JP7286918B2 - 半導体発光素子 - Google Patents
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Description
しかしながら、半導体チップのI-L特性の改善や放熱改善のためには、エミッタの外側の放熱経路が重要であることが、新たな知見として得られた。エミッタの外側からの放熱経路が制限されると、半導体チップの放熱特性が悪化し光出力が低下してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、エミッタから発せられる熱の放熱経路を適切に確保し、I-L特性(放熱特性)を改善することができる半導体発光素子を提供することを課題としている。
このように、半導体層の外周部の最も近くに配置される2つの発光部(第1発光部、第2発光部)における各々の外端部よりも外側に、それぞれ第2部分の幅の半分以上の長さを有する第1部分が配置されていてもよい。この場合、半導体層の両端にそれぞれ放熱経路を確保することできるので、エミッタからの熱を効率的に放熱させることができる。
また、上記の半導体発光素子は、前記第1方向において、前記第1部分の幅が、前記第2部分の幅以下の長さを有していてもよい。
このように、第1電極の第1部分の幅に上限を設けることで、チップ幅(面積)が広がりすぎることを抑制し、1枚のウェハ当たりのチップの取得数(チップ取得率)の低下を抑制することができる。また、チップにかかる応力が大きくなりすぎることを抑制し、チップの反りや複数の発光部の位置ずれが生じることを抑制することができる。
この場合、エミッタ内側に、エミッタ幅と同等以上の放熱経路を確保することができる。エミッタ幅が広いほど高出力となり、エミッタからの発熱は大きくなるので、上記のようにエミッタ幅に応じて適切に放熱経路を確保することで、適切にI-L特性の改善効果が得られる。
この場合、エミッタ幅の広い(ブロードエリアの)マルチモードの半導体発光素子において、適切に放熱改善を図り、I-L特性を向上させることができる。
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態における半導体発光素子を構成する半導体チップ(LDチップ)10の構成例を示す断面図である。
LDチップ10は、第1面および第2面を有する半導体基板11と、半導体基板11の第1面上に、エピタキシャル成長によって形成された多層の半導体層12と、を備える。本実施形態において、LDチップ10の第1面は、図1における上面である。また、LDチップ10の第2面は、第1面とは反対側の面、すなわち、図1における下面である。
半導体基板11は、例えばGaAs基板とすることができる。例えば、半導体基板11は、(100)面から<011>方向に所定の傾斜角度θ(例えば、10°)傾斜させた面を主面とするn-GaAs傾斜基板であってもよい。LDチップ10は、半導体レーザ装置に組み付けられて所定の注入電流が供給された場合に、600nm帯(例えば、赤色)のレーザ光を発振する。
また、LDチップ10は、半導体層12上に後述する絶縁膜16を介して形成されたp側電極(第1電極)13と、半導体基板11の第2面上(半導体基板11における半導体層12とは反対側の面上)に形成されたn側電極(第2電極)14と、を備える。第1電極13および第2電極14は、例えば金(Au)により構成されている。なお、第1電極13および第2電極14は、多層電極層であってもよい。例えば、第1電極13および第2電極14は、Ti/Pt/Auからなる多層電極層であってよい。
第1電極13は、2つの発光部15a、15bを跨いでつながっており、発光部15a、15bは、それぞれ電気的に接続されている。つまり、第1電極13は、エミッタの間で分断されておらず、複数のエミッタは、非独立に駆動される(同一駆動される)。
(W1)/2≦W2,
(W1)/2≦W2´ ………(1)
なお、図1は、第1部分13aの幅W2、W2´を下限値である(W1)/2とした場合のLDチップ10を示している。
(W1)/2≦W2≦W1,
(W1)/2≦W2´≦W1 ………(2)
図2は、第1部分13aの幅W2、W2´を上限値であるW1とした場合のLDチップ10Aを示す断面図である。なお、図2において、発光部15a、15bの幅We、We´、および第2部分13bの幅W1は、図1に示すLDチップ10と同様である。
We≦(W1)/2,
We´≦(W1)/2 ………(3)
We-sum≧Wc×0.1 ………(4)
なお、第1方向において、1つの発光部の幅は5μm以上とすることができる。
例えば、発光部15a、15bの幅We、We´は75μm、第2部分13bの幅W1は150μmとすることができる。この場合、図1において、第1部分13aの幅W2、W2´は75μmとなり、図2において、第1部分13aの幅W2、W2´は150μmとなる。また、第1電極13の厚みは、例えば3μmとすることができる。電極の厚みは、厚いほど放熱経路が拡がり放熱の効果が得られるが、電極の応力が大きくなってチップが反ってしまうおそれがある。この場合、複数の発光部が第1方向に一列に整列せずに歪んでしまい、製品として不具合が生じ得る。そのため、放熱経路を確保するという側面では、電極の厚みはできるだけ厚い方が好ましく、0.5μm以上の厚さが必要ではあるが、発光部のばらつきの抑制という観点では、電極の厚みは10μm以下であることが好ましい。
また、放熱経路を確保する観点で、複数の発光部の間は、電極でつながっていることが好ましく、また、電極は平坦であることがより好ましい。複数の発光部が電極でつながっている場合は、並列駆動となる。
サブマウント20の本体部は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)によって構成することができる。なお、サブマウント20の本体部は、放熱性、絶縁性、LDチップ10との線膨張係数差およびコストなどを考慮して適宜選択することができる。例えば、放熱性のよい絶縁性材料では、炭化ケイ素(SiC)、ダイヤモンドなど、導電性材料では、Cu、CuW、CuMoなど、また比較的安価な材料ではSi、酸化アルミニウム(Al2O3)などがある。また、サブマウント20の本体部は、例えば、SiCなどの絶縁性材料とCuなどの導電性材料とを組み合わせた複層構造により構成されていてもよい。
なお、図3では、図1に示すLDチップ10がサブマウント20に接合された場合について示しているが、図2に示すLDチップ10Aがサブマウント20に接合された場合についても同様である。
これに対して、本実施形態では、エミッタ外側への放熱経路の確保も重要であるとの新たな知見により、LDチップ10、10Aにおいて、第1電極13のエミッタ外側の部分である第1部分13aの電極幅を確保した構成とした。詳細には、各エミッタからの熱が左右均等に逃げていくと考え、隣接するエミッタ間の電極幅の半分に該当するエミッタ内側の放熱経路と同等以上に、エミッタ外側にも放熱経路を確保するようにした(上記(1)式)。これにより、本実施形態のLDチップ10、10Aは、エミッタ外側の放熱経路が制限された従来構成のLDチップと比較して、放熱改善とI-L特性の改善とを図ることができる。
この図4に示すLDチップ110は、図1に示すLDチップ10に対して、エミッタ幅(We、We´)およびエミッタ間隔(W1)は同じで、エミッタ外側の電極幅(W2、W2´)が短い構成を有する。図4は、LDチップ110の第1部分13aの幅が、第2部分13bの幅の1/6である例を示している。つまり、W2、W2´=(W1)/6である。
この図6からも明らかなように、LDチップ10、10Aは、LDチップ110と比較して、光出力の飽和点が大幅に向上している。また、LDチップ10とLDチップ10Aとの比較からも明らかなように、エミッタ外側の電極幅(W2、W2´)が広いほど、光出力の飽和点が大きく向上していることがわかる。このように、エミッタ外側の電極幅(W2、W2´)を広げ、エミッタ外側の放熱経路を確保することで、LDチップの放熱特性を向上、改善し、光出力を高められることが確認できた。
また、エミッタ外側の電極幅を広くとりすぎると、電極の応力が大きくなってチップが反ってしまうおそれがある。この場合、複数の発光部が第1方向に一列に整列せずに歪んでしまい、製品として不具合が生じ得る。
そのため、放熱経路を確保するという側面では、エミッタ外側の電極幅(W2、W2´)は、できるだけ広い方が好ましく、最低限エミッタ間の幅(W1)の半分、つまり、((W1)/2)以上の長さが必要ではあるが、チップ取得率の向上(チップ原価の低減)や発光部のばらつきの抑制という観点では、エミッタ外側の電極幅はエミッタ間の幅(W1)以下であることが好ましい(上記(2)式)。
そして、第1方向において、第1部分13aの幅W2、W2´は、第2部分13bの幅W1の半分以上の長さを有する。また、第1方向において、第1部分13aの幅W2、W2´は、第2部分13bの幅W1以下の長さとすることができる。
本実施形態のLDチップ10、10Aは、上述したようにエミッタ外側の放熱経路が確保された構成を有するので、エミッタからの熱を速やかに放熱することができ、同一駆動される複数のエミッタ間における熱的クロストークを適切に抑制することができる。
例えばプロジェクタ用途のLDでは、複数のエミッタの独立駆動は要求されず、より高い出力が要求される。そして、高出力であるほど、端面での光密度を下げるためにエミッタの幅は広く設定される。また、高出力であるほど投入電力は大きくなるため、エミッタからの発熱は大きくなる。したがって、このようなマルチモードの高出力の製品では、放熱経路を適切に確保することが重要となる。
本実施形態では、エミッタ幅が広い(ブロードエリアの)マルチモードの製品において、放熱経路を適切に確保し、より望ましいI-L特性の改善効果を得ることができる。
上記実施形態においては、LDチップは、2つの発光部を備える場合について説明したが、発光部は3つ以上であってもよい。ただし、3つ以上の発光部は、それぞれ電気的に接続された構成であるものとする。
図7は、3エミッタのLDチップ10Bの構成例を示す断面図である。
LDチップ10Bは、3つの発光部15a~15cを備える。この場合、第1方向において最も外側に配置された発光部15a、15cの外端部よりも外側の部分が、それぞれ上述した第1部分13aとなる。また、最も外側に配置された発光部15aの内端部と、隣接する発光部15bの外端部との間、および、最も外側に配置された発光部15cの内端部と、隣接する発光部15bの外端部との間が、それぞれ上述した第2部分13bとなる。この場合にも、図1および図2に示す2エミッタの場合と同様の効果が得られる。
また、エミッタの幅が広いほど、エミッタからの発熱は大きくなるため、エミッタの幅に応じてエミッタ外側の電極幅(W2、W2´)を設定してもよい。つまり、エミッタの幅が広いほどエミッタ外側の電極幅を広く設定してもよい。
図8は、リッジ構造を有する電流狭窄部を備えるLDチップ10Cの構成例を示す断面図である。この図8に示すLDチップ10Cは、リッジ構造17を備える点を除いては、図1に示すLDチップ10と同様の構成を有する。リッジ構造を有する場合においても、電極が放熱経路となることから、図1に示すリッジ構造を有しない場合と同様の効果が得られる。
また、本実施形態では、LDチップ10の第1面と第2面とが平行に配置している場合について説明したが、第1面と第2面とは、平行に配置していなくてもよい。例えば、第2面は、第1面に対して垂直な面であってもよい。
Claims (5)
- 第1面および第2面を有し、(100)面から<011>方向に所定の傾斜角度だけ傾斜させた面を主面とするn-GaAs傾斜基板である半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1面上に形成され、側面が露出された半導体層と、
前記半導体層内に、それぞれ第1方向に離間して配置され、それぞれ電気的に接続された複数の発光部と、
前記半導体層上に形成され、サブマウントに接合される第1電極と、
前記半導体基板の前記第2面上に形成された第2電極と、を備え、
前記第1電極は、
前記第1方向において最も外側に配置された前記発光部の外端部よりも外側の第1部分と、
前記最も外側に配置された前記発光部の内端部と、隣接する前記発光部の外端部との間の第2部分と、を有し、
前記第1方向において、前記第1部分の幅は、前記第2部分の幅の半分以上の長さを有し、
前記第1方向において、前記第1電極の幅は、前記半導体層の幅よりも短い長さを有することを特徴とする半導体発光素子。 - 前記複数の発光部は、前記第1方向において最も外側に配置された、第1発光部と、第2発光部とを有し、
前記第1部分は、前記第1発光部の外端部および前記第2発光部の外端部よりもそれぞれ外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。 - 前記第1方向において、前記第1部分の幅は、前記第2部分の幅以下の長さを有することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
- 前記第1方向において、前記第2部分の半分の幅は、前記発光部の幅以上の長さを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記第1方向において、前記複数の発光部の幅の合計は、前記半導体層の前記第1面の幅の10%以上の長さを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
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