JP7295171B2 - 水素吸蔵合金粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、水素吸蔵合金粉末に関する。
特開2016-186844号公報
本発明は、初期出力特性に優れる水素吸蔵合金粉末を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る水素吸蔵合金粉末は、CaCu型結晶構造の母相を有し、一般式MmNiMnAl(左式中、Mmはミッシュメタルを示し、4.02≦e≦4.55、0.15≦f≦0.67、0.07≦g≦0.50、4.31≦e+f+g≦5.55)で表され、水素吸蔵量(H/M)が0.90以上1.100以下の範囲内であり、且つ、微粉化難度が0.05以上0.35以下の範囲内であり、且つ、比表面積変化度が8.0以上12.0以下の範囲内である。なお、ここにいう「水素吸蔵量(H/M)」とは、温度45℃、平衡水素圧0.5MPaの基準の雰囲気下で吸蔵される水素量H/M(1金属原子当たりの水素原子数)として定義される。また、ここにいう「微粉化難度」とは、水素の吸蔵放出サイクルにおける水素吸蔵合金粉末の微粉化のし難さの度合いを示す指標値であって、具体的には、「水素吸蔵合金粉末の初期粒度」に対する「保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下における水素の吸蔵放出サイクル10回後の水素吸蔵合金粉末の粒度」の比である。すなわち、微粉化難度は、1に近いほど水素吸蔵合金粉末が微粉化しにくいことを示し、0に近いほど水素吸蔵合金粉末が微粉化しやすいことを示す。さらに、ここにいう「比表面積変化度」とは、水素の吸蔵放出サイクルにおける水素吸蔵合金粉末の微粉化に伴う水素吸蔵合金粉末の比表面積の変化の度合いを示す指標値であって、具体的には、「水素吸蔵合金粉末の初期比表面積」に対する「保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下における水素の吸蔵放出サイクル10回後の水素吸蔵合金粉末の比表面積」の比である。すなわち、比表面積変化度は、1に近いほど水素吸蔵合金粉末が微粉化しにくいことを示し、1よりも大きくなるほど水素吸蔵合金粉末が微粉化しやすいことを示す。ところで、水素吸蔵合金粉末の微粉化難度に加えて比表面積変化度を導入することにより、微粉化する前の水素吸蔵合金表面に現れる亀裂の大きさや深さを微粉化指標として反映することができ、水素吸蔵合金粉末の微粉化のし難さの度合いをより正確に評価することが可能となる。
本願発明者らの鋭意検討の結果、この水素吸蔵合金粉末は、初期出力特性に優れることが明らかとなった。
なお、上述の水素吸蔵合金粉末において、一般式MmNiMnAlCo(左式中、Mmはミッシュメタルを示し、4.02≦e≦4.55、0.15≦f≦0.67、0.07≦g≦0.50、0.00≦d≦0.02、4.31≦e+f+g≦5.55)であることが好ましい。また、ここで、Mm全体の90質量%以上をLaおよびCeが占めることが好ましく、Mm全体の95質量%以上をLaおよびCeが占めることがより好ましく、Mm全体の99質量%以上をLaおよびCeが占めることがさらに好ましく、Mm全体の99.5質量%以上をLaおよびCeが占めることが特に好ましい。また、上記一般式において、4.12≦e≦4.45であることが好ましく、4.22≦e≦4.40であることがより好ましい。また、上記一般式において0.18≦f≦0.57であることが好ましく、0.20≦f≦0.47であることがより好ましい。また、上記一般式において0.17≦g≦0.40であることが好ましく、0.22≦g≦0.35であることがより好ましい。また、この水素吸蔵合金粉末には、本発明の趣旨を損なわない限り、不純物が含まれていてもかまず、例えば、微量(0.05質量%以下)のコバルト元素が含まれていてもかまわない。
また、上述の水素吸蔵合金粉末を第1水素吸蔵合金粉末としたとき、CaCu型結晶構造の母相を有し、水素吸蔵量(H/M)が0.90以上1.100以下の範囲内であり、且つ、微粉化難度が0.60以上0.95以下の範囲内であり、且つ、比表面積変化度が1.0以上3.0以下の範囲内である第2水素吸蔵合金粉末と、第1水素吸蔵合金粉末が混合されることが好ましい(以下、第1水素吸蔵合金粉末と第2水素吸蔵合金粉末とを混合したものを「水素吸蔵合金混合粉末」と称する場合がある。)。なお、第2水素吸蔵合金粉末は、第1水素吸蔵合金粉末よりも寿命特性に優れる。
上述の水素吸蔵合金混合粉末は、本願発明者の鋭意検討によりニッケル水素蓄電池等の蓄電池の出力特性向上と寿命特性(サイクル特性)向上を両立させる具体的な手段であることが明らかとなっている。このため、この水素吸蔵合金混合粉末は、従前の水素吸蔵合金混合粉末よりもより実用的であると言える。
なお、上述の第2水素吸蔵合金粉末のCaCu型結晶構造の母相は、一般式MmNiMnAlCo(左式中、Mmはミッシュメタルを示し、4.40≦a≦4.60、0.22≦b≦0.38、0.22≦c≦0.40、0.15≦d≦0.31、5.09≦a+b+c+d≦5.51)で表されることが好ましい。また、ここで、Mm全体の90質量%以上をLaおよびCeが占めることが好ましく、Mm全体の95質量%以上をLaおよびCeが占めることがより好ましく、Mm全体の99質量%以上をLaおよびCeが占めることがさらに好ましく、Mm全体の99.5質量%以上をLaおよびCeが占めることが特に好ましい。また、上記一般式において4.45≦a≦4.55であることが好ましい。また、上記一般式において0.26≦b≦0.34であることが好ましく、0.28≦b≦0.32であることがより好ましい。また、上記一般式において0.26≦c≦0.36であることが好ましく、0.28≦c≦0.34であることがより好ましく、0.30≦c≦0.32であることがさらに好ましい。また、上記一般式において、0.17≦d≦0.28であることが好ましく、0.18≦d≦0.26であることがより好ましい。また、この第1水素吸蔵合金粉末には、本発明の趣旨を損なわない限り、不純物が含まれていてもかまわない。
また、上述の水素吸蔵合金混合粉末は、微粉化難度が0.40以上0.60以下の範囲内であり、比表面積変化度が3.0以上7.0以下の範囲内であることが好ましい。なお、微粉化難度は0.40以上0.50以下の範囲内であることが好ましく、0.40以上0.45以下の範囲内であることがより好ましい。
ところで、従来の微粉化度は、電池の充放電を繰り返した後に測定する磁化率の変化で示されるが、水素吸蔵合金の本質的な材料特性を把握するためには、水素を吸放出することによって破砕していく程度を直接的に測定することができる粒度変化や比表面積変化を捉える方が好ましい。よって、本発明では、実用的な特性を得るために、上述のように、水素吸蔵合金の微粉化難度、比表面積変化度を特定の範囲内としている。
以下に本発明の実施の形態について詳述するが、本発明の技術的範囲が実施の形態に限定されることはない。
<水素吸蔵合金混合粉末>
本発明の実施の形態に係る水素吸蔵合金混合粉末は、主として、第1水素吸蔵合金粉末および第2水素吸蔵合金粉末から成る。なお、この水素吸蔵合金混合粉末には、本発明の趣旨を損なわない範囲で他の成分等が含まれてもよい。ところで、以下、説明の便宜上、第1水素吸蔵合金粉末および第2水素吸蔵合金粉末をまとめて「水素吸蔵合金粉末」と称することがある。
(1)第1水素吸蔵合金粉末
本実施の形態に係る第1水素吸蔵合金粉末は、第2水素吸蔵合金粉末よりも出力特性に優れる水素吸蔵合金粉末であって、ミッシュメタル(以下「Mm」という)を含有するCaCu型すなわちAB型結晶構造の母相を有する。この母相は、一般式MmNiMnAl(左式中、Mmはミッシュメタルを示し、4.02≦e≦4.55、0.15≦f≦0.67、0.07≦g≦0.50、4.31≦e+f+g≦5.55)で表される。なお、ここで、Mm全体の90質量%以上をLaおよびCeが占めている。
ところで、従来の一般的なMmでは、La、Ce、Nd及びPrが主要構成元素であり、La及びCeの合計含有率がMm全体の60質量%以上90質量%未満の範囲内である。この点を考慮すると、本第1水素吸蔵合金粉末のMmはLa及びCeの含有率が顕著に高く、逆にNd及びPrの含有率が顕著に低いか皆無である。
そして、この第1水素吸蔵合金粉末は、水素吸蔵量(H/M)が0.90以上1.100以下の範囲内であり、且つ、微粉化難度が0.05以上0.35以下の範囲内であり、且つ、比表面積変化度が8.0以上12.0以下の範囲内である。
Niの割合(e)は、4.02以上4.55以下の範囲内であるが、4.12以上4.45以下の範囲内であることが好ましく、4.22以上4.40以下の範囲内であることがより好ましい。この割合が4.02以上4.55以下の範囲内であれば、本発明の実施の形態に係る第1水素吸蔵合金粉末を活物質として含む負極を作製した際、その出力特性を維持し易く、しかもその負極の微粉化特性や寿命特性を格別に悪化させることもない。
Mnの割合(f)は、0.15以上0.67以下の範囲内であるが、0.18以上0.57以下の範囲内であることが好ましく、0.20以上0.47以下の範囲内であることがより好ましい。この割合が0.15以上0.67以下の範囲内であれば、第1水素吸蔵合金粉末の微粉化残存率を維持し易くすることができる。
Alの割合(g)は、0.07以上0.50以下の範囲内であるが、0.17以上0.40以下の範囲内であることが好ましく、0.22以上0.35以下の範囲内であることがより好ましい。この割合が0.07以上0.50以下の範囲内であれば、第1水素吸蔵合金粉末の充放電のエネルギー効率を悪化させるのを抑えることでき、しかも第1水素吸蔵合金粉末の水素吸蔵量が低下するのを抑えることもできる。
なお、本実施の形態に係る第1水素吸蔵合金粉末は、Co、Ti、Mo、W、Si、Ca、Pb、CdおよびMgのいずれかの不純物を0.05質量%程度以下であれば含んでもよい。
(2)第2水素吸蔵合金粉末
本実施の形態に係る第2水素吸蔵合金粉末は、第1水素吸蔵合金粉末よりも微粉化難度が大きく、比表面積変化度が小さい水素吸蔵合金粉末であって、ミッシュメタル(以下「Mm」という)を含有するCaCu型すなわちAB型結晶構造の母相を有する。この母相は、一般式MmNiMnAlCo(左式中、Mmはミッシュメタルを示し、4.40≦a≦4.60、0.22≦b≦0.38、0.22≦c≦0.40、0.15≦d≦0.31、5.09≦a+b+c+d≦5.51)で表される。なお、ここで、Mm全体の90質量%以上をLaおよびCeが占めている。
ところで、従来の一般的なMmでは、La、Ce、Nd及びPrが主要構成元素であり、La及びCeの合計含有率がMm全体の60質量%以上90質量%未満の範囲内である。この点を考慮すると、本第2水素吸蔵合金粉末のMmはLa及びCeの含有率が顕著に高く、逆にNd及びPrの含有率が顕著に低いか皆無である。
そして、この第2水素吸蔵合金粉末は、水素吸蔵量(H/M)が0.90以上1.100以下の範囲内であり、且つ、微粉化難度が0.60以上0.95以下の範囲内であり、且つ、比表面積変化度が1.0以上3.0以下の範囲内である。
Niの割合(a)は、上述の通り、4.40以上4.60以下の範囲内であるが、4.45以上4.55以下の範囲内であることが好ましい。この割合が4.40以上4.60以下の範囲内であれば、本発明の実施の形態に係る第2水素吸蔵合金粉末を活物質として含む負極を作製した際、その出力特性を維持し易く、しかもその負極の微粉化特性や寿命特性を格別に悪化させることもない。
Mnの割合(b)は、上述の通り、0.22以上0.38以下の範囲内であるが、0.26以上0.34以下の範囲内であることが好ましく、0.28以上0.32以下の範囲内であることがより好ましい。この割合が0.22以上0.38以下の範囲内であれば、第2水素吸蔵合金粉末の微粉化残存率を維持し易くすることができる。
Alの割合(c)は、上述の通り、0.22以上0.40以下の範囲内であるが、0.26以上0.36以下の範囲内であることが好ましく、0.28以上0.34以下の範囲内であることがより好ましく、0.30以上0.32以下の範囲内であることがさらに好ましい。この割合が0.22以上0.40以下の範囲内であれば、第2水素吸蔵合金粉末の充放電のエネルギー効率を悪化させるのを抑えることでき、しかも第2水素吸蔵合金粉末の水素吸蔵量が低下するのを抑えることもできる。
Coの割合(d)は、上述の通り、0.15以上0.31以下の範囲内である。この割合が0.15以上0.31以下の範囲内であれば、第2水素吸蔵合金粉末の充放電のエネルギー効率を悪化させるのを抑えることでき、しかも第2水素吸蔵合金粉末の水素吸蔵量が低下するのを抑えることもできる。
なお、Coの量を低減すれば、本実施の形態に係る第2水素吸蔵合金粉末を安価に提供することができるが、第2水素吸蔵合金粉末を活物質として利用する負極の寿命特性を維持することが難しくなる。このため、Coの割合(d)は、0.17以上0.28以下の範囲内であることが好ましく、0.18以上0.26以下の範囲内であることがより好ましい。
なお、本実施の形態に係る第2水素吸蔵合金粉末は、Ti、Mo、W、Si、Ca、Pb、CdおよびMgのいずれかの不純物を0.05質量%程度以下であれば含んでもよい。
(水素吸蔵合金粉末の製造方法)
本実施の形態に係る水素吸蔵合金粉末は、秤量工程、混合工程、鋳造工程、熱処理工程、冷却工程および粉砕工程を経て製造される。秤量工程では、水素吸蔵合金の各原料が秤量される。混合工程では、秤量された複数種類の原料が混合される。鋳造工程では、混合原料が鋳造される。熱処理工程では、鋳造物が熱処理(アニール)される。冷却工程では、熱処理(アニール)された鋳造物が冷却される。粉砕工程では、鋳造物が粉砕される。
より具体的には、例えば、秤量工程において所望の合金組成となるように、水素吸蔵合金の各原料を秤量し、混合工程において秤量された複数種類の原料が混合され、鋳造工程において、例えば、高周波加熱溶解炉に混合原料を投入して、同混合原料を溶解させて溶湯となし、この溶湯を例えば銅鋳型に流し込んで1350℃以上1550℃以下の範囲内の温度(鋳造温度)で鋳造し、粉砕工程においてその鋳造物を粉砕すればよい。なお、この際の鋳造温度は1200℃以上1450℃以下の範囲内であることが好ましく、1300℃以上1400℃以下の範囲内であることがより好ましく、1340℃以上1360℃以下の範囲内であることがさらに好ましい。ここでいう「鋳造温度」とは鋳造開始時のルツボ内溶湯温度である。
鋳造後の合金は、熱処理工程において950℃超1200℃未満の温度で熱処理(アニール)される。なお、本実施の形態に係る水素吸蔵合金において、熱処理温度は1000℃以上1150℃以下の範囲内であることが特に好ましい。また熱処理時間としては、鋳造後のインゴット(水素吸蔵合金片)の大きさにもよるが、数時間から十数時間が一般的である。具体的には、インゴット(水素吸蔵合金片)の中心部まで所定の温度になるように時間設定をすればよい。
冷却工程では、上述の通り、熱処理(アニール)された鋳造物が冷却される。なお、冷却方法としては、放冷であってもよいし、空冷であってもよい。冷却パターンとしては、比較的緩やかな冷却速度(20℃/min以下)であってもよいし、比較的速い冷却速度(20℃/min以上)であってもよく、またそれらの冷却速度を種々組合せてもよい。
すなわち、本発明の形態に係る第1水素吸蔵合金粉末および第2水素吸蔵合金粉末それぞれが上述の微粉化難度および比表面積変化度の規定を満足するように、上述の範囲内で合金組成を調整すると共に、鋳造温度や冷却パターンを適宜調整すればよい。
このようにして得られたインゴット(水素吸蔵合金片)は、粗粉砕、微粉砕により必要な粒度の水素吸蔵合金粉末とされる。例えば、インゴット(水素吸蔵合金片)を500μmの篩目を通過する粒子サイズ(500μm以下)まで粉砕して水素吸蔵合金粉末とすることができる。
また、必要に応じて、金属材料や高分子樹脂等により本実施の形態に係る水素吸蔵合金粉末の表面を被覆したり、酸やアルカリで表面を処理したりして、各種の電池の負極活物質としてもよい。
なお、本実施の形態に係る水素吸蔵合金の製造方法は、上述の製造方法に限定されるものではない。
(水素吸蔵合金混合粉末の製造方法)
上述の水素吸蔵合金粉末の製造方法に従って、第1水素吸蔵合金粉末および第2水素吸蔵合金粉末を製造した後、第1水素吸蔵合金粉末と第2水素吸蔵合金粉末とを混ぜ合わせる。なお、混合方法としては、既知の方法を採用することができる。
(水素吸蔵合金混合粉末の利用)
本実施の形態に係る水素吸蔵合金混合粉末から、公知の方法により、電池用負極を調製することができる。すなわち、公知の方法により本実施の形態に係る水素吸蔵合金に結着剤や導電助剤などを混合してスラリー化した後、そのスラリーを成形することにより水素吸蔵合金負極を製造することができる。
このようにして得られる水素吸蔵合金負極は、二次電池に利用することができる。すなわち、この水素吸蔵合金負極と、水酸化ニッケルを活物質とする正極と、アルカリ水溶液よりなる電解液と、セパレータとからニッケル―MH(Metal Hydride)二次電池を作製することができる。このようなニッケル―MH二次電池は、小型又は携帯型の各種電気機器、電動工具、電気自動車、ハイブリッド自動車などの電源用途に好適に利用することができる。なお、「ハイブリッド自動車」とは、電気モータおよび内燃エンジンの2種類の動力源を併用する自動車である。なお、「内燃エンジン」にはガソリンエンジンばかりでなく、ディ-ゼルエンジン、その他のエンジンも含まれる。
本発明の実施の形態に係る水素吸蔵合金負極は、電動工具やデジタルカメラなどの電池のように充放電深度の限界域間(H/M=0若しくは約0.1~約0.8)で充放電される電池の負極活物質ではなく、電気自動車やハイブリッド自動車用電池など、充放電深度の中心領域で充放電される電池の負極活物質として用いるのが特に好ましい。ここで、「充放電深度の中心領域で充放電される電池」とは、充放電深度の限界域(H/M=0若しくは約0.1~約0.8)には満たない水素吸蔵量領域で充放電される電池である。このような電池としては、例えばH/M=約0.2~約0.7、特に約0.4~0.6を主な使用領域とする電池であるが好ましく、具体的には電気自動車およびハイブリッド自動車などの自動車に搭載される電池を挙げることができる。
<水素吸蔵合金混合粉末の特徴>
本発明の実施の形態に係る水素吸蔵合金混合粉末は、微粉化難度および比表面積変化度において互いに相反する水素吸蔵合金粉末の混合物であって、本願発明者の鋭意検討によりニッケル水素蓄電池等の蓄電池の出力特性向上および寿命特性向上を両立させる具体的な手段であることが明らかとなっている。このため、この水素吸蔵合金混合粉末は、ニッケル水素蓄電池等の蓄電池の出力特性向上および寿命特性向上を両立させる手段として、互いに相反する特性を有する水素吸蔵合金粉末の混合物を用いる技術をより具体的に展開させることができる。
<実施例および比較例>
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲が下記実施例に限定されることはない。
1.第2水素吸蔵合金粉末の調製
表1に示される組成11~16の水素吸蔵合金を得るために各組成に対応する混合金属原料を用意した。なお、ここで、La、Ce、Ni、Mn、AlおよびCoの原料には純金属を用いた。
Figure 0007295171000001
なお、表1中の(組成11)は、各元素の質量比率で、Mm:31.75%、Ni:59.41%、Mn:3.57%、Al:1.88%、Co:3.33%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:30.13%、Ce:1.62%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々94.89%、5.10%)となるよう成分調整を行った。
(組成12)は、各元素の質量比率で、Mm:31.64%、Ni:59.94%、Mn:3.53%、Al:1.89%、Co:2.95%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:30.03%、Ce:1.61%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々94.90%、5.09%)となるよう成分調整を行った。
(組成13)は、各元素の質量比率で、Mm:31.64%、Ni:59.69%、Mn:3.78%、Al:1.94%、Co:2.91%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:30.05%、Ce:1.59%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々94.97%、5.02%)となるよう成分調整を行った。
(組成14)は、各元素の質量比率で、Mm:31.56%、Ni:59.26%、Mn:3.85%、Al:1.98%、Co:3.31%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:29.94%、Ce:1.61%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々94.87%、5.10%)となるよう成分調整を行った。
(組成15)は、各元素の質量比率で、Mm:31.46%、Ni:59.84%、Mn:3.80%、Al:1.93%、Co:2.91%となるように原料を秤量し混合した。なお、Mmは、La:29.91%、Ce:1.55%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々95.06%、4.93%)となるよう成分調整を行った。
(組成16)は、各元素の質量比率で、Mm:31.43%、Ni:59.16%、Mn:3.86%、Al:2.02%、Co:3.45%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:26.72%、Ce:1.57%、Pr:3.13%(Mm中のLa,Ce、Prの質量比率は各々85.01%、5.00%、9.96%)となるよう成分調整を行った。
各混合金属原料をルツボに投入した後、そのルツボを高周波真空溶解炉に固定した。次いで、炉内を10~10-5Torrまで減圧にした後、炉内にアルゴンガスを導入し、アルゴンガス雰囲気中で混合金属原料を1580℃まで加熱した後に10分間その温度を保持して溶湯を得た。続いて、鉄鋳型に30kgの溶湯を1kg/秒で流し込み(鋳造温度:1340~1360℃)、水素吸蔵合金のインゴットを得た。
得られた水素吸蔵合金のインゴットを鉄製容器に入れた後、その鉄製容器を真空熱処理装置にセットした。そして、その水素吸蔵合金のインゴットをアルゴンガス雰囲気中、1100℃で12.5時間の熱処理を行った後、そのインゴットを放冷した。
得られた水素吸蔵合金のインゴットを5センチメートル大に粗砕した後、さらにカッティングミル(Retsch社製SM300)で500μmの篩目を通過する粒子サイズ(500μm以下)となるまで粉砕を行って、目的の第2水素吸蔵合金粉末を得た。
2.第2水素吸蔵合金粉末の物性評価
(1)水素平衡解離圧
水素平衡解離圧は、水素吸蔵合金に水素を吸蔵させて求められた圧力-組成等温線であるPCT(Pressure-Composition-Temperature)線図から求めた。ここで、PCT線は、株式会社鈴木商館製のジーベルツ型全自動PCT測定装置を用いて自動的に得た。なお、水素平衡解離圧は、PCT線において平坦となる領域の圧力(プラトー圧)であり、その測定結果は表2に示されている。
(2)水素吸蔵量
水素吸蔵量は、水素Hと金属Mの原子組成比H/Mであって、株式会社鈴木商館製の全自動PCT測定装置を用いて自動的に得られたPCT線に基づいて求めた。その測定結果を表2に示した。
(3)微粉化難度
微粉化難度は、「保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下における水素の吸蔵放出サイクル10回後の第1水素吸蔵合金粉末の粒度」を「第1水素吸蔵合金粉末の初期粒度」で除することによって求められる。すなわち、微粉化難度は、1に近いほど水素吸蔵合金粉末が微粉化しにくいことを示し、0に近いほど水素吸蔵合金粉末が微粉化しやすいことを示す。なお、微粉化難度を求めるに当たり、上記第2水素吸蔵合金粉末のうち粒径が43~45μmであるものを試料に供した。
「第2水素吸蔵合金粉末の初期粒度」は、リーズアンドノースラップ社製の粒度分布測定装置7997SRAを用いて測定した。「保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下における水素の吸蔵放出サイクル10回後の第1水素吸蔵合金粉末の粒度」は、株式会社鈴木商館製の全自動PCT測定装置(1/2インチ直管サンプルセル,試料量3g)を用いて保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下で水素の吸蔵放出サイクルを10回行った後に、リーズアンドノースラップ社製の粒度分布測定装置7997SRAを用いて測定した。なお、全自動PCT測定装置における第2水素吸蔵合金粉末の活性化処理は、活性化温度80℃および水素圧力1.82MPaの環境下で行われた。また、同装置における第2水素吸蔵合金粉末の吸蔵放出サイクル(微粉化処理)は、保持温度45℃、水素吸蔵圧力1.82MPaおよび水素放出圧力0MPaの環境下で行われた。
そして、上述の通り、「保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下における水素の吸蔵放出サイクル10回後の第2水素吸蔵合金粉末の粒度」を「第2水素吸蔵合金粉末の初期粒度」で除して微粉化難度を求めた。その結果は表2に示されている。
(4)比表面積
比表面積は、カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製の流動法BET1点法比表面積測定装置MONOSORBを用いて測定した。なお、このとき、ガスとして、窒素(N)ガスと水素(H)ガスとを3:7の体積比で混合したものを使用した。
(5)比表面積変化度
比表面積変化度は、「保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下における水素の吸蔵放出サイクル10回後の第2水素吸蔵合金粉末の比表面積」を「第2水素吸蔵合金粉末の初期比表面積」で除することによって求められる。すなわち、比表面積変化度は、1に近いほど水素吸蔵合金粉末が微粉化しにくいことを示し、1よりも大きくなるほど水素吸蔵合金粉末が微粉化しやすいことを示す。なお、比表面積変化度を求めるに当たり、上記第2水素吸蔵合金粉末のうち粒径が43~45μmであるものを試料に供し、測定した比表面積を「初期比表面積」とした。
「水素吸蔵合金粉末の初期比表面積」は、粒径が43~45μmであるものをカンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製の流動法BET1点法比表面積測定装置MONOSORBを用いて測定した。「保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下における水素の吸蔵放出サイクル10回後の第2水素吸蔵合金粉末の比表面積」は、株式会社鈴木商館製の全自動PCT測定装置(1/2インチ直管サンプルセル,試料量3g)を用いて保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下で水素の吸蔵放出サイクルを10回行った後に、カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製の流動法BET1点法比表面積測定装置MONOSORBを用いて測定した。なお、全自動PCT測定装置における第2水素吸蔵合金粉末の活性化処理は、活性化温度80℃および水素圧力1.82MPaの環境下で行われた。また、同装置における第2水素吸蔵合金粉末の吸蔵放出サイクル(微粉化処理)は、保持温度45℃、水素吸蔵圧力1.82MPaおよび水素放出圧力0MPaの環境下で行われた。
そして、上述の通り、「保持温度45℃および水素圧力調整1.82MPaの環境下における水素の吸蔵放出サイクル10回後の第2水素吸蔵合金粉末の比表面積」を「第2水素吸蔵合金粉末の初期比表面積」で除して比表面積変化度を求めた。その結果は表2に示されている。
Figure 0007295171000002
1.第1水素吸蔵合金粉末の調製
表3に示される組成21~29の水素吸蔵合金を得るために各組成に対応する金属原料を用意した。なお、ここで、La、Ce、Ni、MnおよびAlの原料には純金属を用いた。また、ここで、CoはNiの不純物として混入している。
Figure 0007295171000003
なお、表3中の(組成21)は、各元素の質量比率で、Mm:34.08%、Ni:60.00%、Mn:3.84%、Al:2.03%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:32.37%、Ce:1.71%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々94.97%、5.02%)となるよう成分調整を行った。
(組成22)は、各元素の質量比率で、Mm:33.77%、Ni:60.48%、Mn:3.84%、Al:2.03%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:33.76%、Ce:0.00%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々99.98%、0.00%)となるよう成分調整を行った。
(組成23)は、各元素の質量比率で、Mm:33.71%、Ni:60.66%、Mn:3.53%、Al:2.05%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:33.60%、Ce:0.10%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々99.68%、0.30%)となるよう成分調整を行った。
(組成24)は、各元素の質量比率で、Mm:33.31%、Ni:61.09%、Mn:3.50%、Al:2.06%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:33.30%、Ce:0.00%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々99.98%、0.00%)となるよう成分調整を行った。
(組成25)は、各元素の質量比率で、Mm:33.06%、Ni:61.29%、Mn:3.52%、Al:2.06%となるように原料を秤量し混合した。なお、Mmは、La:31.36%、Ce:1.69%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々94.87%、5.11%)となるよう成分調整を行った。
(組成26)は、各元素の質量比率で、Mm:33.08%、Ni:61.03%、Mn:3.70%、Al:2.14%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:33.08%、Ce:0.00%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々100.00%、0.00%)となるよう成分調整を行った。
(組成27)は、各元素の質量比率で、Mm:32.93%、Ni:61.21%、Mn:3.65%、Al:2.13%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:31.22%、Ce:1.70%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々94.81%、5.16%)となるよう成分調整を行った。
(組成28)は、各元素の質量比率で、Mm:32.39%、Ni:60.06%、Mn:6.34%、Al:0.62%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:30.78%、Ce:1.61%(Mm中のLa,Ceの質量比率は各々95.03%、4.97%)となるよう成分調整を行った。
(組成29)は、各元素の質量比率で、Mm:32.79%、Ni:59.26%、Mn:3.63%、Al:2.12%となるように原料を秤量し混合した。Mmは、La:27.83%、Ce:1.69%、Nd:3.27%(Mm中のLa,Ce、Ndの質量比率は各々84.87%、5.15%、9.97%)となるよう成分調整を行った。
各混合金属原料をルツボに投入した後、そのルツボを高周波真空溶解炉に固定した。次いで、炉内を10~10-5Torrまで減圧にした後、炉内にアルゴンガスを導入し、アルゴンガス雰囲気中で混合金属原料を1580℃まで加熱した後に10分間その温度を保持して溶湯を得た。続いて、鉄鋳型に30kgの溶湯を1kg/秒で流し込み(鋳造温度:1340~1360℃)、水素吸蔵合金のインゴットを得た。
得られた水素吸蔵合金のインゴットを鉄製容器に入れた後、その鉄製容器を真空熱処理装置にセットした。そして、その水素吸蔵合金のインゴットをアルゴンガス雰囲気中、1100℃で12.5時間の熱処理を行った後、そのインゴットを放冷した。
得られた水素吸蔵合金のインゴットを5センチメートル大に粗砕した後、さらにカッティングミル(Retsch社製SM300)で500μmの篩目を通過する粒子サイズ(~500μm)となるまで粉砕を行って、目的の第1水素吸蔵合金粉末を得た。
2.第1水素吸蔵合金粉末の物性評価
(1)水素平衡解離圧、水素吸蔵量、微粉化難度、および比表面積変化度
実施例1に記載と同一の方法で第1水素吸蔵合金粉末の水素平衡解離圧、水素吸蔵量、微粉化難度、および比表面積変化度を求めたところ、表4に示される通りとなった。
Figure 0007295171000004
1.水素吸蔵合金混合粉末の調製
実施例1に示される組成15の第2水素吸蔵合金粉末と、実施例2に示される組成26の第1水素吸蔵合金粉末とを、8:2の質量比で混ぜ合わせて目的の水素吸蔵合金混合粉末を調製した。
2.水素吸蔵合金混合粉末の物性評価
(1)微粉化難度および比表面積変化度
実施例1に記載と同一の方法で水素吸蔵合金混合粉末の微粉化難度および比表面積変化度を求めたところ、微粉化難度は0.57となり、比表面積変化度は3.81となった。
(2)電池内部抵抗との関係
ニッケル水素蓄電池の直流内部抵抗(DC-IR)は、電池の初期出力性能と相関があるとされている。直流内部抵抗(DC-IR)は、特開2015-32358号公報や特開2012-256576号公報に記載の方法により求めることができる。
すなわち、環境温度が25℃における直流内部抵抗(以下「25℃DC-IR」と称す)は、まず常温下でニッケル水素蓄電池に所定の充電率(SOC[=State Of Charge]=60%)だけ充電した後、25℃の環境下で該蓄電池に対して短時間の充放電を繰り返し、充放電の際に印加した電流と測定された電圧との関係から算出されるものである。
具体的には、以下のように「25℃DC-IR」が測定される。まず、常温下で蓄電池に、その充電率(SOC)が60%になるまで充電を実施する。その後、10Aの電流値で10秒間放電した際の電圧降下(ΔV)から、「25℃DC-IR」をΔV/10A により算出する。
同様に、環境温度が-30℃における直流内部抵抗(以下「-30℃DC-IR」と称す)は、常温の下でニッケル水素蓄電池の充電率(SOC)が50%になるまで充電を実施する。それから、ニッケル水素蓄電池を-30℃まで冷却した後、10Aの電流値で10秒間放電した際の電圧降下(ΔV)を用い、「-30℃DC-IR」をΔV/10Aによって算出する。
本願発明者らは、微粉化難度と比表面積変化度を種々変えた第1水素吸蔵合金粉末と第2水素吸蔵合金粉末を製造し、それらの水素吸蔵合金粉末を種々の質量比で混合した水素吸蔵合金混合粉末を調整し、その水素吸蔵合金混合粉末を負極材として用いたニッケル水素蓄電池の電池内部抵抗について鋭意検討した結果、水素吸蔵合金混合粉末の微粉化難度と電池内部抵抗の間には、表5に示される関係があることを明らかにした。すなわち、微粉化難度が小さくなる程、電池の初期出力特性が向上する。そして、水素吸蔵合金混合粉末は、従来品と同等以上の出力特性が良好な電池内部抵抗値を示すことが明らかとなった。なお、ここで、従来品とは本願出願人の特許発明(特許第3992075号明細書参照)に基づいて製造した水素吸蔵合金粉末を指す。
Figure 0007295171000005
1.水素吸蔵合金混合粉末の調製
実施例1とは別の組成(各元素の質量比率はMm:31.60%[La:30.04%、Ce:1.56%]、Ni:59.93%、Mn:3.62%、Al:1.90%、Co:2.95%であり、各元素のモル比率はMm:Ni:Mn:Al:Co=1:4.49:0.29:0.31:0.22である。)を有すると共に1100℃で熱処理された第2水素吸蔵合金粉末(微粉化難度:0.60、比表面積変化度:2.86)と、実施例2とは別の組成(各元素の質量比率はMm:33.65%[La:26.34%、Ce:7.31%]、Ni:57.05%、Mn:6.07%、Al:3.24%であり、各元素のモル比率はMm:Ni:Mn:Al=1:4.02:0.46:0.50である。)を有すると共に1000℃で熱処理された第1水素吸蔵合金粉末(微粉化難度:0.17、比表面積変化度:12.00)とを、55:45の質量比で混ぜ合わせて目的の水素吸蔵合金混合粉末を調製した。
なお、本実施例の第1水素吸蔵合金粉末および第2水素吸蔵合金粉末の製造において、混合金属原料の溶解、鋳造、熱処理から粉砕に至るまでの製造条件は、上記熱処理温度を除き、各々実施例1および実施例2に記載した製造条件と同一とした。
2.水素吸蔵合金混合粉末の物性評価
(1)微粉化難度および比表面積変化度
実施例1に記載と同一の方法で水素吸蔵合金粉末の微粉化難度および比表面積変化度を求めたところ、微粉化難度は0.40となり、比表面積変化度は6.97となった。
(2)電池内部抵抗との関係
本実施例に係る水素吸蔵合金混合粉末は、表5に示す水素吸蔵合金混合粉末の微粉化難度と電池内部抵抗の関係から、従来品と同等以上の出力特性が良好な電池内部抵抗値を示すことが明らかとなった。
1.水素吸蔵合金混合粉末の調製
実施例1とは別の組成(各元素の質量比率はMm:30.70%[La:29.17%、Ce:1.54%]、Ni:59.65%、Mn:4.13%、Al:1.49%、Co:4.04%であり、各元素のモル比率はMm:Ni:Mn:Al:Co=1:4.60:0.34:0.25:0.31である。)を有する第2水素吸蔵合金粉末(微粉化難度:0.73、比表面積変化度:1.01)と、実施例2とは別の組成(各元素の質量比率はMm:32.23%[La:30.61%、Ce:1.62%]、Ni:61.12%、Mn:4.20%、Al:2.44%であり、各元素のモル比率はMm:Ni:Mn:Al=1:4.49:0.33:0.39である。)を有する第1水素吸蔵合金粉末(微粉化難度:0.32、比表面積変化度:8.00)とを、63:37の質量比で混ぜ合わせて目的の水素吸蔵合金混合粉末を調製した。
なお、本実施例の第1水素吸蔵合金粉末および第2水素吸蔵合金粉末の製造において、混合金属原料の溶解、鋳造、熱処理から粉砕に至るまでの製造条件は、各々実施例1および実施例2に記載した製造条件と同一とした。
2.水素吸蔵合金混合粉末の物性評価
(1)微粉化難度および比表面積変化度
実施例1に記載と同一の方法で水素吸蔵合金粉末の微粉化難度および比表面積変化度を求めたところ、微粉化難度は0.57となり、比表面積変化度は3.60となった。
(2)電池内部抵抗との関係
本実施例に係る水素吸蔵合金混合粉末は、表5に示す水素吸蔵合金混合粉末の微粉化難度と電池内部抵抗の関係から、従来品と同等以上の出力特性が良好な電池内部抵抗値を示すことが明らかとなった。

Claims (2)

  1. CaCu 型結晶構造の母相を有し、一般式MmNiMnAl 左式中、Mmはミッシュメタルを示し、4.12≦e≦4.450.20≦f≦0.495、0.07≦g≦0.35、4.31≦e+f+g≦5.55(ただし、e+f+g=5.0を除く))で表され、水素吸蔵量(H/M)が0.90以上1.100以下の範囲内であり、且つ、微粉化難度が0.243以上0.35以下の範囲内であり、且つ、比表面積変化度が8.0以上9.141以下の範囲内である
    水素吸蔵合金粉末。
  2. CaCu 型結晶構造の母相を有し、一般式MmNi Mn Al Co (左式中、Mmはミッシュメタルを示し、4.22≦e≦4.45、0.20≦f≦0.289、0.313≦g≦0.35、0.00<d≦0.02、4.31≦e+f+g≦5.55(ただし、e+f+g=5.0を除く))で表され、Coを0.05質量%以下含有しており、水素吸蔵量(H/M)が0.90以上1.100以下の範囲内であり、且つ、微粉化難度が0.261以上0.35以下の範囲内であり、且つ、比表面積変化度が8.0以上8.783以下の範囲内である
    水素吸蔵合金粉末。
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