JP7292516B2 - モータ駆動装置及び空気調和装置 - Google Patents

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Description

本開示は、モータを駆動するモータ駆動装置、及びこのモータ駆動装置を備えた空気調和装置に関する。
1台のモータを複数のインバータによって駆動するモータ駆動装置として、下記特許文献1に示されたものがある。この特許文献1には、特定のインバータに負荷を集中させないため、各々のインバータの出力電流であるインバータ電流のバランス、即ち出力平衡性を保つように電流制御する技術が開示されている。
特許第5447400号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、各々のインバータにおけるインバータ電流を検出する電流検出器をインバータごとに備えると共に、モータの各相に流れるモータ電流を検出する電流検出器を備える必要がある。このため、電流検出器の数が多く、製造コストが増加するという課題がある。
また、特許文献1に記載の技術では、各々のインバータが配置されている環境の差異又は変化が考慮されていない。これらの環境の差異又は変化は時間の経過と共に大きくなり、インバータとモータ間の配線温度の変化による配線抵抗のばらつき、又はモータの状態変化となって表れる。また、各々のインバータが配置されている環境の差異又は変化は、各々のインバータの冷却能力を変動させ、各々のインバータにおけるスイッチング素子の温度ばらつきとなって表れる。このため、複数のインバータにおけるスイッチング素子のオン、オフのタイミングを各々のインバータの同相同士で揃えてインバータのスイッチング動作を行っても、所望のインバータ出力が得られないという課題がある。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、電流検出器の数を削減しつつ、各々のインバータが配置されている環境の差異又は変化に起因するインバータ出力の変動を抑制可能なモータ駆動装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本開示に係るモータ駆動装置は、電力源から供給される直流電圧を三相交流電圧に変換して同一のモータに印加する複数のインバータを備えたモータ駆動装置である。モータ駆動装置は、複数のインバータでモータを駆動する際に、モード選択情報に基づいて選択される第1及び第2のスイッチングモードを有する。第1のスイッチングモードは、各々のインバータの同相におけるスイッチング素子のオン及びオフのタイミングを複数のインバータ同士で揃えて各々のインバータのスイッチング動作を行う。第2のスイッチングモードは、各々のインバータの同相におけるスイッチング素子のオン及びオフのタイミングを複数のインバータ同士で異として各々のインバータのスイッチング動作を行う。
本開示に係るモータ駆動装置によれば、電流検出器の数を削減しつつ、各々のインバータが配置されている環境の差異又は変化に起因するインバータ出力の変動を抑制できるという効果を奏する。
実施の形態1に係るモータ駆動装置の構成例を示す回路図 図1に示す電力源の第1の構成例を示す図 図1に示す電力源の第2の構成例を示す図 実施の形態1における各々のインバータを第1のスイッチングモードで駆動するときのスイッチング指令であるPWM信号の一例を示すタイムチャート 実施の形態1における各々のインバータを第2のスイッチングモードで駆動するときのスイッチング指令であるPWM信号の一例を示すタイムチャート 実施の形態1におけるスイッチングモードの選択方法の説明に供するフローチャート 実施の形態1における制御部の機能を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図 実施の形態1における制御部の機能を実現するハードウェア構成の他の例を示すブロック図 実施の形態2に係るモータ駆動装置の構成を示す回路図 実施の形態2におけるスイッチングモードの選択方法の説明に供するフローチャート 実施の形態3に係るモータ駆動装置の構成を示す回路図 実施の形態3におけるスイッチングモードの選択方法の説明に供するフローチャート 実施の形態4に係るモータ駆動装置の構成例を示す回路図 実施の形態5に係る空気調和装置の構成例を示す図
以下に添付図面を参照し、本開示の実施の形態に係るモータ駆動装置及び空気調和装置について詳細に説明する。なお、以下の記載において、同種の複数の構成要素については、添字付きの符号で示すが、各構成要素の個々を区別しない場合には、添字の表記を適宜省略する。また、以下では、電気的な接続と物理的な接続とを区別せずに、単に「接続」と称して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るモータ駆動装置100の構成例を示す回路図である。モータ駆動装置100は、電力源2から供給される電力を使用して、負荷6に接続されたモータ1に交流電圧を印加してモータ1に接続される負荷6を駆動する駆動装置である。
実施の形態1に係るモータ駆動装置100は、図1に示すように、インバータ3a,3bと、制御部4と、電流検出部5a,5bとを備えて構成される。制御部4は、インバータ3a,3bの動作を制御する。各々の電流検出部5a,5bは、インバータ3a,3bの各々に流れるインバータ電流を検出する。図1の構成の場合、インバータ電流は、インバータ3a,3bの各々からモータ1に出力される出力電流である。なお、実施の形態1では、図1に示すように、2台のインバータ3a,3bを有する構成について説明するが、この構成に限定されない。実施の形態1に係るモータ駆動装置100は、インバータ3の台数が3以上であっても同様に応用できるものである。
次に、モータ駆動装置100に接続されるモータ1及び電力源2について説明する。まず、モータ1は、三相モータである。三相モータの一例は、三相永久磁石同期モータである。モータ1は、図示しないモータ軸を介して負荷6に接続される。負荷6の一例は、空気調和装置の圧縮機である。負荷6が圧縮機である場合、モータ1は、圧縮機の圧縮要素を駆動する。
図2は、図1に示す電力源2の第1の構成例を示す図である。図3は、図1に示す電力源2の第2の構成例を示す図である。図2には、三相交流電源21aから供給される交流電力を直流電力へ変換する三相コンバータ、リアクトル及びコンデンサを備えた三相の交流直流変換器22aが示されている。図3には、単相交流電源21bから供給される交流電力を直流電力へ変換する単相コンバータ、リアクトル及びコンデンサを備えた単相の交流直流変換器22bが示されている。電力源2は、これらの何れを用いて構成されていてもよい。なお、図2及び図3では図示されていないが、交流直流変換器22a,22bと各々のインバータ3a,3bとの間の直流母線に直流変換器のような周知の昇圧回路を挿入し、直流電圧を昇圧するような構成でもよい。
更には、各々のインバータ3a,3bに直流電圧をダイレクトに供給する電池、バッテリといった直流電源でもよい。なお、交流直流変換器22a,22b、又は先述の昇圧回路は、電力源2ではなく、モータ駆動装置100に組み入れられる構成でもよい。また、図1に示した構成では、同一の電力源2にインバータ3a,3bを接続する構成を示しているが、各々のインバータ3a,3bが異なる電力源2に接続される構成でもよい。
次に、インバータ3a,3bについて説明する。インバータ3a,3bは、同一のモータ1に対して、並列に接続されている。各々のインバータ3a,3bは、電力源2から供給される直流電圧を三相交流電圧に変換し、変換した三相交流電圧を同一のモータ1へ印加する。三相交流電圧は、モータ1を所望の周波数、即ち所望の回転速度で回転駆動するための駆動電圧である。三相交流電圧は、三相のパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)信号に従って生成される。PWM信号は、制御部4により、各相の電圧指令に基づいて生成される。なお、本明細書では、三相の各相を「U」又は「u」、「V」又は「v」及び「W」又は「w」で表記し、それぞれを「U相」、「V相」及び「W相」と呼ぶ。
インバータ3aは、6つのスイッチング素子UP1,UN1,VP1,VN1,WP1,WN1を備える。スイッチング素子UP1,UN1は直列に接続されてU相レグを構成する。スイッチング素子VP1,VN1は直列に接続されてV相レグを構成する。スイッチング素子WP1,WN1は直列に接続されてW相レグを構成する。これらの3つのレグは、互いに並列に接続され、周知の三相インバータを構成する。インバータ3aの各スイッチング素子は、前述したPWM信号に基づいて生成されたスイッチング信号に従ってオン又はオフが制御される。
インバータ3bは、6つのスイッチング素子UP2,UN2,VP2,VN2,WP2,WN2を備える。インバータ3bもインバータ3aと同様に構成される。内容が重複するので、ここでの説明は割愛する。
各スイッチング素子の各々には、並列に帰還ダイオードが接続される。各スイッチング素子が金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:MOSFET)である場合、MOSFET自身が内部に有する寄生ダイオードを帰還ダイオードとして用いてもよい。寄生ダイオードは、ボディダイオードとも呼ばれる。なお、各スイッチング素子は、MOSFETには限定されず、MOSFET以外のスイッチング素子を用いてもよい。
各スイッチング素子は、ケイ素(Si)を素材とする素子でもよいし、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga)又はダイヤモンド(C)といったワイドバンドギャップ半導体を素材とするワイドバンドギャップ(Wide Band Gap:WBG)半導体素子でもよい。WBG半導体素子を用いれば、低損失、高耐電圧性及び高耐熱性の効果を享受することができる。また、WBG半導体素子を用いれば、高速にオンオフ動作を行うことができる。これにより、スイッチングのオンオフのタイミングを細かく制御できるので、後述する実施の形態1の効果をより高めることが可能となる。
図1では、電流検出部5aとして、インバータ3aからモータ1に接続される3つの配線のうちのU相及びW相の配線に電流センサが配置される構成を例示しているが、この構成に限定されない。電流検出部5aにおける2つの電流センサは、U相、V相及びW相のうちの何れか2つの相に配置されていればよい。電流検出部5bについても電流検出部5aと同様に構成できる。
電流センサとしては、交流変流器(Alternating Current Current Transformer:ACCT)が例示されるが、直流変流器(Direct Current Current Transformer:DCCT)又はシャント抵抗を用いてもよい。なお、シャント抵抗を用いる場合、シャント抵抗は、一般的に、電力源2とインバータ3a,3bの各々とを結ぶ負側の直流母線、又はインバータ3a,3bの各相レグにおける負側に配置される。電流検出部5a,5bによって検出された、インバータ3a,3bにおけるインバータ電流の各検出値は、制御部4に入力される。
制御部4は、モータ1に出力する電圧を演算し、演算した電圧に基づいて三相電圧指令値を生成する。三相電圧指令値を演算により生成する際、二相変調、三次高調波重畳変調、空間ベクトル変調といった周知の手法を用いることができる。制御部4は、三相電圧指令値と母線電圧とに基づいて、インバータ3a,3bの各々に対するPWM信号を生成してインバータ3a,3bへ出力する。ここで言う母線電圧は、電力源2から出力される直流電圧と等価である。
次に、実施の形態1に係るモータ駆動装置100が有するスイッチングモードと、スイッチングモードに従って行われるインバータ3a,3bのスイッチング動作について説明する。図4は、実施の形態1における各々のインバータ3a,3bを第1のスイッチングモードで駆動するときのスイッチング指令であるPWM信号の一例を示すタイムチャートである。第1のスイッチングモードは、スイッチング素子のオン及びオフのタイミングをインバータ3a,3bの同相同士で揃えてスイッチング動作を行うモードである。
図4の上段部には、三相正弦波である電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の波形と、三角波状に変化する振幅Vdc/2のキャリア信号とが示されている。なお、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*は、三相正弦波以外の波形でもよく、キャリア信号は三角波に代えてのこぎり波を用いてもよい。また、図4の中下段部には、第1のスイッチングモードにおけるインバータ3aに対するPWM信号UP1,UN1,VP1,VN1,WP1,WN1と、第1のスイッチングモードにおけるインバータ3bに対するPWM信号UP2,UN2,VP2,VN2,WP2,WN2と、が相ごとに交互に示されている。なお、図4及び後述の図5では、PWM信号の識別記号を、インバータ3a,3bの各スイッチング素子の符号と同じ表記としている。
制御部4は、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を基準信号であるキャリア信号と比較し、相互の大小関係に基づいてPWM信号UP1,UN1,VP1,VN1,WP1,WN1を生成する。
図4では、U相電圧指令値Vu*がキャリア信号よりも大きい場合、PWM信号UP1はスイッチング素子UP1をオンにする電圧としてハイレベルで示され、PWM信号UN1はスイッチング素子UN1をオフにする電圧としてローレベルで示されている。この方式は、相補PWM方式と呼ばれる。なお、これとは逆に、U相電圧指令値Vu*がキャリア信号よりも小さい場合、PWM信号UP1はスイッチング素子UP1をオフにする電圧とし、PWM信号UN1はスイッチング素子UN1をオンにする電圧としてもよい。
他の相であるV相及びW相についても同様である。V相電圧指令値Vv*とキャリア信号との比較によりPWM信号VP1,VN1が決定され、W相電圧指令値Vw*とキャリア信号との比較によりPWM信号WP1,WN1が決定される。
相補PWM方式の場合、PWM信号UP1とPWM信号UN1、PWM信号VP1とPWM信号VN1、及びPWM信号WP1とPWM信号WN1は、各々が互いに逆極性の関係となる。このスイッチングパターンを組み合わせることで、インバータ3aのスイッチング素子のオンオフのスイッチング動作を適切に制御し、インバータ3aからモータ1に対し、所望の電圧を出力させることができる。
但し、同相の2つのスイッチング素子、例えばPWM信号UP1とPWM信号UN1とが同時にオンすると電力源2に大きな短絡電流が流れる。このため、実際には、スイッチング動作の遅れなども考慮し、同相の2つのスイッチング素子同士が同時にオン状態とならないように、PWM信号にデッドタイムと呼ばれる短絡防止時間を設けることが行われる。なお、図4及び後述の図5に関しては、短絡防止時間を含まない記載となっている。
インバータ3bのPWM信号UP2,UN2,VP2,VN2,WP2,WN2も、インバータ3aのPWM信号UP1,UN1,VP1,VN1,WP1,WN1と同様に生成される。
インバータ3aの各PWM信号と、インバータ3bの各PWM信号とを相ごとに比較すると、各スイッチング素子をオン及びオフさせるタイミングは同じになっている。即ち、第1のスイッチングモードでは、スイッチング素子のスイッチング動作は、インバータ3a,3bの同相同士で揃えられている。
スイッチング素子のオン及びオフのタイミングをインバータ3a,3bの同相同士で揃えることにより、インバータ3a,3bから出力される出力電圧の平衡性を保つことが可能となる。これにより、インバータ3a,3bが配置されている環境に差異又は変化がない場合には、所望のインバータ出力が得られるようになる。
次に、第2のスイッチングモードにおけるインバータ3a,3bのスイッチング動作について説明する。第2のスイッチングモードは、スイッチング素子のオン及びオフのタイミングをインバータ3a,3bの同相同士で異としてスイッチング動作を行うモードである。
インバータ3a,3bにおける各PWM信号のパルス幅が同一である場合、インバータ3a,3bの各々の出力電圧の基本波成分は同じに保たれる。このため、インバータ3a,3bが配置されている環境に差異又は変化がない場合には、所望のインバータ出力が得られる。一方、インバータ3a,3bが配置されている環境に差異又は変化がある場合、これらの環境の差異又は変化が時間の経過と共に大きくなり、インバータ3a,3bとモータ1との間の配線温度の変化による配線抵抗のばらつき、又はモータの状態変化となって表れる。また、インバータ3a,3bが配置されている環境の差異又は変化は、インバータ3a,3bの冷却能力を変動させ、インバータ3a,3bにおけるスイッチング素子の温度ばらつきとなって表れる。従って、第1のスイッチングモードの動作のみでは、所望のインバータ出力が得られない可能性がある。このため、第2のスイッチングモードが用意されている。
図5は、実施の形態1における各々のインバータ3a,3bを第2のスイッチングモードで駆動するときのスイッチング指令であるPWM信号の一例を示すタイムチャートである。
図5の上段部には、図4と同様に、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*の波形と、振幅Vdc/2のキャリア信号とが示されている。図5の中下段部には、第2のスイッチングモードにおけるインバータ3aに対するPWM信号UP1,UN1,VP1,VN1,WP1,WN1と、第2のスイッチングモードにおけるインバータ3bに対するPWM信号UP2,UN2,VP2,VN2,WP2,WN2と、が相ごとに交互に示されている。 図5において、PWM信号UP1,UN1,VP1,VN1,WP1,WN1の波形、及び極性が変化するタイミングは、図4と同じである。
前述したように、第2のスイッチングモードは、第2のスイッチングモードは、スイッチング素子のオン及びオフのタイミングをインバータ3a,3bの同相同士で異としてスイッチング動作を行うモードである。図5の例では、インバータ3aにおける各スイッチング素子のオン又はオフのタイミングに対し、インバータ3bにおける各スイッチング素子のオン又はオフのタイミングがそれぞれ時間差Te分遅れるように制御されている。時間差Teは、インバータ3a,3bにおける相ごとのスイッチング素子のオン又はオフのタイミングのずれ量である。このように制御すれば、インバータ3a,3bとモータ1との間の配線温度の変化による配線抵抗のばらつき、及びインバータ3a,3bにおけるスイッチング素子の温度ばらつきが小さくなる方向に作用する。これにより、インバータ3a,3bが配置されている環境の差異又は変化に起因するインバータ出力の変動を抑制することが可能となる。
なお、インバータ3a,3bとモータ1との間の配線温度の変化による配線抵抗のばらつき、及びインバータ3a,3bにおけるスイッチング素子の温度ばらつきの影響が小さい場合は、インバータ3a,3bにおける各PWM信号のパルス幅は同一であることが好ましい。このように制御すれば、インバータ3a,3bの各々の出力電圧の基本波成分を同一に保持しつつ、インバータ出力の変動を抑制することが可能となる。
一方、前述した配線抵抗のばらつき、及びスイッチング素子の温度ばらつきの影響が瞬時的、又は突発的に大きくなってしまった場合等においては、インバータ3a,3bにおける各PWM信号のパルス幅を異ならせてもよい。このように制御すれば、インバータ3a,3b間のインバータ電流のアンバランスを解消して平衡性を元に戻す制御を迅速に行うことができる。
以上、インバータ3bにおけるスイッチング素子のオン又はオフのタイミングをインバータ3aの同相同士で比較した際に異となるように制御する手法として、相ごとに時間差Teを設ける手法について説明したが、この手法に限定されない。例えば、各々のインバータ3a,3bごとに個別に電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を生成し、各々のインバータ3a,3bにおける電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*に位相差を設けてもよい。位相差を設けた電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*を同一のキャリア信号と比較すれば、意図するPWM信号を生成することができる。
或いは、電圧指令値Vu*,Vv*,Vw*をインバータ3a,3b間で共通とし、キャリア信号をインバータ3a,3b間において異とするようにしてもよい。
或いは、第1のスイッチングモードと同様の方法で生成した各PWM信号に対して、インバータ3a,3bにおける相ごとのスイッチング素子のペアに対して、個別にオン及びオフのタイミングを補正するようにしてもよい。
また、これまでの説明では、インバータ3aを基準にインバータ3bのスイッチングパターンを調整するようにしているが、これに限定されない。これとは逆に、インバータ3bを基準にインバータ3aのスイッチングパターンを調整するようにしてもよい。
次に、スイッチングモードの選択方法について、図6を参照して説明する。図6は、実施の形態1におけるスイッチングモードの選択方法の説明に供するフローチャートである。実施の形態1では、モード選択情報が電流検出部5a,5bによって検出されるインバータ電流である場合について説明する。前述したように、インバータ電流は、各々のインバータ3a,3bからモータ1に出力される出力電流である。
まず、制御部4は、インバータ3a,3bを制御して、モータ1を第1のスイッチングモードで駆動する(ステップS11)。モータ1及びインバータ3a,3bにおいて、配線抵抗のばらつき、スイッチング素子の温度ばらつき等が小さい状態であれば、インバータ電流の出力平衡性が保たれる。
制御部4は、インバータ3a,3bにおけるインバータ電流の検出値を電流検出部5a,5bから取得する(ステップS12)。制御部4は、インバータ電流の検出値に基づいて差電流を演算する(ステップS13)。差電流は、インバータ3a,3b間のインバータ電流の差異が分かる情報であればよく、当該情報の物理量が電流である必要はない。
制御部4は、差電流を予め定められた許容値と比較する(ステップS14)。差電流が許容値以下であれば(ステップS14,No)、ステップS11に戻り、上記の処理を繰り返す。一方、差電流が許容値を超えている場合(ステップS14,Yes)、制御部4は、インバータ3a,3bを制御して、モータ1を第2のスイッチングモードで駆動する(ステップS15)。
以上のように、制御部4は、差電流が許容値以下であればモータ1を第1のスイッチングモードで駆動し、差電流が許容値を超えていればモータ1を第2のスイッチングモードで駆動する。即ち、制御部4は、差電流に基づいて、モータ1を駆動するスイッチングモードを第1のスイッチングモードと第2のスイッチングモードとの間で切り替える制御を行う。
また、制御部4は、第2のスイッチングモードで駆動している場合に、差電流が許容値以下に戻れば、スイッチングモードを第2のスイッチングモードから第1のスイッチングモードに切り替える。例えば、負荷6を高負荷運転から中又は軽負荷運転に切り替えた場合、インバータ電流、及びモータ電流が小さい状態が続き、インバータ3a,3b及びモータ1の温度上昇が起こりにくくなる。或いは、外部の冷却機構又は自然冷却によりインバータ3a,3bの温度及び周辺の温度が低下するので、配線抵抗のばらつき、及びスイッチング素子の温度ばらつきが次第に小さくなる。このような状態であれば、モータ1を第1のスイッチングモードで駆動しても、インバータ電流の出力平衡性が保たれる。
なお、上記のステップS14では、差電流と許容値とが等しい場合を“No”と判定しているが、“Yes”と判定してもよい。即ち、制御部4は、差電流と許容値とが等しい場合を“Yes”又は“No”の何れで判定してもよい。何れにせよ、制御部4は、差電流が許容値の範囲内であればモータ1を第1のスイッチングモードで駆動し、差電流が許容値の範囲外であればモータ1を第2のスイッチングモードで駆動する。
また、上記のステップS14では、許容値の比較対象を差電流としているが、これに限定されない。差電流に代えて、電流検出部5aの検出値と電流検出部5bの検出値との比である電流比を用いてもよい。
また、上記のステップS15では、第2のスイッチングモードでモータ1が駆動される。この場合、インバータ3bにおけるスイッチング素子のオン又はオフのタイミングと、インバータ3aにおけるスイッチング素子のオン又はオフのタイミングとの間で、相ごとに時間差Teが設定される。この時間差Teについては、固定値としてもよいし、差電流に応じた可変値としてもよい。可変値とする場合、差電流と時間差Teとの関係を予め求めておき、差電流の大小に応じて時間差Teを変更すればよい。差電流を制御量とし、相ごとの時間差Teを操作量とするような制御系を制御部4の内部に構成すれば、この制御を実現することができる。
また、時間差Teの正負の値、即ち時間差Teのずらしの方向については、以下のように制御すればよい。なお、ここでは、電流検出部5aによって検出されたインバータ電流の検出値を「インバータ3aの電流」と呼び、電流検出部5bによって検出されたインバータ電流の検出値を「インバータ3bの電流」と呼ぶ。また、インバータ3aがモータ1に印加する電圧を「インバータ3cの出力電圧」と呼び、インバータ3bがモータ1に印加する電圧を「インバータ3bの出力電圧」と呼ぶ。
例えば、「インバータ3aの電流-インバータ3bの電流」の値が予め定められた正の許容値より大きい場合は、インバータ3aの出力電圧がインバータ3bの出力電圧に対して大きくなる。従って、この場合は、インバータ3aの出力電圧がインバータ3bの出力電圧に対して相対的に小さくなるように時間差Teのずらしの方向及び大きさを制御する。インバータ3aの出力電圧がインバータ3bの出力電圧に対して相対的に小さくなるのであれば、時間差Teのずらしの方向、即ち時間差Teの値の正負は問わない。
また、「インバータ3aの電流-インバータ3bの電流」の値が予め定められた負の許容値より小さい場合は、インバータ3aの出力電圧がインバータ3bの出力電圧に対して小さくなる。従って、この場合は、インバータ3aの出力電圧がインバータ3bの出力電圧に対して相対的に大きくなるように時間差Teのずらしの方向及び大きさを制御する。インバータ3aの出力電圧がインバータ3bの出力電圧に対して相対的に大きくなるのであれば、時間差Teのずらしの方向、即ち時間差Teの値の正負は問わない。
なお、時間差Teの値は、配線抵抗のばらつき、スイッチング素子の温度ばらつき等に起因するインバータ電流の不平衡性を解消する目的であれば、概ね数百[ns]~数[μs]のオーダとなる。時間差Teの値をこれ以上に大きくすると、本来、モータ1に出力すべき電圧に対して影響を及ぼす可能性があるので、避けた方が賢明である。
なお、「インバータ3aの電流-インバータ3bの電流」の絶対値が大きい場合、前述したように、PWM信号のパルス幅をインバータ3aとインバータ3bとで異なるように制御してもよい。この制御を併用すれば、インバータ3a,3b間のアンバランスを解消する時間の短縮化を図ることができる。
インバータ3a,3b間に生じる差電流は、インバータ損失及びモータの損失の増加につながる。また、この差電流は、モータ1が必要とする電流に重畳されて各々のインバータに流れるので、瞬時的な電流重畳により、過電流が発生するおそれがある。
従って、差電流をモード選択情報としてスイッチングモードを選択又は切り替えることにより、上述の効果に加え、インバータ損失及びモータ損失を抑制できるという効果が得られる。また、差電流に基づく制御により、過電流の発生を抑制できるので、スイッチング素子が損傷する確率を低下させることができる。更には、スイッチング素子が損傷する確率を低下させるための素子定格マージンを低減させることができる。
なお、上記では、第1のスイッチングモードでは、インバータ3a,3bの両方を用いてモータ1を駆動することを前提として説明しているが、これに限定されない。モータ1の出力が小さい領域では、インバータ3a,3bのうちの何れか一方のインバータの動作を停止し、残りの1つのインバータでモータ1を駆動してもよい。この点は、以下の実施の形態においても同様である。
また、上記では、同一のモータ1に並列に接続されるインバータ数は2としているが、これに限定されない。インバータ数は、3以上でもよい。インバータ数が3以上である場合、インバータ電流の最大値と最小値との間の差分を演算し、その演算値を上記のフローチャートにおける差電流として用いればよい。この場合、インバータ電流が最大であるインバータのみに時間差Teを設定して駆動してもよいし、インバータ電流が最小であるインバータ以外のインバータに時間差Teを設定して駆動してもよい。また、これら以外の手法で駆動してもよい。
以上説明したように、実施の形態1に係るモータ駆動装置は、複数のインバータでモータを駆動する際に、モード選択情報であるインバータ電流に基づいて選択される第1及び第2のスイッチングモードを有する。第1のスイッチングモードは、各々のインバータの同相におけるスイッチング素子のオン及びオフのタイミングを複数のインバータ同士で揃えて各々のインバータのスイッチング動作を行う。第2のスイッチングモードは、各々のインバータの同相におけるスイッチング素子のオン及びオフのタイミングを複数のインバータ同士で異として各々のインバータのスイッチング動作を行う。モータ駆動装置は、各々のインバータ間のインバータ電流の差電流が許容値を超えている場合には、モータを第2のスイッチングモードで駆動する。これにより、各々のインバータが配置されている環境の差異又は変化に起因するインバータ出力の変動を抑制することが可能となる。
上記の制御において、モード選択情報であるインバータ電流は、各々のインバータのインバータ電流を検出する電流検出器のみで実現でき、モータの各相に流れるモータ電流を検出する電流検出器は不要である。このため、実施の形態1に係るモータ駆動装置によれば、電流検出器の数を削減できるという効果が得られる。
次に、実施の形態1における制御部4の機能を実現するためのハードウェア構成について、図7及び図8の図面を参照して説明する。図7は、実施の形態1における制御部4の機能を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図8は、実施の形態1における制御部4の機能を実現するハードウェア構成の他の例を示すブロック図である。
実施の形態1における制御部4の機能の一部又は全部を実現する場合には、図7に示されるように、演算を行うプロセッサ300、プロセッサ300によって読みとられるプログラムが保存されるメモリ302、及び信号の入出力を行うインタフェース304を含む構成とすることができる。
プロセッサ300は、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)といった演算手段であってもよい。また、メモリ302には、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)といった不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)を例示することができる。
メモリ302には、実施の形態1における制御部4の機能を実行するプログラムが格納されている。プロセッサ300は、インタフェース304を介して必要な情報を授受し、メモリ302に格納されたプログラムをプロセッサ300が実行し、メモリ302に格納されたテーブルをプロセッサ300が参照することにより、上述した処理を行うことができる。プロセッサ300による演算結果は、メモリ302に記憶することができる。
また、実施の形態1における制御部4の機能の一部を実現する場合には、図8に示す処理回路303を用いることもできる。処理回路303は、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。処理回路303に入力する情報、及び処理回路303から出力する情報は、インタフェース304を介して入手することができる。
なお、制御部4における一部の処理を処理回路303で実施し、処理回路303で実施しない処理をプロセッサ300及びメモリ302で実施してもよい。
実施の形態2.
実施の形態1は、電流検出部で検出されるインバータ電流がモータ選択情報である場合について説明した。実施の形態2では、温度検出器で検出される温度情報がモータ選択情報である場合について説明する。
図9は、実施の形態2に係るモータ駆動装置100aの構成を示す回路図である。実施の形態2に係るモータ駆動装置100aでは、図1の構成と比較すると、制御部4が制御部4aに置き替えられ、インバータ3a,3bがインバータ3c,3dに置き替えられている。また、インバータ3cには温度検出器7aが設けられ、インバータ3dには温度検出器7bが設けられている。その他の構成は、図1と同一又は同等であり、同一又は同等の構成部には同一の符号を付して示すと共に、重複する説明は割愛する。なお、以下において、温度検出器7a,7bを総称して「第1の温度検出器」と記載する場合がある。
温度検出器7aはインバータ3cの温度を検出し、温度検出器7bはインバータ3dの温度を検出する。インバータ3c,3dの温度は、各々の内部の温度であってもよいし、各々における外部の周辺温度であってもよい。具体的に、温度検出器7a,7bは、例えば、各々のインバータ3c,3d内の6つのスイッチング素子から構成されるパワーモジュールに内蔵された温度センサであってもよい。或いは、温度検出器7a,7bは、各々のインバータ3c,3dに温度センサを取り付けて温度を電気信号に変換するように構成されたものであってもよい。温度センサの例は、サーミスタ又は熱電対である。
次に、実施の形態2におけるスイッチングモードの選択方法について、図10を参照して説明する。図10は、実施の形態2におけるスイッチングモードの選択方法の説明に供するフローチャートである。実施の形態2では、モード選択情報が温度検出器7a,7bによって検出されるインバータ3c,3dの温度である場合について説明する。
まず、制御部4aは、インバータ3c,3dを制御して、モータ1を第1のスイッチングモードで駆動する(ステップS21)。モータ1及びインバータ3c,3dにおいて、インバータ3c,3d間の温度差が小さければ、配線抵抗のばらつき、スイッチング素子の温度ばらつき等も小さく、インバータ電流の出力平衡性が保たれる。
制御部4は、インバータ3c,3dにおける温度の検出値を温度検出器7a,7bから取得する(ステップS22)。制御部4は、温度の検出値に基づいて温度差を演算する(ステップS23)。
制御部4aは、温度差を予め定められた許容値と比較する(ステップS24)。温度差が許容値以下であれば(ステップS24,No)、ステップS21に戻り、上記の処理を繰り返す。一方、温度差が許容値を超えている場合(ステップS24,Yes)、制御部4aは、インバータ3c,3dを制御して、モータ1を第2のスイッチングモードで駆動する(ステップS25)。
以上のように、制御部4aは、温度差が許容値以下であればモータ1を第1のスイッチングモードで駆動し、温度差が許容値を超えていればモータ1を第2のスイッチングモードで駆動する。即ち、制御部4aは、温度差に基づいて、モータ1を駆動するスイッチングモードを第1のスイッチングモードと第2のスイッチングモードとの間で切り替える制御を行う。
また、制御部4aは、第2のスイッチングモードで駆動している場合に、温度差が許容値以下に戻れば、スイッチングモードを第2のスイッチングモードから第1のスイッチングモードに切り替える。例えば、負荷6を高負荷運転から中又は軽負荷運転に切り替えた場合、インバータ電流、及びモータ電流が小さい状態が続き、インバータ3c,3d及びモータ1の温度上昇が起こりにくくなる。或いは、外部の冷却機構又は自然冷却によりインバータ3c,3dの温度及び周辺の温度が低下するので、配線抵抗のばらつき、及びスイッチング素子の温度ばらつきが次第に小さくなる。このような状態であれば、モータ1を第1のスイッチングモードで駆動しても、インバータ電流の出力平衡性が保たれる。
なお、上記のステップS24では、温度差と許容値とが等しい場合を“No”と判定しているが、“Yes”と判定してもよい。即ち、制御部4aは、温度差と許容値とが等しい場合を“Yes”又は“No”の何れで判定してもよい。何れにせよ、制御部4aは、温度差が許容値の範囲内であればモータ1を第1のスイッチングモードで駆動し、温度差が許容値の範囲外であればモータ1を第2のスイッチングモードで駆動する。
また、上記のステップS24では、許容値の比較対象を温度差としているが、これに限定されない。温度差に代えて、温度検出器7aの検出値と温度検出器7bの検出値との比である温度比を用いてもよい。
また、上記のステップS25では、第2のスイッチングモードでモータ1が駆動される。この場合、インバータ3dにおけるスイッチング素子のオン又はオフのタイミングと、インバータ3cにおけるスイッチング素子のオン又はオフのタイミングとの間で、相ごとに時間差Teが設定される。この時間差Teについては、固定値としてもよいし、温度差に応じた可変値としてもよい。可変値とする場合、温度差と時間差Teとの関係を予め求めておき、温度差の大小に応じて時間差Teを変更すればよい。温度差を制御量とし、相ごとの時間差Teを操作量とするような制御系を制御部4aの内部に構成すれば、この制御を実現することができる。
なお、時間差Teの正負の値、即ち時間差Teのずらしの方向については、実施の形態1と同様に制御又は設定すればよい。内容が重複するので、ここでの説明は割愛する。
インバータ3c,3d間に生じる温度差は、インバータ損失及びモータの損失の増加につながる。また、この温度差は、モータ1が必要とする電流に重畳されて各々のインバータに流れるので、瞬時的な電流重畳により、過電流が発生するおそれがある。
従って、温度差をモード選択情報としてスイッチングモードを選択又は切り替えることにより、インバータ損失及びモータ損失を抑制できるという効果が得られる。また、温度差に基づく制御により、過電流の発生を抑制できるので、スイッチング素子が損傷する確率を低下させることができる。更には、スイッチング素子の確率を低下させるための素子定格マージンを低減させることができる。
以上説明したように、実施の形態2に係るモータ駆動装置は、複数のインバータにおける各々の温度を検出する第1の温度検出器を備え、第1の温度検出器で検出された各々の温度情報をモータ選択情報として用いる。そして、モータ駆動装置は、各々のインバータ間の温度差が許容値を超えている場合には、モータを第2のスイッチングモードで駆動する。これにより、各々のインバータが配置されている環境の差異又は変化に起因するインバータ出力の変動を抑制することが可能となる。
なお、上記では、各々のインバータの温度情報のみをモード選択情報として説明しているが、実施の形態1で説明した差電流を組み合わせてモード選択情報として用いてもよい。このようにすれば、より精度の良いインバータ制御及びモータ駆動を行うことができる。
実施の形態3.
実施の形態2では、第1の温度検出器で検出される温度情報がモータ選択情報である場合について説明した。実施の形態3では、別の温度検出器で検出される温度情報がモータ選択情報である場合について説明する。
図11は、実施の形態3に係るモータ駆動装置100bの構成を示す回路図である。実施の形態3に係るモータ駆動装置100bでは、図1の構成と比較すると、制御部4が制御部4bに置き替えられている。また、インバータ3aとモータ1との間にはリアクトル8aが設けられ、インバータ3bとモータ1との間にはリアクトル8bが設けられている。更に、リアクトル8aには温度検出器7cが設けられ、リアクトル8bには温度検出器7dが設けられている。その他の構成は、図1と同一又は同等であり、同一又は同等の構成部には同一の符号を付して示すと共に、重複する説明は割愛する。なお、以下において、温度検出器7c,7dを総称して「第2の温度検出器」と記載する場合がある。
リアクトルはインダクタンス成分を有するので、電流の変化を抑制する効果がある。このため、図11のように、リアクトル8a,8bを挿入すると、インバータ3a,3b間の差電流を抑制する効果がある。一方、リアクトルは抵抗成分を有するため、温度依存性を有する。このため、リアクトル8a,8bは、温度により抵抗値が変化し、ばらつきの要因となる。この温度依存性を考慮して、インバータ3a,3bを駆動すれば、所望のインバータ出力をより得られ易くなる。そこで、実施の形態3では、リアクトル8a,8bに温度検出器7c,7dを設けている。
なお、図11では、インバータ3aとモータ1との間にリアクトル8aを設け、インバータ3bとモータ1との間にリアクトル8bを設けているが、この構成に限定されない。インバータ3a,3bとモータ1とを接続する配線ケーブルが長い場合には、配線ケーブル自体のインダクタンス成分を利用することができる。従って、配線ケーブルが長い場合には、配線ケーブルで代用してもよい。なお、この場合、配線ケーブルに温度検出器7c,7dを設ける構成となる。なお、温度検出器7c,7dは、実施の形態2における温度検出器7a,7bと同様のものでよい。
次に、実施の形態3におけるスイッチングモードの選択方法について、図12を参照して説明する。図12は、実施の形態3におけるスイッチングモードの選択方法の説明に供するフローチャートである。実施の形態3では、モード選択情報が温度検出器7c,7dによって検出されるリアクトル8a,8bの温度である場合について説明する。
まず、制御部4bは、インバータ3a,3bを制御して、モータ1を第1のスイッチングモードで駆動する(ステップS31)。モータ1及びインバータ3a,3bにおいて、リアクトル8a,8b間の温度差が小さければ、配線抵抗のばらつき、スイッチング素子の温度ばらつき等も小さく、インバータ電流の出力平衡性が保たれる。
制御部4bは、リアクトル8a,8bにおける温度の検出値を温度検出器7c,7dから取得する(ステップS32)。制御部4bは、温度の検出値に基づいて、リアクトル8a,8b間の温度差を演算する(ステップS33)。
制御部4bは、温度差を予め定められた許容値と比較する(ステップS34)。温度差が許容値以下であれば(ステップS34,No)、ステップS31に戻り、上記の処理を繰り返す。一方、温度差が許容値を超えている場合(ステップS34,Yes)、制御部4bは、インバータ3a,3bを制御して、モータ1を第2のスイッチングモードで駆動する(ステップS35)。
以上のように、制御部4bは、温度差が許容値以下であればモータ1を第1のスイッチングモードで駆動し、温度差が許容値を超えていればモータ1を第2のスイッチングモードで駆動する。即ち、制御部4bは、温度差に基づいて、モータ1を駆動するスイッチングモードを第1のスイッチングモードと第2のスイッチングモードとの間で切り替える制御を行う。
また、制御部4bは、第2のスイッチングモードで駆動している場合に、温度差が許容値以下に戻れば、スイッチングモードを第2のスイッチングモードから第1のスイッチングモードに切り替える。例えば、負荷6を高負荷運転から中又は軽負荷運転に切り替えた場合、インバータ電流、及びモータ電流が小さい状態が続き、リアクトル8a,8b間の温度差も小さくなる。このような状態であれば、モータ1を第1のスイッチングモードで駆動しても、インバータ電流の出力平衡性が保たれる。
なお、上記のステップS34では、温度差と許容値とが等しい場合を“No”と判定しているが、“Yes”と判定してもよい。即ち、制御部4bは、温度差と許容値とが等しい場合を“Yes”又は“No”の何れで判定してもよい。何れにせよ、制御部4bは、温度差が許容値の範囲内であればモータ1を第1のスイッチングモードで駆動し、温度差が許容値の範囲外であればモータ1を第2のスイッチングモードで駆動する。
また、上記のステップS34では、許容値の比較対象を温度差としているが、これに限定されない。温度差に代えて、温度検出器7cの検出値と温度検出器7dの検出値との比である温度比を用いてもよい。
また、上記のステップS35では、第2のスイッチングモードでモータ1が駆動される。この場合、インバータ3bにおけるスイッチング素子のオン又はオフのタイミングと、インバータ3aにおけるスイッチング素子のオン又はオフのタイミングとの間で、相ごとに時間差Teが設定される。この時間差Teについては、固定値としてもよいし、温度差に応じた可変値としてもよい。可変値とする場合、温度差と時間差Teとの関係を予め求めておき、温度差の大小に応じて時間差Teを変更すればよい。温度差を制御量とし、相ごとの時間差Teを操作量とするような制御系を制御部4bの内部に構成すれば、この制御を実現することができる。
なお、時間差Teの正負の値、即ち時間差Teのずらしの方向については、実施の形態1と同様に制御又は設定すればよい。内容が重複するので、ここでの説明は割愛する。
リアクトル8a,8b間の温度差は、インバータ3a,3b間に生じる温度差と関係がある。インバータ3a,3b間に温度差があれば、インバータ損失及びモータの損失の増加につながる。また、この温度差は、モータ1が必要とする電流に重畳されて各々のインバータ3a,3bに流れるので、瞬時的な電流重畳により、過電流が発生するおそれがある。
従って、リアクトル8a,8b間の温度差をモード選択情報としてスイッチングモードを選択又は切り替えることにより、インバータ損失及びモータ損失を抑制できるという効果が得られる。また、温度差に基づく制御により、過電流の発生を抑制できるので、スイッチング素子が損傷する確率を低下させることができる。更には、スイッチング素子の確率を低下させるための素子定格マージンを低減させることができる。
以上説明したように、実施の形態3に係るモータ駆動装置は、配線ケーブル又は配線ケーブルに挿入されるリアクトルにおける各々の温度を検出する第2の温度検出器を備え、第2の温度検出器で検出された各々の温度情報をモータ選択情報として用いる。そして、モータ駆動装置は、各々の配線ケーブル間、又はリアクトル間の温度差が許容値を超えている場合には、モータを第2のスイッチングモードで駆動する。これにより、各々のインバータが配置されている環境の差異又は変化に起因するインバータ出力の変動を抑制することが可能となる。
なお、上記では、各々の配線ケーブル間、又はリアクトル間の温度情報をモード選択情報として説明しているが、実施の形態1で説明した差電流及び実施の形態2で説明した各々のインバータ間の温度差のうちの少なくとも1つを組み合わせてモード選択情報として用いてもよい。このようにすれば、より精度の良いインバータ制御及びモータ駆動を行うことができる。
実施の形態4.
実施の形態4においては、2つのインバータによって駆動されるモータが結線状態を切り替え可能に構成される結線切替モータであり、モータの結線状態がモータ選択情報である場合について説明する。
図13は、実施の形態4に係るモータ駆動装置100cの構成を示す回路図である。実施の形態4に係るモータ駆動装置100cでは、図1の構成と比較すると、制御部4が制御部4cに置き替えられている。また、図13では、モータ1がモータ1aに置き替えられている。モータ1aは、各相の巻線の端部がモータ1aの外部に引き出された結線切替モータである。更に、モータ駆動装置100cには、モータ1aの結線状態を切り替える結線切替部9が設けられている。その他の構成は、図1と同一又は同等であり、同一又は同等の構成部には同一の符号を付して示すと共に、重複する説明は割愛する。
結線切替部9は、図13に示すように、開閉器90u,90v,90wと、切替器91u,91v,91wと、を備える。これらの開閉器90及び切替器91は、電磁的に接点が開閉する電磁接触器と呼ばれるものである。これらの例としては、リレー、コンタクターなどが挙げられる。また、これらの開閉器90及び切替器91の機能を、半導体スイッチで実現してもよい。これらの開閉器90及び切替器91は、制御部4cからの指令に基づいて開閉又は切替制御される。
切替器91は、各々が2つの回路を切り替える機能を有する。この機能は、c接点リレーで構成することができる。勿論、各々が2つの回路を切り替える機能を有していれば、c接点リレー以外のものを用いて構成してもよい。
切替器91がc接点リレーの場合、各々は共通端子COM、常開端子NO、常閉端子NCの3つの端子を有する。共通端子COMはインバータ3bの出力端に接続される。切替器91の常開端子NOは、インバータ3aの出力端に接続される。切替器91の常開端子NOは、モータ1aの巻線の片方の端部が引き出された第1の端子である端子UA,VA,WAにも接続される。切替器91の常閉端子NCは、モータ1aの各相の巻線のもう片方の端部が引き出された第2の端子である端子UB,VB,WBに接続される。切替器91の常閉端子NCは、開閉器90の片方の端子にも接続される。開閉器90のもう片方の端子は、モータ1aの各相巻線をY結線状態に構成するため、中性点ノード92に接続されている。なお、常閉端子NCと常開端子NOとを入れ替えた構成でもよい。以下では、図13の結線状態を基に説明する。
図13の構成において、開閉器90を全てオン状態とし、切替器91を常開端子NO側に切り替える。この場合、インバータ3aの出力端側と、インバータ3bの出力端側とが、モータ1aの端子UA,VA,WAに接続され、モータ1aの端子UB,VB,WBが中性点ノード92に接続される。即ち、モータ1aの端子UA,VA,WAは、インバータ3a,3bの両方の出力端に接続される。これは、2つのインバータ3a,3bでY結線状態のモータ1aを駆動する形態、即ち、上述の実施の形態と同様の結線状態となる。以下、この結線状態を「第1の結線状態」と呼ぶ。
第1の結線状態においては、1つのインバータでY結線状態のモータ1aを駆動するときよりも大きい電流、理想的には2倍の電流をモータ1aに供給できる。従って、第1の結線状態では、電流を大きくした分、モータトルクを大きくできる。このため、第1の結線状態は、特に大きなモータ電圧を必要としない、低速域での高出力化に寄与可能である。
また、開閉器90を全てオフ状態とし、切替器91を常閉端子NC側に切り替える。この場合、モータ1aの端子UA,VA,WAがインバータ3aの出力端側に、モータ1aの端子UB,VB,WBがインバータ3bの出力端側に接続される。これは、2つのインバータ3a,3bで開放型巻線のモータ1aを駆動する形態となる。以下、この結線状態を「第2の結線状態」と呼ぶ。
第2の結線状態においては、1つのインバータでY結線状態のモータ1aを駆動するときよりも大きい電圧、理想的には2倍の電圧をモータ1aに供給できる。従って、第2の結線状態は、電圧を大きくした分、特に大きなモータ電圧を必要とする高速域での高出力化に寄与可能である。
第1の結線状態と第2の結線状態とを適切に切り替えることにより、低速域ではモータ1aへの供給電流を大きくし、モータトルクを大きくできる。また、高速域ではモータ1aへの印加電圧を大きくすることで、モータ1aの出力を増大することができる。これらにより、速度帯域に関係なくモータ1aの運転領域を拡大することができる。
次に、モード選択情報に基づいて、第1のスイッチングモード及び第2のスイッチングモードのうちの何れか1つを選択する方法について説明する。実施の形態4では、モード選択情報が、モータ1aの結線状態であるケースである。
まず、第1の結線状態のモータ1aを駆動する場合について説明する。2つのインバータ3a,3bを用いて、第1の結線状態のモータ1aを駆動する場合は、上述の実施の形態と同様に、第1のスイッチングモードと第2のスイッチングモードとを適宜に選択すればよい。
次に、第2の結線状態のモータ1aを駆動する場合について説明する。前述の通り、第1のスイッチングモードは、スイッチング素子のオン及びオフのタイミングをインバータ3a,3bの同相同士で揃えてスイッチング動作を行うモードである。従って、第2の結線状態のモータ1aを駆動する場合、第1のスイッチングモードを選択してしまうと、モータ1aの各同相の端子同士、即ち端子UAと端子UB、端子VAと端子VB及び端子WAと端子WBとが同電位となる。従って、インバータ3aがモータ1aに印加する電圧と、インバータ3bがモータ1aに印加する電圧とが打ち消しあい、モータ1aに印加される合成電圧がほぼ零となってモータ1aを駆動することができない。このため、第2の結線状態のモータ1aを駆動する場合は、第2のスイッチングモードのみでモータ1aを駆動する必要がある。
従って、モータ1aが開放型巻線である場合、モータ1aの結線状態を考慮して第1のスイッチングモード及び第2のスイッチングモードのうちの何れかを選択すれば、モータ1aを駆動できなくなるモードを回避することが可能となる。
以上説明したように、実施の形態4に係るモータ駆動装置によれば、モータが各相の巻線の端部がモータの外部に引き出された開放型巻線のモータである場合、モータの結線状態をモード選択情報とし、モード選択情報に基づいて第1又は第2のスイッチングモードを選択する。これにより、モータの結線状態が第1の結線状態である場合には、実施の形態1から実施の形態3で説明した効果を得ることができる。また、モータの結線状態が第2の結線状態である場合には、モータを駆動できなくなるモードを回避できるという効果が得られる。
実施の形態5.
実施の形態5では、実施の形態1から4で説明したモータ駆動装置100から100cを、空気調和装置に適用した例について説明する。実施の形態1から4で説明したモータ駆動装置100から100cは、複数のインバータで1台のモータを駆動するモータ駆動装置である。このため、モータ駆動装置100から100cのうちの何れかを空気調和装置に適用することで、空気調和装置を大容量化でき、冷暖房能力が高く、且つ、損失の小さい空気調和装置を実現することができる。
図14は、実施の形態5に係る空気調和装置200の構成例を示す図である。空気調和装置200は、室外機67と、室内機68と、空調制御部69と、を備える。室外機67は、電力源2に接続されている。室外機67は、モータ駆動装置100と、圧縮機60と、四方弁62と、熱源側熱交換器63と、熱源側膨張弁64と、を備える。室内機68は、負荷側膨張弁65と、負荷側熱交換器66と、を備える。圧縮機60は、モータ1を駆動源とする圧縮要素61を備える。図14では、モータ駆動装置100を例示しているが、モータ駆動装置100aから100cのうちの何れかに置き替えてもよい。
空気調和装置200では、圧縮機60、四方弁62、熱源側熱交換器63、熱源側膨張弁64、負荷側膨張弁65、負荷側熱交換器66、四方弁62、そして、圧縮機60の順に冷媒配管70によって接続された冷媒回路が構成されている。空気調和装置200では、冷媒回路に冷媒が流れることによって冷凍サイクルが成立する。空気調和装置200は、圧縮機60によって冷凍サイクルの冷媒を圧縮する。図14では図示していないが、圧縮機60の吸入側に過剰な冷媒を貯留するアキュームレータを設けてもよい。冷媒回路を制御するにあたり、空調制御部69は、四方弁62、熱源側膨張弁64、および負荷側膨張弁65を制御する。なお、図14に示す冷凍サイクルの構成は一例であり、必ずしも同じ冷凍サイクルの構成でなくてもよい。
次に、図14で示される空気調和装置の動作について、冷房運転を例に説明する。暖房運転については詳細を省略するが、四方弁62における流路の切り替えによって暖房運転も実現できる。冷房運転に際し、四方弁62は予め圧縮機60から吐出された冷媒が熱源側熱交換器63へ向かうように、且つ、負荷側熱交換器66から流出した冷媒が圧縮機60へ向かうように流路を切り替えているものとする。
モータ駆動装置100によってモータ1を駆動することで、モータ1に連結した圧縮要素61が冷媒を高温高圧の冷媒に圧縮する。圧縮機60は、高温高圧の冷媒を吐出する。圧縮機60から吐出した高温高圧の冷媒は、四方弁62を経由して、熱源側熱交換器63へ流入し、熱源側熱交換器63において外部の空気と熱交換して放熱される。熱源側熱交換器63から流出した冷媒は、熱源側膨張弁64において膨張及び減圧され、低温低圧の気液二相冷媒となる。低温低圧の気液二相冷媒となった冷媒は、負荷側膨張弁65において膨張及び減圧されて、負荷側熱交換器66へ流入し、空調対象空間の空気と熱交換して蒸発し、低温低圧の冷媒となって、負荷側熱交換器66から流出する。負荷側熱交換器66から流出した冷媒は、四方弁62を経由して、圧縮機60に吸入され、再び圧縮される。空気調和装置200では、以上の動作が繰り返される。
なお、モータ駆動装置100の主にインバータ3a,3bを冷却する目的で、インバータ3a,3bの構成要素であるパワーモジュールに冷却プレートを接触させてもよい。更に、この冷却プレートに冷媒配管70を接触させて、冷媒配管70に流れる冷媒にインバータ3a,3bにおける発熱を吸熱させるようにしてもよい。このようにすれば、インバータ3a,3bの温度上昇を効率的に抑制できる。
なお、図14に示す空気調和装置200では、熱源側膨張弁64を室外機67に備え、負荷側膨張弁65を室内機68に備える構成としているが、これは、モータ駆動装置100の冷却能力を2つの膨張弁である熱源側膨張弁64及び負荷側膨張弁65のそれぞれで独立に制御可能なようにするためである。この構成は、冷媒を細やかに制御するのに適しており、冷媒を効率よく制御できる。なお、図14の構成は一例であり、必ずしも2つの膨張弁を備える構成にしなくてもよく、膨張弁を室内機68又は室外機67のうちの何れか一方に備える構成としてもよい。
実施の形態5では、実施の形態1から4に係るモータ駆動装置100から100cを、空気調和装置200に適用した例を示したが、これに限定されるものではない。実施の形態1から4に係るモータ駆動装置100から100cを、空気調和装置200の他、ヒートポンプ装置、冷凍装置などの冷凍サイクルを有する機器に適用することができる。また、モータの回転力によって駆動力を得る乾燥機、洗濯機、掃除機などの圧縮機を搭載していない製品への適用も可能であり、ファンモータなどへの適用も可能である。
以上説明したように、実施の形態5に係る空気調和装置によれば、実施の形態1から4に係るモータ駆動装置を適用することで、空気調和装置を大容量化でき、空調能力が高く、且つ、損失の小さい空気調和装置を実現することができるという効果が得られる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1,1a モータ、2 電力源、3a,3b,3c,3d インバータ、4,4a,4b,4c 制御部、5a,5b 電流検出部、6 負荷、7a,7b,7c,7d 温度検出器、8a,8b リアクトル、9 結線切替部、21a 三相交流電源、21b 単相交流電源、22a,22b 交流直流変換器、60 圧縮機、61 圧縮要素、62 四方弁、63 熱源側熱交換器、64 熱源側膨張弁、65 負荷側膨張弁、66 負荷側熱交換器、67 室外機、68 室内機、69 空調制御部、70 冷媒配管、90u,90v,90w 開閉器、91u,91v,91w 切替器、92 中性点ノード、100,100a,100b,100c モータ駆動装置、200 空気調和装置、300 プロセッサ、302 メモリ、303 処理回路、304 インタフェース。

Claims (10)

  1. 電力源から供給される直流電圧を三相交流電圧に変換して同一のモータに印加する複数のインバータを備えたモータ駆動装置であって、
    複数の前記インバータで前記モータを駆動する際に、
    各々の前記インバータの同相におけるスイッチング素子のオン及びオフのタイミングを複数の前記インバータ同士で揃えて各々の前記インバータのスイッチング動作を行う第1のスイッチングモードと、
    各々の前記インバータの同相における前記スイッチング素子のオン及びオフのタイミングを複数の前記インバータ同士で異として各々の前記インバータのスイッチング動作を行う第2のスイッチングモードと、
    を有し、
    モード選択情報に基づいて前記第1又は第2のスイッチングモードを選択する
    モータ駆動装置。
  2. 複数の前記インバータの各々に流れる電流を検出する電流検出部を備え、
    前記モード選択情報は、前記電流検出部で検出された各々の電流検出値である
    請求項1に記載のモータ駆動装置。
  3. 複数の前記インバータにおける各々の温度を検出する第1の温度検出器を備え、
    前記モード選択情報は、前記第1の温度検出器で検出された各々の温度情報である
    請求項1又は2に記載のモータ駆動装置。
  4. 複数の前記インバータと前記モータとは、配線ケーブルを介して接続され、
    前記配線ケーブルの各々には前記配線ケーブルの各々の温度を検出する第2の温度検出器を備え、
    前記モード選択情報は、前記第2の温度検出器で検出された各々の温度情報である
    請求項1から3の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
  5. 複数の前記インバータと前記モータとは配線ケーブルを介して接続され、前記配線ケーブルにはリアクトルが挿入され、
    前記リアクトルの各々には前記リアクトルの各々の温度を検出する第2の温度検出器を備え、
    前記モード選択情報は、前記第2の温度検出器で検出された各々の温度情報である
    請求項1から3の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
  6. 前記モード選択情報が許容値の範囲内であれば前記モータを前記第1のスイッチングモードで駆動し、
    前記モード選択情報が許容値の範囲外であれば前記モータを前記第2のスイッチングモードで駆動する
    請求項2から5の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
  7. 前記モータは各相の巻線の端部が前記モータの外部に引き出された開放型巻線のモータであり、
    前記モータの結線状態を切り替える結線切替部を備え、
    前記モード選択情報は前記モータの結線状態である
    請求項1に記載のモータ駆動装置。
  8. 複数の前記インバータは、第1及び第2のインバータから成り、
    前記モータの各相の巻線の片方の端部が引き出された第1の端子を前記第1のインバータに接続し、且つ、前記結線切替部を介して前記第1の端子を前記第2のインバータに接続し、且つ、前記結線切替部を動作させて前記モータの各相の巻線のもう片方の端部が引き出された第2の端子を短絡する第1の結線状態と、
    前記結線切替部を動作させて前記第1の端子との接続を前記第1のインバータのみとし、前記第2の端子を前記第2のインバータに接続する第2の結線状態と、
    を有する請求項7に記載のモータ駆動装置。
  9. 前記第2の結線状態においては、前記第2のスイッチングモードのみで前記モータを駆動する
    請求項8に記載のモータ駆動装置。
  10. 請求項1から9の何れか1項に記載のモータ駆動装置と、
    前記モータを駆動源とする圧縮機と、
    を備え、
    前記圧縮機によって冷凍サイクルの冷媒が圧縮される
    空気調和装置。
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