポンプモータ12の駆動指示を出力する(S82)。そして、制御装置100は、給油ノズル30がノズル掛け25から取り出されたか否かの監視(S10)に戻り、次の給油作業の開始を監視する。
本実施例に係る給油装置1は、制御装置100が、図3に示したような、ポンプ11から給油ノズル30への燃料送出制御を行うことにより、次のような特徴を有する。
(1) 給油ノズル30の自動閉弁機構60は、ポンプ11がウォーターハンマー抑制運転モードでの運転中に必ず作動するようになっているので、自動満タン閉弁機構(自動閉弁機構)の作動に起因した、燃料供給ノズルの弁機構を起点とした瞬間的かつ急激な圧力上昇を抑制することができる。
(2) 給油ノズル30がノズル掛け25から取り出されている給油作業中、給油ノズル30の主弁41が閉弁されていて給油ノズル30からの燃料吐出が中断/停止されている状況では、ポンプ11はアイドリング運転モードで運転されているので、ポンプモータ12の駆動電力を抑えて、給油装置1を省エネルギーで稼動することができる。
(3) 給油ノズル30の自動閉弁機構60の作動後の追加給油は、ポンプ11がウォーターハンマー抑制運転モードで運転されて行われるので、追加給油作業が行い易い。
次に、本実施例の給油装置による作用・効果について、図4,図5を参照しながら説明する。
図4は、本実施例の給油装置を用いて行った給油作業の特性説明図である。
図5は、比較例としての従来の給油装置を用いて行った給油作業の特性説明図である。
給油作業は、次のような作業条件で行った。
* 本実施例の給油装置1を用いた給油作業、及び従来の給油装置を用いた給油作業の何れの実施に当たっても、同一燃料液種を用い、供給対象の燃料タンクについては、車両の燃料タンクを模した燃料供給口(給油口)を備えた同じ基準容器を用いて行った。
* 本実施例の給油装置1、従来の給油装置ともに、給油作業開始時のポンプ11から給油ノズル30へ燃料送液量は40L/minで開始した。
* 本実施例の給油装置1、従来の給油装置ともに、自動閉弁機構が作動する負圧発生室の圧力が-2.5kPaになるように自動閉弁機構の各部を調整した。
* 本実施例の給油装置1については、状態検出器80は、自動閉弁機構60の負圧発生室66の圧力が-1.0kPaになると、自動閉弁機構60が作動目前状態になったことを示す作動目前信号を出力するように調整し、作動目前信号の出力後は、ポンプモータの駆動周波数を50Hzから10Hzに変化させて、ポンプ11から給油ノズル30へ燃料送液量が8.4L/minになるように設定した(回転数減速必要時間:0.1sec)。
本実施例の給油装置1、従来の給油装置をそれぞれでの基準容器に対する給油作業の結果、次のような作用・効果が検証できた。
* 従来の給油装置の自動閉弁機構の作動時のウォーターハンマーが0.90MPaであったのに対し、本実施例の給油装置1の自動閉弁機構60の作動時のウォーターハンマーは、0.18MPaに低減できた。
* 従来の給油装置の自動閉弁機構の作動時の基準容器に対する燃料供給量は、8.86Lであったのに対し、本実施例の給油装置1の自動閉弁機構60の作動時の基準容器に対する燃料供給量は、10.02Lになり、給油作業で容器内に発生する泡の影響が少なくなり、より正確な満タン給油が行えた。
以上から、本実施例の給油装置1によれば、自動満タン閉弁機構(自動閉弁機構)の作動に起因した、燃料供給ノズルの弁機構を起点とした瞬間的かつ急激な圧力上昇を抑制することができるので、燃料供給ノズルよりも上流側に配置されている機器や部品について、その機能信頼性や耐久性について想定外の劣化を引き起こす原因を抑制することができる。その結果、燃料供給装置自体の機能信頼性能やメンテナンス性能の向上をはかることができる。
また、セルフサービス方式の給油所に適用した場合、満タン給油作業終了後は、自動満タン閉弁機構が作動して弁機構の主弁が閉弁した状態になっているので、ノズルレバーの閉弁操作をし忘れた状態での安全性がはかれる。