以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本発明の実施形態において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
[実施形態1]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態1に係るインクジェット記録装置100の構成について説明する。図1は、インクジェット記録装置100の構成を示す図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置100は、搬送路10と、用紙カセットPCと、搬送機構20と、画像形成部30と、撮像部50と、第1検知部51と、デカール部40と、排出トレーETと、記憶部60と、制御部70とを備える。
搬送路10は、用紙Pを搬送する経路である。搬送路10は、給紙位置P1から、画像形成位置P2を経由して、排出位置P3まで延びる。給紙位置P1は、用紙Pの搬送が開始される位置を示す。画像形成位置P2は、用紙Pに対して画像の形成が行われる位置を示す。排出位置P3は、用紙Pの排出が行われる位置を示す。用紙Pは、「シート」の一例に相当する。
用紙カセットPCは、給紙位置P1で画像を形成する前の用紙Pを収容する。
搬送機構20は、印刷ジョブの実行時に、用紙Pを搬送路10に沿って搬送する。印刷ジョブは、画像データに基づいて、用紙Pに画像を形成する処理を示す。具体的には、搬送機構20は、複数の搬送ローラー対21と、ベルトユニット22とを備える。複数の搬送ローラー対21の各々は、用紙Pをニップする搬送ニップを形成する。複数の搬送ローラー対21の各々は、回転して、搬送ニップ中の用紙Pを搬送方向CDに搬送する。図1に示す搬送方向CDは、用紙カセットPCから排出トレーETに向かう方向を示す。
ベルトユニット22は、画像形成位置P2で用紙Pを搬送する。ベルトユニット22は、搬送ベルト221と、駆動ローラー222と、従動ローラー223とを備える。搬送ベルト221は、駆動ローラー222及び従動ローラー223に、張力がかかった状態で掛け渡される。搬送ベルト221は、駆動ローラー222が回転することによって周回する。そして、搬送ベルト221は用紙Pを搬送する。
印刷ジョブの実行時にはベルトユニット22に用紙Pが供給される。そして、搬送ベルト221の外周面上に用紙Pが載置される。搬送ベルト221上に載置された用紙Pは、搬送方向CDに搬送される。
画像形成部30は、画像形成位置P2で用紙Pにインクを吐出して画像を形成する。具体的には、画像形成部30は、ベルトユニット22と対向するように、搬送ベルト221の外周面に対して間隔をあけて配置される。そして、画像形成部30は、搬送ベルト221により搬送されている用紙Pにインクを吐出して用紙Pに画像を形成する。
画像形成部30はラインヘッド130C、ラインヘッド130M、ラインヘッド130Y、及びラインヘッド130Kを含む。ラインヘッド130C~ラインヘッド130Kは、互いに異なる色のインクを収容して、互いに異なる色のインクを吐出する。ラインヘッド130C~ラインヘッド130Kは、搬送方向CDに沿って配置される。ラインヘッド130C~ラインヘッド130Kは、複数のノズルを有する。複数のノズルは、インクを吐出する。複数のノズルからのインクの吐出方式としては、例えば、ピエゾ素子を用いてインクを押し出すピエゾ方式や、発熱体によって気泡を発生させ、圧力をかけてインクを吐出するサーマルインクジェット方式など、各種方式を適用することができる。
画像形成部30は、インク供給装置を含む。インク供給装置は、ラインヘッド130C、ラインヘッド130M、ラインヘッド130Y、及びラインヘッド130Kにインクを供給する。インク供給装置は、インクタンクを備える。インクタンクはインクを収容する。インクタンクは、インクの色種ごとに設けられている。具体的には、インクタンクは、イエロー色のインクを貯留するインクタンクと、マゼンタ色のインクを貯留するインクタンクと、シアン色のインクを貯留するインクタンクと、ブラック色のインクを貯留するインクタンクとを含む。
撮像部50は、用紙Pを撮像して、用紙Pを示す撮像データを生成する。撮像部50は、例えば、撮像素子である。撮像素子は、撮像画像を示す撮像データを生成し、制御部70へ送信する。撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーである。
第1検知部51は、温度T及び湿度Wのうちの少なくとも1つを検知する。第1検知部51は、検知結果を制御部70に送信する。具体的には、第1検知部51は、温度Tを示す検知結果を制御部70に送信する。また、第1検知部51は、湿度Wを示す検知結果を制御部70に送信する。
第1検知部51は、湿度検知部と温度検知部とを含む。湿度検知部は、湿度Wを検知する。具体的には、湿度検知部は、インクジェット記録装置100が設置された環境の湿度Wを検知する。湿度Wは、インクジェット記録装置100の外部から流入した空気の湿度である。湿度検知部によって検知された湿度Wは、記憶部60に記憶される。
温度検知部は、温度Tを検知する。具体的には、温度検知部は、インクジェット記録装置100が設置された環境の温度Tを検知する。温度Tはインクジェット記録装置100の外部から流入した空気の温度である。温度検知部によって検知された温度Tは、記憶部60に記憶される。
デカール部40は、用紙Pに対してデカールを実行する。具体的には、デカール部40は、用紙Pに画像が形成された後に、矯正位置Cで用紙Pを押圧して、用紙Pのカールを矯正する。矯正位置Cは、画像形成位置P2よりも搬送方向CDの下流側の位置であって、排出トレーETよりも搬送方向CDの上流側の位置を示す。デカール部40は、例えば、デカーラーである。
デカール部40は、例えば、矯正ローラー(図示せず)と、矯正ベルト(図示せず)と、駆動ローラー(図示せず)と、従動ローラー(図示せず)とを備える。矯正ローラー及び矯正ベルトは、矯正ローラーと矯正ベルトとの間で用紙Pをニップするための矯正ニップを形成する。矯正位置Cは、具体的には、矯正ニップが形成される位置を示す。矯正ベルトは、駆動ローラー及び従動ローラーに、張力がかかった状態で掛け渡される。矯正ベルトは、駆動ローラーが回転することによって周回する。
排出トレーETは、搬送機構20により排出位置P3で排出された用紙Pを貯留する。排出位置P3は、デカール部40よりも搬送方向CDの下流側の位置を示す。
記憶部60は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部60は、半導体メモリーのような主記憶装置、並びに、半導体メモリー及び/又はハードディスクドライブのような補助記憶装置を含む。記憶部60は、リムーバブルメディアを含んでもよい。データは、湿度W、温度T、撮像データ、用紙Pの種類を示す情報、及び、インクの拡散係数を含む。用紙Pの種類を示す情報は、例えば、用紙Pを構成する繊維の密度と、用紙Pの厚みとを含む。インクの拡散係数は、単位時間当たりのインクの広がりの程度を示す。なお、画像形成部30が複数のインクを吐出する場合、インクの拡散係数は、インクの種別ごとに記憶される。
制御部70は、搬送機構20、画像形成部30、撮像部50、第1検知部51、デカール部40及び記憶部60のようなインクジェット記録装置100の各要素を制御する。例えば、制御部70は、CPU(Central Processing Unit)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなプロセッサー、及び記憶装置を含む。
次に図1と図2(a)とを参照して、制御部70の構成を詳しく説明する。図2(a)は、本実施形態に係る制御部70の構成を示す図である。制御部70は、第1予測部171を含む。制御部70は、制御プログラムを実行することで、第1予測部171として機能する。
第1予測部171は、インクの拡散係数に基づいて、用紙Pの厚み方向におけるインクの浸透分布を予測する。浸透分布は、用紙Pに含有されているインクの含有率を表す物理量の分布を示す。用紙Pの厚み方向は、用紙Pの第1面から用紙Pの第2面に向かう方向を示す。用紙Pの第1面は、例えば、用紙Pの表面である。用紙Pの第2面は、例えば、用紙Pの裏面である。インクの含有率は、以下、含有率Sと記載する場合がある。また、インクの含有率を表す物理量の分布は、以下、含有率Sの分布と記載する場合がある。
次に、図2(b)を参照して、用紙Pに吐出されたインクを説明する。図2(b)は、用紙Pの断面を示す図である。用紙Pに吐出されたインクは、用紙Pに浸透する。用紙Pに吐出されたインクは、搬送方向CDに広がる。また、用紙Pに吐出されたインクは、インクが吐出された側の面から用紙Pの厚みLの方向にも広がる。用紙Pの厚みのL方向に浸透したインクの含有率Sは、拡散係数に基づいて予測される。また、用紙Pの厚み方向におけるインクの含有率Sの分布は、拡散係数に基づいて予測される。そして、インクの浸透分布を使用して、画像が用紙Pに形成された後の用紙Pのカール量を予測できる。
本実施形態のデカール部40は、第1予測部171が予測したインクの浸透分布に基づいて、用紙Pをデカールする。具体的には、制御部70は、第1予測部171が予測したインクの浸透分布に基づいて、デカール部40が用紙Pをデカールするように、デカール部40を制御する。したがって、用紙Pの厚み方向におけるインクの浸透分布を考慮して用紙Pのカール量を予測できる。この結果、精度良く用紙Pのカールを矯正できる。
本実施形態では、インクの含有率Sは、例えば、所定の期間tと、用紙Pの厚み方向におけるある位置xと、拡散係数Dとに基づいて算出してもよい。所定の期間tは、例えば、用紙Pにインクが吐出されてからの経過時間を示す。位置xは、用紙Pの厚み方向の座標を示す。インクの含有率Sは、例えば、一次元拡散方程式で算出される。但し、一次元拡散方程式はインクの含有率Sの算出の一例であり、インクの含有率Sの算出は一次元拡散方程式に限定されない。具体的には、インクの含有率Sは以下の式(1)で算出できる。
∂S/∂t=D×(∂2S/∂x2)・・・式(1)
次に、図2(b)を参照して、インクの浸透分布を説明する。用紙Pは、インクInが吐出される。図2(b)では、第1予測部171が予測したインクInの浸透分布を破線で示す。図2(b)に示す用紙Pは所定の厚みLを有する。図2(b)に示す用紙Pは、位置x0~位置x4を含む。位置x0は、用紙Pの第1面を示す位置である。用紙Pの第1面は、インクInが吐出される用紙Pの表面を示す。位置x1は、第1面と用紙Pの第2面との間の位置である。用紙Pの第2面は、インクInが吐出されない裏面を示す。位置x1は、位置x2、位置x3、及び位置x4と比較して、第1面に近い位置である。位置x2は、第1面と第2面との間の位置である。位置x2は、位置x3及び位置x4と比較して、第1面に近い位置である。位置x3は、第1面と第2面との間の位置である。位置x3は、位置x4と比較して、第1面に近い位置である。位置x4は、第2面の表面を示す位置である。また、図2(b)に示すように、インクInは、用紙Pの厚みLの方向に浸透する。厚みLの方向は、用紙Pの第1面から用紙Pの第2面に向かう方向を示す。
用紙Pにインクが吐出される場合、インクは用紙Pに浸透する。インクInは、時間の経過に伴って、用紙Pの内部に向かって浸透していく。第1予測部171は、式(1)の位置xを変更して、用紙Pの厚み方向における複数の位置でインクの含有率Sを予測する。例えば、第1予測部171は、位置x0~位置x4ごとにインクInの含有率Sを予測する。つまり、第1予測部171は、位置x0の含有率S0と、位置x1の含有率S1と、位置x2の含有率S2と、位置x3の含有率S3と、位置x4の含有率S4とを予測する。用紙Pの厚み方向における複数の位置でインクInの含有率Sを予測することで含有率Sの分布を予測できる。
引き続き図1と図2とを参照して、制御部70の構成を詳しく説明する。制御部70は、特定部172と、第1修正部173とを含む。制御部70は、制御プログラムを実行することで、特定部172及び第1修正部173として機能する。
特定部172は、撮像データに基づいて、用紙Pの種類を特定する。具体的には、特定部172は、記憶部60に記憶された用紙Pの種類を示す情報と、撮像データに含まれる用紙Pの種類を示す情報とが一致するか否かを判定する。用紙Pの種類を示す情報は、例えば、用紙Pの繊維の密度を示す情報、用紙Pの配向性(セルロースの配向性)、用紙Pの表面の粗さ(セルロースの粗さ)、用紙Pの材質、及び、用紙Pの表側面に施された処理のうちの少なくとも1つである。例えば、特定部172は、記憶部60に記憶された用紙Pの繊維の密度と、撮像データに含まれる用紙Pの繊維の密度とが一致するか否かを判定する。繊維の密度が一致する場合、特定部172は用紙Pの種類を特定する。そして、制御部70は、特定した用紙Pの種類に関連する情報を取得する。用紙Pの種類に関連する情報は、例えば、用紙Pの厚さである。
第1修正部173は、用紙Pの種類と、温度T及び湿度Wのうちの少なくとも1つとに基づいて、拡散係数Dを修正する。具体的には、第1修正部173は、用紙Pの種類に関連付けられた補正値RVを取得する。補正値RVは、例えば、用紙Pの厚みである。また、補正値RVは、例えば、用紙Pを構成する繊維の密度である。そして、第1修正部173は、温度T及び湿度Wのうちの少なくとも1つを取得する。更に、第1修正部173は、補正値RVと、温度T及び湿度Wのうちの少なくとも1つとに基づいて、拡散係数Dを修正する。
拡散係数Dを修正する場合、補正値RVと、温度Tと、湿度Wと、記憶部60に記憶された基準の拡散係数D0と、記憶部60に記憶された基準の温度T0と、記憶部60に記憶された基準の湿度W0とに基づいて修正される。拡散係数D0は、インクInの種類ごとに決まる標準拡散係数を示す。例えば、拡散係数Dは、下記の式(2)で修正される。
D=D0×T/T0×W0/W×RV・・・式(2)
本実施形態の第1予測部171は、第1修正部173に修正された拡散係数Dに基づいて、用紙Pの厚み方向におけるインクInの浸透分布を予測する。したがって、用紙Pの種類に適した拡散係数Dを使用してインクInの浸透分布を予測できる。この結果、用紙Pの厚み方向におけるインクInの浸透分布を更に精度良く予測できる。
引き続き図1と図2とを参照して、制御部70の構成を詳しく説明する。制御部70は、第2予測部174を含む。制御部70は、制御プログラムを実行することで、第2予測部174として機能する。
第2予測部174は、用紙Pの伸長分布を予測する。伸長分布は、用紙Pの伸長量を表す物理量の分布を示す。具体的には、第2予測部174は、第1予測部171が予測した浸透分布に基づいて、用紙Pの厚み方向における用紙Pの伸長分布を予測する。つまり、第2予測部174は、インクInの浸透分布に対応する用紙Pの厚み方向における伸長分布を予測する。したがって、用紙PがインクInを含む場合の用紙Pの伸長量を予測できる。この結果、用紙Pの伸長量を利用して、用紙Pのカール量を予測できる。
以下、用紙Pの伸長量を伸長量εと記載する場合がある。伸長量εは、位置xにおける用紙Pの搬送方向長さの伸長量を示す。本実施形態では、用紙Pの伸長量εは、位置xと、位置xにおける含有率Sと、伸長係数Kとに基づいて予測される。位置xにおける含有率Sは、式(1)に示す一次元拡散方程式から導出される。伸長係数Kは、インクInを含有した用紙Pの伸長の程度を示す。伸長係数Kは、記憶部60に記憶される。具体的には、用紙Pの伸長量εは、以下の式(3)で算出される。
ε(x)=K×S(x)・・・式(3)
また、式(3)の含有率Sを変更して、用紙Pの厚み方向における複数の位置における伸長量εを予測する。例えば、第2予測部174は、第1予測部171が予測した含有率S0~含有率S4ごとに、伸長量εを予測する。つまり、第2予測部174は、位置x0の伸長量ε0と、位置x1の伸長量ε1と、位置x2の伸長量ε2と、位置x3の伸長量ε3と、位置x4の伸長量ε4とを予測する。用紙Pの厚み方向における複数の位置で伸長量εを予測することで用紙Pの伸長分布を算出できる。
引き続き図1と図2とを参照して、制御部70の構成を詳しく説明する。制御部70は、算出部175と、第3予測部176とを含む。制御部70は、制御プログラムを実行することで、算出部175及び第3予測部176として機能する。
算出部175は、画像の印字率Rを算出する。具体的には、算出部175は、画像データに基づいて、画像の印字率Rを算出する。印字率Rは、例えば、用紙Pの面積に対する画像の形成される領域の面積の割合、又は、用紙Pのうち画像を形成可能な領域の面積に対する画像の形成される領域の面積の割合を示す。
第3予測部176は、伸長分布と印字率Rとに基づいて、用紙Pのカール量Cpを予測する。伸長分布によって、用紙Pの伸長量εを予測できる。印字率Rによって、インクInが吐出される面積を予測できる。したがって、インクInが吐出される面積に応じた伸長分布に基づいて、カール量Cpを予測できる。この結果、カール量Cpを精度良く予測できる。
また、第3予測部176は、伸長分布と印字率Rとカール係数Hとに基づいて、用紙Pのカール量Cpを予測してもよい。カール係数Hは、用紙Pに発生し得るカール量の程度を示す。カール係数Hは、記憶部60に記憶される。伸長分布によって、用紙Pの伸長量εを予測できる。印字率Rによって、インクInが吐出される面積を予測できる。カール係数Hによって、用紙Pに発生し得るカール量Cpの程度を予測できる。したがって、インクInが吐出される面積に応じた伸長分布とカール係数Hとに基づいて、カール量Cpを予測できる。この結果、カール量Cpを精度良く予測できる。
また、本実施形態のデカール部40は、予測されたカール量Cpに基づいて、用紙Pに対してデカールを実行する。したがって、精度良く予測されたカール量Cpに基づいて、デカールできる。この結果、精度良く用紙Pを矯正できる。例えば、制御部70は、予測されたカール量Cpに基づいて、矯正ローラーと矯正ベルトとの間のニップ力を変更する。この結果、用紙Pを効率良く矯正できる。
以下、第3予測部176が予測した用紙Pのカール量Cpを予測カール量Cpと記載する場合がある。本実施形態の予測カール量Cpは、カール係数Hと、印字率Rと、用紙Pの厚さLと、伸長量εとに基づいて算出できる。具体的には、用紙Pの予測カール量Cpは以下の式(4)で算出できる。
Cp=H×R×{ε(L)+1/2×ε(3/4L)-1/2×ε(1/4L)-ε(0)}・・・式(4)
式(4)の「ε(L)」は、例えば、図2(b)に示す位置x4の伸長量εを示す。式(4)の「1/2×ε(3/4L)」は、例えば、図2(b)に示す位置x3の伸長量εを示す。式(4)の「1/2×ε(1/4L)」は、例えば、図2(b)に示す位置x1の伸長量εを示す。式(4)の「ε(0)」は、例えば、図2(b)に示す位置x0の伸長量εを示す。式(4)に示すように、予測カール量Cpは、4つの位置xに基づいて算出してもよい。
引き続き図1と図2とを参照して、制御部70の構成を詳しく説明する。制御部70は、判定部177を含む。制御部70は、制御プログラムを実行することで、判定部177として機能する。
判定部177は、第3予測部176が予測した予測カール量Cpが閾値を超えるか否かを判定する。閾値は、記憶部60に記憶される。
また、本実施形態のデカール部40は、予測カール量Cpが閾値を超える場合、デカールを実行する。予測カール量Cpの大きさに応じて、デカールを実行できる。したがって、予測カール量Cpが閾値を超える用紙Pにのみ、デカールを実行できる。この結果、排出トレーETに用紙Pが排出されるまでの期間が長くなることを抑制できる。
次に、図2と図3とを参照して、制御部70が実行する処理を説明する。図3は、制御部70が実行する処理を示すフローチャートである。図3に示す制御部70が実行する処理は、ステップS101~ステップS105を含む。
ステップS101において、制御部70は、搬送機構20が画像形成部30への用紙Pの給紙を開始するように、搬送機構20を制御する。処理は、ステップS102に進む。
ステップS102において、制御部70は、第1予測処理を実行する。第1予測処理については、図4を参照して後述する。処理は、ステップS103に進む。
ステップS103において、制御部70は、第2予測処理を実行する。第2予測処理については、図5を参照して後述する。処理は、ステップS104に進む。
ステップS104において、判定部177は、予測カール量Cpが閾値を超えるか否かを判定する。予測カール量Cpが閾値を超えない場合(ステップS104においてNo)、処理は終了する。予測カール量Cpが閾値を超える場合(ステップS104においてYes)、処理はステップS105に進む。
ステップS104でYesの場合、ステップS105において、制御部70は、用紙Pに対してデカールを実行するように、デカール部40を制御する。処理は、終了する。
次に、図2~図4を参照して、制御部70が実行する第1予測処理を説明する。図4は、制御部70が実行する第1予測処理を示すフローチャートである。図4に示す制御部70が実行する第1予測処理は、ステップS201~ステップS205を含む。図4に示す第1予測処理は、図3に示すステップS102に対応する。
ステップS201において、制御部70は、撮像部50から撮像データを取得する。処理は、ステップS202に進む。
ステップS202において、特定部172は、撮像データに基づいて、用紙Pの種類を特定する。処理はステップS203に進む。
ステップS203において、制御部70は、温度T及び湿度Wを取得する。処理はステップS204に進む。
ステップS204において、第1修正部173は、用紙Pの種類と、温度T及び湿度Wのうちの少なくとも1つとに基づいて、インクInの拡散係数Dを修正する。インクInの拡散係数Dは、式(2)で修正される。処理は、ステップS205に進む。
ステップS205において、第1予測部171は、インクInの拡散係数Dに基づいて、用紙Pの厚み方向におけるインクInの浸透分布を予測する。インクInの浸透分布は、式(1)に基づいて予測される。処理は、図3に示すステップS103に戻る。
次に、図2~図5を参照して、制御部70が実行する第2予測処理を説明する。図5は、制御部70が実行する第2予測処理を示すフローチャートである。図5に示す制御部70が実行する第2予測処理は、ステップS301~ステップS305を含む。図5に示す第2予測処理は、図3に示すステップS103に対応する。
ステップS301において、制御部70は、記憶部60から伸長係数Kを取得する。処理はステップS302に進む。
ステップS302において、第2予測部174は、第1予測部171が予測した浸透分布と伸長係数Kとに基づいて、用紙Pの厚み方向における用紙Pの伸長分布を予測する。用紙Pの伸長分布は、式(3)に基づいて、予測される。処理は、ステップS303に進む。
ステップS303において、算出部175は、画像の印字率Rを算出する。処理は、ステップS304に進む。
ステップS304において、制御部70は、記憶部60からカール係数Hを取得する。処理は、ステップS305に進む。
ステップS305において、第3予測部176は、伸長分布と、印字率Rと、カール係数Hとに基づいて、用紙Pのカール量Cpを予測する。用紙Pのカール量Cpは、式(4)に基づいて、予測される。処理は、図3に示すステップS104に戻る。
なお、図3~図5に示す制御部70の処理は、複数のインクInごとに実行されてもよい。具体的には、画像形成部30は、複数のインクInを吐出して用紙Pに画像を形成する。そして、第1予測部171は、複数のインクInごとに浸透分布を予測する。更に、デカール部40は、複数のインクInの浸透分布に基づいて用紙Pにデカールを実行する。したがって、インクInごとに浸透分布を予測できる。つまり、インクInの種類によって浸透の程度が異なる場合であっても、インクInに応じた浸透分布を予測できる。この結果、インクInに応じた浸透分布に基づいて、カール量Cpを予測できる。
[実施形態2]
次に、図6と図7とを参照して、実施形態2のインクジェット記録装置100を説明する。実施形態2のインクジェット記録装置100は、複数の第2検知部52、複数の第3検知部53、及び第4検知部54を有する点で、実施形態1のインクジェット記録装置100と異なる。また、実施形態2のインクジェット記録装置100は、拡散係数Dとカール係数Hとを修正する点で、実施形態1のインクジェット記録装置100と異なる。以下、実施形態2について、実施形態1と異なる事項について説明し、実施形態1と重複する部分についての説明は割愛する。
図6は、実施形態2のインクジェット記録装置100の構成を示す図である。図6に示すインクジェット記録装置100は、搬送路10と、用紙カセットPCと、搬送機構20と、画像形成部30と、撮像部50と、第1検知部51と、複数の第2検知部52と、複数の第3検知部53と、第4検知部54と、デカール部40と、排出トレーETと、記憶部60と、制御部70とを備える。搬送路10、用紙カセットPC、搬送機構20、画像形成部30、撮像部50、第1検知部51、デカール部40、及び排出トレーETについては、実施形態1と同様のため、説明を省略する。
図7は、搬送路10に位置する用紙Pを示す図を示す。図7に示す搬送路10は、デカール部40と排出トレーETとの間に位置する搬送路10を示す。用紙Pは、搬送方向CDに沿って、デカール部40から排出トレーETまで搬送される。図7における搬送方向CDは、デカール部40から排出トレーETへ向かう方向である。
図7に示す用紙Pには、パッチ画像CPが形成される。パッチ画像CPは、矩形状の画像である。パッチ画像CPは、用紙Pに形成される画像を調整するために形成される。また、パッチ画像CPは、用紙Pの濃度を検知するために形成される。パッチ画像CPは、用紙Pに複数形成される。具体的には、画像形成部30は、イエロー色のパッチ画像CPと、マゼンタ色のパッチ画像CPと、シアン色のパッチ画像CPと、ブラック色のパッチ画像CPとが形成される。
複数の第2検知部52は、インクInが吐出された用紙Pの内部のインクInの濃度を示す物理量を検知する。複数の第2検知部52は、透過型のセンサーである。複数の第2検知部52は、例えば、超音波センサーである。物理量は、例えば、超音波センサーの出力値を示す。複数の第2検知部52は、デカール部40と排出トレーETとの間に位置する。
用紙Pの内部のインクInの濃度は、例えば、複数の第2検知部52が検知した物理量に基づいて算出される。例えば、複数の第2検知部52が検知した物理量が大きい値を示す場合、用紙Pの内部に浸透したインクInの量は少ない。例えば、複数の第2検知部52が検知した物理量が小さい値を示す場合、用紙Pの内部に浸透したインクInの量は多い。以下、複数の第2検知部52を、単に第2検知部52と記載する場合がある。
複数の第2検知部52は、第2検知部52Aと第2検知部52Bとを含む。第2検知部52Aと第2検知部52Bとは、並んで配置される。
第2検知部52Aと第2検知部52Bとの各々は、用紙Pを透過した透過波によって表される濃度を示す物理量を検知する。第2検知部52Aと第2検知部52Bとの各々は、発信部521と受信部522とを有する。発信部521と受信部522とは、用紙Pを挟むように、搬送路10に配置される。発信部521は、例えば、超音波を発信して、超音波を用紙Pに照射する。受信部522は、用紙Pを透過した超音波を受信する。そして、受信部522は、受信した超音波の強度に応じた電気信号を制御部70へ出力する。
制御部70は、電気信号に基づいて、濃度を示す物理量に変換する。また、制御部70は、第2検知部52Aの検知結果と第2検知部52Bの検知結果との平均値を算出してもよい。以下、複数の第2検知部52が検知した物理量を、検知透過濃度Mtと記載する場合がある。
複数の第3検知部53は、インクInが吐出された用紙Pの表面の濃度を示す物理量を検知する。複数の第3検知部53は、反射型のセンサーである。複数の第3検知部53は、例えば、光学センサーである。物理量は、例えば、光学センサーの出力値を示す。複数の第3検知部53は、デカール部40と排出トレーETとの間に位置する。複数の第3検知部53は、複数の第2検知部52よりも搬送方向CDの上流側に位置する。
用紙Pの表面の濃度は、例えば、複数の第3検知部53が検知した物理量に基づいて算出される。例えば、複数の第3検知部53が検知した物理量が大きい値を示す場合、用紙Pの表面のインクInの量は少ない。例えば、複数の第2検知部52が検知した物理量が小さい値を示す場合、用紙Pの表面のインクInの量は多い。以下、複数の第3検知部53を、単に第3検知部53と記載する場合がある。
複数の第3検知部53は、第3検知部53Aと第3検知部53Bとを含む。第3検知部53Aと第3検知部53Bとは、並んで配置される。具体的には、第3検知部53Aと第3検知部53Bとは、搬送方向CDに交差する方向であって、搬送方向CDと水平方向に並んで配置される。
第3検知部53Aと第3検知部53Bとの各々は、用紙Pの表面から反射された反射波によって表される濃度を示す物理量を検知する。第3検知部53Aと第3検知部53Bとの各々は、発光部と受光部とを有する。発光部と受光部とは、用紙Pに対向するように、搬送路10に配置される。発光部は、例えば、光を用紙Pに照射する。受光部は、用紙Pの表面から反射された光を受信する。そして、受光部は、受光した光の強度に応じた電気信号を制御部70へ出力する。
制御部70は、電気信号に基づいて、濃度を示す物理量に変換する。また、制御部70は、第3検知部53Aの検知結果と第3検知部53Bの検知結果との平均値を算出してもよい。以下、複数の第3検知部53が検知した物理量を、検知反射濃度Mrと記載する場合がある。
第4検知部54は、インクInによって画像が形成された用紙Pのカール量Crを検知する。図6に示すように、第4検知部54は、画像形成位置P2よりも搬送方向CDの下流側の位置であって、矯正位置Cよりも搬送方向CDの上流側の位置に配置される。
第4検知部54は、例えば、レーザー変位センサーである。レーザー変位センサーは、半導体レーザーとリニアイメージセンサー(Linear Image Sensor)とを備え、三角測距を用いて距離を測定する。具体的には、第4検知部54は、カールした用紙Pの頂点部との間の距離を測定して、カール量Crを検知する。そして、第4検知部54は、カール量Crを示す検知信号を制御部70に出力する。カール量Crは、記憶部60に記憶される。以下、カール量Crを検知カール量Crと記載する場合がある。
また、実施形態2の記憶部60は、第1記憶部61と第2記憶部62とを含む。
次に、図8を参照して、制御部70の構成を詳しく説明する。図8は、本実施形態の制御部70の構成を示す。制御部70は、第1予測部171、特定部172、第1修正部173、第2予測部174、算出部175、第3予測部176、判定部177、第2修正部178、及び第3修正部179を含む。制御部70は、制御プログラムを実行することで、第1予測部171、特定部172、第1修正部173、第2予測部174、算出部175、第3予測部176、判定部177、第2修正部178、及び第3修正部179として機能する。第1予測部171、特定部172、第1修正部173、第2予測部174、算出部175、第3予測部176、及び判定部177については、実施形態1と同様のため、説明を省略する。
第2修正部178は、第2検知部52の検知結果に基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正する。具体的には、第2修正部178は、第2検知部52Aの検知結果に基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正する。また、第2修正部178は、第2検知部52Bの検知結果に基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正する。したがって、インクInが吐出された用紙Pを透過した透過波によって表される濃度を示す物理量に基づいて、第2修正部178は拡散係数Dを修正できる。つまり、実際にインクInを吐出した用紙Pの内部に含有されるインクInの量に基づいて、拡散係数Dを修正できる。この結果、実測値に基づいて、拡散係数Dをより精度の良い値に修正できる。
また、第2修正部178は、第2検知部52の検知結果と第3検知部53の検知結果とに基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正する。具体的には、第2修正部178は、第2検知部52Aの検知結果と第3検知部53Aとに基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正する。また、第2修正部178は、第2検知部52Bの検知結果と第3検知部53Bの検知結果とに基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正する。したがって、検知透過濃度Mtと検知反射濃度Mrとに基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正できる。この結果、実測値に基づいて、拡散係数Dをより精度の良い値に修正できる。以下、第2修正部178が修正した拡散係数Dは、拡散係数Dcと記載する場合がある。
本実施形態では、拡散係数Dcは、検知反射濃度Mr、検知透過濃度Mt、基準反射濃度Mr0、及び基準透過濃度Mt0に基づいて算出される。基準反射濃度Mr0は、記憶部60に記憶される。基準透過濃度Mt0は、記憶部60に記憶される。更に具体的には、拡散係数Dcは、下記式(5)を用いて算出する。
Dc=Mr0/Mr×Mt0/Mt×D・・・式(5)
また、基準反射濃度Mr0は、予め定められた値であってもよいし、数式に基づいて算出してもよい。具体的には、基準反射濃度Mr0は、以下の式(6)で算出できる。
Mr0=M×S(0)・・・式(6)
なお、反射濃度Mは、用紙Pの含有率Sが100%のときの反射濃度を示す。含有率S(0)は、用紙Pの表面の含有率を示す。
また、本実施形態の記憶部60は、第2修正部178が修正した拡散係数Dを記憶する。具体的には、制御部70は、第2修正部178が修正した拡散係数Dを記憶するように、第1記憶部61を制御する。したがって、次回の印刷ジョブの実行時に、第2修正部178によって修正された拡散係数Dを使用して、第1予測部171は浸透分布を予測できる。つまり、式(1)の拡散係数Dを修正拡散係数Dcに変更して、第1予測部171はインクInの含有率Sを予測できる。この結果、浸透分布を予測する際の予測精度が向上する。
また、第2修正部178が拡散係数Dを初めて補正するときは、式(6)が用いられ、2回目以降に行われる拡散係数Dの補正では、前回に取得された式(5)の検知反射濃度Mrを基準反射濃度Mr0として、拡散係数Dの補正を繰り返す。
第3修正部179は、第4検知部54の検知結果に基づいて、カール係数Hを修正する。したがって、インクInが吐出された用紙Pの検知カール量Crに基づいて、カール係数Hを修正できる。つまり、実際にカールした用紙Pの検知カール量Crに基づいて、カール係数Hを修正できる。この結果、実測値に基づいて、カール係数Hをより精度の良い値に修正できる。以下、第3修正部179が修正したカール係数Hを、修正カール係数Hcと記載する場合がある。
本実施形態では、修正カール係数Hcは、検知カール量Cr、及び予測カール量Cpに基づいて算出される。更に具体的には、修正カール係数Hcは、下記式(7)を用いて算出する。
Hc=Cr/Cp×H・・・式(7)
また、本実施形態の記憶部60は、第3修正部179が修正した修正カール係数Hcを記憶する。具体的には、制御部70は、第3修正部179が修正した修正カール係数Hcを記憶するように、第2記憶部62を制御する。したがって、次回の印刷ジョブの実行時に、第3修正部179によって修正された修正カール係数Hcを使用して、第3予測部176は用紙Pのカール量Cpを予測できる。つまり、式(4)のカール係数Hを修正カール係数Hcに変更して、第3予測部176はカール量Cpを予測できる。この結果、用紙Pのカール量Cpを予測する際の予測精度が向上する。
次に、図9を参照して、記憶部60が修正拡散係数Dcと修正カール係数Hcとを記憶するまでの処理を説明する。図9は、制御部70が実行する処理を示すフローチャートである。図9に示す制御部70が実行する処理は、図3~図5で説明した制御部70が実行する処理の終了後に実行される。図9に示す制御部70が実行する処理は、ステップS401~ステップS403を含む。
ステップS401において、制御部70は、パッチ画像CPを形成するように、画像形成部30を制御する。処理は、ステップS402に進む。
ステップS402において、制御部70は、拡散係数修正処理を実行する。拡散係数修正処理については、図10を参照して後述する。処理は、ステップS403に進む。
ステップS403において、制御部70は、カール係数修正処理を実行する。カール係数修正処理については、図11を参照して後述する。処理は、終了する。
次に、図9と図10とを参照して、制御部70が実行する拡散係数修正処理を説明する。図10は、制御部70が実行する拡散係数修正処理を示すフローチャートである。図10に示す拡散係数修正処理は、ステップS501~ステップS506を含む。図10に示す拡散係数修正処理は、図9に示すステップS402に対応する。
ステップS501において、制御部70は、基準反射濃度Mr0を取得する。処理は、ステップS502に進む。
ステップS502において、制御部70は、基準透過濃度Mt0を取得する。処理はステップS503に進む。
ステップS503において、制御部70は、第3検知部53から用紙Pの表面から反射された反射波によって表される濃度を示す物理量である検知反射濃度Mrを取得する。処理は、ステップS504に進む。
ステップS504において、制御部70は、複数の第2検知部52から用紙Pを透過した透過波によって表される濃度を示す物理量である検知透過濃度Mtを取得する。処理はステップS505に進む。
ステップS505において、第2修正部178は、基準反射濃度Mr0と、基準透過濃度Mt0と、検知反射濃度Mrと、検知透過濃度Mtとに基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正する。第1修正部173が修正した拡散係数Dは、式(5)に基づいて修正される。処理はステップS506に進む。
ステップS506において、制御部70は、第2修正部178が修正した拡散係数Dを記憶するように、第1記憶部61を制御する。処理は終了する。
次に、図9~図11を参照して、制御部70が実行するカール係数修正処理を説明する。図11は、制御部70が実行するカール係数修正処理を示すフローチャートである。図11に示すカール係数修正処理は、ステップS601~ステップS605を含む。図11に示すカール係数修正処理は、図9に示すステップS403に対応する。
ステップS601において、制御部70は、記憶部60から予測カール量Cpを取得する。処理はステップS602に進む。
ステップS602において、制御部70は、第4検知部54が検知した検知カール量Crを取得する。処理はステップS603に進む。
ステップS603において、制御部70は、記憶部60に記憶されたカール係数Hを取得する。処理はステップS604に進む。
ステップS604において、第3修正部179は、予測カール量Cpと検知カール量Crとカール係数Hとに基づいて、カール係数Hを修正する。カール係数Hは、式(7)に基づいて算出される。処理はステップS605に進む。
ステップS605において、制御部70は、第3修正部179が修正したカール係数Hを記憶するように、第2記憶部62を制御する。処理は終了する。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(1)本発明の実施形態1によれば、プレス式のデカール部40を採用した。デカール部41は、加熱部を更に含んでもよい。加熱部は、熱源アレーと、検知アレーとを有する。熱源アレーは発熱する。具体的には、熱源アレーは、複数のヒーターの配列体である。複数のヒーターごとに、ヒーターに対する通電制御が可能である。検知アレーは温度を検知する。検知アレーは、複数の温度センサーの配列体である。複数の温度センサーは、それぞれ、複数のヒーターに対応して配置される。そして、複数の温度センサーの各々は、対応するヒーターの温度を検知する。
加熱部は、加圧ローラーに内蔵されている。加熱部は円柱状である。加熱部の軸は、加圧ローラーの軸と同軸である。なお、加熱部の温度は、第3予測部176が予測したカール量Crに基づいて決定される。また、加熱部は、ヒーターと送風機との組み合わせで温風を供給してもよい。
(2)本発明の実施形態2によれば、第2修正部178は、第2検知部52Aの検知結果又は第2検知部52Bの検知結果に基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正した。しかしながら、本発明はこれに限られない。第2修正部178は、第2検知部52Aの検知結果と第2検知部52Bの検知結果とに基づいて、第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正してもよい。この結果、更に精度よく第1修正部173が修正した拡散係数Dを修正できる。
(3)本発明の実施形態2によれば、第3修正部179は、第3検知部53Aの検知結果又は第3検知部53Bの検知結果に基づいて、カール係数Hを修正した。しかしながら、本発明はこれに限られない。第3修正部179は、第3検知部53Aの検知結果と第3検知部53Bの検知結果とに基づいて、カール係数Hを修正してもよい。この結果、更に精度よくカール係数Hを修正できる。
(4)本発明の実施形態2の式(5)では、拡散係数Dcは、検知反射濃度Mr、検知透過濃度Mt、基準反射濃度Mr0、及び基準透過濃度Mt0に基づいて算出した。しかしながら、本発明はこれに限られない。拡散係数Dcは、検知反射濃度Mrと、検知透過濃度Mtと、基準反射濃度Mr0と、基準透過濃度Mt0と、インクジェット記録装置100がインクInを吐出していない期間と、印刷ジョブを実行した期間と、温度及び湿度の変化量とに基づいて、算出してもよい。この結果、更に精度よく拡散係数Dを修正できる。
(5)本発明の実施形態2の式(7)では、修正カール係数Hcは、検知カール量Cr、及び予測カール量Cpに基づいて算出した。修正カール係数Hcは、検知カール量Crと、予測カール量Cpとインクジェット記録装置100がインクInを吐出していない期間と、印刷ジョブを実行した期間と、温度及び湿度の変化量とに基づいて、算出してもよい。この結果、更に精度よくカール係数Hを修正できる。