JP7256506B1 - 歩行補助装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】杖よりも高齢者などの使用者の負担を軽減しつつ安全性を確保し、かつ、歩行車よりも軽微で使用者にとって歩きやすい歩行補助装置を提供する。【解決手段】歩行補助装置10は、本体部と、本体部1の上側部に接続され、使用者Pが片手で把持することができる把持部2及びブレーキ3と、本体部1の下部の前方に設けられた前輪4と、本体部1の下部の後方にそれぞれ第1の回動部6a、6bを介して接続された複数の後輪5a、5bと、を備え、第1の回動部6a、6bは水平方向に回動可能で、使用者Pが片手で把持部2を把持して歩行する際に、複数の後輪5a、5bのうち使用者Pからより離れた場所に位置する後輪5aまたは5bが、本体部1から離れるように回動された状態で固定されることができることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、歩行補助装置に関する。
従来、高齢者等が歩行する際の補助としては、杖があった。高齢者が杖を使う場合、一歩一歩前進するたびに、体重のかかった杖を高齢者自身の力のみで動かさなければならない。しかも、杖が地面に接触する瞬間は体重の一部を杖に乗せるために腕に負担がかかり、杖が地面から離れ瞬間は完全に自らの足に体重がかかる。重心をかける場所が一歩一歩前進するたびに大きく変わるので、高齢者の体には負担がかかる。さらに、特に足腰の弱った高齢者にとっては、安定した安全性の確保を維持できない。
そこで、より高齢者の負担を軽減するための歩行車が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示された歩行車は、上下方向に延びる左右一対のフレームと、フレームの下端に設けられた複数の前輪及び後輪とを備えている。なお、この前輪及び後輪はそれぞれがフレームに対して固定されて移動することはない。
特開2021-177958号公報
しかしながら、特許文献1に開示された歩行車では、高齢者が杖を使う際にかかってしまう体への負担が軽減されるが、歩行車のサイズが大きくなる上に、大掛かりになって高齢者が外出しにくくなる。また、歩行車は高齢者の前方に位置する前提であるので、リハビリには適しているかもしれないが、リハビリを必要としていない多くの高齢者にとっては歩きにくいという課題があった。
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、杖よりも高齢者などの使用者の負担を軽減しつつ安全性を確保し、かつ、歩行車よりも軽微で使用者にとって歩きやすい歩行補助装置を提供することを目的とする。
本発明の歩行補助装置は、本体部と、前記本体部の上方に設けられた把持部と、前記本体部の前方に設けられた前輪と、前記本体部の後方に設けられた複数の後輪と、前記複数の後輪の夫々を接近する方向と離れる方向に移動させる移動手段と、を備え、前記本体部の一方側に位置する使用者が前記把持部を把持して歩行する際に、前記複数の後輪のうち前記使用者から離れた位置にある後輪が、前記使用者と近い位置にある後輪に対して離れる方向に移動する。
本発明によれば、使用者の歩きやすさと安全性が向上した歩行補助装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態における歩行補助装置の模式的な斜視図 (a)(b)本発明の一実施の形態における歩行補助装置の側面図 (a)(b)(c)本発明の一実施の形態における歩行補助装置の使用例を示す正面図 (a)(b)(c)本発明の一実施の形態における歩行補助装置の使用例を示す平面図 (a)(b)本発明の一実施の形態における歩行補助装置を構成する後輪および回動部並びに回動体の模式的な構造説明図 (a)(b)本発明の一実施の形態における歩行補助装置を構成する後輪および回動部並びに回動体の模式的な構造説明図 (a)(b)本発明の一実施の形態における歩行補助装置を構成する後輪および回動部並びに回動体の模式的な構造説明図
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1において、本実施の形態の歩行補助装置10は、本体部1と、本体部1の上側部に接続された把持部2(ハンドル)と、ブレーキ3と、本体部1の下部の前方に設けられた回転体としての前輪(タイヤ)4と、本体部1の下部の後方にそれぞれ第1の回動部6a、6bを介して接続された回転体としての後輪(タイヤ)5a、5bとを備える。
本体部1は、把持部2、ブレーキ3及び前輪4が設けられ、上下に伸びる支柱部1aと、前方で支柱部1aと連結し、第1の回動部6a、6bが設けられたベース1bと、を有する。支柱部1aは、地面に接している前輪4及び後輪5a、5bから、把持部2及びブレーキ3の高さが歩行する使用者を支えるために適するような長さであり、約80cmから120cm程度が望ましい。把持部2及びブレーキ3の高さを使用者にとって適した高さに変更できるよう、支柱部1aは、伸縮する構造であっても良い。
ベース1bは、歩行する使用者の安全性を目的として歩行補助装置10の安定性を確保するため、前輪4から第1の回動部6a,6bまでのサイズは幅10cm~30cm、長さ30cm~70cmが望ましい。
把持部2(ハンドル)とブレーキ3は、支柱部1aの最上部かその付近に接続され、使用者Pは把持部2を持って歩行する。把持部2は、自転車のハンドルや、階段や病院などの壁に設けられた手すりのような形状で、断面は例えば円形状であると良い。把持部2の表面には、滑り止めを設けると良い。ブレーキ3は、ブレーキ操作を行うためのものであり、把持部2の下方に設けられている。使用者Pは、片手で把持部2(ハンドル)とブレーキ3の双方をコントロールすることができる。従って、使用者Pは、従来技術における歩行車と異なり、片方の手を自由に使うことができる。もちろん、使用者Pの好みによって両手で把持部2を把持しても良い。
前輪4は、支柱部1a及びベース1bの双方に接続されていても良い。本実施の形態における前輪4のサイズは、後輪5a、5bよりも大きい。
後輪5a、5bは複数あり、図1及び図4に示すように少なくとも左右に一つずつ設ける。後輪5a、5bの夫々は、アーム部11a,11bを介して第1の回動部6a、6bと接続されている。アーム部11a,11bはその一端部が第1の回動部6a,6bと接続されており、第1の回動部6a,6bを軸として所定範囲に亘って水平方向に回動することができる。図7(a)において、アーム部11bには回動軸15が設けられている。アーム部11aにも同様の回動軸15が設けられている。
後輪5a,5bはアーム部11a,11bの他端部と接続されており、第2の回動部9a,9bを軸として所定範囲に亘って水平方向に回動することができる。すなわち、アーム部11a,11b及びこれに接続される後輪5a,5bは平面視して、第1の回動部6a、6bを軸に水平方向にベース1bに対して外側に開いたり、内側に収納されたりすることができる(図4)。
図5、図6及び図7は第1の回動部6b、アーム部11b、後輪5bを図示したものである。第1の回動部6a、アーム部11a、後輪5aも同様の構成を有するためその図示を省略する。図5において、第1の回動部6bは、アーム部11bの回動軸15が挿入されることで該アーム部11bと連結する挿入孔17と、回動軸15の回動を許容した状態でアーム部11bを保持する保持部16を含んで構成される。保持部16には、後述する第1の固定部60のピン61が貫入するピン孔62が形成されている。
図1は、左右の後輪5a、5bの双方が外側に開いた状態を示す。これは後述するが、使用者が片手で把持部2を持った時、使用者自身はベース1bの右か左のどちらかに位置したまま歩行することになる。その時、使用者Pが位置する側の後輪5aまたは5bは内側に収納され、使用者Pが位置しない側の後輪5aまたは5bを外側に開くことで、使用者の歩行の邪魔をせずに、かつ、歩行補助装置事態が安定して移動することができる。それによって、使用者Pの安全性を確保することができる。
なお、使用者Pが歩行している時は、第1の回動部6a、6bは回動しないように第1の固定部60(図5、図6)によって固定されており、内側に収納された後輪5aまたは5bは歩行中その状態を維持され、外側に開いた後輪5aまたは5bも歩行中その状態を維持される。それによって、歩行中の安全性を確保することができる。第1の固定部60の詳細は後述する。
図2において、支柱部1aにはブラケット7aが取り付けられている。ブラケット7aには、ヒンジ部12を介して座面7が設けられている。座面7は使用者Pが座るためのものであって、ヒンジ部12を介して上下方向に回動する(図2(b)に示す矢印a)。座面7とベース1bの間には空間があり、そこには収納部8(かご、ボックスなど)を設けることができる。収納部8は本体部1に固定しても良いし、ただ載置しただけでも良い。収納部8を本体部1に固定する場合は、少なくとも本体または収納部8に固定部を設けると良い。座面7の下方に収納部8を備えることによって、使用者は、荷物を収納することができるので、より歩行が安易になる。収納部8には、蓋を設けると良い。
図1、図5、図6及び図7において、第2の回動部9a、9bは後輪5a,5bの方向を調整するためのものである。後輪5a,5bは前述のとおり、第1の回動部6a、6bの回動によりアーム部11a,11bを介して内側に収納され、または外側に開くが、その際に後輪5a、5bの角度が前輪4と異なる方向を向いてしまう場合がある。第2の回動部9a,9bは、前輪4と後輪5a,5bが平面視して同一方向を向くように、後輪5a,5bを水平方向に回動させて調整するためのものである。第2の回動部9a、9bは、使用者Pが歩行しているときは、回動しないように第2の固定部90によって固定されると良い。第2の固定部90の詳細は後述する。
図5、図6及び図7は第2の回動部9bのみを図示しているが、第2の回動部9aも同様の構成を有するため説明を省略する。第2の回動部9bは、アーム部11bの内部に配置され、水平面内に対して垂直な軸13aを有する回転体13を含んで構成される。軸13aは、アーム部11a,11bに形成された孔部18(図7(a))に水平方向の回動が許容された状態で挿入されている。回転体13には、後輪5bを回転自在に保持したシャフト14が接続されている。回転体13を所定方向に回動させることで、後輪5bは所定方向を向く。
図3,4は歩行補助装置10の使用例を示す。図3(a)、図4(a)では、前輪4、ベース1b及び後輪5a,5bが一直線上に、後輪5a、5bの双方が収納されているので、収納時などに便利である。また、使用者Pの歩行が元々安定している場合などには、この状態で歩行することもできる。
図3(b)、図4(b)では、後輪5aが内側に収納され、後輪5bが外側に開いている。後輪5bはアーム部11bをベース1bに対して矢印b方向に回動させることで、外側に開いた状態となる。この状態では、進行方向において、後輪5aと前輪4の距離L1が、後輪5bと前輪4の距離L2よりも長くなる。この時、使用者Pは、後輪5a側に位置して歩行しているため、左手で把持部2及びブレーキ3をコントロールする。その結果、後輪5aは使用者Pの歩行の邪魔をすることがなく、かつ、後輪5bが外側に開いていることで歩行補助装置10及び使用者Pを安定させ、使用者Pが安全に歩行することを助けることができる。
図3(c)、図4(c)では、後輪5bが内側に収納され、後輪5aが外側に開いている。後輪5aはアーム部11aをベース1bに対して矢印c方向に回動させることで、外側に開いた状態となる。この状態では、進行方向において、後輪5bと前輪4の距離L3が、後輪5aと前輪4の距離L4よりも長くなる。この時、使用者Pは、後輪5b側に位置して歩行しているため右手で把持部2及びブレーキ3をコントロールする。その結果、後輪5bは使用者Pの歩行の邪魔をすることがなく、かつ、後輪5aが外側に開いていることで歩行補助装置10及び使用者Pを安定させ、使用者Pが安全に歩行することを助けることができる。
上記構成において、第1の回動部6a,6b、アーム部11a,11bは、複数の後輪5a,5bの夫々を接近する方向と離れる方向に移動させる移動手段となっている。また、移動手段は、複数の後輪5a,5bの夫々を独立して水平方向に回動自在な第1の回動部6a,6bを備えている。
第1の回動部6a,6b及び第2の回動部9a、9bは回動しないように固定することができるため、歩行中は、図3(a)、図4(a)の状態、図3(b)、図4(b)の状態、図3(c)、図4(c)の状態のいずれかで固定することができる。それによって、使用者Pの歩行の安全性を確保することができる。また、後輪5a、5bは、図3(a)、図4(a)の状態から好ましくは90度まで外側に開くようにするとよく(図3(a)、図4(a)の状態を0度とする)、その間のどの角度で固定して使用者Pが歩行をしても良い。少なくとも、後輪5a、5bは、図3(a)、図4(a)の状態から45度まで外側に開くようにすると良い。
ここで、第1の固定部60の一例について説明する。図5、図6及び図7は、後輪5bおよび第1の回動部6b並びに第2の回動部9bの模式的な構造説明図である。図5は後輪5bが収納されている状態を示す。図6は後輪5bが外側に開いた状態を示す。図7は第1の固定部60の分解図を示す。図5、図6及び図7では、説明のために後輪5b、第1の回動部6b及び第2の回動部9bのみ図面に示しているが、後輪5a、第1の回動部6a及び第2の回動部9aも左右対称の位置関係で、同様の構成を有している。
第1の固定部60は、アーム部11a,11bの回動を禁止するものであり、ピン61と、保持部16に形成されたピン孔62と、アーム部11bの回動軸15の外縁に沿って形成された複数の内ピン孔63を備える。第1の回動部6bによって後輪5bを所望の角度で内側に収納した状態または外側に開いた状態で固定するため、所望の角度でピン孔62と一つの内ピン孔63が揃うように位置を合わせ、ピン61をピン孔62と一つの内ピン孔63に挿入することでベース1b(第1の回動部6b)に対するアーム部11bの角度が固定される。
第2の固定部90も第1の固定部60と同様の構成を採用してもよく、回転体13(ひいては後輪5b)を固定するために、ピン91と、アーム部11bに設けられたピン孔92と、回転体13の周方向に沿って形成された複数の内ピン孔93を備える。第2の回動部9bによって後輪5bの角度を進行方向に合わせて固定するため、所望の角度でピン孔92と一つの内ピン孔93が揃うように位置を合わせ、ピン91をピン孔92と一つの内ピン孔93に挿入することでアーム部11bに対する後輪5bの角度が固定される。使用者Pは、いつでも選択する内ピン孔63、93を変更することができ、それによってアーム部11a,11b及び後輪5a,5bの角度を変更することができる。なお、第1の固定部60と第2の固定部90の構成は本実施の形態に限定されず、他の構造であってもよい。
以上説明したように、本実施の形態における歩行補助装置10は、本体部1と、本体部1の上方に設けられた把持部2と、本体部1の前方に設けられた前輪4と、本体部1の後方に設けられた複数の後輪5a,5bと、複数の後輪5a,5bの夫々を接近する方向と離れる方向に移動させる移動手段(第1の回動部6a,6b、アーム部11a,11b)と、を備え、本体部1の一方側に位置する使用者Pが把持部2を把持して歩行する際に、複数の後輪5a,5bのうち使用者Pから離れた位置にある後輪5a,5bが、使用者Pと近い位置にある後輪5a,5bに対して離れる方向に移動するように構成されている。これにより、使用者の歩きやすさと安全性が向上した歩行補助装置を提供することができる。
また、本実施の形態の歩行補助装置10によれば、後輪5a、5b、第1の回動部6a,6b、第2の回動部9a,9bを備えたことで、図3(a)、図4(a)の状態、図3(b)、図4(b)の状態、図3(c)、図4(c)のうちの何れかの形態に変化するができる。従って、さまざまな環境での使用が可能であるうえに、使用者Pは体調などに応じて把持する方の手を選択することができる。
本発明の歩行補助装置は上述した実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。また、歩行補助装置10の各部は、樹脂で構成されると良い。高齢者が使用者Pになることがあるために、その利便性と安全性を考え、強度と軽量さを兼ね揃えた材質が好ましく、樹脂の他にアルミニウムなどの軽金属で一部または全体を構成しても良い。
本発明によれば、使用者の歩きやすさと安全性が向上した歩行補助装置を提供することができる。
1 本体部
2 把持部(ハンドル)
3 ブレーキ
4 前輪(回転体)
5a,5b 後輪(回転体)
6a,6b 第1の回動部
7 座面
8 収納部
9a,9b 第2の回動部
10 歩行補助装置

Claims (4)

  1. 本体部と、
    前記本体部の上方に設けられた把持部と、
    前記本体部の前方に設けられた前輪と、
    前記本体部の後方に設けられた複数の後輪と、
    前記複数の後輪の夫々を接近する方向と離れる方向に移動させる移動手段と、
    を備え、
    前記本体部の一方側に位置する使用者が前記把持部を把持して歩行する際に、前記複数の後輪のうち前記使用者から離れた位置にある後輪が、前記使用者と近い位置にある後輪に対して離れる方向に移動する、歩行補助装置。
  2. 前記移動手段は、
    前記複数の後輪の夫々を独立して水平方向に回動自在な回動部を備える、請求項1に記載の歩行補助装置。
  3. 前記本体部に前記使用者が座ることのできる座面を備えた、請求項1又は2に記載の歩行補助装置。
  4. 前記座面の下方に収納部を備えた、請求項3に記載の歩行補助装置。
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