JP7291911B2 - 電気ニッケルめっき液中の添加剤濃度推定方法 - Google Patents

電気ニッケルめっき液中の添加剤濃度推定方法 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 長野県工業技術総合センター、長野県工業技術総合センター研究報告No.13、p.P1-P4、平成30年(2018年)10月31日発行
本発明は、電気ニッケルめっき液中の添加剤の濃度推定方法に関する。ここで添加剤とは、めっき液にわずかに添加することで、無添加の場合に比べてめっき皮膜の様々な特性を変化させる化学物質を指す。
電気めっきに用いるめっき液は、一般に高濃度の金属塩を含む溶液であり、そこに少量の添加剤を加えて用いることが多い。添加剤の主な役割はめっき皮膜の光沢や機械特性、また付きまわり性などの改善であり、目的とする性能を得るためには適切な濃度でめっき液に添加する必要がある。一般的に添加剤はめっき液を使用するにつれて消費されるため、適宜補充する必要がある。しかし、めっき液中に添加される添加剤の濃度が低いため、実用されているめっき液中の添加剤の濃度を測定することは難しく、一般に添加剤の濃度を定量的に管理することは難しい傾向にある。
多数あるめっき種のうち、電子回路の銅配線の製造に多く利用されている銅めっき浴については、添加剤の濃度管理方法に関する開発が進められてきている。例えば非特許文献1に示されるサイクリックボルタンメトリストリッピング法が実用化されている。また、特許文献1では、特に複数種の添加剤が添加された銅めっき液の電流-電位曲線を測定し、この電流-電位曲線から特定の添加剤の濃度のみに依存して変化する特定の電位における電流を見つけて添加剤の濃度を算出する方法が示されている。しかし、これらの方法を他のめっき液にそのまま利用することはできず、銅めっき浴以外では、添加剤の濃度の定量管理に関する実用的な技術はいまだ開発されていない状況である。
代表的なめっき液としてワット浴と呼ばれる電気ニッケルめっき液を例に挙げる。ニッケルめっきは様々な工業分野で広範囲に利用されているめっき種であり、その大半はワット浴である。ワット浴に添加される添加剤は一般には光沢剤と呼ばれており、めっき皮膜の表面を平滑にして光沢をもたらすのと同時に、めっき皮膜の内部応力の制御などの効果も持っている。ワット浴中の光沢剤の濃度を測定することは既存の技術では困難なため、非特許文献2では、めっき液の負荷量に相当する通電量などから消費量を予想し、随時補給する管理方法が推奨されており、この方法が広く実用されている。しかし、この非特許文献2の方法では、通電量から予想される光沢剤の消費量を多めに、あるいは少なめに見積もってしまった場合、長期的にはめっき液中の光沢剤濃度は過大、あるいは過小となっていき、いずれは求める品質のめっきが行えなくなってしまうことは明白である。このほかに光沢剤の濃度を見極める手法の一つとして、試験めっきを行って目視検査を行うハルセル試験が知られているが、ハルセル試験は官能的な判断を必要とする方法であり、熟練者が行っても光沢剤の濃度を正確に見極めることは難しい。また液体クロマトグラフなどの機器分析によって光沢剤を定量分析する方法も考えらえるが、濃厚なめっき液中に含まれる微量な光沢剤を測定することになるために装置の汚損などの恐れがあり、実用的なめっき液の管理方法とし難い問題がある。
特開2001-152398号公報
小谷秀人.CVS分析装置による電解銅めっき液の分析.表面技術.54, 278-280(2003) 電気鍍金研究会.現代めっき教本.日刊工業新聞社.p.212(2011) 電気鍍金研究会.次世代めっき技術-表面技術におけるプロセス・イノベーション-.日刊工業新聞社. p.10(2004)
本発明は、従来の問題を解決するために、実用される電気ニッケルめっき液中の添加剤濃度を推定するのに適した方法を提供することを目的とするものである。
前述した課題を解決するため、請求項1は、標準メッキ液に添加剤が加えられ、該添加剤の濃度が既知の電気ニッケルめっき液を、添加剤濃度と推定値の関係が一価関数になるとみなせる領域まで前記標準めっき液で希釈して測定対象となる第1の電気ニッケルめっき液を準備し、標準メッキ液に添加剤が加えられ、該添加剤の濃度が未知の電気ニッケルめっき液を、添加剤濃度と推定値の関係が一価関数になるとみなせる領域まで前記標準めっき液で希釈して測定対象となる第2の電気ニッケルめっき液を準備し、電気ニッケルめっき液の電気化学特性を測定する際、作用電極上に測定対象となる前記第1の電気ニッケルめっき液でめっき皮膜を析出させた後に、前記作用電極の電位を前記めっき皮膜の酸化溶解が開始するまで変化させた間の電気化学特性を測定して、特定の電位における電流密度、特定の電流密度における電位、特定の電位における分極曲線の勾配および特定の電流密度における分極曲線の勾配のうち、少なくとも1つ以上を求めて還元反応及び酸化反応に由来する説明変数として用い、あらかじめ第1の電気ニッケルめっき液中の添加剤の濃度と説明変数の関係を表す関数を作成しておき、電気ニッケルめっき液の電気化学特性を測定する際、作用電極上に測定対象となる前記第2の電気ニッケルめっき液でめっき皮膜を析出させた後に、前記作用電極の電位を前記めっき皮膜の酸化溶解が開始するまで変化させた間の電気化学特性を測定して、前記第2の電気ニッケルめっき液で測定された電気化学特性から還元反応及び酸化反応に由来する説明変数の値を求めて前記の関数に代入することで、未知の電気ニッケルめっき液の中の添加剤の濃度を推定する方法である。
請求項2は、請求項1に記載の方法で、前記作用電極が銅電極であることを特徴とする方法である。
請求項4は、請求項1、2もしくは3の方法で、添加剤としてサッカリンとブチンジオールの両方の濃度を推定することを特徴とする方法である。
本発明によれば、比較的簡便に実施できる電気化学測定の結果から、電気ニッケルめっき液の中の添加剤の濃度を推定できるようになり、めっき液中の添加剤の定量的な濃度管理が可能になる。これにより、電気ニッケルめっき浴の管理が簡素化あるいは精密化でき、電気ニッケルめっきの品質を向上させることができる。
本発明を実施する際に用いる装置の模式図である。 添加剤の有無による分極曲線の違いを示したグラフである。 サッカリンの有無の推定結果を示したグラフである。 ブチンジオールの有無の推定結果を示したグラフである。 サッカリンの濃度推定結果を示したグラフである。 ブチンジオールの濃度推定結果を示したグラフである。 本発明による添加剤の濃度推定のフローチャートである。
ワット浴に含まれる基本成分と、その一般的な濃度を表1に示す。
Figure 0007291911000001
実用されるニッケルめっき工程では、各成分は表1の2/3倍から3/2倍程度の濃度で操業されることがある。また液性は一般的にpH4前後に調整して使うが、用途によりpH2からpH5程度の範囲内で操業されることがある。表1に示した組成の液をそのまま用いて電気めっきを行うと無光沢のニッケルめっき皮膜が得られる。
表2に電気ニッケルめっきの添加剤として利用されている代表的な化学種を示す。
Figure 0007291911000002
サッカリンナトリウム2水和物の有効成分はサッカリンである。また、2-ブチン-1,4-ジオールは、一般にはブチンジオールと呼ばれている。電気ニッケルめっき用の添加剤は、サッカリンとブチンジオール以外にも様々な物質が知られているが、この2種類の物質を適切な比率で用いる方法が広く利用されている。表2に示したサッカリンおよびブチンジオールの濃度は代表的な値であり、所望するめっき皮膜の特性によって適切な濃度は変わる。また、一般的にはこの数倍程度の濃度になると、めっき皮膜に様々な障害が発生する。また、数分の1程度になると、めっき皮膜の光沢が失われてくる。このため添加剤の濃度管理は、めっき皮膜の品質を管理する上で重要であるが、これらの濃度の実用可能な管理手法はこれまで存在しておらず、電気ニッケルめっきにおける大きな技術課題となっている。
図1に本特許を実施するための装置の例を示す。この装置は電気化学測定に用いられる一般的な3電極型セルとポテンショスタット2を組み合わせた装置である。ポテンショスタット2に接続された制御部1で、ポテンショスタット2から出力される電位の制御や測定される電流の記録、取得データの解析が行われる。対極5には長期耐久性が期待できる白金電極を用いた。また参照電極4には銀-塩化銀電極を用いた。作用電極3には一定の形状の銅電極を用いた。この装置で、表1の成分だけを含むめっき液と、さらに表2に示した添加剤を添加しためっき液を測定対象6として電気化学特性を測定した。作用電極3の電位を、-0.3Vから開始して1mV/secの速度で-1.2Vまで走査し、その後、同じく1mV/secの速度で0Vまで走査して電流の変化を測定した。この条件だと、-0.3Vから-1.2Vまで走査する間に作用電極3表面にニッケルめっき皮膜が析出し、以降の測定は析出したニッケルめっき皮膜上で行われることになり、作用電極3の初期の表面状態の影響を低減し、測定対象6となるニッケルめっき液の特性にのみを反映した測定が可能となる。-1.2Vで折り返したのち、0V付近になると析出したニッケルめっき皮膜の酸化溶解が開始する電位となるが、この酸化溶解が起こる場合でも、めっき液に溶け出すのはこのめっき液から析出しためっき皮膜であるため、測定対象6であるめっき液を汚染せず、また酸化溶解自体も測定対象6であるニッケルめっき液の特性を反映したものとなる利点がある。
表1のめっき液に表2に示した添加剤を添加した場合と添加しない場合の分極曲線を図2に示す。図2に示した分極曲線は、-1.2Vから0Vまで電位を走査したときの電流の変化である。対数軸で表すために、電流は絶対値として図示している。表1の基本成分のみの場合と、サッカリンおよびブチンジオールを添加した場合で、分極曲線に変化が現れていることがわかる。これらの分極曲線の特徴を定量化するために、特定の電位における電流密度、特定の電流密度における電位、特定の電位おける分極曲線の勾配、および特定の電流密度における分極曲線の勾配を複数選択して読み取り、これらをこの分極曲線を測定したそれぞれのめっき液の特性値として定義した。
表1に示した成分の濃度を様々に変えためっき液を作製し、これらの液に対してサッカリンとブチンジオールを添加した場合と添加していない場合の分極曲線を測定し、特性値を求めた。さらに多変量解析により、サッカリンもしくはブチンジオールの添加の有無と特性値との相関を調べた。なお添加する場合のサッカリンとブチンジオールの濃度は表2の値に固定した。サッカリンとブチンジオールのそれぞれで相関の高かった特性値を2つ選定し、これらの特性値とサッカリンとブチンジオールのそれぞれで、多変量解析により添加の有無を推定する式を作成した。便宜上この式では、添加剤の濃度を、添加ありの場合を1、添加なしの場合を0としている。この式による添加剤の推定値と実際の添加濃度の相関を図3および図4に示す。図3はサッカリン、図4はブチンジオールについて示している。これらの結果から、ニッケルめっき液中の主成分の濃度が変動しても、ここで作成した推定式によって、サッカリンおよびブチンジオールの添加の有無が層別できることがわかる。この推定式の作成に用いた特性値は、サッカリンは電位0V時の電流密度と電流密度-40mA/cm2時の電位であり、ブチンジオールは電位-0.4V時の電流密度と電流密度-1mA/cm2時の電位である。なおいずれも酸化電流を正と定義している。これらは、必ずしも最適化された特性値ではなく、より適切な特性値が存在することを否定するものではないが、これらの特性値にはめっき成膜とは逆反応となる酸化溶解を反映したものも含まれており、めっきの添加剤の効果は還元反応である成膜以外にも現れ得ることを示している。
図3、4に用いた式の添加剤濃度の定量的な推定への利用可能性を調べるために、表1の濃度の基本液に対して、様々な濃度の添加剤を添加し、上述した方法で特性値を測定した。この特性値を図3、4に用いた推定式に代入し、推定値を求めた。サッカリンでの結果を図5に、ブチンジオールでの結果を図6に示す。これらの図からわかるように、表2の値に対して、サッカリンの場合は0.03倍以下程度の場合に、ブチンジオールの場合は0.5倍以下程度の場合に、添加濃度と推定値の関係が一価関数になると見なせる領域が存在している。すなわち、この推定式では表2に示した一般的な添加剤の濃度よりも、かなり希薄な濃度領域において、より高い精度で添加剤の濃度を推定できる領域が存在していることを示している。この領域を利用して添加剤の濃度を推定するためには、例えば、測定対象6となるめっき液を、表1の組成をもつ標準めっき液で希釈した後に、ここに示した方法で測定すればよい。この方法で求まるのは図5、6の縦軸に相当する推定値であるが、この推定値から、定量的な濃度への換算は、図5、6に示された関係から実施できることは明白である。例えば図5、6から推定される曲線をカーブフィッティングして関数を求め、この逆関数によって推定値を補正してやれば、この補正済み推定値は、表2に示した濃度に対する相対値として添加剤の濃度を定量的に示す値となる。また、測定対象6となるめっき液を、前述したように標準めっき液で希釈して測定した場合には、その希釈率を係数として測定対象6となるめっき液の濃度に換算することができる。以上のことから、本方法でニッケルめっき液中のサッカリンおよびブチンジオールの濃度が推定できる。本実施例による添加剤の濃度推定フローをまとめたものを、図7を示す。
前述した実施例では、サッカリンとブチンジオールの2種類に対して、それぞれ相関係数が高い2つの説明変数のみを用いて濃度を推定した。しかし、本発明の方法は、さらに多くの説明変数を用いてそれぞれの濃度推定を行うことが可能である。ニッケルめっきは、電子回路用の銅めっきよりもはるかに利用分野が広いため、めっき液自体の組成や、含まれ得る不純物についても、はるかに多様性が高い。このため、特定の添加剤の濃度をのみを強く反映するめっき液の特性値が必ずしも存在するとは限らない。例えば図2で、電位が0Vである場合の電流密度や電位が-0.4V時の電流密度を見ると、サッカリンとブチンジオールの両者の影響を受けて電流密度の値が変化している状況が見受けられる。このように濃度を求めたい特定の添加剤の濃度に相関を持ちつつ、他の要因の影響を受ける特性値も存在する。このような場合でも、複数の適当な特性値を用いることで、次に示すように目的とする添加剤の濃度を推定することが可能となる。
簡単なモデルとして、添加剤a(濃度a)を含むめっき液で、測定の妨害となる要因b(濃度b)が存在していた場合、このめっき液の電気化学特性から適切な特性値f(a,b)と特性値g(a,b)の2つを選定し、あらかじめ濃度a、bと特性値f、gの関係を調べておけば、説明変数と目的変数の数が同じであるため、未知試料で測定した特性値f、gから濃度a、bを推定できることになり、添加剤の濃度aが推定可能となる。このように複数の特性値を説明変数として用いることができれば、添加剤の濃度のみを反映する特性値が存在しない場合でも、添加剤の濃度を推定することができる。
測定した電気化学特性から、どの特性値を説明変数として利用し、どのように関係を予測するかは、その時の状況によって適宜変更することが可能である。例えば、妨害要因bが存在しない最も単純なケースでは、電気化学特性のデータから適当な1つの特性値fを目視で選択して説明変数とし、fとaの関係を表す一元方程式を求めて添加剤の濃度aを推定すればよい。特性値の数は必要に応じて可能な限り増やすことがでる。例えば、十分に多くの測定データを集めることができるのであれば、ディープラーニングなどの人工知能アルゴリズムを利用することも可能である。このような、測定した電気化学特性と目的とする添加剤の濃度の関係を求める作業は、数学的には、説明変数の選定と推定式を作成することと等価であるが、ここにどのような方法を用いる場合でも本発明の範囲に含まれる。
本発明の実施例として示した電位を一定速度で変化させながら電流を測定するリニアスイープ法は最も基本的な電気化学測定技法であるが、その他の様々な測定技法を利用することで、添加剤の濃度とより強い相関を持つ特性値を測定できる可能性がある。例えば、微分パルス法を用いれば、より直接的に分極曲線の傾きに相当する値を求めることができる。また、リニアスイープ法であっても、電位の走査速度や液の撹拌状態を変えると、特に液中の低濃度の成分については作用電極表面への供給速度に依存して電流密度に変化が現れること予想されるため、本発明で用いる説明変数としてより適した特性値が得られる可能性がある。このため、本発明の実施に際しては、説明変数として利用する特性値をより適切に求められる電気化学測定技法を用いることが望ましい。また、本発明の実施例で用いたポテンショスタットに替えて、ガルバノスタットを用いて電気化学測定を行うことも本発明の範囲に含まれる。
めっき液の添加剤は、一般に、金属種の還元析出過程に関与するものであり、例えば光沢剤であれば、析出していく金属皮膜の表面粗さを減少させていくような効果を持っている。しかし、本発明の実施例として示したように、析出した金属皮膜の酸化反応にも添加剤が関与することがある。このメカニズムとしては、析出した金属皮膜の酸化溶解をめっき液中の添加剤が促進する場合と、金属皮膜が析出する際に添加剤の作用として金属皮膜の組成や組織を変えることで析出した金属の化学特性に変化をもたらす場合が考えられる。実際にニッケルめっき用の光沢剤に用いられるサッカリンは、析出するニッケル皮膜中に硫黄を共析させる作用があることが知られており、このため、光沢めっきとした場合には、純ニッケルよりも卑な金属皮膜となることが知られている。このように、添加剤の作用は化学的な観点からは析出した金属皮膜の酸化反応にも影響を及ぼすことがあるため、本発明のとおり、析出させた金属皮膜を、再度酸化させる過程における電気化学特性を利用することでも、めっき液中の添加剤の濃度に関する有用な情報を得ることができる。
本発明の実施例として、測定対象6となるめっき液を標準のめっき液で希釈した後に電気化学測定する方法を示した。一般にめっき液の添加剤は多少の濃度変動は許容することが求められるため、濃度が許容範囲内にある場合は、めっき液の電気化学特性にもほぼ影響を及ぼさないことが考えられる。例えば非特許文献3に示されるように、ニッケルめっきの添加剤の一部は、一定濃度以上になるとめっきが成長する表面に飽和吸着して、めっき液中の濃度に依存せずに作用することが知られている。このような場合、測定対象6とするめっき液を希釈することで、光沢剤の濃度と電気化学特性が強く相関する領域に移行させることが可能となる。また、測定対象6となる液を希釈する方法は、例えばめっき液の主成分の濃度の変化や、測定対象6となるめっき液中の不純物の悪影響も低減させることができるメリットがある。
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここに示した本発明の実施形態は実用されている電気ニッケルめっき液の状態によっては必ずしも最良とはなり得ないため、適宜変更が加えられることが望ましく、その変更を加えた形態も主旨を逸脱しない範疇では本発明の範囲に含まれる。
1 制御部
2 ポテンショスタット
3 作用電極
4 参照電極
5 対極
6 測定対象(めっき液)

Claims (3)

  1. 標準メッキ液に添加剤が加えられ、該添加剤の濃度が既知の電気ニッケルめっき液を、添加剤濃度と推定値の関係が一価関数になるとみなせる領域まで前記標準めっき液で希釈して測定対象となる第1の電気ニッケルめっき液を準備し、
    標準メッキ液に添加剤が加えられ、該添加剤の濃度が未知の電気ニッケルめっき液を、添加剤濃度と推定値の関係が一価関数になるとみなせる領域まで前記標準めっき液で希釈して測定対象となる第2の電気ニッケルめっき液を準備し、
    電気ニッケルめっき液の電気化学特性を測定する際、作用電極上に測定対象となる前記第1の電気ニッケルめっき液でめっき皮膜を析出させた後に、前記作用電極の電位を前記めっき皮膜の酸化溶解が開始するまで変化させた間の電気化学特性を測定して、特定の電位における電流密度、特定の電流密度における電位、特定の電位における分極曲線の勾配および特定の電流密度における分極曲線の勾配のうち、少なくとも1つ以上を求めて還元反応及び酸化反応に由来する説明変数として用い、あらかじめ第1の電気ニッケルめっき液中の添加剤の濃度と説明変数の関係を表す関数を作成しておき、
    電気ニッケルめっき液の電気化学特性を測定する際、作用電極上に測定対象となる前記第2の電気ニッケルめっき液でめっき皮膜を析出させた後に、前記作用電極の電位を前記めっき皮膜の酸化溶解が開始するまで変化させた間の電気化学特性を測定して、前記第2の電気ニッケルめっき液で測定された電気化学特性から還元反応及び酸化反応に由来する説明変数の値を求めて前記の関数に代入することで、未知の電気ニッケルめっき液の中の添加剤の濃度を推定することを特徴とする電気ニッケルめっき液中の添加剤濃度推定方法。
  2. 請求項1に記載の方法で、前記作用電極が銅電極である電気ニッケルめっき液中の添加剤濃度推定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法で、添加剤としてサッカリンとブチンジオールの両方の濃度を推定する電気ニッケルめっき液中の添加剤濃度推定方法。
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