JP7293997B2 - 合成ゴムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、合成ゴムの製造方法に関し、特にアクリルゴムのシートやベールの製造に好適な合成ゴムの製造方法に関する。
合成ゴム、例えばアクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とする重合体であり、一般に耐熱性、耐油性及び耐オゾン性に優れたゴムとして知られ、自動車関連の分野などで広く用いられている。
このような合成ゴムは、通常、ゴムを構成する単量体成分を乳化重合し、得られた乳化重合液と凝固剤を接触させ、得られる含水クラムを所定含水量以下に乾燥した後に、ベール化された状態で製品として出荷される。
従来のこの種の合成ゴムの製造方法として、例えば特許文献1には、ドライブローラなどの長手方向搬送部を複数列設けたコンベア上でゴム押出成型品を冷却しつつ搬送する一方で、隣り合う上流側の長手方向搬送部の送り速度よりも下流側の長手方向搬送部の送り速度を遅くしてゴム押出成型品の自由収縮を促進させるものが開示されている。
この製造方法では、ゴム押出成型品が上流側の長手方向搬送部から下流側の長手方向搬送部に移載される前に押出成型品を水で濡らすことにより、ゴム押出成型品の自由収縮をより促進させ、冷却後のゴム押出成型品の自由形状を安定させるようにしている。
特開2005-305792号公報
しかしながら、前述のような従来の合成ゴムの製造方法にあっては、単にコンベア上で搬送速度を減速したり、散水によってゴム押出成型品の自由収縮を促進させたりする程度の従来の前者のゴムベールの製造方法では、コンベア搬送中の実質的な自由収縮区間が短くなるため、収縮による形状安定性を十分に確保し難い場合があった。
そこで、本発明は、押出成形後に搬送冷却されるシート状の合成ゴムに十分な自由収縮区間を設定でき、形状安定性を高めることができる合成ゴムの製造方法を実現することを目的とする。
本発明の合成ゴムの製造方法は、上記目的達成のため、重合体ラテックス、凝固剤及び水をそれぞれ設定温度の凝固槽内に供給し撹拌して含水クラムを生成する凝固工程と、前記含水クラムと洗浄用水とを洗浄槽に供給し撹拌して前記含水クラムを洗浄する洗浄工程と、洗浄後の含水クラムを押出乾燥機の材料供給ゾーンに供給し、該押出乾燥機により圧縮脱水した後、加熱及び混練により水分を蒸発させて、所定含水量以下の合成ゴムをシート状に押し出させる押出乾燥工程と、押し出されたシート状合成ゴムをコンベアで搬送するとともに所定冷却温度まで冷却させる搬送冷却工程と、を含む合成ゴムの製造方法であって、前記搬送冷却工程にて、前記シート状合成ゴムをそれぞれ複数のローラまたは棒状のスラッドを有する上下多段のコンベアで折返し搬送するとともに、前記上下多段のコンベアを覆う冷却槽内に上段側から冷却風を送ることを特徴とする。
この構成により、本発明では、搬送冷却工程にて、シート状合成ゴムがそれぞれ複数のローラまたは棒状のスラッドを有する上下多段のコンベアで折返し搬送されることから、コンベア搬送区間で両面側から十分に冷却されることとなり、少なくとも各折返し区間を十分な自由収縮区間とすることができるとともに、上下多段のコンベアを覆う冷却槽内に上段側から冷却風を送ることで、自由収縮を効果的に助長できることとなる。
また、コンベアが上下多段に構成されることで、狭い設置面積においてもシート状合成ゴムの冷却に必要な搬送距離及び搬送時間を十分に確保することができ、低温の冷却風が下方に流れる作用を利用して、上下多段のコンベアの搬送経路の全体でシート状合成ゴムを効率よく冷却可能となる。
本発明の合成ゴムの製造方法においては、前記上下多段のコンベアが、一段毎に前記シート状合成ゴムの表裏を反転させて搬送を行うようにしてもよい。すなわち、前記上下多段のコンベアが、上下に隣り合う2段のコンベアのうち上段側のコンベアから下段側のコンベアに前記シート状の合成ゴムを移載する際に、該シート状の合成ゴムを折り返すとともに各コンベア上のシート状の合成ゴムの表裏を反転させて搬送を行うようにしてもよい。
本発明の合成ゴムの製造方法においては、前記シート状合成ゴムを、押出し時の温度から60℃以下の前記所定冷却温度まで100℃/hr以上の冷却速度で冷却させるようにしてもよい。このようにすると、シート状合成ゴムの先端側でのカットシート状の切断を容易にし、形状安定性に優れ且つ切断時に空気を捲き込まず保存安定性に優れた合成ゴムのカットシートとすることができる。
本発明の合成ゴムの製造方法においては、前記所定冷却温度を、20℃-50℃の間に設定することができる。この場合、シート状合成ゴムの先端側でのカットシート状の切断加工など、搬送冷却工程の後段で行われるシート状合成ゴムの加工を容易且つ安定して実行できるようになる。
本発明の合成ゴムの製造方法においては、前記押出乾燥機から押し出される前記シート状の合成ゴムを前記上下多段のコンベアに搬送する第1のローラコンベアと、前記上下多段のコンベアを通過した前記シート状の合成ゴムを所定方向に搬出する第2のローラコンベアとを配置しておき、前記搬送冷却工程で、前記シート状合成ゴムを前記上下多段のコンベアで折返し搬送するとき、各段のコンベアの複数のローラまたは棒状のスラッドが、前記第1のローラコンベアよりも小径のローラ又はスラッドで、かつ、前記第1のローラコンベアおよび前記第2のローラコンベアのいずれのローラピッチよりも大きい支持間隔で前記シート状合成ゴムを支持する構成とすることができる。これにより、冷却効果を高めることができる。
前記第1のローラコンベアは、前記押出乾燥機から押し出される前記シート状の合成ゴムを、前記上下多段のコンベアのうち最上段のコンベアより上方まで斜上方に搬送した後、前記最上段のコンベア上に搬入するようにしてもよい。このようにすることで、第1のローラコンベアによる水平支持間隔を狭めるとともに粘着を抑える作用が期待できる。
前記上下多段のコンベアのうち最下段のコンベアから搬出される前記シート状の合成ゴムを、該最下段のコンベアより下方側で前記第2のローラコンベア上に搬入するようにしてもよい。このようにすると、さらに下流側でカッティング等を行う際に、搬送速度差を吸収可能な弛み領域を容易に設定可能となる。
前記上下多段のコンベアの各段のコンベアとして、前記複数のローラまたは棒状のスラッドを非回転状態で周回移動させる複数のチェーンコンベアを前記冷却槽内に配置する構成とすることもできる。この場合、シート状の合成ゴムの伸縮による支持間隔の変動を抑えることができるとともに、支持部分となるローラやスラッドの温度や受熱量を安定させることができる。
本発明によれば、押出成形後に搬送冷却されるシート状の合成ゴムに十分な自由収縮区間を設定でき、形状安定性を高めることができる合成ゴムの製造方法を実現することができる。
本発明の一実施形態に係る合成ゴム製造システムの概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る合成ゴム製造システムにおける搬送式冷却装置及び切断装置を示す図である。 本発明の一実施形態に係る合成ゴム製造方法の概略の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、合成ゴムの製造に用いることができる本発明の実施形態に係る合成ゴム製造システムについて説明する。
本実施形態に係る合成ゴム製造システムは、例えばアクリルゴムの製造に用いることができ、以下では、アクリルゴムを例に説明するが、アクリルゴム以外の他の合成ゴムの製造にも同様に用いることができる。
他の合成ゴムとしては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン-イソプレンブロックポリマー(SIS)、スチレン-ブタジエンブロックポリマー(SBS)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴムなどのオレフィン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。
図1に示すように、本実施形態に係る合成ゴム製造システム1は、不図示の乳化重合装置、凝固装置3、洗浄装置4、スクリュー型押出乾燥機5、搬送式冷却装置6、切断装置7、及びベール化装置8を備えている。本実施形態のスクリュー型押出乾燥機5は、本発明の押出乾燥機に対応する。また、後で詳細に説明するが、本発明の実施形態に係る合成ゴムの製造方法は、乳化重合工程、凝固工程、洗浄工程、押出乾燥工程、搬送冷却工程、切断工程、及びベール化工程を含んでいる。以下、これらの工程で用いられる上記各装置について説明する。
[乳化重合装置]
乳化重合装置(不図示)は、本実施形態に係る合成ゴムの製造方法における乳化重合工程に係る処理に用いられる装置である。具体的には、乳化重合装置は、反応器内でアクリルゴムを形成するための単量体成分に水と乳化剤とを混合して撹拌機で適切に撹拌しながらエマルジョン化し、重合触媒存在下において乳化重合することで乳化重合液を得るようになっている。本実施形態に係る乳化重合装置の反応器は、反応器への原料の投入、反応、生成物の回収を全て同時に行う方式である連続式であるが、回分式や半回分式であってもよい。また、本実施形態に係る乳化重合装置の反応器は、槽型反応器であるが、管型反応器であってもよい。
[凝固装置]
凝固装置3は、本実施形態に係る合成ゴムの製造方法における凝固工程に係る処理に用いられる装置である。具体的には、凝固装置3は、乳化重合装置で得られた乳化重合液を、凝固剤としての凝固液と接触させて凝固させることにより含水クラムを生成するようになっている。図1に示すように、本実施形態に係る凝固装置3は、乳化重合装置で得られた乳化重合液及び凝固液を収容する凝固槽30、凝固槽30内を加熱するとともに所望の温度を維持する加熱装置31、及び凝固槽30内に収容された乳化重合液及び凝固液などを撹拌する撹拌装置34を備えている。
凝固槽30は、例えば閉塞した底部及び円筒状の側壁部により構成されており、乳化重合液及び凝固液を貯留できるようになっている。加熱装置31は、凝固槽30内を加熱する加熱部32、及び凝固槽30内の温度を制御する不図示の温度制御部を備えている。撹拌装置34は、凝固槽30内に配置され所定軸の周囲を回転する部材である撹拌翼35、撹拌翼35を回転させるモータ36、及び撹拌翼35の回転数や回転速度を制御する不図示の駆動制御部を有している。
本実施形態の凝固装置3では、乳化重合液と凝固液との接触は、撹拌している凝固液中に乳化重合液を添加する方法が採用されている。すなわち、凝固装置3の凝固槽30に凝固液を充填しておき、この凝固液に乳化重合液を添加及び接触させて乳化重合液を凝固させることによって含水クラムが生成される。
凝固装置3の加熱装置31は、凝固槽30に充填された凝固液を加熱するよう構成されている。具体的には、加熱装置31は、凝固槽30の外周に設けられた加熱部32としてのジャケットにスチームを送り、スチームと凝固槽30又は凝固槽30内の凝固液とで熱交換することで凝固液を加熱するようになっている。
凝固装置3の温度制御部は、温度計で計測された凝固槽30内の温度を監視しながら加熱部32による加熱動作を制御することで、凝固槽30内の温度を制御するように構成されている。凝固槽30内の凝固液の温度は、温度制御部によって、通常40℃以上、好ましくは40~90℃、より好ましくは50~80℃の範囲となるよう制御される。
凝固槽30内の液相の温度を設定温度に制御するために、例えば凝固槽30を加熱するスチームの温度及び流量を制御する一方の制御系と、凝固槽30内に供給される温水などの温度を制御する他方の制御系とを併用するカスケード制御方式の液相温度制御系を構成するようにしてもよい。
凝固装置3の撹拌装置34は、凝固槽30に充填された凝固液を撹拌するように構成されている。具体的には、撹拌装置34は、回転動力を生み出すモータ36と、モータ36の回転軸に対して垂直方向に広がる撹拌翼35を備えている。撹拌翼35は、凝固槽30に充填された凝固液内で、モータ36の回転動力により回転軸を中心として回転することで凝固液を流動させるようになっている。撹拌翼35の形状や大きさ、設置数などは所要の撹拌の強さなどを考慮して適宜決定される。
凝固装置3の駆動制御部は、撹拌装置34のモータ36の回転駆動を制御して、撹拌装置34の撹拌翼35の回転数及び回転速度を所定値に設定するように構成されている。凝固液の撹拌数が、例えば、通常100rpm以上、好ましくは200~1000rpm、より好ましくは300~900rpm、特に好ましくは400~800rpmの範囲となるように、駆動制御部によって撹拌翼35の回転が制御される。凝固液の周速が、通常0.5m/s以上、好ましくは1m/s以上、より好ましくは1.5m/s以上、特に好ましくは2m/s以上、最も好ましくは2.5m/s以上となるように、駆動制御部によって撹拌翼35の回転が制御される。さらに、凝固液の周速の上限値が、通常50m/s以下、好ましくは30m/s以下、より好ましくは25m/s以下、最も好ましくは20m/s以下となるように、駆動制御部によって撹拌翼35の回転が制御される。
凝固装置3は、生成された含水クラムを、温水と共に凝固槽30からオーバーフローさせて凝固槽30外に取り出し、洗浄工程を行う洗浄装置4に供給するようになっている。凝固装置3と洗浄装置4との間には、含水クラムから遊離水を分離することが可能な水切り機39が配置されており、含水クラムが水切り機39を通って洗浄装置4に供給されるようになっている。水切り機39により分離された水は、不図示のタンクに回収される。タンクに貯められた水は、ポンプにより凝固槽30に送られて再利用される。
[洗浄装置]
洗浄装置4は、本実施形態に係る合成ゴムの製造方法における洗浄工程に係る処理に用いられる装置である。具体的には、洗浄装置4は、凝固装置3で生成した含水クラムを洗浄用水で洗浄するようになっている。図1に示すように、本実施形態に係る洗浄装置4は、凝固装置3で生成された含水クラム及び洗浄用水を収容する洗浄槽40、洗浄槽40内を加熱するとともに所望の温度を維持する加熱装置41、及び洗浄槽40内に収容された含水クラム及び洗浄用水を撹拌する撹拌装置44を備えている。
洗浄槽40は、例えば閉塞した底部及び円筒状の側壁部により構成されており、含水クラム及び洗浄用水を貯留できるようになっている。加熱装置41は、洗浄槽40内を加熱する加熱部42、及び洗浄槽40内の温度を制御する不図示の温度制御部を備えている。撹拌装置44は、洗浄槽40内に配置され所定軸の周囲を回転する部材である撹拌翼45、撹拌翼45を回転させるモータ46、及び撹拌翼45の回転数や回転速度を制御する不図示の駆動制御部を有している。洗浄装置4では、凝固装置3で生成された含水クラムを多量の水と混合して洗浄することにより、最終的に得られるアクリルゴムシート又はアクリルゴムベール中の灰分量を効果的に低減することができる。
洗浄装置4の加熱装置41は、洗浄槽40内を加熱するよう構成されている。また、洗浄装置4の温度制御部は、温度計で計測された洗浄槽40内の温度を監視しながら加熱部42による加熱動作を制御することで、洗浄槽40内の温度を制御するように構成されている。上述したように、洗浄槽40内の洗浄用水の温度は、通常40℃以上、好ましくは40~100℃、より好ましくは50~90℃、最も好ましくは60~80℃の範囲となるよう制御される。
洗浄装置4は、洗浄後の含水クラムを、洗浄用水と共に洗浄槽40からオーバーフローさせて洗浄槽40外に取り出し、脱水工程及び乾燥工程を行うスクリュー型押出乾燥機5に供給するようになっている。洗浄装置4とスクリュー型押出乾燥機5との間には、洗浄後の含水クラムから遊離水を分離することが可能な水切り機49が配置されており、含水クラムが水切り機49を通ってスクリュー型押出乾燥機5に供給されるようになっている。本実施形態の水切り機49には、スクリーンが用いられているが、例えば金網、電動篩機などを用いることもできる。水切り機49により分離された遊離水は、不図示のタンクに回収される。タンクに貯められた水は、ポンプにより凝固槽30に送られて再利用される。
また、洗浄後の含水クラムがスクリュー型押出乾燥機5に供給される際、含水クラムの温度は40℃以上、更には60℃以上であることが好ましい。例えば、洗浄装置4における水洗に用いられる水の温度を40℃以上、好ましくは60℃以上(例えば70℃)とすることで、スクリュー型押出乾燥機5に供給された際の含水クラムの温度を40℃以上、好ましくは60℃以上に維持することができるようにしてもよく、洗浄装置4からスクリュー型押出乾燥機5に搬送する際に含水クラムの温度が40℃以上、好ましくは60℃以上となるよう加温してもよい。これにより、後工程である脱水工程における脱水及び乾燥工程における乾燥を効果的に行うことが可能となり、最終的に得られる乾燥ゴムの含水量を大幅に低減させることが可能となる。
[スクリュー型押出乾燥機]
スクリュー型押出乾燥機5は、本実施形態に係る合成ゴムの製造方法における押出乾燥工程(脱水工程及び乾燥工程)に係る処理に用いられる装置である。具体的には、スクリュー型押出乾燥機5は、洗浄装置4で洗浄した含水クラムを、脱水スリットを用いて脱水し、脱水した含水クラムを乾燥して所定含水量以下の乾燥ゴムを得るようになっている。また、スクリュー型押出乾燥機5は、脱水工程及び乾燥工程により得られる乾燥ゴムを所定の形状に成形して排出するように構成されている。
具体的には、スクリュー型押出乾燥機5は、洗浄装置4で洗浄された含水クラムを脱水する脱水機としての機能を有する脱水バレル部と、含水クラムを乾燥する乾燥機としての機能を有する乾燥バレル部とを備えており、さらにスクリュー型押出乾燥機5の下流側に含水クラムを成形する成形機能を有するダイ部11を備えて構成されている。
なお、本実施形態ではスクリュー型押出乾燥機5が用いられているが、脱水工程に係る処理を行う脱水機として遠心分離機やスクイザーなどを用いてもよく、乾燥工程に係る処理を行う乾燥機として熱風乾燥機、減圧乾燥機、エキスパンダー乾燥機、ニーダー型乾燥機などを用いてもよい。以下では、スクリュー型押出乾燥機を押出乾燥機と称することもある。
ここで、本実施形態に係るスクリュー型押出乾燥機5の操業条件の一例を挙げる。
バレルユニット内の一対のスクリューの回転数(N)は、諸条件に応じて適宜選択されればよく、通常で10~1000rpmとされ、アクリルゴムの含水量とゲル量を効率よく低減できる点から、好ましくは50~750rpm、より好ましくは100~500rpmであり、120~300rpmが最も好ましい。
アクリルゴムの押出量(Q)は、格別限定されないが、通常で100~1500kg/hrとされ、好ましくは300~1200kg/hr、より好ましくは400~1000kg/hrであり、500~800kg/hrが最も好ましい。
アクリルゴムの押出量(Q)とスクリューの回転数(N)との比(Q/N)は、格別限定されないが、通常で1~20とされ、好ましくは2~10、より好ましくは3~8であり、4~6が特に好ましい。
[搬送式冷却装置]
搬送式冷却装置6は、本実施形態に係る合成ゴムの製造方法における搬送冷却工程に係る処理に用いられる装置である。具体的には、搬送式冷却装置6は、スクリュー型押出乾燥機5により得られる乾燥ゴムを冷却するために用いられる装置である。図2に示すように、本実施形態に係る搬送式冷却装置6は、スクリュー型押出乾燥機5のダイ部11から押し出されたシート状の合成ゴム15をコンベア61にて搬送しながら、冷却手段65から冷却風を吹き付けることにより、所定冷却温度まで冷却するようになっている。搬送式冷却装置6は、シート状の合成ゴム15を搬送する上下多段のコンベア61と冷却風を送出する冷却手段65とが冷却槽66内に配置された構成を有している。
より具体的には、コンベア61は、スクリュー型押出乾燥機5のダイ部11から排出されたシート状の合成ゴム15を図2中矢印A方向に搬送する。コンベア61は、ローラ62、63と、これらローラ62、63に巻架され、シート状の合成ゴム15がその上に載せられるコンベアベルト64とを有する。コンベア61は、コンベアベルト64上にスクリュー型押出乾燥機5のダイ部11から排出されたシート状の合成ゴム15を連続して下流側に搬送するよう構成されている。
冷却手段65は、最上段のコンベア61上のシート状の合成ゴム15の表面に、不図示の冷却風発生手段から送られてくる冷却風を吹き付けるようになっている。
搬送式冷却装置6のコンベア61及び冷却手段65の長さ(冷却風の吹き付けが可能な部分の長さ)は、特に限定されないが、例えば2~100mであり、好ましくは5~50mである。また、搬送式冷却装置6におけるシート状の合成ゴム15の搬送速度は、コンベア61及び冷却手段65の長さ、スクリュー型押出乾燥機5のダイ部11から排出されるシート状の合成ゴム15の排出速度、目標とする冷却速度や冷却時間などに応じて適宜調整すればよいが、例えば10~100m/hrであり、より好ましくは15~70m/hrである。
なお、搬送式冷却装置6としては、図2に示すような2つのコンベア61、61及び1つの冷却手段65を備える構成に特に限定されず、1つあるいは3つ以上のコンベア61と、これに対応する1つあるいは3つ以上の冷却手段65とを備えるような構成としてもよい。その場合には、1つあるいは3つ以上のコンベア61及び冷却手段65のそれぞれの総合長さを上記範囲とすればよい。
図2に示す搬送式冷却装置6は、図1に示したスクリュー型押出乾燥機5のダイ部11に直結するか、又はダイ部11の近傍に設置して使用される。
本実施形態に係る搬送式冷却装置6は、空冷方式であるが、これに限定されず、水を吹き付ける水かけ方式、水中に浸漬する浸漬方式などを含む様々な方式を採用することが可能である。また、室温下に放置することで、乾燥ゴムを冷却するようにしてもよい。
搬送式冷却装置6では、シート状の合成ゴム15をそれぞれ複数のローラまたは棒状のスラッドを有する上下多段のコンベア61で折返し搬送するとともに、上下多段のコンベア61を覆う冷却槽66内に上段側から冷却風を送るようになっている。これにより、シート状の合成ゴム15がそれぞれ複数のローラまたは棒状のスラッドを有する上下多段のコンベア61で折返し搬送されることから、コンベア搬送区間で両面側から十分に冷却されることとなり、少なくとも各折返し区間を十分な自由収縮区間とすることができるとともに、上下多段のコンベア61を覆う冷却槽66内に上段側から冷却風を送ることで、各折返し区間を十分な自由収縮区間での自由収縮を効果的に助長できることとなる。また、コンベア61が上下多段に構成されることで、狭い設置面積においてもシート状の合成ゴム15の冷却に必要な搬送距離及び搬送時間を十分に確保することができ、低温の冷却風が下方に流れる作用を利用して、上下多段のコンベア61の搬送経路の全体でシート状の合成ゴム15を効率よく冷却可能となる。
搬送式冷却装置6では、上下多段のコンベア61が、一段毎にシート状の合成ゴム15の表裏を反転させて搬送を行うようになっている。すなわち、上下多段のコンベア61が、上下に隣り合う2段のコンベアのうち上段側のコンベアから下段側のコンベアにシート状の合成ゴム15を移載する際に、該シート状の合成ゴム15を折り返すとともに各コンベア上のシート状の合成ゴム15の表裏を反転させて搬送を行うようになっている。このように、上下多段のコンベア61の各段でシート状の合成ゴム15の表裏が反転することで、上段側から送られる冷却風がシート状の合成ゴム15の表裏両面に当たり、シート状の合成ゴム15の表裏両面を均一且つ確実に冷却できるようになる。
搬送式冷却装置6では、シート状の合成ゴム15を、押出し時の温度から60℃以下の所定冷却温度まで40℃/hr以上、好ましくは100℃/hr以上の冷却速度で冷却させるようになっている。このようにすると、シート状合成ゴムの先端側でのカットシート状の切断を容易にし、形状安定性に優れ且つ切断時に空気を捲き込まず保存安定性に優れた合成ゴムのカットシートとすることができる。
搬送式冷却装置6では、上記所定冷却温度を、20℃-50℃の間に設定するようになっている。この場合、シート状の合成ゴム15の先端側でのカットシート状の切断加工など、搬送冷却工程の後段で行われるシート状合成ゴムの加工を容易且つ安定して実行できるようになる。
また、搬送式冷却装置6では、スクリュー型押出乾燥機5から押し出されるシート状の合成ゴム15を上下多段のコンベア61に搬送する第1のローラコンベアと、上下多段のコンベア61を通過したシート状の合成ゴム15を所定方向に搬出する第2のローラコンベアとを配置してもよい。この場合、搬送式冷却装置6は、シート状の合成ゴム15を上下多段のコンベア61で折返し搬送するとき、各段のコンベアの複数のローラまたは棒状のスラッドが、第1のローラコンベアよりも小径のローラ又はスラッドで、かつ、第1のローラコンベアおよび第2のローラコンベアのいずれのローラピッチよりも大きい支持間隔でシート状合成ゴム15を支持する構成とすることができる。これにより、冷却効果を高めることができる。
第1のローラコンベアは、押出乾燥機5から押し出されるシート状の合成ゴム15を、上下多段のコンベア61のうち最上段のコンベアより上方まで斜上方に搬送した後、最上段のコンベア上に搬入するようにしてもよい。このようにすることで、第1のローラコンベアによる水平支持間隔を狭めるとともに粘着を抑える作用が期待できる。
上下多段のコンベア61のうち最下段のコンベアから搬出されるシート状の合成ゴム15を、該最下段のコンベアより下方側で第2のローラコンベア上に搬入するようにしてもよい。このようにすると、さらに下流側でカッティング等を行う際に、搬送速度差を吸収可能な弛み領域を容易に設定可能となる。
上下多段のコンベア61の各段のコンベアとして、複数のローラまたは棒状のスラッドを非回転状態で周回移動させる複数のチェーンコンベアを冷却槽66内に配置する構成とすることもできる。この場合、シート状の合成ゴム15の伸縮による支持間隔の変動を抑えることができるとともに、支持部分となるローラやスラッドの温度や受熱量を安定させることができる。
[切断装置]
切断装置7は、本実施形態に係る合成ゴムの製造方法における切断工程に係る処理を行うよう構成されている。具体的には、切断装置7は、冷却後のシート状の合成ゴム15を切断するために用いられる装置である。図2に示すように、本実施形態に係る切断装置7は、搬送式冷却装置6により所定冷却温度に冷却されたシート状の合成ゴム15の先端側部分を、ローラコンベア74の隣り合う一対のローラ75、75間の所定搬送位置で切断し、所定長さのカットシート状の合成ゴム16が得られるように構成されている。
この構成により、所定冷却温度に冷却されたシート状の合成ゴム15(乾燥ゴム)の先端側部分を、ローラコンベア74の隣り合うローラ75、75間でカットシート状に切断するので、冷却されたシート状の合成ゴム15をローラコンベア74上に安定支持したまま一定のサイズに切断することができ、加工安定性に優れたものとなる。
図2に示すように、切断装置7の上流側には、レジストローラ76とクランパ77が設けられ、切断装置7の下流側には、重量計測器78が配置されている。レジストローラ76は、切断位置の見当合せ用の押えローラ及び駆動ローラとして機能する。
レジストローラ76は、ローラコンベア74上のシート状の合成ゴム15に密着しつつ回転し、その回転量に基づいて、シート状の合成ゴム15を切断する所定搬送位置から合成ゴムの先端までのフィード量を計測するようになっている。また、重量計測器78は、切断されたカットシート状の合成ゴム16の重量を計測するようになっている。そして、計測した重量値の規定重量値からの偏差に応じてカットシート状の合成ゴム16の所定長さLを調節するようになっている。この構成により、カットシート状の合成ゴム16の重量のばらつきを逐次チェックし、製造品のばらつきを抑えることができる。
本実施形態では、切断装置7の上流側に設けられたクランパ77が、シート状の合成ゴム15を切断する際に、シート状の合成ゴム15をローラコンベア74上に保持するようになっている。この構成により、冷却されたシート状の合成ゴム15を、ローラコンベア74上に安定支持するとともに、クランパ77で保持した状態で切断作業をすることができるので、さらに加工安定性がよい。
[ベール化装置]
ベール化装置8は、本実施形態に係る合成ゴムの製造方法におけるベール化工程の処理に用いられる装置である。具体的には、ベール化装置8は、スクリュー型押出乾燥機5から押出成形された乾燥ゴムを加工して、一塊のブロックであるベールを製造するようになっている。
図1に示すように、本実施形態に係るベール化装置8は、例えば切断装置7により切断したカットシート状の合成ゴム16を積層することで、一塊のブロックである合成ゴムベール83を製造することが可能なように構成されている。ベール化装置8は、切断装置7により切断したカットシート状の合成ゴム16を、ローラコンベア74の下流側で、所定の厚さ又は所定の重量になるまで順次積層して一塊のブロックである合成ゴムベール83を製造する。これにより、切断などの加工性及び取扱いの容易な合成ゴムベール83を、効率よく製造できる。
ベール化装置8によって製造される合成ゴムベール83の重さや形状などは特に限定されないが、例えば約20kgの略直方体形状の合成ゴムベール83が製造される。
本実施形態では、スクリュー型押出乾燥機5によりシート状に押し出して含水量を十分に低下させた後に積層してゴムベールとするので、粘着性のあるゴム状重合体をクラムのままベール化する場合に比べると、取扱いの容易性が格段に向上するのみならず、不純物の混入なども有効に抑制でき、ゴム製品の材料としての品質を高めることができる。
カットシート状アクリルゴムを積層したアクリルゴムベールを製造する場合、例えば40℃以上のカットシート状アクリルゴムを積層することが好ましい。40℃以上のカットシート状アクリルゴムを積層することで、更なる冷却及び自重による圧縮によって良好な空気抜けが実現される。
<合成ゴムの製造方法>
次に、上述した合成ゴム製造システム1を用いてアクリルゴムなどの合成ゴムを製造する方法について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る合成ゴム製造方法のフローチャートである。図3に示すように、本実施形態に係る合成ゴム製造方法は、乳化重合工程S1、凝固工程S2、洗浄工程S3、押出乾燥工程S4、搬送冷却工程S5、切断工程S6、及びベール化工程S7を含んでいる。以下、各工程について説明する。
[乳化重合工程]
乳化重合工程S1では、乳化重合装置において、合成ゴムを形成するための単量体成分に水と乳化剤とを混合して撹拌機で適切に撹拌しながらエマルジョン化し、重合触媒存在下において乳化重合することで乳化重合液(重合体ラテックス)を得る。
[凝固工程]
凝固工程S2では、重合体ラテックス、凝固剤、及び水をそれぞれ設定温度の凝固槽30内に供給し、撹拌装置34で撹拌して含水クラムを生成する。凝固槽30内の設定温度(凝固剤水溶液の温度)は、温度制御部33によって、通常40℃以上、好ましくは40~90℃、より好ましくは50~80℃の範囲となるように制御する。
具体的には、凝固工程S2にて、重合体ラテックス、凝固剤、及び水をそれぞれの供給温度及び設定供給量で凝固槽30内に連続的に供給しつつ撹拌下で流動させ、設定供給量及び撹拌の強さと供給温度及び設定温度とに応じて凝固槽30中に含水クラムを生成する。本実施形態では、凝固槽30内で撹拌されている凝固剤水溶液に乳化重合液(重合体ラテックス)を添加するようにする。生成した含水クラムは、温水と共に凝固槽30からオーバーフローさせて凝固槽30外に取り出す。
撹拌の強さは、撹拌装置34の撹拌翼35の回転数、回転速度などにより決められる。撹拌の強さが強い、すなわち激しく撹拌する方が生成する含水クラム粒径を小さく且つ均一にでき好適である。撹拌の強さが過度に強いと、大きいクラム粒径のものと小さいクラム粒径のものができてしまい、過度に弱いと凝固反応の制御が困難になりいずれも好ましくない。生成された含水クラムの形状及びクラム粒径が、均一で且つ所望範囲内に集約化されていれば、洗浄及び脱水時の乳化剤や凝固剤の除去が格段に向上し好適である。
本実施形態では、凝固工程S2にて、重合体ラテックス、凝固剤及び水をそれぞれの供給温度及び設定供給量で凝固槽30内に連続的に供給しつつ撹拌し、設定供給量及び撹拌の強さと供給温度及び設定温度とに応じて凝固槽30中に含水クラムを連続的に生成することができ、生成された含水クラムを温水と共に凝固槽30からオーバーフローさせて槽外に効率よく取り出すことができる。
また、凝固槽30からオーバーフローさせた供給水を含水クラムから分離させて不図示のタンクに貯留し、凝固槽30に再度供給するよう還流させている。これにより、重合体ラテックスを凝固させて含水クラム化する際に使用した水を再利用でき、合成ゴム製造中の廃水量を抑えることができる。この場合、オーバーフローさせた温水を凝固槽30側に還流させる構成とすることができるが、オーバーフローさせた含水クラム及び温水を通過させる滞留タンクを設け、その滞留タンクから流出し含水クラムから分離された温水を滞留タンクに還流させる構成とすることもできる。
[洗浄工程]
洗浄工程S3では、含水クラムと洗浄用水とを設定洗浄温度の洗浄槽40に供給し、撹拌装置44により撹拌して含水クラムを洗浄する。洗浄槽40内の洗浄用水の温度は、温度制御部によって、通常40℃以上、好ましくは40~100℃、より好ましくは50~90℃、最も好ましくは60~80℃の範囲となるように制御する。
さらに洗浄工程S3では、洗浄された含水クラムを洗浄用水と共に洗浄槽40からオーバーフローさせて洗浄槽40外に取り出し、水切り機49により水切りしつつ設定洗浄温度に対し所定温度範囲内の含水クラムをスクリュー型押出乾燥機5の材料供給ゾーン150に供給する(クラム供給工程)。スクリュー型押出乾燥機5に供給される含水クラムの温度は、60℃以上であることが好ましい。含水クラムの温度は、加熱装置41を用いて含水クラムを直接加温することにより調節するが、洗浄用水の温度を調節するようにしてもよいし、あるいは加熱装置41を用いて含水クラムを直接加温することにより調節し、且つ洗浄用水の温度を調節するようにしてもよい。設定洗浄温度を、洗浄及び押出乾燥工程に好適な温度、例えば40℃以上に設定することで、含水クラムの洗浄効果を高めるとともに、脱水及び押出乾燥の効率を高めることができる。
[押出乾燥工程]
押出乾燥工程S4では、洗浄後の含水クラムをスクリュー型押出乾燥機5の材料供給ゾーン150に取り込み、スクリュー型押出乾燥機5により圧縮脱水した後、加熱及び混練により水分を蒸発させて、所定含水量以下の合成ゴムをシート状に押し出させる。
具体的には、押出乾燥工程S4にて、材料供給ゾーン150に供給された含水クラムを、スクリュー型押出乾燥機5により圧縮脱水した後、加熱及び混練により水分を蒸発させて、所定含水量以下の合成ゴムを連続的に例えば厚さ50mm以下のシート状に押し出させる。
また、押出乾燥工程S4での圧縮脱水により含水クラムから分離された水を、図示せぬタンクに供給する。これより、含水クラムを脱水するために生じる凝固剤濃度の低い水を再利用でき、廃水量を十分に抑えることができる。
なお、脱水工程及び乾燥工程はそれぞれ異なる工程として行ってもよい。例えば、遠心分離機やスクイザーなどの脱水機を用いて脱水工程を行い、熱風乾燥機、減圧乾燥機、エキスパンダー乾燥機、ニーダー型乾燥機などの乾燥機を用いて乾燥工程を行ってもよい。
[搬送冷却工程]
搬送冷却工程S5では、スクリュー型押出乾燥機5から押し出されたシート状の合成ゴム15を、搬送式冷却装置6のコンベア61で搬送するとともに所定冷却温度まで冷却する。
具体的には、搬送冷却工程S5にて、スクリュー型押出乾燥機5から押し出されたシート状の合成ゴム15を搬送式冷却装置6のコンベア61で搬送するとともに、押出し時の温度から60℃以下の好ましくは20℃~50℃の間に設定された所定冷却温度まで40℃/hr以上、好ましくは100℃/hr以上の冷却速度で冷却させる。これにより、シート状の合成ゴム15の先端側でのカットシート状の切断を容易にし、形状安定性に優れ且つ切断時に空気を捲き込まず保存安定性に優れた合成ゴムのカットシートとすることができる。
搬送冷却工程S5では、シート状の合成ゴム15を上下多段のコンベア61で折返し搬送するとともに、上下多段のコンベア61を覆う冷却槽66内に上段側から冷却風を送る。これにより、シート状の合成ゴム15が上下多段のコンベア61で折返し搬送されることから、各折返し区間を十分な自由収縮区間とすることができるとともに、上下多段のコンベア61を覆う冷却槽66内に上段側から冷却風を送ることで、各折返し区間を十分な自由収縮区間での自由収縮を効果的に助長できることとなる。また、コンベア61が上下多段に構成されることで、狭い設置面積においてもシート状の合成ゴム15の冷却に必要な搬送距離及び搬送時間を十分に確保することができ、低温の冷却風が下方に流れる作用を利用して、上下多段のコンベア61の搬送経路の全体でシート状の合成ゴム15を効率よく冷却可能となる。
搬送冷却工程S5では、上下多段のコンベア61が、一段毎にシート状の合成ゴム15の表裏を反転させて搬送を行う。このように、上下多段のコンベア61の各段でシート状の合成ゴム15の表裏が反転することで、上段側から送られる冷却風がシート状の合成ゴム15の表裏両面に当たり、シート状の合成ゴム15の表裏両面を均一且つ確実に冷却できるようになる。
搬送冷却工程S5では、上記所定冷却温度を、20℃-50℃の間に設定する。この場合、シート状の合成ゴム15の先端側でのカットシート状の切断加工など、搬送冷却工程の後段で行われるシート状合成ゴムの加工を容易且つ安定して実行できるようになる。
また、搬送冷却工程S5は、所定幅で連続するシート状の合成ゴム15をローラコンベア14などでコンベア搬送する搬送工程を含んでもよい。
また、スクリュー型押出乾燥機5から押し出されるシート状の合成ゴム15を上下多段のコンベア61に搬送する第1のローラコンベアと、上下多段のコンベア61を通過したシート状の合成ゴム15を所定方向に搬出する第2のローラコンベアとを配置しておき、搬送冷却工程S5で、シート状の合成ゴム15を上下多段のコンベア61で折返し搬送するとき、各段のコンベアの複数のローラまたは棒状のスラッドが、第1のローラコンベアよりも小径のローラ又はスラッドで、かつ、第1のローラコンベアおよび第2のローラコンベアのいずれのローラピッチよりも大きい支持間隔でシート状合成ゴム15を支持する構成とすることができる。これにより、冷却効果を高めることができる。
搬送冷却工程S5では、第1のローラコンベアは、押出乾燥機5から押し出されるシート状の合成ゴム15を、上下多段のコンベア61のうち最上段のコンベアより上方まで斜上方に搬送した後、最上段のコンベア上に搬入するようにしてもよい。このようにすることで、第1のローラコンベアによる水平支持間隔を狭めるとともに粘着を抑える作用が期待できる。
搬送冷却工程S5では、上下多段のコンベア61のうち最下段のコンベアから搬出されるシート状の合成ゴム15を、該最下段のコンベアより下方側で第2のローラコンベア上に搬入するようにしてもよい。このようにすると、さらに下流側でカッティング等を行う際に、搬送速度差を吸収可能な弛み領域を容易に設定可能となる。
搬送冷却工程S5では、上下多段のコンベア61の各段のコンベアとして、複数のローラまたは棒状のスラッドを非回転状態で周回移動させる複数のチェーンコンベアを冷却槽66内に配置する構成とすることもできる。この場合、シート状の合成ゴム15の伸縮による支持間隔の変動を抑えることができるとともに、支持部分となるローラやスラッドの温度や受熱量を安定させることができる。
[切断工程]
切断工程S6では、搬送式冷却装置6により冷却されたシート状の合成ゴム15を切断装置7で切断してカットシート状の合成ゴム16を得る。具体的には、搬送式冷却装置6により60℃以下の所定冷却温度に冷却されたシート状の合成ゴム15の先端側部分を、ローラコンベア74の隣り合う一対のローラ75、75間の所定搬送位置で切断装置7により所定長さのカットシート状に切断する。
これにより、押出乾燥工程S4での押出し温度を比較的高く設定して押出し量を確保しながらも、シート状の合成ゴム15の先端側でカットシート状の切断加工を安定して実行することができる。また、所定冷却温度に冷却されたシート状の合成ゴム15の先端側部分を、ローラコンベア74の隣り合うローラ75、75間でカットシート状に切断するので、冷却されたシート状の合成ゴム15をローラコンベア74上に安定支持したまま一定のサイズに切断することができ、加工安定性に優れたものとなる。
また、シート上での冷却が形状安定する程度に十分になされ、切断されたカットシート状の合成ゴム16同士を積層するだけで、複数のカットシートが実質的に一体化された合成ゴムベール83を容易に作製できるので、形状安定性に優れたゴム製品を提供可能な製造方法となる。
本実施形態では、冷却されたシート状の合成ゴム15を、ローラコンベア74上に安定支持するとともに、クランパ77で保持した状態で切断作業をするようになっているので、さらに加工安定性がよい。
また、切断工程S6では、ローラコンベア74上のシート状の合成ゴム15に密着しつつ回転するレジストローラ76の回転量に基づいて、シート状の合成ゴム15を切断する所定搬送位置から合成ゴムの先端までのフィード量を計測する。併せて、切断装置7の下流側に設けられた重量計測器78により、切断されたカットシート状の合成ゴム16の重量を計測する。そして、計測した重量値の規定重量値からの偏差に応じて、カットシート状の合成ゴム16の所定長さL(搬送方向の長さ)を調節する。このようにすることで、カットシート状の合成ゴム16の重量のばらつきを逐次チェックし、製造品のばらつきを抑えることができる。これにより、合成ゴムベール83を、重量ばらつきを抑えつつ効率よく製造できる。
[ベール化工程]
ベール化工程S7では、所定含水量以下の乾燥ゴムをベール化する。具体的には、切断装置7により切断したカットシート状の合成ゴム16を、ローラコンベア74の下流側で、ベール化装置8において所定の厚さ又は所定の重量になるまで順次積層してベール化する。これにより、切断などの加工性及び取扱いの容易な合成ゴムベール83を、効率よく製造できる。なお、ベール化は、乾燥工程を経て得られた乾燥ゴムをベーラーに入れ圧縮することで行うこともできる。
本実施形態では、スクリュー型押出乾燥機5によりシート状に押し出して含水量を十分に低下させた後に積層して合成ゴムベール83とするので、粘着性のあるゴム状重合体をクラムのままベール化する場合に比べると、取扱いの容易性が格段に向上するのみならず、不純物の混入なども有効に抑制でき、ゴム製品の材料としての品質を高めることができる。
本実施形態に係る合成ゴムの製造方法によると、高温での耐油性や耐水性、保存安定性などが要求される各種ゴム製品に好適なアクリルゴムなどの合成ゴムを効率よく製造できる。特に、反応性基含有単量体を含む単量体成分を2価リン酸系乳化剤存在下に乳化重合した乳化重合液をマグネシウム塩で凝固すると、保存安定性や耐水性に優れたアクリルゴムを製造することができる。
以上述べたように、本発明は、押出成形後に搬送冷却されるシート状の合成ゴムに十分な自由収縮区間を設定でき、形状安定性を高めることができるという効果を有し、合成ゴムの製造方法の全般に有用である。
1 合成ゴム製造システム
3 凝固装置
4 洗浄装置
5 スクリュー型押出乾燥機(押出乾燥機)
6 搬送式冷却装置
7 切断装置
8 ベール化装置
11 ダイ部
15 シート状の合成ゴム
16 カットシート状の合成ゴム
30 凝固槽
40 洗浄槽
50 駆動ユニット
51 バレルユニット
61 コンベア
62、63 ローラ
65 冷却手段
66 冷却槽
70 切断刃
74 ローラコンベア
76 レジストローラ
83 合成ゴムベール
150 材料供給ゾーン

Claims (7)

  1. 重合体ラテックス、凝固剤及び水をそれぞれ設定温度の凝固槽内に供給し撹拌して含水クラムを生成する凝固工程と、前記含水クラムと洗浄用水とを洗浄槽に供給し撹拌して前記含水クラムを洗浄する洗浄工程と、洗浄後の含水クラムを押出乾燥機の材料供給ゾーンに供給し、該押出乾燥機により圧縮脱水した後、加熱及び混練により水分を蒸発させて、所定含水率以下の合成ゴムをシート状に押し出させる押出乾燥工程と、押し出されたシート状合成ゴムをコンベアで搬送するとともに所定冷却温度まで冷却させる搬送冷却工程と、を含む合成ゴムの製造方法であって、
    前記搬送冷却工程にて、前記シート状合成ゴムをそれぞれ複数のローラまたは棒状のスラッドを有する上下多段のコンベアで折返し搬送するとともに、前記上下多段のコンベアを覆う冷却槽内に上段側から冷却風を送り
    前記押出乾燥機から押し出される前記シート状の合成ゴムを前記上下多段のコンベアに搬送する第1のローラコンベアと、前記上下多段のコンベアを通過した前記シート状の合成ゴムを所定方向に搬出する第2のローラコンベアとを配置しておき、
    前記搬送冷却工程で、前記シート状合成ゴムを前記上下多段のコンベアで折返し搬送するとき、各段のコンベアの複数のローラまたは棒状のスラッドが、前記第1のローラコンベアよりも小径のローラ又はスラッドで、かつ、前記第1のローラコンベアおよび前記第2のローラコンベアのいずれのローラピッチよりも大きい支持間隔で前記シート状合成ゴムを支持することを特徴とする合成ゴムの製造方法。
  2. 前記上下多段のコンベアが、上下に隣り合う2段のコンベアのうち上段側のコンベアから下段側のコンベアに前記シート状の合成ゴムを移載する際に、該シート状の合成ゴムを折り返すとともに各コンベア上のシート状の合成ゴムの表裏を反転させて搬送を行うことを特徴とする請求項1に記載の合成ゴムの製造方法。
  3. 前記シート状合成ゴムを、押出し時の温度から60℃以下の前記所定冷却温度まで100℃/hr以上の冷却速度で冷却させることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成ゴムの製造方法。
  4. 前記所定冷却温度を、20℃-50℃の間に設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の合成ゴムの製造方法。
  5. 前記第1のローラコンベアは、前記押出乾燥機から押し出される前記シート状の合成ゴムを、前記上下多段のコンベアのうち最上段のコンベアより上方まで斜上方に搬送した後、前記最上段のコンベア上に搬入することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の合成ゴムの製造方法。
  6. 前記上下多段のコンベアのうち最下段のコンベアから搬出される前記シート状の合成ゴムを、該最下段のコンベアより下方側で前記第2のローラコンベア上に搬入することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の合成ゴムの製造方法。
  7. 前記上下多段のコンベアの各段のコンベアとして、前記複数のローラまたは棒状のスラッドを非回転状態で周回移動させる複数のチェーンコンベアを前記冷却槽内に配置することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか項に記載の合成ゴムの製造方法。
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