JP7290903B2 - 車両構造 - Google Patents
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同文献に記載の車両構造においては、車室のフロア部の車幅方向外方側に、車両前後方向に延びるロッカが設けられており、前記フロア部のうち、前記ロッカよりも車幅方向内方側の領域には、平面視円弧状の複数のビードが設けられている。各ビードは、フロア部の一部を部分的に上下高さ方向に膨出させた部位である。フロア部の下面部には、車両前後方向に延びるサイドメンバが溶接されている。
より具体的には、ビードを利用してフロア部の剛性を高くする場合、その剛性が過剰に高いと、優れた衝撃吸収性能は得られないこととなり、車室内搭載物や乗員が受ける衝撃が大きくなる。また、フロア部が受けた衝突荷重がサイドメンバにそのまま伝ってサイドメンバが大きく変形したり、あるいはサイドメンバとフロア部との溶接剥離が生じるといった虞もある。これを解消すべく、フロア部の剛性を低くする場合において、その剛性が不足気味であると、車両の側突時における耐荷重性能(耐衝撃性能)が劣ることとなり、フロア部の大きな変形を伴って車両側部が車室内に大きく進入する不具合を生じてしまう。
すなわち、複数の車幅方向ビードは、車幅方向に延びており、車幅方向の圧縮荷重に対する強度が高い。したがって、車両の側突が発生し、車幅方向外方側から車両側部に衝突荷重が入力した際に、優れた耐荷重性能を得ることができる。フロア部のうち、複数の車幅方向ビードが設けられている領域が、車両の側突初期において車幅方向内方側に大きく変形しないようにすることが可能である。
一方、複数の車幅方向ビードおよび補助ビードの上部には、互いに繋がった上側開口状の第1および第2の凹部が形成されているが、これら第1および第2の凹部の形成箇所は、車両の側突の中・後期において、車幅方向の圧縮荷重に対する剛性断点(曲げ変形の起点)となり、フロア部は、第1および第2の凹部が設けられている箇所が下降するように曲げ変形する。このような曲げ変形により、衝突エルネギを効果的に吸収し、優れた衝撃吸収性能を得ることが可能となる。このため、フロア部からサイドメンバに大きな荷重が作用し、サイドメンバが大きく変形したり、あるいはサイドメンバとフロア部との接合状態が解除されるといった不具合も適切に解消することが可能となる。
本発明とは異なり、補助ビードを設けることなく、複数の車幅方向ビードに単に第1の凹部を設けただけの構成では、衝突初期において、車幅方向ビードが即座に大きく屈曲変形する虞があるが、本発明においては、車幅方向ビードに加えて、補助ビードをさらに設けた上で、第1および第2の凹部を設けているため、前記した虞を適切に解消することが可能である。
このように、本発明によれば、前記従来技術よりも優れた衝撃吸収性能および耐荷重性能を得ることが可能である。その結果、バッテリなどの車室内搭載物や乗員の保護性能に優れたものとすることができる。
とくに、本発明によれば、前述したように、フロア部の曲げ変形は、第1および第2の凹部が設けられた箇所が下降するように生じさせることができるため、フロア部の上側に位置する車室内搭載物や乗員に対してフロア部の曲げ変形が悪影響を与えないようにすることが可能である。
その他、本発明は、フロア部に設けられる複数のビードに工夫を凝らすことにより、前記した作用が得られるものであり、サイズや重量が大きな部材を用いる必要はない。したがって、製造コストの上昇や、車両重量の増加などを適切に抑制することもできる。
る。
複数の補助ビード72は、複数の車幅方向ビード71の相互間に位置してこれら複数の車幅方向ビード71どうしを繋ぐように形成されており、各車幅方向ビード71と同様に、他の一般部分70よりも下方に膨出している。ただし、その膨出寸法Hbは、車幅方向ビード71の膨出寸法Haよりも小さくされている。本実施形態においては、複数の補助ビード72が車両前後方向に沿う同一直線上に位置する配列とはされていないが、そのような配列とすることも可能である。
メンバ4に隣接した箇所で行なわれるため、フロア部3の変形をサイドメンバ4に及び難くする作用も得られる。なお、当て板状補強部材7とロッカ8との相互間に隙間が形成されている場合には、この部分においても曲げ変形を生じる(図面では省略)。
に大きく変形しないようにすることができる。また、衝突中・後期においては、当て板状補強部材7Aおよびフロア部3に、第1および第2の凹部73a,73bの形成箇所が矢印Ndで示すように下降する曲げ変形を生じさせることができる。したがって、先に述べた実施形態と同様な作用を得ることが可能である。
車幅方向ビードは、上下高さ方向に膨出して車幅方向に延びるビードとして形成されていればよく、車両前後方向に間隔を隔てて複数設けられていればよい。補助ビードは、複数の車幅方向ビードの相互間に位置してこれら複数の車幅方向ビードどうしを繋ぐように設けられていればよく、単数、複数のいずれであってもよい。また、互いに隣接する車幅方向ビードどうしの各間に、複数の補助ビードを設けた構成とすることもできる。
第1および第2の凹部は、要は、複数の車幅方向ビードおよび補助ビードの上部に、互いに繋がった上側開口状の凹部として形成されていればよく、その具体的な形状、サイズ、および数などは限定されない。
3 フロア部
4 サイドメンバ
6 バッテリ
7,7A 当て板状補強部材
71 車幅方向ビード
72 補助ビード
73a,73b 第1および第2の凹部
8 ロッカ
Claims (1)
- 車室のフロア部の車幅方向外方側に位置して車両前後方向に延びるロッカと、
このロッカよりも車幅方向内方側に位置して車両前後方向に延び、かつ前記フロア部の下面側に接合されたサイドメンバと、
を備えている、車両構造であって、
前記フロア部のうち、前記ロッカと前記サイドメンバとの相互間の領域に、前記フロア部と一体または別体で設けられて、上下高さ方向に膨出しているとともに、車両平面視において車幅方向に直状に延び、かつ車両前後方向に間隔を隔てて平行に並んでいる複数の車幅方向ビードと、
これら複数の車幅方向ビードの相互間に位置してこれら複数の車幅方向ビードどうしを繋ぐように設けられて、上下高さ方向に膨出しており、前記複数の車幅方向ビードと比較して膨出高さが低く、かつ車幅方向の幅が小さい補助ビードと、
をさらに備えており、
前記複数の車幅方向ビードおよび前記補助ビードの上部には、互いに繋がった上側開口状の第1および第2の凹部がそれぞれ設けられていることを特徴とする、車両構造。
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