JP7290218B2 - 薄膜の製造方法および半導体装置の製造方法 - Google Patents

薄膜の製造方法および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜の製造方法および半導体装置の製造方法に関する。
近紫外や、可視光たとえば青色、緑色などの波長のLED(Light Emitting Diode)は、III族窒化物であるGaNやInGaN等で実用化され、近紫外LEDは、紫外線硬化樹脂の硬化用光源、検査用光源、白色ランプの光源(蛍光体の励起用光源)、可視光LEDは、白色ランプの光源(光の三原色を構成)や装飾その他に利用されている。
200nmから300nmの深紫外波長域の光は、殺菌、水や空気の浄化用途に利用される。これらの目的で現在利用されている光源は、水銀UVランプ、メタル・ハライド・UVランプなどで、石英管に封入されたガスの輝線(波長254nmなど)を用いている。これらは消費電力が大きく、寿命が短く、さらに光源自体が大きいという問題を抱えている。そこで、この深紫外発光を、消費電力が小さく、寿命が長くさらに光源自体を非常に小さくできるLEDで実現しようという研究が盛んになっている。この深紫外LEDを実現するために、深紫外領域にバンドギャップをもつIII族窒化物であるAlNとAlGaN等が注目を集めている。
AlN、GaN、InNとこれらの混晶であるIII族窒化物は、全組成範囲で結晶構造としてウルツ鉱型結晶構造をとる。このウルツ鉱型結晶構造をとるIII族窒化物の薄膜を作製する場合、薄膜の膜厚方向がc軸方向、即ち、優先配向軸がc軸となるように成長し易い。ウルツ鉱型結晶構造をとるIII族窒化物は、III族元素と窒素との間の大きな電気陰性度の差とIII族元素および窒素のc軸方向に沿った配列構造とに起因して、c軸方向に電気的極性が生じる。このため、ウルツ鉱型結晶構造をとるIII族窒化物の薄膜を複数層積層すると、その薄膜の積層方向に沿って分極が発生し、内部電界が生じてしまう。これにより、発光層内に存在する電子と正孔とが空間的に分離されてしまい、電子と正孔との再結合効率が低下してしまう。また、バンド構造の異方性が原因でc軸方向への発光強度が弱いことから、光取り出し効率も低い。これら問題は、すでに実現されているGaNやInGaNをベースとしたLEDにおいても効率向上阻害要因となっている。また、さらに電気陰性度差の大きいAlNをベースとした半導体では、より大きな問題となると考えられている。
また、この電気的極性の問題は、おなじくIII族窒化物で構成されるトランジスタにおいても性能実現阻害要因となっている。たとえば、ノーマリーオフのトランジスタを作製するのが非常に難しいということなどである。
ちなみに、酸化亜鉛(ZnO)など、金属元素と非金属元素の電気陰性度の差が大きく、ウルツ鉱結晶構造をとる化合物半導体でも、同様の理由で同じ問題を抱えている。
これに対して、優先配向軸が電気的に無極性であるa軸またはm軸である薄膜が成長する結晶面が露出した基板を用いて、LED、トランジスタを作製する技術が提供されている(例えば特許文献1乃至4参照)。
特開2008-091598号公報 特開2009-099774号公報 特開2010-232425号公報 特開2010-251660号公報
ところで、発光素子やトランジスタを、基板上にヘテロエピタキシャル成長あるいはホモエピタキシャル成長させる際には、その基板の最表面の格子定数が発光素子やトランジスタを構成する薄膜の格子定数と近いことが望ましい。
さらに、LED、半導体レーザ等の発光素子では、発光素子内部の発光層から放射される光を、発光層以外の部分が吸収しないようにすることで、吸収損失を低減し、光の取り出し効率を高めることが要請される。
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、3d遷移金属が添加され無極性面成長したウルツ鉱型のIII族窒化物の薄膜について、無極性の状態を維持しつつ格子定数を調整または光吸収特性を調整できる薄膜の製造方法および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る薄膜の製造方法は、
結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成された基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる成長工程と、
前記成長工程の後、前記基板および前記薄膜を、前記成長工程における前記基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程と、を含み、
前記3d遷移金属は、Feであり、
前記窒化物を(Al 1-y Ga 1-x Fe Nと表したとき、yが0≦y≦1.0の範囲内であり、xが0.05<x≦0.261の範囲内である
他の観点から見た本発明に係る半導体装置の製造方法は、
結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成された基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる第1成長工程と、
前記第1成長工程の後、前記基板を、前記第1成長工程における前記基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程と、
前記熱処理工程の後、前記薄膜上に、In(Al1-yGa1-zN(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物から形成された多重量子井戸構造を有する発光層を含む少なくとも1つの窒化物層を成長させる第2成長工程と、を含み、
前記3d遷移金属は、Feであり、
前記窒化物を(Al 1-y Ga 1-x Fe Nと表したとき、yが0≦y≦1.0の範囲内であり、xが0.05<x≦0.261の範囲内である
他の観点から見た本発明に係る半導体装置の製造方法は、
結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成された基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる第1成長工程と、
前記第1成長工程の後、前記基板を、前記第1成長工程における前記基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程と、
前記熱処理工程の後、前記薄膜上に、In(Al1-yGa1-zN(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物から形成された少なくとも1つの窒化物層を成長させる第3成長工程と、を含み、
前記3d遷移金属は、Feであり、
前記窒化物を(Al 1-y Ga 1-x Fe Nと表したとき、yが0≦y≦1.0の範囲内であり、xが0.05<x≦0.261の範囲内である
本発明によれば、基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長する成長工程を行った後、基板および薄膜を、成長工程における基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程を行う。これにより、成長工程において薄膜中に取り込まれた3d遷移金属が、熱処理工程において薄膜の外へ脱離する。ここで、イオン半径の大きな3d遷移金属が脱離すると、薄膜の格子定数が小さくなる。従って、熱処理工程の温度や処理時間を選択して3d遷移金属の脱離量を調整すれば、薄膜の格子定数を調整できる。
また、本発明によれば、3d遷移金属が薄膜中に取り込まれることで発生していた薄膜のバンドギャップエネルギ以下のエネルギを有する光の吸収が小さくなる。従って、薄膜が吸収する光の吸収係数が、熱処理工程前の薄膜のそれに比べて、小さくなるので、薄膜における光、特に、可視光の吸収損失を低減することができる。
(A)は、本発明の実施の形態に係る基板の一例を示す図であり、(B)はウルツ鉱型結晶構造を説明するための図である。 実施の形態1に係る薄膜の作製に用いる高周波スパッタリング装置の一例を示す概略構成図である。 実施の形態1に係る薄膜の作製に用いる熱処理装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態2に係る半導体装置の一例を示す図である。 実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る半導体装置の一例を示す図である。 実施の形態3に係る半導体装置の製造方法の一例を示す図である。 実施例に係る薄膜のX線回折プロファイルの熱処理時間依存性を示す図である。 実施例に係る薄膜の格子定数の熱処理時間依存性を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る薄膜について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る薄膜付き基板1は、図1(A)に示すように、基板11と、基板11上に成長した薄膜12と、を備える。そして、本実施の形態に係る薄膜12の製造方法では、まず、基板11上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる成長工程を行い、その後、基板11および基板11上に成長した薄膜12を、前述の成長工程における基板11の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程を行う。ここで、基板11としては、石英ガラス基板、金属板、サファイア基板、Si基板から選択される基板を採用することができる。なお、基板11としては、他の結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成されていてもよい。
成長工程において基板11上に成長される薄膜12は、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成されている。言い換えると、薄膜12は、Al1-yGaN(0≦y≦1)で表される窒化物のAlとGaとの少なくとも一方の一部が、3d遷移金属で置換された窒化物から形成されている。ここで、窒化物は、図1(B)に示すようなウルツ鉱型結晶構造を有する。なお、図1(B)中の丸で表された原子のうち、例えば大きい方が、Al、Gaまたは3d遷移金属であり、小さい方が窒素である。また、薄膜12は、図1(A)の矢印AR1で示す膜厚方向への優先配向軸が、図1(B)に示すa軸またはm軸となっている。
3d遷移金属としては、Fe、Co、NiおよびCuから選択される1種以上の金属を採用することが好ましい。これらと同じ3d遷移金属であるTi、V、Cr、Mnでは、13%程度までの濃度領域でc軸配向性ウルツ鉱構造をとり易いことがわかっている(例えば、非特許文献:N. Tatemizo, S. Imada, Y. Miura, K. Nishio, and T. Isshiki, “Chemical trend in band structure of 3d-transition-metal-doped AlN films” Materials Science Forum, 924, 322 (2018).、または、非特許文献:N. Tatemizo, Y. Miura, K. Nishio, S. Hirata, F. Sawa, K. Fukui, T. Isshiki and S. Imada, “Band structure and photoconductivity of blue-green light absorbing AlTiN films”, Journal of Material Chemistry A, 5, 20824 (2017). 参照)。しかし、濃度がこれ以上になると、薄膜12を構成する結晶がウルツ鉱型結晶構造を保つことは難しい。ほとんどの成膜条件において、より高濃度領域で多結晶非配向微結晶となり、更に高濃度になると結晶構造もとらなくなる。これは、Ti、V、CrおよびMnの窒化物であるTiN、VN、CrN、MnNがいわゆる岩塩型結晶構造をとりやすいことに由来する可能性がある。ウルツ鉱型結晶構造は3d遷移金属の元素が4つの窒素に配位された構造を有するのに対し、岩塩型結晶構造は、3d遷移金属の元素が6つの窒素に配位された構造を有する。よって、Ti、V、Cr、Mnの窒化物の場合、Ti、V、Cr、Mnの濃度が高くなると、これらの窒化物の安定な構造である6配位をとろうとする。このため、例えばTiN-AlN混晶の場合、全体で同一の結晶構造を保てなくなると予測される。更に、高濃度のTi、Crの場合、TiAlN、CrAlN等におけるTi、Crの組成がAlの組成よりも大きい領域で岩塩構造をとることが知られている。
一方、Fe、Coの窒化物FeN、CoNは、閃亜鉛鉱型結晶構造が安定であることが知られている。NiN、CuNは実験的な報告はほとんどないが、理論的には閃亜鉛鉱型結晶構造も安定に存在しうると報告されている。閃亜鉛鉱型結晶構造はウルツ鉱型結晶構造と同じく窒素で4配位された構造が基本であり、たとえば高濃度のFeを含む場合でも、FeN-AlN混晶において4配位された構造の形成可能であり、結果として広い濃度範囲でウルツ鉱型結晶構造をとることができたと予測される。
なお、窒化物を(Al1-yGa1-xFeNと表したとき、yが0≦y≦1.0の範囲内であり、xが0.05<x≦0.261の範囲内であることが好ましい。また、前述の窒化物について、yが0であり、xが0.11≦x≦0.218の範囲内であることがより好ましい。
また、前述の成長工程では、例えば図2に示すような高周波スパッタリング装置900を使用したスパッタリング法により薄膜12を基板11上に成長させる。高周波スパッタリング装置900は、チャンバ901と、高周波電源RFと、マッチング部902と、基板11を保持するホルダ904と、ターゲット材TGを保持するホルダ905と、基板11を加熱するためのヒータ903と、を備える。チャンバ901には、材料ガスをチャンバ901内へ供給するための供給ポート911が設けられており、例えばArと窒素との混合ガスが供給ポート911を通じてチャンバ901内へ供給される(矢印AR91参照)。また、チャンバ901には、チャンバ901内の気体を排出するための排気ポート912が設けられており、排気ポート912に接続された真空ポンプ(図示せず)により予め設定された排気レートで排気が実行されることにより(矢印AR92参照)チャンバ901内の圧力が設定値に維持されている。ホルダ904、905の間には、シャッタ906が配置されている。また、ホルダ904の鉛直上方には、冷媒が流れる流路941aを有した冷却機構941が配設されている。そして、矢印AR93に示すように流路941aに流入し矢印AR94に示すように流路941aから流出する冷媒とホルダ904の基板11側でない部分との間で熱交換されることによりホルダ904の基板11側でない部分が冷却される。また、ホルダ905の鉛直下方にも、冷媒が流れる流路951aを有しターゲット材TGを冷却するための冷却機構951が配設されている。そして、矢印AR95に示すように流路951aに流入し矢印AR96に示すように流路951aから流出する冷媒とターゲット材TGとの間で熱交換されることによりターゲット材TGが冷却される。
この高周波スパッタリング装置900を使用して、前述の成長工程を行う場合、まず、チャンバ901内において、基板11を、その薄膜12を成長させる面が鉛直下方を向く姿勢でホルダ904に保持させる。また、チャンバ901内における基板11の鉛直下方においてターゲット材TGをホルダ905に保持させる。ターゲット材TGとしては、例えば前述の窒化物の焼結体が採用される。また、ターゲット材TGの上に、AlまたはGaと置換する少なくとも1つの3d遷移金属の個片CPを載置する。ここで、ターゲット材TG上に載置する個片CPの面積、個数または配置を変化させることにより、作製する薄膜に取り込まれる3d遷移金属の添加量を調整することができる。
次に、シャッタ906を閉じた状態で、チャンバ901内に残留した気体をチャンバ901外へ排出し、その後、Ar(アルゴン)と窒素との混合ガスを、供給ポート911を介してチャンバ901内へ導入する。ここで、混合ガスにおけるArに対する窒素の分圧比は、0.25乃至1.0の範囲であればよい。続いて、混合ガス雰囲気下で、ヒータ903により基板11を予め設定された第1温度まで加熱する。ここで、第1温度は、200℃以上400℃以下の範囲内の温度に設定される。なお、混合ガスをチャンバ901内へ導入するタイミングは、ヒータ903による基板11の加熱を開始する前であってもよいし後であってもよい。
その後、高周波電源RFからマッチング部902を介してチャンバ901内へ高周波電力を供給することにより、ターゲット材TG近傍にプラズマを誘起して、ターゲット材TGをスパッタリングする。ここで、シャッタ906を開状態にしておくと、ターゲット材TGがスパッタリングされることにより叩き出された原子が基板11に到達し基板11上に窒化物の結晶が成長する。このとき、Feの個片CPは、ターゲット材TGと同時にスパッタリングされ、チャンバ901内に導入された混合ガス中に含まれる窒素と反応して、基板11上に形成される薄膜12中に取り込まれる。なお、基板11上に薄膜12を成膜する前に、基板11の表面およびターゲット材TGの表面をプラズマに暴露することにより、基板11の表面およびターゲット材TGの表面を清浄化してもよい。このスパッタリング法を利用すれば、個片CPの面積、個数または配置を変化させることにより、基板11上に成長させる薄膜12の組成を変更することができる。
なお、本実施の形態では、高周波スパッタリング装置900を使用してスパッタリング法を行う例について説明したが、スパッタリング法を実施する手段はこれに限定されるものではない。例えば、マグネトロンスパッタリング装置、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング装置或いはイオンビームスパッタリング装置を使用してもよい。
熱処理工程では、例えば図3に示すような熱処理装置1000を使用して薄膜12、即ち薄膜付き基板1を加熱する。熱処理装置1000は、チャンバ1001と、赤外線ランプ1003と、薄膜付き基板1を保持するサセプタ1004と、サセプタ1004を支持するステージ1002と、一部がサセプタ1004に差し込まれサセプタ1004の温度を計測するための熱電対1005と、を備える。チャンバ1001には、N(窒素)ガスまたは窒素とアルゴンの混合ガスを、矢印AR101に示すようにチャンバ1001内へ供給するためのノズル1011が設けられている。また、チャンバ1001には、チャンバ1001内の気体を、矢印AR102に示すように排出するための排気口1012が設けられており、排気口1012に接続された真空ポンプ(図示せず)により予め設定された排気レートで排気が実行されることによりチャンバ1001内の圧力が設定値に維持されている。チャンバ1001は、例えば石英ガラスから形成されている。また、サセプタ1004としては、炭素材料から形成され、表面にSiCがコーティングされたものが採用される。
この熱処理装置1000を使用して、熱処理工程を行う場合、まず、ステージ1002に支持されたサセプタ1004に薄膜付き基板1を保持させた状態で、サセプタ1004をチャンバ1001内へ導入する。ここで、薄膜付き基板1は、薄膜12側の面が鉛直上方を向く姿勢であり且つ薄膜12側とは反対側の面がサセプタ1004に接触した状態でサセプタ1004に保持されている。なお、薄膜付き基板1は、例えば薄膜付き基板1の薄膜12側の面が、例えば石英ガラスから形成されたカバー(図示せず)で覆われた状態でサセプタ1004に保持されていてもよい。次に、赤外線ランプ1003に通電して赤外線ランプ1003を点灯させる。このとき、赤外線ランプ1003から放射された赤外線が、サセプタ1004に吸収され、サセプタ1004の温度が上昇する。これにより、サセプタ1004に保持された薄膜付き基板1が加熱される。また、熱処理装置1000は、熱電対1005を流れる電流の電流値に基づいて、赤外線ランプ1003へ供給する電流の電流値を変化させることにより、薄膜付き基板1の温度を予め設定された第2温度で維持する。ここで、第2温度は、600℃以上1300℃以下の範囲内の温度に設定される。続いて、サセプタ1004および薄膜付き基板1を前述の目標温度に維持した状態で、予め設定された期間だけ放置する。その後、赤外線ランプ1003を消灯してサセプタ1004および薄膜付き基板1の温度を降温させてから、薄膜付き基板1をチャンバ1001外へ取り出す。
このように、前述の成長工程を行った後、基板11および薄膜12を前述の第2温度にまで加熱する熱処理工程を行うと、成長工程において薄膜12内に取り込まれたFeが離脱して薄膜12の外へ脱離して析出する。この熱処理工程を経た薄膜12は、熱処理工程前の状態の薄膜12に比べて、薄膜12が吸収する光の波長帯域の上限が短波長側へシフトしている。このため、熱処理工程を経た薄膜12は、熱処理工程前のそれに比べて、特に可視光の波長帯域の光全体に対する透過率が上昇している。
以上説明したように、本実施の形態に係る薄膜12の製造方法では、基板11上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜12を成長する成長工程を行った後、基板11および薄膜12を、成長工程における基板11の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程を行う。これにより、成長工程において薄膜12中に取り込まれた3d遷移金属が、熱処理工程において薄膜12の外へ脱離する。これに伴い、薄膜12の格子定数が小さくなる。つまり、3d遷移金属の脱離量を調整することで薄膜12の格子定数を調整できることになる。また、3d遷移金属が薄膜12中に取り込まれることで発生していたバンドギャップエネルギ以下のエネルギを有する光の吸収が小さくなる。薄膜12が吸収する光の吸収係数が、熱処理工程前の薄膜12のそれに比べて、小さくなると、薄膜12における光、特に、可視光の吸収損失を低減することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る半導体装置は、いわゆるLED(Light Emitting Diode)素子である。例えば図4に示すように、本実施の形態に係る半導体装置100は、基板11と、基板11上に成長した薄膜12と、クラッド層21、23と、発光層22と、電極31、32と、を備える。基板11としては、石英ガラス基板、多結晶金属板、サファイア基板、Si基板の中から選択される基板を採用することができる。なお、基板11としては、他の結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成されていてもよい。
薄膜12は、Al、Ga、Nおよび3d遷移金属を含む窒化物から形成されている。クラッド層21は、導電型がn型の窒化物から形成される。このn型の窒化物としては、例えばドナー不純物が添加されたIn(Al1-yGa1-zN(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物が採用される。ドナー不純物は、例えばSi、O、およびHから選択されてもよい。また、クラッド層21も、ウルツ鉱型結晶構造を有し、図4の矢印AR1で示す膜厚方向への優先配向軸が、実施の形態1で説明したa軸またはm軸となっている。クラッド層21には、電極31が配設されている。
発光層22は、薄膜12の上方における、クラッド層21上に形成されている。発光層22は、例えばIn(Al1-yGa1-zN(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される複数の第2窒化物から形成された半導体層が積層されてなる多重量子井戸構造を有する。発光層22を構成する各半導体層も、ウルツ鉱型結晶構造を有し、図4の矢印AR1で示す各半導体層の膜厚方向への優先配向軸がa軸またはm軸となっている。
クラッド層23は、導電型がp型の窒化物から形成される。このn型の窒化物としては、例えばアクセプタ不純物が添加されたIn(Al1-yGa1-zN(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物が採用される。アクセプタ不純物は、例えばMg、Ca、およびCから選択されてもよい。また、クラッド層23も、ウルツ鉱型結晶構造を有し、図4の矢印AR1で示す膜厚方向への優先配向軸が、実施の形態1で説明したa軸またはm軸となっている。クラッド層23には、電極32が配設されている。なお、本実施の形態では、クラッド層21の導電型がn型であり、クラッド層23の導電型がp型である場合について説明したが、これに限らず、例えばクラッド層21の導電型がp型であり、クラッド層23の導電型がn型であってもよい。
本実施の形態に係る半導体装置100の製造方法では、図5に示すように、薄膜成長工程(ステップS1)を行った後、基板11および薄膜12を、薄膜成長工程における基板11の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程を行う(ステップS2)。次に、第1クラッド層成長工程(ステップS3)、発光層成長工程(ステップS4)および第2クラッド層成長工程(ステップS5)を順に行う。その後、そして、エッチング工程(ステップS6)、電極形成工程(ステップS7)を順に行う。薄膜成長工程(ステップS1)は、基板11上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜12を成長させる第1成長工程である。薄膜成長工程で成長させる薄膜12は、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGay)1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される第1窒化物から形成されている。また、薄膜12は、ウルツ鉱型結晶構造を有し、図4の矢印AR1で示す膜厚方向への優先配向軸が、実施の形態1で説明したa軸またはm軸となっている。即ち、薄膜12の厚さ方向における両側の結晶面が、ウルツ鉱型結晶構造におけるa面またはm面となっている。ここで、3d遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Cuから選択される少なくとも1つであることが好ましく、特に、Feであることがより好ましい。また、3d遷移金属がFeである場合、前述の第1窒化物を(Al1-yGa1-xFeNと表したとき、yが0≦y≦1.0の範囲内であり、xが0.05<x≦0.261の範囲内である。薄膜成長工程では、例えば実施の形態1で説明した高周波スパッタリング装置900が使用される。薄膜成長工程の内容は、実施の形態1で説明した薄膜成長工程と同様である。また、薄膜成長工程における基板11の第1温度の範囲は、実施の形態1と同様である。
熱処理工程(ステップS2)では、前述の薄膜12が積層された基板11を、薄膜成長工程における基板11の第1温度よりも高い第2温度にまで加熱する。熱処理工程では、例えば実施の形態1で説明した熱処理装置1000が使用される。熱処理工程の内容は、実施の形態1で説明した熱処理工程と同様である。また、第2温度の範囲は、実施の形態1で説明した温度範囲と同じである。
第1クラッド層成長工程(ステップS3)では、薄膜12上に、前述のクラッド層21を成長させる。発光層成長工程(ステップS4)では、クラッド層21上に、前述の発光層22を成長させる。第2クラッド層成長工程(ステップS5)では、発光層22上に、前述のクラッド層23を成長させる。なお、第1クラッド層成長工程、発光層成長工程および第2クラッド層成長工程では、分子線エピタキシ法(MBE法)、有機金属気相成長法(MOCVD法)等の成膜方法を利用することができる。これら第1クラッド層成長工程、発光層成長工程および第2クラッド層成長工程が、薄膜12上に、発光層22を含む3つの窒化物層を成長させる第2成長工程に相当する。
エッチング工程(S6)では、クラッド層21の一部が露出するまで、発光層22およびクラッド層23をエッチングする。なお、エッチング工程では、周知のドライエッチング法或いはウェットエッチング法を採用することができる。電極形成工程(ステップS7)では、クラッド層21、23それぞれに電極31、32を形成する。なお、電極形成工程では、メッキ法、蒸着法、スパッタリング法等の成膜方法を利用して電極31、32を形成することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る半導体装置100の製造方法では、基板11上に、薄膜12を成長させた後、前述の熱処理工程を行う。これにより、薄膜成長工程において薄膜12中に取り込まれた3d遷移金属が、熱処理工程において薄膜12の外へ脱離する。これに伴い、薄膜12の格子定数が小さくなる。つまり、3d遷移金属の脱離量を調整することで薄膜12の格子定数を調整できることになる。また、3d遷移金属が薄膜12中に取り込まれることで発生していたバンドギャップエネルギ以下のエネルギを有する光の吸収が小さくなる。薄膜12が吸収する光の吸収係数が、熱処理工程前の薄膜12のそれに比べて、小さくなると、薄膜12における光、特に、可視光の吸収損失を低減することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態に係る半導体装置は、いわゆるHEMT(High Electron Mobility Transistor)素子である。例えば図6に示すように、本実施の形態に係る半導体装置200は、基板11と、基板11上に成長した薄膜12と、キャリア通過層221と、キャリア発生層222と、ソース電極231、ゲート電極232およびドレイン電極233と、を備える。基板11としては、サファイア基板、Si基板、SiC基板の中から選択される基板を採用することができる。なお、基板11としては、他の結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成されていてもよい。
薄膜12は、Al、Ga、Nおよび3d遷移金属を含む窒化物から形成されている。キャリア通過層221は、不純物の極めて少ないIII族窒化物層である。この不純物の極めて少ないIII族窒化物層としては、例えばIn(Al1-yGa1-zN(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物が採用される。キャリア発生層222は、導電型がn型あるいはp型の窒化物から形成される。この導電型がn型あるいはp型の窒化物としては、例えばドナー不純物或いはアクセプタ不純物が添加された、Al1-yGaN(0≦y≦1)で表される窒化物が採用される。ドナー不純物は、例えばSi、O、およびHから選択されてもよい。アクセプタ不純物は、例えばMgである。キャリア通過層221におけるキャリア発生層222近傍には、高易動度の電子が存在する二次元電子ガス層(図示せず)が形成されている。また、これらも、ウルツ鉱型結晶構造を有し、図6の矢印AR1で示す膜厚方向への優先配向軸が、実施の形態1で説明したa軸またはm軸となっている。ソース電極231、ゲート電極232およびドレイン電極233は、それぞれ、キャリア発生層222の上側に配設されている。
本実施の形態に係る半導体装置200の製造方法では、図7に示すように、薄膜成長工程(ステップS201)を行った後、基板11および薄膜12を、薄膜成長工程における基板11の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程を行う(ステップS202)。次に、キャリア通過層成長工程(ステップS203)と、キャリア発生層成長工程(ステップS204)と、を順に行う。その後、電極形成工程(ステップS205)を行う。薄膜成長工程(ステップS201)は、基板11上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜12を成長させる第1成長工程である。薄膜成長工程で成長させる薄膜12は、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGay)1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される第1窒化物から形成されている。また、薄膜12は、ウルツ鉱型結晶構造を有し、図6の矢印AR1で示す膜厚方向への優先配向軸が、実施の形態1で説明したa軸またはm軸となっている。即ち、薄膜12の厚さ方向における両側の結晶面が、ウルツ鉱型結晶構造におけるa面またはm面となっている。ここで、3d遷移金属としては、Fe、Co、Ni、Cuから選択される少なくとも1つであることが好ましく、特に、Feであることがより好ましい。また、3d遷移金属がFeである場合、前述の第1窒化物を(Al1-yGa1-xFeNと表したとき、yが0≦y≦1.0の範囲内であり、xが0.05<x≦0.261の範囲内である。薄膜成長工程では、例えば実施の形態1で説明した高周波スパッタリング装置900が使用される。薄膜成長工程の内容は、実施の形態1で説明した薄膜成長工程と同様である。また、薄膜成長工程における基板11の第1温度の範囲は、実施の形態1と同様である。
熱処理工程(ステップS202)では、前述の薄膜12が積層された基板11を、薄膜成長工程における基板11の第1温度よりも高い第2温度にまで加熱する。熱処理工程では、例えば実施の形態1で説明した熱処理装置1000が使用される。熱処理工程の内容は、実施の形態1で説明した熱処理工程と同様である。また、第2温度の範囲は、実施の形態1で説明した温度範囲と同じである。
キャリア通過層成長工程(ステップS203)では、薄膜12上に、前述のキャリア通過層221を成長させる。キャリア発生層成長工程(ステップS204)では、キャリア通過層221上に、前述のキャリア発生層222を成長させる。なお、キャリア通過層成長工程およびキャリア発生層成長工程では、分子線エピタキシ法(MBE法)、有機金属気相成長法(MOCVD法)等の成膜方法を利用することができる。ここで、キャリア通過層成長工程およびキャリア発生層成長工程が、薄膜12上に、トランジスタ窒化物層を成長させる第3成長工程に相当する。
電極形成工程(ステップS205)では、キャリア発生層222上に、ソース電極231、ゲート電極232およびドレイン電極233を形成する。なお、電極形成工程では、メッキ法、蒸着法、スパッタリング法等の成膜方法を利用してソース電極231、ゲート電極232およびドレイン電極233を形成することができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、実施の形態1の薄膜成長工程において、薄膜12が、分子線エピタキシ法(MBE法)により成長されてもよい。この場合、含窒素原子ガスを真空雰囲気のチャンバ内へ導入し、含窒素原子ガスをチャンバ内に配置された基板表面或いはその近傍で光分解または熱分解させながら、基板表面に、Gaの分子線と3d遷移金属の分子線とを照射することにより、薄膜12を成長させる。ここで、含窒素原子ガスとしては、窒素分子(N)、アンモニア(NH)等が採用される。また、含窒素原子ガスを分解して窒素原子を得る方法は特に限定されない。例えば、プラズマ銃を利用して窒素分子へ高周波エネルギを与えることにより窒素分子を分解する方法を採用してもよい。このとき、Al、Gaおよび3d遷移金属の分子線セルのセル温度を上下させて基板表面への3d遷移金属の供給量を変化させることにより、前述の窒化物の組成を変更することができる。
以上、本発明の各実施の形態および変形例(なお書きに記載したものを含む。以下、同
様。)について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施
の形態及び変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
本発明に係る薄膜の製造方法について、実施例に基づいて説明する。
まず、図2に示す高周波スパッタリング装置900を使用して、基板上に、Al1-xFeN(0≦x≦1)の薄膜を作製する成長工程を行うことにより薄膜付き基板を得た。この成長工程では、Arと窒素との混合ガスをチャンバ901内へ導入した。ターゲット材TGとしては、AlNの焼結体(純度99%:フルウチ化学株式会社製)を採用した。そして、ターゲット材TGの上に、Feから形成された個片CP(純度99.9%:フルウチ化学株式会社製)を載置した。基板としては、石英ガラス基板を採用した。まず、シャッタ906を閉じた状態でチャンバ901内に残留する空気を排出してから、ヒータ903により基板11の温度を300℃まで上昇させた。次に、Arと窒素との混合ガスをチャンバ901内へ導入した。混合ガスにおけるArに対する窒素の分圧比を、0.5とし、チャンバ901の内圧を0.65Paとした。続いて、高周波電源RFからチャンバ901内へ高周波電力を供給することにより、チャンバ901内にプラズマを発生させた。このときの高周波電力は、200Wに設定した。その後、シャッタ906を開状態にして基板11上に薄膜を成長させた。薄膜の成長速度は、0.5μm/hrであった。また、薄膜に含まれるFeの濃度は、19.9%とした。
次に、図3に示す熱処理装置1000を使用して、熱処理工程を行った。この熱処理工程では、成長工程後の薄膜付き基板に対する熱処理時間を変更して処理することにより、実施例1乃至4に係る薄膜付き基板を作製した。実施例1乃至4に係る薄膜付き基板それぞれにおける熱処理時間は、表1に示す通りである。また、実施例1乃至4に係る薄膜付き基板それぞれにおける熱処理温度は、いずれも1200℃とした。なお、比較例に係る薄膜付き基板については熱処理工程を行わなかった。
Figure 0007290218000001
次に、実施例1乃至4並びに比較例に係る薄膜付き基板の薄膜それぞれについて、X線回折法(XRD法)により測定されたプロファイルを図8に示す。図8に示すように、比較例に係る薄膜では、(11-20)面、即ち、ウルツ鉱型結晶構造のa面に対応する回折角度(58°近傍)に鋭いピークが観測された。そして、実施例1乃至4に係る薄膜についても、回折角度(58°近傍)に鋭いピークが観測された。このことから、実施例1乃至4に係る薄膜、即ち、熱処理工程が行われた薄膜についても、膜厚方向の優先配向軸がa軸で維持されていることが判った。
次に、実施例1乃至4並びに比較例に係る薄膜それぞれについて、図8に示す結果に基づいて格子定数を算出した結果を図9に示す。図9に示すように、比較例に係る薄膜では、格子定数が0.3165nmであるのに対して、実施例1に係る薄膜では、格子定数が0.3114nmまで減少していることが判った。また、熱処理時間が更に長い実施例2乃至4に係る薄膜では、格子定数が更に減少した。そして、実施例3、4に係る薄膜では、格子定数が約0.3112nmになることが判った。このように、実施例3,4に係る薄膜では、その格子定数の値が、3d遷移金属が添加されていないAlNの格子定数の理論値(例えば、非特許文献:三輪和利、福本敦勇, ”ワイドバンドギャップ半導体GaN,AlNの物性予測-第一原理計算による電子状態計算-”,豊田中央研究所 R&Dレビュー, Vol.29, No.4, p33-p42 参照)に近い値まで徐々に変化することが判った。
ところで、3価のFeイオンのイオン半径は、3価のAlイオンのイオン半径よりも大きいため、AlNの結晶においてAlサイトをFeに置換してなるAlFeNの結晶は、AlNの結晶に比べて、その格子定数が大きくなる。このことを考慮すると、図8に示すように、実施例3、4に係る薄膜の格子定数が、比較例に係る薄膜の格子定数に比べて小さく、3d遷移金属が添加されていないAlN結晶の格子定数に近づいている結果から、薄膜に対して熱処理工程を行うことにより薄膜に含まれるFeが脱離しているためと考えられる。これは、熱処理時間を調整することで格子定数を調整できることを示している。
本発明の薄膜は、LED、半導体レーザ或いはトランジスタに用いられる材料として好適である。
1:薄膜付き基板、11:基板、12:薄膜、21、23:クラッド層、22:発光層、31、32:電極、100、200:半導体装置、221:キャリア通過層、222:キャリア発生層、231:ソース電極、232:ゲート電極、233:ドレイン電極、900:高周波スパッタリング装置、901、1001:チャンバ、902:マッチング部、903:ヒータ、904、905:ホルダ、906:シャッタ、911:供給ポート、912:排気ポート、941、951:冷却機構、941a、951a:流路、1000:熱処理装置、1002:ステージ、1003:赤外線ランプ、1004:サセプタ、1005:熱電対、1011:ノズル、1012:排気口、CP:個片、TG:ターゲット材

Claims (10)

  1. 結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成された基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる成長工程と、
    前記成長工程の後、前記基板および前記薄膜を、前記成長工程における前記基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程と、を含み、
    前記3d遷移金属は、Feであり、
    前記窒化物を(Al 1-y Ga 1-x Fe Nと表したとき、yが0≦y≦1.0の範囲内であり、xが0.05<x≦0.261の範囲内である
    薄膜の製造方法。
  2. 窒化物の焼結体からなるターゲット材の上にAlまたはGaと置換する少なくとも1つの3d遷移金属の個片を載置した状態でスパッタリングすることにより、結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成された基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al 1-y Ga 1-x N(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる成長工程と、
    前記成長工程の後、前記基板および前記薄膜を、前記成長工程における前記基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程と、を含む、
    薄膜の製造方法。
  3. 前記3d遷移金属は、Fe、Co、Ni、Cuから選択される少なくとも1つである、
    請求項記載の薄膜の製造方法。
  4. 前記第1温度は、200℃以上400℃以下の範囲内の温度であり、
    前記第2温度は、600℃以上1300℃以下の範囲内の温度である、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の薄膜の製造方法。
  5. 結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成された基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる第1成長工程と、
    前記第1成長工程の後、前記基板を、前記第1成長工程における前記基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程と、
    前記熱処理工程の後、前記薄膜上に、In(Al1-yGa1-zN(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物から形成された多重量子井戸構造を有する発光層を含む少なくとも1つの窒化物層を成長させる第2成長工程と、を含み、
    前記3d遷移金属は、Feであり、
    前記窒化物を(Al 1-y Ga 1-x Fe Nと表したとき、yが0≦y≦1.0の範囲内であり、xが0.05<x≦0.261の範囲内である
    半導体装置の製造方法。
  6. 窒化物の焼結体からなるターゲット材の上にAlまたはGaと置換する少なくとも1つの3d遷移金属の個片を載置した状態でスパッタリングすることにより、結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成された基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al 1-y Ga 1-x N(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる第1成長工程と、
    前記第1成長工程の後、前記基板を、前記第1成長工程における前記基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程と、
    前記熱処理工程の後、前記薄膜上に、In (Al 1-y Ga 1-z N(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物から形成された多重量子井戸構造を有する発光層を含む少なくとも1つの窒化物層を成長させる第2成長工程と、を含む、
    半導体装置の製造方法。
  7. 結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成された基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al1-yGa1-xN(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる第1成長工程と、
    前記第1成長工程の後、前記基板を、前記第1成長工程における前記基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程と、
    前記熱処理工程の後、前記薄膜上に、In(Al1-yGa1-zN(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物から形成された少なくとも1つの窒化物層を成長させる第3成長工程と、を含み、
    前記3d遷移金属は、Feであり、
    前記窒化物を(Al 1-y Ga 1-x Fe Nと表したとき、yが0≦y≦1.0の範囲内であり、xが0.05<x≦0.261の範囲内である
    半導体装置の製造方法。
  8. 窒化物の焼結体からなるターゲット材の上にAlまたはGaと置換する少なくとも1つの3d遷移金属の個片を載置した状態でスパッタリングすることにより、結晶状またはアモルファス状の金属、半金属、半導体または絶縁体から形成された基板上に、3d遷移金属TをTとしたときに、(Al 1-y Ga 1-x N(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される窒化物から形成された薄膜を成長させる第1成長工程と、
    前記第1成長工程の後、前記基板を、前記第1成長工程における前記基板の第1温度よりも高い第2温度に加熱する熱処理工程と、
    前記熱処理工程の後、前記薄膜上に、In (Al 1-y Ga 1-z N(0≦y≦1、0≦z≦1)で表される窒化物から形成された少なくとも1つの窒化物層を成長させる第3成長工程と、を含む、
    半導体装置の製造方法。
  9. 前記3d遷移金属は、Fe、Co、Ni、Cuから選択される少なくとも1つである、
    請求項またはに記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記第1温度は、200℃以上400℃以下の範囲内の温度であり、
    前記第2温度は、600℃以上1300℃以下の範囲内の温度である、
    請求項5からのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
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