JP7289698B2 - 冷菓用組成物、冷菓用組成物の製造方法、冷菓、および冷菓の製造方法 - Google Patents

冷菓用組成物、冷菓用組成物の製造方法、冷菓、および冷菓の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、冷菓用組成物、冷菓用組成物の製造方法、その冷菓用組成物を用いた冷菓、および冷菓の製造方法に関する。
従来、アイスクリーム類等の冷菓は、脂肪分や糖分等を多く含むことによって、濃厚な風味、食感の良い製品として提供されている。しかし、近年、カロリーを低減した冷菓の要望が高まっており、脂肪分や糖分等の使用量を低減することが検討されている。しかし、通常、アイスクリーム類等の冷菓の脂肪分や糖分等の使用量を低減すると、濃厚感がなくなり、硬くてスプーン通りが悪くなる。そこで、脂肪分の代替としてポリデキストロース等の水溶性食物繊維等を使用することが検討されている。
例えば、特許文献1には、ポリデキストロースを脂肪代替物として利用する技術が記載されている。
特許文献2には、乳脂肪分が8%未満のアイスクリーム様食品に、甘草またはステビアより抽出された高甘味度甘味物質およびマルトデキストリン、または、甘草またはステビアより抽出された高甘味度甘味物質および膨潤したグルコマンナン微粒子を含有させることが記載されている。
しかし、特許文献1,2の方法では、濃厚感とスプーン通りの良さを両立させるアイスクリーム類の作製は困難であった。
特開平2-242656号公報 特開平11-299426号公報
本発明の目的は、カロリーを低減し、濃厚感があり、スプーン通りが良好な、アイスクリーム類等の冷菓を得ることができる冷菓用組成物、冷菓用組成物の製造方法、その冷菓用組成物を用いた冷菓、および冷菓の製造方法を提供することにある。
本発明は、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つとを含有する、冷菓用組成物である。
本発明は、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つと、水とを含有し、前記イヌリンと前記水の含有量の質量比率が、イヌリン:水=30:70~60:40の範囲であり、前記メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの含有量が、前記イヌリンと前記水の含有量の合計に対して、0.5~3.0質量%の範囲である、冷菓用組成物である。
本発明は、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つと、水とを混合してクリーム化する工程を含み、前記イヌリンと前記水の含有量の質量比率が、イヌリン:水=30:70~60:40の範囲であり、前記メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの含有量が、前記イヌリンと前記水の含有量の合計に対して、0.5~3.0質量%の範囲である、冷菓用組成物の製造方法である。
本発明は、前記冷菓用組成物を含む、冷菓である。
本発明は、前記冷菓用組成物を用いて製造する、冷菓の製造方法である。
本発明により、カロリーを低減し、濃厚感があり、スプーン通りが良好な、アイスクリーム類等の冷菓を得ることができる冷菓用組成物、冷菓用組成物の製造方法、その冷菓用組成物を用いた冷菓、および冷菓の製造方法を提供することができる。
味覚認識装置による、実施例1-3、コントロール(比較例1)のアイスクリーム類の測定結果を示す図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<冷菓用組成物>
本発明の実施の形態に係る冷菓用組成物は、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つとを含有する。
水溶性食物繊維としてイヌリンが知られており、イヌリンを食品に加えることによって、食品のカロリーを低減することが行われている。本発明者らは、冷菓用組成物として、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つとを併用することにより、カロリーを低減し、濃厚感があり、スプーン通りが良好な、アイスクリーム類等の冷菓を得ることができることを見出した。
本実施形態に係る冷菓用組成物は、特に、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つとを含有し、クリーム化して用いられることが好ましい。例えば、水溶性食物繊維であるイヌリンとメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つとを合わせてクリーム化してから加えることによって、カロリーを減らしながらも濃厚感を付与し、スプーン通りが良好な、アイスクリーム類等の冷菓を作ることができる。さらに、このようにして得られたアイスクリーム類等の冷菓は、例えば-20℃の冷凍状態で保管中、氷結晶の成長が抑えられ、保存性を高めることができることもわかった。
イヌリンは、水溶性食物繊維であり、スクロースのフルクトース側にD-フルクトースがβ-(2→1)結合で順次脱水重合した多糖類であって、グルコースに2分子以上のフルクトースが重合したものであり、2~4分子のフルクトースが重合した低重合度のフルクトオリゴサッカライドも含むものである。イヌリンの重合度は、例えば、10~20の範囲である。イヌリンの重合度は、イオンクロマト法により測定することができる。
メチルセルロースは、多糖類の一種であり、セルロースの-OH基の一部が-OCH基(メトキシ基)に置換された物質である。メチルセルロースとしては、ゲル化温度(℃)が例えば30℃~60℃のものを用いることができ、粘度(mPa・s)(25℃、1%濃度)が例えば0~20000mPa・sのものを用いることができる。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、多糖類の一種であり、セルロースの-OH基の一部が-OCH基(メトキシ基)、-OCHCH(OH)CH基(ヒドロキシプロピルオキシ基)に置換された物質である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、ゲル化温度(℃)が例えば50℃~90℃のものを用いることができ、粘度(mPa・s)(25℃、1%濃度)が例えば0~100000mPa・sのものを用いることができる。
カルボキシメチルセルロースは、多糖類の一種であり、セルロースの-OH基の一部が-OCHCOOH基(カルボキシメチル基)に置換された物質である。カルボキシメチルセルロースとしては、粘度(mPa・s)(25℃、1%濃度)が例えば0~15000mPa・sのものを用いることができる。
本実施形態に係る冷菓用組成物において、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの配合量は、例えば、イヌリン100質量部に対して、0.01~20質量部の範囲であり、0.2~10質量部の範囲であることが好ましい。メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの配合量がイヌリン100質量部に対して0.01質量部未満であると、クリーム化して用いるときにクリームにならない場合があり、20質量部を超えると、クリーム化したときに滑らかさがなくなり、ヌメリが感じられる場合がある。
本実施形態に係る冷菓用組成物は、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つと、水とを含有してもよい。本実施形態に係る冷菓用組成物は、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つとの他に、水を含有させて、クリーム化して用いられることが好ましい。
水としては、特に制限はないが、水道水、純水等が挙げられる。
本実施形態に係る冷菓用組成物において、イヌリンと水の含有量の質量比率は、イヌリン:水=30:70~60:40の範囲であり、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの含有量は、イヌリンと水の含有量の合計に対して、0.5~3.0質量%の範囲であることが好ましい。イヌリンと水の含有量の質量比率がイヌリン:水=30:70~60:40の範囲外であると、クリーム化するのが困難となる場合がある。また、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの含有量がイヌリンと水の含有量の合計に対して、0.5~3.0質量%の範囲外であると、クリーム化するのが困難となる場合がある。
本実施形態に係る冷菓用組成物は、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つと、水の他に、スクシノグリカン、カロブビーンガム、タマリンドシードガム、グァーガム、α化澱粉、加工澱粉等を含んでもよい。
他の成分の含有量は、例えば、イヌリンの重量に対して0.1~50%の範囲であり、0.5~5%の範囲であることが好ましい。
本実施形態に係る冷菓用組成物の形態は特に制限されず、例えば、顆粒状、粉末状、固形状、液体状、ペースト状等のいずれの形態であってもよく、水を含有させた、クリーム状の形態であってもよい。
<冷菓用組成物の製造方法>
本実施形態に係る冷菓用組成物の製造方法は、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つと、を混合する工程を含む。本実施形態に係る冷菓用組成物の製造方法は、イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つと、水とを混合してクリーム化する工程を含んでもよい。
冷菓用組成物は、例えば、水に、イヌリンを加え、混合し、さらにメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つを加え、混合し、冷却してクリーム化して作製すればよい。
水とイヌリンとの混合温度は、例えば、5℃~60℃の範囲であり、水とイヌリンの混合物と、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つとの混合温度は、例えば、5℃~30℃の範囲である。冷却温度は、例えば、5℃~30℃の範囲である。
本実施形態に係る冷菓用組成物の製造方法において、イヌリンと水の含有量の質量比率は、イヌリン:水=30:70~60:40の範囲であり、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの含有量は、イヌリンと水の含有量の合計に対して、0.5~3.0質量%の範囲であることが好ましい。イヌリンと水の含有量の質量比率がイヌリン:水=30:70~60:40の範囲外であると、クリーム化するのが困難となる場合がある。また、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの含有量がイヌリンと水の含有量の合計に対して、0.5~3.0質量%の範囲外であると、クリーム化するのが困難となる場合がある。
<冷菓およびその製造方法>
本実施形態に係る冷菓は、上記冷菓用組成物を含む。上記冷菓用組成物は、例えば、冷菓に含まれる油分や脂肪分等の代替として用いられる。上記冷菓用組成物を含むことにより、冷菓のカロリーを低減し、濃厚感があり、スプーン通りが良好な、アイスクリーム類等の冷菓を得ることができる
本実施形態に係る冷菓の製造方法は、上記冷菓用組成物を用いて製造する方法である。
冷菓としては、アイスクリーム類、氷菓等が挙げられる。アイスクリーム類とは、食品衛生法の「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で「生乳、牛乳若しくは特別牛乳またはこれらを原料として製造した食品を加工し、または主要原料として凍結したもので、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く)」と定められており、アイスクリーム(乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上のもの)、アイスミルク(乳固形分10.0%以上、乳脂肪分3.0%以上のもの)、ラクトアイス(乳固形分3.0%以上、乳脂肪分規定なし)の3種類に大きく分けられる。氷菓(乳固形分3.0%未満)としては、アイスキャンデー、かき氷、かち割り氷、シャーベット等が挙げられる。これらのうち、上記冷菓用組成物は、アイスクリーム類、氷菓に好適に適用され、アイスクリーム類に特に好適に適用される。
本実施形態に係る冷菓であるアイスクリーム類は、-20℃での32~36時間保管から出した直後の硬度が、例えば、100N以下であり、好ましくは58.8N未満であり、スプーン通りが良い。また、味覚センサーによる乳脂感(旨みコク)の味強度がコントロール(イヌリン+メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つを用いないもの)に比較して、例えば、0~0.5であり、好ましくは0.5である。
本実施形態に係る冷菓の製造方法は、上記冷菓用組成物を用いて製造する方法であり、各種冷菓製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1-1>
[予備混合(1)]
表1に示す配合比率で、脱脂粉乳、高甘味度甘味料製剤、グラニュー糖を粉体混合した。
[予備混合(2)]
表1に示す配合比率で、フードカッター(National社製、Speed Cutter K3)に水(2)を入れ、そこにイヌリンを加え、20℃で3分間、混合した。次に、そこにメチルセルロースを加え、室温(20℃)で5分間、混合してクリーム化した後、5℃の冷蔵庫内で保管した。
[アイスクリーム類の製造]
表1に示す配合比率で、水(1)に予備混合(1)で得られた混合物を混合し、そこに卵黄、生クリーム、水飴を順に混合した。次に、そこに予備混合(2)で得られたクリーム化した混合物を混合し、50℃に達するまで加熱した。40メッシュのザルを通してろ過を行った後、超高速マルチ撹拌機(プライミクス社製 TK-ロボミックス)を用いて、50℃、6000rpmで1分間、均質化を行った。次に、耐熱袋に充填後、68℃に設定した恒温槽に投入し、68℃で30分間、殺菌処理を行った。殺菌処理後、流水により30分間冷却し、冷蔵庫内で、5℃で一晩(16~18時間)、エージングを行い、アイスクリームミックスを得た。
表1に示す配合比率で、ビーカー中のアイスクリームミックスにバニラエッセンスを加えた。アイスクリーマー(カルピジャーニ・ジャパン社製)を用い、-3~-6℃で撹拌しながら、オーバーランを調整し、急速凍結(13分間)を行った。卓上型高速カッター(Stephan社製)(-10℃で設定)を用い、1000rpmで20秒間撹拌後、へらを用いて混合し、さらに20秒撹拌した。容器に充填し(充填時の中心温度-4.5℃)、速やかに硬化工程に移した。-60℃の冷凍庫内で30分間に急速凍結し、その後、-20℃に移して16~18時間保管し、アイスクリーム類を得た。
得られたアイスクリーム類について、硬さの測定と官能評価(パネラー7名)を行った。平均した結果を表1に示す。官能評価についての評価基準は以下の通りである。
2:コクが強い
1:ややコクがある
0:普通
-1:ややあっさり
-2:あっさり
[硬さの測定]
硬度測定装置(島津製作所製、卓上試験機、EZ-SX型)を用いて、くさび型プランジャーを1mm/秒の速度で、-20℃の冷凍庫から出した直後のアイスクリーム類に貫入させ、10mm貫入時の応力を測定し、その値(N)を硬さとした。アイスクリーム類は各試験区5個ずつ測定し、平均値を使用した。ここでは、-20℃から出した直後の硬度が6kgf(58.8N)未満であるものをスプーン通りが非常に良いとした。また、硬度100Nを超えた場合、官能評価で硬さを感じた。よって、58.8N~100Nであればスプーン通りが良いとし、100Nを超えたものをスプーン通りが悪いとした。
<比較例1>
表1に示す配合比率で、予備混合(2)で得られたクリーム化した混合物を用いずに、実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表1に示す。
<比較例2>
表1に示す配合比率で、予備混合(2)においてイヌリンの代わりに澱粉分解物(マルトデキストリン)を用いた以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表1に示す。
<比較例3>
表1に示す配合比率で、予備混合(2)においてメチルセルロースの代わりに澱粉分解物を用いた以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表1に示す。
Figure 0007289698000001
メチルセルロース単品(比較例2)、イヌリン単品(比較例3)ではそれぞれ硬くてスプーン通りが悪く、濃厚感はなくあっさりとした味わいであった。メチルセルロースとイヌリンを併用すると(実施例1-1)、スプーン通りは良くなり、コントロール(比較例1)よりも濃厚感があり、コクがある味わいとなった。また、実施例1-1のアイスクリーム類のカロリーは、コントロール(比較例1)に比べて27%低減された。
さらに、実施例1-1のアイスクリーム類について、官能評価(パネラー7名)による保存性(-20℃3ヶ月保管)の評価を行った。保存性の評価基準は以下の通りである。実施例1-1のアイスクリーム類の保存性の評価結果(平均値)は、1.0であり、-20℃の冷凍状態で保管中、氷結晶の成長が抑えられ、保存性を高めることができた。
1:なめらか
0:普通
-1:氷結晶が大きくザラつく
<比較例4>
表2に示す配合比率で、予備混合(2)においてイヌリンの代わりにポリデキストロースを用いた以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表2に示す。保存性の評価結果は、-0.7であった。
<比較例5>
表2に示す配合比率で、予備混合(2)においてイヌリンの代わりに難消化性デキストリンを用いた以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表2に示す。保存性の評価結果は、-0.9であった。
<比較例6>
表2に示す配合比率で、予備混合(2)においてイヌリンとメチルセルロースの代わりにポリデキストロースを用いた以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表2に示す。保存性の評価結果は、-1.0であった。
<比較例7>
表2に示す配合比率で、予備混合(2)においてイヌリンとメチルセルロースの代わりに難消化性デキストリンを用いた以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表2に示す。保存性の評価結果は、-1.0であった。
Figure 0007289698000002
ポリデキストロースや難消化性デキストリンという他の水溶性食物繊維では、スプーン通りは良好となったが、濃厚感、コクを与えることはできなかった。
<実施例2>
表3に示す配合比率で、予備混合(2)においてメチルセルロースの代わりにヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表3に示す。
<実施例3>
表3に示す配合比率で、予備混合(2)においてメチルセルロースの代わりにカルボキシメチルセルロースを用いた以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表3に示す。
Figure 0007289698000003
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースでもメチルセルロースと同様の効果が得られた。カルボキシメチルセルロースとイヌリンとを併用した場合は、スプーン通りが非常に良好であった。
<実施例1-2,1-3>
表4に示す配合比率で、生クリームの使用を1.5%(実施例1-2)、0%(実施例1-3)に変更した以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表4に示す。
<比較例8>
表4に示す配合比率で、予備混合(2)においてメチルセルロースを使用しなかった以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表4に示す。
Figure 0007289698000004
実施例1-3のように、乳脂肪分0%でもスプーン通りが良好で、濃厚感が付与されたアイスクリーム類が得られた。
<参考例>
表5に示す配合比率で、予備混合(2)を行わず、卵黄、生クリーム、水飴を順に混合した後、イヌリン、メチルセルロース、水(2)を順に加えた以外は実施例1-1と同様にして、アイスクリーム類を作製した。結果を表5に示す。
Figure 0007289698000005
実施例1-1のようにメチルセルロースとイヌリンとをクリーム化してから添加すると、濃厚でコクがあり、スプーン通りが良好となった。
[味覚の定量化]
味覚認識装置TS-5000Z(インテリジェントセンサーテクノロジー製)を用い、コントロール(比較例1)と、生クリームを使用しない実施例1-3のアイスクリーム類について、測定を行った。まず、冷凍状態のアイスクリーム類のサンプルをそれぞれ室温(20℃)に戻し、ビーカーに100g秤量し、200gの純水を加えた。スターラーで10分間撹拌(500~600rpm程度)後、遠心分離(3000rpm、10分間)した。油層部を油取りシート・スプーン等で除去し、水層部を測定用サンプルとし、測定を行った。測定結果を図1に示す。表6に、苦味先味(苦味雑味)、まろやかさ(旨味)、塩味(塩味)、苦味後味(苦味)、乳脂感(旨味コク)のセンサー測定値から味強度(コントロールを基準とした味の相対値)を算出した値を示す。なお、味覚項目(かっこ内)の一部について、食品に合わせた表現への言い換えを実施した。また、酸味、渋味刺激(先味)、渋味(後味)は未検出であったため、結果から除外した。
Figure 0007289698000006
コントロール(比較例1)を基準としたとき、実施例1-3のアイスクリーム類は乳脂感(旨みコク)が0.5までいかないものの、0.36増加する結果となった。
このように、実施例の冷菓用組成物によって、カロリーを低減し、濃厚感があり、スプーン通りが良好な、アイスクリーム類を得ることができた。

Claims (5)

  1. イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つとを含有することを特徴とする冷菓用組成物。
  2. イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つと、水とを含有し、
    前記イヌリンと前記水の含有量の質量比率が、イヌリン:水=30:70~60:40の範囲であり、
    前記メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの含有量が、前記イヌリンと前記水の含有量の合計に対して、0.5~3.0質量%の範囲であることを特徴とする冷菓用組成物。
  3. イヌリンと、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つと、水とを混合してクリーム化する工程を含み、
    前記イヌリンと前記水の含有量の質量比率が、イヌリン:水=30:70~60:40の範囲であり、
    前記メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのうち少なくとも1つの含有量が、前記イヌリンと前記水の含有量の合計に対して、0.5~3.0質量%の範囲であることを特徴とする冷菓用組成物の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の冷菓用組成物を含むことを特徴とする冷菓。
  5. 請求項1または2に記載の冷菓用組成物を用いて製造することを特徴とする冷菓の製造方法。
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