JP2017144623A - 液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷のスループットを低下させることなく、媒体に生じるカールを抑制して印刷品質の劣化を抑制できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】印刷部14から用紙Pへ吐出する液体の吐出データに基づいて用紙へ吐出される液体の液量を算出する液量算出部52と、用紙の含水量を検出する含水量検出部と、液量算出部により算出される液体の液量と含水量検出部により検出される用紙の含水量とから用紙に生じるカールの程度を予測する予測部54と、用紙の搬送方向と交差する幅方向Xに複数設けられた第1ローラー70と、第1ローラーと対向する対向部側に付勢した状態において用紙を第1ローラーとの間で挟持して回転することによって用紙を搬送する第2ローラー80と、予測部により予測されたカールの程度に応じて、第2ローラーとの間で挟持する用紙を第2ローラーの対向部側に付勢する第1ローラーの付勢力を調節する付勢力調節部56と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】印刷部14から用紙Pへ吐出する液体の吐出データに基づいて用紙へ吐出される液体の液量を算出する液量算出部52と、用紙の含水量を検出する含水量検出部と、液量算出部により算出される液体の液量と含水量検出部により検出される用紙の含水量とから用紙に生じるカールの程度を予測する予測部54と、用紙の搬送方向と交差する幅方向Xに複数設けられた第1ローラー70と、第1ローラーと対向する対向部側に付勢した状態において用紙を第1ローラーとの間で挟持して回転することによって用紙を搬送する第2ローラー80と、予測部により予測されたカールの程度に応じて、第2ローラーとの間で挟持する用紙を第2ローラーの対向部側に付勢する第1ローラーの付勢力を調節する付勢力調節部56と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、媒体搬送路を搬送される媒体に液体を吐出する液体吐出装置に関する。
従来から、液体吐出装置の一種として、媒体の一例である用紙に印刷を行う印刷部を備え、ローラー対により挟持されて媒体搬送路を搬送される用紙に対して印刷部から液体を吐出することにより、用紙の印刷領域に画像等の印刷を行うインクジェット式のプリンターが知られている。このようなプリンターにおいては、用紙に吐出されて付着したインクによって、用紙がカール(湾曲)する現象が発生することがある。
特に、インクの付着によって用紙が大きくカールした場合は、ローラー対によって挟持されて媒体搬送路を搬送される際に、発生したカールによって用紙の印刷領域が媒体搬送路を構成する構成部品と接触することが起こり得る。この接触により印刷面が構成部品よってこすられるために、印刷品質の低下や紙詰まりなどの搬送不良といった問題を発生させる虞がある。このような問題の発生を回避するためには、用紙に生じるカールを矯正することが必要である。
そこで、用紙に吐出されるインクの液量に基づいてカールの程度を予測し、用紙に付着したインクを乾燥させて用紙に生じるカールを抑制する液体吐出装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、従来の液体吐出装置においては、インクを乾燥させる際に用紙の搬送を停止させている。このため、用紙に対する印刷速度が低下し、印刷のスループットが低下するという課題がある。また、インクの乾燥が十分でない場合、媒体に発生するカールの大きさによって、印刷面における未乾燥のインクが、用紙を挟持するローラー対のうちの少なくとも一方のローラーに付着し、印刷品質を劣化させる虞もある。特に、乾燥のために用紙の搬送を停止させることがない場合では、用紙は、印刷面に未乾燥のインクが残った状態で搬送される確率が高くなり、ローラー対のうちの少なくとも一方のローラーにインクが付着し易くなるため、印刷品質の劣化が高い確率で発生する虞もある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷のスループットを低下させることなく、媒体に生じるカールを抑制して印刷品質の劣化を抑制できる液体吐出装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体の印刷領域に液体を吐出することで印刷を行う印刷部と、前記印刷部から前記媒体へ吐出する前記液体の吐出データに基づいて前記媒体へ吐出される前記液体の液量を算出する液量算出部と、前記媒体の含水量を検出する含水量検出部と、前記液量算出部により算出される前記液体の液量と前記含水量検出部により検出される前記媒体の含水量とから前記媒体に生じるカールの程度を予測する予測部と、前記媒体が搬送される媒体搬送路において前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に複数設けられた第1ローラーと、前記第1ローラーと対向する対向部がローラー外周面において環状に凹んで形成され、前記第1ローラーが前記媒体を前記対向部側に付勢した状態において前記媒体を前記第1ローラーとの間で挟持して回転することによって前記媒体を搬送する第2ローラーと、前記予測部により予測された前記カールの程度に応じて、前記第2ローラーとの間で挟持する前記媒体を前記第2ローラーの前記対向部側に付勢する前記第1ローラーの付勢力を調節する付勢力調節部と、を備える。
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体の印刷領域に液体を吐出することで印刷を行う印刷部と、前記印刷部から前記媒体へ吐出する前記液体の吐出データに基づいて前記媒体へ吐出される前記液体の液量を算出する液量算出部と、前記媒体の含水量を検出する含水量検出部と、前記液量算出部により算出される前記液体の液量と前記含水量検出部により検出される前記媒体の含水量とから前記媒体に生じるカールの程度を予測する予測部と、前記媒体が搬送される媒体搬送路において前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に複数設けられた第1ローラーと、前記第1ローラーと対向する対向部がローラー外周面において環状に凹んで形成され、前記第1ローラーが前記媒体を前記対向部側に付勢した状態において前記媒体を前記第1ローラーとの間で挟持して回転することによって前記媒体を搬送する第2ローラーと、前記予測部により予測された前記カールの程度に応じて、前記第2ローラーとの間で挟持する前記媒体を前記第2ローラーの前記対向部側に付勢する前記第1ローラーの付勢力を調節する付勢力調節部と、を備える。
この構成によれば、媒体を挟持して回転する第1ローラー及び第2ローラーにおいて、凹んで形成された第2ローラーの対向部側に媒体が第1ローラーによって付勢されることによって形成されるうねりの大きさを、発生したカールの程度に応じて調節できる。そのため、媒体に発生したカールをその搬送中において幅方向における複数のうねりによって吸収できる。したがって、印刷のスループットを低下させることなく、媒体に生じるカールを抑制して印刷品質の劣化を抑制できる。
上記液体吐出装置においては、前記印刷部により印刷が行われる前の前記媒体を収容する収容部を備え、前記含水量検出部は前記媒体の湿度を計測する湿度計測部と前記湿度計測部が計測した湿度に基づいて前記媒体の含水量を算出する含水量算出部とを含んで構成され、前記湿度計測部は前記収容部に設けられるとともに前記収容部に収容される前記媒体の湿度を計測することが好ましい。
この構成によれば、印刷部により印刷が行われる前の、収容部に収容されている媒体の湿度を計測することができ、計測された湿度から媒体の含水量を算出するため、印刷に供される媒体に生じるカールの程度を精度良く予測できる。
上記液体吐出装置において、前記予測部は、前記媒体の種類に基づいて前記媒体に生じるカールの程度を予測することが好ましい。
この構成によれば、例えば同じ湿度であっても含水量が異なることがあり得る媒体の種類に基づいて媒体に生じるカールの程度を精度良く予測できる。
この構成によれば、例えば同じ湿度であっても含水量が異なることがあり得る媒体の種類に基づいて媒体に生じるカールの程度を精度良く予測できる。
以下、液体吐出装置の一実施形態として、液体の一例であるインクを吐出することで媒体の一例である用紙に文字や図形などを含む画像を印刷(記録)するインクジェット式のプリンターについて、図を参照して説明する。
図1に示すように、プリンター11は、略直方体の筐体12内に、用紙Pを鉛直方向Zの下側(重力方向側)から支持する支持台13と、用紙Pに画像を印刷する印刷部14と、用紙Pが搬送される媒体搬送路20を備えている。また、2つのローラーが対向配置されたローラー対を複数有する搬送部が備えられ、この搬送部が用紙Pを媒体搬送路20に沿って搬送する。
プリンター11は、図1における紙面表裏方向を用紙Pの幅方向Xとし、この幅方向Xと交差する方向(好ましくは直交する方向)を搬送方向として用紙Pを支持台13上および媒体搬送路20に沿って搬送する。印刷部14は、用紙Pの搬送方向と交差する幅方向Xの略全域に亘ってインクを同時に吐出可能な液体吐出ヘッドとしてのラインヘッドを下部に備え、支持台13上を搬送される用紙Pに鉛直方向の上側からインクを付着させて画像を印刷する。
印刷された用紙Pは、排紙ローラー対18や他の複数の搬送ローラー対19によって印刷部14から媒体搬送路20に搬送され、媒体搬送路20の端部に設けられた媒体排出口26から媒体搬送路20外へ排出される。排出された用紙Pは、図1において二点鎖線で示すように、載置台60の載置面61に鉛直方向Zに沿って積層状態で載置される。
本実施形態では、媒体搬送路20は、用紙Pを印刷部14から媒体排出口26まで搬送する媒体排出路25と、用紙Pを印刷部14に供給する媒体供給路とを有している。媒体供給路は、第1媒体供給路21と第2媒体供給路22と第3媒体供給路23とによって構成される。
第1媒体供給路21では、筐体12の一側面に備えられたカバー12Fを開けることによって露出する挿入口12aから挿入される用紙Pが印刷部14へ搬送される。すなわち、挿入口12aへ挿入された用紙Pは、ホッパー12bによって第1駆動ローラー41aに押し付けられ、第1駆動ローラー41aの回転駆動によって搬送されて第1駆動ローラー41aと第1従動ローラー41bとの間に挟まれた後、第1駆動ローラー41aの回転駆動によって印刷部14へ向かって搬送される。
第2媒体供給路22では、筐体12の鉛直方向の下側となる底部に挿抜可能に備えられた媒体の収容部の一例である用紙カセット12cに積層可能に載置されて収容される用紙Pが印刷部14へ搬送される。すなわち、用紙カセット12cに積層状態で載置された用紙Pは、最上位の用紙Pがピックアップローラー16aで送り出され、分離ローラー対16bで一枚ずつに分離された後、第2駆動ローラー42aと第2従動ローラー42bとの間に挟まれ、第2駆動ローラー42aの回転駆動によって印刷部14へ向かって搬送される。
第3媒体供給路23では、用紙Pに対して両側の用紙面(シート面)に印刷する両面印刷を行う場合に、印刷部14によって片側の用紙面が印刷済みとされた用紙Pが、再び印刷部14へ搬送される。すなわち、印刷部14よりも用紙Pの搬送方向における下流側には、媒体排出路25の途中に設けられた分岐機構27Aの動作によって媒体排出路25から分岐する分岐搬送路24が設けられている。分岐搬送路24には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐搬送路ローラー対44が分岐機構27Aの下流側に設けられている。
片側の用紙面が印刷された用紙Pは、両面印刷に際して印刷部14側から載置台60側に向かって一旦この分岐搬送路24へ、正転する分岐搬送路ローラー対44および複数の搬送ローラー対19によって搬送された後、分岐搬送路ローラー対44の逆転によって分岐搬送路24を載置台60側から印刷部14側へ逆搬送される。このとき、逆搬送される用紙Pは、第3媒体供給路23へ搬送され、複数の搬送ローラー対19によって印刷部14に向かって搬送される。この第3媒体供給路23への搬送によって、用紙Pは印刷されていない用紙面が印刷部14と対向するように反転し、第3駆動ローラー43aと第3従動ローラー43bとの間に挟まれ、第3駆動ローラー43aの回転駆動によって印刷部14へ向かって搬送される。
各媒体供給路を印刷部14へ向かって搬送される用紙Pは、印刷部14の搬送方向における上流側に配設された整列ローラー対15まで搬送されたのち、回転が停止した整列ローラー対15にその先端が突き当たる。そして、用紙Pは、このような整列ローラー対15へ突き当たった状態によって搬送方向に対する傾きが補正(スキュー取り)される。そして傾きが補正された用紙Pは、その後の整列ローラー対15の回転駆動によって、整列状態となって印刷部14側へ搬送される。
整列ローラー対15によって印刷部14側に搬送された用紙Pは、印刷部14に対して用紙Pの搬送方向における上流側に配設された紙送りローラー対17や搬送方向における下流側に配設された排紙ローラー対18および搬送ローラー対19などによって、印刷部14に対向しながら搬送される。
プリンター11では、この搬送される用紙Pに、対向する印刷部14から吐出データに基づいてインクが吐出されて印刷が行われる。すなわち、プリンター11には、コンピューター機能を有する制御部50と、このような印刷動作を制御するプログラムを記憶する図示しない記憶部が備えられている。そして、制御部50が記憶部に記憶されたプログラムに従って動作することによって、プリンター11に入力される印刷データが有する吐出データに基づいて印刷部14や搬送部の動作を制御し、用紙Pの記録領域としての印刷領域E(図22参照)に画像を印刷(記録)する。
ところで、第3媒体供給路23において、印刷部14へ向かって搬送される用紙Pは、その凸状になる外側の用紙面が印刷済みであるため、この印刷済みの用紙面が第3媒体供給路23を構成する供給路構成部材に接触してインクが転写することが起こり得る。特に近年は、プリンター11において、より印刷の高速化が求められる傾向にあるため、両面(両方の用紙面)に印刷を行う場合、用紙Pの一方の面に吐出したインクが乾かないうちに他方の面に印刷する確率が高い。このため、両面印刷時に搬送系(ローラーや媒体搬送路の構成部材)に用紙Pに付着したインクが転写する現象が顕著に発生しやすい状況にある。また、環境負荷低減(環境保護)の観点から水系インクが採用される場合、湿度が高い状態においては乾燥に長い時間を要することになるため、両面印刷時に搬送系(ローラーや媒体搬送路の構成部材)にインクが転写する現象が顕著に発生しやすい状況にある。
したがって、本実施形態では、用紙面のインクが供給路構成部材に移らないようにするため、供給路構成部材の表面が撥液性を有する材料(例えばフッ素樹脂)で形成あるいはコーティングされている。特に、第3媒体供給路23における第3駆動ローラー43aから整列ローラー対15までの間は、用紙Pの先端が回転停止した整列ローラー対15に突き当たることによって、用紙Pは大きく湾曲して、その印刷済みの用紙面が、図1において網掛け領域で示す湾曲外側に対向する供給路構成部材に接触する確率が高くなる。したがって、この網掛け領域で示した部分の供給路構成部材の表面に撥液性を持たせることは有効である。
また、本実施形態では、印刷された用紙Pは、途中湾曲した媒体排出路25を通って媒体搬送路20の端部に設けられた媒体排出口26から媒体搬送路20外へ排出される排出経路以外に、別の排出経路を備えることができる。すなわち、図1において破線で示すように、媒体排出路25の途中に設けられた分岐機構27Bの動作によって媒体排出路25から分岐する分岐媒体排出路25Aが設けられている。分岐媒体排出路25Aには、搬送ローラー対19が設けられ、例えば搬送方向に長い長尺の用紙PAに印刷を行う場合に、その用紙PAのプリンター11からの排出方向が、印刷部14から搬送される用紙Pの搬送方向と略同じ方向となるように略直線状の排出経路とされ、プリンター11から用紙PAが円滑に排出される。
さらに、本実施形態では、図1において二点鎖線で示すように、印刷済みの用紙Pに対して、例えば所定枚数毎に綴じるなどの所定の処理を加える装置(フィニッシャー)へ、用紙Pを搬送する処理用搬送路29を備えることもできる。
さて、本実施形態のプリンター11では、分岐機構27A,27Bと、媒体排出路25の一部および分岐搬送路24の一部は、図1において太い破線で示すように、1つの搬送ユニット65とされ、筐体12から引き出し可能に構成されている。このように構成されることにより、例えば、プリンター11の使用者が、媒体排出路25において搬送されずにジャム状態となった用紙Pを取り除く処理(ジャム処理)を行うことができるようになっている。
さらに、本実施形態のプリンター11では、搬送部として機能する搬送ローラー対19のうち、搬送ユニット65に備えられる搬送ローラー対19は、用紙Pに生ずるカールを抑制するための構造を有している。すなわち図1において、ローラー対19A、ローラー対19Bおよびローラー対19Cは、それぞれのローラー対を構成する第1ローラー70と第2ローラー80が用紙Pに生ずるカールを抑制する構造を有している。この構造については、後ほど説明する(図13等参照)。
図2に示すように、本実施形態では、搬送ユニット65は、筐体12が固定されたプリンター11のフレーム62に設けられたスライド部材63に対して、搬送ユニット65の鉛直方向Zにおける重力方向側の下部に位置するユニットフレーム65aが取り付けられている。そして、スライド部材63のスライドによって、搬送ユニット65は、用紙Pの印刷部14への供給側とは反対側において、図2において白抜き矢印で示すように、筐体12から筐体12の一部12dとともに引き出される。
図3に示すように、引き出された状態での搬送ユニット65は、例えば媒体排出路25は露出しない状態、すなわち、途中湾曲している媒体排出路25の湾曲内側を構成する内側搬送路構成部材66が、媒体排出路25を覆っている通常使用の状態である。そこで、本実施形態では、搬送ユニット65には、媒体排出路25が露出するようにこの内側搬送路構成部材66が揺動する揺動構造が設けられている。
図4と図5を参照して、この搬送ユニット65における内側搬送路構成部材66の揺動構造について説明する。
図4に示すように、搬送ユニット65には、媒体排出路25の湾曲外側を構成する外側搬送路構成部材67と、媒体排出路25の湾曲内側を構成する内側搬送路構成部材66とが備えられている。外側搬送路構成部材67には、媒体排出路25において搬送部として機能するローラー対19B,19Cのうちの第2ローラー80が備えられ、内側搬送路構成部材66には、媒体排出路25において搬送部として機能するローラー対19B,19Cのうちの第1ローラー70が備えられている。なお、内側搬送路構成部材66には、さらにその湾曲内側に、分岐搬送路24の一部を構成する搬送路構成部材が備えられている。
図4に示すように、搬送ユニット65には、媒体排出路25の湾曲外側を構成する外側搬送路構成部材67と、媒体排出路25の湾曲内側を構成する内側搬送路構成部材66とが備えられている。外側搬送路構成部材67には、媒体排出路25において搬送部として機能するローラー対19B,19Cのうちの第2ローラー80が備えられ、内側搬送路構成部材66には、媒体排出路25において搬送部として機能するローラー対19B,19Cのうちの第1ローラー70が備えられている。なお、内側搬送路構成部材66には、さらにその湾曲内側に、分岐搬送路24の一部を構成する搬送路構成部材が備えられている。
図5に示すように、本実施形態では、内側搬送路構成部材66には、その分岐機構27A側の端部に揺動軸66aが設けられ、この揺動軸66aを中心に内側搬送路構成部材66が揺動可能に構成されている。したがって、例えばプリンター11の使用者が、搬送ユニット65を筐体12から引き出した後、内側搬送路構成部材66の一部を掴んで持ち上げることによって、内側搬送路構成部材66を図5に示す位置まで揺動させ、媒体排出路25を露出させることができる。このような内側搬送路構成部材66の揺動により、媒体排出路25を形成する内側搬送路構成部材66の案内面66sおよび外側搬送路構成部材67の案内面67sが露出するので、例えば、媒体排出路25においてジャム状態となった用紙Pを取り除くジャム処理を行うことが可能な状態になる。
図6に、媒体排出路25が露出した、つまり内側搬送路構成部材66の案内面66sおよび外側搬送路構成部材67の案内面67s(図6では不図示)が露出した搬送ユニット65を示す。図6に示すように、内側搬送路構成部材66には、外側搬送路構成部材67側に備えられた複数(図6では12個)の第2ローラー80とそれぞれローラー対19Bを構成する第1ローラー70が、第2ローラー80に対応して、幅方向Xに並んで複数(図6では12個)備えられている。また、内側搬送路構成部材66には、ローラー対を構成しない単ローラー46が、複数備えられている。
図7に示すように、本実施形態では、第2ローラー80は、回転可能な一本のローラー軸85に対して用紙Pの搬送方向とは交差する幅方向Xに所定の間隔を空けて複数(ここでは12個)並んで設けられている。そして、複数の第2ローラー80のそれぞれに対応する第1ローラー70は、周方向に間隔をおいて形成された複数の突起部71(図9、図17参照)を有している。一方、第2ローラー80には、この第1ローラー70の突起部71と対向する対向部81が、ローラー外周面82において環状に凹んだ環状凹面となって形成されている。
図8および図9に、内側搬送路構成部材66が揺動せず、媒体排出路25が露出しない用紙Pを搬送可能な通常使用の状態の搬送ユニット65を示す。なお、図8では、搬送ユニット65において、分岐機構27Bおよび分岐媒体排出路25Aが取り除かれ、ローラー対19Bが露出した状態で図示されている。
図8および図9に示すように、搬送ユニット65において内側搬送路構成部材66が揺動せず、媒体排出路25が露出しない用紙Pを搬送可能な通常使用の状態では、それぞれの第1ローラー70は、その突起部71が第2ローラー80の環状凹面である対向部81に対向するように配置されている。そして、本実施形態では、用紙Pを搬送しない状態においては、第1ローラー70は突起部71が第2ローラー80の対向部81に付勢されて接触した状態で、不図示の動力源によって回転駆動される第2ローラー80の回転と共に回転する。
このため、本実施形態においては、第1ローラー70の突起部71が接触する対向部81は、少なくともその表面が、接触した突起部71の変形を抑制しつつ、接触状態が安定するように、弾性を有する材料(例えばゴム)で形成されている。なお、第2ローラー80において、対向部81を幅方向Xで挟むローラー外周面82は、図9において網掛けで示すように、少なくとも表面が凹凸状態となるように、例えばセラミック塗装などによって細かな粒子が塗布された粒状面となっている。
ここで、第2ローラー80の対向部81に対して、その突起部71が付勢された状態で接触する第1ローラー70の構造について、図を参照して説明する。なお、ここではローラー対19Bを構成する第1ローラー70について、その構造を説明するが、他のローラー対19A,19Cにおいても同様である。
図10および図11に示すように、第1ローラー70は、周方向に間隔をおいて突起部71が形成された環状円板72とこの環状円板72がインサートされ、中心に円形の貫通孔73が設けられた同じく環状のローラー体74とを有している。また、ローラー体74の貫通孔73には、ばね材が軸(コイル軸)方向に所定の長さでコイル状に巻かれた棒ばね75が挿通されている。ローラー体74において貫通孔73が設けられた内周側の部分は、その幅方向Xの寸法L1が外周側の幅方向Xの寸法L2よりも小さく、外周側よりも幅が狭い幅狭部74aとなっている。また、棒ばね75が挿通される貫通孔73と棒ばね75との間には隙間G1が設けられ、ローラー体74と内側搬送路構成部材66との間には、幅方向Xにおいて隙間G2,G3が設けられている。
内側搬送路構成部材66には、第1ローラー70の棒ばね75の軸方向(幅方向X)における両端部が挿入可能な溝部66cと、棒ばね75のローラー体74近傍の部分において、溝部66cから引き抜く方向への棒ばね75の移動を抑止するように突出した突出部66dと、が設けられている。したがって、第1ローラー70は、棒ばね75の両端部が溝部66cに挿入される際に、棒ばね75のローラー体74近傍の部分が、その挿入方向(図10では紙面表から裏に向かう方向)において突出部66dと係合しない状態まで一旦変位したのち元の形状に戻る。この棒ばね75が元の形状に戻ることによって、溝部66cから引き抜く方向への棒ばね75の移動が抑止された状態で内側搬送路構成部材66に取り付けられる。なお、棒ばね75のローラー体74近傍の部分は溝部66cへの挿入方向側への変位は可能であり、第1ローラー70は、その突起部71(ローラー体74)に生じる反力が棒ばね75の弾性変形によって増しながら、溝部66cへの挿入方向への変位が可能である。
図12に示すように、本実施形態のローラー対19Bでは、用紙Pを搬送しない状態においては、棒ばね75の弾性変形(撓み)に伴って生じる反力により、第1ローラー70は突起部71が第2ローラー80の対向部81に付勢された状態で接触する。すなわち、第1ローラー70と第2ローラーとは、媒体排出路25の通常使用の状態において、第1ローラー70の棒ばね75に所定の撓みが生じるように、第1ローラー70の突起部71が、第2ローラー80の対向部81と所定量係合する位置関係で配置されている。したがって、第1ローラー70は第2ローラー80の回転と共に回転する。なお、この回転において、第1ローラー70のローラー体74は第2ローラー80の対向部81の両側に位置するローラー外周面82には接触しないように所定の隙間(例えば0.5mm)をあけて離れている。
次に、図13に示すように、ローラー対19Bにおいて、用紙Pを搬送する状態では、用紙Pは、第1ローラー70の突起部71と第2ローラー80の対向部81との間に進入したのち挟持される。このとき、第1ローラー70の突起部71は、用紙Pを第2ローラー80の対向部81側に付勢する付勢力に抗して、用紙Pが有する剛性などによって、第2ローラー80の対向部81から離れるように用紙Pから力をうける。用紙Pから力を受けた第1ローラー70は、棒ばね75が挿通されている貫通孔73の部分が幅狭部74aとなっているため、ローラー体74が湾曲した棒ばね75を更に湾曲させる際の押し込み力(付勢力)の増加を抑制できる。
この結果、第1ローラー70と第2ローラー80との間に挟持された用紙Pは、第2ローラー80の対向部81と接触することなく、第1ローラー70の突起部71によって、第2ローラー80の環状凹面となった対向部81の凹み部分に押し込まれ、図13に示すようにローラー対19Bにおいてうねりが形成された状態で搬送される。したがって、このようなうねりが、用紙Pの幅方向Xにおいて複数設けられたローラー対19Bのそれぞれにおいて形成されるので、用紙Pに生じたカールは、複数の小さなうねりとなって抑制される。
また、図13に示すように、第1ローラー70は、突起部71が用紙Pを付勢する付勢力に抗して、用紙Pが有する剛性などによって、第2ローラー80の対向部81から離れるように用紙Pから力(反力)をうける。このとき、用紙Pから力を受けた第1ローラー70は、棒ばね75が挿通されている貫通孔73の部分が幅狭部74aとなっているため、ローラー体74が湾曲した棒ばね75を更に湾曲させる際の押し込み力(付勢力)の増加を抑制できる。
また、図13に示すように、ローラー対19Bにおいて、第1ローラー70の突起部71と第2ローラー80の対向部81との間に進入する用紙Pは、第1ローラー70の突起部71と第2ローラー80のローラー外周面82とに接触(当接)する。この用紙Pの接触時において、第1ローラー70の突起部71は第2ローラー80の対向部81と接触して回転しているため、その周速は、ローラー軸85の軸心から半径D1の面で形成された対向部81の周速と同一である。一方、第2ローラー80のローラー外周面82は、ローラー軸85の軸心から、半径D1よりも大きい寸法の半径D2の面で形成されているため、対向部81の周速よりも速い周速で回転する。
このように第1ローラー70の突起部71の周速と第2ローラー80のローラー外周面82の周速が異なる場合、その周速の差異が大きくなることによって、用紙Pが第1ローラー70の突起部71と第2ローラー80の対向部81との間に用紙Pが進入する際に、搬送方向への移動速度が変化することが起こり得る。このように用紙Pの搬送方向への移動速度が変化した場合は、印刷部14において印刷された画像に、例えば、すじ状の線が発生するなどのバンディングの発生を招く虞がある。
したがって、本実施形態では、第2ローラー80において、対向部81のローラー軸85の軸心からの寸法(半径D1)と、ローラー外周面82のローラー軸85の軸心からの寸法(半径D2)とが、用紙Pに適切なうねりを形成できるとともに、バンディングを抑制できる寸法に設定されている。ちなみに、本実施形態では、半径D1と半径D2との差が「0.5mm」となる寸法で設定されている。
さらに、本実施形態では図示による説明は省略するが、用紙Pが第1ローラー70の突起部71と第2ローラー80の対向部81との間に進入する際のタイミングを、複数のローラー対19Bにおいて異なるようにすることによって、用紙Pの搬送方向への移動速度の変化を抑制するようにしてもよい。例えば、幅方向Xに並んだ複数のローラー対19B(図8参照)のうち、例えば半数のローラー対19Bにおいて、第1ローラー70の搬送方向における位置を、残りのローラー対19Bにおける第1ローラー70の搬送方向における位置とは異なるようにずらして配置する。
第1ローラー70の搬送方向における位置のずらし方としては、幅方向Xにおいて一つずつ搬送方向における位置を入れ替えて互い違いにする所謂千鳥配置や、中央のローラー対19Bから幅方向Xに離れるにつれて搬送方向の一方へ徐々にずれた位置にする所謂V字配置などが採用できる。
また、本実施形態では、図13に示す状態において、第1ローラー70は、用紙Pに接触する部分が突起部71となった所謂ギザローラーである。このため、第1ローラー70は用紙Pとの接触面積が小さくなるので、用紙Pの印刷面に付着したインクが、第1ローラー70の突起部71(ギザ)に転写し難くなる。また、第2ローラー80に対して用紙Pが接触する部分となるローラー外周面82は粒状面となっているので、用紙Pとの接触面積が小さくなり、両面印刷された用紙Pの印刷面に付着したインクが、第2ローラー80に転写し難くなる。
ところで、内側搬送路構成部材66に備えられている単ローラー46は、本実施形態では、ローラー対19A,19B,19Cの第1ローラー70とは異なる構成を有している。この単ローラー46の構成について、図を参照して説明する。
図14に示すように、単ローラー46は、例えばローラー対19Bの第1ローラー70と同様に、周方向に間隔をおいて突起部71が形成された環状円板72と、この環状円板72がインサートされ、中心に円形の貫通孔73Tを有する同じく環状のローラー体74Tと、このローラー体74Tの貫通孔73Tに挿通された棒ばね75とを有している。また、単ローラー46は、内側搬送路構成部材66に設けられた溝部66cに棒ばね75の両端部が挿入され、ローラー体74T近傍の棒ばね75の部分が、内側搬送路構成部材66に設けられた突出部66dによって、溝部66cから引き抜く方向への移動が抑止された状態で、内側搬送路構成部材66に取り付けられている。そして、単ローラー46は、内側搬送路構成部材66に取り付けられた状態において、第1ローラー70とは異なり、棒ばね75が、溝部66cから引き抜く方向とは反対方向に突出部66dによって押し込まれて湾曲した状態に予め撓んでいる。
したがって、媒体排出路25を搬送される用紙Pが単ローラー46の突起部71に接触して単ローラー46を押し付ける際には、予め湾曲した状態にある棒ばね75を更に湾曲させることになるため、予め撓んだ変位した状態で生じる棒ばね75の付勢力が用紙Pの押し付けに抗して作用する力となる。すなわち、単ローラー46は、予め初圧を有した状態で、内側搬送路構成部材66に備えられている。ちなみに、本実施形態では、30グラム程度の初圧を有するように棒ばね75が湾曲されている。
なお、本実施形態では、単ローラー46のローラー体74Tについて、棒ばね75の軸方向における寸法L3は、ローラー対19Bの第1ローラー70のローラー体74の幅方向Xの寸法L2(図11参照)よりも小さい寸法とされている。このように、単ローラー46のローラー体74の寸法L3を小さくすることによって、予め湾曲した状態にある棒ばね75を更に湾曲させる際の押し込み力の増加を抑制することができる。したがって、例えば、用紙Pに傷がつかないように、用紙Pの押し付けに抗して作用する単ローラー46の突起部71の力の変化(増加)を抑制することができる。
さて、内側搬送路構成部材66に取り付けられたローラー対19Bの第1ローラー70は、媒体排出路25が露出した状態において、例えばジャム処理を行う使用者(人)の指(手)が突起部71に触れやすくなる。このため、本実施形態では、第1ローラー70の突起部71が使用者の指に触れる確率が低くなる構造になっている。この構造について、図を参照して説明する。
まず、図15に、内側搬送路構成部材66に取り付けられているローラー対19Bの第1ローラー70に対して、使用者の指Haが、ジャム処理において使用者が手を挿入する方向と推定される幅方向Xに沿って移動して当接する状態を示す。本実施形態では、使用者の指Haが、図15において紙面左方向から移動して当接した際、ローラー体74が突起部71よりも先に指Haに触れるようになっている。すなわち、ローラー体74の幅方向Xの寸法L2は、突起部71よりも先に使用者の指Haが触れる寸法(長さ)に設定されている。
次に、図16に、使用者の指Haが、ローラー対19Bの第1ローラー70(ローラー体74)に触れた状態から、さらに第1ローラー70を幅方向Xに押し付けた状態を示す。本実施形態では、この状態において、図16に示すように、ローラー体74が棒ばね75を溝部66cへの挿入方向側へ押し付けて湾曲させるとともに、ローラー体74が傾くようになっている。すなわち、ローラー体74は、棒ばね75が挿通される貫通孔73と棒ばね75との間に設けられた隙間G1(図11参照)、および幅方向Xにおいてローラー体74と内側搬送路構成部材66との間に設けられた隙間G2,G3(図10参照)によって、指Haと接触した部分が幅方向Xへ移動することによって傾く。この結果、傾いたローラー体74が備える環状円板72も傾き、環状円板72に設けられた突起部71は、使用者の指Haから離れる方向へ移動して、使用者の指Haとの当接を抑制する。
また、図17に示すように、本実施形態では、第1ローラー70において、使用者の指Haが突起部71に当接した場合でも、感じる痛みを和らげることが可能な形状の突起部71とされている。すなわち、第1ローラー70の環状円板72は、突起部71が周方向に等ピッチ間隔で複数設けられた2つの円板72A,72Bが、それぞれの突起部71が互いに周方向に半ピッチずれた状態で重ねられて形成されている。そして、突起部71は、2つの円板72A,72Bの重なり面側に頭頂点72Tを有し、重なり面側と反対側の面が頭頂点72Tから離れるにつれて周方向の幅が広がる湾曲面72Sとされた略四角すいの形状を有している。
このような突起部71の形状により、例えば図17において白抜きの矢印で示すように、幅方向Xに沿って移動する使用者の指Haは、まず突起部71の湾曲面72Sに当接する。その後、さらに使用者の指Haが幅方向Xに移動した場合は、突起部71の頭頂点72Tに当接することが起こり得るが、このような場合でも、1つの頭頂点72Tではなく複数の頭頂点72Tに当接する。したがって、突起部71への当接時の指Haに加わる力は分散し、使用者が感じる痛みを和らげることができる。
さて、プリンター11では、このように構成された第1ローラー70と第2ローラー80とを有するローラー対19A,19B,19Cによって挟持されて搬送される用紙Pに対する第1ローラー70の付勢力を調節する付勢力調節機構が備えられている。ここでは、一例として、ローラー対19A(図1参照)における第1ローラー70に採用した付勢力調節機構について、図を参照して説明する。
図18に示すように、本実施形態では、分岐機構27A(図1参照)の直後に位置するローラー対19Aに対して付勢力調節機構90が備えられている。この付勢力調節機構90が備えられたローラー対19Aの第1ローラー70は、内側搬送路構成部材66よりも分岐機構27A側の媒体搬送路であって、分岐搬送路24の重力側となる下側搬送路を構成する分岐搬送路構成部材68が保持部材とされ、他のローラー対19Bの第1ローラー70と同様な構成で取り付けられている。すなわち、第1ローラー70は、図12に示す構成と同様に、その突起部71が第2ローラー80の対向部81に接触(当接)し、棒ばね75は、図18においては不図示の溝部68c(図30参照)に挿入されたその両端部が保持されて撓んだ状態となって、分岐搬送路構成部材68に取り付けられている。
図19に示すように、付勢力調節機構90は、第1ローラー70が保持された分岐搬送路構成部材68(図18参照)の下側に位置し、媒体排出路25の鉛直方向Zにおける反重力側となる上側排出路を構成する媒体排出路構成部材69に組み込まれている。すなわち、付勢力調節機構90は、幅方向Xの両端部において、それぞれ搬送方向を長手方向とする矩形孔91とラック92が設けられた略C字形の平板93と、モーター軸にピニオン94が固定されたモーター95を備えている。平板93は、媒体排出路構成部材69の幅方向Xの両端部において、それぞれ幅方向Xと交差する搬送方向に所定の間隔を設けて取り付けられた2つピンPnが矩形孔91に挿入され、矩形孔91が2つのピンPnに案内されながら搬送方向に移動することによって、媒体排出路構成部材69において搬送方向に沿ってスライド移動可能とされている。そして、平板93は、その幅方向Xの両端に設けられたラック92が、それぞれモーター95のピニオン94と噛み合う状態となっており、モーター95の駆動によって回転するピニオン94の回転(回動)に伴って、搬送方向に沿ってスライド移動する。
平板93には、幅方向Xにおいてローラー体74の両側に位置するように所定の間隔を有し、搬送方向に沿って所定幅で延出する一対の延出部96が、分岐搬送路構成部材68に取り付けられた各第1ローラー70に対応して設けられている。なお、図19では、平板93の延出部96は第1ローラー70の棒ばね75から離れた状態にあり、この状態は、付勢力調節機構90において、後述する第1ローラー70の付勢力の調節処理(図21参照)が行われない状態を示している。
一方、図20に示すように、付勢力調節機構90において、モーター95の駆動によって回転するピニオン94の回転(回動)に伴って、搬送方向に沿ってスライド移動した場合、平板93に設けられた一対の延出部96が、ローラー体74の幅方向Xの両側を挟む位置であって、棒ばね75の上部に重なる位置に移動した状態となる。この状態は、付勢力調節機構90において、後述する第1ローラー70の付勢力の調節処理(図21参照)において付勢力の調節が行われた状態を示している。
次に、プリンター11に備えられた付勢力調節機構90の作用について説明する。
本実施形態のプリンター11では、付勢力調節機構90は、その作用として、用紙Pに発生するカールの程度(カール量)に応じて第1ローラー70の付勢力の調節処理を行う。この処理について、図を参照して説明する。
本実施形態のプリンター11では、付勢力調節機構90は、その作用として、用紙Pに発生するカールの程度(カール量)に応じて第1ローラー70の付勢力の調節処理を行う。この処理について、図を参照して説明する。
なお、用紙Pに発生するカール量は、印刷が行われる前の用紙Pの湿度に起因する。そこで、本実施形態では、印刷部14により印刷が行われる前の用紙Pが積層状態で載置される用紙カセット12cの空間内の相対湿度(以下、湿度)を計測する湿度計測部57が用紙カセット12c内に備えられている(図1参照)。用紙カセット12cの内部空間における湿度は、プリンター11の外部の湿度変化によって変化する。
また、この処理は、プリンター11の印刷動作を制御する制御部50が複数の機能を発揮することで行われる。制御部50は、所定のプログラムに従って、用紙Pに発生するカールの程度を予測し、その予測結果に応じて付勢力調節機構90の動作を適宜制御する。
すなわち、制御部50は、発生するカールの程度を判定するための判定領域を設定する判定領域設定部51と、設定された判定領域についての液量割合を用紙Pへ吐出されるインクの液量として算出する液量割合算出部(液量算出部)52と、用紙カセット12c内に載置される用紙Pの含水量を算出する含水量算出部53として機能する。また、用紙Pに発生するカールの程度(カール量)を予測する予測部54と、発生したカールの程度を判定する判定部55と、付勢力調節機構90を制御して第1ローラー70の付勢力を調節する付勢力調節部56としても機能する(図1参照)。なお、液量割合とは、印刷データが有する吐出データに基づいて印刷部14から吐出されるインクの、当該印刷部14から吐出可能なインクの最大液量(例えば、後述する判定領域としての分割領域を埋め尽くすのに必要な量)に対する液量割合である。
図21に示すように、この処理が開始されると、まずステップS1にて、印刷データからインクの吐出データ、印刷部14に向かって搬送される用紙Pのサイズ、用紙Pの搬送方向に対する向き、および用紙Pの種類、を取得する処理が行われる。ここで取得される用紙Pの搬送方向に対する向きとは、搬送方向に沿う用紙Pの長さが幅方向Xの長さよりも長い場合を「縦」とし、その逆の場合を「横」としたデータである。そして、制御部50は、ステップS1において、用紙Pのサイズと用紙Pの搬送方向に対する向きとを合わせた用紙Pの属性データ(例えばA4横)を取得する。
次にステップS2にて、制御部50は、取得した用紙Pのサイズと搬送方向に対する向き、すなわち用紙Pの属性データに応じて、記憶部に記憶された設定テーブルを参照して、印刷領域における分割領域を設定する。
図22と図23を参照して、ステップS2での処理について説明する。
図22に示すように、制御部50は印刷部14へ搬送される用紙Pの印刷領域E(図中網掛けした領域部分)を9つの分割領域R1〜R9に分割する。本実施形態では、印刷領域Eは、用紙Pの外周端として有する4つの側辺PE1〜PE4のうち、搬送方向(図中白抜き矢印)と交差する幅方向Xの両側においてそれぞれ位置する側辺PE1および側辺PE3から内側に寸法La入った位置が印刷領域Eの幅方向Xの両側の領域端Eaとされている。また、搬送方向の両側においてそれぞれ位置する側辺PE2および側辺PE4から内側に寸法Lb入った位置が印刷領域Eの搬送方向の両側の領域端Ebとされている。そして、印刷領域Eは、幅方向Xの領域端Ea間をそれぞれ寸法Lcの幅で帯状に3等分割されるとともに、搬送方向の領域端Eb間をそれぞれ寸法Ldの幅で帯状に3等分割される。
図22に示すように、制御部50は印刷部14へ搬送される用紙Pの印刷領域E(図中網掛けした領域部分)を9つの分割領域R1〜R9に分割する。本実施形態では、印刷領域Eは、用紙Pの外周端として有する4つの側辺PE1〜PE4のうち、搬送方向(図中白抜き矢印)と交差する幅方向Xの両側においてそれぞれ位置する側辺PE1および側辺PE3から内側に寸法La入った位置が印刷領域Eの幅方向Xの両側の領域端Eaとされている。また、搬送方向の両側においてそれぞれ位置する側辺PE2および側辺PE4から内側に寸法Lb入った位置が印刷領域Eの搬送方向の両側の領域端Ebとされている。そして、印刷領域Eは、幅方向Xの領域端Ea間をそれぞれ寸法Lcの幅で帯状に3等分割されるとともに、搬送方向の領域端Eb間をそれぞれ寸法Ldの幅で帯状に3等分割される。
この幅方向Xと搬送方向の双方の分割の結果、印刷領域Eは、図22に示すように、中央に位置する分割領域R5と、印刷領域Eの領域端に位置する複数の分割領域R1、R2、R3、R4、R6、R7、R8、R9の9つの矩形領域に分割される。このうち、分割領域R1、R3、R7、R9は、印刷領域Eにおいて、用紙Pの4つの側辺PE1〜PE4のうちの2つの側辺が繋がる用紙Pの角部PK1〜PK4に、それぞれ最も近い領域となる。
この4つの分割領域R1、R3、R7、R9は、当該分割領域間に位置し、印刷領域Eの隅を含まない4つの分割領域R2、R4、R6、R8とともに、印刷領域Eの縁に沿った周囲領域を形成する。そして、この周囲領域は、印刷領域Eにおいて用紙Pの各側辺PE1〜PE4から一定の距離内にある環状の帯領域を形成する。
図23に示すように、本実施形態では、記憶部に記憶された設定テーブルには、分割領域R1〜R9の分割位置を示す寸法La、Lb、Lc、Ldの値が、印刷部14へ搬送される用紙Pのサイズに応じて設定されている。ちなみに、図23に示す設定テーブルには、各用紙サイズに対して、寸法Laと寸法Lbの値として同じ値「3mm」が設定されている。したがって、本実施形態では、印刷部14に搬送される種々の用紙Pのそれぞれには、図22に示すように、印刷領域Eの外周に沿って、インクが付着しない非印刷領域となる同一幅の余白領域Wが設けられる。
なお、本実施形態において、寸法Laと寸法Lbの値として「0mm」が設定されてもよい。これは、例えば、用紙Pにおいてインクが付着しない非印刷領域となる同一幅の余白領域Wが設けられない所謂縁なし印刷が行われる場合に設定される。そして、この場合は、分割領域R1、R3、R7、R9は、用紙Pの角部PK1、PK2、PK4、PK3をそれぞれ含む領域となる。
また、本実施形態においては、用紙Pの搬送方向と交差する幅方向Xの寸法(用紙幅)に基づいて分割領域が設定される。すなわち、用紙Pが、その用紙幅が所定の長さよりも短い場合、および、その用紙幅が所定の長さであって搬送方向の寸法の方が幅方向Xの寸法よりも長い用紙サイズの場合は、寸法Lcおよび寸法Ldの値は、それぞれ、各分割領域R1〜R9が印刷領域Eを9等分に分割した領域になる値に設定されている。一方、その用紙幅が所定の長さ以上であって、搬送方向の寸法(用紙長さ)よりも長い用紙サイズの場合は、分割領域R1〜R4、R6〜R9の各領域が、中央に位置する分割領域R5の大きさに比べてそれぞれが小さい領域となるように、設定テーブルにおいて寸法Lcと寸法Ldの値が設定される。
ちなみに、本実施形態では、所定の長さとして「250mm」が設定されている。そして、用紙Pの幅方向Xの寸法が「250mm」よりも小さい場合、および、用紙Pの幅方向Xの寸法が「250mm」であって搬送方向の寸法の方が幅方向Xの寸法よりも大きい用紙サイズの場合は、寸法Lcの値は、用紙幅から余白領域Wを除いた寸法の三分の一の寸法に設定されている。また、寸法Ldの値は、用紙長さから余白領域Wを除いた寸法の三分の一の寸法に設定されている。一方、用紙Pの幅方向Xの寸法(用紙幅)が「250mm」以上であって搬送方向の寸法(用紙長さ)よりも大きい用紙サイズ「A4横」と「B5横」について、寸法Lcおよび寸法Ldの値として「12mm」が設定されている。
図21に戻り、次のステップS3にて、分割領域のうち、用紙Pの角部に最も近い端部領域を含む連続領域を判定領域として設定する処理が行われる。本実施形態では、角部PK1に最も近い分割領域R1、角部PK2に最も近い分割領域R3、角部PK3に最も近い分割領域R9、および角部PK4に最も近い分割領域R7が端部領域となる。したがって、このステップS3において、制御部50は、判定領域設定部51として機能し、複数(ここでは9つ)の分割領域のうち、端部領域を含む複数の分割領域が連続する連続領域を判定領域として設定する(判定領域設定ステップ)。
次に、ステップS4にて、インクの吐出データに基づいて、判定領域に吐出されるインクの液量割合を示す印刷デューティの平均値を算出する処理が行われる。ここでは、制御部50は液量割合算出部52として機能し、印刷データから取得したインクの吐出データに基づいて印刷部14から判定領域とされた複数の分割領域に吐出されるインクの液量を算出し、その上で当該印刷部14からその複数の分割領域に吐出可能なインクの最大液量に対する液量割合の平均値を算出する(液量割合算出ステップ)。すなわち、ここで算出される液量割合の平均値とは、各分割領域の液量割合を平均した値である。なお、インクの最大液量は、ここでは用紙Pに最大ドット数で最大のドットを形成する場合に印刷部14から吐出されるインクの液量である。
図24、図25を参照して、ステップS3、S4での処理について説明する。
図24に示すように、本実施形態では、判定領域は、端部領域である分割領域R1、R3、R7、R9と、この分割領域R1、R3、R7、R9のそれぞれに対して矩形の一辺が互いに線接触して用紙Pの各側辺PE1〜PE4に沿う方向において連続する1つの分割領域と、の2つ(複数)の分割領域で設定される。すなわち、本実施形態では、端部領域を含む2つの分割領域が連続する連続領域が判定領域とされ、図24においてハッチング領域で示すように、合計8つの判定領域HR1〜HR8が設定される。一例として、判定領域HR1は、角部PK1に最も近い端部領域である分割領域R1と、この分割領域R1に対して1つの側辺PE1に沿って連続する分割領域R2と、によって設定される。また、判定領域HR5は、角部PK1に最も近い端部領域である分割領域R1と、この分割領域R1に対して1つの側辺PE4に沿って連続する分割領域R4と、によって設定される。
図24に示すように、本実施形態では、判定領域は、端部領域である分割領域R1、R3、R7、R9と、この分割領域R1、R3、R7、R9のそれぞれに対して矩形の一辺が互いに線接触して用紙Pの各側辺PE1〜PE4に沿う方向において連続する1つの分割領域と、の2つ(複数)の分割領域で設定される。すなわち、本実施形態では、端部領域を含む2つの分割領域が連続する連続領域が判定領域とされ、図24においてハッチング領域で示すように、合計8つの判定領域HR1〜HR8が設定される。一例として、判定領域HR1は、角部PK1に最も近い端部領域である分割領域R1と、この分割領域R1に対して1つの側辺PE1に沿って連続する分割領域R2と、によって設定される。また、判定領域HR5は、角部PK1に最も近い端部領域である分割領域R1と、この分割領域R1に対して1つの側辺PE4に沿って連続する分割領域R4と、によって設定される。
本実施形態では、判定領域HR1、HR2、HR3、HR4は、搬送方向と交差する幅方向Xの両側においてそれぞれ位置する側辺PE1および側辺PE3から一定の距離内の領域であり、カールの発生との相関が強い領域とされている。また、例えば、判定領域HR1が側辺PE1に沿って角部PK1側から当該側辺PE1の中心C1を超えて存在するように、各判定領域HR1、HR2、HR3、HR4は、側辺PE1または側辺PE3に沿って角部PK1、PK4、PK2、PK3側からそれぞれ当該側辺PE1または側辺PE3の中心を超えて存在する。
同様に、判定領域HR5、HR6、HR7、HR8は、搬送方向の両側においてそれぞれ位置する側辺PE2および側辺PE4から一定の距離内の領域である。また、例えば、判定領域HR5が側辺PE4に沿って角部PK1側から当該側辺PE4の中心C4を超えて存在するように、各判定領域HR5、HR6、HR7、HR8は、側辺PE4または側辺PE2に沿って角部PK1、PK2、PK4、PK3側からそれぞれ当該側辺PE4または側辺PE2の中心を超えて存在する。
なお、本実施形態において、8つの判定領域を設定せず、4つの角部PK1〜PK4を含む4つの判定領域HR1、HR2、HR3、HR4か、もしくは4つの角部PK1〜PK4を含む4つの判定領域HR5、HR6、HR7、HR8か、のいずれかを設定するようにしてもよい。例えば、用紙Pの材料に含まれる繊維の並び方向に応じてカールの発生が異なる場合、カールしやすい側辺に沿って分割領域が連続するように設定された判定領域とすることが好ましい。
図25に示すように、本実施形態では、分割領域R1〜R9のうち、用紙Pの角部に近い領域ほどカールの発生との相関が強いことから、ステップS4での印刷デューティの平均値の算出処理に際して、実際に吐出されるインクの液量に対して、カールの発生との相関の強さに応じて重みづけを行う。すなわち、カールの発生との相関が強い用紙Pの角部PK1〜PK4に近い分割領域R1、R3、R7、R9は重みづけを「高」とし、角部PK1〜PK4から最も遠い分割領域R5は重みづけを「低」とする。そして、その他の分割領域R2、R4、R6、R8は重みづけを「中」とする。
例えば、「低」の重みづけの係数を「0」とした場合、判定領域HR1については、分割領域R1に吐出されるインクの液量に対して「高」の重みづけの係数として「2」を乗算し、分割領域R2に吐出されるインクの液量に対して「中」の重みづけの係数として「1」を乗算して、印刷デューティの平均値を算出する。ステップS4では、分割領域においてこのような重みづけの係数がそれぞれ吐出されるインクの液量に乗算され、8つの判定領域HR1〜HR8のそれぞれにおいて、印刷デューティの平均値が算出される。
図21に戻り、次のステップS5にて、印刷前の用紙Pの含水量を算出する処理が行われる。ここでは、制御部50は含水量算出部53として機能し、用紙Pの含水量を算出する。用紙カセット12cに設けられた湿度計測部57は、用紙Pが載置される用紙カセット12c内の湿度を用紙Pの湿度として計測する。そして、含水量算出部53は、湿度計測部57が計測する湿度を取得し、湿度計測部57により計測された湿度から用紙Pの含水量を算出する(含水量算出ステップ)。これにより、湿度計測部57と含水量算出部53は、含水量検出部として機能する。
ここで、湿度とカールの関係について説明する。
図26に示すグラフは、用紙Pとして使用される媒体の種類が普通紙である場合の、相対湿度に対する単位面積当たりの含水量を表したグラフである。ここで、普通紙とは、ファクシミリや複写機などで一般的に使用されている用紙のことを指す。
図26に示すグラフは、用紙Pとして使用される媒体の種類が普通紙である場合の、相対湿度に対する単位面積当たりの含水量を表したグラフである。ここで、普通紙とは、ファクシミリや複写機などで一般的に使用されている用紙のことを指す。
一般的に、紙に含まれる水の質量(含水量)は、相対湿度(relative humidity)によって値が異なることが知られている。図26に示すように、用紙Pは、周囲の環境の湿度に応じて含水量が異なることが分かる。周囲の湿度と紙の含水量との2つの値は、紙の吸湿性の違いから紙の種類によってそれぞれ異なった相関を示すが、図26に示すように、周囲の湿度の上昇に伴って紙の含水量も上昇するような比例関係にあることが一般的な性質である。本実施形態における記憶部は、図26に示すようなグラフで表される含水量テーブルを用紙Pの種類ごとに記憶していて、含水量算出部53は、含水量テーブルと湿度計測部57が計測する湿度の値とから、その用紙Pの含水量を算出する。用紙Pの種類とは、例えば、普通紙の他に、和紙や光沢紙などのことである。さらに、用紙Pの厚さも用紙Pの種類に含めても差し支えない。
図26に示すように、用紙Pの相対湿度が90%を超えたあたりから、用紙Pには約5mg/inch2もの水分が含まれていることが分かる。これは、用紙Pの印刷領域Eに対して最大液量のインクを吐出(ベタ印刷)する際のインクの液量とおよそ一致する量である。すなわち、湿度90%を超える環境におかれる用紙Pは相当な水分を含んでいることが窺い知れる。
インクを吐出した際に用紙Pに生じるカールは、インクが浸透したことで膨張した面(高膨張面)とインクが浸透していない面(低膨張面)との伸びの違い(伸縮差)の他に、高膨張面及び低膨張面の厚み、高膨張面及び低膨張面の縦弾性係数(ヤング率)、所謂紙の剛性によって決まることがバイメタルの考えから推察される。また、ここではデータによる説明は省略するが、用紙Pの伸びは周囲の湿度にあまり起因せず含水量の増し分(インクの吐出量)に起因すること、さらに、周囲の湿度がカールにもたらす要素は縦弾性係数であることが推察される。実際、紙の剛性は含水量によって変化することが分かっている。例えば、高湿度下にある紙は剛性が低い、つまりコシが弱い。逆に低湿度下にある紙は剛性が高い、つまりコシが強い。紙の剛性とは、すなわち湾曲のし難さを示すものであるから、吐出されるインクの液量が同じであっても、周囲の湿度の違いにより用紙Pに生じるカール量が変化する可能性は十分にある。
図27は、上述した判定領域設定ステップ及び液量割合算出ステップに基づいて実際に用紙Pに発生したカール量を測定する実験を行い、判定領域HR1〜HR8のそれぞれの印刷デューティの平均値のうち最も大きな平均値に対するプリンター11の処理性能を湿度ごとにプロットしたグラフである。縦軸であるスループット(packet per minutes)とは、1分間当たりの用紙Pの処理枚数のことを指していて、用紙Pに発生したカールの大きさが所定の値以下に収まるまでの時間を測定し、この時間からプリンター11が1分当たり何枚の用紙Pを処理できるかを算出している。例えば、スループットが30ppmであれば、プリンター11は用紙Pを1分当たり30枚処理するため、用紙Pに発生するカールの収まる時間は2.0秒となる。すなわち、図27に示すグラフは、用紙Pに吐出されるインクの液量とこれに伴って生じるカール量との関係を湿度ごとに表している。
図27に示すように、湿度が55%、35%及び15%の環境におかれた用紙Pにおいて、湿度の高い環境におかれた用紙Pの方が湿度の低い環境におかれた用紙Pよりもスループットの値が大きい。すなわち、湿度の高い環境におかれた用紙Pの方が、カールが収まり易い(カール量が小さい)ことが分かる。何れの湿度下でも印刷デューティが上昇するにつれ、カールが収まり難くなる(カール量が増す)が、湿度によってそれぞれ値が異なっていることは明らかである。したがって、用紙Pに発生するカールは、インクの吐出量だけでなく、用紙Pがおかれる周囲の湿度(用紙の含水量)にも起因するということがいえる。
ここで、図27に示すグラフに表されたプロット点にそれぞれ湿度ごとに近似曲線を引くと、近似曲線はそれぞれ相関が見られるものの、湿度ごとに異なるカーブを描いていることが分かる。つまり、印刷デューティの値(インクの吐出量)から用紙Pに発生するカール量を予測しようとすると、図27に示すような湿度ごとに印刷デューティとスループットとの関係を表すグラフのデータを記憶部が記憶していなければならないため、データ量が膨大となってしまう。そこで、本実施形態のプリンター11は、湿度と吐出されるインクの液量とで異なるカール量を表すグラフを1つにまとめるようにした。
具体的には、図27の横軸である印刷デューティに対し、[(湿度による用紙Pの含水量+インクの吐出量)/(湿度による用紙Pの含水量)]で算出される係数を掛け合わせて判定デューティとすると、湿度ごとのプロット点が1つの近似曲線上に精度良く乗る。
すなわち、図28に示すグラフのように、湿度とインクの吐出量とで異なる用紙Pのカール量を、判定デューティとスループットとの関係に置き換えることによって1つのグラフ(曲線)で表すことが可能となっている。これにより、用紙Pに発生するカール量(カールの程度)を、用紙Pの周囲の湿度(含水量)と用紙Pに吐出されるインクの液量とから予測することが可能となっている。例えば、スループットが高ければ発生するカールの程度が小さいことを示し、スループットが低ければ発生するカールの程度が大きいことを示す。
図21に戻り、次にステップS6にて、インクの吐出データ、印刷デューティの平均値及び用紙Pの含水量に基づいてカールの程度を予測する処理が行われる。この処理は、制御部50が予測部54として機能することによって行われる。
具体的に、予測部54は、判定領域HR1〜HR8のそれぞれの印刷デューティの平均値のうち最も大きな平均値に[(湿度による用紙Pの含水量+インクの吐出量)/(湿度による用紙Pの含水量)]を掛け合わせて、まず判定デューティを算出する。ここでのインクの吐出量とは、判定領域HR1〜HR8のそれぞれの印刷デューティの平均値のうち最も大きな平均値を有する判定領域に吐出されるインクの液量のことである。続いて、予測部54は、算出した判定デューティと、記憶部に予測テーブルとして記憶されるデータとに基づいてカールの程度、つまりカール量を予測する(予測ステップ)。
ここでの処理において、記憶部が有する予測テーブルとは、図28において実線の曲線で示すような、判定デューティとプリンター11のスループットとの関係を表すグラフで表されるデータのことであり、記憶部は用紙の種類ごとに予測テーブルを記憶している。すなわち、予測部54は、用紙Pの種類別に、吐出されるインクの液量と用紙Pの含水量とから、用紙Pのカール量を予測する。
次に、ステップS7にて、予測されたカール量(カールの程度)は閾値以上か否かの判定処理が行われる。この処理は、制御部50が判定部55として機能することによって行われる。ここでは、判定部55は、図28に示すグラフのデータ(予測テーブル)に基づいて、予測部54が算出した判定デューティの値に対応するスループットの値が、閾値として予め記憶部に設定(記憶)された値以下か否かを判定する(判定ステップ)。
本実施形態では、判定部55が判定するカール量(カールの程度)とは、後述のステップS8にて行う処理が必要なカール量か否かということである。ちなみに、ステップS7の判定ステップにおいて用いるスループットの閾値は、図28のグラフにおいて100ppmと予め設定され、判定デューティの値に置き換えると値「2」が閾値となる。
あるいは、図29に示すように、判定デューティとスループットとの関係から、判定デューティとカール量(カールの程度)との関係に置き換えたグラフが予測テーブルとして記憶部に記憶されていてもよい。そして、判定部55は、図29に示すグラフのデータ(予測テーブル)に基づいて、予測部54が算出した判定デューティの値に対応するカール量が、閾値として予め記憶部に設定(記憶)された値(例えば値CA1)以下か否かを判定するようにしてもよい。
このステップS7での判定処理の結果、算出された判定デューティに対応するスループットの値が、設定された閾値以下でなければ(ステップS7:NO)、発生したカールの程度は小さい、あるいはカールの発生がないと判定され、何もせずここでの処理を終了する。
一方、ステップS7での判定処理の結果、算出された判定デューティの値が、設定された閾値以上であれば(ステップS7:YES)、発生したカール量(カールの程度)が大きいと判定され、次のステップS8に移行して、ローラー対19Aにおける第1ローラー70の付勢力を調節する処理が行われ、ここでの処理が終了する。
図30と図31、および図19と図20を参照して、ステップS8の処理について説明する。
図30に示すように、媒体搬送路(媒体排出路25)を用紙Pが搬送される前のローラー対19Aにおいて、第1ローラー70は、棒ばね75の両端が溝部68cに保持され、第2ローラー80の対向部81に接触した突起部71によってローラー体74が第2ローラー80から離れるように押されて湾曲した状態となっている。この状態は、ステップS8での第1ローラー70の付勢力を調節する処理を行わない状態であり、図19に示すように、付勢力調節機構90において、平板93の延出部96が第1ローラー70の棒ばね75から離れた位置にある状態である。
図30に示すように、媒体搬送路(媒体排出路25)を用紙Pが搬送される前のローラー対19Aにおいて、第1ローラー70は、棒ばね75の両端が溝部68cに保持され、第2ローラー80の対向部81に接触した突起部71によってローラー体74が第2ローラー80から離れるように押されて湾曲した状態となっている。この状態は、ステップS8での第1ローラー70の付勢力を調節する処理を行わない状態であり、図19に示すように、付勢力調節機構90において、平板93の延出部96が第1ローラー70の棒ばね75から離れた位置にある状態である。
図31に示すように、ステップS8での処理が行われると、第1ローラー70の棒ばね75の両端が保持されている各溝部68cとローラー体74とのそれぞれの間に位置する棒ばね75部分に対して、その第2ローラー80側とは反対側に、付勢力調節機構90における平板93の延出部96が接触した状態となる。すなわち、ステップS8での処理においては、制御部50が付勢力調節部56として機能し、図20に示すように、モーター95を駆動制御してピニオン94を回転させる。このピニオン94の回転により、ピニオン94に噛み合うラック92が設けられた平板93が搬送方向に所定量スライド移動することによって、平板93に設けられた一対の延出部96が、幅方向Xにおいてローラー体74の両側を挟む位置であって、棒ばね75の上部に重なる位置に移動する。
平板93の延出部96がローラー体74の両側を挟む位置に移動することによって、図31に示すように、棒ばね75は、その軸方向の両端が、分岐搬送路構成部材68の溝部68cではなく、平板93の一対の延出部96によって保持される。この結果、第1ローラー70の突起部71が第2ローラー80との間に挟持して用紙Pを搬送する際(図13参照)、用紙Pから受ける力によって突起部71が第2ローラー80から離れるように移動する。この移動に際して、棒ばね75は、分岐搬送路構成部材68の2つの溝部68c間の間隔よりも狭い間隔を有する平板93の一対の延出部96によって保持(支持)される。
このように、2つの溝部68c間の間隔よりも狭い間隔を有する平板93の一対の延出部96によって保持(支持)される棒ばね75は2つの溝部68cで保持される場合よりも湾曲し難くなるので、第2ローラー80に対する第1ローラー70の付勢力が増加する。したがって、付勢力が増加した第1ローラー70の突起部71は、用紙Pを第2ローラー80の凹部とされた対向部81側に押し込んだ状態で搬送する状態となり、対向部81に押し込まれることによって生じる用紙Pのうねりを大きくすることができる。
なお、本実施形態では、この付勢力調節処理は、印刷される用紙P毎に行われる。すなわち、付勢力調節部56は、ステップS8の処理に続いて、次の用紙Pへの印刷開始までにモーター95を回転させ、図19に示すように、平板93の延出部96が第1ローラー70の棒ばね75から離れた状態に戻す。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)用紙Pを挟持して回転する第1ローラー70及び第2ローラー80において、凹んで形成された第2ローラー80の対向部81側に用紙Pが第1ローラー70によって付勢されることによって形成されるうねりの大きさを、発生したカールの程度に応じて調節できる。そのため、用紙Pに発生したカールをその搬送中において幅方向Xにおける複数のうねりによって吸収できる。したがって、印刷のスループットを低下させることなく、用紙Pに生じるカールを抑制して印刷品質の劣化を抑制できる。
(1)用紙Pを挟持して回転する第1ローラー70及び第2ローラー80において、凹んで形成された第2ローラー80の対向部81側に用紙Pが第1ローラー70によって付勢されることによって形成されるうねりの大きさを、発生したカールの程度に応じて調節できる。そのため、用紙Pに発生したカールをその搬送中において幅方向Xにおける複数のうねりによって吸収できる。したがって、印刷のスループットを低下させることなく、用紙Pに生じるカールを抑制して印刷品質の劣化を抑制できる。
(2)湿度計測部57は用紙カセット12c内に設けられているため、印刷部14により印刷が行われる前の、用紙カセット12cに収容されている用紙Pの湿度を計測することができる。したがって、印刷部14による印刷に伴って用紙Pに生じるカールの程度を精度良く予測できる。また、用紙Pの剛性の強さは、種類によって異なるため、用紙Pの種類に基づいて予測することでより精度の良い予測ができる。
(3)例えば、用紙Pの種類によっては同じ湿度であっても含水量が異なることがあり得るため、予測部54は用紙Pの種類に基づいてカールの程度を予測することで、より精度の良い予測ができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、付勢力調節部56は、予測部54が算出した判定デューティの値に対応するスループット(あるいはカール量)の値を、記憶部に予め設定(記憶)された複数の閾値と比較することによって、第1ローラー70の付勢力を複数の大きさに調節するようにしてもよい。
・上記実施形態において、付勢力調節部56は、予測部54が算出した判定デューティの値に対応するスループット(あるいはカール量)の値を、記憶部に予め設定(記憶)された複数の閾値と比較することによって、第1ローラー70の付勢力を複数の大きさに調節するようにしてもよい。
図32に示すように、本変形例では、付勢力調節機構90において平板93に設けられた一対の延出部96の各々の形状を、同一幅で延出する形状ではなく、互いの幅方向Xの間隔が延出先側に向かって広くなる先細形状とする。そして、モーター95のピニオン94の回転量を制御して、平板93の搬送方向への移動量を多段階で調節することによって、棒ばね75に接触する一対の延出部96間の距離、つまり棒ばね75を保持する部分の間隔Lxを多段階で調節する。
図29に示すように、例えば、カール量の閾値として、値CA1に加えて、値CA1より小さい値CA2と、値CA1より大きい値CA3が記憶部に記憶されているものとする。この場合、ステップS7での処理において、判定デューティに対応するカール量が値CA2以下か、値CA2より大きく値CA1以下か、値CA1より大きく値CA3以下か、値CA3より大きいか、のいずれの範囲であるかを判定する。そして、判定デューティに対応するカール量が値CA2以下の場合は何もせず処理を終了する。一方、判定デューティに対応するカール量が、値CA2より大きく値CA1以下か、値CA1より大きく値CA3以下か、値CA3より大きいか、のいずれかの範囲に含まれる場合、次のステップS8での処理において、そのカール量が含まれる範囲に応じた距離分、平板93を搬送方向へ移動させる。この結果、平板93は搬送方向への移動量が多段階で調節され、その移動量に応じて棒ばね75を保持する部分の間隔Lxが狭くなることによって、第1ローラー70の付勢力が複数の大きさに調節される。
・上記実施形態において、具体的な構造については図示しないが、付勢力調節機構90は、ばね材がコイル状に巻かれた棒ばね75を、その巻き方向に沿って捩ることによって付勢力を調節する構成であってもよい。あるいは、第1ローラー70の棒ばね75が保持される溝部66cと第2ローラー80のローラー軸85との間の距離を変えることによって付勢力を調節する構成であってもよい。
・上記実施形態において、予測部54は、必ずしも用紙Pの種類に基づいて用紙Pに生じるカールの程度を予測しなくてもよい。例えば、プリンター11において、搬送される用紙Pの種類が1種類である場合や、搬送される用紙Pの種類が複数であっても発生するカールの程度が同程度である場合は、用紙Pに生じるカールの程度を用紙Pの種類に基づいて予測しなくてもよい。
・上記実施形態において、必ずしも、湿度計測部57が用紙Pを収容する用紙カセット12c(収容部)に設けられなくてもよい。例えば、プリンター11が湿度変化の抑制された部屋に置かれている場合は、含水量検出部は、用紙カセット12cに収容される前記媒体の湿度を計測することなく、用紙Pの含水量を算出することが可能である。
・上記実施形態において、判定領域は、必ずしも用紙Pの全ての角部に設定されなくともよい。例えば、用紙Pにおいて略均一にインクを付着するベタ印刷などの場合、各角部の判定領域において判定デューティの値が同じになる。このような場合は、少なくとも1つの角部において判定領域が設定されればよい。
・上記実施形態において、印刷領域Eの分割数を多くしてもよいし、矩形状に分割されなくてもよい。
・上記実施形態において、用紙Pの種類は、制御部50が印刷データから取得する構成に限らない。例えば、プリンター11に操作部を設け、ユーザーが手動で用紙Pの種類に関する情報を入力する構成であってもよい。
・上記実施形態において、用紙Pの種類は、制御部50が印刷データから取得する構成に限らない。例えば、プリンター11に操作部を設け、ユーザーが手動で用紙Pの種類に関する情報を入力する構成であってもよい。
・上記実施形態において、用紙カセット12c内に設けられる湿度計測部57は、同時に温度も測定する温湿度センサであってもよい。用紙Pに発生するカールは温度にも少なからず影響されるため、温度に基づきカール量を予測することでより精度よくカール量を予測できる。
・上記実施形態において、含水量検出部は、湿度計測部57と含水量算出部53とから構成されるものに限らない。例えば、含水量センサを設けて用紙Pの含水量を直接測定する構成でもよい。あるいは、含水量検出部は、用紙Pの表面抵抗値で含水量を計測しても良い。
・上記実施形態において、予測テーブルは、図28のグラフに示すようなパラメーターの変化に対してカール量のリニアな予測ができるものに限らない。所定の湿度域で分けられた複数の予測テーブルに基づいてカール量を予測する構成でもよい。カール量の予測において、インクの吐出量の他に湿度を考慮することで、インクの吐出量だけに基づいてカール量の予測をするよりも、予測の精度は向上する。
・上記実施形態において、ローラー対19Bが用紙Pを挟持しない状態で、第1ローラー70は第2ローラー80の回転駆動に伴って回転する構成に限らず、第1ローラー70は用紙Pが挟持されるまでは駆動源(例えばモーター)から駆動力をもらって回転し、用紙Pを挟持して搬送する時には駆動力を切って自由回転する構成としても良い。こうすれば、第2ローラー80におけるローラー外周面82の周速と、第1ローラー70の突起部71の周速とを同じ速度に調節することが可能であり、この結果、用紙Pの搬送方向への移動速度の変化を抑制して用紙Pに印刷された画像に生じるバンディングの発生を抑制することができる。
・上記実施形態において、印刷部14は、用紙Pの幅方向Xの略全域に亘ってインクを吐出可能な液体吐出ヘッドを備える所謂ラインヘッドの構成に限らない。例えば、印刷部14は、用紙Pの搬送方向と交差する方向に往復移動するキャリッジにインクを吐出する液体吐出ヘッドを備える所謂シリアルヘッドの構成でもよい。あるいは、印刷部14は、媒体搬送路20における搬送経路のいずれかに、搬送される用紙Pの両面側において液体吐出ヘッドを備える構成であってもよい。
・上記実施形態において、予測部54は、用紙Pに吐出されるインクの液量割合と用紙Pの含水量とに基づいてカール量を予測する構成に限らない。例えば、単純に用紙Pに吐出されるインクの液量と用紙Pの含水量とからカール量を予測する構成であってもよい。
・上記実施形態において、含水量算出部53や予測部54などの各機能部は、制御部50により構成されるものに限らない。例えば、プリンター11と電気的に接続されるパーソナルコンピューターなどの外部装置に設けられていてもよい。
・上記実施形態において、各分割領域に設定される重みづけの係数は、上記の設定に限らない。例えば「高」を「1.3」、「中」を「1.2」、「低」を「1.1」、のように重みづけの係数は適宜変更されていてもよい。また、各分割領域に設定される重みづけの係数は、印刷部において行われる印刷が、片面が印刷済みの用紙Pの残る片面へ印刷する両面印刷か、片面印刷かに応じて、重みづけの係数を変更しても良い。例えば、片面印刷の方が両面印刷の場合よりもカールしやすい場合は、片面印刷の場合の重みづけ係数を、両面印刷の場合の重みづけ係数よりも大きくすることが好ましい。
・上記実施形態において、媒体は用紙Pに限らず、液体が付着することによってカールが発生するもの、すなわち液体の付着によって伸縮する材料を含んで形成された薄い板材などでもよい。
・上記実施形態において、印刷に用いられる液体は、インク以外の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して吐出できる固体を含むもの)であってもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を吐出して記録を行う構成にしてもよい。
・上記実施形態において、液体吐出装置としてのプリンター11は、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を吐出する流状体吐出装置であってもよい。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体などが含まれる。
11…プリンター(液体吐出装置)、12…筐体、12a…挿入口、12b…ホッパー、12c…用紙カセット(収容部)、12d…筐体の一部、12F…カバー、13…支持台、14…印刷部、15…整列ローラー対、16a…ピックアップローラー、16b…分離ローラー対、17…紙送りローラー対、18…排紙ローラー対、19…搬送ローラー対、19A,19B,19C…ローラー対、20…媒体搬送路、21…第1媒体供給路、22…第2媒体供給路、23…第3媒体供給路、24…分岐搬送路、25…媒体排出路、25A…分岐媒体排出路、26…媒体排出口、27A,27B…分岐機構、29…処理用搬送路、41a…第1駆動ローラー、41b…第1従動ローラー、42a…第2駆動ローラー、42b…第2従動ローラー、43a…第3駆動ローラー、43b…第3従動ローラー、44…分岐搬送路ローラー対、50…制御部、51…判定領域設定部、52…液量割合算出部(液量算出部)、53…含水量算出部、54…予測部、55…判定部、56…付勢力調節部、57…湿度計測部、60…載置台、61…載置面、65…搬送ユニット、70…第1ローラー、71…突起部、80…第2ローラー、81…対向部、82…ローラー外周面、E…印刷領域、P,PA…用紙、X…幅方向、Z…鉛直方向。
Claims (3)
- 媒体の印刷領域に液体を吐出することで印刷を行う印刷部と、
前記印刷部から前記媒体へ吐出する前記液体の吐出データに基づいて前記媒体へ吐出される前記液体の液量を算出する液量算出部と、
前記媒体の含水量を検出する含水量検出部と、
前記液量算出部により算出される前記液体の液量と前記含水量検出部により検出される前記媒体の含水量とから前記媒体に生じるカールの程度を予測する予測部と、
前記媒体が搬送される媒体搬送路において前記媒体の搬送方向と交差する幅方向に複数設けられた第1ローラーと、
前記第1ローラーと対向する対向部がローラー外周面において環状に凹んで形成され、前記第1ローラーが前記媒体を前記対向部側に付勢した状態において前記媒体を前記第1ローラーとの間で挟持して回転することによって前記媒体を搬送する第2ローラーと、
前記予測部により予測された前記カールの程度に応じて、前記第2ローラーとの間で挟持する前記媒体を前記第2ローラーの前記対向部側に付勢する前記第1ローラーの付勢力を調節する付勢力調節部と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。 - 前記印刷部により印刷が行われる前の前記媒体を収容する収容部を備え、
前記含水量検出部は前記媒体の湿度を計測する湿度計測部と前記湿度計測部が計測した湿度に基づいて前記媒体の含水量を算出する含水量算出部とを含んで構成され、
前記湿度計測部は前記収容部に設けられるとともに前記収容部に収容される前記媒体の湿度を計測することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記予測部は、前記媒体の種類に基づいて前記媒体に生じるカールの程度を予測することを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
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