JP7292789B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、所定のエンジン停止条件が成立するとエンジンを停止し、所定のエンジン再始動条件が成立するとエンジンを再始動するアイドリングストップ制御機能を備える車両制御装置に関する。
従来、エンジンを駆動源とする車両において、燃費向上のためにアイドリングストップ制御機能を搭載することが広く採用されている。そして、アイドリングストップ制御機能を搭載したアイドリングストップ車は、IG(イグニッション)スイッチオンの操作によりエンジンを始動するスタータと、エンジンの回転により発電してバッテリを充電するオルタネータと、エンジン始動後、IGスイッチオフの操作によりエンジンが停止するまでの間に、所定のエンジン停止条件の成立によりエンジンを自動停止し、所定のエンジン再始動条件の成立によりスタータによりエンジンを自動的に再始動するアイドリングストップ制御手段とを備え、IGスイッチがオフ操作されまでの走行中に、アイドリングストップ制御によるエンジンの自動停止と再始動を繰り返し、燃費の向上を図っている。
この種のアイドリングストップ車では、通常の自動車と同様、走行中にオルタネータの発電電流がバッテリに供給されてバッテリの充電が行われるが、アイドリングストップ制御におけるエンジン再始動時のバッテリの端子電圧の回復を早めるために、図8に示すように、エンジンの再始動時に、バッテリの端子電圧が目標電圧と一致するようにオルタネータによる発電電流を初期値から徐々に増加させる徐励制御に加えて、目標電圧を最終値まで徐々に大きくする徐変制御を行うことが提案されている(特許文献1参照)。このとき、例えば15秒かけて100%になるように除励制御され、0.01秒で0.01Vずつ大きくなるよう徐変制御される。
このような構成よれば、徐励制御により、発電機の発電電流の急増によるエンジンの回転抵抗の急増を抑制することができ、徐励制御に加えて、目標電圧が初期値から最終値まで徐々に大きくなるように徐変制御を行うことにより、バッテリからの放電量がバッテリへの充電量よりも多くなることを抑制できる。
特開2017-226275号公報(段落0036-0041等)
しかしながら、特許文献1の構成における制御は、エンジンの燃焼状態を考慮した制御ではないため、エンジンの燃焼状態によってはエンジンの回転安定性(耐ストール性)の悪化を招く恐れがある。また、バッテリの充電状況に応じた制御ではないため、バッテリの充電状況によってはバッテリ上がりが生じるおそれもある。
この発明は、アイドリングストップ制御におけるエンジン再始動時に、エンジンの燃焼状態やバッテリの充電状況に応じたバッテリの充電制御を行い、耐ストール性の向上、バッテリ上がりの抑制を図ることを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の運転制御装置は、エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの回転により発電してバッテリを充電するオルタネータと、所定のエンジン停止条件が成立すると前記エンジンを停止し、所定のエンジン再始動条件が成立したときに、前記スタータにより前記エンジンを再始動するアイドリングストップ制御を行うアイドリングストップ制御手段と、前記エンジンの再始動時に、前記バッテリの端子電圧が目標電圧と一致するように前記オルタネータによる発電電流を徐々に増加させる徐励制御に加えて、前記目標電圧を初期値から最終値まで徐々に大きくする徐変制御を行う発電制御手段とを備える車両制御装置において、前記エンジンの再始動後に燃焼圧力センサにより検出される前記エンジンの筒内圧力が、通常よりも短い時間幅で通常の筒内圧力よりも高くなる早い燃焼状態か、通常よりも長い時間幅で通常の筒内圧力よりも低くなる遅い燃焼状態か、通常の時間幅で通常の筒内圧力となる通常の燃焼状態かを検出する燃焼状態検出手段と、前記バッテリの端子電圧に基づき劣化状態を検出するバッテリ劣化状態検出手段と、前記エンジンの再始動時の前記発電制御手段による制御の際の前記目標電圧の初期値を、前記燃焼状態検出手段により検出される前記エンジンの燃焼状態、および、前記バッテリ劣化状態検出手段により検出される前記バッテリの劣化状態に応じて切り換え設定する設定手段とを備え、前記設定手段は、前記バッテリ劣化状態検出手段により、前記バッテリの端子電圧の最小値が第1判定閾値以下であって該第1判定閾値よりも低い第2判定閾値よりも高い第1劣化状態であることが検出されたときには、前記目標電圧の初期値を、前記バッテリの端子電圧の最小値が第1判定閾値よりも高い劣化なし状態が検出されるときの第1の値よりも高い第2の値に切り換え設定し、前記バッテリ劣化状態検出手段により前記バッテリの端子電圧の最小値が前記第2判定閾値以下の第2劣化状態であることが検出されたときには、前記目標電圧の初期値を、前記第1劣化状態が検出されるときの前記第2の値よりもさらに高い第3の値に切り換え設定し、前記燃焼状態検出手段により前記遅い燃焼状態であることが検出されたときには、前記目標電圧の初期値を前記燃焼状態が通常のときよりも低い値であって補正値分低く補正した値に切り換え設定し、前記燃焼状態検出手段により前記早い燃焼状態であることが検出されたときには、前記目標電圧の初期値を前記燃焼状態が通常のときよりも高い値であって前記補正値分高く補正した値に切り換え設定し、記補正値は、今回の前記エンジンの再始動後に前記燃焼状態検出手段により前記遅い燃焼状態であることが検出されれば、前回の前記エンジンの再始動後の前回補正値αn-1から所定値を減算した値αnに設定され、今回の前記エンジンの再始動後に前記燃焼状態検出手段により前記早い燃焼状態であることが検出されれば、前回の前記エンジンの再始動後の前回補正値αn-1に前記所定値を加算した値αnに設定され、前記エンジンの再始動ごとの学習により、予め定められた所定範囲内で設定されるものであることを特徴としている。
このような構成によれば、アイドリングストップ制御において、アイドリングストップ制御におけるエンジン再始動時にバッテリを充電するオルタネータの発電制御において徐励制御に加えて徐変制御を行う場合に、バッテリの劣化状況およびエンジン再始動後のエンジンの燃焼状態に応じた制御を実行することにより、エンジン再始動におけるバッテリの端子電圧の回復を早めることができる上、エンジンの回転安定性(耐ストール性)の一層の向上を図ることができる。
この発明によれば、アイドリングストップ制御におけるエンジン再始動時に、エンジンの燃焼状態および/またはバッテリの劣化状態に応じたバッテリの充電制御を行うことにより、耐ストール性の向上および/またはバッテリ上がりの抑制を図ることができる。
本発明の車両制御装置の一実施形態のブロック図である。 図1の動作説明図である。 図1の動作説明図である。 図1の動作説明図である。 図1の動作説明図である。 図1の動作説明用フローチャートである。 図1の動作説明用フローチャートである。 従来例の動作説明図である。
本発明の車両制御装置を搭載したアイドリングストップ車に係る一実施形態について、図1ないし図7を参照して詳述する。
図1において、1はエンジン2を駆動源とするアイドリングストップ車に搭載された車両制御装置であり、エンジン2を始動するためのスタータ3と、エンジン2の回転によって発電するオルタネータ4と、オルタネータ4の発電電力により充電されるバッテリ5とを備える。ここで、バッテリ5は例えば公称電圧が12Vの鉛電池から成り、バッテリ5には、アイドリングストップ車に搭載されたワイパモータ、ヘッドライト、エアコンディショナおよびオーディオ機器等の電気負荷7が接続され、電源ライン6を介して電気負荷7にバッテリ5から給電される。
イグニッション(IG)スイッチをオン操作してエンジン2を始動すると、スタータ3にバッテリ5から電源ライン6を介して電圧が印加され、スタータ3のプランジャが移動し、スタータ3のスタータギヤが、エンジン2のクランクシャフトに保持されたフライホイールと噛合する。そして、スタータ3に設けられたリレーがオン状態になり、エンジン2がクランキングされ、エンジン2がクランキングされながらエンジン2の点火プラグがスパークされることによって、エンジン2が始動する。
オルタネータ4は、ロータ、ステータおよびICレギュレータを備えており、ロータは、エンジン2のクランクシャフトの回転に伴って回転し、ロータに設けられたロータコイルが回転し、回転するロータコイルにICレギュレータから励磁電流が供給されることにより、ステータに設けられたステータコイルに電磁誘導による3相交流電流が流れる。そして、この3相交流電流は、整流器で直流電圧に整流され、オルタネータ4から直流電力が発電電力として出力され、この発電電力が電源ライン6を介してバッテリ5に供給されてバッテリ5が充電される。
このとき、オルタネータ4のICレギュレータは、ロータコイルに供給される励磁電流のデューティ比を制御するようになっており、フィールド電流のデューティ比が大きいほどオルタネータ4の発電量が増加し、逆に小さいほどオルタネータ4の発電量が減少する。
また、アイドリングストップ車には、CPUおよびメモリなどを含むマイクロコンピュータ構成の複数のECU(Electronic Control Unit)が設けられ、各ECUは、CAN(Controller Area Network)通信による双方向通信が行われるようになっている。そして、これら複数のECUの中には、図1に示すECU8が含まれており、このECU8には、アクセルペダルの操作量に応じた検出信号を出力するアクセルペダルセンサ、エンジン2のクランクシャフトの回転に同期したパルス信号を検出信号として出力するエンジン回転数センサ、エンジン2の電子スロットルバルブの開度(スロットル開度)に応じた検出信号を出力するスロットル開度センサ、バッテリ5の端子電圧を検出する電圧センサなどの各種センサが接続されている。また、ECU8にもバッテリ5により給電される。
そして、ECU8は、各種センサの検出信号から取得した情報やその他のECUから入力される種々の情報などに基づき、エンジン2の始動、停止および出力調整などのため、エンジン2の電子スロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグなどを制御する。また、ECUは、バッテリ電圧の目標値である目標電圧を設定して、目標電圧とバッテリ電圧との差に基づく電圧調整信号を生成し、その電圧調整信号をオルタネータ4のICレギュレータに出力し、電圧調整信号がICレギュレータに入力されると、ICレギュレータにより、その電圧調整信号に基づきオルタネータ4の励磁電流のデューティ比が制御される。
また、ECU8は、走行中に所定のエンジン停止条件が成立するとエンジン2を自動停止し、エンジン2の自動停止中に所定のエンジン再始動条件が成立すると、スタータ3によりエンジン2を再始動するアイドリングストップ制御機能も備えている。このようなECU8のアイドリングストップ制御機能が、本発明におけるアイドリングストップ制御手段に相当する。なお、上記したエンジン2の制御およびアイドリングストップ制御をECU8のみで司るものに限らず、異なるECUにより司る構成であってもよい。
ところで、アイドリングストップ車のアイドリングストップ制御動作について説明すると、ドライバが乗車してイグニッション(IG)スイッチ(図示せず)をオン操作しエンジンスタートを指令することにより、IGスイッチの信号がECU8に入力され、この入力に基づいてECU8によりスタータ3のリレーが瞬時通電されてオンし、バッテリ5からスタータ3に給電されてスタータ3が始動され、停止状態のエンジン2が始動される(初回始動)。エンジン2が始動してオルタネータ4の発電電力でバッテ52が一旦満充電状態に充電されると、その後は、IGスイッチのオフ操作でエンジン2が停止するまで、ECU8によりアイドリングストップ制御が実行される。
そして、アイドリングストップ制御中のECU8により、例えば交通信号の赤信号にしたがってドライバがブレーキペダルを踏込み、マスタシリンダ圧が所定の踏込圧以上になっていることが検出されると、ECU8により、各種センサからの信号に基づいてアイドリングストップ制御の所定の停止条件(例えば、ストップランプが点灯していて所定車速以下である等の条件)の成立が確認されたときに、走行が完全に停止しなくても所定車速以下に低下したタイミングでエンジン2への燃料スロットルが絞られたりしてエンジン2が自動停止される。
一方、交通信号が青信号に変わる等してドライバがブレーキペダルから足を離し、マスタシリンダ圧が所定の開放圧に低下したことがECU8により検出されると、ECU8により、アイドリングストップ車1がアイドリングストップ制御の所定の再始動条件(例えば、ストップランプが消灯していてドアが閉じている等の条件)の成立が確認されると、ECU8からの再始動指令に基づきスタータ3のリレーが瞬時通電されてオンし、バッテリ5からスタータ3に給電されてスタータ3が始動され、停止状態のエンジン2が自動的に再始動される。以降、減速中の所定の停止条件の成立に基づくエンジン2の自動停止と、所定の再始動条件の成立に基づくエンジン2の自動的な再始動とが交互に行なわれる。
そして、アイドリングストップ制御におけるエンジン2の再始動のために、スタータ3に電圧が印加されて、スタータ3のリレーがオンされると、バッテリ5からスタータ3に供給される電流が増大し、スタータ3からエンジン2に大きなトルクが入力され、そのトルクによりエンジン2がクランキングされるが、スタータ3に供給される電流が増大することにより、バッテリ5の端子電圧が、図2に示すように急降下する。そのため、バッテリ電圧の急降下により、バッテリ電圧と目標電圧との差が大きくなり、ECU8によってオルタネータ4のフィールドコイルに供給される励磁電流のデューティ比がバッテリ端子電圧と目標電圧との差に応じたデューティ比となるように電圧調整信号が生成され、これにより励磁電流が急に大きくなり、エンジン2のクランクシャフトの回転抵抗が急増して、エンジン2の回転安定性が損なわれて耐ストール性が悪化する。
そこで、バッテリ端子電圧が目標電圧と一致するまで、ECU8により、バッテリ電圧と目標電圧との差に基づいて、励磁電流のデューティ比所定の変化率で上昇するように電圧調整信号が生成されて、オルタネータ4の発電電流が初期値から徐々に増加するよう、徐励制御が実行される。また、このような徐励制御に加えて、目標電圧が初期値よりも大きい最終値まで時間をかけて徐々に大きくなるよう、徐変制御が行われる。このようなECU8による発電制御機能が、本発明における発電制御手段に相当する。
このとき、電圧センサにより検出されるバッテリ5の端子電圧に基づき、ECU8により、バッテリ5の劣化状態が検出され、検出されたバッテリ5の劣化状態に応じて、ECU8によるエンジン2の再始動時における徐励制御および徐変制御の際の目標電圧の初期値が切り換え設定されることに加え、エンジン2の燃焼時の各気筒内の筒内圧力に基づき、エンジン2の燃焼状態が検出され、バッテリ5の劣化状態に応じて設定された目標電圧の初期値が、検出されたエンジン2の燃焼状態に応じてさらに切り換え設定され、設定された初期値から上記したような徐励制御および徐変制御が行われるようになっている。このようなECU8による切り換え設定の機能が本発明における設定手段に相当する。
より詳細には、エンジン2の再始動時におけるバッテリ5の端子電圧の最小値Vminが、第1判定閾値Vd1以下であってこの第1判定閾値Vd1よりも低い第2判定閾値Vd2(<Vd1)よりも高いときには、バッテリ5が第1劣化状態であることが検出され、バッテリ5の端子電圧の最小値Vminが第2判定閾値Vd2以下であれば、バッテリ5が第2劣化状態であることが検出される。ところで、バッテリ5の端子電圧の最小値Vminが第1判定閾値Vd1よりも高いときには、バッテリ5は劣化なし状態であることが検出される。このようなECU8によるバッテリ5の劣化状態の検出機能が、本発明におけるバッテリ劣化状態検出手段に相当する。
ECU8により、バッテリ5が劣化なし状態であることが検出されると、充電されるバッテリ5の端子電圧の目標電圧の初期値は、例えば図2および図3に示す13.8Vに設定され、バッテリ5が第1劣化状態であることが検出されたときには、図2および図3に示すように、バッテリ5の端子電圧の目標電圧の初期値は、劣化なし状態のときよりも高い値の14.1Vに切り換え設定される。他方、バッテリ5が第2劣化状態であることが検出されたときには、図2および図4に示すように、バッテリ5の端子電圧の目標電圧の初期値は第1劣化状態のときよりもさらに高い値の14.3Vに切り換え設定される。
また、エンジン2の各気筒内の燃焼圧を検出する燃焼圧センサによる筒内圧力に基づき、ECU8により、図4に示すように、筒内圧力に基づくエンジン2の燃焼状態が検出され、通常の筒内圧力である良好な(通常の)燃焼状態であるか、通常よりも短い時間幅で高い筒内圧力となる早い燃焼状態であっていわゆるノッキング現象を生じる状態であるか、通常よりも長い時間幅で低い筒内圧力となる遅い(散漫な)燃焼状態であるかの検出がなされる。このようなECU8によるエンジン2の燃焼状態の検出機能が、本発明における燃焼状態検出手段に相当する。
そして、ECU8により、エンジン2の燃焼状態が良好な(通常の)燃焼状態であることが検出されると、バッテリ5の劣化状態に応じて切り換えられた目標電圧の初期値が高低に切り返されることなくそのまま使用され、エンジン2の燃焼状態が通常よりも遅いことが検出されたときには、バッテリ5の劣化状態に応じて切り換えられた目標電圧の初期値が、それよりもαだけ低く切り換え設定され、エンジン2の燃焼状態が通常よりも早いことが検出されたときには、バッテリ5の劣化状態に応じて切り換えられた目標電圧の初期値が、それよりもαだけ高く切り換え設定される。
すなわち、バッテリ5の劣化状態に応じて切り換えられた目標電圧の初期値が、例えば劣化なし状態の初期値である13.8Vに設定されている場合に、エンジン2の燃焼状態が良好な(通常の)燃焼状態であることが検出されると、例えば図5に示すように、初期値に加減算するαとして0が選択されて13.8Vの初期値がそのまま設定される。また、エンジン2の燃焼状態が通常よりも遅いことが検出されると、初期値に加減算するαとして-0.05Vが選択されて13.8Vから0.05Vを減算した13.75Vが設定される。さらに、エンジン2の燃焼状態が通常よりも早いことが検出されると、初期値に加減算するαとして+0.05Vが選択されて13.8Vに0.05Vを加算した13.85Vが設定される。
このとき、さらに、αは、エンジン2の再始動時毎に学習されるようになっており、今回値であるαnが、前回値αn-1に0.05Vを加算または減算した値に設定され、これにより、その時々のエンジン2の燃焼状態に応じた目標電圧の初期値を設定することができる。
なお、αは、-0.3Vよりも小さくならずかつ+0.3Vよりも大きくならないよう、-0.3Vを下限値、+0.3Vを上限値とする範囲で設定するのが好ましい。
次に、ECU8の設定手段としての切り換え設定動作について図6、図7のフローチャートを参照して説明する。
図6に示すように、アイドルストップ制御におけるエンジン再始動時におけるバッテリ5の端子電圧の最小値Vminが予め定められた第1、第2判定閾値Vd1,Vd2と比較され、バッテリ5が劣化なし状態であるかどうかの判定がなされ(ステップS1)、この判定結果がYESであれば、バッテリ5の端子電圧の目標電圧の初期値は13.8Vに設定される(ステップS2)。
一方、ステップS1の判定結果がNOであれば、第1劣化状態か第2劣化状態のいずれかの判定がなされ(ステップS3)、バッテリ5の端子電圧の最小値Vminが第1判定閾値Vd1以下で第2判定閾値Vd2(<Vd1)よりも高く、バッテリ5が第1劣化状態であると判定されると、バッテリ5の端子電圧の目標電圧の初期値は14.1Vに設定され(ステップS4)、バッテリ5の端子電圧の最小値Vminが第2判定閾値Vd2以下で、バッテリ5が第2劣化状態であると判定されると、バッテリ5の端子電圧の目標電圧の初期値は第1劣化状態よりも高い14.3Vに設定される(ステップS5)。
そして、次のステップS6において、燃焼圧センサによる筒内圧力が取り込まれ(ステップS6)、早い燃焼状態であるかどうかの判定がなされ(ステップS7)、この判定結果がYESであれば、今回の初期値に加減算するαnは前回値αn-1に0.05Vを加算した値に設定される(ステップS8)。一方、ステップS7の判定結果がNOであれば、遅い燃焼状態であるかどうかの判定がなされ(ステップS9)、この判定結果がNOであれば、燃焼状態は良好(通常)であるため、今回の初期値に加減算するαnは前回値αn-1と同じ値に設定され(ステップS10)、ステップS9の判定結果がYESであれば、燃焼状態は遅いため、今回の初期値に加減算するαnは前回値αn-1から0.05Vを減算した値に設定される(ステップS11)。
その後、図7に示すように、αnが下限値である-0.3V以上であって、かつ、上限値である+0.3V以下であるかどうかの判定がなされ(ステップS12)、この判定結果がNOであれば、αnが+0.3Vより大きいか、或いは、-0.3Vより小さいかの判定がなされ(ステップS13)、αnが+0.3Vより大きければ、上限値を上回っているため、αnは上限値である+0.3Vとされ(ステップS14)、αnが-0.3Vより小さければ、下限値を下回っているため、αnは下限値である-0.3Vとされる(ステップS15)。
そして、ステップS12の判定結果がYES、つまりαnが-0.3V以上でかつ+0.3V以下である場合、および、ステップS14,S15の処理を経た後はステップS16に移行し、ステップS2,S4,S5の処理で設定された初期値に、ステップS12~S15の処理を経て学習されたαnが加えられて初期値の切り換え設定がなされ(ステップS16)、切り換え設定後の初期値から、徐励制御および徐変制御によるバッテリ5の充電が行われる。
したがって、本実施形態によれば、アイドリングストップ制御におけるエンジン再始動時に、バッテリ5を充電するオルタネータ4の発電制御において徐励制御に加えて徐変制御を行う場合に、バッテリ5の充電状況に応じた制御およびエンジン2の燃焼状態に応じた制御を実行することにより、エンジン再始動時のバッテリ5の端子電圧の回復を早めることが可能になる上、バッテリ上がりの抑制を図ることができるとともに、エンジン2の回転安定性(耐ストール性)の一層の向上を図ることができる。
また、バッテリ5の劣化状態に応じて切り換え設定された初期値に、エンジン2の再始動時毎に学習される今回値αnとして、前回値αn-1に0.05Vを加算または減算した値に設定するようにしたことにより、その時々のエンジン2の燃焼状態に応じた目標電圧の初期値を設定することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
例えば、上記した実施形態では、エンジン2の燃焼状態を、燃焼圧センサにより検出される気筒の筒内圧力に基づいて判断する場合について説明したが、各気筒における混合気の燃焼状態に応じた波形となるイオン電流を、スパークプラグに設けたイオン電流測定回路により検出し、検出されるイオン電流の波形に基づいて検出するようにしてもよい。
また、上記した実施形態では、アイドリングストップ制御におけるエンジン再始動時に、バッテリ5を充電するオルタネータ4の発電制御において徐励制御に加えて徐変制御を行う場合に、バッテリ5の劣化状態に応じた制御およびエンジン2の燃焼状態に応じた制御を実行する例について説明したが、エンジン2の燃焼状態に応じた制御のみ、或いは、バッテリ5の劣化状態に応じた制御のみを行うようにしてもよい。
また、上記した実施形態では、バッテリ5の劣化状態を、第1、第2劣化状態の2段階の場合について説明したが、3段階以上の劣化状態を検出して初期値を切り換え設定するようにしてもよい。さらに、エンジン2の燃焼状態について、通常(良好)の状態のほかに、早いか遅いかの2段階を検出するようにしたが、3段階以上を検出するようにしてもよい。
そして、本発明は、アイドリングストップ制御におけるエンジン再始動時に、バッテリ5を充電するオルタネータ4の発電制御において徐励制御に加えて徐変制御を行う機能を備える車両の車両制御装置に適用することができる。
1 車両制御装置
2 エンジン
3 …スタータ
4 …オルタネータ
5 …バッテリ
8 …ECU(アイドリングストップ制御手段、発電制御手段、燃焼状態検出手段、バッテリ劣化状態検出手段、設定手段)

Claims (1)

  1. エンジンを始動するスタータと、前記エンジンの回転により発電してバッテリを充電するオルタネータと、所定のエンジン停止条件が成立すると前記エンジンを停止し、所定のエンジン再始動条件が成立したときに、前記スタータにより前記エンジンを再始動するアイドリングストップ制御を行うアイドリングストップ制御手段と、前記エンジンの再始動時に、前記バッテリの端子電圧が目標電圧と一致するように前記オルタネータによる発電電流を徐々に増加させる徐励制御に加えて、前記目標電圧を初期値から最終値まで徐々に大きくする徐変制御を行う発電制御手段とを備える車両制御装置において、
    前記エンジンの再始動後に燃焼圧力センサにより検出される前記エンジンの筒内圧力が、通常よりも短い時間幅で通常の筒内圧力よりも高くなる早い燃焼状態か、通常よりも長い時間幅で通常の筒内圧力よりも低くなる遅い燃焼状態か、通常の時間幅で通常の筒内圧力となる通常の燃焼状態かを検出する燃焼状態検出手段と、
    前記バッテリの端子電圧に基づき劣化状態を検出するバッテリ劣化状態検出手段と、
    前記エンジンの再始動時の前記発電制御手段による制御の際の前記目標電圧の初期値を、前記燃焼状態検出手段により検出される前記エンジンの燃焼状態、および、前記バッテリ劣化状態検出手段により検出される前記バッテリの劣化状態に応じて切り換え設定する設定手段と
    を備え、
    前記設定手段は、
    前記バッテリ劣化状態検出手段により、前記バッテリの端子電圧の最小値が第1判定閾値以下であって該第1判定閾値よりも低い第2判定閾値よりも高い第1劣化状態であることが検出されたときには、前記目標電圧の初期値を、前記バッテリの端子電圧の最小値が第1判定閾値よりも高い劣化なし状態が検出されるときの第1の値よりも高い第2の値に切り換え設定し、
    前記バッテリ劣化状態検出手段により前記バッテリの端子電圧の最小値が前記第2判定閾値以下の第2劣化状態であることが検出されたときには、前記目標電圧の初期値を、前記第1劣化状態が検出されるときの前記第2の値よりもさらに高い第3の値に切り換え設定し、
    前記燃焼状態検出手段により前記遅い燃焼状態であることが検出されたときには、前記目標電圧の初期値を前記燃焼状態が通常のときよりも低い値であって補正値分低く補正した値に切り換え設定し、
    前記燃焼状態検出手段により前記早い燃焼状態であることが検出されたときには、前記目標電圧の初期値を前記燃焼状態が通常のときよりも高い値であって前記補正値分高く補正した値に切り換え設定し、
    前記補正値は、今回の前記エンジンの再始動後に前記燃焼状態検出手段により前記遅い燃焼状態であることが検出されれば、前回の前記エンジンの再始動後の前回補正値αn-1から所定値を減算した値αnに設定され、今回の前記エンジンの再始動後に前記燃焼状態検出手段により前記早い燃焼状態であることが検出されれば、前回の前記エンジンの再始動後の前回補正値αn-1に前記所定値を加算した値αnに設定され、前記エンジンの再始動ごとの学習により、予め定められた所定範囲内で設定されるものである
    ことを特徴とする車両制御装置。
JP2018173243A 2018-09-18 2018-09-18 車両制御装置 Active JP7292789B2 (ja)

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