JP5336878B2 - クリーム類のコク味及びキレを同時に改善する方法 - Google Patents

クリーム類のコク味及びキレを同時に改善する方法 Download PDF

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Description

本発明は、乳類を含む加工食品において、呈味やテクスチャーを改良する呈味改良剤及びそれを用いた呈味改良方法に関するものであり、より詳細には、クリーム類におけるコク味とキレ、アイスクリーム類における風味と口溶け及び耐ヒートショック性、プリン類におけるソフト感とクリーミー感などを得ることを可能にした乳類加工食品の呈味改良剤及び呈味改良方法の提供に関する。
本発明でいうクリーム類とは、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)」で記述される生乳・牛乳または特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分18%以上にしたものを意味する。また、本発明でいうアイスクリーム類とは、同省令で記述されるアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスを意味する。また、本発明でいうプリン類とは、卵を加熱凝固させたカスタードプリンとハイドロコロイドをゲル化させたケミカルプリンを意味する。
乳類加工食品は、各メーカーでコク・キレなどの呈味や口溶け・クリーミー感などのテクスチャーを常に改善し、よりよいものを開発している。しかし、その方法は一長一短があり、必ずしも満足なものが得られていない。乳類加工食品として例えばクリーム類、アイスクリーム類、プリン類などがある。
以下に、上記3つの乳類加工食品の従来技術につき、それぞれ説明する。なお、乳類加工食品として、クリーム類、アイスクリーム類、プリン類について詳しく述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明品は乳を使用して製造した食品であれば、幅広く適用することができ、例えばヨーグルト、チーズ、バター、ギー、練乳等に使用することができる。また、使用する乳の種類に関しても、牛乳に限られるものではなく、山羊や馬等他の哺乳類から得た乳ついても同様に適用することができる。
まず、クリーム類について説明する。クリーム類は、脂肪含量によってライトクリーム(18〜25%)およびヘビークリーム(25〜50%)に大別される。ライトクリームは、低脂肪クリームとして、主にコーヒーホワイトナーとして使用される。ヘビークリームは、高脂肪クリームとして、主にホイップクリームに使用される。
コーヒーホワイトナーは、コーヒーなどの個性の強い飲み物に添えて用いられるクリームで、クリーム中の脂肪分が、コーヒーの苦味を和らげ口当たりをマイルドにする作用をする。一方、ホイップクリームは、泡立てて、ケーキのデコレーションに用いられたり、冷たいデザート類のベースとして用いられたりするクリームで、泡立てることにより、脂肪分(脂肪球)が凝集して、気泡をとり囲んだ網目構造が形成され、クリーム全体が適度な硬さのホイップとなる作用をする。
従来、クリーム類のおいしさはコク味に代表されていた。しかし、食生活や好みが変化し、クリーム類にはコク味のみならず、後味のキレが広く求められるようになった。しかし、コク味とキレは相反する特性であり、両特性を同時に満たすクリーム類を得ることは難しく、いわば天然物である生乳の風味に委ねられていた。
コク味とキレの両特性を満たすクリーム類を得る方法として、β−グルコシド結合からなるβ−グルコオリゴ糖を味質改善剤として添加する方法が提案されている(特開2002−335903号公報)。しかし、当該オリゴ糖は苦味をもつことを特長とするオリゴ糖であり、この苦味によりコク味を付与できるものの、添加量が多いと苦味が強くなるため、添加量を増やすことができず、結果として本方法ではコク味とキレを大きく改善することはできない。すなわち、クリーム類において、コク味とキレを同時に改善する呈味改良法の開発が望まれていた。
クリーム類に加える糖類はいくつか検討されている。例えば澱粉、澱粉分解物、少糖類、二糖類、単糖類、糖アルコール、セルロース、イヌリンの1種類または2種類以上を使用することによって、ホイップの保形性、口溶けなどの改良について提案されている(国際公開第2004/041002号パンフレット)。また、分子量20,000以上の高分子澱粉を1%以下にした水飴を使用することによる風味改善方法が提案されている(特開2005−253390号公報)。しかし、これらはあくまで保形性などの物性改善や嫌味の改善であり、コク味とキレを改善するものではなかった。すなわち、コク味とキレを同時に改善した方法は望まれているが、その方策は十分なものではなかった。
次に、アイスクリーム類について説明する。アイスクリーム類は、乳成分、糖類、卵成分などの原材料を混合して液状のミックスを調製し、得られたミックスをフリージングし、その後冷凍することによって製造される。このようにして製造されたアイスクリーム類は、−18℃以下の温度で冷凍保存され流通されるが、流通過程あるいは家庭での保存中にヒートショックを受けることがある。アイスクリーム類がヒートショックを受けると融解したり、変形などの保形性の低下などを引き起こすといった問題があった。
このようなことから、アイスクリーム類のヒートショックによる品質の低下を防止するために、アイスクリームミックスに微細セルロース、キサンタンガム、ローカストビンガムなどの安定剤(特開2002−345410号公報)や、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化剤あるいは食物繊維などを添加するといった改善策が行われている。しかし、こうした方法は保形性は改善されるものの、安定剤を添加することによってアイスクリームが糊様の食感になったり、乳化剤を添加することによって特有の好ましくない匂いがするといった問題点があった。
また、アイスクリームミックスに乳清タンパク質加工品を添加したり、これに塩類や乳化剤などを配合して保形性を改善した例もあるが(特開平9−135664号公報)、これらも糊様の食感になったり、好ましくない匂いがする点では同様である。さらに、アイスクリームミックス中に存在する乳由来の乳糖と添加するショ糖を利用し、転移酵素を加えることによって三糖類のラクトシュクロースを生成させて、物性を改善する方法も試みられている(特開2004−73134号公報)。こうした方法は、糊様の食感となることなく保形性の低下といった問題は改善される点で有効な手段であるが、酵素の精製度が低い場合には風味が悪化されるという問題点がある。
また、機械的な方法として、アイスクリームミックスをホモジナイザー高圧化で均質化処理する方法が提案されている(特開2001−275575号公報)。しかし、高価かつ大掛かりな装置を必要とし、多くのアイスクリーム類に応用することは困難である。
以上まとめると、安定剤や乳化剤、タンパク質等の添加や、ホモジナイザーによる均質化処理により、保形性の低下といった問題は改善されるが、安定剤の添加はアイスクリームが糊様の食感になり、乳化剤や転移酵素の添加は乳化剤特有の好ましくない風味が残り、乳清タンパク質の添加は風味の劣化を招く。また、高圧化でのホモジナイザーはこうした問題点がないものの、高価かつ大掛かりな装置を必要とし、多くのアイスクリーム類への応用が困難であった。すなわち、乳本来の良好な風味を有し、しかも、流通過程や保存中にヒートショックを受けても保形性や組織の滑らかさが良好であり、かつ風味の劣化がないアイスクリーム類の開発が望まれていたが、その方策は十分ではなった。
次に、プリン類について説明する。プリン類は、大別して二通りのタイプがある。1つは、牛乳と砂糖と液卵を原料とし、ゲル化の主体が卵成分であり、蒸しおよび/または焼きにより卵成分を加熱凝固させることによってゲル化させたタイプのもので、一般的にカスタードプリンと呼ばれるものである。もう一つは、牛乳にゼラチンやカラギーナン等のゲル化剤を加え、卵フレーバー等で風味付けしたもので、ゲル化の主体が冷却によってゲル化するハイドロコロイドであり、原料液を加熱殺菌後に容器に充填した後、静置冷却してゲル化させたタイプのもので、一般にケミカルプリンと呼ばれる。近年、菓子類分野では、デザート類の低カロリー化、ライト化、ソフト化などが要望されているが、プリン類においても例外ではない。クリームなどの乳脂肪分を低減させることによる低カロリー化、風味のライト化やソフト化はプリン系製品の大きな流れのひとつである。しかしながら、クリーム乳脂肪分をあまり減らすと、ゲル化したときにソフトでクリーミーな食感が得られない。
プリンにとってソフトでクリーミーな食感は商品価値を決める大きな要因であり、多くの検討がなされている。その方法は、焼き上げ時間を長く設定して低い生産性で実施するか、増粘多糖類などの食品添加物を利用する方法が広く行われている(特開2007−61055号公報)。しかし、前者の方法は生産性を著しく損なうこととなり、後者の方法は最近の食品添加物に対する拒絶反応の風潮のもとで、一般消費者に敬遠される傾向にある。すなわち、低カロリー化、ライト化、ソフト化を目指したプリン類の製造において、生産性を損なうことなく、かつ食品添加物を用いない無添加のプリン類製造法の確立が求められていた。
この課題に対する解決策としていくつかの提案がなされている。例えば、トランスグルタミナーゼ酵素反応による改質が提案されているが(特開平7−250651号公報)、本方法は本酵素が食品添加物であるとともに、酵素由来の臭味がプリンの風味を損なうこととなる。微粒子化したセルロースを添加する方法も提案されているが(特開平5−23119号公報)、セルロースは無味無臭であるものの、相当の添加量が必要であるため、プリン類がもつ牛乳や卵由来の風味を弱めることとなり、実用的ではない。
ソフトでクリーミーな食感を得る方法として、添加する糖類の種類を選択する方法についても検討された例がある。これは、α−1,6−グルコシド結合を有する3〜4糖類を有効成分とする分岐オリゴ糖類によりプリン類の表面状態、離水性、舌触り感が改善されるというものであるが(特開2006−280309号公報)、本内容は牛乳など乳脂肪分が十分量存在する系での内容であり、低カロリー化、ライト化、ソフト化のためにクリームなどの乳脂肪分を低減させた系では確認されていない。すなわち、ゲル化時に乳脂肪分を低減させたプリン類において生産性を損なうことなく、食品添加物を用いずにソフトでクリーミーな食感が得られる呈味改良法が求められていたが、その方策は十分ではなかった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためのものであり、その目的は、乳類加工食品において呈味やテクスチャーを改良する呈味改良剤及びそれを用いた呈味改良方法を提供することであり、より詳細には、クリーム類においてはコク味とキレの両特性をもつような呈味改良方法の提供、アイスクリーム類においては乳化剤や安定剤等の添加物を使用せず、大規模な設備を投資することなく、乳本来の風味が十分に感じられ、口溶けがよく、組織が滑らかで、しかも、輸送中や保存中にヒートショック等により生じる組織の劣化が抑制された呈味及び物性改良方法の提供、プリン類においてはゲル化時に乳脂肪分を低減させた系においても、十分にソフトでクリーミー、かつコク味が損なわれない食感が得られる呈味改良方法の提供である。
本発明者らは、乳類加工食品における呈味改良方法として、各種糖類について鋭意検討した結果、糖類の糖組成が上記課題に大きく関与し、マルトトリオースが糖組成として固形分当たり50%以上含まれ、マルトースが25%以下である糖組成物がクリーム類、アイスクリーム類、プリン類などの乳類加工食品の呈味を顕著に改良することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第一に、マルトトリオースを有効成分として含有することを特徴とする乳類加工食品の呈味改良剤である。
第二に、糖組成として固形分当たりマルトトリオースが50%以上、マルトースが25%以下であるマルトトリオース含有糖組成物を用いたことを特徴とする乳類加工食品の呈味改良剤である。
第三に、糖組成として固形分当たりマルトトリオースが50%以上65%以下であるマルトトリオース含有糖組成物を用いたことを特徴とする乳類加工食品の呈味改良剤である。
第四に、上記第一から第三の何れか一つに記載の呈味改良剤を含有させることを特徴とするクリーム類の呈味改良方法である。
第五に、上記第一から第三の何れか一つに記載の呈味改良剤を含有させることを特徴とするアイスクリーム類の呈味改良方法である。
第六に、上記第一から第三の何れか一つに記載の呈味改良剤を含有させることを特徴とするプリン類の呈味改良方法である。
第七に、クリーム類に含まれる乳類1重量部に対して呈味改良剤を0.05重量部以上0.5重量部以下添加することを特徴とする上記第四に記載の呈味改良方法である。
第八に、アイスクリーム類に含まれる乳類1重量部に対して呈味改良剤を0.05重量部以上0.5重量部以下添加することを特徴とする上記第五に記載の呈味改良方法である。
第九に、プリン類に含まれる乳類1重量部に対して呈味改良剤を0.05重量部以上0.5重量部以下添加することを特徴とする上記第六に記載の呈味改良方法である。
第十に、プリン類に含まれる乳脂肪分がカスタードプリンとして2.0%以下、ケミカルプリンとして2.3%以下であることを特徴とする上記第九に記載の呈味改良方法である。
第十一に、クリーム類がコーヒーホワイトナー又はホイップクリームであることを特徴とする上記第四又は第七に記載の呈味改良方法である。
第十二に、アイスクリーム類がアイスクリーム、アイスミルク又はラクトアイスであることを特徴とする上記第五又は第八に記載の呈味改良方法である。
第十三に、プリン類がカスタードプリン又はケミカルプリンであることを特徴とする上記第六、第九、第十の何れか一つに記載の呈味改良方法である。
本発明の有効成分であるマルトトリオースは、糖組成として固形分当たりマルトトリオースが50%以上であることが重要である。マルトトリオースの含有量が多いほど良いが、経済的には50%以上65%以下の範囲のものがさらに好ましい。マルトトリオースは、従来、水飴の成分として公知であるが、DE(ぶどう糖当量:澱粉の分解度を表す指標)20程度の水飴では固形分当たりのマルトトリオースの含有量は約10%、マルトース水飴では固形分当たりのマルトトリオースの含有量は約20%であり、これらマルトトリオース低含有量からなる組成物では、マルトトリオースよりも他の糖類の影響が大きく、乳類を含むクリーム類、アイスクリーム類、プリン類に使用してマルトトリオースの特長を十分に生かすことはできないことが判った。一方、マルトースは、糖組成として固形分当たり25%以下であることが重要である。マルトースは、マルトトリオースに比べて甘味度が高く、25%以上含まれるとマルトトリオースの効果が十分に発揮されず、乳類を含むクリーム類、アイスクリーム類、プリン類に使用してマルトトリオースの特長を十分に生かすことはできないことが判った。
クリーム類、アイスクリーム類、プリン類いずれにおいても、本発明に係る呈味改良剤の量を乳類1重量部に対して0.05重量部以上、0.5重量部以下にする必要がある。0.05重量部未満ではマルトトリオースの効果が低くて呈味改良効果が得られない。0.5重量部より多いと逆に呈味改良剤の割合が高く乳類等素材の割合が低く、呈味改良効果が得られない。
糖組成として固形分当たりマルトトリオースを50%以上、経済的に好ましくは50%以上65%以下、マルトースを25%以下含む糖組成物の製造方法については限定しないが、マルトトリオース生成α−アミラーゼを用いる方法や糖組成物をクロマト分離するなどの方法が開発されている。マルトトリオース生成α−アミラーゼを用いる方法は、耐熱性液化型α−アミラーゼにより液化した澱粉液化液に、マルトトリオース生成α−アミラーゼ及び枝切り酵素を併用して糖化、これをろ過による固液分離、イオン精製、濃縮することにより得ることができる。クロマト分離による方法は、マルトトリオースを含む糖組成物類を原液にナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂などを充填したカラムに通液し、適宜抜き出すことにより得ることができる。また、例えば、マルトトリオース含有糖組成物の粉末品を水に溶かせば容易に液状品とすることができ、利用形態により有利な性状を適宜決定できるので、本発明においてはマルトトリオース含有糖組成物の性状は問わない。
本発明によれば、乳類加工食品にマルトトリオースが糖組成として固形分当たり50%以上、経済的に好ましくは50%以上65%以下、マルトースを25%以下含む糖組成物を使用することにより、クリーム類においてはコク味とキレの両特性をもつような呈味改良、アイスクリーム類においては風味や口溶けが良く耐ヒートショック性に優れた呈味及び物性改良、プリン類においては乳脂肪分を低減させた系においてソフトでクリーミーかつコク味をもつ呈味改良方法を提供することができる。また、クリーム、脱脂粉乳等の乳類の使用量を減らすことができるので、乳類加工食品の製造コストを削減することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した糖類の固形分当たりの糖組成(%)について表1に示す。なお、表に示した分岐二糖類、分岐三糖類は、α1.4結合以外にα1.6結合を含む糖類を指す(菓子用新素材の適正利用技術シリーズNo7、分岐オリゴ糖)。糖組成はHPLCにより測定した。単糖類、二糖類、三糖類、四糖類以上の比率は、HPLC条件をポンプがウォーターズ社製600コントローラー、カラムが島津製作所製SCR−101N、溶媒が純水、検出器がウォーターズ社製示差式屈折率計RI2414で測定した。また、二糖類におけるマルトース、分岐二糖類の比率、三糖類におけるマルトトリオース、分岐三糖類の比率は、HPLC条件をポンプがウォーターズ社製600コントローラー、カラムが東ソー製Amide80、溶媒がアセトニトリル、検出器がウォーターズ社製示差式屈折率計RI2414で測定した。また、本発明に係る調製品1及び調製品2は、澱粉を原料とし酵素反応した糖化液を濾過精製、イオン交換、濃縮することにより調製した。
Figure 0005336878
まず、クリーム類について実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
表2に示す原材料を使用してコーヒーホワイトナーを調製した。
Figure 0005336878
(コーヒーホワイトナーの調製)
混合バットに生クリーム、本発明に係る乳類の呈味改善剤であるマルトトリオース含有糖組成物および砂糖を加えて、混合・溶解した。
各試料を用いて15名のパネラーにより、コーヒーホワイトナーのコク味、キレの2項目について官能検査を行った。パネラー15名により、官能的に評価し、各々優れている順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
実施例1〜5(コーヒーホワイトナー)
生クリームをベースに、生クリームの一部を本発明に係る乳類の呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物で置き換えた場合のコーヒーホワイトナーの試料を調製した。マルトトリオース含有糖組成物として、ピュアトースL(群栄化学工業製)、調製品1、調製品2を使用した。対照区1はマルトトリオース含有糖組成物を添加せず、実施例1では10重量部、実施例2、4、5では20重量部、実施例3では30重量部の生クリームを、マルトトリオース含有糖組成物で置き換えた。各試料においてコク味、キレを評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0005336878
比較例1〜6(コーヒーホワイトナー)
実施例において、乳類1重量部に対する呈味改良剤の割合を0.02(比較例1)、および0.67(比較例2)として試料を調製した。また、実施例2の条件で、マルトトリオース含有糖組成物の代わりに、無水結晶ぶどう糖(サンエイ糖化:TDA)(比較例3)、低DE水飴(ニッシ:U−2)(比較例4)、マルトース水飴(群栄化学工業:KM−70)(比較例5)、直鎖オリゴ糖(三和澱粉工業:オリゴトース)(比較例6)を用いてコーヒーホワイトナーの試料を調製した。ピュアトースL、U−2、KM−70、オリゴトースは水分量を揃えるため、固形分量を75%にしてから使用し、TDAは他の糖組成物と固形分を揃えるため、水を添加した。
各試料を用いて15名のパネラーにより、コーヒーホワイトナーのコク味やキレについて官能検査を行った。評価は、実施例1〜5と同様に行った。その結果を表4に示す。
Figure 0005336878
表3に示されるように、コーヒーホワイトナーにおいて、生クリームの一部をマルトトリオース含有糖組成物で置き換えることにより、パネラーはコク味及びキレに関して対照区よりも実施例のほうが良いと評価した。一方、表4に示すように、生クリームの一部をマルトトリオース含有糖組成物以外の糖類やマルトトリオースの含有量が低いオリゴトースで置き換えてもコク味及びキレが改善されないと評価した。また、マルトトリオース含有糖組成物で置き換えても、0.05重量部より低い場合や、0.5重量部よりも高い場合は、対照区と同等であると評価した。
表5に示す原材料を使用してホイップクリームを調製した。
Figure 0005336878
(ホイップクリームの調製)
氷水を当てたボールに生クリームを入れて、品温を15℃にした。生クリームに砂糖及び/又は本発明に係る乳類の呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物(群栄化学工業:ピュアトースL)を加えて、泡立て器で空気を抱き込むように様子を見ながらホイップした。トロミがついてきて、泡立て器を持ち上げ、クリームの軟らかいツノが立った時点を最適起泡状態とした。
各試料を用いて15名のパネラーにより、ホイップクリームのコク味、キレの2項目について官能検査を行った。パネラー15名により、官能的に評価し、各々優れている順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
実施例6〜10(ホイップクリーム)
対照区2は生クリーム90部に砂糖10部を加えて調製した。実施例は、砂糖の割合は一定にして、生クリーム90重量部の部分に対して本発明に係る乳類の呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物で置き換えてホイップクリームの試料を調製した。マルトトリオース含有糖組成物として、ピュアトースL(群栄化学工業製)、調製品1、調製品2を使用した。対照区2はマルトトリオース含有糖組成物を添加せず、実施例6では10重量部、実施例7、9、10では20重量部、実施例8では25重量部の生クリームを、マルトトリオース含有糖組成物で置き換えた。各試料においてコク味、キレを評価した。その結果を表6に示す。
Figure 0005336878
比較例7〜12(ホイップクリーム)
実施例において、乳類1重量部に対する呈味改良剤の割合を0.02(比較例7)、および0.64(比較例8)として試料を調製した。また、実施例7の条件で、マルトトリオース含有糖組成物の代わりに、無水結晶ぶどう糖(サンエイ糖化:TDA)(比較例9)、マルトース水飴(群栄化学工業:KM−70)(比較例10)、低DE水飴(ニッシ:U−2)(比較例11)、直鎖オリゴ糖(三和澱粉工業:オリゴトース)(比較例12)を用いてホイップクリームの試料を調製した。ピュアトースL、U−2、KM−70、オリゴトースは水分量を揃えるため、固形分量を75%にしてから使用し、TDAは他の糖組成物と固形分を揃えるため、水を添加した。
各試料を用いて15名のパネラーにより、ホイップクリームのコク味やキレについて官能検査を行った。評価は、実施例6〜10と同様に行った。その結果を表7に示す。
Figure 0005336878
表6に示されるように、ホイップクリームにおいて、生クリームの一部をマルトトリオース含有糖組成物で置き換えることにより、パネラーはコク味及びキレに関して対照区よりも実施例のほうが良いと評価した。一方、表7に示すように、乳類に対するマルトトリオースの割合が0.05重量部より低い場合や0.5重量部よりも高い場合、または生クリームの一部をマルトトリオース含有糖組成物以外の糖類やマルトトリオースの含有量が低いオリゴトースで置き換えてもコク味及びキレが改善されないと評価した。
以上より、コーヒーホワイトナーにおいてもホイップクリームにおいても、生クリームの一部を乳類1重量部に対する割合が0.05重量部以上0.5重量部以下の割合でマルトトリオース含有糖組成物で置き換えることにより、コク味及びキレが改良され、一方、生クリームの一部をマルトトリオース含有糖組成物以外の糖類やマルトトリオースの含有量が低いオリゴトースで置き換えてもコク味及びキレの改良には効果がないことが確認された。すなわち、乳類を含むクリーム類にマルトトリオースが固形分当たり50%以上含まれる糖組成物を添加することによって、コク味を損なうことなく、あっさりとした舌触り(キレ)に改良できることが確認された。
次に、アイスクリーム類について実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
表8に示す原材料を使用してアイスクリームを調製した。
Figure 0005336878
(アイスクリーム、アイスミルク及びラクトアイスの調製)
混合バットにクリーム、脱脂粉乳、砂糖、安定・乳化剤、水及び本発明に係る乳類の呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物を加えて混合溶解した。これを70℃に加熱して、単段式ホモゲナイザーで均質化して完全に分散させた。次に、プレート式熱殺菌機で85℃、15秒間殺菌した後、−1℃に急速冷却してアイスクリームミックスとした。ミックスを−1℃で8時間エージングした後、フリーザー内で攪拌(ホイップ)しながら−7℃に冷却して、カップに充填した。これを−30℃にて硬化したさせてアイスクリームを得た。アイスミルク及びラクトアイスの調製も同様の条件で行った。ラクトアイスの調製ではクリームは使用せず、ホイップ操作は省略して同様の条件で行った。得られたアイスクリーム、アイスミルク及びラクトアイスを容器に充填したまま、保管温度を12時間おきに−20℃と−5℃に10日間繰り返した試料を官能評価に供した。
評価は、風味と口溶け、保形性により行い、その方法は、(1)及び(2)に則った。
(1)風味・口溶け:パネラー15名により、官能的に評価し、各々優れている順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
(2)保形性:アイスクリームを容器から取り出して金網上に置き、20℃で1時間放置し、融解して落下した重量を測定した。全重量に対する落下重量の比率を計算し、その値を100から引いた数値をもって保形性として評価した。
実施例11〜15(アイスクリーム)
乳固形分22%、乳脂肪分11%の配合割合を標準とした。クリーム、砂糖、安定・乳化剤の量は一定にし、脱脂粉乳の一部をマルトトリオース含有糖組成物で置き換えた。マルトトリオース含有糖組成物として、ピュアトースL(群栄化学工業製)、調製品1、調製品2を使用した。乳類1重量部に対する呈味改良剤の割合を0.09、0.19、0.39として試料を調製した。マルトトリオース含有糖組成物には水分が含まれるため、水で全量を調整し、全固形分量を一定にした。得られたアイスクリームを容器に充填したまま、保管温度を12時間おきに−20℃と−5℃に10日間繰り返した各試料について風味と口溶け、保形性を評価した。結果を表9に示す。
Figure 0005336878
実施例16〜20(アイスミルク)
乳固形分12%、乳脂肪分4%の配合割合を標準とした。クリーム、砂糖、安定・乳化剤の量は一定にし、脱脂粉乳の一部をマルトトリオース含有糖組成物で置き換えた。マルトトリオース含有糖組成物として、ピュアトースL(群栄化学工業製)、調製品1、調製品2を使用した。乳類1重量部に対する呈味改良剤の割合を0.11、0.25、0.40として試料を調製した。マルトトリオース含有糖組成物には水分が含まれるため、水で全量を調整し、全固形分量を一定にした。得られたアイスミルクを容器に充填したまま、保管温度を12時間おきに−20℃と−5℃に10日間繰り返した各試料について風味と口溶け、保形性を評価した。結果を表10に示す。
Figure 0005336878
実施例21〜24(ラクトアイス)
乳固形分12%、乳脂肪分0%の配合割合を標準とした。砂糖、安定・乳化剤の量は一定にし、脱脂粉乳の一部をマルトトリオース含有糖組成物で置き換えた。マルトトリオース含有糖組成物として、ピュアトースL(群栄化学工業製)、調製品1、調製品2を使用した。乳類1重量部に対する呈味改良剤の割合を0.17、0.33として試料を調製した。マルトトリオース含有糖組成物には水分が含まれるため、水で全量を調整し、全固形分量を一定にした。得られたラクトアイスを容器に充填したまま、保管温度を12時間おきに−20℃と−5℃に10日間繰り返した各試料について風味と口溶け、保形性を評価した。結果を表11に示す。
Figure 0005336878
比較例13〜17(アイスクリーム)
実施例において、乳類1重量部に対する呈味改良剤の割合を0.01(比較例13)、および0.52(比較例14)として試料を調製した。また、実施例12の条件で、マルトトリオース含有糖組成物の代わりに、低DE水飴(ニッシ:U−2)(比較例15)、マルトース水飴(群栄化学工業:KM−70)(比較例16)、直鎖オリゴ糖(三和澱粉工業:オリゴトース)(比較例17)を用いて、実施例と同条件でアイスクリームの試料を調製し、各試料について風味と口溶け、保形性について比較した。ピュアトースL、U−2、KM−70、オリゴトースは水分量を揃えるため、固形分量を75%にしてから使用した。結果を表12に示す。
Figure 0005336878
表9〜11に示すように、本発明に係る呈味改良剤であるマルトトリオース糖組成物を添加したアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスは、風味と口溶けがよく、ヒートショック後においても保形性が高いことがわかる。また、表12に示すように、マルトトリオース含有糖組成物が0.05重量部未満では対照区、すなわちマルトトリオース含有糖組成物無添加の場合と大差なく、マルトトリオース含有糖組成物が0.5重量部より多いと風味と口溶けにおける官能評価が極端に劣る。一方、マルトトリオース含有糖組成物以外の糖類では風味と口溶けにおける向上が見られない。以上より、マルトトリオース含有糖組成物以外の糖類やマルトトリオースの含有量が低いオリゴトースを使用したアイスクリーム類は改善効果が見られないが、本発明に係る乳類の呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物を使用したアイスクリーム類は風味と口溶けに優れ、ヒートショック後においても保形性が高いことが分かる。
以上より、アイスクリーム類にマルトトリオースを固形分当たり50%以上、経済的に好ましくは50%以上65%以下、マルトースを25%以下含む糖組成物を添加することによって、乳本来の風味を有し、組織が滑らかで口溶けが良く、しかも流通中や保存中のヒートショックによる保形性の劣化が抑制されたアイスクリーム類に改良できることが確認された。
次に、プリン類について実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
表13に示す原材料を使用してカスタードプリンを調製した。
Figure 0005336878
(カスタードプリンの調製)
全卵及び卵黄に、砂糖及び/又はマルトトリオース含有糖組成物を加えて混合溶解する。これに牛乳を加えて60℃で泡立てないように攪拌してプリンミックスとする。これを容器に80ml充填して、蒸し加熱機の温度150℃(プリン品温85℃)で40分間加熱してゲル化後、冷却してカスタードプリンとする。
評価は、以下の項目について行った。
(1)ソフト感・クリーミー感:パネラー15名により、官能的に評価し、各々優れている順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
(2)甘味:パネラー15名により、官能的に評価し、各々甘味が強く感じられる順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
(3)コク味:パネラー15名により、官能的に評価し、各々コク味が強く感じられる順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
(4)残味:パネラー15名により、官能的に評価し、各々残味が感じられない順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
実施例25〜29(カスタードプリン)
対照区6における全卵、卵黄、砂糖の量を基準として、牛乳の量を10%、20%、28%減らし、牛乳の代わりに砂糖で増量したものを対照区7〜9とした。対照区7〜9に対し、砂糖の代わりに本発明に係る呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物で置き換えたもの実施例25〜29とした。マルトトリオース含有糖組成物として、ピュアトースL(群栄化学工業製)、調製品1、調製品2を使用した。これらは、乳類1部に対する呈味改良剤の割合が各々0.11、0.25、0.38に相当する。各サンプルについてソフト・クリーミー感、甘味、残味を評価した結果を表14に示す。
Figure 0005336878
比較例18〜22(カスタードプリン)
実施例25において、本発明に係る呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物を0.01部とし、マルトトリオース含有糖組成物の代わりに砂糖を使用して乳脂肪分を2.0%としたものを比較例18とした。また、実施例25に対し、牛乳とマルトトリオース含有糖組成物以外の量を揃え、牛乳の195部をマルトトリオース含有糖組成物に置き換えたものを比較例19とした。さらに、実施例25のマルトトリオース含有糖組成物の代わりに無水結晶ぶどう糖(サンエイ糖化:TDA)を使用したものを比較例20、マルトース水飴(群栄化学工業:KM−70)を使用したものを比較例21、イソマルトオリゴ糖シラップ(群栄化学工業:グンエイオリゴ)を使用したものを比較例22とした。なお、比較例20において使用したTDAは他の糖組成物と固形分を揃えるため、水を添加した。結果を表15に示す。
Figure 0005336878
表14から、乳脂肪2.0%以下の系において、牛乳の代わりに砂糖で増量したカスタードプリンはソフト感・クリーミー感、コク味が不十分、甘味も必要以上に強くなるのに対し、本発明に係る乳類の呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物を牛乳に対し、0.05重量部以上0.5重量部以下添加したカスタードプリンは、ソフトでクリーミーであり、甘味及び残味ともに問題がないことが分かる。一方、表15から、マルトトリオース含有糖組成物を牛乳に対し、0.01重量部添加した比較例18はソフト感及びクリーミー感が不十分であり、マルトトリオース含有糖組成物を牛乳に対し、0.66重量部添加した比較例19は残味が感じられる。また、無水結晶ぶどう糖、マルトース水飴又はイソマルトオリゴ糖シラップの使用では、ソフト感及びクリーミー感が十分に得られないことが分かる。
ケミカルプリンの代表例として、原料に乳類を使用したミルクプリンがある。表16に示す原材料を使用してミルクプリンを調製した。
Figure 0005336878
(ミルクプリンの調製)
配合原料を水に分散させ、80℃に加熱して溶解してプリンミックスとする。これを65℃で容器に80ml充填して、10℃に冷却しゲル化させてミルクプリンとする。
評価は、以下の項目について行った。
(1)ソフト感・クリーミー感:パネラー15名により、官能的に評価し、各々優れている順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
(2)甘味:パネラー15名により、官能的に評価し、各々甘味が強く感じられる順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
(3)コク味:パネラー15名により、官能的に評価し、各々コク味が強く感じられる順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
(4)残味:パネラー15名により、官能的に評価し、各々残味が感じられない順に、5,4,3,2,1とし、平均値を採用した。
実施例30〜33(ミルクプリン)
対照区10における全脂粉乳、脱脂粉乳及び水以外の量は一定にして、全脂粉乳、脱脂粉乳及び水の合計重量部の一部を砂糖、または本発明に係る乳類の呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物で置き換えた場合のミルクプリンの試料を調製した。対照区10に対し、全脂粉乳、脱脂粉乳の合計重量部の一部を砂糖に置き換えたものを対照区11、12とした。また、対照区11、12に対し、砂糖の代わりに本発明に係る呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物で置き換えたものを実施例30〜33とした。マルトトリオース含有糖組成物として、ピュアトースL(群栄化学工業製)、調製品1、調製品2を使用した。各サンプルについてソフト・クリーミー感、甘味、残味を評価した結果を表17に示す。なお、乳脂肪分は脱脂粉乳にはほとんど含まれていないため、全脂粉乳のみに乳脂肪分が含まれているものとして計算した。
Figure 0005336878
比較例23〜27(ミルクプリン)
実施例30において、本発明に係る呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物を1部とし、マルトトリオース含有糖組成物の代わりに砂糖を使用して乳脂肪分を2.3%としたものを比較例23とした。また、実施例30に対し、全脂粉乳、脱脂粉乳、マルトトリオース含有糖組成物以外の量を揃え、全脂粉乳の20部、脱脂粉乳の10部をマルトトリオース含有糖組成物に置き換えたものを比較例24とした。さらに、実施例30のマルトトリオース含有糖組成物の代わりに無水結晶ぶどう糖(サンエイ糖化:TDA)を使用したものを比較例25、マルトース水飴(群栄化学工業:KM−70)を使用したものを比較例26、イソマルトオリゴ糖シラップ(群栄化学工業:グンエイオリゴ)を使用したものを比較例27とした。結果を表18に示す。
Figure 0005336878
表17から、乳脂肪2.3%以下の系において、牛乳の代わりに砂糖で増量したものはソフト感・クリーミー感、コク味が不十分、甘味も必要以上に強くなるのに対し、本発明に係る乳類の呈味改良剤であるマルトトリオース含有糖組成物を乳類に対し、0.05重量部以上0.5重量部以下添加したケミカルプリンは、ソフトでクリーミーであり、甘味及び残味ともに問題がないことが分かる。一方、表18から、マルトトリオース含有糖組成物を乳類1重量部に対し、0.007重量部添加した比較例23はソフト感及びクリーミー感が不十分であり、マルトトリオース含有糖組成物を乳類1重量部に対し、0.57重量部添加した比較例24は残味が感じられる。また表18から、無水結晶ぶどう糖、マルトース水飴及びイソマルトオリゴ糖シラップの使用では、ソフト感及びクリーミー感が十分に得られないことが分かる。
以上より、カスタードプリンにおいてもミルクプリンにおいても、固形分としてマルトトリオースが50%以上含まれ、経済的に好ましくは50%以上65%以下、マルトースを25%以下含むマルトトリオース含有糖組成物を用いることにより、乳脂肪が十分でない系においても呈味改善がなされて、ソフトでクリーミーで、甘味及び残味ともに問題がないプリンが得られることが確認された。
以上、乳類を含む加工食品の代表例として、クリーム類、アイスクリーム類、プリン類を挙げ、それぞれマルトトリオースが糖組成として固形分当たり50%以上含む糖組成物を添加することにより、クリーム類においてはコク味とキレの両特性をもつように、アイスクリーム類においては風味や口溶けが良く耐ヒートショックが低くなるように、プリン類においてはソフトでクリーミーかつコク味をもつように呈味、テクスチャーを改良できることが確認された。
特開2002−335903号公報 国際公開第2004/041002号パンフレット 特開2005−253390号公報 特開2002−345410号公報 特開平9−135664号公報 特開2004−73134号公報 特開2001−275575号公報 特開2007−61055号公報 特開平7−250651号公報 特開平5−23119号公報 特開2006−280309号公報

Claims (3)

  1. クリーム類に含まれる乳類1重量部に対して、糖組成として固形分当たりマルトトリオースが50%以上、マルトースが25%以下であるマルトトリオース含有糖組成物を用いた呈味改良剤を0.05重量部以上0.5重量部以下添加することを特徴とする、クリーム類のコク味及びキレを同時に改善する方法。
  2. 前記マルトトリオースが固形分当たり50%以上65%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. クリーム類がコーヒーホワイトナー又はホイップクリームであることを特徴とする請求項又はに記載の方法。

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