JP7290139B2 - 鋼帯の巻取り方法及び巻取り設備 - Google Patents
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Description
サイドガイドは、通常、平行ガイド部と、この平行ガイド部の上流側端部に回動自在に枢着され、上流側に向けてハの字に開いたベルマウスガイド部で構成されている。このサイドガイドの平行ガイド部は、電動モータやスクリューシャフト等からなる駆動装置によりパスラインに向けて対称に移動可能(接近・離間可能)であるとともに、ショートストロークシリンダによって鋼帯幅方向に進退可能となっている。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、搬送されてくる鋼帯先端部の通板状況に応じて、サイドガイドの待機開度を鋼帯先端部が衝突若しくは強接触しないような大きさに適切に制御し、ミスロールの発生を防止することができる鋼帯の巻取り方法及び巻取り設備を提供することにある。
[1]巻取り機(1)の上流側にサイドガイド(2)が設置された巻取り設備における鋼帯の巻取り方法であって、
サイドガイド(2)の上流側で鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yを計測し、鋼帯(S)の先端部がサイドガイド(2)に衝突するおそれがある計測結果が得られたときに、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げ、その待機開度のサイドガイド(2)に鋼帯(S)を進入させることを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
[2]上記[1]の巻取り方法において、計測された鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yの和が閾値を超えたときに、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げ、その待機開度のサイドガイド(2)に鋼帯(S)を進入させることを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの巻取り方法において、鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yの計測結果に基づき、サイドガイド(2)に鋼帯(S)が進入する前に、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げた場合において、
鋼帯(S)の先端部がサイドガイド(2)に進入したときに、サイドガイド(2)の開度を、鋼帯(S)を進入させる際に予め設定されている前記開度まで狭め、その後、鋼帯(S)の先端部が巻取り機(1)を構成するマンドレルに巻き付き開始したときに、サイドガイド(2)の開度を通常運転状態の開度まで狭めることを特徴とする鋼帯の巻取り方法。
サイドガイド(2)の上流側で鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yを計測する計測手段(3)と、
該計測手段(3)により、鋼帯(S)の先端部がサイドガイド(2)に衝突するおそれがある計測結果が得られたときに、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げるように制御するコントローラ(4)を備えることを特徴とする鋼帯の巻取り設備。
[6]上記[5]の巻取り設備において、コントローラ(4)は、計測手段(3)により計測された鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yの和が閾値を超えたときに、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げるように制御することを特徴とする鋼帯の巻取り設備。
[8]上記[5]~[7]のいずれかの巻取り設備において、コントローラ(4)は、
鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yの計測結果に基づき、サイドガイド(2)に鋼帯(S)が進入する前に、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げた場合において、
鋼帯(S)の先端部がサイドガイド(2)に進入したときに、サイドガイド(2)の開度を、鋼帯(S)を進入させる際に予め設定されている前記開度まで狭め、その後、鋼帯(S)の先端部が巻取り機(1)を構成するマンドレルに巻き付き開始したときに、サイドガイド(2)の開度を通常運転状態の開度まで狭めることを特徴とする鋼帯の巻取り設備。
まず、オペレーターがITV画像より通板リスクが大きいと判断し、手介入でサイドガイドの待機開度を広げる際の影響因子について検討を行い、その因子の一つとして、不安定通板による鋼帯先端部の浮き上がりに着目した。仕上げ圧延機を出てから巻取り設備まで搬送される際に生じる鋼帯先端部の通板不安定現象は、鋼帯搬送用のローラテーブルのロールと鋼帯先端部の衝突によって生じる圧縮荷重による座屈現象で説明できることが判った。この座屈現象は下記(1)式で表すことができる。
図2に、薄物材(板厚3mm未満の鋼帯)とそれ以外の材料(板厚3mm以上の鋼帯)について、ミスロール比率(全コイル数に対するミスロールが発生したコイル数の割合)を調べた結果を示すが、薄物材のミスロール比率は、それ以外の材料の約2.5倍もあることが判る。
以上の相関係数を表1に示す。これによれば、板厚3mm未満の鋼帯では、鋼帯先端部のオフセンター量と浮き上がり量に応じた待機開度を設定することで、鋼帯先端部とサイドガイドの衝突によるミスロール発生頻度を抑制させることが可能となることが判る。
上記のように「鋼帯先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yの和」の閾値を設定し、計測値(x+y)がその閾値を超えたときに待機開度の調整(拡張)を行う場合、図4の結果では計測値(x+y)が170mmの場合にミスロールの発生実績があることから、その閾値は170mm未満の範囲で設定することが望ましい。
巻取り設備Aは、巻取り機1の上流側にサイドガイド2を備えたものであり、この巻取り設備Aは、熱間圧延設備を構成する仕上げ圧延機(図示せず)の下流側に設けられる。
巻取り機1は、ライン上に設けられるピンチロール11と、このピンチロール11の下流側の斜め下方に設けられるダウンコーラー10などで構成される。また、ダウンコーラー10は、マンドレル及びラッパーロールなどで構成される。
サイドガイド2は、平行ガイド部20と、この平行ガイド部20の上流側端部に回動自在に枢着され、上流に向けてハの字に開いたベルマウスガイド部21で構成されている。なお、サイドガイド2は、ベルマウスガイド部21を備えないものであってもよい。
各油圧シリンダ5にはそれぞれ位置検出器6が設けられ、この位置検出器6によって各シリンダロッド50のストローク位置、すなわち平行ガイド部20の開度が検出可能であり、その検出信号がコントローラ4に供給されるようになっている。各油圧シリンダ5は、サーボ弁7を介して供給される油圧によって駆動する。
なお、計測手段3の設置位置は、計測手段3による鋼帯先端部の検出に基づいたサイドガイド2の開度調整(制御)が間に合う限度で、サイドガイド2の入口に可能な限り近い上流位置とすることが好ましい。
コントローラ4は、計測手段3から送られてきた信号に基づきオフセンター量xと浮き上がり量yの和を計算するとともに、その値を予め設定されている閾値と比較し、その値が閾値を超えたときに、油圧シリンダ5を制御してサイドガイド2の待機開度を広げる機能を有する。また、それ以外の場合を含めて、コントローラ4は、位置検出器6からの検出信号に基づき油圧シリンダ5のストロークを制御し、サイドガイド2の開度を制御する機能を有する。
サイドガイド2の開度は、予め材料(鋼帯)毎に設定されている(鋼帯の材質、板厚、板幅などによって通板安定性が異なるので、それに応じて基本の待機開度が設定されている)ので、巻取りを行う鋼帯Sに応じて、平行ガイド部20が駆動手段により設定された開度に移動され、基本の待機開度の状態にしてある。
鋼帯Sは、図示しない仕上げ圧延機からローラテーブルを介してサイドガイド2に向けて搬送され、その鋼帯先端部が計測手段3を通過する際に、計測手段3によりオフセンター量xと浮き上がり量yが測定され、それに応じた信号がコントローラ4に供給される。コントローラ4は、その信号をもとに、鋼帯Sの先端部がサイドガイド2に衝突するおそれがあると判定されるときに、サイドガイド2(平行ガイド部20)の待機開度を予め設定されている開度(上述した基本の待機開度)から広げ、その待機開度のサイドガイド2に鋼帯Sを進入させる。
以上のようにオフセンター量xと浮き上がり量yの計測結果に基づいてサイドガイド2の待機開度を調整する(設定する)ことにより、鋼帯Sがサイドガイド2に衝突することを防止でき、ミスロール発生頻度を抑えることができる。
なお、サイドガイド2の開度を広げることなく、基本の待機開度のまま維持し、この待機開度のサイドガイド2に鋼帯Sを進入させた場合には、当然のことながら、上記第2段階の開度調整(開度を狭める)のみが行われる。
通常の巻取り設備Aでは、特許文献1,2に示されるように、ライン方向で複数基の巻取り機1が設置され、それらを順に切り替えて鋼帯Sの巻取りを行うが、このような巻取り設備Aにおいて、本発明の巻取り方法は、いずれの巻取り機1を用いる場合にも適用することができる。
1 巻取り機
2 サイドガイド
3 計測手段
4 コントローラ
5 油圧シリンダ
6 位置検出器
7 サーボ弁
10 ダウンコイラー
11 ピンチロール
20 平行ガイド部
21 ベルマウスガイド部
50 シリンダロッド
S 鋼帯
Claims (6)
- 巻取り機(1)の上流側にサイドガイド(2)が設置された巻取り設備における鋼帯の巻取り方法であって、
サイドガイド(2)の上流側で鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yを計測し、該鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yの和が閾値を超えたときに、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げ、その待機開度のサイドガイド(2)に鋼帯(S)を進入させることを特徴とする鋼帯の巻取り方法。 - サイドガイド(2)は、平行ガイド部(20)と、該平行ガイド部(20)の入側にベルマウスガイド部(21)を有するサイドガイドであることを特徴とする請求項1に記載の鋼帯の巻取り方法。
- 鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yの計測結果に基づき、サイドガイド(2)に鋼帯(S)が進入する前に、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げた場合において、
鋼帯(S)の先端部がサイドガイド(2)に進入したときに、サイドガイド(2)の開度を、鋼帯(S)を進入させる際に予め設定されている前記開度まで狭め、その後、鋼帯(S)の先端部が巻取り機(1)を構成するマンドレルに巻き付き開始したときに、サイドガイド(2)の開度を通常運転状態の開度まで狭めることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼帯の巻取り方法。 - 巻取り機(1)の上流側にサイドガイド(2)が設置された巻取り設備であって、
サイドガイド(2)の上流側で鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yを計測する計測手段(3)と、
該計測手段(3)により計測された鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yの和が閾値を超えたときに、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げるように制御するコントローラ(4)を備えることを特徴とする鋼帯の巻取り設備。 - サイドガイド(2)は、平行ガイド部(20)と、該平行ガイド部(20)の入側にベルマウスガイド部(21)を有するサイドガイドであることを特徴とする請求項4に記載の鋼帯の巻取り設備。
- コントローラ(4)は、
鋼帯(S)の先端部のオフセンター量xと浮き上がり量yの計測結果に基づき、サイドガイド(2)に鋼帯(S)が進入する前に、サイドガイド(2)の待機開度を予め設定されている開度から広げた場合において、
鋼帯(S)の先端部がサイドガイド(2)に進入したときに、サイドガイド(2)の開度を、鋼帯(S)を進入させる際に予め設定されている前記開度まで狭め、その後、鋼帯(S)の先端部が巻取り機(1)を構成するマンドレルに巻き付き開始したときに、サイドガイド(2)の開度を通常運転状態の開度まで狭めることを特徴とする請求項4又は5に記載の鋼帯の巻取り設備。
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