以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。また、以下の各実施形態で示す数値や形状等は、一例であって特に限定されるものではない。
[第1実施形態]
まず図1を参照して、第1実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成を説明する。図1は、インクジェット記録装置1の構成を示す図である。詳しくは、図1は、用紙P(シートの一例)への画像の記録時におけるインクジェット記録装置1を示している。インクジェット記録装置1はインク滴を吐出して、用紙Pに画像を記録する。
インクジェット記録装置1は、装置筐体100と、給紙部2と、第1用紙搬送路3と、第1搬送部4と、記録部5と、第2搬送部6と、第2用紙搬送路7と、分岐部材8と、用紙反転部9(シート反転部の一例)と、排出トレイ10と、ワイピングユニット11と、制御部12とを備える。
給紙部2は、用紙Pを第1用紙搬送路3へ給紙する。給紙部2は、装置筐体100に着脱自在の給紙カセット21を備える。また、給紙部2は、給紙ローラー22を備える。給紙ローラー22は給紙カセット21の一端側に配置される。
給紙カセット21は、複数枚の用紙Pを収納可能である。給紙ローラー22(ピックアップローラー)は、用紙Pを給紙カセット21から1枚ずつ取り出し、第1用紙搬送路3へ向けて送る。
第1用紙搬送路3は、用紙Pを第1搬送部4へ案内する。インクジェット記録装置1は、第1用紙搬送路3に沿って設けられた複数の搬送ローラー対31を備える。更にインクジェット記録装置1は、第1用紙搬送路3の最下流の箇所に設けられたレジストローラー対32を備える。給紙部2から給紙された用紙Pは、第1用紙搬送路3及び複数の搬送ローラー対31によって、レジストローラー対32へ向けて送られる。
レジストローラー対32は、用紙Pの斜行補正を行う。また、レジストローラー対32は、用紙Pへの画像の記録タイミングと、第1搬送部4への用紙Pの搬送タイミングとを同期させるために、用紙Pを一時的に停止させた後、画像記録タイミングに合わせて第1搬送部4へ向けて用紙Pを送出する。具体的には、用紙Pがレジストローラー対32に当接して停止する。この当接により、用紙Pの斜行補正が行われる。その後、レジストローラー対32が、画像記録タイミングに合わせて第1搬送部4へ向けて用紙Pを送出する。
第1搬送部4は、用紙Pへの画像の記録時に、記録部5の直下に位置する。第1搬送部4は、レジストローラー対32から送出された用紙Pを、第2搬送部6へ向けて搬送する。
第1搬送部4は、第1搬送ベルト410を備える。第1搬送ベルト410は無端ベルトである。レジストローラー対32が送出した用紙Pは、第1搬送ベルト410上に導かれる。第1搬送部4は、用紙Pを第1搬送ベルト410に吸着させる。これにより、第1搬送ベルト410が用紙Pを保持する。また、第1搬送部4は、第1搬送ベルト410を所定の回転方向(図1では反時計回り方向)に回転させる。第1搬送ベルト410が回転することにより、用紙Pが矢印X1で示す方向(副走査方向)へ搬送される。以下、第1搬送部4(第1搬送ベルト410)によって用紙Pが搬送される方向を、用紙搬送方向X1と記載する。
記録部5は、第1搬送部4が搬送している用紙Pへ向けてインク滴を吐出して、用紙Pに画像を記録する。記録部5は、ラインヘッド51Bk、51C、51M、及び51Yを備える。ラインヘッド51Bkはブラック色のインク滴を吐出する。ラインヘッド51Cはシアン色のインク滴を吐出する。ラインヘッド51Mはマゼンタ色のインク滴を吐出する。ラインヘッド51Yはイエロー色のインク滴を吐出する。ラインヘッド51Bk、51C、51M、及び51Yは、略同一の構成を有するため、ラインヘッド51と総称することもある。
ラインヘッド51は、第1搬送部4(第1搬送ベルト410)が用紙Pを搬送している間に、用紙Pへ向けてインク滴を吐出して、用紙Pに画像を記録する。詳しくは、ラインヘッド51は、ラインヘッド51に対向する位置を通過する用紙Pへ向けてインク滴を吐出する。これにより、用紙Pに文字、図形のような画像が記録される。
第2搬送部6は、第1搬送部4から送出された用紙Pを、第2用紙搬送路7へ向けて搬送する。第2搬送部6は、第2搬送ベルト610を備える。第2搬送ベルト610は無端ベルトである。第1搬送部4から送出された用紙Pは、第2搬送ベルト610上に導かれる。第2搬送部6は、用紙Pを第2搬送ベルト610に吸着させる。これにより、第2搬送ベルト610が用紙Pを保持する。また、第2搬送部6は、第2搬送ベルト610を所定の回転方向(図1では反時計回り方向)に回転させる。第2搬送ベルト610が回転することにより、用紙Pが第2用紙搬送路7へ向けて搬送される。
第2用紙搬送路7は、装置筐体100に形成された排出口101へ向けて用紙Pを案内する。インクジェット記録装置1は、第2用紙搬送路7に沿って設けられた複数の搬送ローラー対71を備える。用紙Pへの画像の記録が完了すると、第2搬送部6から送出された用紙Pは、第2用紙搬送路7及び複数の搬送ローラー対71によって、排出口101へ向けて送られる。排出口101は、装置筐体100の一方側面(図1では左側面)に形成されている。
分岐部材8は、第2用紙搬送路7の経路の途中に設けられている。分岐部材8は、回動可能に支持される。分岐部材8の回動によって用紙Pの搬送先が排出口101と用紙反転部9との間で切り替えられる。具体的には、用紙Pの両面に画像が記録される場合において、片面に画像が記録された用紙Pが、用紙反転部9へ導かれる。
用紙反転部9は、分岐部材8によって用紙反転部9へ導かれた用紙Pの搬送方向を反転させる。具体的には、用紙反転部9は、用紙Pを搬送するための複数の搬送ローラー対91を備える。また、用紙反転部9は、用紙Pの搬送方向を反転させるためのスイッチバック部92を備える。
用紙反転部9は、まず、用紙Pをスイッチバック部92へ送る。次に、用紙反転部9は、用紙Pがスイッチバック部92に進入する方向とは反対方向へ用紙Pを送って、用紙Pをスイッチバック部92から退出させる。これにより、用紙Pの搬送方向が反転する。その後、用紙反転部9は、搬送方向が反転された後の用紙Pを、第1用紙搬送路3に送出する。本実施形態では、用紙反転部9の下流端が、レジストローラー対32の手前で第1用紙搬送路3に合流している。斯かる構成によれば、用紙Pの第1面に画像を記録した後に、第1面とは反対側の用紙Pの第2面に画像を記録することができる。
排出トレイ10は、装置筐体100の一方側面(図1では左側面)に固定されている。排出口101を介して装置筐体100の外部へ排出された用紙Pは、排出トレイ10上に載置される。
ワイピングユニット11は、用紙Pへの画像の記録時に、第2搬送部6の下方に位置する。ワイピングユニット11は、複数のワイプブレード111を備える。ワイプブレード111は、ラインヘッド51のノズル面51aを清掃するためのクリーニング部材である。ラインヘッド51のノズル面51aは、用紙Pへの画像の記録時に第1搬送部4(第1搬送ベルト410)に対向する。ノズル面51aには、インク滴を吐出する複数のノズル孔(不図示)が形成されている。ワイピングユニット11は、ワイプ動作の実行時に記録部5の直下に移動して、ワイプブレード111によってノズル面51aを払拭(ワイプ又はワイピング)する。これにより、ノズル面51aが清掃される。
制御部12は、メモリー121を有する。メモリー121には、プログラムや設定情報などが記憶される。メモリー121は、HDD(Hard Disk Drive)が備える磁気ディスク、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等で構成される。制御部12は、メモリー121に予め記憶されたプログラムを実行することにより、インクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。
続いて図2を参照して、ラインヘッド51の構成について説明する。図2は、図1に示す第1搬送部4及び記録部5を上方から見た平面図である。図2に示すように、ラインヘッド51Bk、51C、51M、51Yは、用紙搬送方向X1の上流側から下流側に向けて(図2では左向きに)並設される。
各ラインヘッド51Bk、51C、51M、51Yはそれぞれ、第1記録ヘッド55a、第2記録ヘッド55b、及び第3記録ヘッド55cによって構成される。第1記録ヘッド55a、第2記録ヘッド55b、及び第3記録ヘッド55cは、用紙搬送方向X1に直交する方向X2に沿って千鳥状に配列される。以下、用紙搬送方向X1に直交する方向X2を、幅方向X2と記載する。また、第1記録ヘッド55a、第2記録ヘッド55b、及び第3記録ヘッド55cは、略同一の構成を有するため、記録ヘッド55と総称することがある。
記録ヘッド55には、図1を参照して説明したノズル面51aが形成されている。記録ヘッド55は、第1搬送ベルト410によって搬送される用紙Pに対して、印字位置に対応したノズル孔からインク滴を吐出する。これにより、用紙Pに文字、図形のような画像が記録される。
続いて図3を参照して、第1搬送ベルト410について説明する。図3は、図1に示す第1搬送ベルト410を上方から見た平面図である。図3に示すように、第1搬送ベルト410には複数の吸引孔411が穿孔されている。複数の吸引孔411は、用紙搬送方向X1、及び幅方向X2に沿って配列される。複数の吸引孔411は、図3に示すように、千鳥状に配置され得る。
続いて、図1〜図4を参照して、第1搬送部4及び記録部5について説明する。図4は、図1に示す第1搬送部4及び記録部5の構成を示す図である。図4は、理解を容易にするために、第1搬送部4の一部の断面を示している。
記録部5は、ラインヘッド51(記録ヘッド55)に加えて、ヘッドベース52を更に備える。ヘッドベース52は、各ラインヘッド51(各記録ヘッド55)を支持する。
第1搬送部4は、用紙Pへの画像の記録時に、ラインヘッド51に対向する。第1搬送部4は、第1搬送ベルト410の内周側に配置された駆動ローラー412、ベルト速度検知ローラー413、テンションローラー414、及び一対のガイドローラー415を備える。第1搬送部4は更に、第1搬送ベルト410の外周側に配置された吸着ローラー416を備える。また、第1搬送部4は、搬送板42(ガイド部材の一例)と、吸引部43とを備える。
第1搬送ベルト410は、駆動ローラー412、ベルト速度検知ローラー413、テンションローラー414、及び一対のガイドローラー415に張架される。張架された第1搬送ベルト410の内周側に、搬送板42及び吸引部43が配置される。搬送板42は、用紙Pへの画像の記録時に、第1搬送ベルト410を介してラインヘッド51に対向する。吸引部43は、第1搬送ベルト410の内周側において、搬送板42の下方に配置される。
駆動ローラー412は、用紙搬送方向X1に対して搬送板42よりも下流側(図4では左側)に配置される。駆動ローラー412はモーター(図示せず)によって回転駆動され、所定の回転方向(図4では反時計回り方向)に第1搬送ベルト410を回転させる。第1搬送ベルト410が回転することにより、用紙Pが用紙搬送方向X1に搬送される。
ベルト速度検知ローラー413は、用紙搬送方向X1に対して搬送板42よりも上流側(図4では右側)に配置され、第1搬送ベルト410との間に発生する摩擦によって回転する。好ましくは、ベルト速度検知ローラー413は、駆動ローラー412と共に、ラインヘッド51と対面する箇所の第1搬送ベルト410の平面性を維持するように配置される。
ベルト速度検知ローラー413はパルス板(図示せず)を含み、パルス板は、ベルト速度検知ローラー413と一体になって回転する。パルス板の回転速度を測定することにより、第1搬送ベルト410の回転速度が検知される。
テンションローラー414は、第1搬送ベルト410が撓まないように、第1搬送ベルト410に張力を与える。一対のガイドローラー415は、第1搬送ベルト410が吸引部43の下方を通過するように、第1搬送ベルト410を案内する。
吸着ローラー416は従動ローラーである。吸着ローラー416は、用紙搬送方向X1における搬送板42の上流側の端部に、第1搬送ベルト410を介して対向する。吸着ローラー416は、レジストローラー対32(図1参照)が送出した用紙Pを第1搬送ベルト410上へ誘導して、第1搬送ベルト410に吸着させる。
搬送板42は、第1搬送ベルト410を支持すると共に、第1搬送ベルト410を介して用紙Pを支持する。搬送板42は、第1搬送部4(第1搬送ベルト410)が搬送する用紙Pを、用紙搬送方向X1へ案内する。搬送板42は、用紙搬送方向X1及び幅方向X2に沿って配列された複数の溝421を有する。各溝421は、用紙搬送方向X1に延びている。また、各溝421は、記録部5側(第1搬送ベルト410側)の面が開口しており、第1搬送ベルト410の吸引孔411(図3参照)と連通する。
更に搬送板42は、用紙搬送方向X1及び幅方向X2に沿って配列された複数の貫通孔422を有する。複数の貫通孔422は、複数の溝421に対応して設けられており、各貫通孔422の記録部5側(第1搬送ベルト410側)の端面は、対応する溝421の内面(底面)に開口している。したがって、各貫通孔422は、対応する溝421を介して第1搬送ベルト410の吸引孔411と連通する。一方、各貫通孔422の吸引部43側の端面は、搬送板42の下面に開口している。
吸引部43は、吸引力を発生させて、用紙Pを第1搬送ベルト410へ向けて吸引する。詳しくは、吸引部43は、搬送板42の溝421及び貫通孔422と、第1搬送ベルト410の吸引孔411とを介して、第1搬送ベルト410の上方の空間から空気を吸引する。この吸引により、搬送板42の上方の空間に吸引部43へ向かう風(吸引風)が発生する。用紙Pが第1搬送ベルト410上に案内されて第1搬送ベルト410の一部を覆うと、用紙Pに吸引力(負圧)が作用して、用紙Pが第1搬送ベルト410に吸着される。
吸引部43は、上面が開口した箱状部材431と、吸引装置432と、ダクト433とを備える。搬送板42は、箱状部材431の上面開口を覆うように配置される。搬送板42と箱状部材431とにより、圧力室434が区画される。圧力室434は、搬送板42の貫通孔422及び溝421を介して、第1搬送ベルト410の吸引孔411に連通する。
吸引装置432は、箱状部材431の下面に固定される。詳しくは、箱状部材431の底壁に開口435が形成されている。吸引装置432は開口435に対応して配置される。また、吸引装置432にはダクト433が接続されている。吸引装置432は、ファンである。但し、吸引装置432はファンに限定されるものではなく、例えば真空ポンプであってもよい。
吸引装置432が駆動することによって、圧力室434内に負圧が発生する。この負圧により、貫通孔422を介して溝421に吸引力が発生し、溝421を介して第1搬送ベルト410の吸引孔411に吸引力が発生する。その結果、第1搬送ベルト410の吸引孔411と、搬送板42の溝421及び貫通孔422とを介して、圧力室434内に空気が吸引される。圧力室434内に吸引された空気は、吸引装置432及びダクト433を介して排気される。また、用紙Pが第1搬送ベルト410上に案内されて、複数の吸引孔411のうちの一部を塞ぐと、用紙Pによって塞がれた吸引孔411から用紙Pに吸引力(負圧)が作用して、用紙Pが第1搬送ベルト410に吸着される。
続いて図5及び図6を参照して、搬送板42について説明する。図5は、図4に示す搬送板42を上方から見た平面図である。詳しくは、図5は、搬送板42のラインヘッド51側の面420の一部を示す。以下、搬送板42のラインヘッド51側の面420を支持面420と記載する。搬送板42は支持面420により、第1搬送ベルト410介して用紙Pを支持する。
図5に示すように、支持面420に複数の溝421が形成されている。各溝421は、ラインヘッド51側が開口する長溝である。詳しくは、各溝421の形状は、用紙搬送方向X1に延伸する長円状である。
複数の溝421は、用紙搬送方向X1及び幅方向X2に沿って配列される。複数の溝421は、図5に示すように、千鳥状に配置され得る。詳しくは、複数の溝421は、第1搬送ベルト410の吸引孔411(図3参照)と対向し得る位置に配列される。つまり複数の溝421は、吸引孔411と連通できる位置に配列される。この配列により、第1搬送ベルト410の進行(回転)に伴って、各溝421に対向する吸引孔411が1つずつ入れ替わってゆく。各溝421は、少なくとも2つの吸引孔411と対向し得るように形成される。
また、各溝421内に1つの貫通孔422が位置する。各貫通孔422は、対応する溝421に連通する。複数の貫通孔422は、図5に示すように、千鳥状に配置され得る。
図6(a)は、図4に示す溝421及び貫通孔422の平面図であり、図6(b)は、図6(a)に示すA−A線に沿った溝421及び貫通孔422の断面図である。図6(b)に示すように、貫通孔422は、搬送板42をその厚み方向に貫通しており、貫通孔422の一方端は、対応する溝421内に開口する。
続いて図7を参照して、記録ヘッド55にインクを供給するインク供給機構500について説明する。図7は、インク供給機構500の構成を示す図である。詳しくは、図7は、任意の1色に対応するインク供給機構500を示している。図1に示すインクジェット記録装置1は、ブラック色、シアン色、マゼンタ色、及びイエロー色の各色ごとに、図7に示すインク供給機構500を備える。
図7に示すように、インク供給機構500は、インクタンク501、及びポンプ機構502を備える。また、インク供給機構500は、インクタンク501とポンプ機構502とを接続する第1流路503、及び、ポンプ機構502と記録ヘッド55とを接続する第2流路504を備える。更にインク供給機構500は、第1流路503に設けられる第1電磁弁505(流入側切り替え弁の一例)と、第2流路504に設けられる第2電磁弁506(流出側切り替え弁の一例)とを備える。
なお、第2流路504は、図2を参照して説明した第1記録ヘッド55a、第2記録ヘッド55b、及び第3記録ヘッド55cの各々とポンプ機構502とを接続する。但し、図7には、理解を容易にするために、第1記録ヘッド55a、第2記録ヘッド55b、及び第3記録ヘッド55cのうちの任意の1つを示している。
インクタンク501は、任意の1色のインク511を収容する。本実施形態では、インク511は水性インクである。このため、用紙Pの一方の面に画像が記録されると、インクに含まれる水に湿潤して用紙Pの一方の面(画像記録面)が伸長し、用紙Pの一部がカールする可能性がある。
ポンプ機構502は、中空形状のシリンダー521と、ピストン522とを備える。シリンダー521の中空部分に、ピストン522の一部が挿入される。ピストン522は駆動装置(不図示)により、シリンダー521の長手方向に移動することができる。
第1流路503の一方端は、インクタンク501に接続されており、第1流路503の他方端は、シリンダー521の底部に形成されているインク流入口に接続されている。第2流路504の一方端は、シリンダー521の底部に形成されているインク流出口に接続されており、第2流路504の他方端は、記録ヘッド55の内部に形成された微細流路551の流入口に接続されている。
記録ヘッド55はノズル面51aを有し、ノズル面51aには、幅方向X2に配列された複数のノズル孔51bが形成されている。各ノズル孔51bは微細流路551に連通している。
用紙Pへの画像の記録時には、シリンダー521内にインク511が収容される。また、第1電磁弁505及び第2電磁弁506が共に開いた状態となり、ピストン522は予め設定された位置で停止している。記録ヘッド55(ノズル孔51b)からインク滴が吐出されると、毛細管現象によって記録ヘッド55の微細流路551にシリンダー521からインク511が供給される。なお、シリンダー521内にインク511を収容する際には、第1電磁弁505が開き、第2電磁弁506が閉じた状態で、ポンプ機構502が備えるピストン522が引き動作を行う。これにより、インクタンク501に収容されているインク511が、第1流路503を介して、ポンプ機構502が備えるシリンダー521内に引き込まれる。
またインク供給機構500は、パージ動作の実行時に作動する。インク供給機構500の動作は、図1に示す制御部12によって制御される。パージ動作の実行時には、シリンダー521内にインク511が収容される。また、第1電磁弁505が閉じ、第2電磁弁506が開いた状態となり、ピストン522が押し動作を行う。この結果、シリンダー521内に収容されているインク511が、第2流路504を介して微細流路551へ供給され、ノズル孔51bからインク511(パージインク)が強制的に押し出される(パージされる)。このパージ動作により、気泡や、増粘したインク511、紙粉のような異物が、記録ヘッド55の外部へ押し出される。気泡や、増粘したインク511、紙粉のような異物は、不吐出ノズルの発生原因となる。
続いて図8及び図9を参照して、ワイピングユニット11について説明する。図8は、ワイピングユニット11の動作を示す図である。ワイピングユニット11の動作は、図1に示す制御部12によって制御される。
図8に示すように、ワイピングユニット11は、ワイプ動作の実行時にラインヘッド51の直下に移動する。ワイピングユニット11は、ラインヘッド51Bk、51C、51M、51Yごとに、3つのワイプブレード111を備えている。3つのワイプブレード111は、図2を参照して説明した第1記録ヘッド55a、第2記録ヘッド55b、及び第3記録ヘッド55cに対応するように配置される。
図9は、ワイプブレード111の動作を示す図である。ワイプブレード111の動作は、図1に示す制御部12によって制御される。ラインヘッド51(記録ヘッド)のメンテナンス時には、まず、図7を参照して説明したパージ動作が実行される。その結果、図9(a)に示すように、記録ヘッド55のノズル孔51bから押し出されたパージインク511aの一部が、ノズル面51aに残留する。その後、ワイプ動作が実行される。
ワイプ動作の実行時には、図9(a)に示すように、ワイプブレード111が、記録ヘッド55のノズル面51aに押し当てられる。詳しくは、幅方向X2におけるノズル面51aの一方の端(図9では右側の端)に、対応するワイプブレード111が押し当てられる。次いで、図9(a)及び図9(b)に示すように、ワイプブレード111が、ノズル面51aに押し当てられた状態で、矢印D1で示す方向(図9では左方向)へ移動する。ワイプブレード111のこの移動により、ノズル面51aに残留していたパージインク511aが、ワイプブレード111によって拭き取られて、ノズル面51aからワイプブレード111に沿って流下する。
続いて図10を参照して、図1に示す制御部12について説明する。図10は、第1実施形態に係る制御部12の構成を示す図である。図10に示すように、制御部12は、メモリー121に予め記憶されたプログラムを実行することにより、吸引力制御部122、カール量算出部123a、計数部124、及びメンテナンス制御部125を有するように機能する。
吸引力制御部122は、図4を参照して説明した吸引部43が発生させる吸引力を制御する。詳しくは、図1に示す給紙カセット21に収納される用紙Pはカールしている可能性があり、そのカールの量(カール量)の予測範囲が、用紙Pの製品仕様に示されている。吸引力制御部122は、カール量の予測範囲の最大値に応じて、吸引部43が発生させる吸引力を変化させる。これにより、給紙カセット21から給紙される用紙Pがカールしていても、図1に示す第1搬送ベルト410に用紙Pを確実に吸着させて、ジャムの発生を抑制することができる。
本実施形態では、吸引力制御部122は、図4を参照して説明した吸引装置432の動作を制御する。本実施形態における吸引装置432はファンである。したがって、吸引力の制御は、例えばファンの回転数を制御することにより実現できる。
本実施形態では、メモリー121が第1テーブル126を記憶している。第1テーブル126は、給紙カセット21に収納可能な用紙Pごとに、カール量の予測範囲の最大値に応じた吸引力を規定している。即ち、第1テーブル126には、給紙カセット21に収納された用紙Pのカール量が予測範囲の最大値であっても、第1搬送ベルト410に用紙Pを確実に吸着させることができる吸引力が設定される。吸引力制御部122は、給紙カセット21から給紙される用紙Pを特定する情報と、第1テーブル126とを参照して、吸引力を決定する。
なお、同じカール量であっても、用紙Pの紙種(材料)、坪量(単位面積当たりの質量)、又はサイズが異なると、用紙Pの剛度(こわさ、腰)が異なるため、第1搬送ベルト410に用紙Pを確実に吸着させるために必要な吸引力も異なる。したがって、第1テーブル126には、好ましくは、カール量の予測範囲に応じた吸引力を、用紙Pの紙種、坪量、及びサイズのうちの少なくとも1つに基づいて補正した値が設定される。これにより、第1搬送ベルト410に用紙Pをより確実に吸着させることが可能となる。よって、ジャムの発生をより抑制することが可能となる。
また、記録ヘッド55の下方における吸引力が大きくなると、記録ヘッド55の下方で発生する吸引風の風速が大きくなる。このため、用紙Pに付着している紙粉のような異物が舞い上がってノズル孔に付着し易くなる。その結果、不吐出ノズルが発生し易くなる。したがって、第1テーブル126に設定する吸引力は、第1搬送ベルト410に用紙Pを確実に吸着させることができる吸引力のうち最も値が低い吸引力(吸引力の下限値)とすることが好ましい。これにより、不吐出ノズルの発生を抑制することができる。
続いて、用紙Pの両面に画像が記録される際に吸引部43に発生させる吸引力について説明する。図7を参照して説明したように、本実施形態ではインク511が水系インクであるため、用紙Pの一方の面(第1面)に画像が記録されると、インクに含まれる水に湿潤して用紙Pの一方の面が伸長し、用紙Pの一部がカールする可能性がある。したがって、用紙Pの両面に画像が記録される場合、用紙Pの第1面に画像が記録された後、第1面とは反対側の用紙Pの第2面に画像が記録される際に、用紙Pのカールした部分が記録ヘッド55に衝突してジャムが発生するおそれがある。
この問題を解決するために、本実施形態の吸引力制御部122は、用紙反転部9によって搬送方向が反転させられた後の用紙Pを第1搬送ベルト410が搬送する際に、吸引部43が発生させる吸引力を変化させる。具体的には、吸引力制御部122は、用紙Pの第1面への画像の記録が行われた後、用紙Pの第2面に画像が記録される際に、吸引部43が発生させる吸引力を、用紙Pの第1面への画像の記録時に吸引部43が発生させた吸引力よりも大きくする。これにより、用紙Pの第1面が伸長して用紙Pの一部がカールした場合でも、用紙Pの第2面に画像が記録される際に、第1搬送ベルト410に用紙Pを確実に吸着させて、ジャムの発生を抑制することができる。
また、用紙Pの第1面への画像の記録に起因して発生するカールの量(カール量)は、用紙Pの第1面に記録される画像の印字率に基づいて算出することができる。第1実施形態では、図10に示すカール量算出部123aが、用紙Pの第1面への画像の記録に起因して発生するカールの量(カール量)を算出する。
即ち、カール量算出部123aはまず、用紙Pの第1面に記録される画像の印字率を算出する。次いで、カール量算出部123aは、印字率に基づいてカール量を算出する。カール量は、用紙Pの第1面に記録される画像の印字率に比例して増大する。つまり、印字率が高いほど、カール量は増大する。したがって、用紙Pの第1面に記録される画像の印字率に基づいて、カール量を算出することができる。印字率は、用紙Pの第1面に記録される画像のドット数をカウントし、カウントした結果を用紙Pのサイズで割ることで算出される。
更に、本実施形態のカール量算出部123aは、用紙Pの第1面に記録される画像のドット数をカウントする際に、用紙Pの端部のドット数に対して重みづけをして、ドット数をカウントする。即ち、用紙Pの第1面に記録される画像の画像パターンが、用紙Pの端部に記録される画像を含む場合、用紙Pにカールが発生し易い。したがって、印字率の算出時に、用紙Pの端部のドット数に対して重みづけをすることにより、より正確なカール量を算出することができる。なお、カールは用紙Pの四隅において発生し易く、用紙Pの四隅において最も大きくなる。したがって、用紙Pの4隅のドット数に対してのみ重みづけをしてもよい。
また、カール量算出部123aは、用紙Pの第1面に記録される画像のドット数をカウントする際に、印字品質設定に応じた重みづけをして、ドット数をカウントする。即ち、印字品質設定が高いほど、画像の最大濃度が高く設定されるため、インク吐出量が増えてカール量が大きくなる。したがって、印字率の算出時に、印字品質設定(濃度)に応じた重みづけをすることにより、より正確なカール量を算出することができる。
また、印字率が同じであっても、用紙Pの紙種、坪量、又はサイズが異なると、用紙Pの剛度が異なるため、用紙Pの第1面への画像の記録に起因して発生するカールの量(カール量)も異なる。本実施形態のカール量算出部123aは、用紙Pを特定する情報から、用紙Pの紙種、坪量、及びサイズのうちの少なくとも1つを取得する。そして、カール量算出部123aは、印字率に基づいて算出したカール量を、用紙Pの紙種、坪量、及びサイズのうちの少なくとも1つに応じて補正する。これにより、より正確なカール量を算出することができる。
なお、第2搬送部6から送出された用紙Pを第1搬送部4へ導く用紙搬送路の形状がカール量に影響することがある。例えば、用紙搬送路が、曲率の小さい曲り部を含む場合、その曲り部によってカールが発生し易くなる。したがって、印字率に基づいて算出されたカール量を、用紙搬送路の形状に応じて補正してもよい。これにより、より正確なカール量を算出することができる。
一方、メモリー121は、カール量ごとに吸引力が規定された第2テーブル127を記憶している。吸引力制御部122は、カール量算出部123aによって算出されたカール量と、第2テーブル127とを参照して、吸引力を決定する。第2テーブル127には、カール量ごとに、そのカール量のカールが発生していても第1搬送ベルト410に用紙Pを確実に吸着させることができる吸引力が設定される。
本実施形態によれば、吸引力制御部122が、用紙Pの第1面への画像の記録に起因して用紙Pに発生したカールの量(カール量)に応じて、吸引部43が発生させる吸引力を変化させる。その結果、用紙Pの一方の面(第1面)が伸長して用紙Pにカールが発生しても、用紙Pの第2面への画像の記録時に、第1搬送ベルト410に用紙Pを確実に吸着させることができる。したがって、ジャムの発生を抑制することができる。
なお、同じカール量であっても、用紙Pの紙種、坪量、又はサイズが異なると、用紙Pの剛度が異なるため、第1搬送ベルト410に用紙Pを確実に吸着させるために必要な吸引力も異なる。そこで、メモリー121は、用紙Pの紙種、坪量、又はサイズごとに第2テーブル127を記憶してもよい。又は、メモリー121は、用紙Pの紙種、坪量、及びサイズのうちの少なくとも2つの組み合わせごとに、第2テーブル127を記憶してもよい。これにより、用紙Pの第2面への画像の記録時に、第1搬送ベルト410に用紙Pをより確実に吸着させることが可能となる。よって、ジャムの発生をより抑制することが可能となる。
また、第2テーブル127に設定する吸引力は、第1テーブル126に設定する吸引力と同様に、第1搬送ベルト410に用紙Pを確実に吸着させることができる吸引力のうち最も値が低い吸引力(吸引力の下限値)とすることが好ましい。これにより、不吐出ノズルの発生を抑制することができる。
続いて、ラインヘッド51(記録ヘッド55)のメンテナンスを開始するタイミングについて説明する。本実施形態のインクジェット記録装置1において、ラインヘッド51のメンテナンス機構は、図7を参照して説明したインク供給機構500と、図1、図8、及び図9を参照して説明したワイピングユニット11とを含む。ラインヘッド51のメンテナンス機構が作動すると、まずパージ動作が実行され、その後にワイプ動作が実行される。
図11は、記録ヘッド55の下方において吹く風(吸引風)の風速と、不吐出ノズル発生開始枚数との関係を示す図である。図11において、横軸が、記録ヘッド55の下方において吹く風の風速(m/sec)を示す。また縦軸が、不吐出ノズル発生開始枚数を示す。不吐出ノズル発生開始枚数は、複数の用紙Pに画像を記録した場合に、何枚目の用紙Pから不吐出ノズルが発生し始めたかを示す。
図11に示すように、吸引風の風速が大きくなる程、不吐出ノズル発生開始枚数の値が小さくなる。つまり、吸引部43が発生させる吸引力が大きくなる程、少ない通紙枚数で不吐出ノズルが発生しやすくなる。一方、本実施形態では、例えば用紙Pの両面に画像が記録される際に、吸引力制御部122が、吸引部43が発生させる吸引力を変化させる。そこで、本実施形態では、図10に示す計数部124が、第1搬送ベルト410が搬送した用紙Pの延べ枚数を、吸引部43が発生させる吸引力に応じて重みづけして計数する。
重みづけに使用される係数は、記録ヘッド55の下方において吹く風(吸引風)の風速と、不吐出ノズル発生開始枚数との関係(図11に示す関係)に基づいて設定される。換言すると、重みづけに使用される係数は、吸引部43が発生させる吸引力と不吐出ノズル発生開始枚数との関係に基づいて設定される。これにより、吸引力が変化しても、第1搬送ベルト410によって搬送された用紙Pの延べ枚数が不吐出ノズル発生開始枚数に達したか否かを判定することが可能となる。つまり、不吐出ノズルが発生する時期が到来したか否かを判定することが可能となる。
本実施形態では、図10に示すメンテナンス制御部125が、計数部124による計数の結果(計数値)が閾値(所定の値)に達したか否かを判定する。また、メンテナンス制御部125は、計数値が閾値を超えると、ラインヘッド51(記録ヘッド55)のメンテナンス機構を作動させる。一方、計数部124は、ラインヘッド51のメンテナンス機構が作動すると、計数値を初期化する。
ラインヘッド51のメンテナンス開始タイミングを規定する閾値は、不吐出ノズルが発生し始める時期よりも前に、ラインヘッド51のメンテナンスが開始されるように設定する。なお、不吐出ノズルが発生し始める時期よりも前に、ラインヘッド51のメンテナンスが開始される限り、任意の閾値を設定し得る。例えば、閾値を小さくする程、不吐出ノズルに起因する白筋の発生を防止できる確実性が増す。一方、閾値を大きくすると、パージ動作に使用されるインクの消費量の抑制と、処理速度(作業効率)の向上とを図ることができる。したがって、画像品質を優先する場合には、より小さい閾値を設定する。また、インク消費量や処理速度を優先する場合には、より大きい閾値を設定する。
[第2実施形態]
続いて図12〜図14を参照して第2実施形態について説明する。但し、第1実施形態と異なる事項を説明し、第1実施形態と同じ事項についての説明は割愛する。第2実施形態は、カール量測定部13が用紙Pのカール量を測定する点で第1実施形態と異なる。
図12は、第2実施形態に係るインクジェット記録装置1の構成を示す図である。図12に示すように、第2実施形態に係るインクジェット記録装置1は、カール量測定部13を備える。
カール量測定部13は、用紙反転部9に設けられて、用紙反転部9によって搬送方向が反転させられた後の用紙Pのカール量を測定する。詳しくは、カール量測定部13は、用紙反転部9の搬送経路のうち、用紙Pが水平方向に搬送される部分の下側に設けられる。また、カールは用紙Pの四隅において発生し易く、用紙Pの四隅において最も大きくなる。したがって、カール量測定部13は、用紙Pの四隅のカール量の測定が可能な位置に配置されることが好ましい。
図13は、図12に示すカール量測定部13の構成を示す図である。詳しくは、図13(a)は、用紙Pの前端部のカール量を測定する際のカール量測定部13の動作を示している。また、図13(b)は、用紙Pの後端部のカール量を測定する際のカール量測定部13の動作を示している。なお、図13に示す矢印X3は、用紙Pの搬送方向を示している。
図13に示すように、カール量測定部13は、発光部131と、第1受光部132と、第2受光部133とを備える。発光部131は、用紙Pへ向けて光L1を照射する。発光部131には、LED(Light Emitting Diode)を使用し得る。第1受光部132及び第2受光部133は、用紙Pから反射した反射光L2を受光する。第1受光部132及び第2受光部133には、電荷結合素子(CCD)を使用し得る。
図13(a)に示すように、用紙Pの前端部がカールしている場合、用紙Pから反射した反射光L2は、第1受光部132によって受光される。第1受光部132は、反射光L2の入射位置に応じた信号を出力する。詳しくは、第1受光部132から出力される信号は、第1受光部132において反射光L2が入射した位置を示す。第1受光部132において反射光L2が入射する位置は、用紙Pの前端部のカール量に応じて変化する。
また、図13(b)に示すように、用紙Pの後端部がカールしている場合、用紙Pから反射した反射光L2は、第2受光部133によって受光される。第2受光部133は、反射光L2の入射位置に応じた信号を出力する。詳しくは、第2受光部133から出力される信号は、第2受光部133において反射光L2が入射した位置を示す。第2受光部133において反射光L2が入射する位置は、用紙Pの後端部のカール量に応じて変化する。
なお、カール量測定部13は、発光部131、第1受光部132、及び第2受光部133の上方にそれぞれ配置される集光レンズを含み得る。発光部131の上方に集光レンズが配置されることにより、発光部131から出射された光L1が、集光レンズによって用紙P上に集光される。その結果、第1受光部132及び第2受光部133において受光される反射光L2の像がぼやけた像となり難くなるため、より正確なカール量の算出が可能となる。また、第1受光部132の上方に集光レンズが配置されることにより、用紙Pから反射した反射光L2が、集光レンズによって第1受光部132上に集光される。その結果、第1受光部132において受光される反射光L2の像がぼやけた像となり難くなるため、より正確なカール量の算出が可能となる。同様に、第2受光部133の上方に集光レンズが配置されることにより、用紙Pから反射した反射光L2が、集光レンズによって第2受光部133上に集光される。その結果、第2受光部133において受光される反射光L2の像がぼやけた像となり難くなるため、より正確なカール量の算出が可能となる。
図14は、第2実施形態に係る制御部12の構成を示す図である。第2実施形態に係る制御部12は、メモリー121に予め記憶されたプログラムを実行することにより、吸引力制御部122、カール量算出部123b、計数部124、及びメンテナンス制御部125を有するように機能する。第2実施形態の制御部12において、カール量算出部123bは、図13に示すカール量測定部13(第1受光部132及び第2受光部133)から出力される信号に基づいて、用紙Pのカール量を算出する。
[第3実施形態]
続いて図15及び図16を参照して第3実施形態について説明する。但し、第1実施形態及び第2実施形態と異なる事項を説明し、第1実施形態及び第2実施形態と同じ事項についての説明は割愛する。第3実施形態は、カール量測定部13の構成が第2実施形態と異なる。なお、第3実施形態に係るカール量測定部13は、第2実施形態に係るカール量測定部13と同様に、用紙反転部9に設けられる。
図15は、第3実施形態に係るカール量測定部13を示す図である。詳しくは、図15(a)は、用紙Pがカールしていない場合におけるカール量測定部13の状態を示している。図15(b)は、用紙Pの前端部のカール量を測定する際のカール量測定部13の動作を示している。図15(c)は、用紙Pの後端部のカール量を測定する際のカール量測定部13の動作を示している。なお、図15に示す矢印X3は、用紙Pの搬送方向を示している。
第3実施形態に係るカール量測定部13は、検出片135と、傾き角度検出器136とを備える。図15に示すように、カール量測定部13は、用紙Pがカールしていない場合には検出片135に用紙Pが接触せず、用紙Pがカールしている場合には検出片135の先端部に用紙Pが衝突する位置に配置される。
検出片135は長軸を有している。検出片135は、傾き角度検出器136によって回動可能に支持されている。また、傾き角度検出器136は、カールしている用紙Pが検出片135に衝突して検出片135が傾いた後に、図15(a)に示すように検出片135が鉛直上向きの姿勢に戻るように、検出片135を付勢する。
傾き角度検出器136は、検出片135の傾き角度を示す信号を出力する。本実施形態では、検出片135の姿勢が、図15(a)に示すように鉛直上向きの姿勢である場合に、傾き角度検出器136は、検出片135の傾き角度が0°であることを示す信号を出力する。この場合、用紙Pのカール量が大きいほど、傾き角度検出器136から出力される信号が示す傾き角度も大きくなる。
図16は、第3実施形態に係る制御部12の構成を示す図である。第3実施形態に係る制御部12は、メモリー121に予め記憶されたプログラムを実行することにより、吸引力制御部122、カール量算出部123c、計数部124、及びメンテナンス制御部125を有するように機能する。第3実施形態の制御部12において、カール量算出部123cは、図15に示すカール量測定部13(傾き角度検出器136)から出力される信号に基づいて、用紙Pのカール量を算出する。
なお、本実施形態では、カール量測定部13が、検出片135の傾き角度を示す信号を出力する形態について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。カール量測定部13は、検出片135が傾いたか否かを示す信号を出力してもよい。この場合、制御部12において、カール量算出部123cの機能は省略することができる。また、この場合、吸引力制御部122は、検出片135が傾いたか否かに応じて、吸引部43が発生させる吸引力を変化させるか否かを決定する。即ち、用紙Pがカールしている場合、吸引力制御部122は、用紙Pの第2面に画像が記録される際に、用紙Pの第1面への画像記録時に吸引部43が発生させた吸引力よりも大きい所定の吸引力を、吸引部43に発生させる。一方、用紙Pがカールしていない場合、吸引力制御部122は、用紙Pの第2面に画像が記録される際に、用紙Pの第1面への画像記録時に吸引部43が発生させた吸引力と同じ吸引力を、吸引部43に発生させる。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、用紙Pのカールに起因したジャムの発生を抑制することができる。更に、吸引部43が発生させる吸引力が、用紙Pのカール量に応じて調整される。また、吸引部43が発生させる吸引力に応じて、ラインヘッド51(記録ヘッド55)のメンテナンス開始タイミングが調整される。したがって、パージ・ワイプ動作を定期的に実行する場合に比べて、ラインヘッド51のメンテナンが実行される頻度を抑制することができる。よって、パージ・ワイプ動作が定期的に実行される場合に比べて、処理速度を向上させることができる。また、パージ動作に使用されるインクの消費量を抑制することができる。
また、パージ・ワイプ動作が定期的に実行される場合、パージ・ワイプ動作が実行される前に不吐出ノズルが発生するおそれがある。これに対して、本発明の実施形態によれば、第1搬送ベルト410によって搬送された用紙Pの延べ枚数が、吸引部43が発生させる吸引力に応じて重みづけされて計数される。この結果、パージ・ワイプ動作が定期的に実行される場合に比べて、不吐出ノズルの発生を抑制することができる。
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
例えば、本発明の実施形態では、カール量算出部123aが、用紙Pの第1面に記録される画像全体のドット数をカウントして、カール量を算出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カール量算出部123aが、用紙Pの端部又は四隅のドット数のみをカウントして、用紙Pの端部又は四隅のカール量を算出してもよい。あるいは、カール量算出部123aが、用紙Pの第1面に記録される画像の濃度のみに基づいて、カール量を算出してもよい。
また、本発明の実施形態では、算出されたカール量に応じて吸引力が変更されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、印字品質設定のみに応じて吸引力が変更されてもよい。
また、本発明の実施形態では、3個の記録ヘッド55によって構成されるラインヘッド51を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。ラインヘッド51は、1個、2個、又は4個以上の記録ヘッドによって構成され得る。
また、本発明の実施形態では、フルカラーで画像を記録可能なインクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、モノクロで画像を記録するインクジェット記録装置にも適用可能である。
なお、本発明の実施形態で説明された各事項は適宜組み合わせることが可能である。