半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成されたウェハに対し、当該ウェハの裏面を研削して、ウェハを薄化することが行われている。そして、当該ウェハの研削面に形成される研削痕を除去して研削面を平滑化するため、当該研削面にはエッチング処理(例えばウェットエッチング)が行われる。
また、ウェハの周縁部は面取り加工がされているが、上述したようにウェハに研削処理を行うと、ウェハの周縁部が鋭く尖った形状(いわゆるナイフエッジ形状)になる。そうすると、ウェハの周縁部でチッピングが発生し、ウェハが損傷を被るおそれがある。そこで、研削処理前に予めウェハの周縁部を削る、いわゆるエッジトリムが行われている。
通常、これらエッジトリム、裏面研削処理及びエッチング処理は、ウェハ処理装置の内部に設けられた吸着テーブル(例えば真空チャック等)上にウェハを載置した状態で行われる。当該吸着テーブルに対してウェハの搬入をするにあたっては、ウェハの上面を吸着保持して搬送するウェハ搬送機構により吸着テーブルの上方までウェハが搬送され、その後当該ウェハが吸着テーブル上に載置される。また、ウェハの搬出をするにあたっては、同様にウェハの上面を吸着保持して搬送するウェハ搬送機構を吸着テーブルに保持されたウェハの上方へと移動させ、その後当該ウェハを吸着保持して搬出する。
しかしながら、例えば前記裏面研削を行う裏面研削装置と、前記エッチングを行うエッチング装置とを一体のシステムとして構成する場合、吸着テーブルに対して異なるウェハ保持形式を有するウェハ搬送機構により搬入、搬出をそれぞれ行うことが必要となる。すなわち、例えばウェハ処理装置に対してウェハを搬入する際には当該ウェハは下面が保持され、搬出する際には当該ウェハは上面が保持される必要がある場合がある。かかる場合、上述の吸着テーブルに対してウェハを適切に搬入出することができない。すなわち、上述のようにウェハの上面を保持して搬送を行うウェハ搬送機構であれば、吸着テーブルに対して適切にウェハの搬入出を行うことができるところ、ウェハの下面を保持して搬送するウェハ搬送機構によっては、吸着テーブルに対して適切にウェハの搬入出を行うことができない。
本開示にかかる技術は、ウェハ搬送機構の基板保持形式よらず適切にウェハ処理装置が備える吸着テーブルに対してウェハの搬入出を行う。以下、本実施形態にかかる基板処理装置としての改質装置を備えたウェハ処理システム、及び基板処理方法としてのウェハ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
先ず、本実施形態にかかるウェハ処理システムの構成について説明する。図1は、ウェハ処理システム1の構成の概略を模式的に示す平面図である。
ウェハ処理システム1では、図2及び図3に示すように被処理ウェハWと支持ウェハSとが接合された、重合ウェハTに対して所定の処理を行う。そしてウェハ処理システム1では、被処理ウェハWの周縁部Weを除去し、さらに当該被処理ウェハWを薄化する。以下、被処理ウェハWにおいて、支持ウェハSに接合された面を表面Waといい、表面Waと反対側の面を裏面Wbという。同様に、支持ウェハSにおいて、被処理ウェハWに接合された面を表面Saといい、表面Saと反対側の面を裏面Sbという。
被処理ウェハWは、例えばシリコンウェハなどの半導体ウェハであって、表面Waに複数のデバイスを含むデバイス層(図示せず)が形成されている。また、デバイス層にはさらに酸化膜F、例えばSiO2膜(TEOS膜)が形成されている。なお、被処理ウェハWの周縁部Weは面取り加工がされており、周縁部Weの断面はその先端に向かって厚みが小さくなっている。
なお、図2においては、図示の煩雑さを回避するため、酸化膜Fの図示を省略している。また、以下の説明で用いられる他の図面においても同様に、酸化膜Fの図示を省略する場合がある。
支持ウェハSは、被処理ウェハWを支持するウェハであって、例えばシリコンウェハである。支持ウェハSの表面Saには酸化膜(図示せず)が形成されている。また、支持ウェハSは、被処理ウェハWの表面Waのデバイスを保護する保護材として機能する。なお、支持ウェハSの表面Saの複数のデバイスが形成されている場合には、被処理ウェハWと同様に表面Saにデバイス層(図示せず)が形成される。
ここで、被処理ウェハWの周縁部Weにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSが接合されていると、周縁部Weを適切に除去できないおそれがある。そこで、被処理ウェハWと支持ウェハSの界面には、酸化膜Fと支持ウェハSの表面Saが接合された接合領域Aaと、接合領域Aaの径方向外側の領域である未接合領域Abとを形成する。このように未接合領域Abが存在することで、周縁部Weを適切に除去できる。
図1に示すようにウェハ処理システム1は、搬入出ステーション2と処理ステーション3を一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2は、例えば外部との間で複数の重合ウェハTを収容可能なカセットCtが搬入出される。処理ステーション3は、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。図示の例では、カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセットCtをY軸方向に一列に載置自在になっている。なお、カセット載置台10に載置されるカセットCtの個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10のX軸負方向側において、当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送装置20が設けられている。ウェハ搬送装置20は、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在に構成されている。また、ウェハ搬送装置20は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム22、22を有している。各搬送アーム22は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム22の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置20は、カセット載置台10のカセットCt、及び後述するトランジション装置30に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
搬入出ステーション2には、ウェハ搬送装置20のX軸負方向側において、当該ウェハ搬送装置20に隣接して、重合ウェハTを受け渡すためのトランジション装置30が設けられている。
処理ステーション3には、例えば3つの処理ブロックG1~G3が設けられている。第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2、及び第3の処理ブロックG3は、X軸正方向側(搬入出ステーション2側)から負方向側にこの順で並べて配置されている。
第1の処理ブロックG1には、エッチング装置40、洗浄装置41、及び第1の搬送機構としてのウェハ搬送機構50が設けられている。エッチング装置40と洗浄装置41は、積層して配置されている。なお、エッチング装置40と洗浄装置41の数や配置はこれに限定されない。例えば、エッチング装置40と洗浄装置41はそれぞれX軸方向に延伸し、平面視において並列に並べて載置されていてもよい。さらに、これらエッチング装置40と洗浄装置41はそれぞれ、積層されていてもよい。
エッチング装置40は、後述する加工装置80で研削された被処理ウェハWの裏面Wbをエッチング処理する。例えば、裏面Wbに対して薬液(エッチング液)を供給し、当該裏面Wbをウェットエッチングする。薬液には、例えばHF、HNO3、H3PO4、TMAH、Choline、KOHなどが用いられる。なお、洗浄装置41による裏面Wbの洗浄が十分であれば、エッチング装置40は省略してもよい。
洗浄装置41は、後述する加工装置80で研削された被処理ウェハWの裏面Wbを洗浄する。例えば裏面Wbにブラシを当接させて、当該裏面Wbをスクラブ洗浄する。なお、裏面Wbの洗浄には、加圧された洗浄液を用いてもよい。また、洗浄装置41は、被処理ウェハWの裏面Wbと共に、支持ウェハSの裏面Sbを洗浄する構成を有していてもよい。
ウェハ搬送機構50は、例えばエッチング装置40と洗浄装置41に対してY軸負方向側に配置されている。ウェハ搬送機構50は、重合ウェハTの下面を保持して搬送する搬送アーム51を有している。搬送アーム51は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム51の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送機構50は、トランジション装置30、エッチング装置40、洗浄装置41、及び後述する改質装置60に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
第2の処理ブロックG2には、改質装置60、周縁除去装置61、及び第2の搬送機構としてのウェハ搬送機構70が設けられている。改質装置60と周縁除去装置61は、積層して配置されている。なお、改質装置60と周縁除去装置61の数や配置はこれに限定されない。
改質装置60は、被処理ウェハWの内部にレーザ光を照射し、周縁改質層M1及び分割改質層M2を形成する。改質装置60の具体的な構成は後述する。
周縁除去装置61は、改質装置60で形成された周縁改質層M1を基点に、被処理ウェハWの周縁部Weを除去する。周縁除去装置61の構成は任意であるが、例えば拡張可能なテープ(図示せず)を有している。そして、テープを被処理ウェハWの裏面Wbに貼り付けた後、当該テープを被処理ウェハWの径方向に拡張(エキスパンド)させることで、周縁改質層M1を基点に、被処理ウェハWから周縁部Weを分離する。
なお、周縁除去装置61において周縁部Weを除去する方法は、本実施形態に限定されない。例えば、周縁部Weに対してエアブローやウォータジェットを噴射し、当該周縁部Weを打圧して除去してもよい。あるいは、例えばピンセットのような治具を周縁部Weに接触させ、当該周縁部Weを物理的に除去してもよい。
ウェハ搬送機構70は、例えば改質装置60と周縁除去装置61に対してY軸正方向側に配置されている。ウェハ搬送機構70は、重合ウェハTの上面を吸着保持して搬送する搬送アーム71を有している。搬送アーム71は、多関節のアーム部材72に支持され、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム71の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送機構70は、洗浄装置41、改質装置60、周縁除去装置61、及び後述する加工装置80に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
第3の処理ブロックG3には、加工装置80が設けられている。なお、加工装置80の数や配置は本実施形態に限定されず、複数の加工装置80が任意に配置されていてもよい。
加工装置80は、被処理ウェハWの裏面Wbを研削する。加工装置80は、回転テーブル90、粗研削ユニット100、中研削ユニット110、及び仕上研削ユニット120を有している。
回転テーブル90は、回転機構(図示せず)によって、鉛直な回転中心線91を中心に回転自在に構成されている。回転テーブル90上には、重合ウェハTを吸着保持するチャック92が4つ設けられている。チャック92は、回転テーブル90と同一円周上に均等、すなわち90度毎に配置されている。4つのチャック92は、回転テーブル90が回転することにより、受渡位置C0及び加工位置C1~C3に移動可能になっている。また、4つのチャック92はそれぞれ、回転機構(図示せず)によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
本実施形態では、受渡位置C0は回転テーブル90のX軸正方向側且つY軸正方向側の位置であり、重合ウェハTの受け渡しが行われる。第1の加工位置C1は回転テーブル90のX軸負方向側且つY軸正方向側の位置であり、粗研削ユニット100が配置される。第2の加工位置C2は回転テーブル90のX軸負方向側且つY軸負方向側の位置であり、中研削ユニット110が配置される。第3の加工位置C3は回転テーブル90のX軸正方向側且つY軸負方向側の位置であり、仕上研削ユニット120が配置される。
粗研削ユニット100では、被処理ウェハWの裏面Wbを粗研削する。粗研削ユニット100は、環状形状で回転自在な粗研削砥石(図示せず)を備えた粗研削部101を有している。また、粗研削部101は、支柱102に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。そして、チャック92に保持された被処理ウェハWの裏面Wbを粗研削砥石に当接させた状態で、チャック92と粗研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを粗研削する。
中研削ユニット110では、被処理ウェハWの裏面Wbを中研削する。中研削ユニット110は、環状形状で回転自在な中研削砥石(図示せず)を備えた中研削部111を有している。また、中研削部111は、支柱112に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。なお、中研削砥石の砥粒の粒度は、粗研削砥石の砥粒の粒度より小さい。そして、チャック92に保持された被処理ウェハWの裏面Wbを中研削砥石に当接させた状態で、チャック92と中研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを中研削する。
仕上研削ユニット120では、被処理ウェハWの裏面Wbを仕上研削する。仕上研削ユニット120は、環状形状で回転自在な仕上研削砥石(図示せず)を備えた仕上研削部121を有している。また、仕上研削部121は、支柱122に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。なお、仕上研削砥石の砥粒の粒度は、中研削砥石の砥粒の粒度より小さい。そして、チャック92に保持された被処理ウェハWの裏面Wbを仕上研削砥石に当接させた状態で、チャック92と仕上研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを仕上研削する。
以上のウェハ処理システム1には、制御装置130が設けられている。制御装置130は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、ウェハ処理システム1における後述の基板処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置130にインストールされたものであってもよい。
次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。図4は、ウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。図5は、ウェハ処理の主な工程の説明図である。なお、本実施形態では、ウェハ処理システム1の外部の接合装置(図示せず)において、被処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、予め重合ウェハTが形成されている。
先ず、図5(a)に示す重合ウェハTを複数収納したカセットCtが、搬入出ステーション2のカセット載置台10に載置される。
次に、ウェハ搬送装置20によりカセットCt内の重合ウェハTが取り出され、トランジション装置30に搬送される。続けて、ウェハ搬送機構50により、トランジション装置30の重合ウェハTの下面が保持されて取り出され、改質装置60に搬送される。改質装置60では、図5(b)に示すように被処理ウェハWの内部に周縁改質層M1及び分割改質層M2が形成される(図4のステップA1)。なお、被処理ウェハWの内部には、周縁改質層M1及び分割改質層M2からそれぞれクラックCr1、クラックCr2が進展し、表面Waと裏面Wbに到達している。また、周縁改質層M1及び分割改質層M2は厚み方向に複数形成されていてもよい。
図6は、平面視において形成された周縁改質層M1及び分割改質層M2の様子を模式的に示す説明図である。具体的に改質装置60では、先ず、被処理ウェハW(重合ウェハT)を回転させながら、レーザヘッドからレーザ光を照射して、被処理ウェハWの周縁部Weと中央部Wcの境界に周縁改質層M1を形成する。その後、レーザヘッドを移動させて、被処理ウェハWの内部であって、周縁改質層M1の径方向外側に分割改質層M2を形成する。このように周縁改質層M1及び分割改質層M2が形成されることにより、後の工程において周縁部Weを除去する際、当該周縁部Weは、環状の周縁改質層M1を基点に分離しつつ、分割改質層M2によって周縁部Weが小片化されるため、より容易に周縁部Weを除去することができる。
次に、改質層が形成された重合ウェハTは、ウェハ搬送機構70により上面が保持されて周縁除去装置61に搬送される。周縁除去装置61では、図5(c)に示すように周縁改質層M1を基点に、被処理ウェハWの周縁部Weを除去する(図4のステップA2)。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送機構70により上面が保持されて加工装置80に搬送される。加工装置80に搬送された重合ウェハTは、受渡位置C0のチャック92に受け渡される。続いて、チャック92を第1の加工位置C1に移動させる。そして、粗研削ユニット100によって、図5(d)に示すように被処理ウェハWの裏面Wbを粗研削する(図4のステップA3)。
次に、チャック92を第2の加工位置C2に移動させる。そして、中研削ユニット110によって、被処理ウェハWの裏面Wbが中研削される(図4のステップA4)。
次に、チャック92を第3の加工位置C3に移動させる。そして、仕上研削ユニット120によって、被処理ウェハWの裏面Wbが仕上研削される(図4のステップA5)。
次に、チャック92を受渡位置C0に移動させる。なお、受渡位置C0では、洗浄液ノズル(図示せず)を用いて、被処理ウェハWの裏面Wbが洗浄液によって洗浄されてもよい。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送機構70により上面が保持されて洗浄装置41に搬送される。洗浄装置41では被処理ウェハWの研削面である裏面Wbがスクラブ洗浄される(図4のステップA6)。なお、洗浄装置41では、被処理ウェハWの裏面Wbと共に、支持ウェハSの裏面Sbが洗浄されてもよい。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送機構50により下面が保持されてエッチング装置40に搬送される。エッチング装置40では被処理ウェハWの裏面Wbが薬液によりウェットエッチングされる(図4のステップA7)。上述した加工装置80で研削された裏面Wbには、研削痕が形成される場合がある。本ステップA7では、ウェットエッチングすることによって研削痕を除去でき、裏面Wbを平滑化することができる。
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送機構50により下面が保持されてトランジション装置30に搬送され、さらにウェハ搬送装置20によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、ウェハ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
なお、以上のように重合ウェハTは、改質装置60に搬入される際にはウェハ搬送機構50により下面が保持され、改質装置60から搬出される際にはウェハ搬送機構70により上面が保持される。すなわち重合ウェハTは、保持形式の異なる2つのウェハ搬送機構50及び70により、改質装置60に対してそれぞれ搬入出される。
<第1の実施形態>
次に、上述した改質装置60の第1の実施形態について説明する。図7は、改質装置60の構成の概略を示す平面図である。また、図8は改質装置60の基板処理部としての改質処理領域60aの構成の概略を示す側面図、図9は改質装置60の搬入出領域60bの構成の概略を示す側面図である。
改質装置60は、図7に示すように、被処理ウェハWに対して改質を行うための改質処理領域60aと、改質装置60に対して重合ウェハTの搬入出を行い、また当該重合ウェハTを一時的に保持するための搬入出領域60bを有している。
改質装置60は、重合ウェハTを上面で吸着保持する、例えば真空チャックや静電チャック等から成る基板保持部としての吸着テーブル200を有している。吸着テーブル200は、エアベアリング201を介して、スライダテーブル202に支持されている。スライダテーブル202の下面側には、回転部203が設けられている。回転部203は、駆動源として例えばモータを内蔵している。吸着テーブル200は、回転部203によってエアベアリング201を介して、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。スライダテーブル202は、その下面側に設けられた水平移動部204によって、基台206に設けられY軸方向に延伸するレール205に沿って、改質処理領域60aと搬入出領域60bとの間で移動可能に構成されている。なお、水平移動部204の駆動源は特に限定されるものではないが、例えばリニアモータが用いられる。
図8に示すように、改質処理領域60aにおける吸着テーブル200の上方には、基板改質部としてのレーザヘッド210が設けられている。レーザヘッド210は、レンズ211を有している。レンズ211は、レーザヘッド210の下面に設けられた筒状の部材であり、吸着テーブル200に保持された被処理ウェハWにレーザ光を照射する。
レーザヘッド210は、レーザ光発振器(図示せず)から発振された高周波のパルス状のレーザ光であって、被処理ウェハWに対して透過性を有する波長のレーザ光を、被処理ウェハWの内部の所定位置に集光して照射する。これによって、被処理ウェハWの内部においてレーザ光が集光した部分が改質し、上述した周縁改質層M1が形成される。
レーザヘッド210は、支持部材212を介して、昇降部220によって鉛直方向に昇降自在に構成されている。昇降部220は、鉛直方向に延伸するレール221と、レール221に沿って支持部材212(レーザヘッド210)を昇降させる駆動部222とを有している。なお、昇降部220は支持柱223に支持されている。
吸着テーブル200の上方であって、レーザヘッド210のY軸正方向側には、マクロカメラ230と、マイクロカメラ240とが設けられている。例えば、マクロカメラ230とマイクロカメラ240は一体に構成され、マクロカメラ230はマイクロカメラ240のY軸正方向側に配置されている。マクロカメラ230とマイクロカメラ240は、昇降部250によって昇降自在に構成され、さらに駆動部251によってY軸方向に移動自在に構成されている。
マクロカメラ230は、被処理ウェハW(重合ウェハT)の外側端部を検出する。マクロカメラ230は、例えば同軸レンズ231を備え、可視光、例えば赤色光を照射し、さらに対象物からの反射光を受光する。可視光は、被処理ウェハWの裏面Wbでは反射するが、吸着テーブル200では吸収される。このため、マクロカメラ230で検出される画像では、被処理ウェハWは白く映り、吸着テーブル200は黒く映る。なお例えば、マクロカメラ230の検出倍率は2倍である。
マクロカメラ230で検出された画像は、制御装置130に出力される。制御装置130では、マクロカメラ230で検出された画像から、吸着テーブル200の中心と被処理ウェハWの中心の第1の偏心量を算出する。
マイクロカメラ240は、被処理ウェハWの周縁部を検出し、接合領域Aaと未接合領域Abの境界を検出する。マイクロカメラ240は、例えば同軸レンズ241を備え、赤外光(IR光)を照射し、さらに対象物からの反射光を受光する。なお例えば、マイクロカメラ240の検出倍率は10倍であり、視野はマクロカメラ230に対して約1/5であり、ピクセルサイズはマクロカメラ230に対して約1/5である。
マイクロカメラ240で検出された画像は、制御装置130に出力される。制御装置130では、マイクロカメラ240で検出された画像から、吸着テーブル200の中心と接合領域Aaの中心の第2の偏心量を算出する。
なお、以上の説明においてはレーザヘッド210を昇降させる昇降部220と、マクロカメラ230とマイクロカメラ240を昇降させる昇降部250とは独立して設けられたが、これら昇降部はそれぞれ共有されていてもよい。すなわち、レーザヘッド210、マクロカメラ230及びマイクロカメラ240は同一の支持部材を介して昇降部に接続され、一体に昇降されるように構成されていてもよい。
図9に示すように、搬入出領域60bにおける吸着テーブル200の上方には、基板受渡部としてのウェハ受渡部300が設けられている。
ウェハ受渡部300は、支持部材301を介して、昇降部302及び駆動部303に接続されている。また、駆動部303は支持柱223に支持されている。ウェハ受渡部300は、昇降部302により昇降自在に構成され、さらに駆動部303によってY軸方向に移動自在に構成されている。
また、ウェハ受渡部300は、改質装置60に搬入出される重合ウェハTの上面を吸着保持するための複数の吸着部としての真空吸着ライン(図示せず)に接続されたパッド310を備えたウェハ保持部311を有している。ウェハ保持部311は例えばエアシリンダなどの昇降機構312に接続され、パッド310に吸着保持された重合ウェハTを鉛直方向に昇降自在に構成されている。なお、昇降機構312は支持部材301に接続されている。
なお、ウェハ受渡部300が接続される昇降部302についても、前述のようにレーザヘッド210、マクロカメラ230及びマイクロカメラ240と同一の昇降部に接続し、一体に昇降できるように構成してもよい。
次に、以上のように構成された改質装置60における重合ウェハTの搬入出方法、及び被処理ウェハWの改質方法について説明する。図10は、改質装置におけるウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。また、図11~図14は改質装置におけるウェハ処理の主な工程の説明図である。なお、図11~図14においては、図示の煩雑さを回避するため、重合ウェハTを1枚で、すなわち、被処理ウェハW及び支持ウェハSを併せて1枚で図示する。
改質装置60への重合ウェハTの搬入にあたっては、先ず、図11(a)に示すように吸着テーブル200(スライダテーブル202)を搬入出領域60bの搬入出位置P1に移動させる。そして、吸着テーブル200が搬入出位置P1に移動すると、重合ウェハTの下面を保持したウェハ搬送機構50が改質装置60の内部へと進入し、ウェハ保持部311の下方(吸着テーブル200の上方)へと移動する(図10のステップB1)。
ウェハ搬送機構50がウェハ保持部311の下方に移動すると、昇降機構312によりウェハ保持部311が降下し、図11(b)に示すように、パッド310がウェハ搬送機構50に保持された重合ウェハTの上面に当接され、吸着保持される。そしてその後、かかる状態で昇降機構312によりウェハ保持部311を上昇させることにより、ウェハ保持部311のパッド310に吸着保持された重合ウェハTが持ち上げられる(図10のステップB2)。なおかかる際、ウェハ保持部311を降下させる代わりに、ウェハ搬送機構50を上昇させることにより重合ウェハTをパッド310に当接させてもよい。
ウェハ保持部311により重合ウェハTが持ち上げられると、ウェハ搬送機構50が改質装置60の内部から退出する。その後、図12(c)に示すように、昇降機構312によりウェハ保持部311が降下して重合ウェハTが吸着テーブル200上に載置され、パッド310による吸着保持が解除される(図10のステップB3)。
重合ウェハTが吸着テーブル200上に載置されると、次に、図12(d)に示すように吸着テーブル200をマクロアライメント位置P2に移動させる。マクロアライメント位置P2は、マクロカメラ230が被処理ウェハWの外側端部を検出できる位置である。なお、かかる際、マクロカメラ230の高さの調節も行われ、同軸レンズ231の端部と被処理ウェハWの界面までの距離t1は、例えば30mmに調節される。
次に、マクロカメラ230によって被処理ウェハWの外側端部を検出する(図10のステップB4)。このステップB4において、吸着テーブル200は、Y軸方向に移動せず固定される。一方、吸着テーブル200は、回転部203によって回転させる。これにより、マクロカメラ230によって、被処理ウェハWの周方向360度における外側端部の画像が検出される。検出された画像は、マクロカメラ230から制御装置130に出力され、これにより吸着テーブル200の中心と被処理ウェハWの中心の偏心量が算出される。
重合ウェハTのマクロアライメントが完了すると、図13(e)に示すように算出された偏心量に基づいて吸着テーブル200が、マイクロアライメント位置P3まで移動する。なお、かかる際、マクロカメラ230の高さの調節も行われ、同軸レンズ241の端部と被処理ウェハWの界面までの距離t2は、例えば30mmに調節される。
次に、マイクロカメラ240によって被処理ウェハWの周方向360度における、接合領域Aaと未接合領域Abの境界を検出する(図10のステップB5)。検出された画像は、マイクロカメラ240から制御装置130に出力され、これにより吸着テーブル200の中心と被処理ウェハWの中心の偏心量が算出され、これにより吸着テーブル200の中心と接合領域Aaの中心の偏心量が算出される。そして、この偏心量に基づいて吸着テーブル200の位置が決定される。
次に、図13(f)に示すように吸着テーブル200を、改質位置P4に移動させ、レーザヘッド210から被処理ウェハWにレーザ光を照射して、周縁改質層M1及び分割改質層M2を形成する(図10のステップB6)。
なお、本実施形態では、改質位置P4はマイクロアライメント位置P3と同じであり、ステップB6では吸着テーブル200は実質的に移動しない。すなわち、この位置では吸着テーブル200に保持された被処理ウェハWに対して、マイクロカメラ240はY軸正方向側に配置され、レーザヘッド210のレンズ211はY軸負方向側に配置される。かかる場合、ステップB6では、レーザヘッド210によって周縁改質層M1を形成すると共に、マイクロカメラ240によって周縁改質層M1を検出する。検出された画像は制御装置130に出力され、制御装置130において周縁改質層M1が適切な位置に形成されているかを検査する。このように周縁改質層M1の形成と検査を並行して行うことで、作業効率を向上させることができる。また、検査の結果、周縁改質層M1が所定の位置からずれている場合には、吸着テーブル200の移動を微調整することも可能となる。
なお、例えばマイクロアライメント位置P3と改質位置P4が異なる場合において、周縁改質層M1の形成と検査を並行して行う場合には、マイクロカメラ240をY軸方向に所定の位置に移動させればよい。また、エッジトリムの幅が変わる場合、すなわち周縁部Weの幅が変わる場合にも、マイクロカメラ240をY軸方向に移動させればよい。さらに、周縁改質層M1の形成される高さが変わる場合には、マイクロカメラ240の焦点が周縁改質層M1に合致するように、マイクロカメラ240の高さを調節すればよい。
被処理ウェハWに周縁改質層M1が形成されると、図14(g)に示すように吸着テーブル200を搬入出位置P1に移動させる(図10のステップB7)。そして、吸着テーブル200を搬入出位置P1に移動されると、改質装置60の内部にウェハ搬送機構70が進入し、吸着テーブル200に保持された重合ウェハTの上方に移動する。その後、ウェハ搬送機構70が下降することで吸着テーブル200に保持された重合ウェハTの上面に接触し、当該接触した重合ウェハTの上面がウェハ搬送機構70に吸着保持される(図10のステップB8)。
そして、重合ウェハTがウェハ搬送機構70に保持されると、吸着テーブル200による吸着が解除され、その後、ウェハ搬送機構70が上昇して改質装置60から退出し、重合ウェハTが改質装置から搬出される(図10のステップB9)。こうして、改質装置60における一連のウェハ処理が終了する。なお、ステップB9では、次に改質処理される重合ウェハTが搬入される。
以上の実施形態によれば、改質装置60に対して重合ウェハTの搬入を行うウェハ搬送機構50が、重合ウェハTの下面を保持している場合であっても、ウェハ受渡部300のウェハ保持部311が重合ウェハTの全面を吸着保持することができ、吸着テーブル200への搬送を行うことができる。すなわち、改質装置60に対して重合ウェハTの搬入を行うウェハ搬送機構50が、重合ウェハTを下面保持する場合であっても、適切に重合ウェハTの搬入出を行うことができる。
なお、本実施形態によれば、改質装置から重合ウェハTwを搬出するウェハ搬送機構70が、重合ウェハTの下面を保持する場合であっても、適切に重合ウェハTの搬出を行うことができる。
すなわち、重合ウェハTの搬出にあたって、先ず、吸着テーブル200上に載置された重合ウェハTがウェハ保持部311により保持され、上方に持ち上げられる。その後、改質装置60の内部に進入したウェハ搬送機構70がウェハ保持部311の下方に移動した後、昇降機構312を降下させることで、重合ウェハTをウェハ搬送機構70へと受け渡すことができる。
また、当然にウェハ搬送機構50は上述のように重合ウェハTの下面保持する場合に限られず、上面保持する場合であっても適切に重合ウェハTの搬出を行うことができる。
なお、以上の実施形態においては、ウェハ搬送機構50により改質装置60に搬入された重合ウェハTを、ウェハ搬送機構70により改質装置60から搬出し、次の工程、すなわち周縁除去装置61へと搬送したが、重合ウェハTの搬送方法はこれに限られない。例えば、重合ウェハTに洗浄、エッチング及び改質処理のみを行い、周縁除去を行う必要が無い場合、ウェハ搬送機構70に代わり、ウェハ搬送機構50により重合ウェハTを改質装置60から搬出し、当該重合ウェハTをカセットCtに戻してもよい。また更に、ウェハ搬送機構70に代わり、ウェハ搬送機構50により重合ウェハTを周縁除去装置61へと搬送してもよい。すなわち、ウェハ搬送機構50を第2の搬送機構として機能させてもよい。
このように、本実施形態によれば、改質装置60に対して重合ウェハTの搬入出を行うウェハ搬送機構50及びウェハ搬送機構70のウェハ保持形式の組み合わせに依らず、適切に重合ウェハTの搬入出を行うことができる。
なお、以上の実施形態において説明したウェハ受渡部300は、特にウェハ搬送機構50が重合ウェハTを下面保持、ウェハ搬送機構70が重合ウェハTを上面保持する場合にあっては、重合ウェハTを一時的に改質装置60の内部において保持、保管するためのバッファ機構として機能させることもできる。すなわち、図15に示すように、ウェハ保持部311から吸着テーブル200上に重合ウェハTの受け渡しを行った後、当該重合ウェハTが改質装置60から搬出されるよりも前に、次の重合ウェハTを改質装置60の内部に搬入し、ウェハ保持部311に保持した状態で待機することができる。かかる際、ウェハ搬送機構50が重合ウェハTを下面保持することにより、先に搬入された重合ウェハTの位置によらず次の重合ウェハTをウェハ保持部311に受け渡すことができる。また、ウェハ搬送機構70が重合ウェハTを上面保持することにより、ウェハ保持部311を介さずに改質済みの先の重合ウェハTを吸着テーブル上から受け取ることができ、改質装置60から搬出することができる。そして、先の重合ウェハTが搬出された後、迅速に待機していた次の重合ウェハTを吸着テーブル200へと受け渡すことができる。
このように重合ウェハTの搬入出を連続的に行うように制御を行うことにより、ウェハ処理、特に重合ウェハTの搬入出を適切行うことができる。
また、このようにウェハ受渡部300をバッファ機構として機能させた場合、改質装置60による改質処理以降の工程において、例えばトラブルによりウェハの搬送が停止した場合、当該改質装置60内に重合ウェハTを仮置きすることができる。これにより、改質装置60よりも以前のプロセスは中断することなく継続して行うことができる。すなわち、ウェハ処理における歩留まりを改善することができる。
<第2の実施形態>
なお、上記実施形態においてウェハ受渡部300は、改質装置60の受け渡し領域の上方に設けられ、重合ウェハTを上方から保持するように構成されたが、ウェハ受渡部300の構成はこれに限定されるものではない。
図16(a)は、第2の実施形態にかかるウェハ受渡部400の構成の概略を模式的に示す平面図である。また、図16(b)は第2の実施形態にかかるウェハ受渡部400の構成の概略を模式的に示す縦断面図である。
図16に示すようにウェハ受渡部400は、吸着テーブル200に載置される重合ウェハTの中心を下方から支持して昇降させるための複数の吸引部としてのパッド401を備えるウェハ保持部402と、パッド401と真空ライン403を介して接続される例えば真空ポンプなどの吸引機構404と、ウェハ保持部402を昇降自在な昇降機構405とを有している。ウェハ保持部402の頂部は、吸着テーブル200を貫通して昇降機構405により吸着テーブル200の上面から上方に突出自在に構成され、ウェハ搬送機構50との間で重合ウェハTの受け渡しが可能になっている。なお、ウェハ保持部402は、ウェハ搬送機構50の搬送アーム51と干渉しない位置に設けられている。
ウェハ受渡部400に対する重合ウェハTの搬入にあたっては、先ず、重合ウェハTを上面に保持したウェハ搬送機構50が改質装置60の内部に進入し、吸着テーブル200の上方へ移動する。
ウェハ搬送機構50が改質装置60の内部に進入すると、昇降機構405によりウェハ保持部402が上昇され、吸着テーブル200の上面からウェハ保持部402が突出し、さらにウェハ搬送機構50の重合ウェハTの保持面よりも上方へと突出し、これにより重合ウェハTがウェハ保持部402のパッド401上に受け渡される。
パッド401上に重合ウェハTが受け渡されると、ウェハ搬送機構50が改質装置60から退出し、その後、昇降機構405によりウェハ保持部402が降下され、吸着テーブル200上に重合ウェハTが載置される。
また、重合ウェハTの搬入にあたっては、吸着テーブル200に保持された重合ウェハTが、直接、改質装置60の内部に進入したウェハ搬送機構70によりその上面が吸着保持されることにより、改質装置60から搬出することができる。すなわち、ウェハ保持部402の頂部は昇降機構405が降下位置にある場合において、吸着テーブル200の上面よりも下方に位置するため、従来の通りウェハ受渡部400を介さずにウェハ搬送機構70により吸着テーブル200上の重合ウェハTの受け渡しを行うことができる。
以上の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に改質装置60に対して重合ウェハTの搬入出を行うウェハ搬送機構のウェハ保持形式よらず適切に重合ウェハTの搬入出を行うことができる。
なお、本実施形態によれば、例えばウェハ搬送機構70が重合ウェハTの下面を保持する場合であっても適切に吸着テーブル200との間で重合ウェハTの受け渡しを行うことができる。
すなわち、重合ウェハTの搬出を行うにあたっては、先ず、吸着テーブル200上に載置された重合ウェハTが、ウェハ保持部402の上昇により上昇される。その後、改質装置60の内部に進入したウェハ搬送機構70の搬送アーム71が吸着テーブル200とウェハ保持部402に保持された重合ウェハTの下面との間に挿入される。そして、掛かる状態でウェハ保持部402が降下することにより重合ウェハTがウェハ搬送機構70へと受け渡され、その後、重合ウェハTはウェハ搬送機構70により改質装置60から搬出される。
また、例えばウェハ搬送機構50が重合ウェハTの上面を保持する場合であっても適切に吸着テーブル200との間で重合ウェハTの受け渡しを行うことができる。このように、本実施形態においても、ウェハ搬送機構50及びウェハ搬送機構70のウェハ保持形式の組み合わせに依らず、適切に重合ウェハTの搬入出を行うことができる。
<第3の実施形態>
なお、前述した第2の実施形態におけるウェハ受渡部400は、第1の実施形態に示したウェハ受渡部300と共に、改質装置60内に設けられていてもよい。すなわち、改質装置60には、図17に示すように、ウェハ受渡部300及び、ウェハ受渡部400が設けられていてもよい。
かかる構成によれば、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、重合ウェハTの搬入出を行うウェハ搬送機構のウェハ保持形式よらず適切に重合ウェハTの搬入出を行うことができる。
また更に、第1の実施形態によれば、前記バッファ機能による効果を享受するためには、ウェハ搬送機構50が重合ウェハTを下面保持、ウェハ搬送機構70が重合ウェハTを上面保持する必要があった。しかしながら、本実施形態によれば、ウェハ搬送機構70が重合ウェハTを下面保持する場合であっても、直接的に吸着テーブル200から重合ウェハTを受け取ることが可能である。すなわち、ウェハ搬送機構70が重合ウェハTを下面保持する場合であっても、適切に吸着テーブル200との間で重合ウェハTの受け渡しを行うことができるため、前記バッファ機能による効果を享受することができる。
なお、第2、第3の実施形態に示したウェハ受渡部400のウェハ保持部402は、図18に示すウェハ受渡部500のように、複数、例えば3つの昇降ピンにより重合ウェハTの下面を支持するように構成してもよい。
ウェハ受渡部500は、昇降ピン501と、当該昇降ピン501を昇降させるための昇降機構502とを有している。昇降ピン501の頂部は、昇降機構502により上昇された状態においては、吸着テーブル200を貫通して吸着テーブル200の上面から突出するように構成されている。
かかる構成を有することにより、前記した第2の実施形態及び第3の実施形態と同様の効果を享受することができる。
なお、以上の第1~第3の実施形態において、ウェハ受け渡し装置により改質済みの重合ウェハTを保持するにあたっては、重合ウェハTの中心部近傍を支持することが望ましい。これは、図10のステップB6に示した改質処理により重合ウェハTの周縁部が改質され、当該改質された周縁部の強度が低下するため、かかる周縁部を保持することにより周縁部が剥離され、パーティクルや屑が発生することを防止するためである。
なお、以上の実施形態により構成されるウェハ受渡部、特に第1の実施形態のかかるウェハ受渡部300は、スライダテーブル202の移動によりアライメント処理や改質処理に干渉しない位置に配置される。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
例えば、以上の説明においてはウェハ処理装置として基板改質装置(レーザー加工装置)によりウェハの内部に周縁改質層を形成する場合を例にして説明を行ったが、処理装置の内容はこれに限られるものではない。吸着テーブルによりウェハを保持する装置であれば本開示に係る効果を享受することができ、例えばレーザ加工によりウェハのダイシングを行うダイサーにおいても本開示内容を適用することができる。また、基板改質装置においてはウェハの周縁部に限られず、ウェハの全面、すなわちウェハの内部において面方向に延伸する改質層(内部面改質層)を形成する基板改質装置においても、本開示内容を適用することができる。なお、当該内部面改質層は、ウェハを分離して薄化する際の起点として作用する。また、基板改質部においては、除去対象としての被処理ウェハWの周縁部Weの除去が行われてもよい。
また例えば、以上の説明においてはウェハ搬送機構50の搬送アーム51、ウェハ搬送機構70の搬送アーム71がそれぞれ1つずつの配置されている場合を例に説明したが、それぞれの搬送アームは複数配置されていてもよい。