特許法第30条第2項適用 (1)平成30年11月14日 株式会社エヌテックにて、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社に販売する目的で、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社、澁谷工業株式会社及び丸紅テクノシステム株式会社に公開(2)平成30年11月18日 コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社 京都工場にコンテナ内袋除去装置を納入(3)平成30年12月14日 株式会社エヌテックにて、サントリープロダクツ株式会社に販売する目的で、サントリープロダクツ株式会社及びサントリーMONOZUKURIエキスパート株式会社に公開(4)平成30年12月25日 株式会社エヌテックにて、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社に販売する目的で、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社、澁谷工業株式会社及び丸紅テクノシステム株式会社に公開(5)平成30年12月26日 株式会社エヌテックにて、サントリープロダクツ株式会社に販売する目的で、サントリープロダクツ株式会社に公開(6)平成31年1月26日 コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社熊本工場にコンテナ内袋除去装置を納入
以下、コンテナ内袋除去装置について図面を参照して説明する。なお、図1において、内袋23を除去する内袋除去作業を行う移動ユニット30が移動する方向をX方向、鉛直方向であるZ方向とX方向との二方向に交差する方向をY方向とする。Y方向は、コンテナ内袋除去装置10の幅方向でもあるので、幅方向Yとも記す。また、Z方向は高さを示す方向でもあるので、高さ方向Zとも記す。
図1、図2に示すコンテナ内袋除去装置10(以下、単に「内袋除去装置10」という。)は、コンテナ20に取着された空の内袋23をコンテナ20から除去する内袋除去作業を自動で行う。不図示のコンテナ開袋装置により開袋された内袋23は、開口の周縁部を折り返してコンテナ20の側板22の上端部である開口端に掛けられた状態にある。開袋後、内袋23内の物品が取り出されて空になった使用済みのコンテナ20は、繰り返し使用される。そのため、使用済みのコンテナ20は、空の内袋23が取着されたまま内袋除去装置10に搬入される。内袋除去装置10は、搬入されたコンテナ20から空の内袋23を除去する内袋除去作業を行う。
図1に示すように、内袋除去装置10は、複数の柱部11と複数の梁部12とで組み立てられた枠体13を備える。また、内袋除去装置10は、空のコンテナ20を搬入する第1コンベヤ16を備える。第1コンベヤ16は、モータ16Mを動力源として駆動され、枠体13の内側を通る経路でコンテナ20をY方向に搬送する。内袋除去対象の空のコンテナ20は第1コンベヤ16上の作業位置SPに停止する。コンテナ20は、底部21と側板22とを有し、上方に開口を有する有底筒形状(詳しくは有底四角筒形状)をなす。内袋除去装置10は、図1、図2に示す作業位置SPにあるコンテナ20から内袋23を除去する。内袋23が除去された空のコンテナ20は、第1コンベヤ16によって作業位置SPから搬出される。こうして内袋除去装置10は、第1コンベヤ16により順次搬入される空のコンテナ20から内袋23を除去する。
図1に示すように、作業位置SPの近傍には、作業位置SPに到達したコンテナ20を検知するセンサ18と、コンテナ20の底部21を挟持することでコンテナ20を作業位置SPに位置決めする位置決め機構19とが設けられている。位置決め機構19は、一対のシリンダ19Aと、一対のシリンダ19Aの各ロッドの先端に固定された一対の押圧部材19Bとを有する。センサ18がコンテナ20を検知すると、図1に示すようにシリンダ19Aが伸長駆動され、一対の押圧部材19Bによって底部21が挟持されることで、コンテナ20が作業位置SPに位置決めされる。
ここで、コンテナ20は、内袋除去装置10が設置された工場内で、例えば、以下のように使用される。プラスチック容器をブロー成形するための成形前素材としてのプリフォーム等の物品は、物品製造機で製造された後、一旦コンテナ20に収容されて所定の場所(例えば飲料充填工場)に運ばれ、そこで所望の容器形状に成形される。その際、物品が傷付いたり汚れたりするのを防止するために、コンテナ20内に内袋23を予め挿入し、その内袋23の中に物品を収容する。例えば、プラスチック容器をブロー成形するためにプリフォーム等の物品を全て使い終わった空のコンテナ20は、第1コンベヤ16によって内袋除去装置10に搬入される。搬入されたコンテナ20は空であるが、内袋23に物品が残っている場合がある。内袋除去装置10は、空のコンテナ20から内袋23に残った物品を取り除きながら内袋23を除去する内袋除去作業を行う。ここで、内袋23に残る物品26は、従来、作業者が目視で正確に確認することは困難であった。特に物品26がプリフォーム等の無色透明な部材である場合、目視での確認は困難である。本実施形態の内袋除去装置10は、物品26の材質、形態や色(無色透明を含む)等に関わらず、内袋23に残った物品26を取り除きながらコンテナ20から内袋23を除去する。なお、内袋除去装置10が内袋23を除去する対象とするコンテナ20に収容される物品は、プリフォーム等の無色透明な合成樹脂製の部材や部品に限らず、例えば有色不透明などその他の合成樹脂製の部材や部品であってもよい。
また、内袋除去装置10は、第1コンベヤ16に対してX方向に所定距離を離した位置に第2コンベヤ17を備える。第2コンベヤ17は、モータ17Mを動力源として駆動され、枠体13の内側を通る経路で回収容器の一例である回収用コンテナ28をY方向に搬送し、回収位置CPに停止する。回収位置CPの近傍には、回収用コンテナ28を検知するセンサ82が設けられている。センサ82が回収用コンテナ28を検知すると、第2コンベヤ17の駆動が停止され、回収用コンテナ28が回収位置CPに停止する。
内袋除去装置10は、作業位置SPにあるコンテナ20から除去した内袋23を第2コンベヤ17上の回収位置CPにある回収用コンテナ28の上方位置まで移送したのち、その内袋23を回収用コンテナ28内に押し込むことで回収する。閾値を超える数の内袋23を収容した回収用コンテナ28は、第2コンベヤ17により内袋除去装置10から搬出される。本例の内袋除去装置10では、一部の空のコンテナ20が、第1コンベヤ16とは別の経路で第2コンベヤ17によって回収位置CPに運ばれることで、回収用コンテナ28として使用される。第1コンベヤ16と第2コンベヤ17は、例えばチェーンコンベヤにより構成される。なお、第1コンベヤ16と第2コンベヤ17は、ローラコンベヤ又はベルトコンベヤでもよい。
図1、図2に示す内袋除去装置10は、X方向に移動可能であるとともに内袋23の第1端部24を把持可能な把持部の一例である把持機構31を有する移動機構の一例としての移動ユニット30と、内袋除去作業時に内袋23の第2端部25を固定する固定機構50とを備える。移動ユニット30は、内袋除去作業を行うために内袋23を把持する把持機構31を有する。また、内袋除去装置10は、コンテナ20から内袋23を除去する過程で内袋23に残った物品26(以下、「残品26」ともいう。)を内袋23から取り除く残品排出動作を行う残品排出部の一例としての残品排出機構60を備える。さらに、内袋除去装置10は、コンテナ20から内袋23を除去する内袋除去作業ののち、除去した内袋23を回収用コンテナ28に回収する回収機構70を備える。
以下、作業対象のコンテナ20、移動ユニット30、固定機構50、残品排出機構60及び回収機構70の構成について順番に説明する。
まず、図3を参照して、空の内袋23が取着されたコンテナ20について説明する。図3に示すように、コンテナ20は、1つの四角板状の底部21と4つの四角板状の側板22とを備え、上方に向かって開放された開口20Aを有する有底四角筒形状をなす。コンテナ20には、空の内袋23が内装された状態で取着されている。コンテナ20の底部21は、例えば、荷役用のフォ-クを挿し込むための挿入穴21Aを有するパレットよりなる。内袋23は、その開口23Aの回りの周縁部23Bを折り返した折返部23Cを、側板22の上端部である開口端部20Bに掛けた状態でコンテナ20に取着されている。図3に示す作業位置SPにあるコンテナ20のX方向に対向する2つの側板22のうち、内袋23を除去する際の移動ユニット30(図1参照)の移動方向である第1方向X1と反対の方向である第2方向X2側に位置する一方を第1側板22A、第2方向X2側に位置する他方を第2側板22Bとする。また、内袋23の周縁部23Bのうち開口23Aを挟んで対向し、第1側板22Aに掛けられる一方を第1端部24、第2側板22Bに掛けられる他方を第2端部25とする。第2端部25は、第1端部24とX方向に内袋23の開口23Aを挟んで対向して位置する。
次に、図1、図2、図4~図6を参照して、移動ユニット30について説明する。図1、図2に示すように、内袋除去装置10は、コンテナ20に取着された内袋23を把持してX方向に移動する前述の移動ユニット30を備える。移動ユニット30は、コンテナ20内に取着された内袋23の第1端部24を把持可能かつ昇降可能な把持機構31を有する。移動ユニット30は、把持機構31が把持した第1端部24を持ち上げたのち(図10参照)、第1端部24と開口23Aを挟んで対向する第2端部25に向かう第1方向X1へ第2端部25の位置を過ぎる第1位置P1まで移動する(図11参照)。
図1、図2に示すように、移動ユニット30は、X方向に走行可能な走行台32を備える。内袋除去装置10は、走行台32をX方向に移動させるX軸スライド機構33を備える。X軸スライド機構33は、走行台32を移動させる動力源となるサーボモータ等のモータ34と、所定高さをX方向に延びる状態で架設された一対のレール35と、モータ34の動力を走行台32に伝達する動力伝達機構36とを備える。走行台32は、モータ34の動力でレール35に沿ってX方向に移動する。
図1、図2に示すように、動力伝達機構36は、一対のプーリ37と、一対のプーリ37に巻き掛けられた状態でX方向に沿って延びる無端状のタイミングベルト38とを有するベルト式である。モータ34の出力軸は一方のプーリ37に連結されている。モータ34が正転駆動されると、走行台32は第1方向X1に移動し、モータ34が逆転駆動されると、走行台32は第1方向X1と反対の方向である第2方向X2に移動する。なお、X軸スライド機構33は、ベルト式のスライド機構に替え、例えばボールネジ式のリニア駆動機構でもよい。
移動ユニット30は、内袋除去作業を行ううえで、図1に実線で示す作業開始位置P0、図1にそれぞれ二点鎖線で示す第1位置P1、第3位置P3、及び図13に示す第2位置P2に移動する。第1位置P1は、後述する残品排出工程を行う位置である。第2位置P2は、内袋23の第1端部24と第2端部25とを把持機構31により共掴みする位置である。第3位置P3は、内袋23を回収位置CPにある回収用コンテナ28の開口28Aの上方に運ぶための位置である。
また、把持機構31は走行台32に取り付けられている。走行台32には、把持機構31をZ方向に相対移動させるZ軸スライド機構39が設けられている。Z軸スライド機構39は、Z方向に伸縮駆動される動力源となるシリンダ40を備え、シリンダ40の伸縮駆動により走行台32に対して把持機構31を昇降させる。把持機構31は、二対の把持ユニット41,42を備える。二対の把持ユニット41,42は、内袋除去作業の際に内袋23を把持するために用いられる。
二対の把持ユニット41,42は、内袋除去作業の際に内袋23の第1端部24を把持する第1把持ユニット41と、後述する残品排出工程を終えた後に、固定機構50が固定している内袋23の第2端部25を、その固定が解除される前に把持する第2把持ユニット42とを備える。本実施形態では、残品排出工程ののちに、第1把持ユニット41による第1端部24の把持と第2把持ユニット42による第2端部25の把持とによって第1端部24と第2端部25とを両把持ユニット41,42により共掴みする共掴み工程を有する。なお、本実施形態では、第1把持ユニット41により、把持部の一例が構成される。また、第2把持ユニット42により、第2把持部の一例が構成される。
図1、図2に示すように、内袋除去装置10は、内袋23の第2端部25を、コンテナ20の開口端部20Bに掛けたまま固定する前述の固定機構50を備える。固定機構50は、作業位置SPにあるコンテナ20の第2側板22Bの外面と対向する位置に配置されている。固定機構50は、内袋23の折返部23Cを側板22の外面に押圧することで、内袋23の第2端部25を固定する。固定機構50は、X方向に伸縮可能なシリンダ51と、シリンダ51のピストンロッドの先端に固定された連結部材52に支持された押圧部材53とを有する。
図1、図2に示すように、移動ユニット30は、固定機構50により内袋23の第2端部25を固定する状態で、第1把持ユニット41が把持した第1端部24を持ち上げたのち、第1端部24を第2端部25に向かう第1方向X1へ第2端部25の位置を過ぎる第1位置P1まで移動させて内袋23の開口23Aを下向きに開く。すなわち、第1端部24を把持した把持機構31を待機位置まで上昇させたのち、移動ユニット30を図1に実線で示す作業開始位置P0から図1に二点鎖線で示す第1位置P1まで移動させる。この結果、図1に実線で示された内袋23は、第2端部25が固定された状態で第1端部24を持ち上げ、その持ち上げた第1端部24を第1方向X1に移動することで、コンテナ20から取り外される。第1端部24が第1位置P1まで移動したとき、内袋23の開口23Aは下向きに開く状態となる。
次に、図1、図2を参照して残品排出機構60について説明する。図1、図2に示すように、内袋除去装置10は、内袋23をコンテナ20から除去する過程で内袋23の下向きに開く開口23Aに対して、内袋23の底部23Dを上方に移動させることで内袋23に残る物品26(残品26)を落下させて開口23Aから排出する残品排出動作を行う前述の残品排出機構60を備える。残品排出機構60は、作業位置SPにあるコンテナ20に対して第1方向X1側の隣に位置する。つまり、残品排出機構60は、X方向において、作業位置SPと回収位置CPとの間に位置する。残品排出機構60は、内袋23の開口23Aに対して底部23Dを上方に移動させる手段として、下向きの開口23Aに空気を吹き込むブロワ61を備える。本実施形態の残品排出機構60は、内袋23の下向きに開く開口23Aにブロワ61が空気を吹き込んで内袋23を図1に二点鎖線で示すように膨らませることで、内袋23の底部23Dを開口23Aよりも上方に移動させる。このように本例の残品排出機構60は、内袋23を膨らませることで内袋23に残った物品26を落下させて開口23Aから排出する残品排出動作を行う。
また、図1、図2に示すように、残品排出機構60は、膨らんだ内袋23の開口23Aから落下した物品26を受け取るダクト62と、ダクト62内に落ちたのちダクト通路62Aを通じて下方へ運ばれた物品26を、内袋除去装置10の外側にある所定の回収エリアへ搬送する回収コンベヤ63とを備える。図2に示すように、ダクト62の上部には、下方ほど開口面積が狭くなるように内側ほど低くなる向きに傾く斜状面62Bを有する。
また、残品排出機構60は、シリンダ51のピストンロッドに固定された連結部材52(図7も参照)に支持されたシュート54を備える。シュート54は、シリンダ51の上方を覆うとともに、第1方向X1に向かうに連れて低くなる向きに傾斜している。本例では、固定機構50を構成する押圧部材53は、シュート54の先端部に固定されている。シュート54は、残品排出機構60のブロワ61から空気を吹き込んで膨らんだ内袋23から固定機構50の上方に落下した物品26を、ダクト62へ誘導する。内袋23から落下した物品26は、斜状面62Bおよびシュート54によりダクト62内へ誘導され、回収コンベヤ63により所定の回収エリアへ搬送される。
また、図1、図2に示すように、ダクト62よりも第1方向X1側の位置には、ブロワ61の上方を含む所定の領域を覆うテーブル65が配置されている。テーブル65はブロワ61と対向する部分が空気を通過可能な網部66となっている。そのため、ブロワ61からの空気流は、網部66を通って内袋23の下向きに開く開口23Aに向かって図1に矢印で示す斜め上方へ吹き付けられる。
さらに、残品排出工程を終えた移動ユニット30は、図1に二点鎖線で示す第3位置P3まで移動することで、残品26が排出されたのちにコンテナ20から除去された空の内袋23を、回収位置CPに配置された回収用コンテナ28の上方まで運ぶ。本例では、第1位置P1で残品排出工程を終えた移動ユニット30は、第2方向X2へ移動して第2位置P2で第2把持ユニット42により第2端部25を把持することで、把持機構31により第1端部24と第2端部25とを共掴みしたのち、第3位置P3まで移動することで、内袋23を回収位置CPにある回収用コンテナ28の上方まで運ぶ。
次に、図1、図2を参照して回収機構70について説明する。図1、図2に示すように、内袋除去装置10は、移動ユニット30が回収用コンテナ28の上方へ運んだ空の内袋23を、回収用コンテナ28に回収する前述の回収機構70を備える。回収機構70は、枠体13の第1方向X1の端部に組み付けられている。回収機構70は、Z方向に移動可能な押込機構71と、押込機構71をZ方向に移動させるZ軸スライド機構72とを備える。Z軸スライド機構72は、動力源となるサーボモータ等のモータ73と、モータ73の動力を押込機構71に伝達する動力伝達機構74とを有する。動力伝達機構74は、例えばベルト式であり、一対のプーリ75と、一対のプーリ75に巻き掛けられた状態でZ方向に沿って延びる無端状のタイミングベルト76と、タイミングベルト76の一部に固定されたスライダ77と、スライダ77をZ方向に移動可能に案内するレール78とを有する。スライダ77から水平に延出する支持部79の先端部に押込機構71が吊下されている。なお、Z軸スライド機構72は、ベルト式に替え、例えばボールネジ式でもよい。
押込機構71は、Z方向に延びる複数本の押込部材80を有する。複数本の押込部材80は複数列の櫛歯状に配置されている。押込機構71は、回収位置CPにある回収用コンテナ28の開口28Aと対向して位置する。押込機構71は、回収用コンテナ28の上方に位置する図1に実線で示す退避位置と、図1に二点鎖線で示す押込位置との間を移動する。押込機構71は、モータ73が正転駆動することにより退避位置から押込位置まで下降し、モータ73が逆転駆動されると、押込位置から退避位置まで上昇する。押込機構71が押込位置にあるとき、複数本の押込部材80は回収用コンテナ28内の所定の深さまで下降する。また、押込機構71は、下方に向かって空気を噴射するエアジェット部81を有する。エアジェット部81は、押込機構71が内袋23の押込み動作を行うときに駆動され、内袋23に向かって空気を噴射する。
次に、図4~図6を参照して移動ユニット30の詳細な構成について説明する。図4、図6に示すように、走行台32は、幅方向Yに延びるビーム部材32Aと、ビーム部材32Aの長手方向の両端部に設けられた走行輪32B(図6参照)とを有する。走行台32は、図6に示す走行輪32Bがレール35上を転動することでビーム部材32Aを水平に保つ状態でX方向に移動する。
走行台32のビーム部材32Aに設けられたZ軸スライド機構39は、前述のシリンダ40と、シリンダ40のピストンロッドの先端に固定された支持バー43と、支持バー43を走行台32に対してZ方向に昇降可能にガイドする一対のガイド部44とを備える。シリンダ40は、その軸線方向がZ方向と一致する向きに配置されている。シリンダ40が伸縮駆動されると、支持バー43がZ方向に昇降する。支持バー43の下部には、第1把持ユニット41と第2把持ユニット42とが一対ずつ設けられている。また、走行台32と支持バー43との間には、把持ユニット41,42に電力を供給する電力線を案内する図4に二点鎖線で示すフレキシブルガイド部材Fが介在している。
図4は、作業開始位置P0にある移動ユニット30の把持機構31が下降し、内袋23の第1端部24を把持する状態を示す。一対の第1把持ユニット41は、第1側板22Aの幅中央を挟む二箇所を把持可能な第1間隔をあけて支持バー43に固定されている。また、一対の第2把持ユニット42は、共掴み位置P2にある移動ユニット30の把持機構31が下降したとき、第2側板22Bの幅中央を挟む二箇所の位置を把持可能な第2間隔をあけて位置で支持バー43に固定されている。
図4、図5に示すように、一対の第1把持ユニット41は、Y方向に一対の第2把持ユニット42を挟む位置にある。また、図5、図6に示すように、第1把持ユニット41と第2把持ユニット42は、X方向に位置がずれている。なお、一対の第1把持ユニット41と一対の第2把持ユニット42とのY方向の位置関係は逆でもよい。
図5、図6に示すように、把持ユニット41,42は、支持バー43の長手方向の両端部下面に支持部材43Aを介して一対ずつ固定された計4つのクランプ用のシリンダ46,47を備える。各シリンダ46,47は、両側のロッドが互いに逆方向に伸縮する開閉式である。二対のシリンダ46,47のロッドの先端部には連結部材48を介して合成ゴム製の把持部材49が固定されている。シリンダ46,47が伸長駆動すると、一対の把持部材49が側板22の厚みよりも長い間隔で離間する解放位置に配置される。一方、シリンダ46,47が収縮駆動すると、一対の把持部材49が側板22の厚みよりも短い距離まで接近可能な把持位置に配置される。
また、図4に示すように、支持バー43の両端部下面には下方へ突出するストッパ45が取り付けられている。移動ユニット30が作業開始位置P0にあるときにシリンダ40が伸長駆動して把持機構31が下降する途中でストッパ45が第1側板22Aの上端に当たることで、図4、図6に示すように、第1把持ユニット41の把持部材49は、第1側板22Aの上端から所定距離だけ下方の把持高さに停止する。同様に、移動ユニット30が共掴み位置P2にあるときにシリンダ40が伸長駆動して把持機構31が下降する途中でストッパ45が第2側板22Bの上端に当たることで、第2把持ユニット42の把持部材49は第2側板22Bの上端から所定距離だけ下方の把持高さに停止する。なお、シリンダ40のストロークを制御して把持ユニット41,42を所望の把持高さに位置制御してもよい。
第1把持ユニット41は、移動ユニット30が作業開始位置P0にあるとき把持高さに下降した状態でシリンダ46が収縮駆動することによって、内袋23における第1側板22Aの上端部に掛けられた第1端部24を第1側板22Aごと把持部材49で把持する。この把持状態で第1把持ユニット41が上昇すると、把持部材49が第1端部24を把持したまま側板22から抜き取られる。
図1に示す移動ユニット30は、残品排出動作ののち第1位置P1から第2方向X2に少し戻って共掴み位置P2まで移動する。移動ユニット30が共掴み位置P2にあるとき、第2把持ユニット42が、第2側板22Bに掛けられた第2端部25と対向する。第2把持ユニット42は、移動ユニット30が共掴み位置P2にあるとき把持高さに下降した状態でシリンダ47が収縮駆動することによって、内袋23における第2側板22Bの上端部に掛けられた第2端部25を第2側板22Bごと把持部材49で把持する。この把持状態で第2把持ユニット42が上昇すると、把持部材49が第2端部25を把持したまま第2側板22Bから抜き取られる。このとき、第1把持ユニット41は、第1端部24の把持状態を維持しており、第2把持ユニット42が第2端部25を把持することで、把持機構31は、内袋23の二つの端部24,25を共掴みする。
ここで、第1把持ユニット41と第2把持ユニット42とをX方向に位置をずらした理由は、次のとおりである。第2把持ユニット42が第2端部25を把持するために下降するときは、既に第1端部24を把持している第1把持ユニット41が閉じている。このため、二対の把持ユニット41,42がX方向に同じ位置にあると、下降するときに、閉状態にある第1把持ユニット41が第2側板22Bと衝突して、それ以上の下降が不可能になる。このため、第1把持ユニット41と第2把持ユニット42とをX方向に位置をずらすことで、第1把持ユニット41が第2側板22Bの上端に衝突することを回避し、第2把持ユニット42が第2端部25を把持可能な把持高さまで下降可能としている。
次に、図7を参照して、固定機構50と移動ユニットの把持機構31とを用いた内袋除去動作について説明する。図7に示すように、固定機構50は、作業位置SPにあるコンテナ20の第2側板22Bの上端部に掛けられた内袋23の第2端部25を押圧部材53で第2側板22Bの外面に押圧することで、第2端部25を固定する。すなわち、第1コンベヤ16の作業位置SPに空のコンテナ20が搬入されるまでは、シリンダ51が収縮状態にあることで押圧部材53は第2側板22Bから離間している。空のコンテナ20が作業位置SPに停止すると、シリンダ51が伸長駆動して押圧部材53が第2側板22Bに掛けられた第2端部25を第2側板22Bの外面に押し付けることで、第2端部25を固定する。移動ユニット30は、固定機構50により内袋23の第2端部25を固定する状態で、一対の第1把持ユニット41が把持した第1端部24を持ち上げたのち、第1端部24を第2端部25に向かう第1方向X1へ第2端部25の位置を過ぎる第1位置P1(図1、図11を参照)まで移動させて内袋23の開口23Aを下向きに開く。
次に、図8を参照して、内袋除去装置10の電気的構成を説明する。図8に示すように、内袋除去装置10は、制御部90を備える。制御部90には、移動ユニット30、固定機構50、残品排出機構60及び回収機構70が電気的に接続されている。制御部90は、移動ユニット30を構成する、X軸スライド機構33、Z軸スライド機構39、第1把持ユニット41及び第2把持ユニット42を制御する。また、制御部90は、固定機構50を構成するシリンダ51を制御する。さらに、制御部90は、残品排出機構60を構成するブロワ61を制御する。また、制御部90は、回収機構70を構成するZ軸スライド機構72及びエアジェット部81を制御する。制御部90は、タイマ91と、プログラムPRを記憶するメモリ92を備える。制御部90は、内蔵するマイクロプロッセ等のコンピュータ(図示略)が図9にフローチャートで示されるプログラムPRを実行することにより内袋除去装置10に対して内袋除去制御を行う。
制御部90は、移動ユニット30及び固定機構50を制御することにより、内袋除去装置10に内袋除去工程を行わせる。また、制御部90は、移動ユニット30及び残品排出機構60を制御することにより、内袋除去装置10に残品排出工程を行わせる。さらに、制御部90は、移動ユニット30及び回収機構70を制御することにより、内袋除去装置10に内袋回収工程を行わせる。また、本実施形態では、制御部90は、移動ユニット30を制御することにより、内袋除去装置10に共掴み工程を行わせる。
次に、図1~図15を参照して、内袋除去装置10の作用を説明する。内袋除去装置10の運転開始後、第1コンベヤ16により搬入されたコンテナ20をセンサ18が検知すると、制御部90は、第1コンベヤ16の駆動を停止してコンテナ20を作業位置SPに停止させるとともに、位置決め機構19を駆動してコンテナ20を作業位置に位置決めする。移動ユニット30は、図1、図2に実線で示す作業開始位置P0にあり、把持機構31を待機位置に上昇させた状態で待機している。また、内袋除去作業開始前では、固定機構50は、シリンダ51が収縮状態にあって押圧部材53を退避させた固定解除状態にある。また、残品排出機構60のブロワ61は停止状態にある。さらに、回収機構70は、押込機構71を退避位置に上昇させた状態で待機する。
制御部90は、メモリ92に記録するプログラムPRを実行することにより、内袋除去装置10に対する内袋除去制御を行う。以下、制御部90が備えるコンピュータ(図示略)が図9にフローチャートで示されるプログラムPRを実行して行う内袋除去制御について、図1、図9~図15等を参照して説明する。
まずステップS11では、制御部90は、内袋23の第2端部25をコンテナ20の側板22に押圧して固定する。すなわち、制御部90は、シリンダ51を伸長駆動して押圧部材53が第2端部25を第2側板22Bの外面に押圧することで第2端部25を固定する(図1、図2、図7、図10を参照)。なお、本実施形態では、ステップS11の処理が、固定ステップの一例に相当する。
次のステップS12では、制御部90は、内袋23の第1端部24を把持して側板22から取り外す。制御部90は、作業開始位置P0にある移動ユニット30のシリンダ40を伸長駆動させ、把持機構31を待機位置から下降させる。把持機構31は、下降途中で、ストッパ45が第1側板22Aの上端に当たることで停止する。例えば、ストッパ45が第1側板22Aの上端に当たることなくシリンダ40がエンド位置まで下降し、制御部90がシリンダ40からエンド信号を入力すると、把持ミスエラーを出力する。この場合、制御部90は内袋除去装置10を非常停止させる。制御部90は、シリンダ40からエンド信号を入力することなく一定時間(例えば1~3秒)を経過すると、シリンダ46を伸長駆動することで第1把持ユニット41が一対の把持部材49によって内袋23の第1端部24を第1側板22Aごと把持する。次に、制御部90は、シリンダ40を収縮駆動させて把持機構31を待機位置に上昇させる。この結果、図10に示すように、把持機構31が第1把持ユニット41で把持した第1端部24が第1側板22Aから抜き取られて持ち上げられる。
ステップS13では、制御部90は、内袋23の第1端部24を第1方向X1に第1位置P1まで移動させ、内袋23の開口23Aを下向きに開く。すなわち、制御部90は、モータ34を正転駆動させて移動ユニット30を作業開始位置P0から第1端部24を第2端部25へ向かう第1方向X1へ第2端部25の位置を過ぎる第1位置P1まで移動させる。この結果、図11に示すように、内袋23は、ダクト62の上方において開口23Aを下向きに開く状態になる。本例では、高さ方向Zに第1端部24の方が第2端部25よりも高くに位置するので、開口23Aは斜め下向きに開く。このように制御部90がステップS11~ステップS13の処理を実行することで内袋除去工程が行われる。なお、本実施形態では、ステップS12及びS13の処理が、移動ステップの一例に相当する。
ステップS14では、制御部90は、ブロワ61を駆動して内袋23を膨らませる。すなわち、制御部90は、ブロワ61を駆動して内袋23の下向きに開く開口23Aに向かって空気を吹き込む。この結果、図1及び図12に示すように、内袋23(図1では二点鎖線)が膨らんで、内袋23内に残った物品26が開口23Aから落下する。これにより、内袋23から物品26が分離される。ここで、ブロワ61の駆動開始タイミングは、移動ユニット30が第1位置P1に到達する前のタイミングが好ましい。これは、第1端部24が第2端部25の位置を第1方向X1に過ぎれば、下向きの開口23Aからブロワ61からの空気を吹き込んで内袋23を膨らませる動作を早期に開始でき、その分、内袋23から物品26を取り出す残品排出工程を早期に終了できることで、内袋除去作業の所要時間を短縮できるからである。
ステップS15では、制御部90は、所定時間T1を経過したか否かを判定する。所定時間T1は、内袋23が膨らんで物品26が全て落下して排出されるまでに必要な時間に所定のマージン時間を加えた時間に設定される。所定時間T1は、例えば2~15秒の範囲内の所定値である。制御部90は、ブロワ61の駆動開始時点から計時を開始したタイマ91の計時時間が所定時間T1を経過するまでブロワ61の駆動を継続する。そして、制御部90は、所定時間T1を経過すると、ステップS16に進む。なお、所定時間T1は、上記の値に限定されず、内袋23のサイズ、物品26の形状や重量、及びブロワ61の風量などに応じて適宜変更してもよい。
ステップS16では、制御部90は、ブロワ61を駆動停止させる。ブロワ61が駆動停止されると、ブロワ61からの送風が停止し、膨らんでいた内袋23が自重で萎む。内袋23が萎むまでにはある程度の時間(例えば数秒)を要する。こうして制御部90がステップS14~S16の処理を実行することで、残品排出工程が行われる。なお、本実施形態では、ステップS14~S16の処理が、残品排出ステップの一例に相当する。
次のステップS17では、制御部90は、内袋23の第2端部25を把持する共掴み動作を行う。まず、制御部90は、ブロワ61の駆動停止時点から計時を開始させたタイマ91の計時時間が所定時間T2を経過すると、モータ34を逆転駆動させ、移動ユニット30を第1位置P1から第2方向X2に共掴み位置である第2位置P2まで移動させる。ここで、ブロワ61の駆動停止後、所定時間T2を待つのは、膨らんだ内袋23が自重である程度萎むまで待機するためである。例えば、内袋23が膨らんだまま共掴みしようとすると、固定機構50による内袋23の第2端部25の固定を解除した際に、第2把持ユニット42が第2端部25をしっかり把持する前に、第2端部25が内袋23の浮力で第2側板22Bから離れてしまい、第2端部25の把持ミスを招く虞がある。この把持ミスを回避するため、内袋23がある程度萎むまで所定時間T2だけ待機する。所定時間T2は、例えば2~15秒の範囲内の値であるが、内袋23のサイズ、重量や萎み速度などに応じて適宜変更してもよい。
そして、制御部90は、所定時間T2を経過したのちに移動ユニット30を第2位置P2まで移動させ、移動ユニット30が第2位置P2に停止したのち、Z軸スライド機構39及びシリンダ47を順次駆動させて、第2把持ユニット42に内袋23の第2端部25を第2側板22Bごと把持させる。そして、制御部90は、固定機構50を構成するシリンダ51を収縮駆動して押圧部材53を退避させ、第2端部25の固定を解除する。この結果、図13に示すように、下降した把持機構31が内袋23の第1端部24と第2端部25とを共掴みし、かつ押圧部材53による第2端部25の固定が解除される。次に、制御部90はシリンダ40を収縮駆動させて把持機構31を待機位置に上昇させる。この上昇過程で、第2把持ユニット42が把持した第2端部25が第2側板22Bから取り外される。こうして移動ユニット30が第2位置P2にある状態で把持機構31により内袋23の2つの端部24,25が共掴みされる(共掴み工程)。
ステップS18では、制御部90は、内袋23を回収位置CPへ移動する。すなわち、制御部90は、モータ34を正転駆動させ、移動ユニット30を第2位置P2から第3位置P3へ移動させる。これにより、制御部90は、共掴みした第1端部24と第2端部25とを第1把持ユニット41と第2把持ユニット42とで把持した移動ユニット30を、第1方向X1に第3位置P3まで移動させることで、図14に示すように、内袋23を回収用コンテナ28の上方まで運ぶ。このとき、把持機構31により共掴みされた内袋23は、テーブル65上を滑って移動するため、内袋23がブロワ61やダクト62等の内袋除去装置10の構成部材に引っ掛かることが防止される。また、内袋23が共掴みされることで、内袋23のX方向の長さを短くでき、内袋23を回収用コンテナ28の上方位置に移動させるために必要な移動距離を短くできるうえ、内袋23のより多くの部分を回収用コンテナ28の開口28Aの直上に位置させることができる。これにより、内袋除去装置10のX方向の寸法を短くすることによる内袋除去装置10の小型化を実現できるうえ、内袋23を回収用コンテナ28内に回収する際の高い回収率を実現できる。なお、図14では、作業位置SPにある空のコンテナ20が第1コンベヤ16により搬出される。
ここで、本実施形態では、制御部90は、内袋23のサイズに応じて移動ユニット30が第3位置P3にあるときに把持機構31の下降の有無を制御する。制御部90は、工場内の通信ネットワークを通じて作業対象のコンテナ20のサイズ及び内袋23のサイズを認識している。制御部90は、内袋23のサイズが所定の閾値を超える第1サイズである場合、移動ユニット30が第3位置P3に到達したのち図14に実線で示すように把持機構31を下降させる。一方、制御部90は、内袋23のサイズが所定の閾値以下である第2サイズである場合、移動ユニット30が第3位置P3に到達しても、図14に二点鎖線で示すように把持機構31を待機位置に維持する。この結果、内袋23のサイズによらず、内袋23のX方向のほぼ中央部が回収用コンテナ28の開口28Aの中央部に位置するように内袋23を回収位置CPに運ぶことができる。この制御の採用は、内袋除去装置10のX方向の小型化に貢献する。また、内袋23が第2サイズである場合、内袋23が第1サイズのときに比べ、押込機構71の押込み動作を把持機構31の下降所要時間の分だけ早期に開始できるので、内袋除去作業のサイクルタイムの短縮に寄与する。
ステップS19では、制御部90は、内袋23を回収用コンテナ28内に押し込む押込動作を行う。すなわち、制御部90は回収機構70のモータ73を正転駆動させて、押込機構71を、図1、図14に示す待機位置から図1、図15に示す押込位置(図1では二点鎖線)まで下降させることで、内袋23を回収用コンテナ28内に押し込む。この押込み過程で、制御部90は、エアジェット部81から下方に向かって空気を噴射させる。この結果、内袋23を空気圧によっても回収用コンテナ28内に押し込むことができる。
制御部90は、押込み動作を終えると、モータ73を逆転駆動し、押込機構71を待機位置まで上昇させる。このとき、制御部90は、エアジェット部81から下方に向かって空気を噴射させるので、押込機構71を上昇させるときに回収用コンテナ28内に一旦押し込まれた内袋23は、噴射された空気圧によって下方へ押圧され、一緒に上方へ付いてくることを回避できる。この結果、内袋23を回収用コンテナ28からはみ出ることなく回収できる回収率が高まる。制御部90がステップS19の処理を実行することで、内袋回収工程が行われる。こうしてコンテナ20から除去された内袋23は、残品26が取り除かれたうえで回収用コンテナ28に回収される。
内袋23の回収動作を終えると、制御部90は、押込機構71を図14に示す待機位置へ復帰したのち、モータ34を逆転駆動させて移動ユニット30を第3位置P3から第2方向X2へ移動させ、図15に二点鎖線で示す作業開始位置P0に復帰させる。以降、制御部90は、作業位置SPへ順次搬入されるコンテナ20に対して同様の制御を行って、コンテナ20から内袋23を除去する内袋除去作業を繰り返し行う。
以上詳述したように、この実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)内袋除去装置10は、把持機構31を有する移動ユニット30、固定機構50、残品排出機構60、及びこれらを制御する制御部90を備える。第2端部25を固定機構50により固定する状態で、第1端部24を把持機構31で把持した移動ユニット30を、第1方向X1へ第2端部25の位置を過ぎる第1位置P1まで移動させたときに下向きに開く内袋23の開口23Aに対して内袋23の底部23Dを上方に移動させる。これにより、内袋23に残る物品26を落下させて開口23Aから排出する残品排出動作を行う。制御部90は、残品排出動作までを終えたのち、固定機構50による第2端部25の固定を解除する固定解除動作を行って、内袋23をコンテナ20から除去する。よって、内袋23から残品26を取り除く作業を行いながら内袋23をコンテナ20から除去する内袋除去作業を自動化できる。
(2)残品排出機構60は、内袋23の下向きに開く開口23Aに向かってブロワ61が空気を吹き込んで内袋23を膨らませることで残品排出動作を行う。よって、内袋23を膨らませることなく下向きに開く開口23Aよりも底部23Dを上方に移動させる残品排出動作を行う構成に比べ、内袋23から残品26をより確実に取り除くことができる。
(3)コンテナ20から内袋23を除去する内袋除去作業ののち、除去した内袋23を回収用コンテナ28に回収する回収機構70を備える。よって、コンテナ20から除去した内袋23を回収用コンテナ28に回収することができる。
(4)移動ユニット30は、第2端部25を把持可能かつ昇降可能な第2把持ユニット42を有する。制御部90は、残品排出動作ののち、第1把持ユニット41による第1端部24の把持を維持したまま、第2把持ユニット42による第2端部25の把持と、固定機構50による第2端部25の固定の解除とを行って第2把持ユニット42が把持した第2端部25を第2側板22Bから上方へ取り外す。これにより、把持機構31により第1端部24と第2端部25とを共掴みさせる。制御部90は、共掴みした把持機構31を有する移動ユニット30を移動させ、内袋23を回収用コンテナ28の上方まで運ぶ。回収機構70は、回収用コンテナ28の上方に運ばれた内袋23を押込機構71により回収用コンテナ28内に押し込む。よって、内袋23を自重で落下させて回収容器内へ回収する構成に比べ、内袋23を回収用コンテナ28内により確実に回収できる。
(5)内袋除去方法は、固定ステップ(ステップS11)と、移動ステップ(ステップS12,S13)と、残品排出ステップ(ステップS14~S16)とを備える。固定ステップでは、内袋23の第2端部25を第2側板22Bに掛けたまま固定する。移動ステップでは、内袋23の第1端部24を把持して第1側板22Aから取り外したのち、第1端部24を第2端部25に向かう第1方向X1へ第2端部25の位置を過ぎる第1位置P1まで移動させて開口23Aを下向きに開く。残品排出ステップでは、内袋23の下向きの開口23Aに対して内袋23の底部23Dを上方に移動させることで内袋23に残った物品26を落下させて開口23Aから排出する。よって、内袋23から残品26を取り除く作業を行いながら内袋23をコンテナ20から除去する内袋除去作業を自動化できる。
実施形態は、上記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・把持部及び第2把持部による内袋の把持は、クランプ用のシリンダ46,47を用いたクランプ機構により内袋を挟んで把持する「クランプ(挟持)」に限定されず、吸着ノズル又は吸着部材を用いて内袋を負圧による吸引力を利用して吸着する「吸引把持」でもよい。第1把持ユニット41と第2把持ユニット42のうち一方又は両方を吸着ノズル又は吸着パッドにより構成し、内袋23の第1端部24又は第2端部25を吸引把持する構成としてもよい。
・移動機構は、走行式の移動ユニット30に限らず、多関節ロボットであってもよい。例えば、多関節ロボットがアームの先端部に把持部を有し、把持部で把持した第1端部24を第2端部25へ向かう方向である第1方向X1に移動させて第2端部25の位置を過ぎる第1位置P1まで移動させることで、内袋23の開口23Aを下向きに開く。その下向きに開いた開口23Aにブロワ61で空気を吹き込んで内袋23を膨らませることにより、開口23Aから残品26を落下させる。なお、ロボットのアームで内袋23の底部23Dを把持又は吸着して下向きの開口23Aに対して上方へ移動させることで残品26を開口23Aから落下させてもよい。この場合、ロボットが内袋23の下向きに開く開口23Aよりも上方位置で、その底部23Dを把持したアームを上下動させて内袋23の底部23Dを上下に揺らせば残品26をより確実に内袋23から排出させることができる。なお、ロボットは、複数台備えてもよい。例えば、固定機構50も多関節ロボットにより構成し、ロボットがアームの先端部に取り付けられた押圧部材53で第2端部25を第2側板22Bに押圧することで第2端部25を固定してもよい。
・固定機構50による第2端部25の固定は、押圧に限定されない。例えば、第2端部25の把持固定でもよい。この場合、固定機構50は、例えばクランプ機構を有し、クランプ機構により内袋23の第2端部25を把持固定する。
・ブロワ61に替え、ファンを用いてもよい。また、ブロワ又はファンは、遠心式、斜流式、軸流式のどの方式でもよい。さらに、エアノズルから圧縮エアを内袋23の下向きの開口23Aに向かって吹き付けてもよい。但し、風量が多い方が内袋23を効率良く膨らませることができるので、ブロワ61やファン等の送風装置が好ましい。
・ブロワ61から内袋23の開口23Aへ空気を吹き込む方向は斜め上方又は上方に限らない。例えば、ブロワ61により、横方向から開口23Aに空気を吹き込んで内袋23を膨らませてもよい。内袋23が膨らんだのちに開口23Aを下向きにすれば残品26を開口23Aから落下させることができる。このように内袋23の開口を下向きに開くとは、少なくとも物品を落下させるときに開口23Aが下向きであれば足りる。なお、開口23Aの向きが下向きとは、物品26を内袋23から落下させることができる程度の下向きであればよい。例えば、開口23Aの開口面が水平面となす角度が45度でもよい。
・残品排出部は、ブロワ61等の送風装置を用いずに内袋23を膨らませてもよい。例えば、第1端部24を把持した把持部を、固定端である第2端部25を中心に円弧又は波を描くように移動させて内袋23内に空気を取り込んで内袋23を膨らませてもよい。この場合、内袋23の開口23Aを下向きに開いたときに内袋23は膨らんだ状態にあるので、内袋23の開口23Aから物品26を落下させることができる。また、内袋23を膨らませるので、内袋23の皺に物品26が引っ掛かる排出ミスを抑制できる。
・残品排出部は、内袋23を膨らませる構成に限定されない。例えば、下向きに開く開口23Aに対して内袋23の底部23Dを把持ユニットにより把持して開口23Aよりも上方へ移動させることで、内袋23の開口23Aから物品26を落下させてもよい。この場合、内袋23の底部23Dを把持又は吸着した把持ユニットを上下動させて内袋23を上下に揺らすことで、内袋23から残品26を積極的に落下させてもよい。
・共掴み工程で、内袋23の浮力の影響が無い又は少なければ、第2把持ユニット42による第2端部25の把持と、固定機構50による第2端部25の固定の解除とを順不同に行ってもよい。例えば、第2把持ユニット42による第2端部25の把持と、固定機構50による第2端部25の固定の解除とを同時に行ってもよいし、前者を後、後者を先のタイミングで行ってもよい。
・残品排出動作ののち、内袋23の2つの端部24,25を共掴みせず、一方の第1端部24のみを把持して内袋23を回収位置CPへ移送する構成としてもよい。すなわち、制御部90は、残品排出動作ののち、固定機構50による第2端部25の固定を解除し、移動ユニット30を第1位置P1から第1方向X1へ第3位置P3まで移動させることで、コンテナ20から除去した内袋23を回収位置CPまで移送する。
・押込機構71を構成する押込部材80の先端部(下端部)にエアジェット部81を設け、押込部材80の先端部から内袋23に向かって空気を噴射してもよい。この構成によれば、より強い空気圧で内袋23に空気を噴射でき、内袋23を回収用コンテナ28により効果よく且つより確実に回収できる。
・ブロワ61等の送風装置の駆動停止後、内袋23がある程度萎むまで待機したが、内袋23の底部23Dを、押圧板で下方へ押圧して内袋23を積極的に萎ませてもよい。
・固定機構50は、内袋23の第2端部25を第2側板22Bに押し付けて固定する構成に限定されない。例えば、固定機構50は、第2の把持機構を有し、第2の把持機構により第2端部25を把持してコンテナ20の第2側板22Bから取り外したのち、コンテナ20から離間した空中の所定の固定位置に保持することで第2端部25を固定してもよい。この場合、移動ユニット30を構成する第1把持ユニット41が把持した第1端部24を持ち上げたのち、その持ち上げた第1端部24を、固定位置に保持された第2端部25に向かう第1方向X1へ第2端部25の上方を通過する経路で第1位置P1まで移動し、第1位置P1への移動ののち残品排出工程を行えばよい。なお、第2の把持機構は、X軸に沿って移動可能に設けた第2の移動機構に備えられた構成でもよいし、多関節ロボットのアームの先端部に設けられた構成でもよい。
・把持部と第2把持部は独立して昇降可能な構成でもよい。この場合、把持部と第2把持部とが別々の走行台に昇降可能に設けられてもよい。
・ダクト62内にブロワ61を配置してもよい。
・回収位置CPは、作業位置SPに対して第1方向X1側の位置に限定されない。例えば、回収位置CPは、コンテナ20に対して第2方向X2側に位置でもよい。この場合、共掴み後、移動ユニット30を第2方向X2に移動させてコンテナ20よりも第2方向X2側の回収位置CPに配置した回収容器に内袋を回収する。その他、共掴み後、第1方向X1と交差する方向(例えば幅方向Y)に移動して内袋を回収容器に回収してもよい。
・回収機構70は、押込機構71を下降させて内袋23を回収用コンテナ28内に押し込む構成に替え、内袋23を空気圧のみで回収用コンテナ28内に押し込んでもよい。
・内袋除去装置10は、第2コンベヤ17を構成に含まなくてもよい。回収用コンテナ28を架台などの上に置いてフォークリフトなどで直接取りに来てもよい。
・開口23Aから落下した物品26は、ダクト62とダクト通路62Aにより回収エリアへ搬送するのではなく、排斥箱などで回収してもよい。
・内袋除去装置10は、回収機構70を備えない構成でもよい。
・コンテナ20の構成は適宜変更してよい。例えば、底部21はパレットでなくてもよい。また、コンテナ20は、折り畳み式でもよいし、折り畳みできない構成でもよい。
・コンテナ20は、有底四角筒形状以外の他の有底筒形状でもよい。例えば、四角筒形状以外の多角筒形状でもよいし、円筒形状や楕円筒形状でもよい。また、コンテナ20の材質は、金属製、合成樹脂製、木製、これらの複合品でもよい。
・内袋23に収容される物品は、合成樹脂製の部品又は製品でもよい。例えばペットボトルやカップ等の容器でもよい。また、物品は、ペレット等の粒状体でもよい。また、物品は、金属製、セラミック製あるいは金属と合成樹脂との複合品でもよい。