JP7288824B2 - 歩行補助具 - Google Patents
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本発明の目的は、安定性を有し、車両を含む障害物等を精度良く検知することが可能な歩行補助具を提供することにある。
また、上記構成において、前記センサユニット(45)は、前面(46a)がそれぞれ前方斜め側方を指向する一対のレーダー(46)を備えていても良い。
また、上記構成において、前記センサユニット(45)で障害物等を検知した場合に通知する通知部(54)を備えるようにしても良い。
また、上記構成において、センサユニットは、前面がそれぞれ前方斜め側方を指向する一対のレーダーを備えるので、一対のレーダーで斜め左方及び斜め右方に広く障害物等を検知できる。
また、上記構成において、センサユニットで障害物等を検知した場合に通知する通知部を備えるので、通知部により障害物等の存在を迅速に知ることができ、利便性を向上できる。
各図に示す符号FRは歩行補助具10の前方を示し、符号UPは歩行補助具10の上方を示し、符号LHは歩行補助具10の左方を示している。
図1は、本発明の実施形態の歩行補助具10を示す斜視図、図2は、歩行補助具10を示す正面図である。図1~図6では、歩行補助具10を畳んだ状態から展開して地面GRに置いた使用可能な状態を示している。
図1及び図2に示すように、歩行補助具10は、高齢者、心身障害者等が歩行する際に、安定して体を支えられ、安全に歩行でき、使い勝手を向上させた歩行補助つえであり、福祉用具に分類される。歩行補助具10は、樹脂製部品のみ、あるいは樹脂製部品及び金属製部品(詳しくは、軽金属製部品)から構成され、軽量化が図られている。
中央部11は、ドーナツ形状の周縁部21と、周縁部21の内側に配置されたセンサ収納部22とを備える。
周縁部21は、下部に左右の第1脚部12をスライド可能に支持する左右一対の第1脚部支持部21aを備える。左右の第1脚部支持部21aは、周縁部21に円弧状且つ溝状に形成され、左右の第1脚部支持部21aに、左右の第1脚部12の円弧状とされた各上端部被支持部12x(図7参照)がスライド可能に挿入されることで、第1脚部12が、周縁部21に対して揺動可能になる。
センサ収納部22は、前部カバー24を備え、前部カバー24の内側にレーダー46(図13参照)を含むセンサユニット45(図13参照)、スピーカー51(図4参照)、制御装置53(図13参照)、バッテリ(不図示)等が収納されている。
第1脚部12は、中央部11の下部に揺動可能に支持された上部延出部12aと、上部延出部12aの下端部から左右外側へ屈曲して延びる下部延出部12bとを一体に備える。図では、左右の第1脚部12がそれぞれ左右側方に揺動されて使用可能な位置にロックされている。
あるいは、左右の第1脚部12を、畳んだ位置と展開した位置との間の任意の位置で無段階に揺動を保持できるようにしても良い。
このように、左右の前輪13は、鉛直に対して左右方向内側に倒れるネガティブキャンバー(負のキャンバー角)に設定されているので、歩行補助具10を旋回させる際に、倒れにくくすることができる。
第2脚部14は、上端部が支軸27に支持された上部延出部14aと、上部延出部14aの下端部から後側に屈曲した下部屈曲部14bとから一体に構成される。
下部屈曲部14bの下端部には、車軸28を介して後輪16が回転可能に支持されている。後輪16に対して前輪13の方が、大径に形成されている。このように前輪13を大径にすることで、地面GRの段差や凹凸を乗り越えやすくすることができ、かつ後輪は前輪よりも小径とすることで、軽量化することができる。
車軸28は、下部屈曲部14bの下端部に両持ち支持されている。
把持部18は、上方延出部17の上端に固定されている。
図3に示すように、中央部11、左右の第1脚部12及び上方延出部17は、側面視では一直線状に配置され、後上がりに傾斜している。
左右の第1脚部12の外側面12yには、それぞれ上部延出部12aの長手方向に沿って延びるスリット12pが形成されている。
スリット12pは、左右の第1脚部12からそれぞれ側方に突出する摘み41(図11も参照)をスライド可能に案内する部分である。摘み41は、荷物を載せるネット(不図示)を掛ける部分であり、摘み41をスリット12pに沿って上下に移動させることで、ネットの高さを変更可能である。
荷掛けフック部14dは、荷物29を掛ける部分であり、荷物29は、左右の前輪13と後輪16とで形成される三角形36(図6参照)の内側の空間30の上方に位置する。従って、荷物29を安定して支持できる。
第2脚部14の上部延出部14aの下部には、左右方向に貫通する複数の穴部14x,14yが設けられている。複数の穴部14x,14yは、左右の摘み41と共にネットが取付けられる部分である。
センサ収納部22の前部カバー24は、周縁部21よりも前方にドーム(dome)状に膨出している。これにより、センサ収納部22の容積をより大きくすることができる。
把持部18は、上下に扁平とされて前後に延びる把持本体部18aと、把持本体部18aの前端部に上下に膨出するように形成された前端部18bとを一体に備える。
把持本体部18aは、左右方向に括れた括れ部18cと、括れ部18cから後方に向かうにつれて次第に左右幅が大きくなる幅広部18dとからなる。
前端部18bは、把持本体部18aを把持した手を前方に押し出したときに、手の力を受ける部分であり、滑ることなく確実に歩行補助具10を前方に押し出すことができる。
また、把持部18は、幅広部18dの下方に左右方向に貫通する肉抜き部18eが形成されている。肉抜き部18eは、把持本体部18aを弾性変形し易くして、路面の細かい凹凸により把持部18を握った手に伝わる衝撃を緩和する。
取外されたセンサユニット45は、他の歩行補助具や、歩行補助具以外の物に使用することができる。また、他の歩行補助具のセンサユニット45をこの歩行補助具10に取付けて使用することもできる。
第2脚部14の上部延出部14aの背面14fには、下部反射鏡32が設けられている。また、上方延出部17の背面17aには、上部反射鏡33が設けられている。下部反射鏡32及び上部反射鏡33は、歩行補助具10の後方の車両等から照射される光を反射する部分であり、車両等の運転者に歩行補助具10及び歩行補助具10の使用者の存在を認識させることができる。
図5に示すように、把持部18の把持本体部18aは、前部の括れ部18cが把持しやすく形成され、幅広部18dが手を載せやすく形成されている。
把持部18は、平面視で瓢箪状に形成され、前端部18bは、平面視で前部カバー24と重なっている。
このように、空間30内にセンサ収納部22を配置することで、左右の前輪13及び後輪16が、地面GRの凹凸により前後、左右、上下に移動した場合でも、センサ収納部22の変位をより小さくでき、センサユニット45(図13参照)による障害物等の検知精度をより高めることができる。
図7及び図8において、歩行補助具10を使用しないときや収納するときなどには、図2及び図4の状態から、左右の第1脚部12を歩行補助具10の左右方向中央側の所定位置まで、第2脚部14を前方側の所定位置までそれぞれ揺動させて畳んだ状態にする。
また、左右の第1脚部12及び第2脚部14を畳んだ状態では、図示せぬロック機構により左右の第1脚部12及び第2脚部14の揺動をロックできるため、歩行補助具10を移動させたり収納したりする際に取扱いやすい。
図9に示すように、把持部18において、歩行補助具10の左右方向で、括れ部18cの左右幅をW1、幅広部18dの左右幅をW2、前端部18bの左右幅をW3とすると、括れ部18cの左右幅W1よりも幅広部18dの左右幅W2は広い。また、前端部18bの左右幅W3は、括れ部18cの左右幅W1よりも広く、幅広部18dの左右幅W2よりも狭い。即ち、左右幅W1,W2,W3の大小関係は、W1<W3<W2となる。
このような把持部18L,18Rを設けることで、左利き又は右利きの利用者が、それぞれ体から近いところで把持部18L,18Rを把持することができ、歩行補助具10の使い勝手を向上することができる。
左右の第1脚部12は、それぞれ中空部12dを有し、それぞれ前壁12e、内側壁12f、外側壁12g及び後壁12hから一体に形成される。
前壁12e及び後壁12hは、左右方向に延び、前壁12eは、後壁12hよりも左右幅が大きい。
内側壁12fは、前後に延びる前後延出壁12jと、前後延出壁12jの後端から外側方及び後方に延びる後部傾斜壁12kとからなる。後部傾斜壁12kは、肉厚が前方に向かうにつれて次第に大きくなるように形成され、前後延出壁12jの後端側から後方斜め外側方に延びる後部内側面12mを備える。後部内側面12mは、内側面12cの後部を構成する。
外側壁12gは、前後方向に延び、前後方向の中間部にスリット12pが形成されている。スリット12pは、左右の第1脚部12からそれぞれ側方に突出する摘み41をスライド可能に通す部分である。
摘み41は、スリット12pに挿入されるスリット挿入部41aと、スリット挿入部41aよりも大径に形成されるとともにスリット挿入部41aの外側端部から外側方に延びる大径部41bと、スリット挿入部12qの内側端部から内側方に延びるねじ部41cとを備える。
内部材43は、横断面の輪郭が矩形で中空に形成され、第1脚部12の前壁12e、内側壁12f、外側壁12g及び後壁12hにスライド可能に当接又は近接して配置されている。
なお、内部材43を単なる板状に形成し、外側壁12gのみにスライド可能に当接又は近接するようにしても良い。この場合、内側壁12fの後部傾斜壁12kの肉厚を他の壁と同じようにしても良い。
左右の斜辺壁14jの外側面14kは、左右の第1脚部12の内側壁12fの後部内側面12mと平行又は略平行で、外側面14kと後部内側面12mとは当接又は近接する。
また、第2脚部14の前後長は、第1脚部12の前後長Lと同一又は前後長Lよりも短く形成されている。
あるいは、第2脚部14の前端部14mと背面14fとは、第1脚部12の前面12tと背面12uとの間に配置される。
このように、左右の第1脚部12及び第2脚部14を畳むことで、左右の第1脚部12と第2脚部14とを含む断面形状(前後長L及び左右長)が小さくなり、持ちやすくできて、歩行補助具10を取り扱いやすくできる。
把持部18には、前端部18bから幅広部18dに亘って軽量化のための中空部18fが形成されている。
把持部18としては、ある程度の厚みや幅があった方が持ちやすいため、比較的大型に形成されているが、大型でも剛性を確保しつつ軽量にするために中空部18fを設けている。
前端部18bの前面18xには、中空部18fを前方に開放させる複数の開口部18gが形成されている。複数の開口部18gは、それぞれ形状が異なるので、複数の開口部を同形状とした場合に比べて外観性として見る者に新規な印象を与えることができる。
センサユニット45は、上部を構成する左右一対のレーダー46と、左右のレーダー46の下方に配置されたGPS(Global Positioning System)47とを一体的に備え、複数のステー48によって中央部11の周縁部21に脱着可能に取付けられている。
左右のレーダー46とGPS47とは、三角形状の基部49を囲むように基部49の各辺49a,49b,49cからそれぞれ矩形状に広がるように配置される。
詳しくは、左右のレーダー46のそれぞれの前面46aは、前方斜め側方を指向し、左右の前面46aからそれぞれ延ばした垂線の成す角度は、100°~140°である。
左右のレーダー46によって測定されたデータに基づいて、センサ収納部22に収納された制御装置53は、スピーカー51(図4参照)から音声を発するようにしたり、あるいは、把持部18から振動を発生させたりして歩行補助具10の使用者へ情報を伝える。
上記した使用者に通知される情報としては、例えば、「前方に障害物(あるいは路面の段差や凹凸)が有る」、「前方から自動車(あるいは他の車両)が近付いている」などの危険を回避するための情報がある。
GPS47は、人工衛星を利用した位置情報計測システムであり、歩行補助具10の位置を高精度で測定可能である。この情報としては、例えば、「右に曲がって下さい。」、「目的地まで距離850m、時間20分を要します。」などの使用者を適正な場所・方向へ誘導したり、移動距離、所要時間を知らせたりするための情報がある。
前輪13は、後輪16よりも大径であり、底面視で、センサ収納部22に収納されたレーダー46を含むセンサユニット45は、展開時に、一対の前輪13及び後輪16の接地点34,34,35で囲われる領域としての空間30内に配置される。
また、前輪13は大径に形成されるので、路面の段差等を乗り越えやすくできる。
この構成によれば、より高い箇所にセンサユニット45を配置することで、広範囲の障害物等を検知できる。
この構成によれば、荷掛けフック部14dに掛けた荷物29は、平面視で、一対の前輪13と後輪16とで囲まれる範囲内に配置でき、歩行補助具10の安定性を損なうことなく利便性を向上できる。
この構成によれば、一対のレーダー46で斜め左方及び斜め右方に広く障害物等を検知できる。
この構成によれば、歩行補助具以外でもセンサユニット45を使用することができ、利便性を向上できる。
この構成によれば、通知部54により障害物等の存在を迅速に知ることができ、利便性を向上できる。
例えば、上記実施形態の歩行補助具10は、把持部18を把持して前方に押圧しながら人力で使用されるが、これに限らない。例えば、歩行補助具10は、後輪16を駆動する電動モータを備え、把持部18を押圧する使用者の押圧力を検知し、後輪16を駆動することで、使用者の押圧力の大きさに応じて押圧力をアシストする電動アシストつえであっても良い。
11 中央部
12 第1脚部
13 前輪
14 第2脚部
14d 荷掛けフック部
16 後輪
18 把持部
30 空間(領域)
45 センサユニット
46 レーダー
54 通知部
Claims (6)
- 把持部(18)と、展開時に前記把持部(18)の前方側に位置する一対の前輪(13)と、展開時に前記把持部(18)の後方側に位置する単一の後輪(16)とを備える歩行補助具であって、
前記一対の前輪(13)は、畳んだ位置から左右の展開した位置に揺動する一対の第1脚部(12)に支持され、前記後輪(16)は、畳んだ位置から後方の展開した位置に揺動する第2脚部(14)に支持され、
前記前輪(13)は、前記後輪(16)よりも大径であり、平面視で、レーダー(46)を含むセンサユニット(45)は、前記一対の第1脚部(12)及び前記第2脚部(14)がそれぞれ展開した位置に揺動された時に、一対の前記前輪(13)及び前記後輪(16)の接地点(34,34,35)で囲われる領域(30)内に配置されることを特徴とする歩行補助具。 - 前記センサユニット(45)が設けられる中央部(11)から延びて左右の前記前輪(13)を支持する一対の前記第1脚部(12)と、前記中央部(11)から延びて前記後輪(16)を支持する第2脚部(14)とを備え、前記センサユニット(45)は、前記第1脚部(12)及び前記第2脚部(14)よりも上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の歩行補助具。
- 前記第2脚部(14)には、荷掛け部(14d)が設けられ、前記荷掛け部(14d)は、前記第1脚部(12)側に設けられることを特徴とする請求項2に記載の歩行補助具。
- 前記センサユニット(45)は、前面(46a)がそれぞれ前方斜め側方を指向する一対のレーダー(46)を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の歩行補助具。
- 前記センサユニット(45)は、前記中央部(11)から脱着可能に設けられることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の歩行補助具。
- 前記センサユニット(45)で障害物等を検知した場合に通知する通知部(54)を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の歩行補助具。
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