JP7290257B2 - ウレタン系塗料組成物および塗膜 - Google Patents

ウレタン系塗料組成物および塗膜 Download PDF

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Description

本開示は、ウレタン系塗料組成物および塗膜に関する。
ウレタン系塗料組成物は、耐摩耗性が優れているので、建築、自動車、プラスチック、情報家電用等の塗料として広く用いられている。中でも、機械器具、パイプ内面、建築分野等の耐摩耗性が要求される用途では、常温乾燥タイプの二液型ポリウレタン塗料が高く評価されている。
このようなウレタン系塗料組成物としては、例えば、特許文献1にポリオールとポリイソシアネート基とをもつウレタンプレポリマーに非反応性シリコーンオイルを配合したウレタン塗料が開示されている。
特公昭62-15344号公報
特許文献1のウレタン系塗料組成物で形成した塗膜は、すべり性が優れないので、すべり性を要求する用途には、使用できないという問題がある。
このような問題に鑑み、耐摩耗だけでなく、すべり性に優れたウレタン塗膜が望まれており、そのような塗膜を形成するウレタン系塗料組成物が望まれている。
本開示の2液型のウレタン系塗料組成物は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含むA液と、ポリアミンを含むB液と、体積基準メジアン径(D50)が、8.21~41.36μmのフッ素樹脂粒子とを含み、塗膜を形成した際に乾燥塗膜の厚みに対する前記フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)の比が0.08~0.28である
本開示の塗膜は、前記ウレタン系塗料組成物から形成される。
本開示の塗膜用の塗料キットは、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを含むA液と、ポリアミンを含むB液と、体積基準メジアン径(D50)が、8.21~41.36μmのフッ素樹脂粒子とを含み、塗膜を形成した際に乾燥塗膜の厚みに対する前記フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)の比が0.08~0.28である
本開示の乾燥塗膜の製造方法は、
フッ素樹脂粒子をイソシアネート基末端ウレタンポリマーを含むA液に添加し、体積基準メジアン径(D50)が、8.21~41.36μmのフッ素樹脂粒子を含むA液を得る工程と、
前記フッ素樹脂粒子を含むA液とポリアミンを含むB液とを混合し塗料組成物を得る工程と、
前記塗料組成物を塗布する塗布工程と、
塗布された塗布組成物を乾燥する工程を含むみ、
塗膜を形成した際に乾燥塗膜の厚みに対する前記フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)の比が0.08~0.28となる乾燥塗膜の製造方法である。
本開示のウレタン系塗料組成物によれば、耐摩耗性、およびすべり性に優れた塗膜を形成させることができる。
以下、本開示のウレタン系塗料組成物、塗膜および塗膜について、詳細に説明する。なお、本開示のウレタン系塗料組成物は、以下に記述する特定の実施形態に限定されるものではない。本開示のウレタン系塗料組成物は、添付の特許請求の範囲によって定義される総括的な概念の精神または範囲に沿ったものであれば、様々な態様を含むものとなる。
本開示のウレタン系塗料組成物は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含むA液と、ポリアミンを含むB液と、塗膜を形成した際に乾燥塗膜の厚みに対する体積基準メジアン径(D50)が0.08~0.28の比のフッ素樹脂粒子とを含む。
(A液)
本開示のA液は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含有する。
上記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、ジイソシアネート(a)に、ポリオール(b)反応させてなるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーである。
上記ジイソシアネート(a)としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4´-ジフェニルメタンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4´-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3´-ジメチル-4,4´-ビフェニレンジイソシアネート、3,3´-ジメトキシ-4,4´-ビフェニレンジイソシアネート、3,3´-ジクロロ-4,4´-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートおよび1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4´-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが好適である。
上記ポリオール(b)としては、例えば、低分子量グリコール類、高分子量グリコール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、アクリル変性ポリオール類等をそれぞれ単独に用いてもよく、また、ポリエステルポリオールや高分子量グリコールに低分子量グリコールを併用してもよい。該ポリオール(b)は数平均分子量が62~10,000の範囲が好ましく、該数平均分子量が62より小さいとウレタンの軟質部分がなくなり、10,000より大きいと合成時の取扱いが困難になるので好ましくない。
低分子量グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、水添ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAポリエチレングリコールエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールエーテル等があり、これらは単独または2種以上混合して使用してもよい。
高分子量グリコール類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテル等が挙げられ、ポリエステルポリオール類としては、例えば、グリコール成分とジカルボン酸成分を反応させたものが挙げられ、公知の方法で容易に製造でき、エステル化反応に限らず、エステル交換反応によっても製造できる。また、ε-カプロラクトン等の環状エステル化合物の開環反応によって得られるポリエステルジオールおよびこれらの共縮合ポリエステルも含む。
上記のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの合成反応は、有機溶剤中で行なってもよいが、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等のイソシアネート基に不活性で且つ水との親和性の大きい有機溶剤中で行なうことが望ましい。該イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの合成において、前記した(a)および(b)成分の他に過剰のイソシアネート基を封鎖する目的で、必要に応じて1価アルコールを配合してもよい。
これらの(a)および(b)成分の配合割合は種々変えることができるが、全成分中のイソシアネート基と水酸基との当量比が一般に1.1:1~8:1、好ましくは1.2:1~4:1の範囲内になるようにする。イソシアネート基と水酸基との当量比が1.1:1より小さいと末端のイソシアネート基の量が少なくなって本目的上好ましくなく、逆に8:1より大きいと分子量が低下して塗膜性能を低下させるので好ましくない。
上記のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの製造は特に限定されず、前記した(a)および(b)成分を一度に反応させてもよく、ジイソシアネートの一部と、ポリオールとカルボキシル基含有ジオールとを反応させて末端ジオールのウレタンプレポリマーを形成してからジイソシアネートの残りと反応させる等の多段的に反応させる方法によって製造してもよい。反応温度は通常30~150℃、好ましくは40~130℃の範囲内である。
この反応を促進させるため、通常のウレタン化反応において使用されるトリエチルアミン、N-エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート等の錫系触媒;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のリン系触媒を用いてもよい。
このようにして製造されたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有率(%)は、樹脂固形分で1.0~8.0%の範囲内が好ましい。この範囲外では、塗膜にした場合耐水性が低下したり、柔軟性が失われるため好ましくない。
上記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、溶媒(A溶媒)に溶解・希釈されA液となるが、A液中の濃度については、取扱いや乾燥上好ましい溶液粘度を考慮して設定すれば良く、特に制限されるものではない。
上記A溶媒としては、上記のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを溶かす溶媒であり、後述のフッ素樹脂粒子を溶かさない溶媒であればよく、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート、トルエン、キシレン等が挙げられ、好ましくは、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチルである。これらの溶媒は、1種でもよく、2種以上混合されてもよい。
(B液)
本開示のB液は、ポリアミンを含有する。
上記ポリアミンは、2個以上のアミノ基をもった脂肪族化合物もしくは芳香族化合物である。
上記ポリアミンとしては、例えば、(ポリ)エチレンポリアミン(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど);(ポリ)シクロアルキレンポリアミン(イソホロンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、4,4’-メチレンビスジシクロヘキシルアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなど)などの(ポリ)アルキレンポリアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン等があげられ、好ましくは、エチレンジアミンおよび4,4’-ジアミノジフェニルメタンである。
上記ポリアミンは、1種でもよく、2種以上併用してもよい。
上記ポリアミンは、溶媒(B溶媒)に溶解・希釈されB液となるが、B液中の濃度については、取扱いや乾燥上好ましい溶液粘度を考慮して設定すれば良く、特に制限されるものではない。
上記B溶媒としては、ポリアミンを溶かす溶媒であればよく、例えば、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、トリクロルエチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられ、好ましくは、酢酸エチル、メチルエチルケトン、酢酸エチルである。これらの溶媒は、1種でもよく、2種以上混合されてもよい。
(フッ素樹脂粒子)
本開示のフッ素樹脂粒子は、フッ素樹脂を微粉末に加工、粉砕されたものの集合体である。
上記フッ素樹脂粒子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)等が挙げられる。これらのフッ素樹脂粒子は、1種でもよく、2種以上併用してもよい。これらのうち好ましいものは、PTFE、PFA、FEPである。
上記フッ素樹脂粒子の粒子径は、乾燥塗膜の厚みに対する体積基準メジアン径(D50)において0.08~0.28の比の大きさであり、好ましくは、0.10~0.21の比の大きさである。
上記フッ素樹脂粒子の粒子径の測定は、JISZ8825に準じたレーザー回折・散乱法によって行い、体積基準にてデーター処理を行う。例えば、レーザー回折・散乱式粒子径分布(粒度分布)測定装置(マイクロトラック・ベル社製「MT3000II」)を用いて行なう。
上記フッ素樹脂粒子は、事前にA液中またはB液中に含まれていてもよく、乾燥塗膜作製の直前にA液またはB液に添加してもよく、A液とB液を混合する際同時に、または混合後に添加してもよい。
上記フッ素樹脂粒子の含有量は、A液のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーに対して好ましくは、3質量%以上、50質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上、15質量%以下である。
上記ウレタン系塗料組成物は、効果に反しない限り、さらに、顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、艶消剤、樹脂粒子、防錆剤、キレート剤、溶剤、顔料分散剤、表面調整剤、消泡剤、沈降防止剤、酸化防止剤、触媒、揺変剤、難燃剤等の公知の塗料用添加剤を含んでいてもよい。
上記ウレタン系塗料組成物は、乾燥塗膜を形成した際に乾燥塗膜の厚さに対する体積基準メジアン径(D50)が0.08~0.28の比のフッ素樹脂粒子を含むので、耐摩耗性、およびすべり性に優れた塗膜を形成させることができる。
乾燥塗膜の厚さに対してフッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)が0.8~0.28の比であれば、フッ素樹脂粒子が、塗膜形成時に表面に接する機会が多く、さらに表面自由エネルギーの小さいフッ素樹脂粒子が塗膜表面に接した際、エネルギー的に安定化し、留まろうとする力が働くため、塗膜表面近傍のフッ素樹脂粒子の濃度が高くなる。
本開示の乾燥塗膜は、上記フッ素樹脂粒子と、上記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含む溶液と、ポリアミンを含む溶液とを混合した混合物をロールコート法、スプレー塗装法、刷毛塗り法、静電塗装法、浸漬法、電着塗装法、カーテン塗装法、ローラー塗装法等の公知の方法により、被塗装物に塗装し、乾燥させることにより形成される。
上記乾燥塗膜の膜厚の測定は、走査電子顕微鏡、ダイヤルゲージ等を用いて行う。例えば、乾燥塗膜をカッタ等で切断し、切断した断面の厚みをダイヤルゲージ(最小表示量0.001mm)にて10か所を測り、0.001mmまでの読みを記録する。記録値の中で、大小それぞれ2個の値を除いた6個の値の平均値を求めることによって行う。
乾燥塗膜に存在するフッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)は、走査電子顕微鏡等を用いて行う。例えば、乾燥塗膜をカッタ等で切断し、切断した断面を走査電子顕微鏡(倍率:1000~10000倍)で観察し、一定領域((分画(観察領域))に存在する粒子の粒子径を測定し、粒子を球として体積基準メジアン径(D50)を算出する。
フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)/乾燥塗膜の比率の求め方は、乾燥塗膜に存在するフッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)を上記乾燥塗膜の膜厚の測定で求めた膜厚の平均値で除して求める。
上記乾燥塗膜中に存在するフッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)は、乾燥塗膜の厚さに対して0.08~0.28、好ましくは、0.10~0.21である。乾燥塗膜の厚さに対してフッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)が0.08より小さいと、塗膜形成時に表面に接する機会が少なくなり、塗膜表面近傍のフッ素樹脂粒子濃度は小さくなる。乾燥塗膜の厚さに対してフッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)が0.28より大きいと、塗膜表面の滑らかさが失われ逆にすべり性が低下する。
上記乾燥塗膜の膜厚は、フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)の3.5~15倍、好ましくは、5倍~10倍である。フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)に対して乾燥塗膜の膜厚が3.5倍より小さいと塗膜表面の滑らかさが失われ逆にすべり性が低下する。フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)に対して乾燥塗膜の膜厚が15倍より大きいとフッ素樹脂粒子が塗膜形成時に表面に接する機会が少なくなり、塗膜表面近傍のフッ素樹脂粒子濃度が小さくなる。
上記塗膜中の上記フッ素樹脂粒子は、前記挙げたA溶媒、B溶媒に溶けず、またイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーやポリアミンとの相溶性もないことに加え、常温乾燥のためフッ素樹脂粒子の溶融もないことから、フッ素樹脂粒子はそのままの形状で塗膜のマトリクス部を形成するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとポリアミンとの反応領域に対し分散した状態で存在する。すなわち、マトリクス部(海部)に対し、フッ素樹脂粒子はドメイン部(島部)として散在する海島構造を呈する。
上記島部が均一に分散していることが好ましい。例えば、縦横同じ長さで、同じ面積の第1の単位領域内と第2の単位領域内とにおいて、第1領域内に含まれる島部の個数(A)と第2領域内に含まれる島部の個数(B)との比率(A/B)が、3:5~5:3が好ましく、4:5~5:4がさらに好ましい。
本開示の乾燥塗膜用の塗料キットは、上記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを含むA液と、ポリアミンを含むB液と、フッ素樹脂粒子とを含む。
上記塗料キットは、A液とB液が別々に分離されており、フッ素樹脂粒子は、A液およびB液と分離されていてもよく、A液中に含まれていてもよく、B液中に含まれていてもよい。乾燥塗膜作製時に上記フッ素樹脂粒子、A液、および/またはB液を混合して使用する。
上記塗料キットは、さらに、溶液、剤、粒子等の別の成分が含まれていてもよい。
本開示の乾燥塗膜の製造方法は、上記フッ素樹脂粒子を上記イソシアネート基末端ウレタンポリマーを含むA液に添加し、フッ素樹脂粒子を含むA液を得る工程と、前記フッ素樹脂粒子を含むA液とポリアミンを含むB液を混合し塗料組成物を得る工程と、前記塗料組成物を塗布する塗布工程と、塗布された塗布組成物を乾燥する工程を含む。
上記フッ素樹脂粒子のA液への添加は、乾燥塗膜作製の直前でもよく、予め、A液に添加していてもよい。
上記A液とB液の混合は、例えば、A液のイソシアネート基(NCO)とB液のアミノ基(NH)のモル等量比が、好ましくは0.8:1.2~1.2:0.8で行われ、さらに好ましくは1:1で行われる。必要に応じて上記塗料用添加剤を添加してもよく、粘度調整のために塩化メチレン、メチルエチルケトン等の有機溶媒を添加してもよい。
(実施例)
以下、実施例および比較例を示して本発明をさらに説明する。なお、本発明は、下記実施例のみに限定されるものではない。
(試験材の乾燥膜厚の測定方法)
作製した試験材をカッタで切断し、切断した面の厚みをダイヤルゲージ(最小表示量0.001mm)にて10か所を測り、0.001mmまでの読みを記録した。記録値の中で、大小それぞれ2個の値を除いた6個の値の平均値を求めることによって行った。
(試験材の乾燥塗膜中に存在するフッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)の測定)
乾燥塗膜をカッタ等で切断し、その塗膜断面を走査型電子顕微鏡にて倍率を1000~10000倍で調整しながら観察し、得られた画像から各粒子のフェレー径(粒子の像を2本の平行線で挟んだときの平行線の間隔)をデジタル解析ソフトにより計測(測定個数は1000個)した。計測されたフェレー径から、各粒子に関してフェレー径を直径とする球と仮定し、体積基準による分布図を作成するとともにメジアン径(D50)を算出した。
(耐摩耗性の測定方法)
試験材の塗装面でJISK7204:1999に準じて、摩耗輪による摩耗試験を下記条件で実施し、摩耗した重量でもって評価した。
《摩耗試験の条件》
摩耗輪:H-18
荷重: 4.9N
回転速度:60rpm
回転数:1000回
(すべり性の測定方法)
すべり性は、動摩擦係数を測定することで評価した。動摩擦係数の測定方法は、試験材の塗装面を上部にして水平面上に固定して、その上に滑り片を動かす際の摩擦力をロードセルで測定する方法において、滑り片上におもりを置き、塗装面に掛かる荷重が27.5gf、55.0gf、82.5gf、110.0gf、137.5gfの5水準の荷重にて試験を行った。なお、滑り片はワイヤーに引っ掛け、速度300mm/分で動かした。この試験によって得られた各荷重毎の摩擦力に関して、荷重をx軸、摩擦力をy軸とした2次元座標上に結果をプロットし、その回帰直線を求め、当該直線の傾きを動摩擦係数とした。
(実施例1~13、比較例1~7)
1)塗料組成物の作製
(A液の作製)
4,4´-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートに対しポリテトラメチレンエーテルグリコールをNCO基/OH基=1.7となる混合比で混ぜ、混合体を調整した。調整した混合体に、メチルエチルケトンを、その混合体の10重量%相当量、およびジブチル錫ジラウレートをその混合体の0.01重量%相当量添加後、80℃で攪拌しながら2時間反応させてイソシアネート末端ウレタンポリマーを作製した。作製したイソシアネート末端ウレタンポリマーに、塩化メチレンを全体の35重量%相当量を添加・溶解させA液とした。なお、NCO含有量(イソシアネート含有量)は2.6重量%であった。
(B液の作製)
4,4’-ジアミノジフェニルメタン55gをエチルメチルケトン45gに溶解させた。
フッ素樹脂粒子:
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を用い、その粒径の体積基準メジアン径(D50)は下記の4種類を用意した。
A:8.21μm(株式会社喜多村 KTL-10S)
B:19.05μm(株式会社喜多村 KTL-450)
C:30.95μm(株式会社喜多村 KTL-350)
D:41.36μm(株式会社喜多村 KTL-300M)
なお、体積基準メジアン径(D50)は、レーザー回折・散乱式の粒子径分布(粒度分布)測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製「MT3000II」)にて測定した。
2.塗料の塗装直前における調合方法
乾燥塗膜作製直前にA液に対し、A液の20重量%(イソシアネート末端ウレタンプレポリマーの12重量%)に相当する量のフッ素樹脂粒子を添加し、攪拌し、分散させた。
フッ素樹脂粒子を分散させたA液に、A液のイソシアネート基(NCO)とB液のアミノ基(NH2)のモル等量比が1:1となるように、B液を添加し攪拌した。
噴霧塗装の作業性が良好な粘度になるように塩化メチレン、メチルエチルケトンを添加し粘度調整した。
3.試験材の作製
粘度調整された塗料をステンレス板(縦10cm X 横10cm)に噴霧塗装し、その後3日以上の自然放置乾燥にて実施例1~13、比較例1~7の試験材を作製した。
(試験結果)
乾燥塗膜中に存在するフッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)を走査電子顕微鏡で測定・算出した結果と、乾燥塗膜作製前のフッ素樹脂粒子をレーザー回折・散乱式で測定した結果とはほぼ同じで、統計的な有意差も認められなかった。
乾燥塗膜の膜厚の測定結果、耐摩耗性の測定結果、およびすべり性の測定結果を表1および表2に示す。
Figure 0007290257000001
Figure 0007290257000002
耐摩耗性の測定結果
実施例1~13の乾燥塗膜にフッ素樹脂粒子が存在する乾燥塗膜の耐摩耗性は、15~20mgであり、従来のウレタン塗膜と同等の耐摩耗性であった。
滑り性の測定結果
実施例1~13の乾燥塗膜の滑り性(0.17~0.20)は、従来のウレタン塗膜の滑り性(0.6~0.8)と比べて良好な滑り性であり、フッ素樹脂であるPTFE樹脂の塗膜の滑り性(0.2以下)と比較しても同等(0.2以下)であった。

Claims (7)

  1. イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを含むA液と、ポリアミンを含むB液と、体積基準メジアン径(D50)が、8.21~41.36μmのフッ素樹脂粒子とを含み、塗膜を形成した際に乾燥塗膜の厚みに対する前記フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)の比が0.08~0.28である2液型のウレタン系塗料組成物。
  2. 前記A液中のイソシアネート末端ウレタンプレポリマーに対し前記フッ素樹脂粒子の含有量が5~15質量%である請求項1記載のウレタン系塗料組成物。
  3. 請求項1または2記載のウレタン系塗料組成物から形成される乾燥塗膜。
  4. 前記フッ素樹脂粒子が分散状態で存在する請求項3記載の乾燥塗膜。
  5. 前記乾燥塗膜の厚さがフッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)の3.5~15倍である請求項3または4記載の乾燥塗膜。
  6. イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを含むA液と、ポリアミンを含むB液と、体積基準メジアン径(D50)が、8.21~41.36μmのフッ素樹脂粒子とを含み、塗膜を形成した際に乾燥塗膜の厚みに対する前記フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)の比が0.08~0.28である乾燥塗膜用の塗料キット。
  7. フッ素樹脂粒子をイソシアネート基末端ウレタンポリマーを含むA液に添加し、体積基準メジアン径(D50)が、8.21~41.36μmのフッ素樹脂粒子を含むA液を得る工程と、
    前記フッ素樹脂粒子を含むA液とポリアミンを含むB液とを混合し塗料組成物を得る工程と、
    前記塗料組成物を塗布する塗布工程と、
    塗布された塗布組成物を乾燥する工程を含むみ、
    塗膜を形成した際に乾燥塗膜の厚みに対する前記フッ素樹脂粒子の体積基準メジアン径(D50)の比が0.08~0.28となる乾燥塗膜の製造方法。
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